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参考人(
河野真理子君) 河野と申します。諸先生方の前で
お話をさせていただく機会をいただいて、本当に光栄に思っております。よろしくお願いします。
清家先生と違いまして、私は多分自己紹介をしないと何をしているかというのもおわかりいただけないかと思いますので、ちょっと仕事の話をさせていただきます。
十三年前にパイオニアグループとして、個人と企業のベストな関係を目的としながら企業の人材育成をする会社を設立しました。今、私、今回お呼びいただいて、私の立場でできることは、企業の実情、それから働く個人の実態、そのあたりを踏まえた上で、本当に具体的な何か政策、施策にお役にいただけるようなそんな声を少し上げていきたいと思っています。
早速なんですが、きょうは簡単に
レジュメを配らせていただいたんですが、実はテーマをいただきまして、生
涯能力発揮社会、これは私、非常に個人的には重要な、
日本の最重要課題と個人的な見解で失礼かもしれませんが、思っています。具体的には、マクロ
経済、ミクロ
経済の
経済問題と、
少子化対策とは言えないかもしれませんが、
少子化。それから、実はちょっと後で
お話ししますが、教育関係も含めて、青少年の十七歳問題等ございますが、生きる力の源ということも含めると教育関係にも関係する重要課題だと思っています。そんなちょっと視点を持ちながら少し
お話をさせていただきます。
私は、実は仕事上、生涯
能力開発のことを人材育成、
能力開発と言っておりますが、昨今、キャリア開発という
言葉をよくお聞きいただいているんではないかと思うんですね。実は、
能力を幾ら開発しても現場で使えなければということもありまして、
能力を開発して、キャリアを開発して、そのセットでということを
一つ今
労働市場では考えていることです。
具体的にこのキャリア開発、
能力開発も一緒と思っていただいてもいいんですが、二つに大きく分かれると思います。
一つは、広い
意味での生涯にわたる、そして自営も農業、漁業も含め、広い
意味で自分自身の職業観ということを含めたキャリア開発。もう
一つは、今一番課題になっております企業に働く個人、特に実はホワイトカラーなんですが、六十歳までとは言いませんけれども、定年まで真っ当に働き続けることができるかという、激変の
時代の中でのキャリア開発と、こういうふうに二つに分けて考えることができると思います。
仕事で私が直接関係しておりますのは後者で、企業向けにキャリア開発の仕事をさせていただいていまして、具体的にはセミナー、それから個別キャリア相談ということで、キャリア開発、
能力開発のお手伝いをしています。ただ、三十代、四十代の個別相談を受ける中で、企業が六十歳までを定年としたとしても、それ以降、七十歳まで働き続けなければ
子供は短大すら出せないという
男性の声が多いです。
そういうふうに考えると、やはりキャリア開発というのは、とりあえず今いる企業の中で活躍できるというのがまずベースとは思いますが、当然のことながら生涯にわたり、生涯現役でいたい方、または現役までいかなくても六十以降ある
程度活躍したい方、それぞれの価値観によって自由に選択し、そして自分自身の
生活を、
生活というのは
経済的な問題ですが、自分自身で確保できるようなそんな
社会を若い三十代、四十代の
男性が望んでいるように思います。後でちょっと年代別の
お話はしようと思うんですけれども。
そんな
意味で、
清家先生が大分、私が書いた
レジュメの最初の方は
お話ししてくださいましたので、その中でそこで個人がどんな考えを持っているかというところだけ触れていきたいと思います。
まず、少子、
高齢一緒に来ています中で、企業の
雇用の問題、
雇用環境ですとか慣行とか言われますが、ついてきていません。ちょっと後で細かいことは御説明しようと思うんですが、例えば私も定年六十五歳ですとか選択制で六十五までいられるですとかさまざまな
意見は賛成ではありますが、逆にそこの中で教育面または働き方の多様化、コースの選択の面、さまざま手間暇かかる大変なことなんですね。今まである
程度レールが引かれた中で企業がモデルをつくって、上を見れば下がついていける、そんなふうにつくってきていますので、やはりこの百年で四十歳延びたと書きましたが、
寿命が延びて
人口構造が変わっている中で、一番ついてきていないのが
雇用の現場ではないのかという気もしております。
ただこの裏には、企業の実情というのをぜひ知っていただきたいんですが、今、最近、企業の景気というか、数字的にはいい点が出てきていると思うんですが、中を見れば合併、分社化、それから継続的リストラクチャリングの推進、これは首切りという
意味ではなくて、カンパニー制にするですとか、それから
一つ一つの制度がもう年功序列ではないと。逆にそれがいいことではあるんですけれども、成果主義に変わっていく中で具体的には個人の給与が減っているですとか、さまざまな先の見えない景気低迷
社会に対して企業も努力をして黒を出し、個人はかなり、昔、滅私奉公と言いましたが、それ以上に特に三十代、四十代が張りつき型で頑張っているからこそ今やっとプラマイゼロくらい、営業利益ぎりぎりプラスというような形が出てきているように思います。
その裏の個人の話をさせていただくと、正直なところ
雇用不安です。これは、五十代、六十代の方々は何とか今の既得権でそのままいかれるんですけれども、一番課題になるのが三十代、四十代で、たまたまこれが、これからお子さん二人目どうしようですとか
子供の教育をどうしようというような方々なんですね。その方々が具体的に
雇用が不安と。
今、例えばカンパニー制のカンパニーが分社化されますと、そこで転籍ということが起こっております。もちろん出向から、その後、本人の意向を聞いて転籍ということになるんですが、本社よりも例えば待遇が若干悪くなるですとか、さまざまな個人には課題が課されています。
そうなりますと、
雇用不安、
経済不安、老後の不安とさまざまな不安がありまして、ちょっと先ほど申し上げた家庭内での精神的な問題、
子供への精神的なストレス、そういうこともリンクしているかどうか、そこまでは
研究しているものではございませんけれども、ないとは言えないんではないかと思います。
そして、ちょうどこの現役世代がやはり
少子高齢化の真っただ中にいるということはよく言われることなんですが、ちょっと考えていただくと、ITというか、具体的に、パソコンに向かってお客様とつき合えて、それから今度ちょっと
英語がかじれてとか、そういうことを考えると、この現役世代が一番先ほど申し上げた張りつくタイプでして、残業手当がどうのということ以前に家に帰る時間は少なくなります。
実は、よくそれは
少子化での育児の面で言われるんですが、私は、それ以上に重要なのは、インプットする時間ですとか勉強する時間がない、学習の面でですね。これから生涯学習
時代だと言われる中で、一番インプットが重要である三十代、四十代に自由時間がない。通産省でも自由時間政策の
研究等をやっていただいていたようですが、そのあたりも含めるともう少しこの三十代、四十代の働き方ということを企業も考える必要があると思います。
早速そこで、「
変化する
労働市場」と書かせていただいたんですが、私は今、これからの
時代はキーワードは三つだと思います。
よく言われる
雇用流動化なんですが、私は欧米並みに流動化するとはもちろん思っておりません。先ほど
清家先生が
日本がある大変いいモデルとしてというふうにちょっと違う角度のことをおっしゃいましたが、角度というか違う分野でおっしゃってくださいましたが、私もさまざまな面で今海外を見ながらも
日本モデルをつくることが一番重要だと思っています。
例えば、
雇用の流動ということを考えると、若干の流動化、流動する職種ですとかが、どういうところが流動化する層なのか。流動化した人にはした人なりのきっちりとした評価ですとか処遇ということを人事としてつくらなければいけない、そんな課題もあるんですが、
日本型の若干の流動化。
それから、
雇用形態は確実に多様化しています。
それから、就業コースの多様化と書きましたのは、これは正社員としての働き方の多様化です。簡単に言いますと、管理職になったけれども、管理職を一度おりて専門コースに行くですとか、それから、ちょっと今度は違う角度ですが、エリア採用という形を今とるところが多いんですけれども、地域限定で働くとか、今までは
能力の高い人は企業の言いなりでということが確かにあったんですが、今、
能力が高い人でも少子
高齢社会、核家族世代の事情で地域限定ということを望む人もふえました。十年前に、一般職の採用をしたときに
男性が並んだということは聞いたことがおありだと思います。地域限定で働く一般職採用、
女性枠とよく言われましたが、そこに
男性が並んだ。その
人たちがそろそろ三十代、四十代になってくるんですね。
そのあたりで、これからは
雇用流動化、
雇用形態多様化、就業コースの多様化というようなことがベースになると思います。
ちょっとこれはお
手元に
参考資料として一番をつけさせていただいたんですが、実は今人材関係で執筆中の私の
手元資料でして、ちょっとお出しするのにはまだ中身が練り切れていない点があったんですけれども、今回、人材育成ですとか
能力開発というのを考えるに当たって、どうしても企業と個人の関係ですとか、あとそれぞれの採用から評価等を含めて今後どうなるかというこの
変化を押さえないとこれからの
能力開発というのはちょっと落とし込めていかないのではないかと思いまして、まだまだちょっとこれはお出しするのには恥ずかしい点も、個人的な
手元資料なんですが、御
参考にしていただければと思います。
まず、一番大きく変わりますのが企業と社員の関係です。今までは企業も社員に頼っていました、言うなりになってくれるだろう。
参考資料の1の一番上を見ています。それから、社員の方も、この会社で頑張っていれば
生活給として賃金は保障されると思っていました。それが、これからは独立した個人と、それから企業の方はその人のキャリアを買う、
能力を買うとかということになりまして、お互いに対等な立場でつき合うように
時代がなっていきます。それに伴って、採用ですとか
雇用の期間ですとかさまざま
変化が出てきます。
私たち、私たちというのは働く個人として私たちと言ってしまうんですが、こういう
変化をよくわかった上でどういう
能力を開発するかというのを個人でプランニングしていかないと、もう先輩像とかレールがないということです。逆に、こういうことを企業が責任を持って伝えていく、または行政がサポートして意識改革をしていただく、そんなことがこれからまず大事。その後、具体的なプランニングのお手伝いをしていくということが重要なのではないかと思っています。
ちょっと続けさせていただきます。
そうなりますと、本当に現実的な実情を踏まえた上でのキャリア開発ということになるんですが、もう今は余暇という
言葉もなくなり、趣味という
言葉も消えうせてはいないんですけれども、六十歳以上の方々にも活躍していただかないといけない。逆に言うと、企業の現場は、正社員では採れないけれども、嘱託的に六十以上の方々に年収、例えば百五十、二百ぐらいで手伝っていただければありがたいというところはございます。そうなると、お互いの需要と供給の問題で、人事制度を複線型にしていくことで、もう少しミスマッチがマッチングしていくこともあるかと思います。
さてそこで、今度は「一人一人の存在価値を高める「キャリア開発」」と書かせていただいたんですが、少し個人の視点で
お話し申し上げたいと思います。
個人になりますと、今まで
日本では自立のための教育ですとか、例えばキャリアについて言いますと、自立キャリアとか、自分自身でこんなキャリアビジョンを持つですとか、こんな仕事をしたいというふうに企業に申し入れることは逆に余り許されなかったというか、そういうことを教育もされていないし、企業の中でも何がしたい、かにがしたいというふうに言うこと自体が余り望まれていなかったように思います。ただ、これからは、会社が変わってきていますので、何ができるのか、何をしたいのかというふうなことをはっきり個人が
意見を言っていく
時代になります。
ただ、そのあたりで考えていきますと、まだまだ個人が気づく場というのは与えられていないように思います。どうしても現場にいますと、今ここで頑張らなければ課長にはなれないという三十代、四十代、またはここで頑張っておかないと本社には残れないですとか、やはり現場現場で考えておくために、汎用的なスキルとか汎用的なキャリアというのがちょっと意識から外れるんですね。そういう
意味では、これからは長期ビジョンでの人生設計を個人が考える、または考えさせる、そんな機会を与えることがまず重要だと思います。
そういう
意味では、男女で
平均して八十歳に
寿命がなりますので、キャリアビジョンを長期で考えさせる中に、今
雇用されている企業の中でのキャリアを考える、そんな二段構えでのキャリアの見方を個人にしていくことがとても重要だと思います。
去年だと思いますが、
国民生活白書で選職の
時代という堺屋先生のフレーズで発行されたのがございました。私もその前の年にこちらの
生活の
研究会を
委員としてさせていただいていたんですけれども、実はあのテーマを見ていたときに、まさに重要だけれども、まだそこまで選職できるほど個人が伸びていないし、選択できるくらいキャリアは確立していないというのが直観でした。そんなことを考えると、少なくとも二〇〇五年あたりまでには、これから個人がキャリアビジョンを持つということが重要になっていくと思います。
ここで、
少子高齢化の課題とリンクさせていただきますと、幾らキャリアビジョンを持ってこういう仕事をしたいと言っても、今できない現実があります。昔は何とかできました。やはり私の父親の世代は、もう八十歳になりますが、やはり家族があって、父の仕事についてどこへでも行く家族があり、そして家にファミリーというか奥様もいたというような世代、そこがこれからは若干崩れていきます。そうすると、個人がライフビジョンを持つということがまず重要で、ライフビジョンとキャリアビジョン、具体的に言うと、
子供は何人、どこに住もうかということですよね、それから例えば共働きなのかそうじゃないのか。そんなことも含めた上で自分は何をしたいのかというキャリアビジョンを持つ、そういう意識を、生き方そのもののビジョンを持たせる意識改革というのが非常に重要だと思います。
ちょっとここでエンプロイアビリティーという
言葉を使わせていただきたいのですけれども、簡単に言うと就業
能力です。私は、日経連の関係で中に入って今教育の方の仕事をさせていただいている手前、ちょっと日経連の
言葉を使わせていただきますと、エンプロイアビリティーといいますのは、
一つは今いる企業の中で継続して
雇用される
能力、もう
一つは労働移動を可能にする
能力です。後者の方は最近入ってきた
言葉です。前者の方の
雇用を継続的に可能にするという、私はこの継続的にというのが非常に大きい
意味があると思います。というのが、本当に激変していく企業、そしてニーズが多様化して企業の方も消費者のニーズにあっぷあっぷしながらついていっている企業の中で、個人が六十歳までまたは六十五歳まで使ってもらえる、いてほしい人材と言われ続けるということは非常に難しいんですね。まさに張りつき型で仕事をしてアウトプットし続けていたのでは、勉強しなければ、二十代から六十代まで真っ当に仕事はし続けられない。つまり、アウトプットとインプットを常に繰り返していくことを個人が意識しなければいけない。
ちょっと飛んで恐縮ですが、「複線型人生設計」という
言葉も書かせていただきました。釈迦に説法の先生もいらっしゃるのは存じ上げているんですが、今まで単線型人生設計でして、学生
時代はお勉強、そして会社にいるときはアウトプットばっかりで仕事を一生懸命する、そして六十過ぎたら余暇というか、リタイアした後はのんびり余生というようなこれが単線型でございますが、それに対抗しまして複線型。
この複線型というのは、やはり一番重要なのは、就業中、
社会人として仕事をしている間にもインプットもしていこうということ、そしてリタイアした後も逆に、リタイアと言っていいかどうかわかりませんが、ある
程度高齢になったあたりでも、これからは生涯現役または活躍ということで
社会貢献または
社会で活躍していこうというようなことで、これからは複線型になっていくんじゃないかと。これは三十代、四十代の
男性たちは
当たり前のように体と頭では感じていながらなかなか実現できずに困っていると。要するに、自由時間がない、またはそれを勉強する経費の問題、あとは環境、そういうこともありまして今非常に困っているというのが実情です。
ここのところで「自己責任で行なうキャリア開発」と書かせていただきました。三Kという
言葉をお聞きになることがあるかと思うんですが、企業が広告宣伝費、交際費に次いで教育研修費というのを一番最初にカットします。となると、今は人材というのは採ってから育てる
時代ではなくて、育った人を採ってくる
時代になりましたので、なかなか社員教育はいたしません。特にこれから転職しちゃうかもしれないとなると、勉強は個人でしろ、
能力開発は個人でしろという
時代になります。逆に言うと、ぜひそのあたりも行政サポートをしていただきたい点でございます。
今はまさに自己責任で行うキャリア開発の
時代でありながら、その環境がない、時間がない、費用がなかなか出し切れない。この辺は大分労働省様経由で個人に対して助成していただいているのはもちろんよくわかっているんですけれども、そんなこともありまして、勉強しなければ生涯現役でいられないのに、今は現場で張りついている三十代、四十代または五十代の
前半の方々は非常に困った環境にあるのは事実です。
さてそこで、ちょっと話を飛ばさせていただいて、「多様化するキャリアコースとその選択」ということなんですが、これは
レジュメの方にちょっと目で見ていただこうと思って打っておきました。
というのが、昔は正社員とパートという意識だったと思うんですが、今は正社員コースの中にも転職して次のところでまた花を咲かせるというコース、または正社員の中にも管理職コース、専門職コース、専任職コースというのがあるのと同時に、正社員から非正社員を希望する人、特にSEの方なんかはその後個人で事業化する方もいらっしゃいますし、個人で派遣に登録しまして派遣で一千万円の収入を得る人もいます。そんなように、さまざまな働き方というのが
労働市場には出てき始めました。
逆に言うと、では派遣社員であればどんな
能力を開発していかなければいけないのか、正社員であればどんなふうに企業に対して働きかけをして
能力を開発しておかなければいけないのかということをもっともっと個人が意識する
時代になってくると思います。もちろん、この中には起業家、それから自分の実家の家業を継ぐということも含めてこれからは考えていくことが重要だと思います。
次の
レジュメの二枚目の三番のところなんですが、実は、キャリア開発というのは私は
社会人になってからでは本来遅いのではないかと思っています。逆にちょっと広く言うと、
社会人教育というのは
社会人になってからでは遅いと思っているんですが、このキャリア開発という
言葉を使うと何となく仕事をさせられるという気がしてしまうかと思うんですが、職業観ですとか職業観を含めた生き方、人生観ということを考えていきますと、本当に幼少期からの体験ですとかそれから情報提供の中で、幼いころから人の役に立ちたい、こんな仕事をしたいという職業観が培われていくと思います。
昨今は、うちも息子が二人おりますけれども、学校教育の中でも、体験学習や道徳の時間等にさまざまな先輩の話や地域の方の話を聞いたりするかと思うんですが、最後のあたりで、最後と言っていいかどうかわかりませんが、中高一貫教育あたりで、例えばこれから外に出るとなりますと、そのあたりで人生設計を考えるプログラムを展開する。または、最終学歴となります大学、短大、専門学校が多いと思うんですが、そのあたりでは具体的にライフプラン、キャリアプランを考え、就業のコース、具体的にはどこに就職するのか、または就職しないで自分の親の仕事を継ぐのか、さまざまなことを現実的に考えさせる機会というのが重要だと思います。
これは学校からのダイレクトな御要請または労働省様の外郭団体経由で大学でやらせていただく講義で、就職から考えるこれからのライフ・アンド・キャリアデザインというのを弊社講師が言っているんですが、百名募集が三百名来て立ち見だというくらい、今、
皆さん就職ということの裏のライフプラン、キャリアプランというのに非常に興味を持っていらっしゃるので、このあたりをもう少し具体化しておくと、会社に入ってからも、じゃどんな仕事をしていこうかということに結びつくのではないかと思います。
ちょっと時間の関係でこの
程度に学校教育はさせていただいて、今度は具体的なキャリア開発、四番のテーマなんですが、まず、これからはだれにでも必要なのがやはりライフプランとキャリアプランを考える教育、その中で具体的なキャリアというものを個人が見つけていく教育だと思います。ここは五つに分けさせていただいたんですが、そうはいっても、今、
時代の変革の中で困っている層はそれぞれ課題が違います。
例えば、二番に書きましたホワイトカラー三十代、四十代というのは、今まで、私の世代なんですけれども、四十代世代というのは半分の人生を企業戦士として過ごしてきました。いきなり企業が変わって、この後、自分のエンプロイアビリティー、外でも通用する力を含めてのポータブルスキルとかポータブルキャリアということを考えていくといいと思うんですが、身についていないぞ、どうしようかと、そのあたりのキャリア開発がテーマだと思います。
それから、その奥様に当たると思うんですが、専業主婦三十代、四十代の方が最近再就職をしたいとおっしゃる。これは
経済的な問題ですが、生きがいとしてというよりも
経済面が多いんですけれども、残念ながら、今、企業の現場では十年ブランクがあるような方々を
雇用することができません。そうなると、意識の面とスキルの面と両方で再就職教育を行政主導でしていただいて、そして企業の方でまずはパートまたは契約社員で入って正社員になる、そういうふうな形が重要かと思います。
それから、四番の五十代、六十代のホワイトカラー、ここは一番今課題でして、正直なところ、リストラクチャリングをされた対象がここが一番多かったと思います。この方々が多様化していまして、もういいやと思ってリタイアされる方と、お子さんがまだ小さいのでセカンドキャリアとしてこれからまた就職をしようという方と、二つに分かれます。後者の場合、やはりここで何かしらの教育をして、また若い方々と一緒に仕事をするスキルを磨くことが重要になります。
それから、五番目の六十代、七十代、これはちょっと私見も入っておりますが、実はこの世代はかなり
社会貢献をしたいという方々が多いんですね。この多い方々が仕事をしたいといっても若干無理がありまして、できれば現役世代のバックアップをしてほしいと思います。
特に、今、NPO等でケアサポート的な仕事をされる方がふえてきているんですが、リタイアした
男性が何々長をされて、奥様たちの集団で介護、育児、家事、炊事に関するケアをしていく。これは具体的に身内以外の方にやるケースと、それから私は身内にやる場合でもこれからは認めて、例えばそこのあたりに若干の何か補習と言うと言い過ぎかもしれませんが、何か貸与するくらいに、現役世代のバックアップのための何かケアをする方々を認めていくということも大変重要ではないかと思います。
それから、ちょっと五番のあたりは先ほどの
お話の中でしてしまったんですけれども、五番の「実践の場の提供」というのは、幾ら教育をしても実践の場を提供しなければ、そのためのマッチングシステムということ、ちょっとこれは後で言いたいと思います。
そしてもう
一つ、二番の職と
雇用の創出なんですが、今IT、ITと言われていますが、それ以外にもたくさんまだニッチの分野で創出できるものがあると思います。先ほど申し上げた、六十代、七十代の方々をうまく使って、バックアップのための家事、炊事、育児、介護等ケアサポートのための
雇用などというのは、確実に何か有限会社としてでも会社としてでもできてくることだと思いますので、そういうものをつくってあげる、またはつくることをバックアップするということも重要だと思います。
それから最後に、六番なんですが、具体的に今、企業または行政が生涯現役
社会または活躍
社会をつくるためにどんなサポートをする必要があるか。
企業というのは今なかなかそこまで
経済的な力はないんですけれども、少なくとも今まで抱えてきて、今まで違うスタイルで教育をしてきた社員たちに気づきの場を提供するということは大変重要だと思います。
ちょっと具体的なことで、資料の二番のところだと思うんですけれども、今企業の中でどんなものがこれからメーンに行われていくべきかということを簡単にまとめたものです。企業の中では、キャリアという分野が基本的に企業側、人事側がやるもの、そしてライフというのは大手ですと組合主導でやっていくものと思ってください。
例えば、今、中堅向け、特に三十代、四十代でこれからのライフプラン、ファミリープランをベースにしたキャリア
形成を考える層、ここに対してはキャリア開発の教育が重要だと思っています。それが情報提供と同時に気づきの場の提供になると思います。ただ、具体的に課題が個別ですので、そうなりますと個別のキャリアアドバイスというのも非常に有効で、キャリアアドバイザーの設置というのも有効だと思います。
それから、ライフの
部分というのも別に下に書いてあるんですが、実は企業というのはキャリア開発に対しては情報提供やまたは教育の場を与えようといたしますが、そのベースのライフの
部分というのは個人のことでございますので、なかなか手が回りませんし、やる
意思は持ち得ません。となると、ここは例えば組合または行政かと思うんですが、ライフプラン、キャリアプラン両方リンクさせたライフ、キャリア両面でのデザインといいますか、キャリア、ライフをデザインしていく、そのような気づきの場というのがあった上で本来はキャリア開発を考えていくということをこれからは推進していく必要があると思います。キャリアに対してのアドバイスだけでなくて、ライフに対してのアドバイス。
具体的には、共働きで海外駐在の命令を受けた、行けば管理職になれるけれども、実際どうしようかと。
子供は産まずに続けようか、産んだ後、じゃその子はどうしたらいいんだろう、連れていくべきか置いていくべきかとか、そういうようなもう本当に差し迫った課題が毎日いっぱいあるんですね。そういうことを考えると、これからはキャリアアドバイザーといってもライフ、キャリア両輪に関するアドバイザーの設置というのが重要だと思います。
強いて言えば、ちょっと飛ぶんですけれども、企業の中に人事で持つというよりも、第三者としてメンター的な存在、メンターというのは利害関係のない相談者と
定義づけておりますが、立場として第三者としてのアドバイザーというのもこれからは重要な位置を占めていくと思います。
ちょっと御
参考までに、じゃその中身はどんなことをやっているのかというのを今実際企業様の中でやっているものをそのまま持ってきました。キャリア開発については資料3のところにあります内容です。そのベースになりますライフとキャリアをまず両輪で考えるというのが最後のページになりまして、多様化するこれからの働き方等の中で自分は何を選んでいくのか、それを考えるようなコースになっています。
そして最後に、もうあと一、二分で終わりにしたいと思いますが、行政のところなんですが、なかなか今企業が厳しくて、わかってはいてもできないことがあります。個人も気づいていることも考えますと、ぜひサポートをしていただきたい、キャリアサポートをしていただきたい。
そのときに、先ほど申し上げた情報提供、例えばその情報提供というのは、自分はこういう仕事をするにはどんな
能力を開発するべきか、それにはどこに行ったら勉強できるのかというような教育の場と、それからもう
一つは何をしたらいいかというような今度は具体的なキャリアプランを組めるような情報の提供です。
今、私も労働省の
一つの
研究会でエンプロイアビリティーの判断基準をつくるような
委員会に参加させていただいていますけれども、やはりこれからは何々をするにはどういうことが必要ということをどこかが発信し、それを受けて、じゃどういう勉強をしようかということを個人が考える
時代になるんだと思いますので、ぜひそのあたりの情報提供のサービスをお願いしたいと考えています。
それから、先ほどのキャリアアドバイザーに対抗して、まあイコールでもあるんですが、ライフ面、キャリア面、特に両輪のアドバイスに乗っていただける方々を例えば企業に派遣する、またはどこか行政の、労政事務所でもいいんですけれども派遣する。特に、実は弊社がキャリアアドバイザーと申し上げて、あえてカウンセラーと言っていないのは、経験者が経験も含めて情報を提供するということでアドバイザーという
言葉を使っています。そんなことで、例えば両立支援であれば、両立をしたことがある、またはキャリア開発であれば、自分自身が企業の中で何か苦労した、経験したという方々を教育し直してアドバイザーに配置するということも重要かと思います。
ちょっと時間が来てしまいましたので、とりあえずここまでにさせていただきまして、二時間ほど
質疑応答があるということなので、その中でまた足りなかった分は
お話し申し上げたいと思います。
雑駁になってしまいましたが、どうも御清聴ありがとうございました。