運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2001-06-19 第151回国会 参議院 国土交通委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年六月十九日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月十四日     辞任         補欠選任      山内 俊夫君     常田 享詳君      森本 晃司君     鶴岡  洋君      畑野 君枝君     筆坂 秀世君  六月十五日     辞任         補欠選任      阿南 一成君     田村 公平君      常田 享詳君     山内 俊夫君      鶴岡  洋君     森本 晃司君      小泉 親司君     緒方 靖夫君     日下部禧代子君     渕上 貞雄君  六月十八日     辞任         補欠選任      緒方 靖夫君     大門実紀史君  六月十九日     辞任         補欠選任      筆坂 秀世君     八田ひろ子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         今泉  昭君     理 事                 野沢 太三君                 山内 俊夫君                 寺崎 昭久君                 森本 晃司君     委 員                 泉  信也君                 木村  仁君                 坂野 重信君                 中島 啓雄君                 松谷蒼一郎君                 脇  雅史君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 山下八洲夫君                 続  訓弘君                 大門実紀史君                 八田ひろ子君                 渕上 貞雄君                 田名部匡省君                 戸田 邦司君                 島袋 宗康君    国務大臣        国土交通大臣   扇  千景君    副大臣        内閣府副大臣   村田 吉隆君        国土交通大臣  泉  信也君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       木村  仁君    事務局側        常任委員会専門        員        杉谷 洸大君    政府参考人        警察庁交通局長  坂東 自朗君        金融庁総務企画        局参事官     田口 義明君        財務省主計局次        長        藤井 秀人君        厚生労働省医政        局長       伊藤 雅治君        厚生労働省社会        ・援護局長    真野  章君        厚生労働省保険        局長       大塚 義治君        農林水産大臣官        房審議官     林  建之君        国土交通省自動        車交通局長    高橋 朋敬君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任  再保険特別会計法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 今泉昭

    委員長今泉昭君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十四日、畑野君枝君が委員辞任され、その補欠として筆坂秀世君が選任されました。  また、去る十五日、日下部禧代子君、阿南一成君及び小泉親司君が委員辞任され、その補欠として渕上貞雄君、田村公平君及び緒方靖夫君が選任されました。  また、昨十八日、緒方靖夫君が委員辞任され、その補欠として大門実紀史君が選任されました。     ─────────────
  3. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が三名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事山内俊夫君及び森本晃司君を指名いたします。  なお、あと一名の理事につきましては、後日これを指名いたします。     ─────────────
  5. 今泉昭

  6. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 野沢太三

    野沢太三君 おはようございます。  自賠責関係の法案について若干の質問をさせていただきますが、我が国の道路交通事故によります死者数昭和四十五年には一万六千七百六十五人に達しまして、最悪の記録となったわけでございます。その後、官民挙げての努力が実を結びまして、昭和五十四年には八千四百六十六人まで減少することができました。しかし、その後、各般にわたる施策、努力にもかかわらず漸増しまして、平成十二年には死者九千六十六人、死傷者合計で百十六万人を超えまして、最近十年間では四二%増という深刻な事態にございます。また、重度後遺障害者数が千九百三十五人ということで、最近十年、二倍という増加でございます。  まさに交通戦争が熾烈に戦われておりまして、どなたも例外なくこの戦争に巻き込まれる環境の中で暮らしておるわけでございますが、自賠責保険支払い件数を見ましても、平成十一年には支払い件数で百十六万件を超えまして、最近十年間で二二%の増、なお支払い額は九千二百億円を超えておりまして、これもこの十年間、一八%増という状況でございます。  本日、審議をいたします自動車損害賠償保障法は、昭和三十年に制定以来、その目的どおり被害者に対する保護を図って、相当な役割を私は果たしてきたと考えられるわけでございますが、近年、その必要性内容充実等につきましてはますます大事な法律として再評価をせねばならない状況にあろうかと思いますが、今回の改正の中で政府保険制度について、これを廃止しよう、こういうことになってきておりますが、政府保険制度はそれなりのやはり機能を果たしてきたと思うわけですが、今回、これを規制緩和で廃止する理由についてお伺いしたいと思いますが、大臣、よろしくお願いします。
  9. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、野沢先生がおっしゃいましたように、近年、自動車事故増加ということが、今、数字を挙げられておっしゃいましたけれども、大変残念なことでございますし、我々としても少しでも自動車事故を防止しようということに極力英知を結集して努力しているところでございますが、それに反して少なくともふえ続けているということに関しては残念のきわみでございますし、国土交通省としては今後も事故防止に関しては万全の体制をとっていきたいと思っております。  他方、この自賠責保険につきましては、従来、先生がおっしゃいましたように、保険会社リスクヘッジとして適正な保険金支払いの確保を目的として政府の再保険を実施してまいりましたけれども、現在、再保険制度を通じた被害者に対します保険金支払い適正化、そういうものについて、保険担保力が向上してきている、そういう意味等踏まえまして、今後、再保険によりまして保険会社へのリスクヘッジを図る必要は既になくなってきている。そのかわり、保険金支払い適正化機構というものは自動車保険の増大からますます逆に必要になってきている。そういう社会一般現象でございますので、今回は再保険によります保険会社リスクヘッジを図る必要はなくなったと、今申しましたとおりでございますので、構造改革の一環として規制緩和を図るためにこれを廃止して、そして保険会社における事務を簡素化することが必要である、そういうことで今回の御提示をさせていただいたわけでございます。他方政府の再保険が果たしてきた、被害者保険機構にかんがみましても、保険会社保険金支払い適正化に関する仕組みを整理する、そうでなければならないということで、今回、それを整理させていただくということでございます。
  10. 野沢太三

    野沢太三君 確かに発足の当初と比べますと規模が急速に拡大をしておることは事実でありますが、それによってリスクヘッジ必要性が少なくなったので廃止ということも理解できるわけでございますけれども、昨今の経済情勢から見ますと、一部の損保会社は破綻をするようなものも出てきておるわけでありまして、必ずしも損保会社の経営というものは安心して見ていられる状態ではないと思われますが、そこでこの自賠責保険に関してどのようなリスクヘッジ措置がとられているのか、お伺いいたしたいと思います。
  11. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  損害保険通常短期の掛け捨て商品が主力でございまして、長期契約中心生命保険と比較しますと資産運用リスクはそもそも一般的には小さいと考えられるところでございます。  この自賠責保険に関しましては、自賠法に基づきまして共同プール制度を設けまして、これによりまして各保険会社間のリスク平均化及び保険収支の均衡を図っているところでございます。また、これとは別でございますが、保険業法に基づきまして、自賠責保険支払いに必要な資金につきましては損害保険契約者保護機構から一〇〇%保障されることになっております。  このように、自賠責保険に関しましては、共同プール損害保険契約者保護機構仕組みによりまして、現在はリスクヘッジの枠組みは整っていると考えているところでございます。
  12. 野沢太三

    野沢太三君 これまで確かに、今最初、私が申しましたような莫大な件数処理をしてきておるわけでございますけれども、この実態を調べてみると、被害者に対して保険金の払い渋りを行っているのではないか、こういう指摘が出てきておるわけでございます。  特に、被害者死亡した場合などにつきましては、被害者責任ということで保険金支払いが行われないケースが多いということでございます。無責率といった数字で見ましても、負傷者に対して死亡者の場合十倍近い数字が依然として続いておるということもございますし、死亡事故の場合には一層やはり慎重に審査をして、適正な保険金を支払うべきだと思いますが、どのような取り組みをこれからもなさるのか、お願いします。
  13. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  死亡事故の場合で加害者責任がなかったとしまして保険金が支払われないケース、いわゆる無責事故でございますが、この割合につきましては、平成十一年度の実績で四・三%、それから障害の場合〇・五%ということになっておりまして、比較してその比率が高くなっているということは事実でございます。  この要因でございますが、死亡事案につきましては、赤信号の無視でありますとか中央線突破とか追突、こういった加害者が無責になりやすい事故形態比率が高いということが影響しているものと考えられますけれども、いずれにいたしましても、死亡事故のような場合に被害者側が不利に扱われることがないように適正な保険金支払いを確保する必要性が高いということは御指摘のとおりでございます。  このため、今回の制度改正におきましては、保険金を支払わない場合に保険会社被害者に対して情報提供を行うことを義務づけるとともに、このような場合には保険会社から国に対して届け出を行わせまして、国としても適切な情報提供が行われているかどうかを審査することにいたしております。  また、自賠責保険保険金支払いに関する紛争につきましては、紛争処理仕組みを設けております。これらの措置を通じまして、死亡事故において被害者側が不利に扱われることのないよう、情報提供充実や事実認定適正化が図られるようにしてまいりたいと思っております。
  14. 野沢太三

    野沢太三君 まことに明白な場合はもちろんありますが、非常にデリケートな場合がございまして、やはり保険をせっかく掛けていたのに一文ももらえないというような事態については、これは何としても改善をせにゃならぬのじゃないかと思いますが、審査会の活用とか、それから今回新たに紛争処理機関が設けられるということで、救いがあればこれはもう制度としてさらに大変血の通ったものになる可能性もございます。しっかりひとつ、今後の運用を期待するところでございます。  ところで、この後遺障害認定に使われております等級表でございますけれども、これを調べてみると、今の日本の社会状況と照らして古過ぎるのではないかという批判がございます。もともとの起源が一九三六年の工場法施行令別表ということで始まって、現在労災とこれを共用しておると思いますけれども、そういった借り物でやるというよりも、もう交通事故本来の等級表があってしかるべきではないかと思うんですが、この点、いかがでしょうか。
  15. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  自賠責保険における後遺障害につきまして、自賠法施行令第二条別表によりまして、障害の部位、程度に応じまして一級から十四級に区分されております。この等級表につきましては労働者災害補償保険法に準拠して規定されておりますが、後遺障害等級表見直しということにつきましては、先生指摘のような御意見もあるわけでございまして、今後の検討課題と認識しております。関係省庁もございますので、よく連携して検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
  16. 野沢太三

    野沢太三君 外部障害のように形になってあらわれるものは判定しやすいんですけれども、本当に頭が痛いとかショックを受けているという精神的な問題まで含めて、ひとつぜひこれは内容充実した温かいものにしていただきたいと、かように願うわけでございます。  それから、今回の制度改正で新たに紛争処理機関を設けるということが出ておりますが、この機関公正中立性というものが非常に大事になってくるかと思いますが、これはどのように保障されているのか。その人事あるいは出資、経費、財源等はどういうふうに賄われる予定になっているのか、お伺いしたいと思います。
  17. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  御指摘のとおり、紛争処理機関につきましては公正中立性を確保する必要があると考えております。  人事の面でございますが、中立的な紛争処理委員選任義務を課していること、それから紛争処理委員に対する選任等認可にかからしめていること、それから秘密保持義務をかけていることなどの規定を設けております。また、業務の公正かつ的確な実施の監督ということにつきましては、紛争処理業務規程紛争処理の手続、手法を定めたものでございますが、これを認可にかからしめております。  それから紛争処理機関報告徴収、立入検査の権限もございます。監督命令規定もございます。こういった規定を設けているところでございます。また、紛争処理業務に要します財源でございますが、紛争処理業務を行う団体の設立を提案いたしました損保業界など、民間関係者と調整を図りつつ検討を進めることになるというふうに今思っております。御指摘公正中立性保障という趣旨を踏まえまして、今後、国の支援を含め検討を進めてまいりたいと思っております。  いずれにせよ、紛争処理機関による紛争処理公正中立なものとなるよう、国として今回の法律に基づき適切に監督してまいりたいと、こう思っております。
  18. 野沢太三

    野沢太三君 ここが言うなれば一番大事な判定を最後に下すところということになるわけですから、何としてもここは最初人事面あるいは業務面の公正さとあわせて、ファイナンスの面で損保業界からおんぶにだっこというような形ではやっぱり私は公正中立ということにならないんじゃないかというおそれを持っております。どうかひとつ、今後の検討の中でその面でも独立して中立だということがみんなからわかるような方法を御検討いただきたいと思うわけでございます。  そこでさらに、現在非常に働いていただいております自算会でございますが、百万件を超す件数を二千人そこそこという人数でこなすというのは大変かと思いますけれども、今までの判定例の中で、どうも自算会判定被害者よりも損保業界の方に有利に働いているんじゃないかと、こういった批判が相次いでいるわけでございますが、これについてどのように改善をなさいますか。
  19. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 野沢委員から被害者救済に今後も万全を期すべしという、こういう御意見がございまして、まず、それに対しまして高橋局長の方から、今後とも被害者に対して情報提供をする、あるいは紛争処理機関を設けて、そこでいろいろ審議をしていくと、こういうお答えがございました。  私に対しましては、自算会についてのことでございますが、先ほど高橋局長からの答弁の中で、有無責認定について、これがしっかりなされているかどうか、どうも死亡事故においては加害者の無責の判定認定が多いのではないかというそういう事実関係については詳しい説明がございました。  私ども、自算会判定においても有無責認定に万全を期したい、こういうことですから、そういうことで平成十年に自算会審査会を設置いたしまして、死亡事故傷害事故被害者事故状況説明ができないようなそういう場合で、保険金が支払われないか減額される可能性がある、そういう事案等についてはより慎重な審査が行われているということを御報告、お答え申し上げたいと思います。  それから、損害調査に当たりまして、例えば被害者死亡して加害者側証言のほかに証拠がないような場合には、自算会加害者側証言のみに依拠して被害者に不利な判定をしないということとしているようでございまして、私どもといたしましてもこのような方針を堅持いたしまして、被害者立場に十分配慮した損害調査を実施していくことが重要だと考えているわけであります。  それから、先生も自算会の方は現場事故調査に行っていないではないかという御指摘もあったようにお伺いしておりますが、自算会の場合には、まず被害者からの損害保険金の請求があったものに出動するという、そういうことでございますので、時間が経過して事故現場状況把握には困難が伴うということも御指摘のとおりだと、こういうふうに思います。  こういうわけでありますので、平成十二年三月の法務省による不起訴記録開示制度、これができましたものですから、それを充実しまして、実況見分調書等の資料を積極的に活用して、あるいは報道で大きな事故が伝えられるときには直ちに現場に赴くというようなことによって、できるだけ自算会が抱えている問題点についてはカバーをしてまいりたい、こういうふうに考えております。  今後も、見直しをやりましたけれども、運輸省におきます、重大事故の場合には、死亡重度後遺障害に係る事案等のものについては行政によるチェックも残していくということでございますので、我々としては御批判のないように、また金融庁としても、損害保険会社を指導しつつ、被害者救済に万全を期したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  20. 野沢太三

    野沢太三君 村田大臣とは、自民党の交通安全対策特別委員会において長年御一緒に交通事故防止について努力をしてきた同志でもございますので、ひとつそういった観点からも、今後ともぜひ自算会が一層機能が発揮できまするよう、改善方よろしくお願いを申し上げたいと思います。  一つだけちょっとつけ加えますと、自算会調査データの基礎にいわゆる交通事故警察における調書相当参考にされているということでありますが、警察事故調書というのは、道交法違反とかあるいは刑事事件とかそういった観点からの調査がどうもやっぱり主体ではないかと。やっぱり損害ということで民事という角度から見ると、もっとこれは違った見方があってもしかるべきだと。今のお話のように、独自の調査というものも今後さらに機能充実させることが大事と思いますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。  それで、現在、特別会計ということで運用益が出ておるわけでございますが、この保険料の使い方として、この運用益保険料負担軽減あるいは被害者救済対策などに活用しておられるわけでございます。今度の制度改正後もそのような方向が望ましいと思いますが、今後の運用益の取り扱いに関する考え方をお伺いしたいと思います。
  21. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  御指摘のとおり、政府保険から生じる運用益につきましては、これまでもユーザーによる保険料負担軽減被害者救済対策などに充てられてきております。制度改正時に運用益が残りますが、この運用益につきましてもこの二本の柱にバランスよく用いる必要があるというふうに考えております。  今回、具体的に配分比率を決定するに当たりまして、まず再保険運用益につきましてはユーザーによる保険料負担軽減に充てることを基本といたしまして、運用益を活用した被害者救済対策などの充実に充てる必要があるという観点も踏まえまして、二十分の十一をユーザー負担軽減に、二十分の九を被害者救済対策に充てることとしたものでございます。これによりまして、被害者救済対策につきましても今後安定的に実施していくことができるものと考えております。
  22. 野沢太三

    野沢太三君 十一対九という微妙なこの配分はまことに苦心の結果かと思いますが、一層ひとつその内容についてもしっかりした取り組みをお願いいたしたいと思うわけでございます。  自賠責保険につきましては、この程度にいたしますが、問題は、交通事故による被害が年々増大していくという状況の中で、被害者救済とあわせまして、原因となっている交通事故そのものを減らすということがもっと重要ではないかと思うわけでございます。国土交通省として、総合的に交通を管理するお立場になったこの行政取り組みの中で、運用益というささやかな財源のみならず、道路財源そのものをしっかり活用して事故防止対策に取り組んでいくことが必要かと思いますが、これは大臣、ひとつお考えを聞かせていただければ幸いです。
  23. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 事故防止ということから考えますと、人、車、道、その三つの観点から、私は互いに連携を図りながら、それぞれの分野についてそれぞれの対策に取り組む、これが一番大事なことだろうと思います。  その一つずつがばらばらになってもこれは全く意味がありませんので、国土交通省といたしましても、車両安全対策観点から申しますと、一つ大事なことは、車両安全基準の拡充と強化でございます。また二つ目には、近年、要するにITの活用等大変高度な技術を取り入れたいわゆる先進安全自動車の開発とか普及、それが進んでおりますので、カーナビ等々でとにかく安全を図っていくということ。また三つ目には、自動車の安全性能に関します比較の情報、あらゆるところからの提供によりまして、安全な自動車の開発とか普及を図る自動車のアセスメントの推進というものも私は今日的な大事な課題であろうと思います。また四つ目には、リコール制度の強化、これは少なくとも隠し立てすることなく、多くの皆さんのリコールに対する対応というものを迅速にしなければならないであろうと思っております。また最後には、事業用のトラックとかバス等につきまして、安全通行の少なくとも責任を担う運行管理者の制度、そういうものをだれがどう管理するかという、この必要性というものも私は充実していかなければいけないと思っています。  こういうものに対して全部しておけば間違いないということではなくて、どれをとって充実させていっても事故は防げないというようなそういうこともございますので、何としても安全対策上、この自賠責保険運用益も活用しながら、今後の対策を図っていきたいと思っております。  また、道路交通の環境整備の観点からは、道路財源を活用しまして、今、先生がおっしゃいましたように、都市内の交通のいわゆる渋滞等々を排除するためのあるいはバイパスであるとか環状道路など、新幹線の道路のネットワークの整備もこれもしなければならないし、また幹線道路の事故多発地点におきます緊急的かつ集中的な対策もこれも必要であろうと思っております。そういう意味では、住宅の、あるいは居住地域圏におきましても、少なくとも歩行者と自転車の共存を図るコミュニティーゾーンの形成という、これも大事なことであろうと思っております。また、駅前のその周辺におきます歩行空間のバリアフリー化、これも今回は重要課題として取り組んでおります。  そして、少なくともこれらの自転車の安全かつ快適な利用促進のための自転車道の整備、これも交通安全上大変重要なことだと思っておりますので、国土交通省としまして、関係省庁との連携を図りながら、とにかく今の緊急経済対策の中でも最重点事項としてこの安全の確保のために諸施策を遂行していきたいと思っております。
  24. 野沢太三

    野沢太三君 今、道路財源の使い方についていろいろ議論が出ておりますが、どうかひとつこの安全対策についての一番重点的な配分について御配慮を願いたいものと思うわけでございます。  それから、事故が起こった場合の救急対策でございますが、救急救命士の制度が発足してしばらくたっておりますけれども、この配置状況、それからそれによる効果等についてお伺いいたしたいと思います。  また、ドクターヘリを試験的に試行するということで二年ほどたったと思いますが、この配置、運用についてこれからどうなさるか、またこのドクターヘリの効果等について、おわかりのところを御説明いただきたいと思います。
  25. 伊藤雅治

    政府参考人伊藤雅治君) 救急救命士のまず配置状況でございますが、制度発足以降約十年を経過いたしましたが、現在、七百九十二消防本部におきまして八千十六名の救急救命士が運用されております。この数字は、現在、三千百六十七市町村に四千五百八十二の救急隊がありますので、救急救命士の運用隊数、そのうち運用されておりますのが二千三百四十五隊でございまして、したがいまして、全救急隊の五一・二%におきまして救急救命士が運用されているということでございます。私どもといたしましては、今後とも、引き続き救急救命士の養成、配置に努めていく必要があると考えております。  一方、救急救命士導入の効果でございますが、現在までのところ、交通事故でございますとか心筋梗塞、脳卒中等、そういう患者さんの重症度を全国的に統一的に評価をするという物差しがまだ十分できておりませんので、現在までのところ、効果を数値的にはっきりお示しするということがまだ大変難しいわけでございますが、今後、これら効果を客観的に検証していくという観点から、医療の現場におきます体制を整備しながら、数量的な効果判定ができるような体制を整えまして、今後、関係省庁と連携をとりながら、救急救命士制度がより効果的に実施されるよう努めてまいりたいと考えております。  最後に、ドクターヘリ事業でございますが、平成十一年、十二年、二年間かけまして二カ所におきまして国の試行的事業を実施したところ、非常に救命効果が大きく、患者さんの予後にも顕著な効果が認められたところでございます。  私どもといたしましては、こうした結果を踏まえまして、今年度、平成十三年度から、都道府県を事業主体といたしました一般的な事業といたしまして全国的な導入を促進することとしておりまして、本年度予算におきましては六カ所分の予算を計上しているところでございます。今後とも、関係機関の協力を得ながらドクターヘリ事業の普及に努めてまいりたいと考えております。
  26. 野沢太三

    野沢太三君 救急救命士、大変役に立っているということですが、まだ半分程度の配置であるということ、また卒業する人も出ると思いますから、どんどん養成して数をふやすことと、今の成果、効果の評価というものも客観的にできるようにお願いしたいと思います。  なお、ドクターヘリ、これからということですが、非常に効果が上がっているということであればもっと積極的に、もうここ一、二年で全部やるぐらいの取り組みにしてもいいんじゃないかと思います。西ドイツ等の例を見ても、死者半減という中でヘリコプターの活用というのが大変効果的であったと、こう言われておりますので、一層のひとつ工夫と努力をお願いしたいと思います。  なお、御質問まだ用意してございましたが、時間が参りましたので別な機会にいたしまして、私の質問はこれで終わりたいと思います。
  27. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 自由民主党の中島啓雄でございます。  野沢委員に次ぎまして、私は主に保険財政の問題などについてお尋ねをさせていただきたいと思います。  自動車事故の死傷者の数を見ますと、平成十二年で死者が九千六十六名、それから死傷者の数だと百十六万と、こういうことでございますが、一方、鉄道と比べますと、鉄道は死者が三百九名、それもいわゆる踏切事故とか、いわゆる人身事故と称する自殺とか、そういうのが入っておりますので、本当の鉄道事故というのは八人ぐらいしかいない。そうすると、大体死者の数で自動車は千倍、それから死傷者の数も鉄道は七百四十九ということでございますから、これも千五百倍ぐらいということですね。自動車の死傷者というのは非常に大きな社会問題だと思うんですが、どうもマスコミの取り上げ方などを見ますと、日比谷線事故死者が出たというと大変な問題でございますし、新大久保で三人亡くなったというのも、これも大変な反響でございました。  そういう意味では、自動車事故というのは毎日数人ずつ起こっているということで、どうも皆さんの関心も薄いし、取り組みがおくれているのではないかという気が大変いたしますので、扇大臣、ぜひその辺、今後の取り組みについて大いに力を入れていただきたい、こう思っておるのでございます。  今回の自賠責の関係では、自賠責のあり方に関する懇談会の報告書で、被害者保護充実とか、政府保障事業の維持、それから運用益による安全対策被害者救済ユーザーメリット、コスト合理性、こういった五条件の実現の方向を確認した上で政府による再保険制度改正するんだと、こういうことで答申が出ておったかと思いますが、そういったこととの関連で、今回、改正のメリットはどのように考えておられるのか、特に被害者保護充実という面でどのように改善をされるのか、お聞かせいただければと思います。
  28. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、野沢先生にも申し上げたところでございますけれども、改めて中島先生に、今回の制度改正、御存じのとおり小泉内閣では、民でできることは民でというこの基本方針がございます。  そういう意味で、私どもも、少なくともリスクヘッジ機能が乏しくなった政府保険制度というものは廃止する、そのことを私たちは決断したわけでございますし、また、これまでの政府の再保険制度を通じた保険金支払い適正化とか、あるいは運用益を活用した被害者保護の事業など、被害者保護に関しましては、御存じのとおり、重要な事案についての国のチェックに加えまして、紛争処理仕組みの整備とか、あるいは保険会社からは被害者に対します情報提供充実などのあらゆる措置を講じたということでもございますので、保険金支払い適正化を確保しながら、なおかつ被害者救済対策事業も運用益の二十分の九を充てること、それによって安全的な実施を可能とするような措置がとられたということによりまして今後も充実を図ってまいりたい、そう存じております。
  29. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 次に、自賠責の保険財政の見通しについて金融庁にお伺いしたいと思いますが、平成十三年の契約年度ベースの見通しですと、収入純保険料が七千三百九億円だと、一方、支払い保険金は九千五百六十六億円だというようなことで、二千二百五十七億円の赤字になっておるわけですね。損害率で一三〇・九%だと。これをどうして穴埋めしているかといいますと、結局今までの積立金の運用益等で賄っている、こういうことなんでしょうが、平成十一年の発生運用益というのは全部合わせても七百十七億程度しかございませんから、運用益では現在の低金利状態では賄えていない。結局積立金を少しずつ食っている、こういう状態だと思うんです。  昭和六十年時点では、例えば自家用乗用車の保険料というのは二年間で四万一千八百五十円であったのが、平成九年には二万七千六百円になったというような、値下げの効果ということで利用者に還元をしたということの影響ももちろんあるんでしょうが、今後の問題として、やはり積立金をどんどん食ってしまうというような状態が続いた場合には、将来保険料がどうなるのか。やはり一三〇・九%というような損害率であるのはやや問題ではないか。将来値上げする必要性が出てくるのではないかというような気もいたしますが、何か再保険制度が廃止になったら値上げと、こういうのではちょっと国民になかなか理解が得られないと思いますので、その辺の見通しはどうなのか。  長期の保険料としてはやっぱり長期平準保険料というようなことで、多少積み立てを取り崩すとしても、三十年間ぐらいは安定した財政とかそういうことを考えていくべきではないかというような気もいたしますが、お考えを聞かせていただきたいと思います。
  30. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 政府保険制度を廃止することによって、累積した運用益というものをどうするかというのが大いに議論になりまして、それを保険料の引き下げに使って還元していったらどうか、そういう議論が結構ございました。  先生の御指摘のように、単年度の収支は赤字になっているわけでございますけれども、保険料率の計算に当たりましては、累積収支黒字とそれから累積運用益を中期的に還元していく、こういう構成になっておりまして、したがいまして、これを保険財政の観点からできるだけ保険料が乱高下しない、安定的に推移するということが保険を掛ける方にとっても望ましい形でありますし、特に自賠責という強制保険にとっては必要なことでありますので、そういう意味で、六月の自賠責の答申においても、先生、長期的には上げるんじゃないか、こうおっしゃっていましたが、制度改正に伴って累積運用益を使って保険料を下げるということはしないで、むしろ将来の大幅な引き上げがないように使っていこう、こういうふうに検討されたわけでございます。  十四年度以降はどうするかというのは、十四年度以降のユーザー還元措置については、今言ったような観点から、将来の引き上げに即つながらないように、我々、運用益の使い方について審議会で検討してまいりたい、こういうふうに考えて、安定的にやりたい、こういうことでございます。
  31. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ぜひ、この辺は自動車ユーザーの懐の痛む話でございますので、安定的な財政運営ということを心がけていただきたいと思います。  次に、保障事業についてお伺いをいたしたいと思いますが、政府保険ということで、一つは賦課金というものを取って保障事業をやるんだということで、これは一つの大きな公的事業、ひき逃げ対策とか無保険対策とかいうことで大きな公的事業であると思うので、これはもちろん引き続き行っていくということでございましょうけれども、現実の賦課金の収入を見ますと、いわゆる保険勘定からの受け入れをも含めて十三年度の予算では三十一億の収入だと。これに対して保障金の支出の方は五十四億だというようなことで、これまた赤字になっている。ですから、平成十四年度から二十年度までは賦課金プラス交付金で運営するということでありますし、二十一年度以降は賦課金のみで運用するというふうに伺っておりますけれども、この辺も財政問題からいうと今の賦課金のままではちょっと立ち行かなくなるのではないかという心配もございますが、事業運営そのものと財政問題、どういうふうにお考えになっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  32. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  保障事業につきましては、ひき逃げ、無保険者による事故被害者救済するものでございまして、今後とも現在の仕組みで継続してまいります。  保障事業の財源といたしましては、保険料の一部として賦課金をユーザーに御負担いただいておりまして、政府保険の廃止後もこの財源スキームは変わることはございません。一方、賦課金率でございますが、現在は過去の保障勘定の累積運用益がございまして、これをユーザー還元するために赤字の賦課金率を設定しております。保障金の支払いに支障が生じるということはないと考えております。  累積運用益の還元状況なども踏まえまして、今後も適切な賦課金率を設定していきたいと思っておりまして、保障事業による被害者救済というのを安定的に実施してまいりたいというふうに考えております。
  33. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 この辺、長期の見通しですからなかなか、今の金利が上がってくれば安心かもしれないというお考えもあるかもしれませんが、やはり万が一ということにも備えて慎重な財政運営をお願いしたいと思います。  同じようなことでございますが、交通事故対策センターというのを国土交通省管下の出資法人でやっておられて、被害者救済事業としての療護センターとかあるいは自動車事故防止のための運転者に対する指導講習会とか、いろいろな事業をやっておられるわけです。これについては自賠責特会からの政策支出ということで運用益を回しておる、こういうことでございますが、これもだんだん積立金が減っていくと運用益がなくなっちゃうんじゃないかというような心配もございますが、事故センター自体の運営の問題と今後の財政問題、どういうふうにお考えなのか。
  34. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  自動車事故対策センターにおきましては、被害者保護のための重度後遺障害者に対する介護料の支給でありますとか療護センターの設置、運営でありますとか、そういった対策を実施しておりますし、また、事故防止のために自動車アセスメントなどの対策も実施しております。  制度改正後の財源でございますが、政府保険の累積運用益の二十分の九を確保することにいたしておりまして、これから派生する運用益を活用いたしまして事業を実施していくことになりますが、いずれにしましても、事業の重点化により効果の高い事業の実施ということに努めてまいりたいというふうに考えております。
  35. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 事故対策センターに絡んででございますが、行政改革という趣旨から、特殊法人あるいは出資法人について今後どう考えていくかというふうな、いろいろ今後検討の課題になるだろうと思いますが、そもそも事故対策という面では当然国土交通省警察庁、あるいは取りまとめは内閣府がやっておられるというような関係がございまして、国土交通省管下では自動車事故対策センターがあるし、あるいは独立行政法人として交通安全環境研究所というようなものがございますし、警察庁管下では交通事故総合分析センター、こういうふうなことで、もう少し総合的な取り組みという意味ではこの辺の組織というのを統合するとか、あるいはもっと機動的に運用するとかいうことも考えられてよいのではないかという気もいたしますが、その辺のお考えがあれば聞かせていただきたいと思います。
  36. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  自動車事故対策につきましては、先ほど大臣からお話がございましたように、人、道、車、それぞれの観点から専門分野につきまして対策を実施していくということになっておりまして、それらを総合しまして事故の分析あるいは対策というのを講じてまいっているというところでございます。  もちろん、対策を進めるに当たりましては、政府全体としての取りまとめとしての内閣府の調整活動もございますし、それに従いながら、例えば私どもでいえば事故車両に関する分析でありますとかそれに対する対策とか、あるいは被害者対策といったことについて努めてまいりたい、こう思っております。今後ともよく連携をとりながら進めてまいりたいと思っております。
  37. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 次に、財務省にお伺いいたしますが、平成六年と七年に自賠責特会から一般会計に合計で一兆一千二百億円を繰り入れている。いわば国債のかわりに自賠責特会から一般会計が借金をした。隠れ借金とかマスコミには言われておりますけれども、それは十三年度末までに六千三百五十二億円お返しいただく予定になっているので、残高は残り四千八百四十八億円だというふうに聞いておりますが、この辺の償還計画、特会ががらっと変わるという意味では早く返していただきたいという気もいたしますが、お考えをお聞かせいただければと思います。
  38. 藤井秀人

    政府参考人藤井秀人君) お答えいたします。  今、先生がおっしゃいましたように、六年度及び七年度におきまして、自賠責特会から一般会計への繰り入れが行われたわけでございます。その繰り戻しにつきましても、これも先生御案内のとおり、八年度補正予算、それから九年度補正予算、十二年度当初予算におきまして、それぞれ一部繰り戻しが行われております。そして、十三年度予算におきましても、一般会計、厳しい財政事情ではございますけれども、他方では自賠責特会の収支状況等を勘案いたしまして、十二年度に引き続き二千億円の繰り戻しが計上されたということでございます。  御指摘の十四年度以降の繰り戻しにつきましても、法律規定に基づきまして、一般会計の厳しい財政事情、そして自賠責特会の収支状況等を勘案いたしまして適切に対処してまいりたいというように考えております。具体的に、今、原則といたしまして十三年度から十六年度までの間に分割して繰り戻す。そして、毎年度の具体的な繰り戻し額につきましては、一般会計の財政事情とかあるいは特会の収支状況等に照らしまして、国土交通省及び私どもとの間で協議をし決定をするということで対応したいというように考えております。
  39. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ぜひよろしくお願いをいたします。  それでは、損害保険保険料率の決め方といいますか、特に付加保険料部分について少しお伺いをいたしたいと思うんですが、現在、料率算定会で自賠責の保険料、それから任意保険も標準的な保険料率を算定しておられる、こう聞いておりますが、どうも任意保険と自賠責と比べますと、いわゆる付加保険料部分といいますか、事業費率がほぼ同じような比率、多少任意保険の方が事業費率の比率が高いかなというような感じで、自賠責については三〇%がいわゆる付加保険料部分だと、こう聞いておりますけれども、今回の改正によりまして、いわばチェックシステムというのが再保険廃止に伴ってかなり簡素化されるとか、あるいは自算会のあり方そのものも、千九百七十七名、二千名近くおられるというんですが、このコンピューター時代に、かつサンプリングで調査をするというようなことであればこんなに要るのかなというふうな気もいたしますし、今後そういった付加保険料部分の合理化の余地というのは考えられる余地があるのではないかと思いますが、その辺の方針についてお伺いできればと思います。
  40. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答えいたします。  自賠責保険におきます保険会社事務経費等に充てることとされております付加保険料でございますが、この付加保険料につきましては、ノーロス・ノープロフィットの原則のもとで、保険会社等が実際に要しました費用に見合う額を保険料として徴収するという方式をとっているわけでございます。  今回の政府保険の廃止を契機といたしまして、保険会社等が各種事務の簡素化、合理化を進めまして、その成果を付加保険料の改定に反映させていくということが極めて重要であるというふうに私どもも考えております。  御指摘損保業界でございますが、平成十年に保険料率が自由化されまして、保険会社間の競争が現在大変進展しております。そうした中で各損害保険会社とも事業費の圧縮に努めているところでございまして、平成十二年度決算におきましては、主要な損保会社の事業費率は各社とも前年度に比べて低下しているところでございます。また、自算会におきましても、過去五年間に職員数を約六%削減いたしますなど、事務の効率化に努めているところでございます。こうした動きによりまして、今後さらに損保会社事務経費の削減、効率化が進展していくことを期待しているところでございます。
  41. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  次に、レンタカーの任意保険料の問題について若干お尋ねをしたいと思いますが、自賠責の保険料についてはレンタカーも自家用乗用車並みということで同じ料率なんですが、任意保険料になりますと、過去においては自算会の算定料率の二倍ということを協定か何かをしておったと。その後少しずつ下がりまして、今は一・六倍ぐらいから出発をしているというふうに聞いておりますが、レンタカーも運転するのは当然素人でありますから若干事故が多いという面はあるのかもしれませんが、自家用車ということでもちろん営業用車ほどの走行距離はないわけでありますので、初めから一・六倍という料率から出発するのはどうもやや疑問があるのではないかと。通常の自家用車の料率で、事故率が多少高ければ当然割引率等が低くなるということで対処していいのではないかというような気もいたしますが、その辺のお考えを聞かせていただければと思います。
  42. 田口義明

    政府参考人田口義明君) レンタカー事業者に係る任意保険料の問題でございますが、通常の企業向けの自動車保険料におおむね一定の比率を乗じてこのレンタカー事業者に係る任意保険料が設定されているというのは御指摘のとおりでございます。  ただ、この保険料率につきましては、レンタカー事業者のリスクの実態を踏まえまして、各保険会社が基本保険料として設定しているものでございます。また、個々のレンタカー事業者において実際に適用されます保険料率は、各事業者の保険成績に応じまして基本保険料に割引等が加味される仕組みとなっているわけでございます。  こういう形で設定されているわけでございますが、なお、このレンタカー事業者に係ります任意保険料というのは、今の仕組みとしては届け出制ということでございまして、保険会社間の競争を通じまして適切な水準に設定されることが期待されるところでございます。
  43. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。終わります。
  44. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今回の自賠責保険法の改正というのは、周知のとおり昭和三十年のこの自賠責保険制度が創設して以来の大きな改正でございます。この改正に当たり、自賠責保険制度のあり方、あるいは引き続き検討すべき項目ということもさまざま浮き彫りになったのではないかと思っております。  この自賠責保険制度が創設されました際の国会審議を議事録によって再確認してみました。それによりますと、昭和三十年二月末の自動車保有台数というのは百三十四万台であった。また、自動車事故による死傷者が、これは昭和二十九年ですが、七万二千五百人であったと。そういう背景の中で、不可避的に発生する自動車事故による被害者保護に万全を期すため、損害賠償を保障する制度を確立するという趣旨が述べられております。  また同時に、本保険が自動車側に付保を強制したり保険会社に引受義務を課したりして、社会保障的色彩が濃厚であることにかんがみ、その保険運営について国の介入が適切であるとし、また保険会社は引受義務を課せられたり保険料率の算定に営利目的の介入が許されないので、その保険運営についてはその危険の一部を国が負担する国営再保険の形態が望ましいと考えたとも述べられております。  今日、自動車の保有台数が七千万台を超えております。先ほども御指摘がありましたが、自動車事故による死傷者も大変大勢に上っておりまして、九八年には百万人という状況でございます。大変、背景といいこの数字といい、隔世の感というか隔絶の感があるわけでありますが、今回の政府保険制度の廃止というのは行政改革の流れにも合致したものでありますし、私は適切な措置であるというように思っているわけであります。  しかしながら、改正案に問題がないわけではないと思っています。例えば、ノーロス・ノープロフィット原則で運営されてきたはずの本制度の中で生じた保険金収入の二年分にも相当するような累積黒字あるいは累積運用益があり、そのすべてを本来だったら保険契約者に還元する、保険料率を引き下げるために使うというのが筋だと思いますし、それが長年の慣行だったと思うわけでありますけれども、先ほど来御説明がありましたが、その二十分の九相当額を事故対策勘定の方へ振り向けるというような内容になっていることの問題、あるいは、将来この事故対策勘定から支出されるであろう被害者救済対策費あるいは自動車事故防止対策費、すべてがおかしいとは思いませんが、中には少しもう時代がたってさびが見える対象もあるのではないかというように私は思わないではありません。したがって、見直しも必要であるというようなことを感じているわけであります。  自賠責制度自体の課題あるいは運用上の問題については以降一つずつ確認させていただきたいと思いますが、まず金融庁村田大臣に伺います。  自賠責保険制度の基本的な構造についての確認ですけれども、自賠責保険法の第二十五条にはいわゆるノーロス・ノープロフィットの原則がうたわれているわけであります。私は法改正後も当然堅持されると思いますが、この点についての確認が第一点。  それから二つ目は、この規定について平成七年に全労済と全自共が責任共済事業に参入した際に、自動車責任保険料率と事実上同じ水準の保険料率が適用されるというようなことから文言の一部が改正されました。そして、農協共済については、それまでの経緯もこれありということで、一定期間は純保険料共同プールを義務づけない、あるいは収支差額の全額積み立てを行い、それについては収支の不足の補てんに充てる場合等を除いて取り崩してはならないというような四項目の適用除外措置を講じております。  今回の法改正に当たって、こうした農協共済に対する適用除外については検討されたのかどうなのか、その結果がどうされるのか。なお、この適用除外というのは改正法施行後十年間の時限措置であるというようになっております。この二点について、まず伺っておきます。
  45. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) お答えをいたしますが、まず第一点、今回の改正の後も、ノーロス・ノープロフィット原則は自賠責制度の根幹をなすものでありますから、今後も堅持していくということをお答え申し上げたいと思います。  第二点でございますが、農協共済についてでございますが、私も全労済に関する動きのときに関与しておりまして、委員おっしゃるように農協共済についてもどうするかということが大きな問題になりました。しかしながら、現在でいえば、農協共済はノーロス・ノープロフィット原則が適用されておりませんが、平成十八年から適用するということが法定されているわけでございまして、自賠責制度については総体としてノーロス・ノープロフィット原則が堅持されていくことになる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  46. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 それから運用益に関してですが、運用益とか累積黒字というのは保険料率の引き下げに使う、契約者に還元するというのが原則で運営されているわけですけれども、これまでの例でいいますと、数年ごとに見直すというやり方になっております。その結果が現在約二兆円、つまり保険料の二年分に相当する金額が滞留しているわけでございます。やっぱり検討するスパンが長過ぎるのではないかと。数年といっても大体五、六年ぐらいが例でございますから、私は今後は三年に一回ぐらいは見直すというぐらいのことをやらないと適切にノーロス・ノープロフィット原則が適用されないのではないかと思いますので、この点についてもお考えを伺います。
  47. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 今回の改正ですが、いろいろ累積の運用益についてどう扱うか、要するに保険者に還元すべきではないか、こういう意見も大変強かったわけでございますが、昨年六月の自賠責審議会の答申にも書いてありますように、先ほど中島先生にもお答えしましたけれども、長期的に安定させたい、こういうことでございます。十四年以降の還元についてはこれから審議会でいろいろ議論すると。  当面どうするかということでございますが、一挙に下げますと将来また、単年度は赤字になっていますから、今度は急に上がるということ、引き上げなきゃいけないということも考えられますので、自賠責保険というのは強制保険でありますから、長期的に安定していった方がいいという観点から、一部を還元に使う、一部を答申にも書いてありますように被害者対策として使う、こういうふうな措置をしたのではないか、こういうふうに考えております。
  48. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今ちょっと質問の趣旨を取り違えられたのかなと思いますが、今までは運用益等を還元する際には数年ごとの見直しをやっていましたが、それじゃ長過ぎるのではないでしょうか、大体三年ぐらいでやったらどうですかということです。
  49. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 取り違えないでお答え申し上げたつもりなのでございますが、そういうことも含めまして、今後どうしていくかというのは自賠審でもって今後議論していくことになろうかと、こういうふうに思っております。
  50. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私は三年ごとに見直したから直ちに料率を上下させていいとは思いません。やはりあるスパンの中でやることが大事だと思いますけれども、損害率なんというのはしょっちゅう変わるわけです。ですから、そういったものも踏まえて、今資金の滞留がどれぐらいあるのかというのはきちんと押さえなければいけないのではないでしょうか。したがって、ローリングプランというんでしょうか、そういったような考え方も取り入れる必要があるということを申し上げておりますので、何年ごとにおよそ見直しをするのが適当かというのはぜひお考えいただきたいと思います。  それから、冒頭で本制度導入の際の趣旨説明を御紹介させてもらいました。金融庁に伺います。  この中には、先ほども申しましたけれども、損害保険会社には引受義務と営利目的の介入を許さないという前提の保険料率を要求しているので国が再保険をすることにしましたということになっているわけです。そうしますと、今回は再保険を廃止するというわけですから、ひょっとすると損保のリスクがそれだけ高くなるかもしれません。リスクを回避しようとすれば、普通はあらかじめその分を料金に上乗せするとかいうのが普通の回避の仕方だと私は思います。したがって、今回、政府保険の廃止に伴って保険料率が上がるという懸念はないのかどうか、それが一つ。  それから、先ほど野沢先生の質問にも答えられておりましたが、損害保険契約者保護機構による保障についてでございます。念のために伺いますけれども、自賠責保険がすべて損保会社の扱いになっても、保険金というのは一〇〇%この先もずっと保障されるのか。つまり、ペイオフの問題はどうなっているんですかということが一つ。それからもう一つは、農協共済の場合の保障割合はどうなりますかということについて、伺います。
  51. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 冒頭の質問でございますが、要するに、政府保険がなくなって、とにかくそのリスクをどうやって損保会社ではカバーしていくのか、そのために保険料が上がる可能性があるのではないかと、こういう御質問だったと思いますが、これは、自賠責保険共同プール制度というのはこの再保険制度を廃止しても続くわけでございまして、そういう意味ではリスクヘッジが、政府保険によってリスクヘッジをとるという方法がなくなるわけではありませんので、そういう意味では個々の損保会社において、あるいは全体としてそのコストが上がるということは想定されない、こういうことをお答え申し上げたいというふうに思います。
  52. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 御指摘政府保険の廃止に伴って自賠責の保険料が上がるのではないかという点について、共同プールとの関係はただいま副大臣がお答えしたとおりでございます。  それから、ペイオフとの関係でございますが、損保分野におきましては、セーフティーネットといたしまして損害保険契約者保護機構という組織ができてございます。通常の保険ですと責任準備金の九〇%までを保障するという仕組みになっているわけでございますが、自賠責保険につきましては強制保険でございますので、責任準備金の全額が保護されるという仕組みでございます。
  53. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 農協共済はどうですか。同じ扱いですか。わからない。同じ保険でも省庁が違うと答えられないようでございますから、これは飛ばします。  それでは、村田大臣にまたもう一つお伺いしますが、自賠責の保険収入を運用することによって生ずるいわゆる運用益ですけれども、政府積立分については無税扱いになっています。それから、損保会社扱いについては有税とされております。ただし、これは一たん徴税されるけれども、運用益を支出するときには戻されるという取り扱いになっているわけであります。  こういう状況でございますので、今回は法改正で全額損保で運用するということになるわけでもありますので、後で戻すということがあるのであれば、最初から非課税扱いにしたらどうですかと。これは金融庁が決めることじゃないですから、そういうことを財務省に申し入れるつもりはありますかと、こういう聞き方にします。
  54. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 委員の御指摘のとおりでございまして、私どもも昨年の税制改正の要望に、委員の御指摘のような趣旨を踏まえて、非課税の扱いをしていただけるように金融庁としても要望したところでございまして、今年度にかかわります税制改正におきましては制度が固まってから措置をしようという結果になりまして、私どもは再び十四年度の税制改正に向けて同様の税制改正要望を出したい、こういうふうに考えているところでございます。
  55. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 続けて金融庁に伺いますが、損保会社でも当然自賠責の保険勘定から運用益が生まれるわけであります。この運用益の中から、自動車事故防止対策、あるいは被害者救済等のために毎年二十億円程度支出されております。  今回の法改正によりますと、事故対策勘定というのが設けられまして、専らそこが全体の面倒を見ましょうというスキームになっておりますので、今後損保会社で生じる運用益というのはすべて掛金に還元するというのが整理の仕方ではないかと思いますが、いかがでしょうか。副大臣、どうですか。
  56. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答えいたします。  自賠責保険事業から生じました保険会社運用益についてでございますが、自賠法規定によりましてその全額を準備金として積み立てるとともに、この積み立てた準備金を取り崩すことができますのは、事業収支の不足の補てんに充てる場合のほか、自動車事故の防止でありますとか被害者対策など、主務省令で定める場合に限定されているところでございます。  民間のこの運用益活用事業につきましては、昨年六月の自賠審答申におきましても、「事業の重要性等を常に厳しく見直し、必要な事業について充実を図るとともに、その他の事業について廃止・縮減を行っていく必要がある。」というふうに答申をされているところでございまして、この答申に沿いました形で事業の効率化が進められることが必要であるというふうに考えております。  それから、この民間の運用益の各年度の具体的な支出内容でございますが、これは従来、日本損害保険協会がその諮問機関でございます運用益使途選定委員会審議を経て決定しているところでございますが、その使途をより一層明確化するということと、決定プロセスの透明性を高めるというこの二つの観点から、今年度分からこの運用益使途選定委員会での議論に加えまして、自賠責保険に関する審議会での議論をも経まして決定するというふうにしているところでございます。  各年度の運用益の使途につきましては、こういう手続により決定されることになりますが、この制度が適切に運用されますように、金融庁といたしましても取り組んでまいりたいと考えております。
  57. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今ちょっと聞き漏らしましたが、答申というのは、何月、どこが出した答申ですか。
  58. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 昨年六月の自賠審の答申でございます。
  59. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今回のスキームは自賠審の答申とは全く違う内容になっているということを頭に入れておいてください。後でこの問題は指摘します。今回のはあり方懇談会の答申をベースに法律ができ上がっているんです。自賠審は無視されております。後で指摘します。  それでは、国土交通省にお伺いいたしますけれども、保険金支払いの実態について、状況がどうなのか伺いたいと思います。  現行の自賠責保険制度では、死亡保険金の限度額が三千万円ということになっているのは承知しておりますが、実際には逸失利益の算定とか過失の割合とかいうことで相当割り引かれてしまうわけで、実際に保険金を手にするというのは相当少なくなっているわけでありますけれども、現在は例えば認定額に対して何割ぐらい保険が払われているんでしょうか。ちょっと実態を教えていただけますか。
  60. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  自賠責保険のカバー率のお尋ねかと思います。交通事故による損害について、自賠責によって支払われたもののうち、その支払い金額が現行の支払い限度額の範囲内にとどまっている件数でございますが、傷害の場合は八五%、死亡の場合は六二%という実態でございます。
  61. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 そのカバー率は、例えば十年前、二十年前に比べて数字はどうなっているんでしょうか。わかりますか、あらかじめ数字のことについては通告しておりませんので、また後で教えてください。  実は、こういうことを申し上げたのは、特に御高齢の方から、社会通念に比べて保障が少ない、保障というか保険金が少ないんじゃないかという声が時々聞かれます。例えば死亡を例にして考えますと、死亡認定額というのは葬儀代の六十万円、それから逸失利益のプラスがあって、死亡本人の慰謝料が三百五十万、それから遺族の慰謝料というのがまた人数等に応じて入るということになっているわけでありますが、この合計金額がもう少し高くてもいいんじゃないかという声が、高くてもと言うとおかしいんですが、水準を上げてもよろしいんじゃないかという声を聞きます。  先日、自算会に年齢別の死亡認定額というのはどうなっているのかというのをちなみに聞いてみましたら、ゼロ歳から四歳までが二千四百五十四万六千円、三十歳から三十四歳の平均が二千六百二十一万七千円、それが七十歳になりますと二千百七十五万円、八十歳から八十四歳になりますと千七百三十八万三千円というようになっているわけであります。これが保険料として丸々支払われるわけではなくて、何やかんやと引かれる部分が入ってきますから、個人にとっては随分と差が出てくるんだろうと思います。  先ほどのカバー率のことを考えてみましても、果たして実態で三千万というのが妥当なのかどうかということを検討する必要があるのかなと思いますが、これはどちらでしょうか。
  62. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  自賠責保険の限度額の問題のお尋ねでございますが、限度額につきましては、自賠責保険の基本補償としての性格を踏まえまして、賃金水準や医療費の動向などを勘案いたしまして自賠責審議会で御議論いただいて、それを受けて政令で決めていると、こういう手続になっております。  現在の保険金の水準につきましては、平成十二年六月の自賠審におきまして御検討をされた結果、適当というふうにされているところでございます。ただし、この中で重度後遺障害者の介護に要する費用につきましてその保険金化についての御指摘を受けておりまして、これについては別途検討してまいるというような状況でございます。
  63. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 保険金の支払われている実態というのはよく御存じだと思いますけれども、特に高齢の方から水準が低過ぎやしないかという声もありますので、引き続き御検討いただきたいと思います。  それから、今回の法改正保険料率の見直しを必然的にもたらすものかどうかということについて、言葉で言ってもなかなか難しいので、若干資料を用意してみました。お手元に数枚物の資料がありますので、これは保険料率の変更を余儀なくするものであるということを証明したいためにつくった資料ですから、およその数字で見ていただきたいと思います。  自賠責保険料というのを幾らに、どの水準にするかという場合の考え方については、例えば平成十二年六月の自賠責保険審議会の答申にはこのように書かれております。「保険料の水準は、数年毎に、将来の保険金支払いの見通しをベースに、その時点での累積運用益を中期的に保険料に還元し、保険料改定後に発生する運用益は将来の収支の改善のために留保するという形で設定してきた。」と。現行の保険料率は、平成九年に、その時点での保険金支払いの見通しをベースに、当時の累積収支黒字、累積運用益を中期的に保険料に還元するということを前提にしてつくられております。この考え方というのが料率決定の際の定番的なメニューと言ってもいいのではないかと思います。  この平成九年五月の料率改定については、平成九年二月の自賠責答申をもとにしてつくられておりますが、そのときの前提というのは、昭和六十年度から平成八年度までの間の累積黒字三千百四十七億円を五年間で契約者に還元する、それから平成八年度末の累積運用益一兆七千百八十一億円を八年間で還元する、それから平成八年度末までの社費の累積黒字五百九十億を五年間で還元する、つまり二兆九百二十億円を平成九年から平成十六年までの八年間で還元するということを前提につくられているわけであります。それを前提にした中で、自動車保険料率算定会、自算会が算出し、審議会に諮って決められたといういきさつであります。  三枚目になりますけれども、資料の一というのは、平成九年の料率改定の際に、平成九年から平成十六年までの累積運用益、累積黒字を還元する案で、平成十六年に滞留資金がマイナスに転じるように設計されている。つまり、これ以降は保険料率の引き上げがありますよという前提で設計されました、平成十六年には保険料率の改善がなければ保険料率はもちませんというのがこの表でございます。数字の多少出入りはあるかと思いますけれども、前提を置いた数字がこういうことでございます。  それから、次のページの二は、平成九年の料率をそのままに据え置いて、今回の案のように保険料に本来還元するべき原資から二十分の九を事故対策勘定に入れると仮定した場合にいつまでもちましょうかということを計算した内容でございます。これによりますと、平成十四年には保険料の引き上げをやらないと十六年まではとてももちませんということを示した内容でございます。  私の試算では、平成十四年から保険料率を一二%ぐらい引き上げないと、平成十七年の累積はマイナス一兆九千四百六十五億円ぐらいになります。したがって、平成九年に検証した、左側の一番下に滞留資金残高と書いてありますが、二兆九百二十億円はゼロになりますということになっているんですが、考え方としてこういう仕組みだったということで金融庁はよろしいでしょうか。
  64. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 直近の保険料率の改定は平成九年度でございますが、このときの考え方というものは平成八年度末の累積運用益平成十六年度までの八年間で還元するということですので、御指摘のとおりでございます。  今回、政府保険廃止に伴って実際の保険料率をどうするかという点でございますが、これはこの法案が成立しました段階においてまた具体的に平成十四年度以降の保険料率を検討するということで、自賠審等へお諮りした上で検討するということでございます。
  65. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今後の問題については、後でまたお尋ねいたします。  今のスキームをそのまま当てはめると足りなくなりますねとか、何年までもちますねということを示しましたという内容でございます。  せっかくですから、②の三番目ですが、これは平成九年以降、平成十三年までの収支見通しをベースにしてつくり直したものでございます。最初平成九年の段階でつくっておりますので、その後、例えば損害率が変わりましたというようなことから支払い金額は少なくても済みますということでつくっておりますので、わかるところまで織り込んでみましたということであります。  例えば、今損害率のことを言いましたけれども、平成九年には一二五%、平成十年には一三〇%、十一年には一三一%というように後で修正されておりまして、当初は一三九%という高いところで見られておりましたので、実態の数字を当てはめますと大分変わってまいりますという内容を示したものでございます。したがって、平成十四年の滞留資金残高も一兆九千四百四十億円ということで、当初の予想よりは相当ふえておりますという内容で、現行料率でもこの改善によって平成二十一年までは少なくとも持続可能ですねと。計算事ですから、こうなるとかいうことじゃなくて、理屈で考えて、理屈で見ていただきたいと思います。  よく見てほしいのは次の②の四でございます。料率引き下げに使ってもいいと思われる原資のうちから二十分の九を事故対策勘定に繰り入れたのが②の四ということであり、還元の原資が一兆九千四百四十億円から一兆二千二十億円に小さくなります。それが四の真ん中ごろに書いてある、四角で囲ってある数字です。それの算式は下に書いてあります。  この差が事故対策勘定に回りますということなので、本来だったら、これを入れなければ平成二十一年まではもつはずだったのが、これをとっちゃったために平成十九年までしかもちませんねと。つまり、三年分は事故対策勘定に入っていますねということを示した内容でございます。それも、計算事によりますと、平成十九年までもたせるにも若干の、一、二%の十四年からの引き上げがないとつじつまは合いませんということを示した内容でございます。  いろいろ申し上げてまいりましたけれども、法改正によって必然的に料率が変わる、したがって料率についての自賠審における再設計、再審査が必要なのではないでしょうか、そういう認識を金融庁はお持ちでしたかということでございます。少し長々数字のお話をいたしましたが、要は料率に影響を与えますね、そういう認識がありますかという質問でございます。
  66. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答えいたします。  運用益の還元に応じまして平成十四年度以降の保険料率がどのようになるかという点でございますが、ユーザー還元を運用益の二十分の十一というふうに設定いたしまして、それに伴う計算からは現行の保険料率の変更につながり得るという認識は私どもも持ってございます。ただ、具体的にどういう形になるかという点につきましては、法改正を踏まえまして、自賠審等にもお諮りいたしまして検討するということでございます。
  67. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 具体的な検討については法改正が成った後ということでございますけれども、この点については後で申しますが、私は法改正とあわせて料率も提案するべき事項であるという認識に立っております。  それはさておいて、金融庁にお尋ねしますが、どの程度の料率改定になるかというのは今後のものでやむを得ませんけれども、明らかに今回の法律改正によって料率改正が必要になるという認識があるのであれば、そういう認識に基づいた手続がきちんととられなければいけないのではないでしょうか。  例えば、聞くところによりますと、改正案が閣議決定されたのがことしの三月二日と聞いております。そして、自賠責審議会と金融審議会の自賠責保険制度部会の合同会議が開かれた。つまり、自賠責審議会に相当するものが開かれたのが三月十六日と伺っておりますが、そういうふうに理解していいのか。もしそれに間違いないとすれば、自賠審は料率改正があるということをわかりながら、それに目をつぶって閣議決定を最初にやったことを認めたということですかという、そんな意味です。
  68. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 私どもの法律改正に至る手順といいますか、それは基本は昨年六月の自賠責審議会の答申でございまして、その答申において保険金支払い適正化のための措置とか政府保険制度の廃止とか、あるいは近年の自動車交通をめぐる環境の変化、あるいは社会経済情勢の変化を踏まえた自賠責保険制度見直しについて答申をいただきまして、その答申の一番最後のところには「実施時期等」というふうに書いてございますが、「政府においては、以上の考え方を踏まえ、早期に具体的な制度改正等を行うよう、検討を進めるべきである。」と、こういうことに基づきまして答申内容の具体化につきましては政府にゆだねられていると、こういう認識でございます。  これを受けまして、政府内で制度改正に向けた調整をした結果として今回の改正法案を提出させていただいたものでございまして、法改正に向かっての手続、プロセスには瑕疵があるというふうには考えていないわけでございます。今回の改正を踏まえました具体的なこれからの料率改定のあり方については、自賠責審議会で今後審議されるというふうに私ども承知しております。
  69. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今、副大臣から去年六月の自賠責答申についての御紹介がありましたけれども、私の読み方が悪いんでしょうか、そんなふうには書いていないですね。  お手元に配付させていただいた資料の二ページ目を見ていただきたいと思います。  例えば、運用益活用事業について、自賠責答申には、アンダーラインが引いてありますけれども、自賠責保険の補完として自賠責保険の体系の中で行うことが適当かどうか検討しということであって、その右に、今回の法案にあるように、例えば事故対センターへの出資だとか貸し付けについて補助を安定的に行うとか、あるいは旧保険勘定の積立金の二十分の九が事故対策勘定に帰属するなんということは何にも書いていないんですよ。副大臣の読み方が悪いのか私の読み方が悪いのかよく調べていただきたいと思いますが、明らかにそんなことは書いていません。  それから、その下にも書いてありますけれども、「料率」のところですね。損害率の低下、つまり支払いが少なくても済むわけですから、保険料水準にそれを反映させて保険料の引き下げに充てるべきであると。あるいは、「現在ある累積運用益は、保険料水準抑制に用いることが基本である」ということは答申になっておりますけれども、その右に書いてありますように、剰余金、積立金は保障勘定の翌年度の歳入に繰り入れるとか、今申し上げましたような積立金の二十分の九を事故対勘定に入れるなんというのは、これはあり方委員会の答申にあるんであって、審議会ではありません。  それで、この審議会の問題についてなお副大臣に伺いますけれども、自賠責法では自賠責保険保険料率については内閣総理大臣、つまり実質的には金融庁長官ということになるんだと思いますが、の認可が必要であり、当該認可に当たり内閣総理大臣保険料率の審査に係る一般的な審査基準に加え、当該保険料率が自賠責法第二十五条の規定、つまりノーロス・ノープロフィットの原則に適合するかどうかを審査することになっております。この当該認可に当たっては国土交通大臣の同意を得ること、これは第二十八条に書かれています。それから、三十三条には自賠審に諮らなければならないと書かれているんであって、料率問題は法律改正だからといって、後でいいよ、丸投げですよという、そんなことやっていいなんてどこにも書いていないんですよ。  自賠審に諮るということはどういう意味なのか。お尋ねしますけれども、例えばこれまでの過去の例ということでお考えいただきたいんですが、自賠審に諮らずに保険料率を決めた例があるのかどうか、あるいはもし決めたという例があるならば、自賠審に諮らない認可というのは法的に有効なのかどうか、そのことについて伺います。
  70. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 行革の趣旨にのっとりまして、私どもの審議会、金融審議会の中に自賠責の制度の企画的な問題ですね、制度設計の問題については金融審の自賠責制度部会というところで制度の問題については扱う、それから具体的な料率等のものについては法律施行型の審議会というのが別途ございまして、料率改定についてもそこで審議される、こういうふうになるだろうと、こういうふうに考えております。  ところで、審議会と我々が内閣で法律を提案するその内容についてそごがあるのは問題ではないかという御指摘なのかなと、こういうふうに思いますが、先ほど申しましたように、私どもは審議会の答申は最大限尊重いたしますが、先ほど私がお答えいたしましたように、具体的な改正内容については私ども政府に任された、こういうことでございます。  そういうふうに私ども認識しておりまして、自賠審だけじゃなくて、例えば政府税調なんかの議論がございまして、それでそれじゃ法律がそのとおり政府税調の答申の内容どおりになっているかというのはまた、尊重はいたしますけれども、具体化のやり方というのは、法改正のやり方あるいは法律のつくり方の具体的な内容については政府にゆだねられていると私ども解してよろしいかというふうに思っております。
  71. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私が質問したのは、自賠審に諮らずに過去において決めたことがありますかということを申し上げたんです。
  72. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 先生と私の意見の食い違いのところの主なところを御指摘させてもらったようなことでございまして、今の先生の御質問に対しては、それは自賠責審議会において審議を経て料率を変えていく、こういうことでございまして、法律にも要するにちゃんとそこが担保されているということは先生の御指摘のとおりでございます。
  73. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 先ほど、審議会の答申は最大限に尊重されるということをおっしゃられましたけれども、私がお尋ねしているのは、料率は必ず審議会にかけなければいけませんねということを申し上げているんで、一般論を申し上げているわけじゃないんです。つまり、審議会に仮に料率を諮りました、審議会がノーロス・ノープロフィットの原則に照らして不適合ですという結論を出したらどうするんですかという、そういう質問ですよ。
  74. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) その場合には、所管大臣として、料率改定案について仮に異議が出た場合には私ども審議会の意見を踏まえて再検討を行いまして、自算会に基準料率の変更届を命ずることができるということでございます。
  75. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 その認識も少し違うんじゃないかと思うんですが、自賠審が不適合であるという結論を出したら、もう一回自算会に戻すんですよ。それで、自算会からまた大臣のところへこれでどうでしょうかという提案があり、大臣の方はまた審議会に諮ると。審議会がオーケーを出すまでその作業は何回でもやるというのがルールなんですよ。ですから、必ず審議会に諮らないと料率を決めちゃいけないというルールになっていますよねと、こういうことでございます。
  76. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答えいたします。  料率改定と自賠責審議会との関係でございますが、料率改定を行う場合、自賠責保険の料率を改定しようとする場合には、御指摘のように自賠審にお諮りするということが必要ということは自賠法規定されているわけでございます。  で、お諮りした際に、自賠審においてこの料率改定案について異議が出た場合の取り扱いでございますが、政府審議会の意見に必ずしも拘束されるものではございませんが、自賠法で自賠審にお諮りをするということが書かれている趣旨にかんがみますと、審議会の意見を踏まえて再検討を行い、また必要と認める場合には自算会に対して基準料率の変更届け出等を命じるというような扱いをするのが適当であるというふうに考えております。
  77. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 審議会の結論に拘束されるものではないということをおっしゃいましたけれども、法文には確かにそういうことは書いてありません。ですが、私は認識を改めてもらいたいと思うんです。  御案内のように、自賠責保険の契約者というのは車の数と同じですから、七千万台、七千万人を超えているわけです。これは、所得税納税者が今四千六百万ですから、はるかに多いわけです。もし消費税などの税率を変えるなんというとこれは大問題ですし、ちょっとした企業関係の法人を変える場合でも租税特別措置法をその都度出して国会の審議に付してから決めているわけですね。そうすると、納税者が消費者とほぼ同じように大勢いる、そういう法律を国会の審議なしに、なおかつ決めるというわけですよ。そうしたら、審議会に期待されているのは、当然のことながら国会の審議に相当するような中身の濃いものをやってもらわないといけないんで、審議会に拘束されることはないなんという、そういう認識じゃ困るんですよ。そうすると、この問題は、料率改定については国会マターにしないといかぬのですよ、あなたの認識でいえば。  私はそういう意味では、法律改正が料率改定につながるという認識があるのであれば、政府保険の廃止と同時に、料率はこうなりますとか少なくとも料率はいつまでに変えますとか、そういうことを言わずにこの法律だけぽっと出すというのは、言ってみれば国会軽視みたいなもので、審議会軽視。私は、審議会はこけにされていると思いますよ。そんな審議会でいいんですか。七千万人を超える人が納税者みたいな立場にいるんですよ。その料率、まあ言ってみれば税金を決めるようなところが、閣議決定の後回しでお墨つきを発行するようなそんな部署でいいんですか。  それから、後でまた申し上げますけれども、この審議会というのは法執行型の審議会であると。冗談じゃないですよ。保険というのは、仕組みだとか考え方と料率というのは表裏一体になっているんでしょう。政府の都合で切り離しておいて、片一方の審議会はこうしましたなんというのはとんでもない話だと思うんです。ちょっと認識をお尋ねします、副大臣
  78. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 私どもは審議会の答申を最大限尊重いたします。その考え方に立って、私どもは今回の法律政府に与えられた権限の範囲内で具体的なところを詰めて提出をさせていただいている、こういうことでございます。  それから、法律施行型というのとそれから企画立案型と申しますかそういう審議会、そういうものが分けられたと、こういうことにつきましては、私ども政府における行革の趣旨にかんがみましてそれを尊重してまいりたい、こういうふうに考えております。
  79. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 いろいろ申し上げてまいりましたけれども、私は、結局のところ今回の法改正のプロセスにおいて欠けるところがあったなと、やっぱり配慮が十分じゃなかったんじゃないかと、それ以上の強いことは言いませんけれども、そんなふうに思っております。  いろいろ申し上げましたので、午前中終わりそうですから、国土交通大臣、何か感想ございますか、ここまで。
  80. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、るる今回の法改正に至る経緯、あるいは平成九年、今、寺崎先生がいろんな資料をお出しいただきました資料も振り返って拝見させていただきまして、少なくとも私は、平成十二年六月に御存じの自賠責の審議会の答申で「現在の被害者救済対策が必ずしも十分でない点も踏まえれば、被害者救済対策充実に充てること等も考えるべきである。」と、こういう答申が出ておりますのは先生も御存じのとおりで、また平成九年にさかのぼってのお話でございましたので、私は、今後もこの運用益の活用事業については少なくとも見直しを行い、そしてまたその使途というものは同審議会でも今後も議論されるべきであろうと思います。  少なくとも、先生がおっしゃいました多くの七千万人の加入者が、ただ黙って、どこにも物が言えないということではなくて、それだけの利益が上がっているのであれば還元すべきではないかということも、一般的な、私もユーザーの一人として考えれば当然のことであろうと思いますけれども、この法案の審議に至る、審議会を軽視したということだけは私はないであろうと思いますけれども、るる今後まだ後半の質疑にいろいろ送っていきたいと思いますけれども、なるべく現実に沿った、またどうあるべきかという基本姿勢については、この際きちんと御意見も拝聴しておきたいと思っております。
  81. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 先ほど寺崎先生の農協共済に関しての御質問で一つお答えできなかったことがございましたので、お答えをさせていただきたいと思います。  農協共済には損保のような損害保険契約者保護機構のような機構、機関、組織はございません。しかしながら、単位農協が破綻したような場合には被害者は全共連、これは全国団体でございますが、そこに請求をできるという約款ができているということでございますので、お答えを申し上げたいと思います。
  82. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  83. 今泉昭

    委員長今泉昭君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  84. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 午前中の質疑の中で、自賠責審議会に期待されるのは国会に相当する審議機能であるというようなことも申し上げました。しかしながら、私は、自賠責審議会というのは相当軽視されているなと言わざるを得ない残念な例をもう一つ申し上げたいと思います。  金融庁に伺います。副大臣に伺いますが、この自賠責審議会の所管官庁である金融庁自体が、委員の任命について、平成十一年十二月の法改正の折に格下げをしたように思います。つまり、平成十一年の改正のときに審議会の委員の人数や選び方を政令事項にするというように格下げいたしました。かつては、法律に十三名という人数まで書き込んであった内容だと思います。  そういうことを思いますと、これは行革という名をかりた悪乗りではないかと思えてならないし、過剰な行政裁量あるいは裁量権の拡大ということを考えているのかなと疑わざるを得ないという状況なわけでありますけれども、審議会が本当に大事だということであれば、ぜひこの審議会の委員の任命については国会同意人事ぐらいに格上げをしてもらいたいと思いますが、御検討していただけませんか。
  85. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 自賠責審議会というのは、自賠責の制度運営に当たりまして大変重要な役割を持っているということについては私も委員意見を同じにするわけでございますが、委員の任命にかかわる事項が政令事項に変更されたというのは格下げだと、そういう御質問でございますが、これにつきましては、中央省庁の改革におきまして各省庁の審議会等の整理合理化が行われたわけでございますけれども、その関連で、審議会等の整理合理化にかかわる事項は、法令改正に際しまして、委員理事等の規定ぶりについて各審議会間の規定ぶりの整合性を図る、こういう観点から、内閣すなわち中央省庁等改革推進本部事務局の方針によりまして、原則政令で規定することとされたわけでございます。  自賠責審議会の任命にかかわる事項についても、このような立法技術的な観点から、他の審議会と同様に、今までの法律事項から政令事項に変更されたということであります。そういう事実関係を御回答申し上げたいと思います。
  86. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今お話がありましたように、省庁再編の結果、委員会機能が二つに分かれたということは承知しておりますが、金融審議会における自賠責部会というのは四名でございます。なおかつ、その会長、責任者をされている方は自賠審の会長でもあり、ここの部会の部会長さんでもございます。多くの委員が重複しているような審議会を分けたということが本当に分けたことになるんでしょうか。  自賠責保険制度というのは、制度仕組みをどうするかということ、つまり保険金支払いをどこまでやるのかとか、そういうことと保険料とは表裏一体になっているわけで、保険制度全体を考えないで料率を決めるということはあり得ないと思います。  そんなことを考えますと、二分するという案はまさに自賠責審議会の軽視であり、なおかつ自賠責保険制度というのが強制付保である、任意保険とは違うということを忘れられているのではないかと思うんです。必ず入りなさいよということを義務づける以上、料率についてもきちんとした議論をやって決めると。先ほど、国会にかわる権能を持っているのではないですかと言ったのはその辺のことであるわけです。  私たちもそういう権能を期待しているわけでありまして、なぜ料率と仕組みを別々の審議会でやるかというのはどうにも納得いかないわけですが、もう一度、技術的な面じゃなくて、考え方で説明してもらえませんか。
  87. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) お答えが委員の御要望にかなうかどうかわかりません、あるいは問題意識とかなうものかどうかよくわかりませんが、二つの企画型の審議会と法律制度の施行型の審議会というふうに分けられたのは、先ほども申しましたように、中央省庁等の改革に伴いまして、審議分野の共通性に基づきまして、保険分野にかかわる制度設計について金融審議会という中に機能の共通性という観点から一緒に合体されるのがいいだろうと、こういうことでございまして金融審議会の方に入ったということでございます。  一方、自賠責審議会は、今申しましたように、中央省庁等の改革に伴いまして法律施行型の審議会というふうに位置づけられまして、免許の付与とか自賠責の場合であれば料率の算定、料率の審議とか、そういう具体的なことについて審議する場であるというふうに考えられて、役割を分けて設けられたということと聞いております。  それからもう一度、委員等の任命について政令に落とした、自賠責は強制保険なんだから大変、税に次ぐような、制度と並ぶような重要な審議会ではないかと、これも要するに国会の承認事項ぐらいにしてしかるべきではないかという御指摘でございましたが、政府税制調査会の委員の任命にかかわることについても内閣府令ということで、政令によって定めると、こういう形になっておりますことも指摘させていただきたいと思っております。
  88. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 確かに、税制調査会のメンバーはそういう今おっしゃられたような扱いだと思いますが、しかし税制というのは一円動かすのだって国会の承認でやっているわけですよ。強制付保ということでいえば、どこで審議するんですかということを問題にしているので、私は大体この自賠責審議会を法施行型審議会だという認識が間違っていると思うんです。税金をちょうだいしているみたいな感覚でこの審議会を見なければいけないんではないですかということを申し上げております。国会にかわる審議をするというのはどこなんですかと。これは任意保険だったらそんなこと言いませんよ。もう全員強制で付保されているわけですから、ぜひ今後引き続いて御検討願いたいと思います。  ところで、審議会等の問題に関連して、国土交通大臣、それから内閣府の村田大臣にもお尋ねしますが、金融庁には金融審議会があって、自賠責保険制度等重要事項について審議するということでただいま動いているんだと思います。他方国土交通省には、今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会というのが設置されておりまして、このあり方懇談会というのは今回の法改正でも逆から見ますと大変大きな役割を果たしたなと思っております。それは先ほど、自賠審の答申と今回の法改正内容を照らし、またあり方懇談会のレポートを読めば一目瞭然でございます。  私は、審議会というのが公的機関であるから意見を尊重しろとか、私的諮問機関のあり方懇談会だからないがしろにしてもいいとか、そんなことは全く思いません。ただ、一方であり方懇談会があり、一方では金融審議会で制度等重要事項について審議すると。諮問があればですよ、諮問されなきゃ別ですよ。これはどういうふうに整理しているのかなというのが、かねがね気になっているところであるわけです。国土交通大臣は、その辺の整理はどのように考えられておりますか。
  89. 泉信也

    ○副大臣(泉信也君) 先ほど来お尋ねのいわゆる自賠責審議会、あるいは金融審議会の自賠責部会、そういうことについては金融庁の方からお答えがございました。  私どもの国土交通省が設けさせていただきました自賠責保険のあり方に係る懇談会、これは国土交通大臣の懇談会として、国土交通省がやるべき自賠責保険について実務的なことについてのお知恵をおかりしようとしてつくらせていただいたものでありまして、それでは金融庁との関係はどうなっておるかということでございますが、十二年十二月の報告書は、六月の自賠責審議会の答申をいただいて御議論いただき、この懇談会から十二月に答申をいただいたということであります。  その過程では、十二年の審議の中で私ども懇談会の検討内容につきましても自賠責審議会の方にも御報告し、自賠責審議会では自賠責懇談会というものを開催いただいて、そこで御議論をいただくという関係を保たせていただきながら、両者の間にそごがないように整理をさせてきていただいたつもりでございます。
  90. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 私どもは、今国土交通大臣からも御答弁がありましたように、国土交通省大臣、当時でございますから運輸大臣の私的懇談会としてのあり方懇で出されたもの、そういうものも踏んまえまして、国土交通省と緊密な連絡をし調整した上で今回の法律改正までなし遂げたと、こういうふうに考えているわけでございます。
  91. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 自賠責保険制度の重要事項について審議する際に、片やあり方懇談会があり、片や金融審議会で行われるとします。金融審議会は四名、あり方懇談会は、数えておりませんが、二十名前後と。なおかつ、自賠責審議会もあり方懇談会もそれから金融の部会も、大体メンバーが大半が同じ人なんですね。ということは、何か役所の都合、縄張りみたいなのでこういう審議会やら懇談会をつくっているんじゃないかと疑わざるを得ないわけです。  以前は、言うまでもなく自賠責審議会というのは運輸省の所管でございました。それが今度は金融庁所管になったら、早速できたのがあり方懇談会ですね。でも、そこの委員というのはほとんど重複されている。お互いに競い合っていい答申ができたり方向づけができれば私はそれでもいいと思うんですけれども、それだったらメンバーは少なくともかえなければいけないんじゃないかというようにも思っているわけであります。なお、このあり方懇とそれから金融審議会の関係については、私は整理してもらいたいなという気もいたしております。  この問題については、もうこの程度にとどめまして、次は、これから自賠責の再保険を廃止することによってその財源をどう使うかという問題がありますので、その財源配分のもとになるのは幾らあるのかということをお尋ねしておきたいと思います。  先ほど、私、数字を幾つか申し上げましたけれども、それは自算会数字等をもとにして、私がその道に詳しい人に頼んでつくってもらった数字なので、政府の認識とあるいは違うかもしれないと思いますので、念のために確認しておきたいわけであります。  今度の法改正によって契約者に還元されるのが二十分の十一、そして事故対策勘定に繰り入れられるのが二十分の九ということになるわけでありますが、もとは幾らと押さえておられますか。金融庁にお尋ねします。
  92. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) 私どもの方からお答えさせていただきます。  制度改正時における累積運用益の見込みということになるわけでございますが、十三年度末の累積運用益の額につきましては、平成十三年度末時点での特別会計の収支によって決まってまいります。したがいまして、現時点でお尋ねであれば、おおむねの数字しかございませんので、おおむね二兆円程度見込んでいるというふうに申し上げたいと思います。
  93. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今度の法文を読みますと、また先ほどの説明もありましたように、今度の改正政府保険保険勘定から生まれた累積運用益については十一対九で配分しますよということなのですが、読み込んでいきますと、それを累積運用益の二十分の十一については平成十四年から十九年まで、つまり六年間で保険収支に充当しますということなんですけれども、どうして六年間という数字なんでしょうか。六年がおかしいという根拠もないですし妥当であるという根拠も持ち合わせないので、なぜ六年かというのをわかりやすく説明していただきたい。
  94. 泉信也

    ○副大臣(泉信也君) 現段階では八年間というふうに承知をしておりますが、先ほど先生御自身もおっしゃいましたように、余り短い時間に定めますとこの運用益を消費者に還元した後、今度は急激に料率を上げなければならないというような大きな変動が出てくる可能性一つあるわけでございまして、今回二十分の九というものを被害者のために活用させていただくということになり、二十分の九、二十分の十一ということになりまして、そうした従来の仕組みと違うことから余り料率に大きな変動がないように六年が適当ではないか、こういうことでございます。  現在及び交付金の交付期間における赤字保険料率から将来の均衡保険料率水準までの急激な保険料負担の増大がないように中期的な期間として六年というふうに定めさせていただいた次第でございます。
  95. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 もう一つ、どうして十一対九なんですか。
  96. 泉信也

    ○副大臣(泉信也君) これも御承知のように、全額ユーザーに還元しろという御意見、そしてまた全額被害者救済に活用しろという御意見と両方ございました。  それで、先ほど先生からお出しいただきました自賠責審議会の答申の中にもございますように、累積運用益保険料水準抑制に用いることが基本である、被害者救済対策にも充てるべきであるというふうにニュアンスの違いがここにございました。これが物の考え方の一つでございまして、一方では、今日、被害者救済に活用させていただいております実態等から見まして二十分の十一と二十分の九が妥当な線ではなかろうかと判断をしたわけでございます。
  97. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 なかなかその辺はわかりづらいわけであります。  今、御紹介のあり方懇談会のレポートを見ますと、平成十二年十二月に発表されておりますが、事故対策勘定の設定に関連して、自動車ユーザーは、保険契約者として加害者になったときは被保険者として自賠責保険支払いを受ける者、被害者になったときは保険金支払い被害者救済事業の対象となる者と、すなわち自動車ユーザーは自賠責制度で両方の意味でメリットを受ける者であるから、政府保険を廃止する場合には累積運用益などは保険料の引き下げと被害者救済事業にバランスよく使うべきである、確かにこう書かれておるんです。  運用益二分論というんでしょうか。ただ、私はこの二分論というのはちょっと腑に落ちないなと思っております。というのは、その第一の理由は、例えば自賠法の第二十五条にあるノーロス・ノープロフィットの原則に果たして適合しているだろうかという観点からの疑問でございます。  今回の事故対策勘定というのは保険収支とは切り離されるわけです。それで、特会法にありますように基金化されます。当面の収支とは関係のない場所に置かれることになります。  したがって、保険料率を決める際にも別勘定になりまして、能率的な経営のもとにおける適正な原価を償う範囲というんでしょうか、これとは無関係の存在になっちゃうんですね。ノーロス・ノープロフィットのらち外になりませんかというのが第一の理由です。  第二の理由は、平成十三年度末の運用益、先ほど二兆円程度とおっしゃいましたけれども、もしこれが一兆円だったら同じことを提案されるだろうかという疑問があります。大変うがった見方をいたしますと、運用益の活用事業に必要な費用というのは年間大体百五十億から二百億ぐらいが実績だろうと思います。これを維持できる基金をもしつくろうとしたらどれぐらいの基金が必要か。利息の高いときはともかく、今のような一%、二%という時代ですと百五十億から二百億ぐらい確保するためにはそれ相応の原資がないと、基金がないと確保できません。それが二十分の九相当の配分になったんではないかというように考えられないこともないわけであります。これが第二の理由です。  第三の理由は、運用益というのはこれまでも保険料に還元してきたというのが過去一貫して行われたやり方でございます。したがって、二十分の九を切り離すというのはやっぱり納得いかないなと。今、せっかく副大臣の御説明でもありますけれども、理解しにくいと思っております。もう一度、私にも理解できるように御説明いただけますか。
  98. 泉信也

    ○副大臣(泉信也君) 専門家でいらっしゃる先生に御理解いただくというのはなかなか難しい話でございますが、今までの二兆円という自賠責によって出てまいりましたこの果実については、御承知のように、ユーザーの方々に料率の引き下げによってその恩恵と申しましょうか、恩典を受けていただく部分と、あすは被害者という立場からユーザーの方の御理解をいただいてその一部を被害者救済に充てさせていただいたことは御承知のとおりであります。  今回、繰り返しになるところがございますが、保険料負担軽減に充てるということが第一であったことは事実であります。しかし、なお今日までやらせていただいた事柄について、被害者の多くの方々から、私もお目にかからせていただきましたけれども、ぜひとも従来どおり、それ以上に被害者救済に力を入れてほしいというお話がございました。そうしたことからその一部を被害者救済に充てさせていただくということにしたわけでございまして、実態が二百億足らずの被害者救済事業が行われておるからそれに見合うようにというような逆算をしたわけでは正直ございません。  ただ、先生がおっしゃいますように、一兆円の果実しかなかった場合にはどうしたかというような議論になってまいりますと、本当にじゃこういう比率で分けられたのか、あるいはユーザーの方にもっと我慢をいただくという方法をとらざるを得なかったかもしれません。しかし、たまたま結果的には両方にそれぞれ御納得いただけるような数値で処理ができたという実態からの判断もあったことは私は事実だと思います。
  99. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 たまたま二兆円あったからという考え方は、私はそうお認めいただきますとそうだろうなと思いますのでそれ以上のことは申し上げませんが、ただノーロス・ノープロフィットの原則と被害者救済を両立させようとすれば、ほかの方法として賦課金方式をとるということも考えられるんではないでしょうか。安定的に財源を得るということであれば、今の保障勘定のような賦課金方式をとったって十分できることではないかと思うし、保険契約者に理解が得られるんではないかと思いますが、その辺はどうでしょうか。
  100. 泉信也

    ○副大臣(泉信也君) 確かに賦課金をユーザーの方々に御負担いただくことによって被害者救済をやっていくということも一つの考え方だと思います。  ただ、今二兆円という果実があって、一方では料率を下げさせていただきながら、片方では賦課金という名目であれ一部御負担をいただくということは、言うならば出す方といただく方が同時に行われなければならないという物の考え方がなかなか御理解いただけないんではないか、また事務的な問題もございまして、今回はこういう形をとらせていただいておるわけでございます。  先生、先ほどお話のございましたように、被害者救済対策を本格的にもっとやれという御意見にじゃどこまで対応できるかと。その際に、将来的にはそういう賦課金という形でユーザーの方にお願いするということもあるいは出てくるかもしれません。ただ、今のところは、低金利の中で約二百億ぐらいのお金がちょうだいできるということで、これから被害者救済対策を続けさせていただくことが可能ではないかというふうに思っておるところでございます。
  101. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 厳密な計算ができているわけじゃありませんから何とも言いかねるわけですけれども、例えば、先ほど私は、今回、二十分の九を事故対策勘定に持っていかなければ現状の料率は三年もつはずですということを申し上げました。だとすると、その分を引き下げ原資にして賦課金を乗せるということで、水準が変わらないのかどうかというのは証明はまだできておりませんけれども、そういう考え方もとれると思うんです。賦課金方式をやったら必ず上がるというものではないと思います。ですから、今後の検討課題にさせていただきたいと思います。  それにつきまして、衆議院の方で附帯決議がこの法律改正の際、ついております。国土交通大臣にお願いしたいんですが、衆議院では、本法案に対して、自動車事故被害者救済及び自動車事故の防止に関しては、この法律の施行後五年以内に、社会経済状況の推移等を勘案し、賦課金制度の導入の可能性を含め検討を加えること、という附帯決議がついております。国土交通大臣はどのように受けとめられているのか、お伺いしたいと思います。
  102. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、先生にお読みいただきましたように、衆議院におきます本法案の審議の際に、自動車事故被害者救済及び自動車事故の防止に関しては、この法律の施行後五年以内に、社会経済状況の推移等を勘案し、賦課金制度、要するに被害者救済等のための必要があれば保険料に上乗せする制度のことでございますけれども、それの導入の可能性を含めて検討を加えることと、こういうふうに附帯決議をいただきました。  この決議におきましては、ほかにもございますし、一層の被害者保護充実を図ることなど、これも何項目か決議をいただいておりますので、その附帯決議の趣旨を十分に尊重して対応させていただきたいということも私も明言いたしましたし、今後もそう考えております。
  103. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 お願いします。  終わります。
  104. 続訓弘

    ○続訓弘君 このたびの自動車損害賠償法の一部改正に関して、若干の質問をさせていただきます。  政府保険制度の廃止は、規制緩和の流れの中で、保険金支払いについて事前チェックから事後チェックへ移行するもので、私は評価できると思います。一方、被害者保護のために保険金支払いを適正なものとする必要は今後もあると考えられます。これまで保険金支払い適正化機能を果たしてきた再保険制度の廃止に伴い、どのような支払い適正化措置を講ずることとされたのか、また、これにより払い渋りを防ぐことができるのかどうか、この二点について伺います。
  105. 泉信也

    ○副大臣(泉信也君) 今回の保険制度改正に当たりまして、支払い適正化が担保されておるかというお尋ねでございますが、我々といたしましてもその部分が一番大切なことだと思って対応をさせていただいたつもりでございます。  お話にございましたように、原則事後チェックということになったわけでございますけれども、事後チェックの一つの形として紛争処理制度を設けさせていただき、これは国が適切な監督をするという前提でございますが、紛争処理制度を創設させていただいた。それから、また被害者保険金支払い内容が十分なものであるかどうか、そうした情報を得られるように、支払いの基準を決めさせていただくと同時に、保険会社被害者に情報の提供をするよう義務づけたところでございます。  そして、今申し上げました情報の提供等につきまして、国の責任においてその履行がなされるように、国土交通大臣支払い基準の違反や情報提供違反がございました場合には申し立てをしていただくことを仕組みの中に入れさせていただき、国土交通大臣はその申し立てによって命令等を発することができるという仕組みをとらせていただいたところでございます。
  106. 続訓弘

    ○続訓弘君 私は、交通事故被害者とプロである保険会社との間では情報格差があり、このような情報格差の存在が被害者に対する適正な保険金支払いが阻害される要因になっていると考えております。  例えば、被害者は、なぜ保険金支払いが減額されたのか十分な説明を受けていないにもかかわらず、減額された保険金の受け取りを余儀なくされたり、あるいは後遺障害の等級認定についても必ずしも十分な説明を受けられなかったことがあったと聞いております。今回の改正において、保険会社被害者に対して保険金支払いに関する情報提供をすることを義務づけたことは、このような情報格差の是正という観点から極めて意義深いと考えております。  そこで、今回新たに講ずることとした保険会社被害者に対する情報提供の義務づけ措置の具体的内容について、御説明願います。
  107. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  保険金支払いに関する情報提供につきまして、今回の改正では、保険会社に対しまして、まず保険金等の請求があった際に支払い基準の概要を請求者に交付することとしています。それから二番目に、保険金支払いに際し、支払い金額の算定根拠を記載した書面を交付すること、これも義務づけております。三点目が、無責事故等の理由によりまして保険金を払わなかった場合には、その理由を書面で交付すること、この三点を義務づけております。  さらに、被害者から保険金支払いについて説明を求められたときは、保険会社は書面で説明を行わなければならない旨規定しております。
  108. 続訓弘

    ○続訓弘君 ただいま説明がございましたような、仮に保険会社情報提供規定に反してそれに従わなかったときの措置は、どういう措置を講じられるのか伺います。
  109. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  仮に、保険会社情報提供等の法律上の義務に従わなかった場合、保険会社に対する指示、命令等を行うことが可能になっております。これによりまして、情報提供規定の担保は十分確保できるというふうに思っております。
  110. 続訓弘

    ○続訓弘君 今回の制度改正で、支払い適正化施策の一環として紛争処理仕組みを整備することになっております。検討の過程で国のいわゆる八条機関として紛争処理機関を設けるという案もあったと承知しておりますが、私は、何もかも国の行政組織ということではなく、民間の機関でいいのではないかと考えます。その意味で、法案では紛争処理機関を民間機関としていることに賛成であります。  他方紛争処理業務公正中立に実施することは、被害者から信頼を受けるためにも必要不可欠であると思います。このような紛争処理機関公正中立性を担保するために、国はどのような措置を講じておられるのか、伺います。
  111. 泉信也

    ○副大臣(泉信也君) 紛争処理機関の議論の過程では、先生お話しございましたように八条機関ということもございました。しかし、今日の情勢からして、私どもはいわゆる公正中立処理機関をつくらせていただいたわけでございます。  もともとこの公正中立さを確保するために国の何らかの関与が必要ではないかという考え方を私どもも持っておりまして、財政的な国の支援も含めて、これから検討させていただきたいと思っているところです。
  112. 続訓弘

    ○続訓弘君 これまでは自賠責保険支払い適正化方策について御説明をいただいたわけでありますけれども、任意保険保険金支払いについても、被害者に対する十分な情報提供がなされていないだとか、あるいは示談交渉の場で当初から適正な保険金の提示をしていないだとかといった批判がなされております。  したがって、このような任意の自動車保険に関しても、自賠責保険と同様に被害者に対する情報提供充実させるだとか支払い適正化を指導するという仕組みを整備していく必要があると思いますが、この点について金融庁の御見解を伺います。
  113. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 任意保険についても自賠責と同様に被害者に対する情報提供をすべきじゃないか、あるいは支払い適正化を指導する、こういうふうなことはやるべきではないかという御趣旨だと思います。  自賠責保険の方ですが、損害査定が定型的、画一的に行われる、こういうことになっておりますのに対しまして、任意保険では、被害者の実情をきめ細かく反映させまして、類似事例に対する判例の動向等なんかもかんがみまして個々の損害賠償額を算定することとしております。そういうわけで、任意保険支払い基準を被害者に提示することは困難であるというふうに考えております。  一方、保険会社は示談時に被害者に対して損害額、過失割合、治療費、休業損害、慰謝料等の内訳ごとの支払い額を原則として書面で提示することとしておりまして、こうした取り組みをもっともっと進めることによりまして被害者の納得を得るような形にしていくことが保険会社に対しても求められている、こういうふうに考えております。  任意保険保険金支払いに関する問題については、任意保険である以上、当事者間で原則として解決されるべき問題でありますが、保険業法に照らしまして保険会社業務の運営に対して不適切な問題がある場合には、金融庁としても適切な監督指導を行ってまいりたいというふうに考えております。  それから、任意保険支払い適正化を図ることを目的といたしまして、財団法人交通事故紛争処理センター等による和解のあっせんとか裁定の仕組みもありまして、こうしたシステムが保険金支払い適正化に寄与することが大きいものと、こういうふうに考えております。
  114. 続訓弘

    ○続訓弘君 政府保険制度のもとでは保険会社は四割分の保険料運用してきたわけでありますが、政府保険の廃止後は自賠責保険保険料運用を全額損保が行うこととなります。これに伴い、損保会社運用体制についてもその適正化のため国の監督を強化していく必要があると思いますが、金融庁の見解を伺います。
  115. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 自賠責保険事業から生じた保険会社運用益についてでございますが、法律規定によりまして、その全額を準備金として積み立てまして、この積み立てた準備金を取り崩すことができるのは、事業収支の不足の補てんに充てる場合と、それから自動車事故の防止や被害者対策等、主務省令で定める場合に限定されているということでございます。この仕組みについては政府保険廃止後も維持する、こういうことにしておるわけでございます。  それから、保険会社保険料として収受した金銭の運用につきましては、その健全性の確保のために、保険業法規定によりましてその方法や限度額についての一定の制限が課せられておりますが、事務ガイドライン、それから検査マニュアルにおきまして、保険会社に対して資産運用におきますリスク管理体制の強化を金融庁としても求めてまいりたいというふうに考えております。  いずれにしても、今後とも金融庁としては保険会社において資産運用が適切に行われるよう、しっかりとした監督を行っていきたい、こういうふうに考えております。
  116. 続訓弘

    ○続訓弘君 保険会社運用益被害者救済対策などの事業の支援に充てられることになっておりますが、具体的な事業やその額はだれがどのように決定しているのでしょうか。私は交通事故被害者意見など、関係者の意見を聞いた上で決定すべきだと思いますが、この点について金融庁の御見解を伺います。
  117. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 自賠責保険事業から生じました保険会社運用益、これをどうするかということについては、準備金を積み立てるということにつきまして先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、運用益の各年度の具体的な支出内容につきましては、昨年六月の自賠責審議会の答申におきまして、その使途をより明確化いたしますとともに決定プロセスの透明化を高める観点から、審議会でも十分議論を行うよう指摘されているところでございます。  これを踏まえまして、保険会社運用益の使途については、従来は日本損害保険協会がその諮問機関であります運用益使途選定委員会審議を経て決定しておりましたけれども、今年度分より、同委員会の議論に加えまして、先ほど申しました自賠責にかかわります審議会の議論も経て決定するというようにしたところであります。  こうした取り組みをいたしまして、今後とも運用益の使途をより明確にして透明性の確保に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  118. 続訓弘

    ○続訓弘君 自賠責保険運用益を活用して被害者救済のための事業を行うことは、被害者保護という自賠責保険の位置づけを考えれば有益であると考えております。特に最近、その数が増加している重度後遺障害者に対する救済は、その深刻さを考えると必要性が非常に高いと考えております。  そこで、重度後遺障害に苦しむ方の治療を行っている療護センターの整備の状況と受け入れ状況についてお答えください。
  119. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  現在、療護センターの病床数でございますが、千葉、東北、岡山の三施設ございまして、合計で百三十床となっております。  一方、平成十三年度一月末現在で入院をお待ちの方が九十二名いらっしゃるという状況でございます。このため、療護センターにおける受け入れ体制の整備を進めておりまして、本年七月に五十床の中部療護センターを開業することにいたしておりますが、既存のセンター内に併設の介護病床の整備を進めることにいたしておりまして、これにより、できる限り待機患者の方々の解消を図ってまいりたいと考えております。
  120. 続訓弘

    ○続訓弘君 療護センターは、自動車事故による重度後遺障害者については一般病院が受け入れを十分にできなかったため設立したという経緯があります。特殊法人の聖域なき見直しの中でも、一般の病院では重度後遺障害者の受け入れに十分対応できないという状況は現在でも変わりがないことから、今後もこのような機関は運営を効率化しながら存続させる必要があると思いますが、国土交通省の見解を伺います。
  121. 泉信也

    ○副大臣(泉信也君) 今、先生指摘のように、一般病院あるいは公的病院でもなかなか受け入れがたい状況が続いておりますし、また新しい治療技術の開発等がそうした場所では行われがたいということがございまして、私どももこの療護センターというものの必要性を十二分に認識しておるつもりでございます。この部分については、経営の効率化を図るという意味からも民間への委託ということをやらせていただいておりまして、先ほど政府参考人が答えました仙台、岡山、そしてこの七月にできます岐阜も民間委託を既にやっていくことになっております。ただ、千葉については今検討をさせていただいておるところでございます。  それから、恐縮でございます、先ほど紛争処理機関の具体的な話についてちょっと私のお答えが十二分でなかったと思いますので、少し追加させていただきます。  紛争処理機関につきましては、公正さや一定の質を確保する必要があるということから、中立的な医師でありますとか弁護士というような方々の処理委員選任義務、それから役員及び紛争処理委員に対する選任、解任の認可、秘密保持の義務、こうしたことを規定として設けさせていただいておりますと同時に、業務の公正かつ的確な実施の監督に関しましては紛争処理業務規程に対する認可紛争処理機関報告徴収、立入検査、監督命令などの規定を設けて、先生指摘のように中立公正な運営を図ることにいたしております。
  122. 続訓弘

    ○続訓弘君 自動車事故に対する被害者救済としては、損害賠償制度によることが基本ではありますが、保険では救済し切れない重度後遺障害者の方々及びその御家族の負担は大変なものがございます。これをお金だけで解決していくことは困難です。私は、このような方々を救済し、被害者保護という自賠法目的を達成するためには、今後さらに被害者救済対策充実させていくべきだと考えておりますが、国土交通大臣の決意を伺います。
  123. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、続先生がお話になりましたように、本当に被害者救済というものが、これだけ事故が多発しております中で大変な重要性を持っているということは我々も認識しておりますし、また今まで再保険制度を通じまして、保険金支払い適正化を実施するとともに被害者救済対策に努めてきたところでございます。  また、ひき逃げですとか、あるいは無保険者、保険に入っていない車等の事故被害者への保障も行ってきたところでございますけれども、自賠責制度の改革後もこのような被害者救済対策というものはより重要であるという認識を持っておりますし、それはもう先生が今おっしゃったとおりでございますので、今後も、この制度改正後におきましても、我々は紛争処理仕組みの創設などの支払い適正化対策を行ってまいりたいと。  また、運用益の二十分の九を被害者救済対策に充てることとしておりますのも、先ほどからお答えしているとおりでございますので、国土交通省といたしましては、車社会におきます負の側面をできるだけ軽減していくというためにも、支払い適正化、あるいは被害者救済事業の実施を通じて被害者救済充実に今後も一層努めてまいりたいと考えております。
  124. 続訓弘

    ○続訓弘君 これはちょっと古い話でございますけれども、平成十二年の七月の二十日に、産経新聞に京都の団体職員の方が「交通事故治療の健保利用を容易に」という見出しでアピールしておられます。その方の主張はこういうことでございます。「交通事故によるけがの治療に、健康保険は使えないとよく言われる。しかし、これはまったく間違いで、交通事故の治療にも健康保険は通常通り使えるし、被害者の正当な権利なのである。」と主張しておられます。そして、さらに続けて、「一部の病院が交通事故の治療に健康保険の使用を断る理由は、主に金もうけ主義からである。自費診療は料金規制がなく、健康保険より何倍も高価な治療費を患者に請求できるからだ。」ということを主張しておられます。  そこで、厚生労働省に伺います。まず、事実関係として、交通事故で負ったけがの治療について健康保険は使えるのかどうか、この点を伺います。
  125. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) 今お話しございましたように、交通事故による負傷の治療につきましても、当然のことでございますけれども、健康保険による保険給付の対象となるわけでございます。  その場合におきましては、保険者が被害者と申しますか、傷害を負った方にかわりまして損害賠償請求権を代位取得する、そういたしまして保険者から加害者、直接的には加害者に請求する権限を持つと、こういう仕組みになっておるわけでございます。
  126. 続訓弘

    ○続訓弘君 しかしながら、交通事故で負ったけがの治療に健康保険は使えず自賠責のみが使えると誤解している人が大変多いわけでございますけれども、今もし仮に使えるということであるとするならば、厚生労働省としてこの点についてのPRはどういうふうにしておられますか、伺います。
  127. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) 確かに、健康保険が使えないというような誤解がまだあることは事実のようでございます。私どもも、かねて行政通達でありますとかあるいはパンフレット、保険者が発出するさまざまなお知らせ、パンフレット、あるいはそれに行政も協力いたしまして、医療機関あるいは被保険者に対しまして周知、啓蒙、御連絡を申し上げているところでございます。不十分な点がございますならば、さらにそれを検討いたしまして、今後も適切な情報提供に努めてまいりたいと考えております。
  128. 続訓弘

    ○続訓弘君 先ほど御紹介をしましたような方のアピールによりますと、実際に二倍も三倍もとっている不心得な診療所がある、あるいは病院があると、こういう指摘をしておられますけれども、この点に対する実態を把握しておられるかどうか、伺います。
  129. 大塚義治

    政府参考人大塚義治君) 今のようなケースは、実は健康保険でない自費診療の部分になってしまうわけでございますので、私どもとしてその点を把握する手法、方法もございませんし、現実に現時点で詳細なデータ、実績を持っているわけではございません。
  130. 続訓弘

    ○続訓弘君 先ほどお答えございましたように、手続をすればとにかく一般の健康保険が使える、そしてそれに対する使えないという一般の人たちの誤解もある。したがって、その辺のところをPRしていただいて、やはり正当な、二倍も三倍も余計に払うような結果にならないようにぜひ努めていただきたいことを要望申し上げまして、質問を終わります。
  131. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。  私は、今回の改正案に関連して、今、続先生からございましたけれども、交通事故被害者の、とりわけ重度後遺障害者の救済対策の問題に絞って、国土交通省のお考えを聞きたいというふうに思います。  最初に、この重度後遺障害者の救済対策について基本的な認識をお伺いしたいと思いますけれども、午前中からございましたとおり、とにかく交通事故がふえて、しかし緊急医療も発達しておりますので命を取りとめる方がふえている。これはもちろん喜ばしいことなんですが、その中で重度後遺障害者の数も、午前中もありましたけれども、八九年から九八年でもう倍になっている。八九年がちなみに九百七十三人ですけれども、九八年で千九百四十四人、これは私は財政金融委員会でも質問させてもらったんですが、この十年間で累計はと聞きましたら、そのときに八千六百人になっているという答弁をいただきましたけれども、それぐらいこの十年間でふえているわけです。  しかも、交通事故ですから、遭われるのがお子さんとか若い方が多いわけですね。したがって、その重度後遺障害者も子供の重度後遺障害者、若い方の重度後遺障害者がふえていまして、いわゆる遷延性というんですけれども、余り使いたくないですけれども植物状態といいますか、そういう若者とか子供がこの間ずっとふえているというのがいわゆる交通事故重度後遺障害者の救済対策という問題で、非常に今マスコミでもかなり取り上げられてきている、大問題になっているというふうに思います。  親御さんにとっては、もちろん命を子供が取りとめてくれたわけですから大変喜ばしいことで、それは本当に皆さん喜んでおられるんですけれども、現実問題として、後の介護が物理的にも経済的にも非常に大変な状態に今なっている御家庭がふえているということです。私も何人かの御家族にお会いしましたけれども、もうかなりぎりぎりのところでお子さんとかの介護を続けているというのが今の現実だというふうに思います。  その点では、後で触れますけれども、いろいろこの間、国土交通省の担当部局が小まめに努力されてきたのは私はよく承知しておりますけれども、まだまだ実態からすると行政のサポートが十分でないなというふうに率直に感じているところです。特に、お年寄りの介護と違いまして、親の方が先に死んでしまうんじゃないか、自分がいなくなったときに自分の子供はどうなるんだろうという、そういう親亡き後の問題というのが今かなり不安になっているというふうに思います。  こういう点で、先ほど扇大臣救済対策全体に頑張っていただくというお話を聞いたんですが、特に今焦点になってきています後遺障害者の問題について、大臣としてどういう姿勢で今後取り組まれていかれるのか、最初にその姿勢を聞かせてもらえればというふうに思います。
  132. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、大門先生がおっしゃいましたように、重度障害者、私にも友人がおりまして、私の親友が七年間植物人間的な状況に陥っておりまして、私もしょっちゅう行っておりましたけれども、皆さんがいろんなことを言ってくださって、いろんなことをするんですけれども、あらゆることをするんですけれども、可能性がゼロであると。そのうち病院ではもうすることがないから、ただ要領を覚えてくださったらおうちへ連れ帰ってくださいよと、病院ではそう言われてしまうんですね。けれども、うちではそれをできる人がいないということで、しかも入院治療費が膨大になるというようなことで、今、先生数字をお示しになりましたけれども、少なくとも重度後遺障害者数というのが最近十年間で二倍になっているということだけは、これは事実でございます。  そういう意味では、少なくとも私たち、今後、平成十二年三月、先生御存じのとおり、規制緩和推進三カ年計画というものが出されましたけれども、その中でも政府の再保険廃止と、この五カ条というものがございますけれども、その中で被害者保護充実、これが明記されているんですね。じゃ、その被害者救済というのは、被害者保護充実というのは何を指すのかということになるんですけれども、少なくとも私は、国土交通省にとってこの問題は大変重要な政策課題だ、そういう認識を持っております。  そういう意味で、特に交通事故によります、今、先生指摘重度後遺障害者、この十年間で倍増しているということに対しての重度後遺障害対策が急務であるというのはおっしゃるまでもございません。さりとて、じゃ何ができるかということになるんですけれども、少なくとも平成十三年度予算におきましても、介護料の支給対象の拡大あるいは被害者保護対策充実、そういうものを図ってきたところでございますし、今後も私たちは、被害者保護対策あるいは特に重度後遺障害者の対策に今後も心配りをし、より充実できるように図ってまいりたいと思っています。
  133. 大門実紀史

    大門実紀史君 どうもありがとうございます。本当にその前向きな姿勢で取り組んでいただきたいと思います。  それで、この問題というのは、実は国会でも数年前から我が党だけではなくて各党の方が取り上げてこられた問題で、もう与野党を問わず、国の、国会の責任として急いで手を打っていくべきだというふうに思います。そういう点では、ぜひ扇大臣、お忙しいでしょうけれども、お願いしたいのは、被害者の代表の方とこの間、この数年でいきますと、二階元運輸大臣も坂口厚生労働大臣も忙しい中、時間をとって話を聞いたりされているので、ぜひどこかで時間をとってもらって、代表の方のぜひ話を聞いていただきたいというふうに思います。ぜひ御検討をお願いしたいと思います。  私は、きょうはそういう意味で、何か問題点指摘するというよりも、まだまだちょっと不十分なので努力してもらいたいという意味で幾つかの質問をさせてもらいたいと思いますが、まず、そういういろんな大変な状況を抱えておられる方が物を言う場が、この間、先ほどから出ていますあり方懇の中で後遺障害者の代表の方がやっと入れて意見を言う場があったんですけれども、今後、運用益の活用事業等々の中で、そういう物を言う場といいますか、あるいは実態を把握してもらう場がどう仕組みとして保障されていくのかが非常に気になるんです。  具体的に質問いたしますと、今回の法改正案で自動車事故対策計画をつくられると。その中で、「被害者保護の増進を図る」ということが法案にも明記されておりますけれども、例えばこの自動車事故対策計画の中で、これから被害者救済後遺障害者の問題もやっていくということですから、そのときに、何といいますか、審議会というと今は余りつくらないという方向みたいですけれども、その計画をつくるに当たってのまた懇談会とかあるいはそういう方々の意見を聞く場とか、そういうものを設けられて、ぜひ後遺障害者の代表の方も、もちろん業界代表も入られるかもわかりませんけれども、そういう場を設けていってもらいたいと思いますけれども、今後、そういう意見を聞く場はどういうふうに保障されていくのか、お考えがあればお聞きしたいというふうに思います。
  134. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  御指摘のとおり、被害者救済対策を行っていく上で被害者の方々からの意見を聞くことは極めて重要だと思っております。このため、後遺障害者の代表の方々を含めた被害者団体の方々と実は当省におきましては大変頻繁に意見を交換してまいったという事実がございますので、いつでもお話を伺うという物の考え方のもとで被害者救済対策を実施してきているということでございます。  御指摘のございました自動車事故対策計画につきましては、計画を策定する際に多くの人の意見を聞くという意味でパブリックコメントのような手続を行うことによりまして、被害者の方々を含め広く意見を募ってまいりたい、こう思っております。  それからまた、自動車事故対策計画の策定に当たりまして関係審議会で議論するということにつきましては、いわゆる自賠審という話がございますけれども、私どもとしては金融庁と相談をして対処していきたいと思っております。
  135. 大門実紀史

    大門実紀史君 財政金融委員会で私、金融庁の今度自賠審のまた部会ができるそうで、その中にぜひ委員として後遺障害者の代表の方を入れてほしいという要望を出しているところなんですけれども、とにかく私ちょっと心配しますのは、この自賠審答申あるいはあり方懇の答申の流れの中で、やっぱり懇談会なり審議会方式で議論されたことが、割といろいろ途中経過も含めてオープンになって答申にまとめられるという経過が非常に重要だと思っているんですね。  その中で、普通だったら社会的発言力の弱い、どちらかというと業界の方というのは発言力が強いわけですけれども、だけれどもきちっとそれなりの発言が中に入るということで保障されるわけなので、情報公開を含めてそういうオープンな場で議論してもらったことをまとめるという形が一番やっぱり反映されると。国土交通省が頻繁に被害者の方のいろいろ要望を聞かれているのを私よく承知しておりますので、よく努力されているというふうに評価させていただいていますけれども、ただ、個別に聞きますとやっぱり力の強い方にという心配がありますので、やっぱりオープンな場でみんなで懇談してもらって、意見を出してもらって、その中身を公開するというふうな、これからこういう時代ですから、保障検討していってもらいたいというふうに思います。  具体的な中身で幾つか質問いたしますけれども、ただやっぱり被害者救済後遺障害者の救済問題で本当に大丈夫なのかなという心配を実は幾つかしておりまして、そもそもわからないのが、今回のずっと出ている二十分の十一、二十分の九、いわゆる十一対九なんですけれども、なぜユーザー還元に一多いのか。十対十じゃなくて、何で十一対九で、被害者救済が九になってしまったのか。これは率直に私疑問なんですけれども、お答えいただけますでしょうか。
  136. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  政府保険から生じます運用益につきましては、これまでもユーザーによる保険料負担軽減ということと、それから被害者救済ということ、その二つの柱に使われてきているわけでございます。この制度改正時に残ります運用益につきましても、この二本の柱にバランスよく用いるということが必要だというふうに考えたところでございます。  今回、具体的に比率を決定するに当たりましては、平成十二年六月の自賠審答申も踏まえまして、再保険運用益につきましてはユーザーによる保険料負担軽減に充てることを一応基本とする、それから運用益を活用した被害者救済対策などの充実に充てるということを考える、この二つの要素を勘案いたしまして、二十分の十一をユーザー負担軽減に、二十分の九を被害者救済対策などに充てることとしたものでございます。  平成十三年度予算におきます被害者救済対策などの額は約百八十六億円でございますが、累積運用益の二十分の九、およそ九千億でございますが、これを被害者救済に充てることといたしたところでございますので、引き続きこれによって安定的な実施が可能というふうに思っているところでございます。
  137. 大門実紀史

    大門実紀史君 やっぱりわからないんですけれども、自賠責法そのものは被害者救済が一番の趣旨なんですよね、自賠責法というのは。この間の答申、あり方懇の答申も自賠審の答申も、やっぱり被害者救済が一番に書いてあって、この法案が出てくるときにどういうわけか十一対九と。私はそのユーザー還元を何も否定するわけじゃないんですけれども、ユーザー還元であっても、もちろんノープロフィットの原則ですから、ノーロス・ノープロフィットですからわかるんですけれども、これだけ被害者救済が重要で、しかも後遺障害者についてはかなりふえてきている、その対策が重要だとあれだけ書いてあって何で、せめて十対十じゃないのか、何で一ユーザー還元に行っているのかなと。議論の流れから行きますと、僕は逆に被害者救済が十一でユーザー還元が九ならこの答申の流れだなというふうにわかるんですけれども、何で逆に一がユーザー還元に行ったのかがわからないんです。  例えば加入者還元といいますかユーザー還元、保険料を値下げしていくということですね、還元していくということですね。これは幾ら還元されるんですか、加入者にとって。資料によりますと、六年間で毎年一千二百億から一千三百億返していくということですね。これは一人当たり幾ら保険料が安くなるんですか。
  138. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) ユーザー還元に関する御質問でございますが、一応財源として二十分の十一を考えているわけでありますが、その財源を用いまして具体的にどの程度保険料率に影響があるかということにつきましては、実はこれから法改正した後に自賠審等で議論していただくことになりますので、各年ごとの話ということについては現時点ではちょっと、法制度改正を待ってからの話だというふうに思っております。
  139. 大門実紀史

    大門実紀史君 私、試算してみたんですけれども、これはケースのとり方によるんですけれども、一番低い場合で百円か二百円、返し方によりますけれども三百円か五百円。私、五百円以内の、ひどければ百円下げますよ、二百円下げますよ程度の話じゃないかなと、金額を保険料で割りますと。だから、そんなものを本当に今ユーザーが求めているんだろうかと。  さっき言った交通事故内容も非常に複雑になって、大体保険に入る人というのは、保険料を安くしてほしいが一番じゃなくて、自分が加害者になるかもしれない、あるいは自分の家族が交通事故被害者になるかもしれない、安心のために入るわけですね。そういう方が、それは千円、二千円値下げするんだったらまだあれですけれども、百円、二百円、三百円ぐらい値下げしてもらうことが強い要求で、それでユーザー還元、ユーザー還元と言っているとは、私は保険に入っている人たちの強い要望とは思えないんです、その程度の話ですと。むしろ、さっきの後遺障害者の話とか、そういう実態を知ってもらうと、やっぱり保険の中身をよくしてほしいというふうに私はなると思うんです。  それが何で十一対九になったのか。やっぱりそこがわからないんですけれども、どこの要望で、どの業界の要望でこの十一対九になったかまだわからないんですけれども、何なんですか、この十一対九の背景というのは。
  140. 泉信也

    ○副大臣(泉信也君) 先ほど来、諸先生のお尋ねにもございます。我々としては、審議会の答申の言葉を受け、また今日までの被害者救済の実態を踏まえてこの率を決めさせていただきました。  確かに、コーヒーも安いところ高いところございますが、コーヒー一杯程度の値段のユーザー還元が本当に歓迎されるのかという御指摘があることは私もわかります。しかし、やはりもともとはユーザーの方からちょうだいしたお金がもとになっておるという事実もこれは否定できないわけでございまして、審議会の先生方、そしてまた当然私自身も被害者の方々にお目にかかってお話を伺った上でこうした比率で案分させていただく、そのことが一番関係者の皆様方にも御理解をいただいておるというふうに理解しておるところでございます。
  141. 大門実紀史

    大門実紀史君 余りこれに深入りしませんけれども、もともと加入者のお金だったというのは当たり前の話で、保険ですから。何のために保険に入っているかはさっき申し上げたわけで、ちょっとでも返してもらいたいと思っているかどうかが私は疑問なんですよ。それよりやっぱりちゃんとした保障保険を、自分が加害者になるかもしれない、被害者になるかもしれない、自分の家族がなるかもしれないという状況ですから、その辺をよく御承知いただいて提案してもらいたかったなと思うんですけれども、そこは非常に大変疑問なままなんです。  次に、運用益事業の中身についてお伺いいたします。これは十三年度予算で、先ほども質問に答えて説明がありましたけれども、被害者救済百二十四億、自動車事故防止対策、その二十分の九の中身ですけれども、合計で百八十六億ということですけれども、今後この百八十六億の規模というのはどういうふうになっていくというふうにお考えなんでしょうか。ふえるんでしょうか、それともこのままなんですか。その辺はいかがですか。
  142. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  この被害者救済対策事業等につきましての今後でございますけれども、従来より政府保険運用益を活用して対策を行ってきておるわけでございますが、平成十三年度におきましては、介護料の支給の範囲の拡大とか、それから療護センターの新設とか増床を行うなど重度障害対策に重点を置いた被害者対策をやってきておるわけでございます。  今後の事業のあり方につきましては、事業の効果とか必要性とか他の制度関係等も考慮に入れながら、財源をより効果的に活用しようという視点から適宜見直しを行いながらその充実を図っていくというふうな視点で取り組んでまいりたいと思っております。
  143. 大門実紀史

    大門実紀史君 つまり、約二兆円で二%の運用ですか、午前中ちょっとお答えになっておりましたけれども。それで、そのうちの二十分の九で、つまり大体これからも百八十億ぐらいの規模ということですか、そうすると。今、中身のことを言われましたけれども、全体規模はこれから百八十億ぐらいで推移するということなんでしょうか。全体規模を教えてください。
  144. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) 当面、おおむねその程度の規模で実施していくというふうに思っております。
  145. 大門実紀史

    大門実紀史君 その中身に少し入りますと、私、この問題にいろいろ取り組んできて、例えば介護給付がございます。これがヘルパーさんを頼むと一日四千五百円の給付が出るんです。頼まない場合は半分の二千二百五十円出るんです。この金額については後でまた申し上げますけれども、ちょっと違うんじゃないかなと思うのは、他人に頼むといいますか、家族が自分でやったときは他人に頼んだときの半分だという意味です。なぜ半分なのか。これは半額ということだそうですけれども、人に頼んだりヘルパーさんに頼んだ場合の半分しか見ていないと、家族の介護を。これはどういう考え方なんでしょうか。  私は、交通事故という特殊な場合は通常の介護保険の介護とかに当たらないと思っているんですけれども、どういうふうに考えておられますか。何で半分なんですか、家族が介護すると。
  146. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  他人に頼みました場合にはコストをフルにお支払いしなければいけないという事情にあります。一方、家族の場合には、家族の中での助け合いという面もあるでしょうから、そういう意味で半分というような程度の金額になっているというふうに承知しております。
  147. 大門実紀史

    大門実紀史君 私、その家族の助け合いとか家族のことは家族が面倒を見るんだというようなことを一般的に言われるのはわかるんですけれども、交通事故というのは当たらないと思っているんです。  なぜかといいますと、大体交通事故に遭わなければ、その家族は介護をする必要はなかったわけです。加害者がいるわけです、加害者が。加害者によって与えられた被害なんです、家族が介護しなければいけないという状態も。そうでしょう。普通のお年寄りの介護とか子供が風邪で寝ているのを親が介護するのとわけが違って、加害者がいて、第三者からの過失といいますか、被害を与えられて家族がその負担をしているわけです。これは、法律的に言っても、ほかの家族介護と公的な介護等の差と別に論立てしなきゃ成り立たないというふうに私は思っているんです。いわゆる家族だからとか家族の助け合いとかいうのは、これは当の御本人にとっては何でそんな目に遭わなきゃいけなかったのか。そもそも考えてみたらこれは違うと思うんです。私、そもそも疑問なんです、この金額が違うというのが。  さらに、二千二百五十円、あるいはヘルパーさんを頼んでも四千五百円というのがいかに低いかというのは、これはもういろいろ現場の実態を聞かれてよく御存じの上でなかなか改善できないというふうにお答えされているんだと思います。  遷延性という、植物状態で寝たきりの子供は一日に十回以上たんを吸い出さなきゃいけないんです。たんを、エキュウレというんですけれども、吸い出さなきゃいけないんです。これは実は医療行為なんです。お医者さんか看護婦さんしかやっちゃいけないんです。これはヘルパーさんもやっちゃいけないんです。家族に何でやらせているかというと、万が一事故があっても家族だから裁判にならないから家族がやるのを容認しているという形になっているんです。だから、本来やられるべき医療行為をやれない状態が今の状態なんです。これは、もしも看護婦さんを頼んだら、十回もやりに来てもらったら四千五百円じゃ足りないんです。だから、非常にその金額がもう実態と合わない。これは私、財政金融委員会で取り上げて、金融庁の方からも国土交通省の方からも、金子審議官が、今のままでいいとは思っていないというような答弁をいただいて、今後は何とか少しずつでもよくしていく方向だという答弁はいただいています。  さっきの話に戻りますが、百八十億という、頭打ちで、今現在の給付状態がそうです。今百八十億ぐらいでやっている。この百八十億はずっと変わらないのに、この中身をどうやって改善していくのか、どうやったら中身を改善していけるのか、その辺の展望といいますか、その辺をちょっと教えてもらいたいと思います。
  148. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  中身の、事業内容見直しとか効率化等の点でございますけれども、今まで長い期間行ったような事業につきまして、事故防止に対する効果がどうであるとか、それからサービスを受ける人に対する負担をどうするかとかいったような点について今見直しを行って、できるだけコストのかからないような方向に努力をすることであるとか、療護センター、非常に大きな事業費でございますけれども、基本的には新しいものは民間委託をしておりますけれども、例えば千葉の療護センターについてはまだ民間委託できていませんので、民間委託することによってコストセービングできないかとか、いろんな見直しのことが考えられると思います。これは、被害者救済事業のみならず、事故防止対策も含めまして全体について見直しを行って、また一方、新しいニーズも出てくるでしょうから、そのニーズとの関係も踏まえながら見直しをしながら事業の充実に努めてまいりたいというふうに思っております。
  149. 大門実紀史

    大門実紀史君 本当に、ぜひ見直してもらいたいのは自動車事故防止対策の六十二億。これは中身を本当に見直してもらいたいなと思うんです。そもそも疑問なんですけれども、警察庁も交通事故対策をいろいろやっていますけれども、なぜここの限られたお金を使って、被害者救済に回せる部分を分捕ってまで、私から言わせれば本当にそういう表現をしたくなるぐらいなんですが、その自動車事故防止対策に六十二億も、百二十四億しかないわけです、被害者救済に。その自動車事故防止対策に六十二億も、ほかでもやれる、一般財源でもやれるはずのことを何でここで一生懸命やらなきゃいけないのか。  恐らく、自動車事故防止に努力すれば、自動車事故が減って、自賠責保険運用益もたまって、また被害者救済に回せるというような、風が吹けばおけ屋がもうかるみたいな、そういう理屈かなというような気がするんです、事故を減らせばみたいな。ただ、ここでやらなくても私はいいじゃないかと思うんです、限られた財源だから。  そういう点で、非常に調べて何なのかわからなかったのは、今度の十三年度予算の中に入っているんですけれども、都市交通の安全・円滑化に資するバス利用促進等総合対策事業とあります。十九億円も使っていますけれども、これは何なんですか。中身を説明してください。
  150. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  自動車交通事故による被害の未然防止を図るという観点に立っているわけでありますが、交通がふくそうして、自家用車の輸送人キロに対する死傷者数の割合が非常に高いと言われている都市部でございますけれども、ここにおきまして、安全性の高い公共交通機関であるバスの利用を促進する、図ることについて、これによりまして交通事故を抑制することが必要かつ効果的であるというような認識のもとに行っているものでございます。  具体的には、バスの走行環境の改善、ノンステップバスの導入などを通じまして、バスの利便性の向上や利用の促進を図っておるものでございまして、これによって都市交通の安全・円滑化を図りまして、自動車交通事故による被害を未然に防止しよう、被害者保護を増進しようというふうに考えております。地方公共団体と連携しながらこういうような事業を支援しているということでございます。
  151. 大門実紀史

    大門実紀史君 そんなことはこのバス利用促進等総合対策事業のペーパーにはどこにも書いてないですね。要するに、人、町、環境に優しいバスの意義を最大限に発揮した町づくりに取り組む市町村支援事業と。だから、それはこじつければどこかで自動車事故防止につながるかもわかりませんけれども、こんなものはここでやらなくても、一般の、これは特にバリアフリーだとかノンステップバスとかそういう一般的な事業ですから、ここでやる必要はないんじゃないか、ここのお金を使ってやることはないんじゃないかと私は思います。当然、ほかの事業でこういうことやっているわけだから、バリアフリー化とか、これはいいことです、この事業そのものは。いいことだと思うんですけれども、ここで被害者救済に回すお金まで使ってやることはないんじゃないかと私は思います。  そういう点で、事故対センターがやっている事業というのは過去にもいろいろ批判を受けてきたというふうに思います。例えば、これ十九億円でしょう、さっき言った介護の支給というのは四十億ですね、大体。このお金を、わけのわからないバス事業をそちらに回したら一・五倍の介護給付ができるんです。何でそれを削ってまでこんなバス事業をここでやらなきゃいけないのか。全然私は理由にならないと思うんです。  これは、もうちょっと事故対センターが今やっぱり特殊法人、その外郭団体の整理の中でかなり私はいろいろ問題点指摘されていると思うので、こんなことをやっているとますます本当に批判を受けると思うんです。本来やるべき被害者救済にもっと人もお金もかけるというふうにやらないと、みずから首を絞めているようなことをこの事故対センターは私はやっているということを指摘したいというふうに思います。  そういう点では、限られた百八十億の中の交通事故防止対策の事業の中身を抜本的に見直すと、先ほど見直しと言われましたけれども、この交通事故防止対策事業を抜本的に見直すお考えはありませんか。
  152. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  もともと、この事故防止対策事業につきましても、より交通安全に資するものに重点化するという視点から取り組んできているわけでございますけれども、そういう視点から当然見直しをしていきたい、こう思っております。  そういう中で、事業が現在の時代のニーズに合ったものであるかどうかよく判断しながら重点化をするといったようなことで取り組んでまいりたいと思います。
  153. 大門実紀史

    大門実紀史君 とにかく減らしてもらいたいと思います。被害者救済に回してもらいたいというふうに思います。  冒頭言いましたけれども、今親御さんたちが一番心配されているのは自分たちが亡くなった後子供はどうなるんだろうということ、あるいは自分たちが倒れた後だれが子供の面倒を見てくれるんだろうと、寝たきり状態の。そのことを今非常に心配されているわけですが、そのことではさっき療護センターの話がありましたけれども、これはいろいろ言われましたけれども、私率直に言って非常に不十分だと思うんです。相当努力してもらうか何か抜本的に考えないと、そういう短期入院にしろ、もし亡くなられたとき引き受けるにしろ、全然私は足りない状態じゃないかというふうに思います。  例えば、さっき中部の療護センターで短期入院のベッドが五床つくられたとおっしゃいましたけれども、ほかの療護センターはありませんよね、今の段階では。短期入院用の五床というのはないですね。本当に、仮に五床ずつでもとりあえず各療護センターにあれば非常に皆さん助かるんですよ。短期入院でも、二十四時間三百六十五日ぎりぎりの状態でやっていられて、何かのときにちょっと預かってもらえれば物すごく助かるんですよ。中部にやっと五つ、五床だけではもうこたえられないんですよね。東京の人が岐阜まで行けるわけないんですよね。  そういう点では、短期入院にしろ、療護センターそのものも今後どうされるのかはありますけれども、その短期入院の五床だけじゃなくて療護センターそのものは今後ふやしていかれるんですか。ふやせるんですか。お答えいただきたいと思います。
  154. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) 療護センターにつきましては、この七月に中部で新しいセンターが開所するということになります。  今お待ちになっておられる方々もおられますので、その方々の関係で申し上げますと、できるだけ療護センターで治療行為を受けていただくようなスペースを確保するという意味から、センターの周辺あるいは附属施設と申しますか、介護病床というものをふやしていって、そこに移っていただける方は移っていただくということによってキャパシティーをふやしていく。それから、一部適切なものについては一般の病院の方にも受け入れを模索していくといったようなことで、全体としてそのサービスを受けられる方をふやしていこうというような考え方で取り組んでおります。
  155. 大門実紀史

    大門実紀史君 療護センターについては、もう岐阜の後、今のところふやしていく計画はないということはお聞きしていますけれども、その中で合理化したり、あるいは協力病院を頼んでいくという方向だということだと思いますが、それはたしか協力病院も今回一病院九百万ですか、六カ所試験的にお願いするということですね。これはどういう意味なんですか。九百万円ずつ出して六病院募集するんですか。これはどういう計画なんですか、五千四百万の計画というのは。
  156. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) 在宅で療養生活を送っておられる重度後遺障害者の方々に定期的に医療機関において適切な診断、治療を受けることと、それから患者の家族の方々にとって在宅介護の技術やケアの方法について医療機関から指導、助言を受けることが望ましいというふうな考え方に立っているわけでございまして、このため、短期入院の受け入れが可能な医療機関を協力病院として位置づけまして、これらの協力病院が行う在宅介護指導活動や重度後遺障害者に対する治療、介護技術の研究活動などに対しまして助成措置を講じるというふうに考えているところでございます。
  157. 大門実紀史

    大門実紀史君 この療護センターが今一ベッド当たり大体年間予算二千万ぐらいかかるというようなことをおっしゃっているんですね。普通の病院が二十四時間介護の必要な人を受け入れるというのは相当大変で、相当の何らかの措置がないと私は協力病院は広がらないというふうに思います。これは本当にどうなるのかなというふうに思って心配しているところですけれども、少なくともさっき申し上げた療護センターの短期入院用のベッドを至急ふやすというのは国土交通省努力でできると思いますから、ぜひそれは急いでやってもらいたいというふうに要望しておきたいというふうに思います。  その短期入院のことで一つだけ最後に申し上げますけれども、補助ですね、家族に対する補助が一日一万円で二週間以内、年間三十万円以内というのがありますけれども、私、これも実態に合わないなと。大体今、差額ベッドとかでそういうふうに頼みますと差額ベッド代取られて一万五千円とか一万八千円取られるんですね。そうすると八千円自己負担とか出てくるわけですよ。そうなると、やっぱりその負担のために預けるのをちゅうちょするということが起きてしまうんで、年間三十万という予算をとったんでしたら余り細かいこと言わないでその範囲でやれるというようなポイント制なり、何か新しい使いやすい制度にしてもらいたいというふうに思います。  最後に、扇大臣に一言だけお聞きしたいのは、やっぱり実態として努力されているというのはわかるんですけれども、いろいろ不十分だと。後遺障害者に対する対策が不十分だと思いますから、その辺を御認識された上で具体的にどういうふうにやっていかれるお考えなのか、最後に一言聞かせてもらえればと思います。
  158. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、大門先生とのやりとりの中で、少なくとも私は限られた金額をどう配分していくか、大事なことだろうと思っておりますし、またその中で、少なくとも今回十三年度として五千四百万円の予算化をしましたけれども、今、大門先生がおっしゃったように六病院だけではなくて一般病院にも、なおかつ短期の重度障害者のケアに対してももっと配慮すべきではないかというふうにおっしゃいまして、また私どももできる限りのことをしなければならないとは思っておりますけれども、短期入院の場合の一回の入院期間は大体二週間以内ですとか、あるいは年間の通算入院日数は三十日以内、あるいは入院と入院との間、三カ月以上在宅期間を置くとか、そういう条件がるるございますので、私は、今おっしゃったように、少なくとも今後限られた中でもより重度後遺障害者のためには、家族全員が同じような症状になる、その一人の人のために家族全員まで犠牲にならなきゃいけないという現状というものを考えましたときに、果たして今、先生がおっしゃったように、このままでいいのかと。そういう家族の負担というものをどこでどうケアしていくのかということも含めて、私は今後、この交通事故によります重度後遺障害者の問題というのは大変重いものがあろうと思います。  また、先生から御指摘ございましたように、自動車事故対策センターのあり方、これ自体に対しても私は今後精査しなければならないし、国土交通省になって右のものが左へそのままということも私は今後検討する大きな材料だと思っておりますので、国土交通省としては、その辺のいろいろな御論議いただいたところの要所要所を今後すべてに対して見直していったり、また注意をし重要視していく、そういう政策をとっていきたいと思っています。     ─────────────
  159. 今泉昭

    委員長今泉昭君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、筆坂秀世君が委員辞任され、その補欠として八田ひろ子君が選任されました。     ─────────────
  160. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 政府保険制度の評価についてお伺いいたします。  車の保有者の加入が義務づけられている自賠責保険は、我が国の画期的な被害者保護制度であると思います。特に、政府保険制度が果たしてきた役割は大きく、自賠責保険の根幹をなすものであると考えます。今回の改正法案はこの政府保険制度を廃止しようとするものでありますが、これまで政府保険制度が果たしてきた機能についてどのようにお考えになっているのか、国土交通省にお伺いいたします。
  161. 泉信也

    ○副大臣(泉信也君) 今日までの政府保険制度の役割につきましては、手前みそになりますが、私どもも大変高い評価をしておるところでございます。それは、もともとこの仕組みをつくらせていただきましたときが、先ほど来御説明いたしておりますように、リスクヘッジをどうするかという議論があった上でこうした再保険制度をつくらせていただいた経緯があるわけであります。と同時に、自賠責保険支払い適正化にこの制度を通じて寄与できたのではないか、さらに被害者保護に対しましてもこの制度の有効な活用の中でとり行われてきたのではないか、こうした点から我々は今日までの再保険制度についての評価をしておるところでございます。
  162. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 次に、保険金支払い適正化機能確保と国の役割についてお伺いをいたします。  政府保険の持つ、損保会社の経営が悪化しても保険金被害者に支払われるようにとのリスクヘッジ機能は既に不要のことですが、近年、損保会社の破綻というケースも発生をしておる中で、本当に政府保険制度を廃止しても保険金支払い適正化機能は確保されるのでしょうか。また、制度改正後に国はどのような役割を果たそうとしているのでしょうか、お伺いいたします。
  163. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、渕上先生がおっしゃいましたように、従来の自賠責保険、これに関しての政府によります再保険というものは、先生がおっしゃいましたように、既にリスクヘッジ支払いは適正に一定の役割を果たしたと、今、先生も言っていただきましたけれども、私どもも同じ考えでおりますし、またその自賠責の制定当時に想定されておりました御存じのリスクヘッジ機能というものが現在はもう乏しくなってきている、そういう認識は今、先生に御指摘いただいたとおりでございますので、私たちはそういうような要望を踏まえまして今回のことに、平成十二年三月に閣議決定されました規制緩和推進三カ年計画、これによりまして被害者保護充実等の五条件の実施の方向を確認した上で、私どもは政府の再保険を廃止するというふうに決めたわけでございます。今後、これらを踏まえまして、関係者の間で議論を進めた結果、本法案で、先生御存じのとおり、政府の再保険を廃止すると。  ただ、その一方で公正な第三者による保険金支払いに関します紛争処理仕組み、これを設けることが大変大事であるというふうに考えておりますので、私どもは政府の再保険制度が持っておりました保険金支払い適正化機能を代替して被害者保護救済を行うための仕組みを整備する、そういうことが一番大事だと思っておりますし、また今、先生がおっしゃいました保険金支払い適正化ということにかんがみましては、被害者保護に必要なセーフティーネットを私たちは整備しなければいけない、そう思っております。  また、具体的にそれじゃどういうことができるのかということになりますと、これは公正な第三者によります保険金支払いに関する紛争処理仕組みをつくる、これが一番私は第一義的に大事なことだと思っております。また、その次には死亡等におきまして保険金支払いの届け出、あるいは国の保険会社に対します指示等、国によります最小限のチェックが必要であろうと、そのように考えております。それから最後に、保険会社保険金支払いに関します情報の提供の仕組みをしてさしあげること、公平性という意味から。この三つが大事な要件になってくると思っております。
  164. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 次に、金融庁にお伺いをいたします。  保険金の提示についてお伺いいたしますが、任意保険支払いの際、保険会社の当初の提示額と最終的な保険金支払い額に大きな相違があると聞いております。このことは保険会社は当初の段階で適正な保険金の提示を行っていないということを意味しており非常に問題であると思いますが、保険会社監督されている金融庁はどのようにお考えなのでしょうか、お伺いをいたします。
  165. 田口義明

    政府参考人田口義明君) お答えいたします。  自動車事故が発生した場合の損害賠償についてでございますが、個々の事故にはいろいろな要因が絡んでおりますこともあって、損害額や過失割合につきまして加害者側被害者側で主張に差があるというようなケースも往々にして見られるわけでございます。  保険会社は、過去の類似事例に関する判例の動向などを踏まえまして、被害者側損害賠償額の提示を行っているわけでございますが、交渉当初におきましては、双方の損害額でありますとか過失割合に関する主張に隔たりがありますために、保険会社が提示いたします額が被害者側が求めます損害賠償額よりも低く出されまして、その後の交渉によりまして両者の主張の隔たりが次第に埋まっていくという過程で、保険会社の提示いたします損害賠償額が引き上げられていくというようなケースもあるものと承知しております。  任意保険保険金支払いに関します問題につきましては、基本的には当事者間で解決されるべきものではございますが、保険業法に照らしまして、保険会社業務の運営に問題がありますような場合には、金融庁といたしましても適切な監督を行ってまいりたいと考えております。  なお、任意保険支払い適正化を図ることを目的といたしまして、財団法人の交通事故紛争処理センター等による和解のあっせんでありますとか裁定の仕組みもございまして、こうした仕組み保険金支払い適正化に寄与しているものと考えております。
  166. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 引き続き、金融庁にお伺いいたします。  任意保険支払いの基準の提示をお願いしたいと思うんですが、支払い適正化措置の一環として自賠責保険支払い基準は被害者に対して提示されることになります。このことは、被害者に対する情報提供充実になるため大変結構なことだと思います。しかし、自賠責保険だけでなく、払い渋りを指摘されている任意保険についても同様に支払い基準を被害者に提示すべきではないでしょうか。金融庁の見解をお伺いいたします。
  167. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) 御指摘のとおり、任意保険におきましても、保険金支払いに関しまして被害者に対して適切な情報提供を行うということは重要であるということは論をまたないわけでありますけれども、自賠責保険では損害査定が定型的、画一的に行われるのに対しまして、任意保険では被害者の実情をきめ細かく反映させながら、類似事例に関する判例の動向等も踏まえつつ、個々の損害賠償額を算定するということにしているようでございます。このため、任意保険支払い基準を被害者に提示することは困難ではないかというふうに考えております。  他方保険会社は、示談時に被害者に対しまして、損害額、過失割合、治療費、休業損害、慰謝料等の内訳ごとの支払い額を原則として書面で提示することにしていると承知しておりますので、こうした損害保険会社取り組みをさらに進めることによりまして、被害者の納得を得ていくことが保険会社に対して求められているものと私どもは考えております。
  168. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 次に、同じく金融庁にお伺いをいたしますが、自賠責と任意保険関係についてお伺いいたします。  一九九八年七月の任意保険の自由化以降、利益確保のために任意保険を払い渋るケースがふえていることが自賠責の支払いにも影響しているのではないかと思います。九八年七月の損害保険自由化までは原則として無風地帯でしたが、自由化後は十分な料率検証のないまま保障拡大競争を繰り広げたツケが収支の悪化という形で回ってきているのではないかと思います。  保険金支払いが今後もふえ、採算が悪化すれば、各社は一段と経費の削減を迫られるなど経営効率化を求められることになります。経営効率化のためには、被害者の損失を一割増やせば一億円の保障は一千万円浮かすことができるという損保業界の声もあります。実際は、任意保険会社が自賠責の分を含めて損害調査支払い保険金額の計算を行い、被害者と示談交渉をし、被害者保険金を支払う一括払いシステムで対人七〇%が処理されていると言われています。ここに自賠責が被害者のために生かされていない一つの問題があると思います。  先ほども議論がありましたけれども、自賠責のノーロス・ノープロフィット原則と任意保険の損保の利害は本来一致しないのではないかと思いますが、その見解はいかがでございましょうか。
  169. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) お答えをいたします。  自賠責保険については、運用主体といいますか、それは民間保険会社でございますけれども、私どもは、強制保険である、それから被害者の最低限の保護目的としているということ、それから強制加入が義務づけられているということでございまして、そういう意味でいわば社会保障的な色彩も持った保険制度でございますので、そういう意味で損保会社が利潤を得て行うべきものではないということで、ノーロス・ノープロフィット原則に基づいて運用をしている、こういうことであります。そういう意味で、損保会社は、自賠責保険事業から生じた収支差額あるいは運用益については法律に基づきまして全額を準備金として積み立て、それからこの積立金を取り崩すことができる場合も法定されている、こういうことであります。  今度の改正においても、ノーロス・ノープロフィット原則を維持していくということでございますが、仮に保険会社の払い渋りという事態がないように、先ほど政府参考人の方からもお答えしましたように、いろいろな制度仕組みというものを構えてそうした事態に備えていきたいというふうに考えているわけでございます。
  170. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 制度に対する信頼というのは非常に大事なことでして、ですから払い渋りがありますと、それはそれぞれ損保会社の競争関係もあると思いますけれども、やはり問題は制度に対する信頼、そしてこの制度を変えようとしていくことについて国民の信頼というものを考えなきゃならないと思いますので、今後そのようなことがないように金融庁としてしっかり監督をしていただいて、制度の信頼に対して努力いただきますようお願いを申し上げておきたいと思います。金融庁関係についてはこれで終わりにいたします。  次に、警察庁にお伺いをいたしますが、交通事故被害者への情報提供についてでありますが、被害者に対する情報提供という意味で、警察交通事故について行った調査結果についても、被害者に対して情報提供充実させていく必要があると思います。この点について警察庁としてどのような取り組みが行われているのか、お伺いいたします。
  171. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) 交通事故被害者あるいは御遺族に対します情報提供についてのお尋ねでございますけれども、交通事故被害者あるいは御遺族の方々の御要望等に応じまして、捜査あるいは関係者の人権の保障に支障がない範囲で事故概要等の説明を行っているところでございます。加えて、被害補償制度の概要とか、あるいは各種相談窓口等をわかりやすく紹介したパンフレット等を作成配付しているところでございます。  また、ひき逃げ事故被害者交通死亡事故の遺族等に対しましては、こういった当初の事故概要等の説明に加えまして、その後の捜査結果について御連絡するなどの被害者連絡にも努めているところでございます。
  172. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 次に、国土交通省にお伺いいたしますが、被害者救済事故防止対策充実についてお伺いをいたします。  今回の制度改正において、先ほども質問が出ておりましたけれども、運用益の二十分の十一をユーザーに還元して、残りの二十分の九を被害者救済事故防止対策に充てることとされていますが、二十分の十一であり二十分の九というのは、かなり御説明がありましたけれども、なぜ一違うのか、なかなかそこのところがよく理解できない。その根拠をまず、何回も先ほどから聞いているんですけれども、どういうふうに理解すればすとんと自分の気持ちの中に落ちるのか。なぜ十一で、なぜ九なのかというのがわかりません。  わずかな金額を、先ほども質問があったように、ユーザーに還元することよりも、被害者救済事故防止対策充実させるべきだと私も思います。したがって、運用益の全部を被害者救済対策に充ててもよいと私は逆に思います。これは今、待機している方々がかなりおられるようなことも考えますと、施設の充実なども含めて考えるべきではないかと思いますが、その点、いかがでございましょうか。わかるように。
  173. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  政府保険により生じます運用益につきましては、二本の柱に、被害者救済ユーザーによる保険料負担軽減と二本の柱にこれまでも使ってきたという経緯がございまして、今回の制度改正につきましても同じ考え方でバランスよく用いることとしたわけでございます。  今回、二十分の九、二十分の十一と分けた理由でございますけれども、基本的にはいろんな議論がございました。先生おっしゃるとおり被害者救済に全部充てるべきだという議論もありましたし、ユーザー還元に全部充てるべきだという議論もございまして、そこでいろいろと議論をした結果、関係者の合意に達した点なんですが、この運用益自身の性格がもともと支払った保険料から出たものだという点に配慮しながら、やはり半分を超える、つまり基本はユーザー還元を少し多くするということを踏まえながら、しかし、今行っている被害者救済ということに後戻りがあってはいけないということも踏まえて、合意された数字というふうになりますので、余り明確な説明でなくて大変恐縮なのでございますが、一応そのような考え方で数字を、率を確定したところでございます。
  174. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 終わります。
  175. 田名部匡省

    田名部匡省君 最初に扇大臣に。今回の改正は、自賠責法の目的であります被害者保護内容そのものでなくて、自賠責保険運用システムの改正であると私は理解しているんです。再保険を廃止するという点で、まず最初に扇大臣にお伺いしたいんですが。  政府の再保険特別会計は廃止するわけですけれども、被害者救済のための特別会計制度を新たに設けると。このところは問題とされている特別会計ですが、この特会は大変累積運用益が出ているというふうに伺っているんですが、赤字だらけの特会とはこれはもう大分違う、だからいいんだというわけではないんですが、特会制度見直しは私も重要だと思います。  被害者救済のための特別会計を設けることになったのは、一般会計からの支出ということになると、政府の今の財政状況では、あるいはこれからの財政状況いかんでは被害者救済切り捨てになるおそれがあると。被害者保護のためあえて特別会計制度として残すこととしたと理解しておりますが、そのほかに特に理由があるかどうか。  役所間の権益を守るというのはいつの時代でもすさまじいものでして、えてして国民ほったらかしであるとか被害者はもうそっちのけで一生懸命になる姿を私も何年も見てきております。また、この特別会計の支出をどのようにコントロールしていくのか。運用益だからといって補助金などをじゃぶじゃぶ垂れ流す特会、そういうことにしてはならない。  この辺について、どのような基本姿勢でこの運用に当たるかを、まず扇大臣にお伺いしておきたいと思います。
  176. 泉信也

    ○副大臣(泉信也君) 今回の制度改正に当たりまして、約二兆円という果実の扱い方が大変議論になったことは先生御承知のとおりでございます。私どもは、先ほど来お答えを申し上げておりますように、一方で全額被害者救済に充てるようにという御意見と、一方でユーザーに還元しろという御意見をいただく中で、審議会の答申をもとにこのような被害者救済に二十分の九という数値を出させていただきました。  本来、こうした事柄は、一般国民の中に自動車がこれほど普及した今日では、いわゆる社会保障的に自動車事故被害者救済も行うべきではないかという議論が一方ではあったわけですが、なかなかそうしたことができがたいという事実がございましたので、先ほど来申し上げましたように、この運用益の中から被害者救済のための施策をさせていただきたい、このように考えたわけでございます。  そして、現在は約九千億の中で二%ということでございますが、金利が上がったときにさらに果実を生む、そういうものをいわゆる補助金等によって関係機関に垂れ流すようなことをするなという先生の御趣旨だろうと思いますけれども、私どもはそういうことをするつもりは全くありません。もしも安定的な果実がこの九千億程度のお金から生まれてくるということになれば、それはまた関係者の御意見を伺った上で被害者救済対策等をさらに充実させていただくとか、あるいは安全対策をさらに積極的に進めるとか、そうした事柄をやらせていただくつもりでございます。
  177. 田名部匡省

    田名部匡省君 私も、これは基本的に非常に大事な仕事だと、こう思っております。最終的にはやっぱり、後でまたお尋ねしますけれども、被害者ということからポイントをずらさないで、大体、えてしてお金があるとあっちへ使ったりこっちへ使ったり、こっちにもくれあっちにもくれといって、貧しいうちはそんなことしませんよ、何でも金を持ってくるとおかしな使い方をするというのが今でも変わらぬと私は思うんですね。さっきも、破綻したときにどうするかというのを渕上先生、皆さんから質問あったから、これはまあいいです。  農林省、来ていますね。損害保険会社はプールシステムを採用しているわけですね。特定の会社に損失が偏ることのないようにしているわけですけれども、自賠責共済に関しては確かに平成十八年まで全共連はプールシステムに加入していないと考えておりますけれども、そういうやり方で一体大丈夫なのかなという気がしますので、お答えいただきたいと思います。
  178. 林建之

    政府参考人(林建之君) お答えいたします。  農協の行います自賠責共済につきましては、自動車損害賠償保障法のもとで、同一の商品内容によりまして収支均衡の原則に従って実施しているわけでございます。収支残につきましても、共同プール計算と同一の基準で準備金等として積み立てをしているところでございまして、そういった意味で損害保険会社が行っております自賠責保険と同一の内容で実施をしている、そういう意味で健全な運営をそういったことで確保されておるものと考えております。  それで、御指摘ございましたように、農協の行います自賠責共済につきましては、自賠責保険損害保険会社によります自賠責保険共同プール計算に参加しておりませんけれども、この自賠責共済につきましては、一般に事故率の低い農村部で実施しているということもございまして、昭和四十一年の自賠責共済に参入して以来、健全な運営が確保されておるという状態にございます。
  179. 田名部匡省

    田名部匡省君 農村は、道路整備も余り行われていないし暴走族もいないから大丈夫だと思うんですが、いずれ地方にも道路をつくれ、つくれといって騒いで立派な道路ができてくると事故がふえていくのかどうかわかりませんが、心配ないようにしていただきたい、こう思います。  ところで、この自賠責再保険特別会計運用益、先ほども話が出ていました、二兆円累積したと。こういうことで、これも四割部分を運用していた民間保険会社の累積運用益、これは一体どういうふうに使われているかというのはさっきもちょっと聞きましたが、あるいは共済も同様にこの運用益はどういうことになっているのか、その辺のことをちょっとお伺いしたいと思います。
  180. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 保険会社によります運用益でございますが、平成十一年度末で約二千四百六十七億円というふうになってございます。この累積運用益の使い方でございますが、自賠責保険事業から生じました保険会社運用益につきましては、自賠法規定によりましてその全額を準備金として積み立てるとともに、この積み立てた準備金を取り崩すことができますのは、事業収支の不足の補てんに充てる場合のほか、自動車事故の防止でありますとか、被害者対策等、主務省令で定める場合に限定されております。  今年度どう使われているかということでございますが、財団法人交通事故紛争処理センターが行います無料の法律相談事業に対する支援、約八億円などを初めといたしまして、約二十三億円が被害者救済対策事業に使用される予定となっております。
  181. 林建之

    政府参考人(林建之君) お答えいたします。  自賠責共済の実施により生じます運用益につきましては、損害保険会社が行います自賠責保険と同様に運用益積立金として積み立てております。積立額は十一年度末現在、二百九十億円というふうになっております。これをどう使われるかということでございますけれども、この運用益といいますものは自賠責共済の掛金から生じたものであるということを考慮いたしまして、自動車事故防止対策でございますとか、自動車事故被害者対策等に使用しているということでございます。  具体的に申しますと、ちょっと平成十一年度の実績で恐縮でございますけれども、交通安全教育を行います団体に対してでございますとか、交通遺児に対する救済援助団体あるいは交通事故に対する法律相談を行う団体、こういった団体に対しまして約八千五百万円の寄附を行っているということと承知しております。
  182. 田名部匡省

    田名部匡省君 自賠責保険あるいは共済ですけれども、どうも複雑に監督官庁が絡み合っておるように見えるんですね。一応、これまで被害者救済の側面というのは国土交通省が所管し、事業者の監督金融庁あるいは農林省が所管する、こう私は理解しておるんですが、社会保障的色彩の強いこの自賠責保険あるいは共済は、被害者保護というのが第一だと私は思うんですね。その点で、利益を上げることを認められる任意保険や自動車共済とは根本的に性格が異なると私は考えております。  今後、一層の被害者保護を重視した事業監督が重要であると考えておりますので、監督官庁としてのお考えを伺いたいと思います。
  183. 村田吉隆

    ○副大臣村田吉隆君) ただいま田名部委員が御指摘になるとおりでございまして、私どもといたしましても、自賠責につきましては被害者救済というものが一番の重要な使命でございますので、先ほどから指摘されておりますような払い渋り等々、被害者救済に遺漏のないように適切に対処してまいりたいというふうに考えております。  民間保険会社の民間運用益の使途につきましても、私どもは新たな仕組みをつくりまして、今まで損保会社の諮問機関に任せておりましたけれども、自賠責にかかわる審議会も民間運用益の使い方についても一枚加わるというような仕組みを考え出して、その運用益の使い方が被害者救済に万全を期せるような形にしていきたいというふうに考えているわけでございます。
  184. 林建之

    政府参考人(林建之君) 農協の行います自賠責共済につきましても、この共済が自動車損害賠償保障法に基づき実施されるものでございますから、当然、被害者保護に配慮すべきということは当然のことであると考えております。  農林水産省といたしましても、そういった意味で、今後国土交通省等と密接な連携を図りながら、自賠法趣旨が十分に貫かれるよう、今後、指導に当たっていきたいと、そのように考えております。
  185. 田名部匡省

    田名部匡省君 林さん、いいです、もう終わりましたから、あなたのところは。  次に、交通局長にお伺いしたいんですが、自損事故惹起者、起こした人の問題についてお伺いしたいんですが、二年ぐらい前ですか、私、NHKのテレビ番組を見ておりまして、この問題を取り上げておったんです。車を運転していたら、この間もちょっと私は委員会で何か質問したと思うんですが、猫が飛び出してきた、これを避けようとして電柱にぶつかった。自損事故ですよね。自賠責の保護がないんですね。それから、道路に流れていた油でスリップして対向車線に滑って対向車にぶつかったと。そうすると、相手方に全く過失がないものですから、加害者責事故というんですか、これも自賠責保険保護を受けられない。それであれば、猫が飛び出したらひいてしまえと。ところが、人間、とっさに出てこられたら慌ててハンドルを切りますよね。  ああいうのを見て、確かに暴走族とか飲酒運転の車などがハンドル操作をミスして自爆するのを保護するというのはいかがなものかなと、こう思いますが、それ以外の方々は非常に気の毒なような気がするんですね。一体、このような自損事故惹起者で死亡または重度後遺症害をこうむる方々は毎年どのぐらいの数になっておりますか。わかったらお知らせください。
  186. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  いわゆる車両単独事故などの自損事故による死亡者数というのが約二千百人ほどおられます。先生初めにおっしゃられました自損事故以外にも加害者無責の部分もございますので、加害者責事故による死亡者は約七百人ぐらいでございまして、合計で年間二千八百人ぐらいの方がおられるというふうに承知しています。
  187. 田名部匡省

    田名部匡省君 広い意味で、このような人々も車社会の私は犠牲者だと思うんです。交通事故というのは、加害者被害者というのはいつでも入れかわり得るんですね。一瞬の判断ミスとか、あるいは飛び出したものを避けようという心が逆にあだになって、一切自賠責保険保護を受けられないというのはどうも納得しかねる。あすは我が身だと、こう思っていますが、車を運転する者にとって決してこれは他人ごとではないんですよ。ですから、このような人々を強制保険制度救済することは考えられないかということ。  それから、任意保険救済されていると言いますが、先ほど金融庁に質問したように、皆さんやっておりましたが、任意保険の場合は付保率がどうしても下がるんですね。この問題はさらに顕在化していくのではないかな、こんな気がするんですが、どうでしょうか。
  188. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) 私の方からは自賠責の関係についてお話しをさせていただきます。  自賠責保険は、そもそも保険の成り立ちが加害者から被害者に対する損害賠償の担保を目的としておりまして、自動車ユーザーが加入する保険でございます。こういった自賠責保険におきまして、先生今おっしゃられました自損事故とかあるいは加害者無責といったようなケースまで対象とすべきか否かということにつきましては、自賠法損害賠償責任を前提とするという仕組みになっている関係もございまして、慎重に検討しなければいけないことだなというふうに思っております。  なお、いわゆる自損事故惹起者に対しましても、いわゆる重度後遺障害者になってしまったような方々については療護センターの方でも引き受けることになっておりますので、保険とは別な形ではございますけれども、一応は救いの手を差し伸べております。
  189. 田口義明

    政府参考人田口義明君) 保険会社の任意保険の普及率でございますが、対人賠償の普及率は年々上昇しておりまして、平成十一年度で全体といたしまして約八五%ということで、現在では実質的にほとんどの車が任意保険に加入をしているわけでございます。また、この任意保険の対人賠償のうち九〇%以上が保険金額無制限という状況になってございます。
  190. 田名部匡省

    田名部匡省君 私なんかも免許を持って車に乗りますけれども、やっぱり人のことだけは心配なんですよ。ぶつかったとか車壊れたというのは余り頭にないんですね。むしろ、強制保険三千万ですか、三千万じゃ今ごろこれはどうにもならぬでしょう。だから任意保険にも入っておいて、車をぶつけて壊れたときはどうするかというよりも、人をはねたときどうするかという方ばかり意識にあるんですよ。これはあさってですか、参考人の方にちょっとお伺いしてから、この次また質問させていただきます。  この賠償責任の原則というのはわかりますが、自損事故惹起者を強制保険では一切保護しないというのが、これは外国にはこういう例はどこかありますか。これはもう一般的なんでしょうか、こんなのは。もし、保護している国があったら教えてください。
  191. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) 自損事故惹起者の外国での保護状況例の件でございますが、アメリカやカナダの一部の州など限られた地域でございますけれども、事故による損害の発生の事実のみをもって保険金を支払うといういわゆるノーフォルト保険が義務づけられているところがございます。この制度のもとでは、自損事故加害者無責の事故についても一定の額を限度としまして給付の対象となっております。  しかしながら、これらの地域を除きますと、一般的には他の諸外国におきましても我が国と同様に、加害者被害者に対して支払う損害賠償を強制保険の対象としておりまして、自損事故等は保険の対象となっていないということと承知しています。
  192. 田名部匡省

    田名部匡省君 これは扇大臣、カナダ、アメリカで一部そういう救済しているところはあると。私も若い時分よくアイスホッケーの試合でカナダへ行きました。みんな助け合うという精神が非常に強いんですよ、もう政治そのものが違いますから。学校へ行ってみると昼夜使っている、定時制かといったらそうじゃないと。これは新しく学校を一つ建てると税金一人当たり幾らの負担だと、賛成か反対かといって反対というから子供たちは夜昼学校へ通っている。市役所行ってみたら人がいないんです、ぽろぽろしか。だから、何というか、国民の意識というのは相当そういうところには、使うべきところとそうでないところのやっぱりきちっとした国だなというのを私は何回も行っていてそう思いました。  結局は、今お話しのように、一部ではあると。あの個人主義、個人責任の国アメリカでも救済するところがある。車社会ですからアメリカは、事故状況を考えてのことだと思うんですが。自助努力は必要でありますけれども、賠償責任ばかりいいますと、これは弱肉強食の社会にややなってくるんじゃないだろうかなということを私は心配するんですね。今はもうだれでも車を持っている時代ですから、そういうものにも新たな発想で対応をしていかなきゃならぬ。せっかく世界に誇るすばらしい制度ですから、自損事故惹起者の救済に一歩踏み込んでみる、検討してみたらどうかなと、こう思います。これは、大臣にひとつお願いします。
  193. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 少なくともこの制度、御存じのとおり、今、田名部先生のお話を聞いておりまして、やっぱり私は外国よりも日本が一番制度としてはよくできているんだろうなと思います。果たして、それが万全であるとは言えませんけれども、少なくとも私たちは自賠責保険というものの必要性、また日本も、先生も車を運転なさるから御存じのとおり、事故件数は減っているんですけれども、事故に遭ったいわゆる重度障害者、これはもうふえているわけですね、数が。ですから、事故被害者との因果関係がどこまでどうかわかりませんけれども、それぞれ事情は違いますけれども、現実的には事故の数は減っているけれども、重症者がふえていると。  そういう現状を考えますと、私も先生と同じように免許証を持っておりますけれども、任意の場合は無制限に入っておかないと、しかも運転者だけではなくて、相手の車に同乗者がいてもろともなんてことになったら大変だという、まずそのことが基本的に頭にはありますけれども、最低限車を使う人、車を買おうという人には少なくとも今この自賠責というものの重要性と、またあとはこの自賠責の今言っております大体二兆円というような話が出ていますけれども、それの使い道を今後どうするのかと。  少なくとも被害者保護ということ、そういう意味でずっとしていくのか、あるいはそれを今度交通事故がないように研究費に充てていくのかという配分の問題。ですから、二兆のうち全部これを加害者あるいは被害者に割り振って被害者保護のために全額使えと、さっきもこの割合がどうしてもわからないとおっしゃったんですけれども、やっぱり交通事故対策というものを私たちは監督官庁として図るためには、ある程度この対策費というものにより御理解をいただいて、今後は一件でも事故を少なくするための研究に使わせていただいて、そして皆さんにはまず自賠責と任意との関係というものをそれぞれが責任を持って、今、先生外国のお話もなさいましたけれども、やっぱり自分でまず選択するということの私は重要性というものを自覚するべきだと、そう思っております。
  194. 田名部匡省

    田名部匡省君 幾つか質問したいことが残っておりますので、次回にやらせていただきますけれども、野沢先生最初の質問でこの事故対策のためにいろんな自動車の丈夫なやつをつくるとかいろいろ言われました。私はオランダへ行って、これもアイスホッケーで行ったんですけれども、車と自転車と人とちゃんと分けてあるんですね、道路が。ああいうことは必要だなと思うし、それにしても自動車に関する限り余り費用がかかり過ぎている。ガソリン税だ、取得税だ、あの税この税、もう随分払っているんですね。  大臣、これ見ましたか。購入者無視、もたれ合いという、これは車庫証明の手数料上乗せ問題ですよ。これは青森県のことをでかでか書かれているんです。本来、この賛助会費は任意ということを説明しなきゃならぬのを説明しないで金取っちゃってね。それで現在、五地区協会の青森県の中で七億八千三百万も金が集まっていると。私は、これを心配しているんですよ。必ず、何かやったらこれがどの組織でも、恐らく調べてないからわかりませんけれども、私はだからもう前から監査するところ、会計、内容を調べる、これ一体となってここへ行かないと、経理は間違いありませんと。これは間違いないけれども、やっていることはおかしいというのまでは言わないわけですから。そのやっていることがいいのか悪いのかという、調べる人たちが一体となったものをつくってやってもらわぬと、これは本当にいっぱいあると思う。  どうぞ、きょうはこれで終わりますから、次回に話をさせていただきますけれども、やるときにはよほど考えて、そういうことができない仕組み、国民に負担を求めないと私はいつも言うでしょう、その努力をしていただきたい。  終わります。
  195. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 平成十二年中の自動車交通事故発生状況は、発生件数死者数負傷者数など最悪の状況にあると聞いております。過去十年間の発生状況の推移とその概要を御説明いただきたいと思います。
  196. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) 平成十二年中、昨年中の交通事故の発生状況でございますが、発生件数は九十三万一千九百三十四件でございまして、これは二十四時間以内に亡くなられた方の数字でございますけれども、死者数は九千六十六人でございます。それから、負傷者数は百十五万五千六百九十七人ということでございまして、これを十年前と比べてみますと、死者数は約〇・八倍ということでございまして、減少しているという状況にございます。一方、発生件数負傷者数でございますけれども、これは十年前と比べまして約一・四倍ということで、増加しているという状況にございます。
  197. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 自動車交通事故の主な発生原因とその対策について、お伺いいたします。
  198. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) ただいま御説明申し上げました平成十二年中の交通事故の法令違反別に見てみますと、安全運転義務違反というものが最も多く、交通事故のうちの約七〇%近くを占めております。その他、主な違反といたしましては、一時不停止が約五万件、それから信号無視が約三万四千件でございます。それから、最高速度違反が約九千件ということになっているところでございます。  これを十年前と比べてみますと、安全運転義務違反が一・七倍、それから一時不停止あるいは信号無視といったようなものが一・一倍から一・三倍と増加しておりますが、一方、最高速度違反が〇・七倍ということで減少しているところでございます。  こういった昨今の交通事故の発生状況ということにかんがみまして、関係省庁等と力を合わせながら総合的な安全対策というのを講じて、一人でも交通事故をなくするような方向で努力しているところでございます。
  199. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私の手元に、各国の例えば人口十万人当たりの死者数、あるいは自動車一万台当たりの死者数、こういうようなことで各国を羅列しておりますけれども、実はお隣の韓国が余りにもその数値が高いので、信じられないぐらい高いんですけれども、間違いないですか。  例えば、人口十万人当たりの死者数を日本と比べますと、韓国が二十六・六、日本が十・一、これは九五年、九六年が三十二・三に対して九・三、一九九七年で二十九・三に対して八・九、一九九八年で二十二・六に対して八・五、一九九九年で二十三・二に対して八・二と。それから、自動車一万台当たりの死者数、これも九五年で十二・四九、そして日本が一・七六、九六年で十三・五五、日本が一・五八と、こういうふうに非常に数値が高いんですけれども、その辺は間違いありませんか。
  200. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) 今、委員指摘の数値は、多分私ども警察交通局で発行しております交通統計に記載しております数値を読み上げていただいたものではないかと思いますけれども、委員指摘のような形で、日本と韓国を比較いたしますと、そういった数値になっております。  当委員会でもいろいろと御議論いただいていますように、やはり交通事故というものは人と車と道路、こういった三要素というものが複合的に絡み合って結果として発生してくるものだと、こう思いますので、そういった意味で日本と韓国におきましても、いろいろな交通事故を発生するような要因、要素というものが変わっていることからこういったデータになっているんではないか、このように考えるところでございます。
  201. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ちょっとお国柄の事情がよくわかりませんので、大変な数値だなと思って実はお尋ねしたわけであります。  そこで、ひき逃げ事故と無保険事故の発生状況とその全事故件数に占める割合を過去十年間の推移とともに御説明いただきたいと思います。
  202. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  ひき逃げ、無保険車による事故発生件数についてのお尋ねでございます。いわゆる私ども保障事業というのをやっておりますが、ひき逃げ、無保険車による事故損害政府が補てんする事業としてやっておりますが、その受け付け件数ベースでお答えさせていただきますが、ひき逃げ事故は近年増加の傾向にございまして、十二年度は四千百件で、十年前と比べて一・三倍でございます。それから、無保険事故も近年増加傾向にございまして、十二年度は九百件で、十年前と比べて一・七倍という状況でございます。
  203. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 最近は、沖縄でいわゆる米軍によるひき逃げ事件、事故ですか、そういったものが非常に発生して大変問題になっておりますけれども、そういういわゆる各県のいろんなお国柄といいますか、そういったふうなことも言えると思いますけれども、特に沖縄県は米軍がおるためにそういった事件、事故、特に米軍の飲酒運転、そしてひき逃げというふうなことが繰り返し発生しております。  そういった意味では、もっとそういった取り締まりといいますか、米軍に対する教育といいますか、いろいろやっていると思いますけれども、やはり国土交通省としてもその対策、あるいは警察庁としてもその対策をぜひとっていただきたいと思いますけれども、何か御所見があれば承りたいと思います。
  204. 坂東自朗

    政府参考人坂東自朗君) いずれにいたしましても、やはり交通事故というものは、国民の願いでありかつまたそれぞれの各県の県民の願いでもあろうかと思いますので、違反者がありましたら、我々としてはいろんな法律を駆使しながら体制を整えて違反取り締まりを行うとともに、また安全教育にも力を入れてまいりたい、このように考えております。
  205. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 交通事故損害賠償にかかわる考え方には過失責任主義と無過失責任主義があって、フランス、スウェーデン、台湾はその後者、イギリス、アメリカのカリフォルニア州、ニューヨーク州やドイツ、韓国等は我が国と同じように前者の過失責任主義を採用しております。  我が国が過失責任主義をとる理由は何ですか。そして、その両者の特質についてお伺いいたします。
  206. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  自動車事故による損害賠償責任につきまして、世界、国によりまして無過失責任主義、過失責任主義をとる国があるわけでございますが、限られた地域でございますけれども、一定額を限度として無過失責任主義を採用している国があるという状況にございます。しかしながら、一般的に言えば我が国と同様、過失責任主義を採用しているという国が多いというふうに承知しています。  日本におきましては過失責任主義をとっておりますけれども、加害者が故意、過失のないことを立証しない限りは損害賠償責任が発生するということにいたしておりまして、言うなれば挙証責任の転換を行っているわけでございます。そういう意味では、実質的には無過失責任主義に近いというふうになっていると思っておりまして、被害者が不利な立場にならないような配慮がされているというふうに思っております。したがいまして、無過失責任主義の方がより被害者に対して手厚いということにはなろうかと思います。
  207. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 我が国は、政府保険制度を、一九八七年と一九九二年の二度にわたってOECDの廃止勧告後も保留を続けてまいりました。ここに来て廃止することとした理由はどういうことですか、お尋ねします。
  208. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、先生がおっしゃいましたように、OECDから約十年前でございますけれども、政府の再保険を廃止すべきであるという、こういう指摘を受けたのは事実でございますし、また政府の再保険制度というものは、先生も御存じのとおりに、保険会社リスクヘッジ、そういうものに対しての適正な保険金支払いを確保する、そういうことが目的として実施されてきたことは先生御承知のとおりでございます。  少なくとも自賠責保険に関しましては、平成七年でございますけれども、自賠責法の改正によりまして各保険会社間のリスク平均化及び保険収支の均衡を図る共同のプール制、これを採用したことも御存じのとおりでございますので、この法制化によりまして、平成十年の保険業法改正によりまして自賠責保険支払いに必要な資金につきましては損害保険契約者保護機構から一〇〇%保障されるということ、これはそのとおりの単純なことなんですけれども、保険金が一〇〇%保障されるということがなければ、私は自賠責保険に関しましてはこのように保険会社の担保の向上がなかったと思うんです。一〇〇%保障できるからということで私は自賠責保険というものが皆さんに普及してきた、また先ほどもお話がありましたように、これは安心料なんだということにもなろうと思います。  少なくとも、この共同プール損害保険契約者保護機構仕組みによりましてリスクヘッジのための枠組みが整った、そういう状況になりましたので再保険による保険会社リスクヘッジを図る必要がなくなった、これが大きな原因でございますし、また十年遅きに失したという感もなきにしもあらずでございますけれども、少なくとも構造改革の一環として私たちは規制緩和を図るために少なくとも政府の再保険制度を廃止して、今回保険会社におきます事務を簡素化する、そういうことに決断したわけでございます。
  209. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 次に、平成十二年十二月二十六日の今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会の報告との関連で若干お伺いいたします。  まず、「政府保険を廃止する場合には、その時点において残っている運用益などについて、ユーザーによる保険料負担軽減及び被害者救済等の政策事業の安定的な実施という二本柱にバランス良く用いる必要がある。」と述べておりますけれども、この点について政府はどのような対処をとられるつもりなのか、お尋ねいたします。
  210. 泉信也

    ○副大臣(泉信也君) 懇談会からの答申をいただきましたように、二本立てでバランスよく運用益の活用の方策を決めさせていただきました。  具体的には、これまでもユーザーにお返しした分、そしてまた被害者救済に活用させていただきました事柄を踏まえまして、先ほど来何度か議論になりましたユーザー還元を主体にした、基本にしてという答申の案文を重く受けとめさせていただきまして、二十分の十一と二十分の九というふうにさせていただいたところでございます。
  211. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 「特別会計保険会社等に存する累積運用益などを保険料の引下げに資するために用いるに際しては、保険会社等のための補助と批判を浴びることの無いようなスキームと具体的方法を検討する必要がある。」と指摘しておりますけれども、そのスキームと具体的方法は本改正案においてどのように措置されるのか、お伺いいたします。
  212. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  累積運用益ユーザー還元期間中におきまして、保険会社は、まず収支が均衡する保険料水準から保険会社及び国がそれぞれの累積運用益を活用して負担する金額、これを差し引きまして、残りをユーザーからユーザー負担分として保険料を受け取ることになります。その後、保険会社は国に対して保険料を立てかえていることになりますので、みずからが立てかえた国の負担分を国に対して保険料等充当交付金として交付申請いたします。国は申請を受けてこの立てかえ分を交付することになります。  このようなやり方をとっておりますので、保険料等充当交付金はユーザー保険料負担軽減に充てられるということが明らかであって、保険会社に対する補助になるものではないというふうに考えております。
  213. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 懇談会の報告は、政府保険運用益を活用した政策事業については、「その内容見直し改善を図っていくことが必要」と言っております。どのように見直し改善が行われているのか、お伺いいたします。
  214. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  政策事業の見直しでございますが、行っておりますあらゆる事業につきまして、政策ニーズの変化に対応して実施効果が高い事業について充実を図る一方で、実施効果の低い事業につきましては合理化を進めることによりまして効率的かつ効果的な事業の実施を確保すべきものと考えております。  自賠特会における事業につきましては、これらの考え方に基づきまして引き続きその内容見直し改善を図って、事業の重点的かつ効率的な実施に努めてまいるという考えでございます。
  215. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 政策事業の財源として、現在ある運用益を安定的に確保することが必要とも言っておりますけれども、それが今後どのようにして達成されるのか、お伺いいたします。
  216. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  今回の制度改正に当たりましては、運用益の二十分の九を基金的に活用することによりまして被害者救済対策等を今後も安定的に実施することが可能となるということでございまして、この割合で累積運用益被害者救済対策等に充てるとしたところでございます。  なお、最近の金利情勢では年利が約二%でございますので、年間約百八十億円の発生運用益が見込めますが、平成十三年度予算の被害者救済対策等は約百八十億円程度の歳出規模でございまして、今後、事業の効率化、重点化を通じて被害者救済対策等の充実は可能であるというふうに思っております。
  217. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 新自賠法附則第五項では、政府は、自動車事故対策計画に基づき、自動車事故対策センターに対する出資及び貸し付け並びに自動車事故対策センターその他の自動車事故対策計画に規定する事業を実施する者に対する補助を安定的に行うとしておりますけれども、どのような補助がなされるのか、承りたいと思います。
  218. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) お答えいたします。  現在、累積運用益を活用した補助は、重度後遺障害者や交通遺児家庭を救済する被害者救済対策でありますとか、被害者の発生を未然に防ぐ自動車事故防止対策の事業に対して行っているところでございます。  制度改正後の補助の内容につきましては、現在の事業の内容も勘案しつつ、今後、自動車事故対策計画を策定し、具体的な補助の対象は毎年度の予算を通じて決めていきたいと思っております。
  219. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 最後になりますけれども、保険料等充当交付金が平成十四年四月一日から平成二十年三月三十一日までの六カ年間だけ交付される理由はなぜなのかお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
  220. 高橋朋敬

    政府参考人高橋朋敬君) 累積運用益は過去のユーザー保険料から発生する運用益の累積でございますけれども、その時々のユーザーの一人一人にお返しするのが事実上、非常に困難でございます。一方で、自動車ユーザーのほとんどは長期にわたって自動車ユーザーでございますので、過去と現在の自動車ユーザー集団はほぼ同一だというふうに考えたところでございます。  このため、累積運用益につきましては、平成十四年度から六年間の保険料水準の抑制を通じてユーザーに還元するとしたところでございます。また、ユーザー還元期間につきましては、現在の赤字保険料率からユーザー還元期間を経て将来的な収支が均衡する保険料水準へ緩やかな移行が可能と考えられる六年間というふうにしたところでございます。
  221. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 終わります。
  222. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  223. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任保険特別会計法の一部を改正する法律案審査のため、来る二十一日午前十時に参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  224. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は、来る二十一日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十五分散会