○寺崎昭久君 今回の
自賠責保険法の
改正というのは、周知のとおり
昭和三十年のこの
自賠責保険制度が創設して以来の大きな
改正でございます。この
改正に当たり、
自賠責保険制度のあり方、あるいは引き続き
検討すべき項目ということもさまざま浮き彫りになったのではないかと思っております。
この
自賠責保険制度が創設されました際の国会
審議を議事録によって再確認してみました。それによりますと、
昭和三十年二月末の自動車保有台数というのは百三十四万台であった。また、
自動車事故による死傷者が、これは
昭和二十九年ですが、七万二千五百人であったと。そういう背景の中で、不可避的に発生する
自動車事故による
被害者の
保護に万全を期すため、
損害賠償を
保障する
制度を確立するという
趣旨が述べられております。
また同時に、本
保険が自動車側に付保を強制したり
保険会社に引受義務を課したりして、
社会保障的色彩が濃厚であることにかんがみ、その
保険運営について国の介入が適切であるとし、また
保険会社は引受義務を課せられたり
保険料率の算定に営利
目的の介入が許されないので、その
保険運営についてはその危険の一部を国が負担する国営再
保険の形態が望ましいと考えたとも述べられております。
今日、自動車の保有台数が七千万台を超えております。先ほども御
指摘がありましたが、
自動車事故による死傷者も大変大勢に上っておりまして、九八年には百万人という
状況でございます。大変、背景といいこの
数字といい、隔世の感というか隔絶の感があるわけでありますが、今回の
政府再
保険制度の廃止というのは
行政改革の流れにも合致したものでありますし、私は適切な
措置であるというように思っているわけであります。
しかしながら、
改正案に問題がないわけではないと思っています。例えば、ノーロス・ノープロフィット原則で運営されてきたはずの本
制度の中で生じた
保険金収入の二年分にも相当するような累積黒字あるいは累積
運用益があり、そのすべてを本来だったら
保険契約者に還元する、
保険料率を引き下げるために使うというのが筋だと思いますし、それが長年の慣行だったと思うわけでありますけれども、先ほど来御
説明がありましたが、その二十分の九相当額を
事故対策勘定の方へ振り向けるというような
内容になっていることの問題、あるいは、将来この
事故対策勘定から支出されるであろう
被害者救済対策費あるいは自動車
事故防止対策費、すべてがおかしいとは思いませんが、中には少しもう時代がたってさびが見える対象もあるのではないかというように私は思わないではありません。したがって、
見直しも必要であるというようなことを感じているわけであります。
自賠責
制度自体の課題あるいは
運用上の問題については以降
一つずつ確認させていただきたいと思いますが、まず
金融庁、
村田副
大臣に伺います。
自賠責保険制度の基本的な構造についての確認ですけれども、
自賠責保険法の第二十五条にはいわゆるノーロス・ノープロフィットの原則がうたわれているわけであります。私は法
改正後も当然堅持されると思いますが、この点についての確認が第一点。
それから
二つ目は、この
規定について
平成七年に全労済と全自共が
責任共済事業に参入した際に、自動車
責任保険料率と事実上同じ水準の
保険料率が適用されるというようなことから文言の一部が
改正されました。そして、農協共済については、それまでの経緯もこれありということで、一定期間は純
保険料の
共同プールを義務づけない、あるいは収支差額の全額積み立てを行い、それについては収支の不足の補てんに充てる場合等を除いて取り崩してはならないというような四項目の適用除外
措置を講じております。
今回の法
改正に当たって、こうした農協共済に対する適用除外については
検討されたのかどうなのか、その結果がどうされるのか。なお、この適用除外というのは
改正法施行後十年間の時限
措置であるというようになっております。この二点について、まず伺っておきます。