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国務大臣(
扇千景君) ただいま議題となりました
気象業務法の一部を
改正する
法律案の提案
理由について御
説明申し上げます。
温度計、風速計等の気象の観測に用いられる測器のうち、防災目的等公益性の高い観測に用いられるものについては、現在国がみずから検定を行っているところであります。
しかしながら、近年の気象測器に関する民間の製造技術の向上に伴い、気象測器の検定合格率は非常に高いレベルで推移いたしており、測器の種類によっては最初の検定後検定を行わなくとも観測の精度が維持されるものもあらわれるなど、気象測器製造
事業者の能力の底上げが図られてきております。また、検定
対象気象測器について標準化が図られてきたところを受けて、気象測器検定での検査方法もその定型化が進んでおり、日々の検定実務を国の検定員がみずから実施しなくとも安定的に検定
制度を運営できるようになってきております。
このような
状況に的確に対応するには、民間の能力の一層の活用を図るため、検定の有効期間の
見直しに加えて、気象測器製造
事業者の能力を活用するための
制度及び気象庁長官にかわって一定の能力を有する民間の法人が検定を行うことができる
制度の創設等の所要の
施策を講じることが必要であり、そのため、この
法律案を提案するものであります。
次に、この
法律案の概要について御
説明申し上げます。
第一に、気象測器の有効期間については、その構造等から見て有効期間を定めることが適当であると認められるものについてのみ
国土交通省令で定めることとしております。
第二に、型式証明を受けた型式の気象測器の検定における器差の検査については、気象庁長官の
認定を受けた者が器差の測定を行ったときは、その測定の結果を記載した書類によってこれを行うことができることとしております。
第三に、気象庁長官は、営利法人を含む民間の法人に、気象測器の検定の実施に関する事務の全部または一部を行わせることができることとしております。
なお、この
法律案の施行期日は、周知に必要な期間等を考慮し、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。
以上が、この
法律案を提案する
理由でございます。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜りますようお願い申し上げます。
次に、
水防法の一部を
改正する
法律案につきまして、その提案
理由及び要旨を御
説明申し上げます。
近年、河川整備の着実な進捗により、かつてのような大河川のはんらんの頻度は減少してきているものの、
都市化の
進展に伴う人口及び資産の集積を背景に、一たびはんらんが発生したときは被害が甚大なものとなるおそれがあります。また、特に住民の生活と密着した中小河川の水災対策の
推進の
必要性が
指摘されているところであります。
この
法律案は、このような近年の水災の
状況を踏まえ、水災による被害の軽減を図るため、洪水予報河川の拡充、河川の浸水想定区域の公表、浸水想定区域に応じた円滑かつ迅速な避難の確保を図るための措置等を講ずるものであります。
次に、その要旨を御
説明申し上げます。
第一に、
国土交通大臣に加え、新たに都道府県知事が、洪水により相当な損害を生じるおそれがある河川を洪水予報を行う河川に指定し、気象庁長官と共同して、洪水予報を行うこととしております。
第二に、
国土交通大臣または都道府県知事は、洪水予報を行う河川について、洪水時の円滑かつ迅速な避難の確保を図るため、河川整備の基本となる降雨により河川がはんらんした場合に浸水が想定される区域を浸水想定区域として指定し、指定の区域及び想定される水深を明らかにして公表することとしております。
第三に、市町村防災会議は、市町村地域防災
計画において、浸水想定区域ごとに、洪水予報の伝達方法、避難場所その他円滑かつ迅速な避難を図るために必要な事項を定めることとしております。また、浸水想定区域内に地下街等の不特定かつ多数の者が
利用する地下の施設がある場合には、同
計画に
利用者の円滑かつ迅速な避難の確保が図られるよう洪水予報の伝達方法を定めることとしております。
第四に、市町村長は、市町村地域防災
計画において定められた洪水予報の伝達方法、避難場所等を住民に周知させるように努めることとしております。
その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うことといたしております。
以上が、この
法律案の提案
理由及びその要旨でございます。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
ありがとうございました。