○
脇雅史君 なかなか銀行から
お金を借りて家を建てるという機会も一生に何度もあるものじゃありませんので、実感を持っておられる方は少ないと思うんですが、いろんな方の
お話を伺うと、やっぱりかなり厳しいんですね、銀行も。ですから、今の
段階で公庫の方を余り締めない方がいいんじゃないかなと私自身は思っていまして、全体の金融
政策、経済
政策の中で決定されるべき話ですけれども、既定
方針どおりというか、少し減らしたけれども存続するということですからいいんですけれども、十分お
考えをいただいて、全体として円滑に進むように御努力をいただきたいと思います。
あと十分ほどありますので、ちょっと
法案はこの程度にいたしまして、若干最近、私、気になっていることがありますのでお尋ねをしたいわけでありますが、公共工事の入札・
契約問題なんですが、私は、テレビや新聞報道が非常に誤解に基づく報道が多いのではないかな、一般の国民の
方々も誤解されているんじゃないかなというふうに思う
部分がいっぱいあるんです。
これは全部ここでやるわけにいきませんけれども、そもそも税金を使って皆さんのためになる、安全のため、便利さのため、利便性のためにやる仕事を発注する。県知事さんなり国なり
市町村長なり、発注をするときの基本は何かということは、まず国民の皆さんに、何十年か残すものですから悪いものを残されちゃ困るので、人の命にもかかわりますから、いいものを残していただく、よい品質のものをきちっとつくっていただくという、その確認ができること。そして、税金を使うわけですから、むだな金を使っちゃいけませんね。むだはある程度人生でも必要ですし、どこでも必要なんですけれども、発注するときにむだな金を上乗せしてやる必要はないので、私は適正な価格と言っているんですけれども、適正な
お金でやってもらわなければいけない。その適正な価格でやってもらえるか、本当にいいものができるかというその
責任を国民に対して、納税者に対して負っているわけですね。それを何で担保するかと。
これは、
一つ非常に公共事業の特殊な
部分は、予定価というのをはじくわけです。ほとんどの方は、知っている方もかなりおられますけれども、予定価を国がはじく場合に、基本は何かというと、適正なコストを積み上げるわけです。穴
一つ掘るときに、普通の大の人夫さんが手で掘るとしたら何時間かかったら掘れるだろうか、機械だったらどのくらいかかるか、そういうことを全部積み上げていって、それに単価を掛けて何ぼかかると。それに、その会社としての利益その他あるいは安全経費、いろんなことを積み上げて価格が出る。つまり、それは適正な価格、この価格でやってもらえれば、今の
我が国の経済
状況の中でちゃんとした仕事ができますよというのを平均値的に調査し、大変高い
お金をかけて調査をしてはじいて予定価というのを出しているわけですから、予定価どおりで業者が請け負って仕事をすることは国民にマイナスでも何でもないんです。まさに適正なんですね。
もし適正でない
部分があるとすれば、それは予定価のはじき方を変えなければいけない。予定価のどこかに、はじき方に問題がある。そういうフィードバックが可能ですから、発注者としてはこのものをつくるのに必要な
お金はこれですというのができるんですね。公共工事はできるんです。ただ、軍艦とかジェット戦闘機とか、これは積み上げられない。こうなってくると非常に予定価は難しい。それから、例えば車を購入するなんというときだって、何もボルトをこうやってねじるのに何分かかるからということで車一台の金を予定価ではじくわけではないんですね。
だから、物品を購入するような場合と全然違うんです。土木工事というか、そういった建物をつくるとかダムをつくるとかいう話は全く別の次元で、発注者側がみずからの
責任において適正な価格というのをはじくことができるという前提なんです。ですから、それから下に何ぼ下がるかと競争させることにそんなに
意味はないし、むしろ弊害の方があるんです。
よく新聞を見ていると、二割下がった、予定価から二割下がって
契約したから非常にいいことだ、万々歳だと言っているんですけれども、本当かと。何が起こっているかといえば、それは善良な業者で、おれのもうけは全部吐き出してやろうと言ってくれればいいですけれども、利益だけはきちっと取って、後は手抜きだか変な悪い品物を持ってくるとか。どこにしわ寄せが行きやすいかといえば労働者ですよ。末端で働く労働者の労働
条件が悪くなるんです。不正な仕様を使ったり、不正労働者を使ったり、きちっとした危険の手当も払わないとか、あるいは保険とか、そういったことに対して手当てをしない、潜りの労働者みたいなものが出てくるんです。結局、品質が悪いものが出てくるかもしれない、そして労働者がいじめられるかもしれない。国民が、やったやった、二割も下がって
契約して万々歳だというのは、これは本当かとよく
考えてほしい。労働者をきちっと守ろうと思ったら、きちっとした価格でやってもらわなければいけないんですね。そういう常識のうそがあるわけです。
もう
一つ、品質をきちっとしたものにするためには、この業者ならちゃんとやってくれるかなと過去の実績を見てきちっとした評価をしなければいけない。何か点数を一個つけて、その点数がよかったらこの業者はいいだろうというのは、過去の実績がありますからある程度はわかるにしても、かなり危ない
部分がありますし、
責任を持ってきちっとした仕事をしてくれる人を選ぶということこそ発注者の国民、住民に対する
責任なわけです。
最近見られますのは、くじ引きだと。くじ引きで入札予定者を決めちゃえ、早く決めたら談合するかもしれないから入札間際に決めちゃえと。そういうことをやりますと、宮城県でやったんですね、そうしたら、新聞を見ていますとこれで非常にいい方法だと言うわけですよ、効果は絶大とか談合はなくなるぞ、いいぞいいぞと。だけれども、これで本当にいい仕事ができるのかと。入札というのは、その仕事をやるのに
お金をはじくわけですよ、業者も。その間際にあなた入札しなさいと言われて金を入れればいいという、そんないいかげんな話であるはずがない。
だから、業者の立場に立ったら、健全な経営をして、立派な経営をして国民の皆さんにいい仕事をしたい。どういう仕事をしようかと一生懸命経営努力するときに、あそこの仕事はうちから地の利もいいし我々の得意な分野の仕事だから一生懸命とれるように努力しよう、一生懸命積算して安くやれるように努力しようというような努力は一切なしだ、くじ引きだと。そんなばかなことをされて、業者が本当にいい業者になろうというふうな競争意欲がわきますかというわけですよ。
そこのところをやはり、
大臣が来られてから非常にいい
法律をつくっていただいて、適正化法ですね、四月一日から運用していただくわけですから、今度は、今までは
地方公共団体はそれぞれの
責任においてやっておられましたけれども、これからはガイドラインに沿って、
大臣の指揮下に入るわけでありますから、おかしいことはおかしいよと。新聞が喜んでいるからこれでいいよということではない、本当の国民のためになることは何なんだということをきちっとやってほしいということなんですが、いかがでございましょうか。