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2001-05-23 第151回国会 参議院 国際問題に関する調査会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年五月二十三日(水曜日)    午後二時開会     ─────────────    委員の異動  五月十一日     辞任         補欠選任         沢 たまき君     大森 礼子君  五月十四日     辞任         補欠選任         大森 礼子君     沢 たまき君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         関谷 勝嗣君     理 事                 佐々木知子君                 山本 一太君                 今井  澄君                 高野 博師君                 井上 美代君                 田  英夫君     委 員                 泉  信也君                 入澤  肇君                 田中 直紀君                 松谷蒼一郎君                 山内 俊夫君                 山下 善彦君                 木俣 佳丈君                 佐藤 雄平君                 広中和歌子君                 本田 良一君                 柳田  稔君                 沢 たまき君                 緒方 靖夫君                 高橋 令則君                 島袋 宗康君    事務局側        第一特別調査室        長        鴫谷  潤君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国際問題に関する調査  (「二十一世紀における世界日本」のうち、  東アジア安全保障及び我が国外交の在り方に  ついて)     ─────────────
  2. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ただいまから国際問題に関する調査会を開会いたします。  国際問題に関する調査を議題といたします。  本日は、本調査会調査テーマであります「二十一世紀における世界日本」のうち、東アジア安全保障及び我が国外交あり方について、前回同様、意見表明及び委員間の意見交換を行いたいと存じます。本調査会の成果を実り豊かなものといたしますため、本日も忌憚のない御意見、御提言をお述べいただければ幸いに存じます。  本日の議事の進め方でございますが、まず大会派順に各会派より十五分以内で御意見をお述べいただきます。次に、意見表明が一巡いたしました後、午後五時ごろまでを目途に自由討議方式により委員皆様方で自由に意見交換を行っていただきたいと存じますので、御協力をよろしくお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、御意見のある方は順次御発言を願います。山本一太君。
  3. 山本一太

    山本一太君 自由民主党の山本一太です。持ち時間の十分で、少し早足でプレゼンテーションさせていただきたいと思います。  まず最初に、東アジア安全保障及び日本外交あり方について私の意見を表明させていただきます。  まず第一点目として考えなければいけないことは、東アジアにはヨーロッパのNATOやOSCEのような集団的安全保障メカニズム存在しないということだと思います。朝鮮半島情勢、また台湾海峡問題等、依然としてこの地域には冷戦構造の残滓が残っているということで、この地域安保環境は依然として不安定だというふうに言えると思います。  そして、東アジア地域には集団安保メカニズムが成立しにくいという幾つかの理由があると思うんですけれども、最も根本的な問題は、実は文化共通点がいろいろあるように言われていますが、アジアは一様ではないという事実ではないかと私は考えています。文化的、歴史的な共通点は多いんですけれども、アジアにはいわゆる多様性存在していると思います。ですから、この地域に必要なのはコミュニティーファウンデーションみたいな話ではないかと思います。すなわち、共同コミュニティー意識をこの地域に醸成するということではないかと思います。  最初のステップは、恐らく各国経済レベルをできるだけ近いものにすることではないかというふうに考えますし、価値観を改めて共有するために、共通文化や慣習といったものにこだわらずにみんながこの地域で共有できるものを求めていく必要があるんじゃないかと思います。例えば、若者層中心に今広がりつつあるアメリカ文化、こういったマクドナルド文化みたいなことも実は一つコミュニティー意識になり得るのではないかというふうに考えます。  さらにまた、この東アジア地域安全保障の枠組みを構築していく中で日本が果たすべき役割、日本安保政策方向性は、次の五点に集約されるのではないかと思います。これも駆け足でお話をしたいと思います。  まず第一点は、日米安保体制を引き続き堅持するということ。  日米安保体制は、朝鮮半島情勢の悪化を防ぐためにも、中国覇権的行動と言うとちょっと言い過ぎですが、こうした動き抑止するためにも、この地域安定装置、よく公共財という言葉が使われますが、安定装置として機能するということだと思います。日本をこの地域のより重要な同盟国と位置づける米国ブッシュ政権、この間アーミテージ国務副長官も来日をしたわけですが、このブッシュ政権のもとで日米同盟をあらゆる側面で深化させる、深めるということを目指すべきだと思います。  二つ目ですけれども、これは日本韓国米国の三国の協調体制強化ということだと思います。  日本にとってこの地域における戦略的パートナーは、民主主義という共通価値観を有する米国韓国であるというのが私の長年の考え方です。三カ国の共同歩調は、これは最近の北朝鮮のより開かれた外交姿勢というものを生み出した最も大きなファクターではないかと考えています。将来的には、日米韓三国の同盟関係の中で、安全保障についてはいわばバーチャル、空白になっている日韓安保条約をこれも視野に入れていくべきではないか。そう簡単に実現することではありませんけれども、こういう長期的なビジョンも今考えてみる必要があるんじゃないかというふうに考えております。  さらに三つ目として、集団的自衛権の問題をやはりクリアしていかなければいけないと思います。  小泉政権はこの点について積極的と言っていいと思うんですけれども、この集団的自衛権の問題というのは、解釈の変更ではなくて、国民意識変化コンセンサスというものを十分に見きわめながら、やはり憲法改正によってこの権利を担保する、国民議論の中からきちっとそういう方向性をつくっていくということがベターだと思います。この集団的自衛権の問題をクリアすることによって、実はアジア太平洋地域における日本と他のメンバーとの二国間の安保システムのようなものも可能になりますし、一言で言うと日本外交のアングル、視野が拡大するんではないかというのが私の考えです。  四番目なんですけれども、日米安保体制強化とか集団的自衛権の行使の問題等は、今までもそうでしたけれども、常に東アジア隣国の懸念を誘発するという、こういう事実を踏まえていかなければいけないと思います。  こうした政策を推進する上で、中国を初めとするアジア隣国との間の信頼醸成というものがやはり何よりも重要ではないかというふうに考えています。バイやマルチの外交舞台を活用し、最大限説明努力が求められるのではないかというふうに考えています。  五番目として、ASEAN地域フォーラム、いわゆるASEANリージョナルフォーラムというこのフォーラムは、この地域を全体を網羅する唯一のフォーラムと言ってもいいと思うんですけれども、将来は、よく言われる議論ですが、このARFをより進化させアジア版OSCEに育てていくということが東アジアの最も現実的な安保システム構築の道筋と思われます。雑誌の「選択」でも何回か連載をしまして投稿したんですが、ARFはよちよち歩きだとは言われますけれども、OSCEができるまでには何十年という期間がかかっていることを思えば、決して望みがないわけではないというのが私の印象です。  続きまして、日本外交あり方駆け足で御説明をさせていただきたいと思います。  まず、日本外交あり方を考える上で指摘したい第一点、これはODAは依然として重要だということだと思います。  日本は、世界最大ODA供与国として今後とも貢献をしていくべきではないかということだと思います。ODA大国としての哲学世界に発信すると同時に、これは国際問題調査会でも過去いろいろと議論になったんですけれども、国内におけるODAの認識を高め、その透明性をさらに担保するために、ODA基本法の制定を改めて真剣に検討するべきだと思います。このODAについての考え方が、日本外交あり方の第一点に挙げたいと思います。  第二点ですが、ODAのみに頼らない新しい外交開発するということもこれからの日本外交の私は課題になると思います。  この関係からいきますと二つほど申し上げたいことがあるんですが、一つは、知的イニシアチブを発信するということだと思います。国連国際社会国際会議等舞台において新しい知恵、哲学、これを提案し発信する体制国家戦略の中できちっと整備していくことが急務だと思います。例えば、大国ではありませんけれども、国連等の場で大きな存在感を示す北欧諸国発信力から学ぶ点は多いのではないかと常日ごろから考えております。  私が昔勤務しておりました国連開発計画というところがあるんですが、このUNDPがつくった人間開発報告書というのがありまして、これが提唱した人間安全保障コンセプトを、実は日本政府が独自のコンセプトに高めて発信しているというのは一つ成功例として挙げていいのかなと思います。  第二点目、そのODAに頼らない新しい外交開発という点で、これも常日ごろから考えていることなんですが、一言で言うとクール・ジャポニカ戦略の確立ということなんですけれども、これは別の言い方をすれば、トニー・ブレア政権戦略に学び、外交文化の力というものを最大限に活用する、ブランディングといわばよく言われるんですけれども、そういう戦略をとっていくべきではないかと思います。  ブレア政権において採択されたクール・ブリタニカ戦略、英国は古いものばかりじゃない、新しいイメージがある、料理もおいしい、ファッションの中心地、留学生もいっぱい招いていると。こういうイメージ世界に発信することで外交能力を高める。こういう戦略に学び、例えばサブカルチャー若者文化も含めた総合的クール・ジャポニカ構想に基づく新しい文化交流を打ち出すというのを八月以降に早速チームを立ち上げてやりたいと今計画をしております。  日本外交あり方ODAのみに頼らない新しい外交の話をいたしました。あと一分ちょっとなんですが、三番目として、リーダーがみずから主導する首相外交強化というものを挙げたいと思います。  パブリックディプロマシーの推進がまずその第一番目として挙げられると思うんですが、今後の外交においてはリーダー自身パブリックディプロマシーが極めて重要になってくると思います。パブリックディプロマシーには、国民に対して働きかけるもの、いわゆる議会に対するもの、そして国際社会他国の世論に働きかけるものという私は三つのジャンルがあると思いますが、総理大臣イメージ自身発信力というものがこれからより重要なファクターになってくるのではないかと思います。  もう一つは、経済外交等との総合的なリンクが求められると思います。これは一つの例ですが、経済外交を例にとると、アメリカ大統領外国訪問の際、しばしば経済人を同行させ、市場開放の要求をしたりビジネスチャンスを広げるための経済外交というものを展開していますが、こうした姿勢をやはり日本外交が学んでいくべきではないかと思います。  四番目。外交基本対話抑止バランスだということは、これはもう異論のないところだと思いますが、常々思いますのは、日本外交にはもちろん対話システムはあっても抑止システムがない。これをきっちり確立する必要があると思っています。北朝鮮のテポドンショックの際に議論された、例えば外為法の改正によってより機動的に経済制裁を行う体制整備したり、輸出管理法案整備を通じ軍事目的に転用される民生技術の流出を防ぐ体制をつくる。これは文芸春秋の論文にも私自身が書いたことがあるんですけれども、この抑止システムをつくるということも新しい日本外交の懸案として取り上げなければいけないと思います。  最後東アジア安全保障についても申し上げましたが、集団的自衛権の問題は、これはしっかりクリアしていくべきだと思います。もちろん慎重な議論が必要だと思います。先ほど申し上げたとおり、集団的自衛権のこの問題をきっちりクリアすることで日米安保基軸とする日本外交安保政策に幅が出るということを最後に強調して、ちょっと一分ほどオーバーしましたが、プレゼンテーションにかえたいと思います。
  4. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  続きまして、入澤肇君。
  5. 入澤肇

    入澤肇君 私は安全保障前提となる諸条件の整備がまず第一だと思います。  一つは、住民生活の向上が十分になされているかどうか。貧富格差が余りにもひどい。そこから要するに東アジア各国の政治の不安定が生じているということを認識すべきだと。  二つ目は、我が国法治国家ですが、法治システムが十分に確立されていない。どちらかというと人治システムになっている。これを法治システムを確立するように誘導することが必要じゃないかと。  それから三つ目は、生活の安定のために、その国々の経済社会発展状況に応じてですけれども、やはり大事なことは、一次産業の安定した基盤をつくるということが大事じゃないかと。  こういう前提に立って、まずどんなことをやったらいいかと申しますと、一つはそれぞれの国の生活状況についてもう少し詳しく貧富状況調査すると。二つ目は、今申しましたように法治の実態についての調査を行う。三つ目は、東アジアのそれぞれの国の軍事状況について私どもは余りにも概括的なこときり知らされておりませんけれども、もっと詳細に軍事バランスについて情報を公開していただくということが必要じゃないかと思います。  そういうことのために我が国は何をなすべきかということが次の課題でございますけれども、実は、戦後、我が国、特に一次産業発展のためにやったことで唯一成功したのがフィリピンにおける緑の革命であります。IRRI、フィリピン稲研究所に相当な開発投資をしまして新しい品種を開発して、そして食糧の増産に成功した。その後、その計画が必ずしも発展につながっていない。なぜつながっていないかというと、農地改革というのをあわせて指導したんですけれども、これがなかなか住民の抵抗に遭ってうまくいっていない。  我が国は、戦後、財閥の解体、労働組合の結成、それから農地改革によって不安定な社会の一掃に成功したわけでございますけれども、何といっても、私は農地制度改革ということについてもう少し我が国ノウハウを伝えるべきだと思います。同時に、経済社会発展段階説がありますけれども、中小企業も含めて、いきなりハイテクの産業に移行する前に、すそ野を広くするための産業基盤整備ということについて我が国ノウハウをもっと伝達することがいいというふうな感じがしております。  さらにその次の課題は、どうも宗教によるあつれきがかなりあります。私は、ヨーロッパ各国中心世界宗教家が集まって、フォーラムを形成したり、対話の集会を開いたりしていますけれども、東アジアにおきましても宗教家によるフォーラムの開催というのも提案していいんじゃないかと。  こういうことを総合してやるために、この前もちょっとこの国際調査会で申し上げたんですけれども、アメリカが戦後日本を占領するときに、これは不十分でありますけれども「菊と刀」という本に象徴されていますように、日本社会経済文化についての分析をやりました。これをもう一回、それぞれの国の研究者を多数動員して、多角的な角度からその国の発展のために何をなすべきかということを見出すための調査をここで行うべきじゃないかと思います。  さらに、特記的に申し上げますと、軍事面について、私は、東アジアですぐ集団安全保障条約みたいなものをつくるということについては慎重でなくちゃいけないと。まずそれぞれの国の国情を十分に把握し、どうしても安全のために必要であるという判断ができたときに初めてそういうふうなことに取り組むべきであって、まずは生活の安定に最大努力をすべきじゃないかと思います。  さらに、もう一つ特記的に申し上げますと、北朝鮮対策であります。これについては、太陽政策北風政策、それぞれ二者択一的なことを言われていますけれども、私は、もう少し柔軟なしかも毅然とした対応策が模索されていいのではないか。具体的な内容については、これはなかなか外交の一番重要な問題ですから政府もなかなか言いにくい面があるかもしれませんけれども、太陽政策北風政策の中間で具体的なドクトリンをつくっていくことが必要じゃないかというふうに考えております。  以上です。
  6. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  続きまして、広中和歌子君。
  7. 広中和歌子

    広中和歌子君 まず初めに、冷戦後の世界情勢変化問題点について指摘させていただきたいと思います。  二十世紀戦争世紀と言われるように、我々人類二つ世界大戦とその直後に始まる核の均衡による東西の冷戦を経験し、そしてその間、朝鮮戦争ベトナム戦争、イラン・イラク戦争に代表される世界各地で起こる米ソ代理戦争が続いて、多くの人々が紛争に巻き込まれてまいりました。  日本は第二次世界大戦後、冷戦構造の中で平和憲法を堅持しつつ、米国との間に安全保障条約を結び、外交安保の面でその判断と責任の多くを米国に依存してまいりました。そして、世界紛争に巻き込まれることなく、防衛支出GDPの一%にとどめ、みずからは経済の回復と成長に専念することができました。その結果、世界第二の経済大国となったと言えると思います。  さらに、いわゆるアジアNIESと言われる韓国、香港、シンガポール、台湾などが日本に続けとばかりに経済発展を遂げ、タイ、インドネシア、マレーシア、そして改革開放路線をとり始めた中国を巻き込みながら、アジア全体としては高い経済成長を誇ってまいりました。今後、人口の点でも経済の点でも、世界の中でアジア影響力はますます大きくなると思われます。  その間、ベトナム戦争の後遺症で経済の低迷に苦しむアメリカからは、日本に対してアメリカの核の傘ただ乗り論などがあり、一部アメリカ議員たちからは、我が国は別の形で、例えばGDPの一%を途上国支援に回すといった国際社会への貢献が求められたものの、日本外交は、全体として余り顔の見えぬ、後手に回る対応に終始してきたと言えると思います。  日本国際貢献で最も厳しい対応を強いられるようになったのは、一九八九年のベルリンの壁崩壊以降でございました。一時期、地球環境問題を人類共通の敵として世界が協調し合うといったムードがあったものの、イラククウェート侵攻に端を発する湾岸戦争では、日本国連軍に参加する人的貢献ができぬまま結局資金を提供するにとどまり、それ以降、我が国国連平和維持活動への参加をめぐり多くの議論が、国会の中はもとより、マスコミを通しても行われてまいりました。PKOや集団的自衛権をめぐる議論は、憲法改正にかかわる議論と相まって、いまだに前に進んでいるとは言えません。  冷戦後、湾岸戦争を経て、世界は決して平和ではなく、むしろ地域紛争国内テロが多発する中、こうした他国の問題にどこまでかかわりいかに対処すべきか、国連が十分に本来の機能を果たし得ぬまま、世界の中ではいまだにコンセンサスは生まれておりません。  EU諸国は、地域統合市場の規模を広げ、軍事の面でも経済の面でも大きなブロックを形成しており、そうした中アメリカは、特にブッシュ政権では中南米への傾斜を強める可能性が強まるのではないかと予想されます。  こうしたブロック化動きの中で、南北の経済格差はかつてより増大しつつあり、貧困人権侵害テロ、麻薬、難民感染症核兵器拡散など、新たにグローバルな課題世界には山積しております。地球環境問題も二十一世紀にはより大きく顕在化することが予想され、そこからさらに貧困難民といった悪循環につながっていくと思われます。  そこで、日本外交でございますが、まずODAについて触れさせていただきたいと思います。  我が国としては、九〇年代、ODAを通じて国際貢献を強め、ODA拠出額では世界第一位となっております。そして、その方向性は私は正しいと思います。  しかし、その中身を見ると、依然として大型のインフラ支援に偏り、顔の見える小規模支援への取り組みもまだまだの状況であります。また、自助努力を期待するという理由で贈与よりも借款に重点が置かれており、重債務貧困国ではその焦げつきが問題化し、拡大HIPCイニシアチブが求められております。  一九九〇年代、ODA大綱ができ、その目的は平和、人権環境、そして基礎教育保健等人間基本的ニーズ等に配慮されるようになったとはいうものの、その実行段階透明性は明らかとは申せません。ODA情報公開は今後の大きな課題です。  東アジア安全保障政策について、これまで日米関係基軸として多くを米国に依存してきた我が国ですけれども、我が国が第二次大戦アジア諸国に対して行った過ちについては、いまだに尾を引いた問題となっております。  一応、賠償については政府間で法律上解決済みの問題となっておりますけれども、経済力の増大に伴い、ODAで大盤振る舞いをすることで賠償の埋め合わせをしているとも受け取られるこれまでのあいまいなやり方は、戦争被害者個人にとっては納得のいきかねるところだと思います。今後とも引き続き、謝罪と補償問題は課題となっていくことと思います。  これに対しては、歴史の過ちを謙虚に受けとめ、謝罪の気持ちを繰り返すとともに、被害者納得のいく形を後手にならないように模索することが大切だと思います。これが信頼醸成基礎になると思います。  さて、東アジアの現状と将来でございますが、二十一世紀東アジア情勢を見ますと、何といっても中国存在の巨大さがあります。二〇五〇年の人口は約二十億と予想され、改革開放路線に沿って経済発展がさらに順調に進み、WTOへの加盟がかなえば、アジアにおける中国存在感はますます大きくなってまいります。  また、中国を含め北朝鮮など社会主義国存在は、経済、貿易の面で多少自由化され始めてはいるというものの、中国での天安門事件などまだ記憶に新しいものがあります。また、韓国金大中大統領太陽政策にもかかわらず、北朝鮮政権がいまだに厚いベールに包まれており、今後彼らが民主主義国家とどのような折り合いをつけるか注目されるところです。  さらに、現在の中国台湾との間の緊張関係も、今後のアジアの行方、そして日米を含む関連諸国にとって大きな影響を与える要因となると考えられます。  さて、これについてのアメリカ対応でございます。  クリントン政権からブッシュ政権へかわりました。湾岸戦争後のクリントン政権は、社会主義国中国北朝鮮国際社会の場に引き出すべく、いわゆるエンゲージメント政策をとり、中国へはWTOへの加盟を、北朝鮮へは韓国の金大中政権太陽政策等を支持してまいりましたが、二〇〇一年に政権の座に着いたアメリカブッシュ政権は、冷戦後の再来と思わせるほど中国北朝鮮に対して挑発的路線をとり始めていることが気にかかります。ブッシュ大統領の側近の多くは父親ブッシュ政権下で冷戦を経験した人たちであり、中国北朝鮮など社会主義国への姿勢と反比例して、アメリカの対日政策はより緊密なものになっているのは皮肉なことでございます。  さて、日米安保、そしてアジアの中の日本の位置づけについて触れたいと思います。  世界の、なかんずく東アジアの平和と繁栄に大きく依存する日本の立場でございますけれども、冷戦が終わったにもかかわらず、防衛費は一向に削減されず、平和の配当はありません。ITが駆使されるという二十一世紀戦略・戦術にとって、従来型の兵器や輸送手段の見直しが当然と思われますけれども、それにはいまだにほとんど手がつけられておらず、また兵器の調達コストは国際価格を大きく上回っております。技術力を温存するという理由で同じ企業に時代おくれの軍事部品の発注を続けることは、第二のゼネコン問題になりかねないと思います。真剣な検討が望まれるところでございます。  また、ブッシュ政権に国務副長官として参加しているアーミテージ氏などによる米国防衛大学国家戦略研究所の特別リポートによると、日本戦略的パートナーと位置づけ、平等な関係を求めておりますが、平等なパートナーとは一体何を意味するものなのか、日米でゆっくり話し合う必要がございます。アメリカは、武力行使のレベルの平等性までも求めているのでしょうが、日本はそれにどのように対応するつもりなのか、また日本東アジアの平和と安定に日米安保を通じてどう貢献するのか、日本側の考えをはっきりすべきだと思います。  日本が現憲法下でアメリカにできる最大貢献は基地の提供であり、いわゆる思いやり予算です。アメリカがこの極東地域において、中国北朝鮮を競争的相手と位置づける以上、またロシアを引き続き牽制し続けるという意味においても、米国世界戦略にとって日本の米軍基地、なかんずく沖縄の地政学的価値は潜在的により高まると考えられます。日本にとっても防衛上、中国北朝鮮等のアジア諸国との関係においても、在日米軍基地の存在意義は決して小さいとは申せませんが、基地の縮小についてはさらなる話し合いをするべきだと思います。特に、沖縄が戦争中にこうむった筆舌に尽くしがたい苦難と、戦後も日本における米軍基地の七五%を負担している事実に思いを深くすべきであり、日本アメリカの独自の軍事戦略に一方的に巻き込まれることは絶対に避けるべきだと思います。  冷戦後、日米安全保障は引き続き日米関係基軸として位置づけられておりますが、その目的あり方冷戦中とは異なることは当然です。それまでのソ連その他の国々からの脅威への対処という側面から、アジア太平洋全体の危機管理の側面を持ってまいります。  そうした中で、安保基軸とした包括的二国間同盟から多国間協調体制へ、そして仮想の敵を意識した戦術から、治安を維持する戦術へ移行すべきだと思います。そのために、PKOのような平和維持活動への準備、その際の集団的自衛権の問題も早急に結論を得なければなりません。  また、我が国の沿岸において、密入国者あるいは不審船警備のための海上警備行動が必要だと思いますが、沿岸警備隊と海上自衛隊の共同作戦も今すぐ準備する必要があるのではないかと思います。その際、当然これまでの装備から新しい戦術に沿った組織や兵器、輸送体系をつくっていくことが大切だと思います。  アメリカは既にサイバー戦略に重点を置き始めておりますが、アメリカにいながらにして、つまり、本国にいながらにして全世界を動かしていくというこの戦略に対して日本はどういう対応をとっていくのか、どう参加し貢献できるのか、自衛隊のさらなる高度情報化が急がれると思います。  以上でございます。
  8. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  次に、高野博師君。
  9. 高野博師

    ○高野博師君 最初に、東アジア安全保障について個人的な見解を述べたいと思います。  東アジア安全保障にとって重要な要素となるのは、台湾問題を含む中国北朝鮮の動向であることは言うまでもありません。  そこで、東アジア安全保障を決定づけるのは米中関係でありまして、今後の米中関係は、基本的には協力と競争が混在する形をとると思います。ブッシュ政権中国に対して、コンテインメント、封じ込めとエンゲージメント、関与の両方からとったコンゲージメント政策をとってくるのではないか、つまり競争的共存関係を求めてくるだろうと思われます。  そこで、米中関係の中で日本がどう対応するのかがポイントになると思いますが、日米同盟強化が不可欠であると思います。集団的自衛権の行使の問題は十分議論する必要があると思います。  日米同盟強化という中で、日中友好の深化が重要になると思います。日本が米中関係の橋渡し役あるいは調整者役を担う限り、日中友好と日米同盟強化とは矛盾しないと思います。  台湾問題が東アジア安全保障を考える上で最大の問題になると思います。中国が武力を行使して統一を図ろうとする場合は、日本は強硬に反対すべきである。統一の方法については中台の自主性に任せるにしても、日本としては日中共同声明の立場を堅持すべきであります。なお、ブッシュ政権が最近台湾重視の姿勢を示していることから、米中関係に緊張が出てくる可能性があると思います。  北朝鮮については、基本的には対話抑止というスタンスがとられてきた。抑止という点で、日米安保条約による抑止効果はあると思いますが、日本独自に対北朝鮮抑止の実態を有しているとは言えないと思います。微妙な問題でありますが、今後私自身も研究したいと思っております。  昨年の南北首脳会談は画期的なものではありましたけれども、その後の和解への流れが本物であるのかどうか見きわめる必要があると思います。  日本は、基本的には日米韓の協力関係の中で対北朝鮮政策を進めるべきであります。ブッシュ政権はクリントン前政権と異なって若干強硬な姿勢を見せており、我が国の対北朝鮮政策変化が求められることもあり得るのではないかと思います。  拉致問題については、日朝国交正常化の入り口論にはしないけれども、これを解決するよう主張し続けるべきであると思います。また、日朝国交正常化は、北朝鮮軍事的脅威を削減させるという意味からも国交正常化に向けて努力を払うべきであると思います。  北朝鮮に対する経済援助は、拉致問題もあり、核・ミサイル開発問題への警戒もあり、人道的援助に限定すべきであると思います。  また、朝鮮半島の不安定化を避けるためにもっと中国の立場を活用できないか、対応を考えてもよいのではないかと思います。  先般、金正男氏と思われる人物が不法入国しようとしましたが、政府は即強制退去をさせました。このような問題はきちんと調査すべきである。北側の無言の圧力とおどかしに屈したのではないか。金正男氏の来日目的は武器の取引という情報もあり、十分調査してしかるべきであったのではないか。もっとぎりぎりの駆け引きを行ってもよかったのではないか。日本は従来そういう対応を避けてきた。国民は必ずしも納得していないのではないか。  私が東アジアに関して最も強調したい点は、以下の点であります。  一つは、将来的には、日本がイニシアチブをとって、もっと構想力を発揮して、中国台湾、南北朝鮮を含めた形で東アジアにおける自由貿易圏あるいは経済共同体を創設すべきではないか。これが東アジアの平和と安定と繁栄に貢献することは間違いないと思います。  そしてまた、日本がイニシアチブをとって東アジア非核地帯を創設すべきであると思います。  さらに、我が国東アジア平和研究所を設立してはどうかと思います。  日本には、中国朝鮮半島を専門的に総合的に研究する機関が存在しておりません。寺島参考人も述べておられましたが、外交インフラなくして外交戦略なしということを想起すべきであると思います。こういう研究機関には、日本研究者だけではなくて、中国など他の国からも専門家を招聘したい。後で述べますが、このような研究機関で歴史認識共同プロジェクト、こういうことを実施するのもよいのではないかと思っております。  我が国外交あり方について、これも個人的な見解であります。  戦後の我が国外交において特筆すべき外交上の成果というものは、言うべきものが思い浮かばない。これは、外交理念が明確でないためであり、また外交の自主性がないためであると考えます。二十一世紀我が国外交においては、理念、原則を明確にする、相手国あるいは国際社会に対してこれを明確に発信し、メッセージ性を出していくことが重要である、国家としての信念ともいうべきものあるいは筋を通すべきではないかと思います。  国家としての外交理念について考える場合に我が国が特に念頭に置くべきことは、世界の平和と国際貢献を行っていくということの重要性であることは言うまでもありません。そのために、地球の温暖化、エネルギー問題、貧困難民、食糧問題、感染症といった地球規模問題群について国益、人類益の両者を追求しつつ、信頼と評価を得るよう努力すべきであると思います。  また、我が国外交においては、これまでもあいまいな対応や、穏便に済ませるため、対立や摩擦あるいは政治問題化することを殊さら避けるような外交姿勢が見受けられた。真っ正面から問題解決に努力する姿勢が必要ではないかと思います。  そこで、我が国外交の唯一ともいうべきてこはODAにありますが、もっと戦略的な活用を進め、また政治的、外交発言をふやして、めり張りをつけるべきではないかと思います。  我が国外交において日米関係基軸であることは論をまちませんが、これも質的変化が求められていると思います。立体的な相互協力関係を築くため、対米追従、米一辺倒は脱却すべきではないか。対米関係においては、より我が国の自主性に基づいた外交をすべきでありまして、その結果、日本外交がもっとダイナミズムを持つことができるのではないかと考えます。  米国アジア太平洋及び東アジア戦略について、最近、米国側は二面作戦を捨てるとの報道がありましたが、これが実現すれば、東アジアにおける米軍の兵力は削減される方向になり、この結果、日米安保体制の中の地位協定の見直しの必要性も当然出てくると思います。  対中関係について、これも日本外交には欠かせない重要な点であります。  私は、先ほども述べましたが、真の日中友好の深化は日米同盟強化とは矛盾するものではないと考えておりまして、我が国は日中友好関係強化努力を進めるべきであると思います。そのためには、過去の清算をきちんと行うことが重要であり、中国韓国、東南アジア諸国共同して、歴史に関する共同認識をまとめ上げるための歴史認識共同プロジェクトを立ち上げるべきではないかと思います。  ドイツとポーランドは、三十年にわたって共同して教科書づくりを行うことによって相互の認識が相当深まったと言われておりますが、我が国はこのような例を参考にし、歴史認識をある程度共有できるような方向に持っていく必要があると思います。  対中ODAについても、是々非々できちんと見直しを行うことも必要であると思います。中国に対してはODA大綱の原則も崩れている。我が国ODA原則はきちんと遵守すべきであると思います。対中関係では、対等の立場に立った明確な主張をしていくことが重要であり、例えば尖閣諸島の問題や海洋調査船の問題等について、はっきりと抗議すべきときには抗議すべきであると考えます。あいまいな外交姿勢をとっていると、米中関係の中で日本が埋没してしまうということが懸念されるからであります。我が国は、国家目標、戦略政策を明確に打ち出す必要があると思います。  次に、北方領土問題について、これも外交の理念と関連しますが、北方領土の交渉を行う際に、二元外交は足元を見られることになりかねないので排していくべきではないかと思います。世界には現在百四十四の領土問題が存在すると言われますが、中には数百年以上も解決していない領土問題もあります。このような息の長い領土問題を解決するには国内世論の支持が不可欠であり、そのため、国民に対してはっきりと経過がわかる交渉も重要ではないかと思います。そのような観点から、川奈提案のような外交秘密主義は排すべきではないかと思います。  以上のような点を考慮しつつ、その底流においては、日ロ各般の協力関係、相互理解の促進への努力を引き続き継続していくべきであると思います。  国連外交について、これは引き続き我が国外交において重要な位置を占めておりますが、中でも安保理事会の改革及び日本の常任理事国入りについて引き続きその努力を払うべきであると思います。また、PKOについても、我が国としてより積極的な貢献、支援をしていくべきであると思います。  以上です。
  10. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  緒方靖夫君。
  11. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本外交あり方東アジア安全保障について、日本共産党の見解を表明いたします。  我々は野党でありますけれども、日本国民に責任を持った外交を提言しながら独自の活動を進めてまいりました。東南アジア諸国政府・与党との交流、会談などを通じてアジアの平和を促進する活動、北朝鮮日本の国交正常化について提案し、超党派の訪朝団に加わりその道を切り開いてきたこと、唯一の被爆国日本ですべての国の核兵器廃絶を要求してきた政党として原水爆禁止運動の中でも独自に世界に向かって核兵器廃絶のイニシアチブをとってきたこと、力の行使と威嚇による国際秩序でなく、他国への不干渉、紛争の話し合い解決など、国連憲章の目的と原則を擁護した国連中心の平和秩序のための活動を進めてまいりました。  第一に、国民の立場に立ち、国民の利益を擁護する自主的な外交です。  調査会議論の中でも、独自性のない、顔や姿の見えない外交と言われました。その要因として、何人かの参考人の指摘もありましたけれども、アメリカ言いなりの外交を改めることが必要となっております。  ハワイ沖で米原潜によるえひめ丸沈没事件がありましたが、日本共産党は直ちに現地に調査団を派遣いたしました。私が団長として現地での救出活動の促進や原因調査に当たってまいりましたけれども、そのときに遭遇した日本政府代表の言動は現地でも奇異なものとマスコミに伝えられました。  救援活動が進められているさなかに、日米同盟の堅持と米原潜の救出活動には落ち度がなく適切だったと繰り返したのです。それだけでなく、森首相が日米首脳会談の中で、この事件に関連して、米側の迅速で誠意ある対応に感謝すると述べたことで、日本政府の出先だけでなく政府全体の立場が明らかにされました。  これは最近の一例にすぎませんが、事実を把握せずにアメリカ軍事行動を支持したり理解を示したりすることは、国際機関でのアメリカの投票機械とやゆされてきたこととあわせて、日本外交が主権国家のものであるのかという疑念をつくっていることを指摘せざるを得ません。  道理と節度を持って自国の主張をする外交は、意見の違いを超えて尊敬されるし、日本よりも小さい経済力や国力の国でも、その政治力が高く評価されている国が幾らでもあることを想起すべきです。  第二に、アジアに軸足を置いた外交です。  世界人口の六割を占めるアジアは、日本の属してる地域というだけではなく、二十一世紀に大きな飛躍が期待されている大陸です。アジアに生きるという点で、アジアに今あらわれている平和の流れを本格化する点でも、ASEANプラス3などの枠組みが定着し、そこでの政治、経済、さらには安全保障対話が進みつつあるもとでアジアに軸足を置いた外交は一層重要となっております。  アメリカとの外交は、密接な政治的、経済的な関係から重要であることは言うまでもありません。そして、対等、平等の友好関係発展させることは当然です。また、全方位外交も重要です。アジア外交は、日本基盤、足元が問われる問題です。  日本共産党は、再三表明しているように、日本国連常任理事国入りには反対です。それによって負う義務が憲法に抵触するという理由もありますけれども、アジアにどれだけ信頼を得ているのかという自己分析をすることが必要だと思います。  マレーシアのマハティール首相は、日本アジアの一員とならない限りは国連常任理事国入りには賛成できないと述べております。私は、どの国の意見も絶対視するものではありませんけれども、あれほど日本をよく理解している国のリーダーが、日本政府が多数派工作をしていることを承知の上でなぜこうした意見をあえて述べるのか、真正面から受けとめて考えてみる必要があると考えます。  東南アジア非核地帯条約とその批准の推進が進められておりますけれども、これに日本政府がどういう態度をとるのか。かつて戦争紛争の絶えなかったASEANは、外国軍事基地のない非同盟の地域になっておりますが、非核化と軍事ブロックの解消にどういう態度をとるのか。  昨年、ASEAN国会議員総会に私は参加し、日本国会代表団との対話集会の席でインドネシアの代表が、日本からの経済援助やODAは特権的な階層への利益にはなったが国民には余り回ってこなかった、重要な援助を国民全体のものにしてほしいという要望が出されました。経済協力が各国国民の利益になるように必要な見直しを行うことも課題になっていると思います。  第三に、日本の軍部が進めた侵略戦争への反省を明確にし、平和原則の憲法を持つ国として軍縮への流れを大きくし、世界で唯一の被爆国として核兵器廃絶のイニシアチブをとることです。  教科書問題が重大な外交問題として発展しておりますが、これは、日本の進めた戦争アジアの独立と解放を促したといった記述を歴史の事実として承認できるかという問題であり、私たちは断じて容認できないという立場です。アジア諸国政府国民も抗議しているように、この問題は日本政府戦争への反省に疑問が持たれている事態であり、このままでは絶対に終わらない、時間が解決する問題でもありません。  さらに、小泉首相は、集団的自衛権の行使とそれを可能にする憲法改正を提起しております。  この背景には、アメリカブッシュ政権の国務副長官に就任したアーミテージ氏らが強調しているように、日本集団的自衛権の採用をという強い要求があります。日本の憲法が集団的自衛権を禁じていることで米軍の軍事作戦が極めて複雑なものになっており、有事の際に日米共同紛争の処理に当たる場合に支障を来すという現実的な戦略作戦の対応として提起されているもので、有事法制化の動きとあわせて極めて危険なものです。  小泉首相のこうした表明をアジア諸国の新聞は、アメリカの言いなりという日本政府の一番古いやり方を踏襲したものであり、到底改革とは言えないと批判しつつ懸念を表明しております。  日本は、憲法で戦争を放棄し軍事力を持たないことを定めています。憲法九条をしっかりと守り、それに基づく外交こそアジア諸国との真の友好を築くものになると考えます。  次に、アジア安全保障の問題です。  日本共産党は、ARFASEAN地域フォーラム東アジア地域の平和と安全のための対話機構の枠組みとして重視しております。その重要性は、東アジアのすべての国が参加していることに加えて、その合意にあります。それは、どの国も敵視しないこと、軍事力による共同制裁を予定していないことであり、これを実行するならばアジアの平和の構築への大きな貢献になることは間違いありません。  そもそも、世界には欧州のEU、米州のOAS、アフリカのOAUなどがありますが、こうした政治的プラットホームがない大陸がアジアでしたから、それだけにこの発展を喜んでおります。  さらに、ASEANプラス3という枠組みがあります。ここで経済問題のみならず、安全保障・政治的イニシアチブを強めていくことを注目しております。  九九年十一月、マニラで行われた第三回ASEANプラス3首脳会議では共同声明が採択されました。  そこには、「政治・安全保障の分野」の項で、「各国首脳は、東アジアにおいてこの分野で共有する関心事項に対処する上での協力を強化することにつき意見の一致を見た。」と明記されました。  さらに、共同声明には、「各国首脳は、国連憲章の目的と原則、平和五原則、東南アジア友好協力条約、及び普遍的に認められた国際法の諸原則に従って、相互の関係を処理することへのコミットメントを強調した。」と書かれてあります。  平和五原則は、五四年に周恩来とネルーが確認し合った領土・主権の尊重、不可侵、内政不干渉、平等・互恵、平和共存の原則です。  アジアでのアメリカ軍の存在について、アジア諸国でも日本国内でもいろいろな意見があります。しかし、各国の内政に干渉しないこと、軍事行動をやる際には国連の決議が必要なこと、それ以外で軍事力が行使されるのは、侵略への自衛、反撃の場合だけであることが国際社会で確認されるなら、平和と安全保障にとって大きな意義を持つことは間違いありません。これは、今日の国際関係地域関係では非常に重い内容を持っております。  台湾問題の平和解決は、日本にとってもアジア全体にとっても重要な課題です。その際、国際法の枠組みから見ても、日本がかつて台湾を占領、支配してポツダム宣言で中国に返したという経過を持つ国として、一つ中国の原則は明瞭であること、これまでミサイル演習などが行われ緊張が高まったことがあったわけですが、日本共産党は平和的な解決を中国側にも求めてまいりました。とりわけ、台湾の人々の共感を得られるようにすることが大事だという提起を直接、指導部間の会談の機会に行ってまいりました。  そうしたもとで、この一月に行われた銭其シン副首相の台湾問題についての演説で、台湾についての表現を変えたことが注目されました。それまでの中国一つであり台湾中国の一部という表現から、中国一つであり中華人民共和国と台湾一つ中国を構成しているというふうに変えたわけです。三月、私が中国の代表団と会談したときに、その変えた動機として中国側は、台湾の人々の声を聞くべきだという日本共産党の提言を重視したと語っておりましたけれども、中国側の対応についても率直に意見を述べてきたことについても紹介しておきたいと思います。  朝鮮問題は引き続き重要です。  この点では、ブッシュ政権政策が、ペリー報告など、前政権と異なるものとなりつつあることがさまざまな影響を与えておりますが、ペリー報告は、北朝鮮について、願望からではなく、現実から出発して、理性的で現実的な方向を示した重要性を持っています。韓国の金大中大統領太陽政策なども相まって、昨年六月に南北朝鮮首脳会談が行われました。最近のEU代表団の南北朝鮮訪問は、停滞を見ていた動きに活をもたらすものとなりつつあります。金正日氏は、二〇〇三年までミサイル発射を凍結すること、訪韓により第二回目の南北首脳会談を行う意思を確認いたしました。  現在、停滞している日朝国交正常化交渉を前進させることが求められていると思います。侵略戦争と植民地支配の過去を清算するために積極的に対応することが必要です。その際、いわゆる拉致問題については、この間の国会質問でも明らかになっているように、七件十人の件は、直接の証拠が欠如していること、このことは政府も認めている問題ですけれども、捜査の到達点の現状に立って、それにふさわしい交渉による解決が必要だと考えます。  日本共産党は、アジアで平和の流れを強く太くするために引き続き力を尽くすものであります。  以上です。
  12. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  次に、田英夫君。
  13. 田英夫

    ○田英夫君 まず、東アジア安全保障について申し上げます。  国連に関する意見表明でも述べましたが、世界を幾つかのブロックに分けて、それぞれに総合安全保障機構をつくっていくということを二十一世紀中に目指すべきだと思っています。アジアでは、私どもは北東アジア総合安全保障機構を構築すべきだと主張しておりますが、北東アジアというのは、ここに言う東アジアと全く同じ意味だと思っていただいて結構です。  この北東アジア安全保障機構には、三つの柱が前提条件としてあると思います。  その第一は、北東アジア非核地帯条約を締結することです。  この北東アジア非核地帯条約というものを結ぶことによって、内容は、日本、南北朝鮮、モンゴルの四つの国が締約国となって、アメリカ、ロシア、中国という核保有国が、非核三原則プラスワンと私どもは言っているんですが、つまり、つくらず、持たずは自分たちのことですが、持ち込まない、それから核攻撃をしないという約束を核保有国から取りつけるというやり方で条約を締結することです。このやり方は、既に南半球全域を覆っている非核地帯条約で既に実証済みであります。  この条約の目的は、言うまでもなく、東アジアにおいて、日本、南北朝鮮、モンゴルと、この条約を結ぶ四つの国の間で信頼醸成をなし遂げていく、そして宥和の精神を高める、これをきっかけにして北東アジア総合安全保障機構へと結びつけていくということであります。  二番目に、日本政府による不戦国家宣言を提起したいと思います。  これは、オーストリアの永世中立の方式が参考になりましたが、オーストリア政府は永世中立宣言をし、これを国連が承認するという形をとって世界じゅうが認めております。また、モンゴルの非核国家の宣言というやり方も大変参考になります。モンゴルは一九九二年に大統領が非核国家宣言を行い、その後、他国に働きかけて、一九九八年に国連総会で非核国家の地位というものを承認されております。  こうしたやり方を参考にしながら、衆参両院で不戦国家宣言を決議し、それを受けて日本政府が不戦国家宣言を世界に向かって発して、それを国連総会において承認する。こうなれば、日本戦争をしない国ということが世界にはっきりと認知されることになります。  三番目の柱は、この不戦国家宣言に伴って自衛隊を改編、縮小するという問題です。  論理的には、戦争をしない国ということになれば自衛隊は不要ということになりますけれども、現在ある二十数万の自衛隊員の職を奪ってしまうということを私どもは主張するつもりはありません。これまでの経緯もありますし、縮小、改編という形をとるべきだと思っています。  具体的には、陸上自衛隊については、現在ほぼ十六万と言われておりますけれども、約十年をかけて七万程度に減らしていくことができないだろうか、海上自衛隊と航空自衛隊についても縮小、改編をし、また自衛隊全体の中から災害救助隊、国際協力隊といった非武装の集団にそれを変えていくということを考えております。  以上申し上げた三点を柱として、日本韓国、朝鮮民主主義人民共和国、モンゴル、中国、ロシア、アメリカ、それにカナダの八カ国から成る北東アジア総合安全保障機構の構築を目指すべきだと考えています。  カナダについては意外に思われるかもしれませんが、カナダは核軍縮や平和の問題について大変積極的に発言をしておりまして、ニュージーランドとかスウェーデンと同様に、今、世界の平和への動き一つの大きな力になっているということ、また米国との関係も深い中で、太平洋を隔てた国でありますが、この北東アジア総合安全保障機構に加わってほしいものだと思っております。  既に、社民党としては、昨年八月に韓国の金大中大統領、九月にはモンゴルのエンフバヤル首相、そしてことし一月には中国の江沢民主席と土井党首を団長とする代表団が会談をいたしまして、この主張を説明し、大筋の賛同を得ております。また、去る三月に東京で開かれました社会主義インターのアジア太平洋委員会の総会でも、最終決議の中にこの私どもの構想を支持する旨が盛り込まれております。  この北東アジア総合安全保障機構のまず一番大きな最初の仕事は、南北朝鮮の統一、和解ということだと思っております。同時に、日米中三カ国の円滑な関係をつくっていくということが基本的に非常に大切だと思います。総合安全保障機構というのは、軍事的な安全保障だけでなく、むしろ国民生活に直結する環境、食糧、水資源、エネルギー、福祉、科学技術といった諸問題について各国が協力することであります。その中で日本は、戦争をしない国ということを明確に世界から認められている中で一つの大きな役割が果たせるのではないかと思っております。  次に、日本外交あり方について申し上げます。  まず、我が国外交は将来に向かって日米基軸、これがもう今常識のようになっておりますが、日米基軸日米安保条約中心という外交を根本的に改めることから始めなければならないと思っています。  前の東アジア安全保障のところでも述べましたように、日本中国アメリカ、いわゆる日米中三カ国が基軸になるということが非常に大切な外交基本だと思います。北東アジア総合安全保障機構というものができますと、日米安保条約の第十条、これは御存じのとおり、その中で、「この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。」、つまり、この日本周辺地域国連の十分な安全保障機構ができれば、それを日米両国政府がそう認めれば、この日米安保条約は自然に消滅するということを規定しているのでありますから、その日米安保条約が消滅できるような機構をつくるというのが北東アジア総合安全保障機構の構築であります。  そして、そういう中で日米中トライアングルと言われているこの三カ国の関係を進めていく。既に、日米中トライアングルについては正三角形が望ましいとか、すべての三角の線が太い実線で結ばれることが望ましいとかいうことで民間の議論が既に始まっております。いわゆるセカンドトラックの話は始まっております。これを次第に政府レベルのファーストトラックに強化していくということが望ましいと思っております。  次に、朝鮮半島の統一についての具体的なことを申し上げますと、日朝国交正常化交渉を積極的に進めるということです。その場合は、金大中大統領太陽政策を明確に支持すること、同時に北朝鮮とまず国交を正常化するということを優先すべきだと思っています。いろいろ問題があることは事実ですけれども、その問題が解決しなければ国交正常化はしないというやり方は誤っていると思います。  かつて、ソ連時代にゴルバチョフ大統領の右腕と言われたヤコブレフ氏が私に、日ソ交渉の場面で日本政府は、北方領土という石を交渉をしようとする部屋の入り口に置いて、この石をどけなければ交渉を始めないという態度をとり続けてきている、これは日本政府の大きな過ちだと思うということを言いましたが、日朝国交正常化交渉においても同様のことが言えると思います。いろいろ問題があることは事実ですが、まず国交を正常化した上でお互いに具体的な交渉を進めていくべきだと思っています。  そして、現在問題になっていることですけれども、いわゆる歴史教科書問題についての対応日本外交基本的なものとして非常に重要だと思っております。この歴史教科書の問題あるいは従軍慰安婦の問題、強制連行の問題、こうした過去の誤りを率直に認めることをしなければ、二十一世紀には日本アジア諸国から孤立してしまうであろうと思います。  先ほど高野さんも言われましたけれども、教科書問題については、あのドイツとポーランドがアウシュビッツの問題で共同の作業をして歴史教科書をつくっていったというそのことに学びながら、日本と南北朝鮮中国などと歴史教科書について共同作業をするということがまず第一に必要ではないかと思っています。  以上です。
  14. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) 次に、高橋令則君。
  15. 高橋令則

    ○高橋令則君 自由党の高橋でございます。私の意見を申し上げます。  まず、東アジア安全保障についてであります。  東アジア我が国の安定と繁栄にとって極めて重要な地域でありますが、政治経済情勢については必ずしも安定せず、常に将来への期待と不安で交錯しています。  二十世紀最後の年で、半世紀にわたる厳しい対立状況が続いてきた朝鮮半島に平和到来の期待が出てきました。朝鮮半島は、冷戦後の東アジアにおいて武力紛争の発生が極めて懸念された地域でありましたが、昨年六月の南北首脳会談の前後から、北朝鮮は諸外国との関係正常化を目指す積極的な外交を展開してきました。しかし、朝鮮半島に長年続いてきた対立構造が短期間に平和と安定の構造へと転換するという性急な期待を抱くことはできず、この先行きはまだまだ不透明だと思っております。  中国においては、WTOの加盟を目指して世界経済に積極的に参加する意思を示しており、改革開放政策を推進し、国際環境の安定を志向するものと期待されます。しかし、これに伴う失業問題の深刻化や一党支配に根差す腐敗の構造化など、深刻な国内問題を多く抱えています。  台湾問題は、国内問題であるだけではなく、米中間の重要な対立要因となってきていますが、解決の糸口は見つかっていません。  また、地域安全保障にとって懸念されるのは、金融危機で最大の打撃を受けたインドネシアの混乱であります。インドネシアは人口が多く、資源も豊富な東南アジア中心的な国家であり、戦略的にも重要な位置を占めています。インドネシアの安定は、東南アジアのみならず、東アジア全体の安全保障にかかわる重要な問題でもあります。  これら三カ国を初め東アジアの国は、安全保障の問題と、そしてまた民族、宗教、領土など固有の問題など、不安定要因をそれぞれ抱えています。しかし、一方では、東アジアの安定にとっては経済発展地域協力が重要であるという認識は各国間で共有されているようになってきています。  近年、軍事的に目立った事件がなく静かで、懸念された米国中国両国の関係も緊張が緩和される方向で進んできました。しかし、最近になって米中軍用機の接触事故が発生しました。終局的には米中ともに両国問題を決定的に悪化させる事態にはならないのではないかと思っていますが、これを見ると、米中関係については、偵察機の返還、台湾の陳総統の訪米問題などによってこの両国間の不信感あるいは緊張感が高まる懸念もあります。  東アジアの安定のためにはアメリカ存在が極めて重要でありますが、ブッシュ政権東アジア政策が徐々に明らかになってきています。前政権との相違が出てきておりますが、これを注意深く見きわめ、適切に対応する必要があると思います。  東アジアでは、経済的な相互依存関係の高まりによって地域の一体感が生まれてきています。この一体感を強化し、東アジア経済的にも繁栄させるためには地域の安定化が不可欠であります。そのために、政治の安全保障の面で地域諸国間の協力が極めて重要となってきています。  我が国は、最も大切なパートナーであるアメリカとの緊密な関係を保ちつつ、東アジア各国の信頼をかち得ることができるよう責任と役割を明確にし、今まで以上に前向きな努力をしていかなければならないと思います。アジア太平洋地域の唯一の全域的な政治・安全保障対話の枠組みであるARFが今後重要な役割を担っていくものと思われますが、我が国としては、日米安保体制基軸としつつ、ARFにおける相互理解の増進と信頼関係の醸成に努めていくことが必要であると思います。  次に、我が国外交あり方についてであります。  冷戦構造の崩壊後、国際的な相互依存が深まる一方、民族、宗教、領土、資源などを背景として地域紛争可能性が高まり、国際関係は複雑化し、不安定な時代に入ってきています。一方、経済活動については地球規模で展開されるようになってきており、世界の平和と安定なくして成り立たなくなってきております。世界平和と安定こそ最大の国益であります。我が国は、世界の平和のために主体的かつ積極的に取り組んでいかなければならないと思います。  第一に、志のある外交であります。  今や安全保障経済活動、環境問題など、あらゆる分野において地球規模の相互依存関係が強まってきています。これまでのように日本だけが常に受益者の立場で自己中心経済的な豊かさを追求できる時代は終わりました。我々は、憲法の前文で規定しているように、国際社会において謙虚にして誇り高い国として繁栄を維持していかなければなりません。そのために、自己を律し、他者に気を配り、国際社会において協調していくことが必要であります。  さらに、諸国民の尊厳をお互いに認め合いながら、それぞれが自国の歴史の中で培ってきた伝統、文化、技術を人類共通の遺産として共有すべく、国際交流を進めるべきであります。  具体的には、まず国連中心の平和外交国連改革を推進します。すなわち、国連平和活動の積極的な参加、国連改革・機能強化及び旧敵国条項の廃止、そして安保理常任理事国入りの実現を図るべきであります。  日米関係については、一層信頼関係を構築するよう努力するとともに、軍事面のみならず、経済面、文化面を含めた幅広い日米協力関係基軸として、国際社会の諸問題の解決を積極的に推進すべきであります。  アジア地域については、特に国民間の相互理解を一層深め、その平和と安定の維持に全力を挙げ、経済開発環境等の諸問題の解決に積極的に貢献していかなければなりません。朝鮮半島の平和的統一への支援、心の通じ合う日韓協力、グローバルな視点に立った日中協力、ASEAN、APEC等の多国間地域機構を通じて、アジア諸国間における政治的、経済協調体制の確立を目指すべきであります。  北方領土については、四島返還を踏まえた日ロ協力を推進すべきであります。  第二に、責任ある安全保障についてであります。  安全保障に関する基本原則を定め、我が国安全保障基本方針を内外に宣明するとともに、日米同盟の信頼性の向上、それから有事法制の整備によって国民の生命と財産を守るべきであります。そのために、集団的安全保障についても、解釈、そしてまた最終的には憲法改正をクリアして取り組んでいかなければならないと思っております。  国連中心とする平和維持のために、国連憲章に基づく常設の警察軍を速やかに創設することとし、実現するまでの経過的な措置として、経済力のある国がそれぞれの負担で国連に部隊を提供し、常備軍として編成することを国連に提案したらどうか。我が国はそれに沿って自衛隊とは別の組織をつくり国連に提供する、こういうことがいいのではないかと考えております。  以上であります。
  16. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  島袋宗康君。
  17. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 東アジア安全保障及び我が国外交あり方について意見を述べたいと思います。  東アジア安全保障について考察するに当たっては、まず、その範囲及び現状についての認識を述べなければならない。しかる後に、この地域安全保障はいかにして確保されなければならないかという本論に入っていくことにしたいと思います。  東アジアには北東アジアと東南アジアの両地域が含まれ、後者はほぼ現在のASEAN諸国の領域と重なり、前者には日本及び朝鮮半島韓国北朝鮮中国及び台湾、ロシア沿海州が含まれるものと大まかに観念することにしたい。そして、ここで考察を試みる安全保障の問題は、我が日本とその近隣諸国との関係、つまり北東アジア安全保障の問題に限局することにしたいと思います。  この地域安全保障の現況は、南北朝鮮の対峙、中台間の対立、そして、ロシアの情勢日本の今後の動向という要素から成り立っている。そして、そこに唯一の超大国アメリカの国益に基づく世界戦略、ここではその東アジア戦略が強く作用を及ぼしているものと観念できるのである。  次に、しからばこのような状況はどのようにして現出したのかという点について考えてみることにしたい。  これらの状況はすべて歴史的所産であることは言うまでもないことである。二十世紀の半ば以降に第二次大戦という歴史的事件があり、その後、米ソ冷戦中国の内乱、朝鮮戦争というような歴史的な経過をたどって今日の状況にあるわけである。そこには民族と国家の興亡というとうとうたる歴史の潮流の一端をかいま見ることができるのである。  日本について言えば、日中戦争、第二次大戦の太平洋戦争、そして敗戦と占領、新憲法の制定、対日講和条約と日米安全保障条約の締結という一連の歴史的経過をたどって現在の日本があるわけである。戦後の新生日本米国の申し子であり、今でもその強い影響下にあるという側面を否定することはできない。  中国においては、日中戦争後の内乱と中華人民共和国の成立及び中華民国の台湾における残存と米台の強い結びつきという現状がある。朝鮮半島においては、南の韓国と北の朝鮮民主主義人民共和国の成立、そして、朝鮮戦争と休戦、米韓の強い結びつきがある。  ロシアについては、米ソ冷戦、ソ連邦崩壊後、ロシアの成立、冷戦の終結という流れの中に現在がある。  これらの各国米国との関係では、自由主義、民主主義市場経済という共通価値観によって日本韓国台湾米国と強く結びつき、同盟関係にある。ロシア、中国北朝鮮米国とは、かつての先鋭な対立関係ではなくなったものの、今でも緩やかではあっても対立する関係にあると言ってよい。  それでは、いよいよ本論に入っていくことにしたいと思います。  この地域安全保障は、超大国米国の自国の国益に基づく世界戦略と無関係に論ずることはできない。米国はその国益を守る立場から、日米安全保障条約、米韓相互防衛条約、米華相互防衛条約及びその失効後の米国内法の台湾関係法により、この地域安全保障に強くかかわっている。そして一方、ロシアの動向、北朝鮮の出方、中国の動向とその台頭には強い警戒感を持っている。米国は、北朝鮮に対しては、韓国日本との連携によって対処し、中国に対しては、台湾日本との連携によって対処しようという戦略をとっていると思われる。  このような米国戦略と要請の文脈の中で、日本における周辺事態法、有事ACSAの成立があり、今後の課題としての有事法制の整備集団的自衛権行使のための憲法改正の問題が政治日程に上ってくることになる。  しかし、ここで考えてみる必要があることは、日本の国益と米国の国益とは完全にイコールなのかという点である。私見では、歴史的、地理的関係から、米中、米朝関係よりも日中、日朝関係はより密接な関係にあり、将来にわたって共存共栄を図っていくべき関係にあると言えるのではないか。もちろん米国としても、対中、対朝関係が良好であるにこしたことはないと思うが、日本の場合ほど切実な問題ではないと言えるのではないか。そのような点一つとってみても、日本米国の国益が完全に同一のものとはなり得ないと思うからである。  現在、存在する南北朝鮮問題の緊張関係、中台間の緊張関係に対して日本がどのようなスタンスをとるべきなのか。言うまでもなく、米国韓国及び台湾と深く結びついており、これらの関係が悪化した場合には、いや応なく米国韓国及び台湾を強く支援することとなる。その際に、日本日米安全保障条約に基づいて米国を支援することとならざるを得ない。そこで、周辺事態法や有事ACSA法等が活躍の場を与えられることとなり、日本は消極的に関与することとなる。しかし、もし日本がこれらの事態に対して積極的に関与したいとの意思を持ち、かつ行動する必要があると判断した場合には、さらに有事法制の整備と憲法の改正が不可欠との選択をすることになる。  しかし、一体、このような選択をすることが果たして日本の国益につながると言えるのだろうか。つまり、万が一朝鮮半島や中台間で紛争なり戦端なりが開かれた場合に、日本は無条件で米国のお先棒を担ぐ必要があるのかということである。むしろ、日本はあくまでもこれらの緊張関係を平和裏におさめる努力をすべきであると私は考える。  まず、朝鮮半島における韓国の金大中大統領太陽政策を支持するとともに、北朝鮮との早期の和解と友好政策を推し進めるべきである。そして、中国台湾に対する政策は長期的な視点に立って、武力解放政策を捨てて、平和的に民族の融和を図る方向での協力を惜しまないとの意思を表明するとともに、その側面支援をすべきである。  日本が主体的にこれらの支援活動を実践するためには、まず、日本自身がこれらの関係国の信頼をかち得ることが必要である。そのためには、一日も早く米国追従外交を改め、ひとり立ちの外交政策を推進できる国家となることと、中国や朝鮮の人々からいつまでも歴史認識や教科書問題、靖国公式参拝問題等で指弾や非難を浴びることのないように、これらの問題にきちっとけじめをつけ、節度ある平和国家となることを表明し、実践し続けることが肝要である。  顧みれば、明治維新後の近代日本は、台湾朝鮮半島を植民地化したり、中国その他の国々を侵略したという歴史的事実は否定しようがないことである。あげくの果ては、太平洋戦争とその結末としての惨めな敗戦という現実を迎えたことを忘却すべきではない。悲惨な血の犠牲の上に平和憲法が打ち立てられたのである。押しつけ憲法との非難の声がほうはいとして起こりつつあるが、これは邪悪な声であると言うべきである。  憲法改正と軍備の正当化は、日本がかつてたどった道へ逆戻りする方向に行くことを意味する。決してそのような危険な方向へ行くべきではない。私は、平和憲法を永久に堅持し、節度ある文化国家の民として生きることこそが日本民族の行くべき道であると考えるものである。  そのためには、近隣諸国を初め、世界の諸国民と友好を結び、交流の輪を広げるための場と機会を数多くつくっていくことが必要である。日本の民衆があらゆるレベルで国際交流を促進して、相互理解を深め、相互の文化と伝統を尊重し、信頼の醸成に努めていくことが求められている。  私たち沖縄社会大衆党は、去る四月二十八日と二十九日の二日間にわたって、結党五十周年を記念して、沖縄の地で東アジア国際平和会議を主催したところであります。この会議には、中華人民共和国、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国からの代表を招き、二日間にわたって熱心な討議が行われました。その成果は実に大きなものであったと私たちは自負しております。  去る四月三十日付の地元紙琉球新報の社説は、この会議を総括して次のように述べております。「国家中心安全保障の視点に立つと、沖縄のような地域は永遠に「基地の島」から脱却できない。軍事化の抑制を可能にする唯一の方法は、民衆の安全保障の視点を持つことである。」「民衆の信頼を醸成していく運動は、地味ではあるが、国家の中心地から離れた地域にとって、安全保障の有力な選択肢となりうる。」と。  非力なローカルパーティーにすぎない私たちの党に対して各方面からの御協力をいただいてこの会議が成功をおさめたことに対しては、心から感謝を申し上げたいと思う次第であります。  そして、最後に、意志があれば道はおのずから通ずるものである、平和を欲すれば平和が訪れるはずであるということを申し上げて、私の意見といたします。  ありがとうございました。
  18. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  以上で意見の表明は終わりました。  これより委員皆様方で自由に意見交換を行っていただきます。  なお、限られた時間内で意見交換を活発に行っていただくため、一回の発言時間は五分以内でお願いをいたします。  また、御発言に当たりましては、調査項目に対する御意見のほか、今期調査会の活動等を踏まえた調査会あり方やテーマ設定等について御意見がありましたら、あわせてお述べいただいても結構でございます。  それでは、発言を希望される方は挙手をお願いいたします。
  19. 井上美代

    ○井上美代君 共産党の井上美代でございます。  私もほんの少しですが意見表明をしたいと思います。  東アジア安全保障及び我が国外交あり方についてですが、私たちは外交について四つの転換を求めております。  それは、第一に、紛争問題を解決する際には、軍事優先ではなく、話し合いによる平和解決を最優先させること。そして、国連憲章に定められた平和秩序を守ること。そして第二には、アジアに生きる国として、アメリカ外交偏重、そしてサミット外交偏重のあり方を正し、アジア外交日本外交中心に据えるということ。それから第三に、アメリカであれ、どんな大国であれ、他国に対する追従外交ではなくて、日本国民の立場に立ち、道理によって世界に働きかける自主独立の外交を築くこと。そして第四に、侵略戦争と植民地支配への反省をアジア外交に取り組む大前提として内外に明瞭にするということ。この四つをもってやっております。  紛争の平和的解決を最優先させるということに関連して、集団的自衛権行使が憲法に違反しないなどという見解が盛んに出されておりますが、この集団的な自衛権行使は憲法違反であるとともに、アメリカ日本周辺地域での紛争日本を巻き込む危険なもので、絶対に認めることはできません。  ことしになって米軍偵察機が中国の戦闘機と接触する事件が起こりました。仮に今後またこのような事件が起こったときに、中国米国紛争発展することも否定できないと思います。仮にそのようなことが起こったとき、日米安保条約を結ぶ日本が周辺事態法を発動して、日本が米軍支援の行動に出ることもあり得ます。このようなことをするということは、日本アメリカ戦争に協力することを意味します。  私は、このようなことを考えたときに、憲法九条を完全に守り憲法を改正しないこと、周辺事態法を発動せず紛争の平和解決を目指すこと、そのためにも安保条約をなくすことだと思います。日米安保条約をなくし、日本が自主独立の外交を行うこと、このことが東アジアの平和のためにも重要なことだと思っております。  最後に、森前首相の神の国発言がありました。また、小泉首相の靖国神社参拝表明、また誤った歴史評価を盛り込んだ教科書問題などを見ると、本当に日本政府が第二次大戦の反省をしているとは思うことができません。このような現実を見たとき、国連憲章の旧敵国条項を削除することには反対であることを改めて述べておきたいと思います。  今後のことについても一言述べさせていただきます。  国連安全保障の問題、いろいろ参考人のお話も伺いましたけれども、国連一つをとってみましてもまだできなかった部分がたくさんあります。だから、その点について、今後国連についても安全保障関係につきましても、今までの参考人からさらに広げて、広い参考人の方々の意見を聞くことができればと思っておりますので、それをお願いしておきます。  以上です。
  20. 本田良一

    ○本田良一君 私は、今後のテーマと申しましょうか、それは、いろんな角度から今までやっておりましたが、先般ちょっと新聞を見ておりましたら、アジア情報を得るために、例えばフィリピン情報であればアメリカに聞いて情報を得るとか、どうもアジア情報を得るためにアメリカとかイギリスとかフランスとか、そういうヨーロッパの機関を通じて情報を得ると。そういうふうに、このマスメディアの関係、NHKあたりはスピルオーバー現象で、これはナホトカとかあるいは中国とか韓国とか台湾、こういうところでもテレビは見えますけれども、実際にいろんな情報を得る場合、どうもヨーロッパからアジア情報を得なければならないと。何かそういう情報ヨーロッパ中心にやっぱりなっているような感じですから、この統計情報とか文化とか経済、教育、そういうアジアのものを日本が、やっぱりアジア情報日本がセンターになってアジアの各メディアにちゃんと的確な情報を与えることができる、そういうものをひとつテーマにして私はいただけないかと思います。  それからもう一つ、サミットとかそういう大きな国際会議は報道でいろいろ知っておりますが、私は、ことしの一月、アジア太平洋フォーラム会議員団に参加させてもらいました。しかし、こういうフォーラムなどがあってもこの国会の場所ではどこでも報告をされないですね。だから、そういうものをこの国際問題の調査会で必ず資料を添えて報告をする、そういうのをひとつ義務づけていただけないかと。  以上です。
  21. 沢たまき

    ○沢たまき君 私は、二点コメントをさせていただきます。  第一点は、先ほどの御意見の中にもあったんですけれども、東アジアにおける平和と安定を確保するため我が国東アジア平和研究所を設置すべきとの御意見があったんですが、私はもう大いに大賛成であります。  とにかく一番大事なことは、こういう格言もありますが、「汝須く一身の安堵を思はば、先ず四表の静謐を祈らん者か」と、こういう考え方が昔からございますけれども、一番大事なことは、考え方とか意見が違っていても相互に顔を突き合わせて何度も話し合えば少しずつ共通の認識も出てくるということです。少しずつでも誤解が解けて、部分的にでも共通の認識ができ上がることがまず第一歩であると考えます。時間はかかると思います。けれども、これまでこうした努力が欠けていたのではないかなと思います。このような研究所を我が国が率先してつくるべきだと思います。  ついでに言わせていただければ、私は国連を招致してそれを沖縄の中でやってもらいたいと前回のときにも申し上げましたけれども、できれば一番この大戦で被害を受けた沖縄に平和研究所を、東アジアの研究所をつくっていただければという思いがしております。  第二点は、我が国外交の今後における文化交流の重要性であります。  我が国外交あり方について、いま一度これまでの議論を振り返ってみました。何人かの参考人も指摘されておりますように、現在、我が国は五百年に一度という大きな変動の時期に直面しております。そのような中で、長いスパンで将来を見据え、教育そして文化に力を入れることが極めて重要であります。つまり、高い文化水準は尊敬の対象となるからであります。  ここにちょっと典型的な事例があります。ある旧通産省の方がドイツに赴任をされました。そのお子さんがドイツの学校でいじめに遭っていたそうです。それがある瞬間からいじめがなくなった。その理由を探ってみますと、ベルリン・フィルを小沢征爾さんが指揮をした、それを御家族で見に行ったと。日本人の中にも偉い人がいるんだなということで、これが原因でいじめがなくなり、尊敬をされたという事実があります。  サミュエル・ハンチントンを引用するまでもなく、国際社会においては異なった文化とか思想からくる対立が根深く存在して、二十一世紀にはこれがもう目に見える形で紛争になり得るという識者の意見もあります。このような問題を超越する意味でも、またエコノミックアニマル、拝金主義との非難をはね返すためにも、ハードパワーからソフトパワーへと、ソフトパワーを発揮するために我が国外交文化交流に力を注ぐべきだなというふうに考えております。  この二点を申し述べさせていただきます。  以上です。
  22. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 大変私の発言意見が分かれるかもしれませんが、沖縄の立場からすると、戦後五十六年、沖縄が返還されてちょうど二十九年になっている今日でありますけれども、私ども、返還のときには核抜き本土並みということで、その前に佐藤総理が沖縄に参りまして、沖縄の返還なければ日本の独立はないというぐらい表明して、それで核抜き本土並みということで返還が実現して二十九年たっておるんです。  今、沖縄県民は、海兵隊の削減ということで県議会でもこれを決議して、それで稲嶺知事と名護市長の岸本市長が同時にアメリカに行って海兵隊の削減問題を取り上げているわけですけれども、沖縄県民のこれは総意でありますから、やはり国会の中でもそういうことを議論する場がなければならないんじゃないかというふうなことを思うんですけれども、それは意見の分かれるところでありますが、しかし県民の総意でありますから。しかも、最近は米中の、例の偵察機と戦闘機との衝突事故がありまして、それが沖縄の嘉手納基地から常時発進しているというふうなことでありますので、県民としてはこれでも独立国かというような問いかけをずっとやって、そしてそういったことも大きな不満として現存しております。  そういうふうなことも含めて、何らかの形で国会の中でそういう沖縄問題を中心とした解決の方法がないだろうかというふうなことを常々思っております。  今、沢先生のお話もありましたように、沖縄に国連事務所を置いたらどうかというふうな意見もありまして、非常に沖縄がそういった意味では中心的役割を果たしておるんじゃないかというようなことも考えますと、やっぱり基地問題だけはちゃんと整理した上で国連の事務局を持ってくるというふうなことでないと、そういったふうな意見を踏まえて全体的な議論もしてほしいなというふうな感じを持っていますので、私の意見として受けとめていただければと思います。
  23. 山本一太

    山本一太君 幾つかコメントをさせていただきたいと思うんです。  まず、井上委員や本田先生の方からもこれから取り上げていくテーマについての御意見があったんですが、本田委員のおっしゃった情報の話は私は大変おもしろいと思うんです。ただ、なかなか取り上げにくいテーマだとは思うんですが、二十一世紀日本国家戦略を考えていく上で、やっぱりどういうふうに情報に取り組む体制をつくっていくかというのは実は非常に国家戦略上大切だと思うんです。  ただ、昔、こういう試みをやったことがあって、実は日本情報というのは先生がおっしゃったようにかなりアメリカに頼っていまして、余りこの分野に入っていくと実はいろんなところからいろんなプレッシャーがかかるということがありまして、かなりセンシティブだなというふうに思ったことがあるんです。  ただ、今回、共和党政権になって、例のこの間来たアーミテージが中心になってつくったアーミテージ・レポートも出まして、集団的自衛権の話をしたり、あるいはパワーシェアリングのコンセプトをいろいろ提言したりしたんですが、私はあのレポートの中で非常に注目しているのは、初めてアメリカ側から、本当に政権のブループリントになるかどうかわかりませんが、しかし、主要な人たちが全部入っていますので、初めてアメリカ側から情報協力ということを言いまして、いわゆる健全な自由競争じゃないんですが、ある程度情報の分野でも日米が競い合っていくことでこの分野に協力関係をつくってもいいんじゃないかという提言が入っていたので、やり方はいろいろ気をつけなきゃいけないと思うんですが、日本にいかに情報というものを扱う体制をつくるかという話はもしかしたらどこでもやっていませんし、こういうふうに公式にこういった委員会の場で取り上げるというのはかなりおもしろいのかなという感じがいたしています。それが一点です。  二点目は、この前の意見交換のときにも言ったんですが、もう今期の国際問題調査会はこれで一回おしまいということになるわけなんですけれども、これも何人かの方からサポートいただいたんですが、国連総会モニター議員団とでもいいましょうか、国連総会のときにある程度その議員団が行くという計画だけはぜひ次の会長にお願いして、次の期に残していただきたいなと。現実的にはいろいろと国会の問題はあるかもしれませんけれども、少なくともやっぱりこの調査会で小委員会か何か設けて、そういう提言をするという活動はぜひ私はやったらどうかと思っていますし、私は現実的にこれは実現する可能性があると思っていますので、ぜひ次の期の国際問題調査会一つの何か課題として残していただければというふうに思います。  それから三つ目は、沢委員がおっしゃった文化の力というのは私は本当に賛成です。ただ、いつも思うんですけれども、文化はイコール、いわゆる日本の伝統文化だけじゃないと思うんです。文化というのはいろんな側面があって、一時、金大中大統領政権、今でも金大中大統領なんですが、大衆文化の解禁の問題というのがあって、韓国の偉い学者さんが来たところに呼ばれてパネルディスカッションみたいなのに参加したことがあるんですが、大衆文化という言葉は私は死語だと思うんですね。文化というのは低いとか高いというのはなくて、だから、さっき沢委員がおっしゃったソフトパワーを生かす文化、それは日本からクラシックの世界的な指揮者が出ていればそれも一つ文化の力なのかもしれないし、あるいは華でも、それからお茶でも日本の本当の伝統文化として深い力を持っているんですが、しかし、いわゆるサブカルチャーみたいな、例えばアジアに行くと、アメリカ文化さえ席巻しているような日本若者文化とか、やっぱり日本の新しい側面も大きな文化交流の一部としてとらえて、私は総合的に発信していくべきじゃないかなというふうに沢委員のお話を聞いて思いました。  あと最後に、五分以内ということなんで、あと一分ぐらいあるのであれなんですけれども、やっぱり二十一世紀一つのキーワードは、外交世界で特に言うと発信力だと思うんです。せっかく国際問題調査会みたいな、ほかで、衆議院にはないシステムの中で、これだけ長い時間を使って日本を代表する専門家のお話を聞き、皆さんで議論をしているということもあるので、またこれは会長に対してもお願いを申し上げたいと思うんですが、やっぱりこの会自体がメッセージ発信型になっていくべきじゃないかと思います。  例えば、さっきの国連モニター議員団のアイデアの発信じゃないんですけれども、以前私が国際問題調査会にいたときにODA基本法の小委員会というのをつくりまして、田先輩にもいろいろ御指導いただいたんですが、十三回ぐらい小委員会だけでやりまして、ODA基本法の骨子を超党派でつくったことがありまして、これは私はODA基本法のこれまでの歴史の中では画期的だったと思うんです、まさに骨子だけだったんですけれども。そういう活動をぜひこの会の中で、もう来期になってしまいますけれども、やっぱり発信型、新しいイニシアチブ、提案型という、日本の新しい外交の流れを踏まえた運営といいますか、そういう活動をぜひまた御検討いただければなと思います。
  24. 今井澄

    ○今井澄君 済みません、ほかに手を挙げておられる方がいたように思うので、後の方でもよかったんですが。  外交問題、そして当然のことながら防衛問題が含まれてくるこの分野というのは、やはりこういう超党派の議論ではなかなか難しいところだと思うんですね。私も、おととい予算委員会で質疑をさせていただいたときに、あの場でも申し上げたんですが、事社会保障問題に関しては私は小泉さんとは大体同じ考えを持つ改革派だと思っていたんですが、何で去年ああいう態度をとられたのか聞いたら、野党とは外交、防衛の方針が違うから、政策が違うからだと言われまして、これはかなり溝が深いなと思ったんです。  それはそれとして、そういう中でも、きょうもいろいろ御意見を伺ってみても、それから、これまでの議論あるいは参考人のいろいろな御意見を伺ってみても、私は共通する点は幾つかあるんだと思うんですね。例えば、東アジアにおける集団的な安全保障機構ができるかできないか。それについての評価は、例えば山本先生のようになかなか難しいんだという、だからそれが第一位のランクには来ないという先ほどのお話があったにしても、やっぱり皆さん共通しているところだと思うんですね。お互いに個別的にいがいがを張っていがみ合うよりは、やはり共同安全保障システムをつくっていこうと。やっぱりそれはかなり長期的な努力が要ると思うんですけれども。  だから、そういう意味では、やっぱり何か共通する課題で少し方策を探っていく、もちろんその比重の置き方が違うにしても、そんなことができないかなということを私は感じますし、先ほどからの御意見をお聞きしていましても、情報の問題もまさにそうですよね。それから、今の国連何とか議員団の話もそうだし、本田先生の、外国に行ってきたら報告はしましょうよと。そういうのを集約するところがないんですよね、全然。  本当に、もうこれは言わずもがなだと思いますが、私などもいろいろ外国の社会保障制度を勉強してわかったつもりでいても、向こうへ行って話を直接聞くと、全然実は発想が違っているということに気がついたり、形だけ見ていたんじゃわからないということがありますから、そういう意味では、せっかくこれだけのお金や人材を使ってやっている国会活動、もしここに集約できるならば、そういう情報の集約も含めていいと思いますし、また、国会の外に研究所をつくっていくという先ほどの提案、あるいは国連の、そういうことについても今後やっぱり具体化に向けて少し議論ができれば大変いいんじゃないかなと思います。  ただ、その点で一点、これは各党それぞれの問題があるわけですし、国会運営の問題があるわけですが、私もかつて一回ここに参加させていただいて、また出戻りでというか希望してここへ来させていただいたんですが、三年間継続してといいながら、やっぱり委員会配属の問題で変わっちゃうんですよね、人が。そうすると、何か三年間の実績が蓄積されない。何とかこれはそれぞれが会派に持ち帰って、この調査会については、もちろん全員がというわけにいかないと思うんですけれども、メーンの人がやはり三年間継続できるようなことを考えたらどうかなというふうなことを思います。  最後に一点、感想ですが、過日、議運の報告を聞いて非常に悲しかったことは、チョンさんですか、世界的な指揮者が国会へ来て演奏してくださるというのを、今そんな時期じゃないとかというので議運で断ったという話があって、私はここに日本の国会議員のレベルが疑われることがあると思うんですよね。そういう意味では、ソフトパワーと言うからには、やはりもう少し我々自身文化という面で、せっかくこの国会でチョンさんが指揮をしてくださるということ自体が本当に、北東アジアの平和についてどれほどかはわからないけれども、非常に大事なことだったと。それが、忙しいからということで断るような国会はやっぱり反省しなきゃならないな、恥ずかしいなと思った感想を一つ申し上げて、私の意見とさせていただきます。
  25. 入澤肇

    入澤肇君 いろんな御意見を非常に興味深く伺わせていただいたんですけれども、特に東アジアについては専門的な研究者が非常に少ない、我が国においては。私どもが知る限りにおいて、例えば一番熱心に研究をやっているのはアジア経済研究所、非常に歴史も古いんですが。ところが、これがまた研究者が固定されていまして、また特に、最近はかなり是正されたんですけれども、徹底したイデオロギーにとらわれた研究がなされていたんです。このアジア経済研究所あるいは世界平和戦略研究所でございますね、それからジェトロなんかもかなり調査をやっている。だけれども、専門的に中国北朝鮮の分析をしたり、フィリピン台湾、東南アジア各国の分析をする学者は少ない。それから留学生も少ない。  私は、もしこの国際問題調査会が大きな役割を果たすとすれば、調査会ですから、そういうところの研究者に、少ない研究者でもいいですから、例えば北朝鮮問題、中国問題等について、専門的な見地から今どのくらいの研究レベルなのかということを浮き彫りにするために、いろんな話を聞く機会をもっと重ねたらいいと思うんです。  先ほど東アジア研究所という、これまたいい構想なんでございますけれども、新しくそういうものをつくるよりも、むしろ既存の研究所の機構の拡充をし、経済研究所というけれども社会経済全般、あるいはアジア研究所でもいいんですね、アジア平和研究所に名前を変えてもいいから、これを拡充強化して、例えば沖縄に置くとかいうことでもいいんです。既存の研究所の強化を図って研究員を大幅にふやし、さらに外国から研究員を招いて、それでそこへ留学させて研究の層を高めることがまず第一じゃないかなと思います。  我々のアジアに対する認識は極めて欧米に関する認識よりも低いということを、アジアにいながら低い、狭いということを私は実感しておりますので、この調査研究の基盤を高めることがまず第一じゃないかと思います。  その手始めに、中国北朝鮮の問題は、イデオロギーいかんにかかわらず、実態についてやっぱり中立的に知識を把握しておかなくちゃいかぬ。共通コンセンサスを得られるような実態把握が必要なんで、もし次期調査会でいろんなことを聞くとすれば、まず第一に中国問題あるいは北朝鮮問題の専門家を集めていろいろな話を聞く。そしてその成果を、調査会ですから外交防衛委員会と一緒になってその成果を踏まえてフリーディスカッションをするとかいうふうなことを試みたらいかがかなというふうに思います。  それから情報の問題は、さっき山本先生がおっしゃったように、なかなかこれは私は難しいと思うんです。私どももいろんな情報を得るときに、農業でも林業でも欧米の情報の方が確かなんです。日本の研究所、何というかな、欧米各国情報というのはなかなか難しい。  例えば、アメリカは宇宙衛星を使って全世界の食糧生産流通事情を毎年的確に把握しています。それから、CIAの職員五百人ぐらいを地上に配置しまして各国の生産流通事情を把握しています。したがいまして、アメリカ戦略の中に食糧というのを入れられるんですね。食糧を戦略に入れられるんです、もう大変なデータを持っていますから。各国ともバーゲニングパワーを全部アメリカに握られたままいろいろな貿易をやっているわけですよ。そういう意味では、非常に調査研究、情報の調達能力が低いという立場にあるわけですね。  私は、農林省にいましたときに、幾つかグローバル化を進める農業政策の中で提案して、一つ世界的な規模で生産流通情報世界最大の食糧純輸入国の日本が持つべきであると、相当なお金がかかるかもしれないけれども持たなくちゃいけないということを主張したことがあるんですけれども、これはお金の問題に帰するんですが、うまくいっていません。ちょびちょびと私の提案で機構ができて拡充されていますけれども、とても人もいないし興味を持っている人もいないし、すべてがアメリカに依存しているという状況です。しかし、日本は商社という大きな機構を持っていますので、商社の皆さん方に協力してもらってもいいからそういう情報を集めようじゃないかというふうなことを言っているんですが、なかなか集まらない。この情報については、相当なお金を用意して自前の情報調達機構を持たないと難しいんじゃないかなと私は思っております。  しかし、そういうふうなことも含めて調査会一つの提言ができれば、これは各省のいろんな政策にも反映できますし、国益を追求するまた原点にもなるんじゃないかというふうにも私は思います。  いずれにいたしましても、いろんな提案の中でぜひ研究を強化し、それから情報調達のための仕組みを開発し、その中で特に関心のある北朝鮮中国についてはやっていただきたいと繰り返し申し上げておきます。
  26. 田英夫

    ○田英夫君 今ちょうど中国北朝鮮のことを言われましたから、私もそんなことを考えていたんですが、もう任期が切れる者が次のことを言う資格はないかもしれませんけれども、今までこの調査会あるいはその前の特別委員会のときも参加させていただいていましたが、非常にいい議論を続けてきて、大きなテーマでやってきましたけれども、ある一つの特定の国を対象にして議論するということはなかったと思いますが、そういうことをもし乗り越えることができるなら、中国を考えるというようなそういうことができないかなと。  私のような年寄りから見ると、戦後ずっと見てきますと、戦前などと比べると、日本の若い皆さんがもうほとんどアメリカを見て育って、アメリカ文化が無意識のうちに日本の中にしみ通ってきていると。だから、意識しないでももうアメリカということについてはかなり血になり肉になっちゃっている部分があるにもかかわらず、アジアの何千年の交流のある中国については改めて考えないといけないんじゃないかなという状態にある。そのことが原因で、また嫌中という気分も日本の多くの人の中にあるんじゃないかと思います。  ぜひひとつ、そういうことも許されればお考えいただければと思います。
  27. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 私は、フォーマルな外交の問題じゃなくて、国民外交というんですか、この重要性。  日本では今延べ約千七百万人、海外に行っているわけですね。我が県なんかも福島空港ができて、特に最近は韓国中国、延べで三、四万人行っているんです。行っているんですけれども、これも単に観光で行っていまして、あの人たちがやっぱり中国に行っても韓国に行っても、本当に観光だけじゃなくて、半日間ぐらい自由にソウルでも北京でも上海でも歩いて、本当に友達をつくってきて、それこそ年賀状の交換をするぐらいの、そんなことも一つの大きなこれからの私は外交の背景としてうんと必要であろうかなと。そんなことを思うと、それをどういうふうに国民に啓発していく方法があるかなと。こんなことも一つのテーマにすることもよかろうかなと思うんです。  もう一つは、やっぱり何といっても、統一テーマを持つというのもうんと大事だと思うんですけれども、先ほども話がありましたけれども、文化、芸術、それから環境、それから食糧、まさに人間、その思想を超えた安全保障という大前提となる、そういうふうなテーマというのは東アジアの中でどれぐらい日本中心になって持てるか、こんなこともやっぱり研究する重要なところがあるんじゃないかなと思うんです。  あとは、今までの調査会の中で情報インフラがうんと大事だと。そういうふうなやさきに例の外務省のいろんな機密費の問題が出て、これがごっちゃにされると私は非常に危険だと思うんです。ですから、もう先ほどもいろいろ話が出ていましたけれども、まさに情報インフラは日本が一番世界で欠如している。そこはやっぱり外務省に、この間の問題と情報インフラは全く別だよというようなことをきちっと申し述べておくことが必要かなと。  それともう一つ、島袋先生に。あれは三カ月ぐらい前ですか、沖縄で世論調査をやって、駐留を認めるというのが何か四〇%を超えたというような話があったんですが、あれはその背景としては、今まで四〇%を切っていたのが五〇%近く駐留を認めるという世論調査の結果が出たというのはどんなことがあったんでしょうか。その辺、もしおわかりでしたらお伺いしたいと思うんです。  この四点です。
  28. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 これは、正確なものかどうかということは、世論調査だからはっきりしないんですけれども、やはり最近の例えば知事選挙、那覇市長選挙、浦添市長選挙というふうに、ずっと保守の方に首長選挙で負けているんですね。そういうものが世論の中で定着しつつあるんじゃないかというふうなことと、それからやはり振興策というものが非常に県民に大きな、基地に反対できないような状況になりつつあるんじゃないかというようなことも一応言えるんじゃないかというふうに思っています。
  29. 本田良一

    ○本田良一君 繰り返して済みませんが、アジア太平洋のことですけれども、先ほどの方の。これをなぜ、報告をと言ったのは、私も行きまして初めてわかったんですけれども、これは中曽根元総理が提唱をされたそうですが、もともとアメリカはちょっと消極的だった、サミットがあるじゃないかと。日本がこういう国際会議を立ち上げて一つ中心国になるのをちょっと懸念したということを聞きました。  ところが、アメリカも非常に積極的に後でなってきまして、そしてこの会議が、日本がいわゆる立ち上げた会議で非常に成功しているんですね。だから、国際会議を立ち上げ、誇りを持ってこれが前進をして非常に評価をされている、こういうことを感じましたから、ここでこういうものをちゃんと国会で報告をすればもっと誇りを持って運営できるのになと、こう感じましたからぜひやっていただきたいと思います。  それともう一つ。これはテーマがもう一つあるので、ちょっと飛躍しますけれども、新しいものです。このとき一緒にサンパウロに行ったんですが、このODAと絡みますけれども、世界に資金供与が非常にされております。ところが、移民の日本人には何もというほどないんですね。だから、この移民の日本人に対して国際的な日本が母国として支援をいかにするか、これをひとつテーマにされたら非常にいいんではないかと。  例えば四世、サンパウロではもうこの四世が小学生とか高校生です。この人たちに一生懸命日本語を教えて、きのう手紙もまたその少女たちから来ました、日本語で一生懸命書いた詩とかですね。日本文化と伝統、そういうものを一生懸命やっていると。だから、こういうODAに金をするよりも、日本人の移民を顔にしてそういう資金をそれぞれの国に供与してもらえないかと。  それとマスコミが、それぞれ在外の日本人で結成をしているマスコミの連合のあれがありますが、例えば在外選挙の広報、日本でも日本の各メディアにそれぞれの国の資金を使って広報宣伝をいたします。だから、その日本人経営のマスコミを通じて在外選挙の迅速な広報をやったらどうかとか、そういうのがありましたから、日本の移民にまず日本語の文化、そういうのを担ってもらうと。そういうことを移民に対してどうするかというのを国際問題で扱ってもらう、それとマスメディアに対してどうするか、そういう点をテーマとして、今後。
  30. 今井澄

    ○今井澄君 済みません。これはここで議論する問題じゃないんで、私は今の本田委員日本の移民に対しては大反対です。そんなことは絶対にすべきではないと。それは、移民は移民で、向こうに行って向こうの国籍を取ったら向こうの国の問題なんですから、日本が特別、日本人だとか日本移民だとかということでそういうことをするなんというのは取り上げるべきじゃないと思っています。
  31. 本田良一

    ○本田良一君 いや、そうじゃないですよ。現実に行って、そういう声をたくさん聞いて、そして例えばドイツとかスペインなんかはそういう国に対して、移民の国に学校をつくって七十年ですよ、その国に。そういうことをやっているんですよ。日本は最近やっていますよ、また。
  32. 今井澄

    ○今井澄君 それは全然、だから国でやるべき問題じゃない、議論すべき問題じゃないと思います。
  33. 本田良一

    ○本田良一君 おくれていますよ。
  34. 今井澄

    ○今井澄君 それは内政干渉ですよ。
  35. 入澤肇

    入澤肇君 ブラジルのサンパウロ、私も行ったことがあるんですけれども、実は今でもそうなんですが、連綿として我が国は補助金を出して農地を買っているんですよ。ブラジルに移民した農家の方々の所有面積はもう九州全土を超えるだけの面積になっている。なぜそれをやっているか。今でも開拓何とか連合会というのがありまして、そこの職員が一生懸命になってやっていますけれども、農林次官をやって途中で天下りしないでやめて、ブラジルの農地開発、農業開発に命をかけた人がいるんですよ。その方の個人の力が大きかったんですけれども、とにかく食糧供給基地を世界じゅうに確保しなくちゃいけないと。  私も行ったんですが、今、本田先生がおっしゃるのがわかるのは、向こうへ行きますと、ブラジルの移民に対する政策、温度差がかなりあるんです。ドイツは物すごく熱心です。それから、イタリアも熱心です。そして、第二のドイツだぐらいなことを言うわけですね。要するに、今労働者のあれは日本はブラジルの二世とか何かは自由に認めていますね。群馬県の大泉町なんかかなり来ていますよ。国によってかなり差があるんですが、各国ともかなり意識して第二の母国ぐらいの気持ちでやっていることなんです。  特別に何とかというとやっぱり今井先生のおっしゃるとおりに内政干渉みたいになっちゃいますから、それからまたその国の統一を壊すことになっちゃいけないから特別何かということはできないけれども、農業振興とか何かで援助をしているという事実、またこういうふうな間接的な手法で日本に対するシンパシーを高めていくということは私は必要だと思っています。
  36. 沢たまき

    ○沢たまき君 入澤先生に。ちょっと私の言葉が足りなかったと思うんですが、高野理事がおっしゃったように、平和研究所をつくりたいというのは、東アジア諸国の人たちが全部集まってそこでやるという構想なので、済みません、そう思ったので。
  37. 高野博師

    ○高野博師君 田先生が言われたような中国について、あるいは中国文化について考えるとかというテーマも結構だと思いますし、情報についてのいろんなテーマ、情報に関しての特別のテーマでやるのはいいと思うんですが、私はもう少し調査会の幅を広げてもらいたいなと。  例えば、イスラム圏について、中東情勢なんかについてももう少しイスラム圏から世界情勢を見るとか国際情勢を見るというようなテーマもいいんではないか。あるいは中央アジアについては、日本はほとんど関心を持っていないんですが、これは世界各国は相当の関心を持って中央アジアにも入ってきている。私も数年前に広中先生と一緒にウズベキスタンとかカザフスタンとか視察に行きましたが、ここはもう韓国なんかも相当入ってきているということもあって、もう少し日本がこの辺に関心を持つようなことも含めて、このテーマの中にぜひ入れていただいたらどうかなと。中南米についても、今の移住者の問題もありますし、中南米についてもぜひ取り上げてもらいたいなと。  そこで、報告書を最大公約数的にまとめる必要はないんではないか。調査をする専門家が来て話を聞く、その中で議論するということでも十分意義があるんではないかなと思います。  以上です。
  38. 入澤肇

    入澤肇君 ですから、今の話は私は外交委員会とこの調査会の役割分担の話だと思うんですよ。調査会は、あくまでも調査会という名前がついているわけですから、世界各国の問題のあるところ、日本が関心を持つべきところについての調査研究を徹底してやるというふうな幅は持っていいんじゃないかと思うんですね。やたらに提案することは、私は必要ないと思っているんですよ。そうでなくて、外交委員会に今度は逆にここで勉強したことを提供するだけでも大きな役割を果たせるんですね、そんな気持ちで臨んでいるんですけれども。
  39. 山本一太

    山本一太君 今、入澤委員のおっしゃった話なんですけれども、国際問題調査会とやっぱり外交委員会の問題というのは、ODAの話をやるときもあって、基本的にこれは調査会だから余りホットなイシューは取り上げるべきじゃないという話が国対であったんです、当時。つまり、外交委員会があるじゃないかと、そのときに問題になった中国の話とかODAの話を何で国際問題調査会でやるのかという話があったので、役割分担ということを考えていかなきゃいけないと思うんです。  それを考えてみると、じゃ、その国際問題調査会というのはどういう場所なのかというところに戻ってくるんですけれども、ここでこれだけの専門家を招いて議論をしていくということになってくると、私が思うには、提案をするんじゃなくてというよりは発信をしなければ意味がないと思っているんです。  国際問題調査会議論というのは、今インターネットにも載っているので実は見ている人も結構いて、日本のいわゆる国際関係学者とかODA研究者は意外とこの国際問題調査会のインターネット上に載る議論を見ていたりするんですけれども、私は、むしろホットなイシューをやるということは外交委員会でできるので、もちろん一つの国を長期的に研究するということはいいんですけれども、そこに、ただ研究するだけじゃなくて、国際問題調査会として研究したことをある程度日本外交にインプットするとか、ある程度発信することによって少し影響力をつけるということの発想からいけば、私はここで議論したことをいろんな形で発信していく、提言していくという方がはるかに調査会の形としてはいいと思います。
  40. 入澤肇

    入澤肇君 今の意見に対して。  発信の仕方なんですけれども、調査会で問題を取り上げて専門家を呼んで、各党の代表が集まっていろんな意見を言うこと、これが外に出ることだけでも大変な発信なんですよね。無理に全会一致でまとめてやることができるかどうか。外交問題はそういう場合もあるし、そうならない場合もある。  さっきの井上先生の話を聞いていますと、何十年か前に戻ったような意見だななんて私は思っちゃったりなんかして、これではなかなかまとまらないなというような感じを持ったんですが。ここでしかし、非常にそういうふうな原理的な古典的な意見を言うことも大事なので、いろんな意見をここで闘わせているということだって一般に知れればこれは発信力があると思うんですけれども。
  41. 山本一太

    山本一太君 ここで議論していることだって発信だという話もありました。それは、だからどういう発信をしたいかということだと思うんです。  それで、田先生と一緒に国際問題調査会をやっていたときにODAの話をして、その中で国際問題調査会としてもっと発信をするべきじゃないかという議論がありました。そこで、国際問題調査会の中に小委員会というのを設けて、ODA基本法に関する小委員会というのを、多少各党のいろんなプレッシャーがあったり外務委員会との問題もありましたけれども、みんなの意見でつくりました。そこで十何回議論したことが、もちろん党派は違いまして、井上先生もおられましたけれども、やっぱりODA基本法というものを今考えるべきじゃないかということで、広中先生もおられましたけれども、細かい点はともかくとして、初めて全会派一致でODA基本法骨子案というのをつくって発表したんですね。  それは、単にここで専門家を呼んで議論をしている以上に大きな発信力があったと思いますし、今ODA議論はいろいろありますけれども、そのODA基本法を考える議論の中には、必ず国際問題調査会でみんなが小委員会でまとめてここで了承されたODA基本法骨子案というのが出てくるんですね。  だから、もちろんここでこうやって議論していることが発信だという考え方もありますけれども、そこは考え方で、もう一歩踏み込んで、我々がここで議論したことをもとに、例えば小委員会でも何でもいいんですけれども、一つの提言をつくって外に出すというやり方はあるんじゃないかということなので、別にここで議論していることがむだで、何か提言しなければむだだとは思っていないんですが、そういう過去に例もあったので。  例えば、各会派考え方が違うからじゃなくて、例えば国会議員の、実現するかしないかはともかくとして、国連総会へのモニター議員団なんというのは恐らく各党反対しないと思います。ODA基本法も反対しないからできたのであって、そういうテーマがあれば積極的に小委員会を設けて議論をして、また衆議院とは違う形で、あるいは外務委員会とは違う形でこの三年間じっくりできる国際問題調査会の中でさらに一歩踏み込んで発信するということも考えていいのではないかなという意見です。
  42. 今井澄

    ○今井澄君 今の山本先生と入澤先生を中心に進められている議論、私は結論的に言いますと、どうもこの間調査会基本法をつくらないと何か発信していないというふうな、そういう傾向が出てきちゃったことは私は非常に問題だと思うんですよ、例えば少子化社会何とかをつくろうとか。  それで、外交防衛問題というのは、先ほども申し上げましたけれども、かなり違うんですよね、意見が。イデオロギーも絡んでくる。そうなると、やっぱり大事なことだと思うんですよ、共通する点では。これは物になりそうだと思ったら小委員会をつくって基本法をつくっても何してもいいんですけれども、私はやっぱり焦らない方がいいと。しかも、もう一つ外交防衛委員会というのがあって、それと裏腹の関係を、持ちつ持たれつの関係をつくれるかどうかということも私は非常に大事なような気がするんですね。  そういう意味では、テーマを絞るのにも、先ほどから主要なテーマということで、私も大分意見がきょうお聞きして揺れたんですけれども、中国なら中国、朝鮮をやろうということなんですが、これはみんなが今関心を持っていることでほうっておいてもやるところなんですね。  それで、今、高野先生から中央アジアの話があって、中央アジアのことなんというのは、中央アジアは物すごい日本に熱心なんですよね。一時はあの何カ国かの大統領がそろって日本に来たり、私も行ったことはないけれども議連に入ったりして、しょっちゅう独立記念日だなんだというのに呼ばれたり、月報をもらったり、あれだけ熱心に働きかけられているのに冷たいというのは一体何かと。  それから、私は、たまたまハイチをきっかけにして今、アフリカの黒人国家と随分おつき合いができ始めているんですよね。で、外務省がああなると途端にまた心配して、例の人がほとんど取り仕切っているようなところで、今度、力関係が変わったらどうなるんだろうと大使から相談を受けたり、そういうこともあるときに、日本の国会としては日本の国益とか利害に直接関係があろうとなかろうと世界に向かって目を見開いて議論しているという、そういうことも必要なのかなと。  そういう意味では、先ほどの山本先生のお話のように、インターネットで見られているとする、あるいは我々が注目されているとすれば、ひとつここは、いろんな御意見があってどちらも私は正しいと思うんですけれども、やっぱり外交防衛委員会との役割分担。それから、この問題はいろいろ党、会派によって深い溝があるということを前提とすれば、具体的に発信できることがありそうだったらやってもいいけれども、それを自己目的にしない方がいいというふうに皆さんの意見を聞いていて思いました。
  43. 山本一太

    山本一太君 まさにおっしゃるとおりで、別に私は、基本法をつくればいいとかそういうことじゃないんです。たまたま一つの例として申し上げたんであって、別に提言できないことは提言できることもないし、目的はここで専門家の方々を呼んでいろんな議論をすることなんだと思いますし、それが外に出ることがこの国際問題調査会の意味であるとすればそれはそれでいいと思うので、別に基本法をつくらなければいけないという発想ではないんで、そういうものがあればもうちょっと踏み込んで積極的にやってもいいんではないかということ。  先生おっしゃったように、確かに外務委員会とのいろんな裏腹の関係もありますから、ただ、外務委員会との関係はあっても、そこは考え方なんですけれども、これは、国際問題調査会というのは私はあらゆる委員会の中で一番いい委員会だと信じているものですから、この国際問題調査会でこれだけの議論をしたことの中でうまく持っていけるものがあれば多少踏み込んでも、多少調整しても。あれはたまたまODA基本法の場合はうまくいったわけで、初めてのことで、もう空前絶後かもしれません、ないかもしれません、こうやってこういうふうな提言ができることは。ただ、そういうチャンスがあればやってみたらどうかということで、基本法を自己目的にするとかいう意味ではないんで、そこのところはどうも済みません。
  44. 今井澄

    ○今井澄君 言い過ぎました。
  45. 山本一太

    山本一太君 いえ、済みません。
  46. 井上美代

    ○井上美代君 今、入澤先生から古典的だなんということを言われましたけれども、私は最も新しい世界を自分なりに見ながら意見を言っているんですね。だから、今日の時点に立って物事を考え、そして意見を述べています。だから、例えばアジアに、日本がこのアジア中心にしていないということは今いろんな形でアジアからも意見が来ているわけでしょう。だから、そういう立場に立って物を言っているわけです。国連のことを随分学びました、そして国連憲章の中でやはり話し合いを基本に置いてやるんだということを私たちは学びました。その時点に立って私は言っているんです。  だから、そういうふうに古典的だなどと決めつけてしまうというところに、やっぱりここでの話し合いが十分できないということがあるんだと思うんですよ。だから、相手が今の時点に立って何を言おうとしているのかというのを学ぶということも私は非常に大事だと思うんですけれども、やはりそういう決めつけはまずいというふうに思いますが。
  47. 入澤肇

    入澤肇君 それもいい意見ではないかと言っているじゃないですか。古典的と、四つの提案について、これは昔から言われていることだというふうに、それも間違ってはいないと、そういう立場もありましょうと言っているんであって、決めつけた、古典的という言葉は、じゃ、マイナスの言葉なんですか。古典というのはマイナスの言葉じゃありませんよ、これは。古典的というのは、ある意味では現代につながる万古不易の言葉なのかもしれません。
  48. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ちょっとおくれて参りましたが、ほかの委員会の視察でちょっとおくれまして、済みません。  私は、山本先生が言われたODA基本法とかこういったものというのは、私は大事だと思うんです。というのは、財政削減になるとODAと、すぐ挙がっちゃうんですね。こういうあり方というものが私は果たしていいものかと。これだけ大きい規模の世界第二位の国において、事業予算で一兆四千億、五千億ぐらいのお金を例えば諸外国に出すということは私は非常に大事なことじゃないかと思うので、基本政策というのを基本法のような形で残していきたいと。私も賛成でございます。  それから、あと、私が思いますのは、在京の大使とかいう方をもっともっとたくさん呼んで、仲間づくりみたいなのをしてはどうかなと。これは今井先生の意見に賛成なんですが、ほうっておいても注目されるような国とか、または事件というのはいっぱいあります。ただ、やはりこの調査会では仲間づくり、将来、国連常任理事国ですね、安保理の、こういうのに日本は入っていかなければならないと私は考えておりますけれども、そういったときに、単に経済的利害だけで日本は今まで外交を進めてまいりましたが、政治的なものが私は不在だと思っていまして、そういった意味でも、もちろんどんどん派遣して外へまずもっと行くべきだということと、それとやっぱり在京にあっては、やはり日の当たらない大使の方々というか、今井先生を中心にそういうアフリカの諸国の方々とか話し合いをしておるんですけれども、仲間づくりというのに、だからウイアーフレンドという感じでやっていくことを提案したいと思います。
  49. 本田良一

    ○本田良一君 ちょっと話が同じことで済みません。  私の言ったことに、同じこれは民主党の中のことだけれども、今これは絶対反対と今井先生が言っていただきましたが、入澤先生がその辺を補完していただいて、ありがとうございます。  この移民の問題は私も行きまして気づいたんです。ODAの資金供与だけを世界の私は一つ日本の役割と思っておったんだけれども、今ドイツが、入澤先生がおっしゃったようにサンパウロにもう七十年前から学校をつくって、ドイツ人がつくった学校だけれども、ブラジル人もたくさん学んで、ドイツの文化とかドイツ語も学んでいると。そういうことを聞きましたから、そこで本当に私は衝撃的な、この移民に対しての、日本の何もやっていないというか、そういうのを案外感じ取りました。  たまたまサンパウロでは老人ホームを、もう八十ぐらいの第一回の移民の人たちが老人ホームに入っておりましたが、これは日本のJICAでやっとできたと言って、だからその主権の存するところにいるんだから日本でする必要はないというような考えで今井先生はおっしゃったと思いますが、ところがそういう国の人はそれをやっぱり認めているんですよ。その国の人は、日本の資金によって老人ホームをつくってやって、運営されている、それを認めております、その国においては。  だから、そういうのを痛切に訴えられましたから、これはどこかで扱うのが大切だということで、国際問題の中でひとつテーマとしていただけないかということです。
  50. 今井澄

    ○今井澄君 いや、私はその大事なことわかりますよ。特に、今のODAでも、草の根無償で日本人が行って、その日本人が向こうでやる活動に小さな援助をつけるべきだとか、あるいは先ほどの食糧増産のようにまさに日本人の食糧生産技術、農業技術が向こうで生きるために、ただ移民をやるだけじゃなくて、どうバックアップするかというのは非常に大事ですよ。あるいは、移民政策の失敗のドミニカ共和国の問題も、私も現地を見てきて、賛成派と反対派といろいろあって、土地をどうするという話も切実な問題で、日本の移民政策が後が続かずにただ人をやっちゃったという。しかも、戦後の食糧難、人口増というあの時代のものをどう総括するか、私は大事だと思うんです。  だけどこの問題は、少なくとも国の正式の機関で取り上げて議論すべき問題じゃないと、先ほどから言っているように。というよりは、むしろそのことは、何のために日本はあれするのかと、まさにそれは主権のあれするところですから、私がさっき反対したのは、この調査会でそういう発言があり、この調査会調査テーマにすることに反対したんです。
  51. 本田良一

    ○本田良一君 その国に行ってそういう問題が……
  52. 今井澄

    ○今井澄君 いや、それはおかしいですよ。それは主権の問題ですよ。
  53. 本田良一

    ○本田良一君 あったということを私が報告して、テーマとして私が……
  54. 今井澄

    ○今井澄君 だから、テーマにすることに反対したんです、私はこの場で。
  55. 本田良一

    ○本田良一君 座長がやることですよ。あなたは一理事じゃないですか。
  56. 今井澄

    ○今井澄君 だから反対したんです。反対の意見を言ったんです。
  57. 本田良一

    ○本田良一君 だから、座長がまとめてもらうことですから。まだ論議しましょうや、そうしたら。
  58. 今井澄

    ○今井澄君 非常に問題のあるテーマ、提案だと思うんですね。
  59. 沢たまき

    ○沢たまき君 私、これで三回目ぐらいなんですけれども、最初に申し上げて山本先生から賛成していただいたんですが、調査会が一番議員派遣できるところなものですから、国連の話でやってくださいましたけれども、やっぱり百聞は一見にしかず、どんどん行かせていただきたい。  私も議員になってすぐIPUに行かせていただいて、ヨルダンだったのでイスラムも行きました。ああいうところもやっぱり取り上げていただきたい。高野さんがおっしゃってくださったのでありがたいなと思いましたけれども、皇太子が日本の議員団だけに会いたいと言って、国連に立候補したいから推してくれとかというお話がありました。  しかし、やっぱり国会議員で、自分自身で行こうと思うとなかなか成果を出すのは大変なものですから、調査会、もう少しフットワーク軽く、全員が行かなくても結構ですから、派遣をさせていただきたいなという思いでいっぱいです。
  60. 関谷勝嗣

    会長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  それでは、一応この程度できょうは終わらせていただきたいと思います。  本当に皆さん方、いい御意見をいただきまして、私もこの調査会長になりまして大変誇らしく思っております。  本調査会は、設置以来、「二十一世紀における世界日本」をテーマとして三年間議論を行ってまいりました。  二十一世紀を迎え、今後、国際社会における我が国の果たすべき役割はますます高まってくるものと存じます。国連の今日的役割、東アジア安全保障我が国外交あり方などについての本日までの熱心かつ積極的な御議論をもとにいたしまして、理事の皆様方と御協議の上、最終報告書案を取りまとめていきたいと考えております。  これまでの調査会における委員各位の御協力に改めて感謝を申し上げます。  また、まだ調査会は次回もございますが、田先生、高橋先生、どうぞお体に十分お気をつけていただいて、今後とも御活躍をしていただきますように、これは私の私的な言葉でございますので、お許しをいただきたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十七分散会