○副
大臣(増田敏男君)
厚生労働副
大臣の増田敏男でございます。
第一に、KSDに対する
指導監督の
状況について御報告を申し上げます。
財団法人ケーエスデー中小企業
経営者福祉
事業団、いわゆるKSDは、中小企業の健全な発展と福祉の増進に寄与することを目的として設立され、災害補償共済
事業、災害防止
事業、福利厚生
事業等を行う
公益法人であります。
旧労働省においては、KSDに対し
平成五年の立入検査以降必要な
指導を行ってきたところであります。これらの
指導のうち、
平成五年に行った災害補償共済
事業の
事務処理の
適正化や、
平成六年に行った信用金庫の口座振替依頼書記入によるKSDへの加入手続の
適正化等については
改善が図られたものであります。
また、
平成十年に
指導した評議員会の設置については、
改善の期限とされた
平成十一年九月までには
改善が行われなかったが、昨年十二月にKSDの寄附行為が改正され、本年一月に評議員会の設置がなされたところであります。
KSDから豊明会に対する補助金の使途の問題につきましては、
平成八年八月に政治献金等に充当されているのではないかとの投書を受け、補助金について区分経理するよう同年末あるいは九年初めに
指導いたしましたが、
平成九年に再び
情報が寄せられたことから、同年春に同旨の
指導を行ったものであります。
平成十年十一月に豊明会から政治献金がなされているとの
情報を得てKSDに
説明を求めたところ、政治献金の
財源は会員負担金等の自前収入であるとの
説明を受けたものであります。これに対して、そのような
説明は補助金の使途を
明確化し区分経理をするのでなければ説得力に欠けると指摘し
指導したところ、KSDからは、
平成十一年度からは区分経理を
実施すると報告をしてきたものであります。
平成十二年度に至っても
改善が確認されなかったことから、
平成十二年五月に立入検査を
実施し、八月には豊明会における補助金と他の経理との区分経理等について
改善勧告を行ったところであります。
この点に関し、最近、KSD豊明会の
事業の内訳を示す書類を入手したところ、この
資料を見ると、従来のKSDの
説明について強い疑いを持たざるを得ないと考えているところであります。
さらに、
平成十二年十一月十日、
吉川前労働
大臣からKSDに対し、
改善勧告
事項等の年内
実施、業務委託費を初め不適正な支出が行われないようにすること、役員を刷新することについて直接
指導したところであります。KSDにおいては、評議員会の設置等、是正が図られたものもありますが、
施設の処分等、いまだ是正されていないものもあるところであります。
本年三月十四日には、
平成十三年度予算及び
事業計画の作成に当たり、
公益法人として健全かつ適正な
事業運営を行うために
改善の
必要性が認められる予算の適正な作成、執行及び会計処理の
適正化、管理費等の削減、会員募集
方法の
改善等を
内容とする
事項についてKSDに対し
改善勧告を行ったところであります。
KSD問題については、旧労働省がこれまで数次にわたり
指導を行ってきたところでありますが、今般このような事態に至ったことは、旧労働省の
指導監督体制の問題もあり、結果として
指導が十分に
徹底していなかったものであり、極めて遺憾であると考えております。KSDが
公益法人として適切な
運営が図られるよう、
厚生労働省として厳正に
指導監督していく
所存であります。
第二、アイム・ジャパンに対する
指導監督の
状況について申し上げます。
財団法人中小企業国際人材育成
事業団、いわゆるアイム・ジャパンは、技能実習制度における受け入れ団体の一つで、主にインドネシアから毎年約二千名を超える研修生を受け入れています。
同財団においては、研修生等のパスポートの保管、研修手当の一部の本国送金等、法務省の指針に照らし不適切な
運営をしていること、これまで多数の失踪者が発生していることなどの問題がありました。また、先般、一月二十五日に立入検査を
実施した際に、多額の各種積立金が生じていること、会計処理が必ずしも適正に行われていないこと、インドネシア
政府の規則において中途帰国者に対する違約金の定めがあることなどの問題があることが判明したところであります。さらに、二月下旬においては、アイム・ジャパンから研修生を受け入れている受け入れ企業において、研修生に対し禁止されている所定時間外または休日の研修を行わせていたとの指摘が各方面からあったところであります。
そのため、
厚生労働省においては、配付
資料のとおり、同財団に対し昨年十一月八日にパスポート保管、研修手当の本国送金等の
改善に関する文書
指導を行ったところ、昨年十二月二十八日にこれらの
改善についての文書報告があったところであります。また、業務全般の
適正化を図るため、本年一月に
実施した立入検査結果を踏まえ、二月二十三日に同財団に対し、パスポート保管の一層の
適正化、会計処理の
適正化、
外部監査の
実施、実効ある失踪防止対策の
実施等、先ほど述べた問題点を
改善するよう勧告を行ったところ、三月二十三日にこれらについて
改善報告が提出されたところであります。さらに、二月二十八日には、研修生の所定時間外または休日における研修についての実態
調査及びそれに基づく受け入れ企業に対する
改善指導について文書
指導を行ったところ、三月二十三日にその結果についての中間報告があったところであります。
これらの
指導の結果、各問題点に関してはおおむね
改善が認められているところでありますが、今後とも、
厚生労働省においては、同財団において研修、技能実習が適正に
実施されるよう
指導監督に努めてまいりたいと思います。
第三、国際技能振興財団に対する
指導監督の
状況についてであります。
財団法人国際技能振興財団は、建設業及び製造業における技能者の育成及び地位の向上のための
事業等を
実施することにより高度な技能の継承、発展を図ること等を目的として設立された
公益法人で、その
事業の一環としてものつくり
大学の設立支援を行っていたものであります。
厚生労働省では、
平成十三年一月三十日、国際技能振興財団に対し立入検査を
実施したところであります。同検査では、適切な
事業計画の立案、予算編成を行い、今後
事業が
計画どおり
実施できるよう業務執行体制を見直すこと、監査
計画の作成等により
計画的な内部監査を行うことなどの
改善すべき点が認められたことから、三月十二日にこれらの
事項について
改善勧告を行い、四月十二日を期限に
改善状況についての報告を求めているところであります。
第四に、
厚生労働省の
公益法人に対する
指導監督についてであります。
公益法人については、KSDに対する
指導が十分
徹底していなかったことを深く反省し、今回のような
不祥事案が再び起こることのないよう、
厚生労働省として、KSD及び
関係法人を含め、所管するすべての
公益法人に対する
指導監督の
徹底に努めることとしたところであります。
具体的には、統一的かつ
効果的な
指導監督を
推進するための省内連絡会議の設置、
公益法人担当職員の専門性を高めるための担当者研修の
実施、
公益法人の検査要領を全面的に
見直し、詳細なチェックリストを活用しつつ、少なくとも三年に一回の立入検査を行うこと、検査に際し必要に応じ公認会計士の協力を得ること、
公益法人の常勤役員の報酬の適正な水準等を示した
公益法人の役員の報酬に関するガイドラインを策定し、これに基づく
指導監督を行うこと等の
措置を図ることとしたところであります。
また、去る二月九日には
政府全体として
公益法人の
指導監督体制の
充実等を図ることとされたところであり、
厚生労働省としては、これを踏まえ、さらなる
取り組みを行っていきたいと考えております。
第五、ものつくり
大学の今後の
運営についてであります。
ものつくり
大学は、技能者の社会的地位の向上に加え、労働者の職業能力の
開発、向上を通じて我が国のものづくり
基盤の
強化に資することから、
厚生労働省として同
大学の設立に当たり必要な
施設設備の
整備に対する支援を行ってきたものであり、開学までに
整備する予定の
施設はすべて完成したところであります。
ものつくり
大学は、
平成十二年十二月十二日の
大学設置・学校
法人審議会の答申を踏まえ、同月二十六日、
文部省により設置が認可されました。同
大学は、四月一日に開学し、来る、すぐでございます、四月六日に学生を迎えて初の入学式を挙行することとなっております。
学生の募集
状況は、技能工芸学部三百六十名の募集定員に対し志願者総数五百八十名であり、入学試験を経て三百五十八名の方々が入学手続を完了したと聞いています。
なお、同
大学の学生が初年度に納付する入学金、授業料等の金額は合計百五十万円となっております。
ものつくり
大学の収支の見通しにつきましては、一年生から四年生までの全学年がそろう前の
平成十五年度までの三カ年間については、支出が収入を上回るものの、支出超過分については必要な積立金をあらかじめ確保しているところであります。全学生がそろう
平成十六年度以降については、学生納付金を中心とする収入約二十億円に対し、人件費、教育研究費等の支出が約十八億四千万円となり、収支の均衡が図られる見込みとなっております。
厚生労働省といたしましては、ものつくり
大学が適正に
運営され、その建学の精神を十分に発揮し、社会から期待される有為な人材を育成、輩出して、我が国の産業
基盤の
強化を支える一翼を担うものとなるよう期待しているところであります。
以上で、
説明を終わらせていただきます。