○井上美代君 今後、やはり先ほどから、午前中の
質問も含めて、リストラが進められ、そして
失業者がふえるということはもう確実です。こういう中で、それに従わない者が、人権問題が起きて、そして被害を受けるということが出てくるというふうに思いますので、私は
法務省の人権擁護局が、やはり長々かかるのではなくて、調査にも早く乗り出してやっていただきたいというふうに思います。
次に、フォードによるマツダのリストラ問題が今ちょうどマスコミで騒がれておりますけれ
ども、希望退職一千八百人が募集されたわけなんですけれ
ども、これに応募して二千二百十三人の
労働者が三月の末で退職をしております。
話題になっているのは、希望退職が殺到したことなんです。午前十時から受け付けが始まったんですけれ
ども、余りの多さに十時一分で締め切ったんです。この一分の間にその数は二千六百人とも言われていますし、三千人とも言われているんです。一千八百人の募集に対してこれだけ、一分間で来た。中枢の幹部社員もたくさんこの中には応募していた。三十代も目標の三百五十人を上回る五百二十五人に及んでいるわけなんです。広島カープとマツダ自動車は県民、住民の誇りでもあったそうですけれ
ども、
下請企業のリストラも相まって
地域経済への
影響が深刻だと言われております。
なぜこんなに多くの
労働者がマツダに見切りをつけたのかということ、やめざるを得なかったのかということ。その大きな原因となったのは、
一つは、リストラ
計画に先行してフォードから来たフィールズ社長を先頭に、マツダビジネスリーダー教育と称する、変革か死かというんですけれ
ども、そういう
企業危機論が
徹底的にたたき込まれたということが言われております。
会社の将来への不安が非常に高まったということなんです。
それにあわせて、もう
一つの大きな原因として、私は退職勧奨、そして退職強要の問題を挙げたいと思います。
希望退職の募集を前に、多数の
労働者と面接を
会社は行いました。そこでは、退職勧奨、退職強要がやられました。そこに登場するのがある再
就職支援会社のつくった「部長(面談者)の心得」というマニュアルです。資料として一部をコピーして皆様方のお手元にお配りしてあると思います。このマニュアルは三十ページほどあります。外資系、アメリカ系の日本DBMという再
就職支援会社がつくったものです。日本DBMは再
就職の
支援会社では最大手で、唯一の上場
企業で、マツダとも契約をしてリストラされた
労働者の再
就職支援をしております。
退職者目標は部門ごとに割り当てられましたから、面接は部門ごとに部長が行いました。面接は従業員を三つに分類して行われました。皆様、その資料を見ていただきますと書いてありますけれ
ども、①が残留者です、マーキングAというんです、「厳しさを認識させ今後の活躍を期待する。」、その次がマーキングB、本人選択です、「厳しさを認識させ、本人の選択に委ねる。」、そして③が退職候補者、マーキングCです、「社外での活躍を促す。」と、こういうふうになっているわけです。
そして、それぞれに対してどのように面接を進めるか、想定問答が書かれております。言うまでもありませんけれ
ども、マーキングC、すなわち
企業がやめさせたい
労働者への対応は詳しい想定問答となっておりまして、このマーキングCに対する対応は二つに分かれております。つまり、希望退職に応じた場合と応じない場合です。応じない場合の最後はこうなっているんです。一部資料にもあります。「できれば、今日から○○日後には、ご
意見を再度お聞きしたいと思います。貴方のキャリアの活かし方を、真剣にお考え下さい。ご相談があればいつでも来て下さい。」と、こういうふうに言っております。また、できればまた会いたいというように、「できれば」と、こういうように書いているのが実に巧妙なところだと思います。マツダもこのマニュアルの存在を認めておりまして、退職を強要しないためのマニュアルだと、こういうふうに言い逃れをしております。
しかし、退職勧奨の面接を繰り返し、社外転出をした方が長い目で見ればあなたのためになるなどということを言いながら、退職強要に当たっておりますけれ
ども、これは全く私は違法であるというふうに思います。実際、やめないと言ったら、また来週面談するというふうに言われるわけですね。だからまた呼ばれるわけなんです。そのようにしてやっているわけですね。
こういった退職勧奨とともに、もう
一つ希望退職が殺到した大きな要因となっているのは、面接の中でマーキングCの希望退職に応じない者に退職勧奨をする際に、再
就職の
支援会社を紹介して再
就職を全面的に
支援すると言っていることなんですね。
次のようなくだりがあります。
「再
就職については色々不安もあるかと思いますが、日本DBMは、貴方ができるだけ早く、精神的に安定した状態で、遣り甲斐のある仕事を得られるよう、貴方の立場に立ち、貴方のキャリアを活かせるよう、専門的なカウンセリングをしながら求職活動開始から
就職先の決定まで
支援してくれます。是非日本DBMのキャリア相談を受けられることをお勧めします。」と、こういうふうに書いているんです。つまり、再
就職支援が退職勧奨の手段になっているということを私はこの
法律との関係で申し上げたいわけです。こんなところにいてもあなたのためにならないよ、次の職が見つかるまでお手伝いをするから退職してしまいなさいと、こういうふうに言っているわけなんです。
この再
就職支援会社が近年急増しているわけなんですけれ
ども、私は一昨年の年末に再
就職の
支援協会という業界団体もできたということを聞いております。特に、職業安定法の
改正で、民営の職業紹介事業の対象となる職種が非常に広がっている、そして急速にこういう事業がふえているということなんですね。
そこで、私はこれらの民間の職業紹介事業所数の推移というのを知りたいんですけれ
ども、それを教えてください。