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内閣総理大臣(
小泉純一郎君) 長年にわたり、真摯な
議員活動に精を出されてこられました鹿熊
議員に
最後の御
質問をいただきまして、恐縮しております。
四点ありますが、まず公共事業あるいは
地方交付税等を見直されたら
地方はどのような
痛みを負うことになるかという御
質問でございますが、私は、現在の
予算状況、ただいま
谷川決算
委員長からも御
質問がありましたように、借金ばかりふえてしまって、多くの国民の税金までが借金の利払い、返還に回さなきゃならなくて、新規の
政策、事業に使えないという
状況、このままでいいとは思っておりません。
そういうことから、
平成十四年度
予算編成においてはあらゆる歳出項目を見直さなきゃならない。借金をふやせば事業は拡充するという
議論もありますが、同時に借金の利払いがふえて別の副作用を起こす面もあります。そういう点から、まず国債発行を三十兆円以下に抑えることを目標として、公共事業についてもあるいは
地方に行くお金についても聖域なく見直しを行うこととしております。
わけても、
地方にできることは
地方にゆだねるということを所信表明でも申し上げましたし、ほとんどの
議員がこの
議論に対しては異論がないと思っております。そういう点からいえば、見直さなくていいということは現状維持につながります。
地方交付税一つとっても、補助金
一つとっても、これではいけないというのが大方の
議員だと思います。
こういう観点から、私は、公共事業についても、
地方交付税を含めて、補助金も含めて、今、中央から
地方に行く仕組みをそのままにしていいとは思いませんので、皆さんの
意見を聞いて見直していきたいということを述べたわけであります。
先日、タウンミーティング、青森でしたか、ある女性が、これからは一流の田舎を目指したいと。これは非常にいい
言葉だと思いますね。田舎が都市に比べて別に劣っているとかおくれているとかいう一方的な見方は当たらないと思います。田舎のよさ、都市のよさ、こういうものを見直しながら、まず一流の田舎を目指したいというその発想自体をこれから大切にしていきたいと思っております。
農業問題についてでありますが、これは、もう農業は、今でこそ食べ物に困りません。しかし、将来、今は地球人口六十億ですか、百億になるという。人口問題と食料問題を
考えますと、食料をおろそかにしていいということはとんでもない、天からのしっぺ返しを食うんじゃないか。
ともかく、政治の要諦を昔から見ていると、飢えをなくすということ。一国にとりましても、どの国においても、まず国民に飢えさせない、食物を与えるということが政治の中で一番大事だったということを
考えてみれば、今でこそ食料が余っているからといって食料問題、これをおろそかにしていいとは思いません。大事にしながら、そして
日本の食料、ある程度の自給率を確保するということは、
日本国民のみならず世界の国民に対しても私は
一つの責任だと思います。
金さえ出せば買えるという
状況にはならない。食料というのは時間がかかります。すぐつくるというわけにはいきません。天候とか水とか太陽とか、自然の恵みに感謝しながら、今の我々は生かされているという食料の重要性をこれからも大いに
認識しながら、食料問題の重要性を
考える必要があると思っております。
新幹線の問題でありますが、これは国土をどのように交通機関等で整備するか。空港の問題、鉄道の問題、また道路の問題、自動車の問題、それぞれ総合的に
考える必要があると思います。限られた
予算の中で、空港も鉄道も道路もあればそれにこしたことはないんですけれども、それはやはり国民の税金等あるいは採算性等も
考えなきゃいけない。新幹線等の整備についても、昨年十二月に新しい
政府・与党申し合わせが取りまとめられまして、収支採算性や投資効果等を十分吟味の上その整備を図ることとしておりますので、この
意見を尊重していきたいと思います。
また、
地方の形あるいは
地方の自立ということについてのお尋ねですが、これは
最初に
お話し申し上げましたことと関連しますが、江戸時代までは藩別に
地方はすごい特色がありました、それぞれ。明治以降、中央集権という形で中央が
地方を統制といいますか、一国、
地方ごと分散しているよりも国家の力を中央に集中しようという体制が必要だったと思うのであります、今日まで来ましたけれども。やはり古きをたずねて新しきを知るという温故知新という
言葉もございます。当時の
地方独自の努力によって、特色ある
地方都市を築いてきた江戸時代からのよさというものを歴史的にも学ぶ点も多いと思います。
その際には、
地方に対する権限、
地方と中央との仕事のあり方、それから財源、税源、こういう点を含めて、
地方が自律的にみずからの判断で財源も仕事も個性ある
地方としての発展も
考え得るようなことが私は
地方分権への
一つの大きな
趣旨だと思います。それに向けてこれからも英知を結集していく。中央集権から真の
地方自治へと、特色ある
地方の発展が国全体の発展につながるんだという視点から
改革に取り組むべきだと思っております。