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加納時男君 今、現時点では、去年の十月の民主党の文書は、民主党というのはアメリカの民主党という
意味ですけれ
ども、民主党の文書は変化はないということでありますが、内容を見ますと、ちょっと驚くようなことが書いてあるわけです。
例えば、新しい独立した規制機関をつくれというんですね。要するに、今の
経済産業省ではだめだということですから随分失礼な話だと思うんですけれ
ども、新しい独立した規制機関をつくれとか、それからアンバンドリングと英語で書いてありましたけれ
ども、発電、送電、配電を一貫した形で責任持ってやっているというのが日本の立場でありますが、これを分断してしまえ、ぶっちぎってしまえと。発電設備は売っ払っちゃえというわけであります。
日本では、かつて発送、配電を分けて、日本発送電という会社をつくって、国営会社でもって一括して、あとは地域ごとに配電会社があって、いわば分断をした経過がありますが、お互いに無責任になっちゃって失敗をしたということが、痛い目に遭ったので、今の発送、配電の純粋な民間の会社にしたというのが日本の経過であったかと思います。
そういう発送、配電を分断してしまえ、それから送電線の独立したプール運営機関でもってこれを管理しろというようなことを言っております。いわば、電力供給と神経系統を奪ってしまえということであります。
それから、スポット市場をつくれというような提案もしております。
それから、LNGターミナル、液化天然ガスのターミナルですね、これを開放しろと。これは大
企業ならばつくれるわけですから、開放するもしないもないような話だろうと思うんですけれ
ども、かなり誤解に基づいた提案ではないかと思います。
それから、もっと驚いたのは、電源開発会社が間もなく民営化されますが、この民営化に際しまして、発電設備は個別に売却しろ、売っ払えと、外資に売っちゃえという、どうもそこまではっきりは書いてはいないけれ
ども、それらしく書いてありました。
それからまた、完全自由化を進めていけと、そのスケジュールを刻々と出してこいということであります。いわば内政干渉もどきと私は思うんですけれ
ども、独立国家に対しては、主権のある国に対して言うべきこととははるかに超えたような協議事項ではないだろうかと思っております。
その前に書いてあることはいいことが書いてありまして、これが国民の利益、消費者の利益だと書いてあるんですけれ
ども、消費者の利益って一体だれが決めるのかと。消費者の利益というのは、私はワシントンが決めるんじゃなくて、日本の国民が決めるんだと思っております。
日本の国で世論
調査をやったことがありますけれ
ども、最近の、前総理府、今の
内閣府の国民に対する世論
調査で、あなたは国の
エネルギー政策について何を望みますかと言ったところ、一番に来たのが規制緩和かというと、違うんですよ。九つの項目の一番にみんなが支持したのは
環境に適合する
エネルギー政策だった。私もなるほどと思いました、
環境第一だと。その次にあったのは供給の安定性、信頼性、停電なんか困るよと。カリフォルニアみたいなのは嫌だよというのがその次であります。カリフォルニアの後だったらもっとこれは強くなるかもしれません。その直前の
調査でありました。では、規制緩和というのは国民の大多数が望んでいるのかというと、実は九つある選択肢のうちの七番目にやっと出てくるわけでございます。
ですから、国民の大多数が望んでいるのは
環境とか供給の信頼性ということではないだろうかと私は理解して、それをやっていくのが日本の消費者の利益である。
もちろん規制緩和、完全自由化を求めている方がおられるのは十分承知しておりますし、その方々が人数は少なくても大きな声を出しておられる。それをやりたいという方が、日本の中にもこれを商売にしようという方が規制改革の責任者として発言をしていらっしゃるということも存じ上げておりますし、アメリカの資本でカリフォルニアでさんざん電力でもうけた方が今度は、カリフォルニアはつぶれちゃったんですが、日本にやってきて、日本で商売したいという方がこれを求めていることも知っております。これに一部同調する官庁の方がおられるという新聞記事も、雑誌記事も拝見しておりますが、私の質問はまとめますとこういうことであります。一体全体、
エネルギー政策の基本って何なんだろうかと。
このアメリカの、旧政府と言っちゃいけませんけれ
ども、民主党時代に出してきたこの規制緩和、完全自由化、そして発送、配電をぶっ壊してカリフォルニアのように日本をだめにすることが目的だと私は思っておりません。やはり規制緩和は大事でありますけれ
ども、その前提として、供給信頼性であるとか、
環境適合性というのがあった上でのやっぱり自由競争、市場原理をふやしていくこと。だから、これも新
エネルギーと同じでありまして、私は賛成なんです、規制緩和は。規制緩和をつぶそうとしている守旧派だなんてビラまいている方もいますけれ
ども、とんでもない話でありまして、私は前を向いて規制緩和をやっていくべきだと。
そして、その前にしっかりやらないとカリフォルニアの二の舞になりますよと。完全自由化をやって完全に失敗したのがカリフォルニアだとデービス知事が言っているぐらいでございます。現地も見てまいりましたけれ
ども、やっぱり大変な
状況でございまして、値段を、ほかの州に比べて四割も高いからこれを自由化によって安くしましょうとしてやったのが、結果は五割の値上げになってはね返ってきた。トリプルAだった電力会社は破産しちゃった。
そして、しっかりとした発送、配電の一貫
経営で責任を持って電力会社として送っていた、日本で言うと関西電力クラスの大きさのあのパシフィック・ガス・アンド・エレクトリックが、この間、私は連休中に行きましたら、もううっそうとした暗いビルに変わっちゃいまして、破産した会社の
経営者にも会ってきましたけれ
ども、本当に下を向いてぼそぼそとしゃべるという、あの元気だった会社がなくなっちゃった。だれに聞いても、供給責任は私が負っているという人が一人もいないというのがカリフォルニアの実態であります。
こういったような実態をしっかりと踏まえながらやっていかないと、日本の
エネルギー行政は間違っちゃうんじゃないかという大変な危機感を持って連休明けにまた戻ってまいりましたけれ
ども、
大臣の所感を最後にお伺いして、終わりたいと思います。