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国務大臣(
平沼赳夫君) 確かに梶原先生御
指摘のように、今、
日本の景気の現状というのは非常に厳しいものがあると思います。私は地元が岡山でございますけれ
ども、江戸時代から続いている表町という商店街がございますが、そこに夜七時ごろ行きますともう閑古鳥が鳴いているような現状でございますし、またよく言われているように、閉店をしているそういうところが多くて、店じまいをしちゃったところが多くて、シャッター通りというような形になっております。
我が国の景気の現状というのは、
米国経済の減速などから輸出が減少した。そして、これも先生御
承知のように、生産は二カ月連続マイナスが続くなど、低下傾向がはっきり見えてきております。また、求人や残業時間も減少傾向がございまして、
企業の業況感も悪化に転じるなど、全体として景気は以前にも増して弱含んでいる、こういうふうに思っています。直近に発表されました失業率も、四・七から、四月は四・八、〇・一ポイント上がる、こういう形で厳しい現状にあります。そしてまた、我が国経済の先行きに関しましても、生産につきましては五月はわずかに増加しますけれ
ども、六月は再び減少するような見通しもあります。
それから、これももう梶原先生よく御
承知のことでありまして、設備投資の先行指標である機械受注というのは、一—三月期では前期比マイナス七・〇と大幅な減少となりまして、四—六月期の見通しはそのまま横ばいにとどまっている、こういう非常に厳しい局面もございます。それから、減速しております
米国経済におきましては、四月の鉱工業生産が七カ月連続でマイナスになるなど、今後の回復についても不透明感が高まっていることなど、より深い注意が私
どもは必要だと思っています。
こうした中で、やっぱり我が国経済を自律的な回復軌道に乗せる、そのためには、今構造改革のことをおっしゃいましたけれ
ども、昨年いろいろ努力をしてまいりまして、私
ども経済構造改革というものを昨年十二月末に二百六十項目取りまとめて、その百は八割方手がついたところでありますし、また緊急経済対策を最優先でやらなきゃいけない。そうなりますと、どうしても金融サイドの不良債権でありますとか、産業サイドの不良債務、これを処理していくということが、一時的に痛みは伴いますけれ
ども、景気を安定軌道に乗せるやっぱり通らなければならない道である。
こういう中で、私
どもといたしましては、中小
企業に対するセーフティーネットというものも十二分に考えながらやっていかなきゃいけない。そういう痛みを伴うことに関して、いわゆる一時的に失業が出る、そういう
可能性が非常に大でありますので、やはりそこは新規産業をいかに早く立ち上げて、そしてそこに雇用を吸収していくかと、このことも急務の問題だと思っています。
アメリカは八〇年代、三つ子の赤字を抱えて大変な不況にありました。その中で、
IT関連を中心にしてイノベーションを起こして、そして新規
企業を創出する。そのことに対してインセンティブを与え、一時的には雇用が厳しい
状況になりましたけれ
ども、結果的には新しく起こったそういうベンチャーを含めた
企業というものが雇用を吸収して、そして未曾有の九〇年代の景気回復、こういうことをもたらしたわけでございます。
私
どもといたしましても、るる申し上げましたけれ
ども、大変厳しい経済
状況でありますけれ
ども、
日本の経済というのは私はポテンシャリティーはまだ失われていない、そういう
意味ではやっぱりそのポテンシャリティーを十分活用して新規産業を起こし雇用を吸収し、そして新しい
企業の、産業の活力を出すためにやはり最大限の努力をしていかなければならないということで、この二十五日に立ち上がりました、新しい構造改革に伴う対策として産業構造改革・雇用対策本部に私としては十五の項目を提案させていただいて、そしてこれをたたき台として六月の半ばまでにいわゆる中間の取りまとめをして、具体化をして、この国の経済に活力を与える、こういう形で
経済産業省として全力を尽くして頑張らさせていただきたい、このように思っているところでございます。