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国務大臣(
平沼赳夫君) 新ラウンドの立ち上げに関しましては、私は昨年の七月に通商
産業大臣に就任をして以来早期立ち上げで精力的に取り組んできたところであります。
具体的には、EUのラミー
委員でございますとか、東南
アジアでございますとマレーシアのラフィーダ貿易担当
大臣とも積極的に話をしながら努力をしてまいりましたけれども、
委員御承知のように、
アメリカの大統領選挙、こういうものがございましてなかなか
アメリカが動かないという、こういうふうな状況で新ラウンド立ち上げというものがまだ滞っている、これが現状でございます。
新ラウンドの立ち上げに向けた現状についてどうだというお尋ねでございますけれども、
我が国は、本年十一月にカタールで開催予定のWTO閣僚会合において十分に幅広い交渉項目を備えた新ラウンドを立ち上げられるよう今努力をしているところであります。
まず、WTOの所在地ジュネーブにおいては、新ラウンド立ち上げに向けて非公式の協議が活発化しつつあり、気運は徐々に盛り上がりつつあると私は承知しております。新ラウンドを立ち上げるためには主要国のコンセンサスが重要でありまして、この
観点から、日、米、カナダ、EUのいわゆる四極において事務レベルでの会合を目下重ねております。新ラウンドに向けて前向きな議論が積み重ねられてきておるのが現状でございます。米国に関しましては、ゼーリック通商代表はWTOを重視する姿勢でありまして、これも新ラウンド立ち上げに好影響を与えると、このように期待しております。
新ラウンドの立ち上げは途上国の支持が不可欠でございまして、
我が国はさまざまな場で途上国との対話を継続しておりまして、例えば投資ルールやアンチダンピングといった重要な交渉対象の候補について相互理解を
促進するための対話セッションを開催するなど、きめ細かく努力をしてきているところでございます。
また、APECの場におきましては、新ラウンド立ち上げの
環境整備の
観点から、途上国のWTO協定履行能力を向上させるための
支援を
我が国がイニシアチブをとる形で進めてきておりまして、こうした取り組みの結果、途上国の新ラウンドに対する理解も徐々に深まっておりまして、立ち上げの機運の醸成が進んでいると、このように私は思っています。
いずれにいたしましても、
我が国の
発展の重要な
基盤である多角的貿易体制を維持強化しまして、また先行きが不透明な
世界経済に対して前向きな
政策運営を試みていく上でも新ラウンドは重要な機会であると
認識しておりますので、引き続き、今まで積み上げてまいりましたけれども、関係各国と緊密に協議をして、円滑な早期立ち上げに向けて努力をしていきたいと思っております。
それから二番目は、例えば新ラウンドに向けてEUなどは今御
指摘のように武器以外はゼロ関税とする、こういうことで、新ラウンドはどういうスタンスで臨むのか、こういう御
質問でございますけれども、新ラウンドに対する
政策のスタンスと戦略に関することにお答えをいたしますけれども、
我が国といたしましては、WTO加盟国の多様な関心がバランスよく反映される交渉とすることが新ラウンドの成功に必須の条件である、こういうふうに思っておりまして、新ラウンドを十分に幅広い交渉とすることを基本としております。
その中で、ウルグアイ・ラウンド合意に基づいて既に交渉が開始されている農業、サービスのいわゆる合意済み
課題に加え、鉱工業品関税や
世界的に乱用が問題となっているアンチダンピング協定の規律強化、
グローバル化に
対応した投資ルールの策定など、今申し上げたように幅広い
分野を取り扱うべきだと考えています。
また、お尋ねのセーフガード、輸入制限につきましては、現在のWTOルールにのっとりましてその
運用について的確に判断してまいる考えでありまして、今御
指摘のように、
日本タオル工業組合連合会あるいは野菜、こういった形でセーフガードの発動要請が現実のものとなっておりまして、私ど
もとしては的確に判断をしてまいりたい。
また、新ラウンドは現在のルールをより前向きに改定しようとするものでありまして、
既存協定の
運用とは別個のものと考えております。
いずれにいたしましても、WTOを中核とする多角的貿易体制が今後とも維持強化されるべく、新ラウンドの立ち上げに向けて、
産業界は
もとより、関係各国との協議を密にしてまいりたいと思っております。
それから、今二国間のそういう
経済連携協定、WTO、そういうものが
一つの
流れになっているのではないか、これに対してはどうか、こういうことでございまして、
我が国といたしましては、
世界的な貿易投資の
自由化を
促進するための基本はWTOを
中心とする多角的貿易体制の維持強化であると思っておりまして、この基本は私どもは変えておりません。
しかし、一方においては、グローバライゼーションの中で非常に
世界は急激に変化をしております。こういう変化の速い時代に
対応するためには、WTOを先取りする形でさらなる
自由化、規律の強化及び新たな
分野への取り組み等を
内容とする自由貿易協定を実施して、その
成果をWTOに反映させることも必要だと、このような考えを持っております。
また、自由貿易協定による
経済連携の過程で、国内の諸
制度が相手国
制度との比較、調和等を通じて改革への刺激を受ける
効果もこれによって大きいものがある、このように思っておりまして、私ど
もとしては、繰り返しになりますけれども、WTOを補完する、そういう意味で、WTO新ラウンドの立ち上げに向けた取り組みとともに、具体的には、もう御承知のように、シンガポールとは年内に
経済連携協定を結ぶと、こういうことで進んでおりますので、二国間または地域的な自由貿易協定もあわせて進める、こういう基本的な
認識で多層的な
対外経済政策を実施してまいりたい、このように思っております。
どうぞよろしくお願いします。