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岩佐恵美君 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
山小屋はいろいろ厳しい条件があって、トイレの
整備、し尿の処理に大変苦労しています。雲取山荘のわきに東
京都が三年かけて九五年に設置をした公衆トイレを見てまいりました。このトイレは水洗で、微生物による分解処理をしています。上澄み液を土壌中の微生物分解や植物吸収で処理して水分を空中に蒸発させる仕組みです。なかなか複雑で、現地に行ってなるほどと思いましたけれ
ども、聞いただけではわかりにくいんです。
四月から十一月まで二万人が使用していて、冬は直接汚水処理槽に流し込むということです。ちょっとトイレの近所のにおいが気になりましたけれ
ども、大きなトラブルはないということでした。でも、問題があります。空気を送らないため電源は要らないんですが、効率が悪いため浄化槽が大きくなる。さらに土壌処理のために二百平米の掘削工事を行っている。建設に一億六千万円もかかっていて、試作品的な
感じを受けました。同じ方式のものを岩手県が早池峰山で採用しようとしたんですが、自然保護団体などとの協議で取りやめになったそうです。
南アルプスの仙丈ヶ岳では長野県の長谷村が九九年に避難小屋を新設しましたが、ここは循環式の合併浄化槽を設置しました。補給水と蒸発がほぼ均衡して余り排水は出ないんですが、滅菌処理をしてトレンチで発散させている。汚泥は微生物で分解して、残渣は空輸で搬出しているということです。自然エネルギーを活用するため発電風車十六基と太陽電池パネル百九十六枚を設置したけれ
ども、消費電力の四割近くをトイレで使っているということです。大変立派な風車がありますし、太陽電池のパネルも現実に見て、ああこれは普通の山小屋ではできない仕事だなということを、私も去年登ったときに見てきて思いました。
山小屋の条件というのは、水や電気の有無、土地の広さ、高度、強風や低温などの気候条件、
利用人数、管理者の有無などで条件はさまざまで一律にはいきません。電気も水もないところでは空輸やパイプラインによる搬出方式、電気があって水がないところでは焼却式や曝気処理、電気加熱のコンポスト、電気と水があれば合併浄化槽や循環式浄化槽など、さまざまな試みが行われております。どこでもどういうものが一番合っているのかということで現地では悩んでおられます。
私は、
環境省として、こうした
各地の取り組みの情報を収集して、さまざまな条件に応じたやり方を研究していくその中心となってぜひ活動していただきたい。民間の方々がやっておられるんですけれ
ども、やはりそれでは限界というか、なかなか力及ばないところがあるので、ぜひその点やっていただきたいと思います。いかがでしょうか。