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衆議院議員(五島正規君) ただいま議題となりました
特定製品に係る
フロン類の回収及び破壊の
実施の
確保等に関する
法律案につきまして、提案の趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。
近年、人類共通の課題となっているオゾン層の保護及び地球温暖化の防止に積極的に取り組むことが重要であることから、オゾン層を破壊しまたは地球温暖化に深刻な影響をもたらす
フロン類の大気中への排出を抑制することが喫緊の課題となっております。
こうしたことから、本案は、
フロン類の大気中への排出を抑制するため、
業務用冷凍空調
機器等及び自動車用エアコンディショナーからの
フロン類の回収及びその破壊の促進等に関する指針及び
事業者の責務等を定めるとともに、
業務用冷凍空調
機器及び自動車用エアコンディショナーに
使用されている
フロン類の回収及び破壊の
実施を
確保するための措置等を講じようとするものであります。
次に、本案の主な内容について御説明申し上げます
第一に、この
法律は、オゾン層を破壊し、地球温暖化に深刻な影響をもたらす
フロン類の大気中への排出を抑制するため、
特定製品に
使用されている
フロン類の回収・破壊のための措置を講じ、人類の福祉に貢献すること等を目的としております。
第二に、この
法律の
対象物質である
フロン類は、CFC、HCFC及びHFCの三種類のフロンとします。また、この
法律の
対象機器は、第一種
特定製品を
業務用冷凍空調
機器とし、第二種
特定製品をカーエアコンとしております。
第三に、
フロン類の回収・破壊に関する事項について指針を定めるとともに、
事業者、製造業者、
国民、国、地方公共団体の責務を定めることとしております。
第四に、
業務用冷凍空調
機器から
フロン類を回収する業者、つまり第一種
フロン類回収業者は
都道府県知事の登録を受けることとしております。第一種
フロン類回収業者には、回収の基準の遵守等の義務を課し、
都道府県知事は、必要な指導、助言、勧告、命令をすることができることとしております。
第五に、廃車しようとする自動車ユーザーに対する窓口として、第二種
特定製品引取業者は
都道府県知事の登録を受けることとしております。この第二種
特定製品引取業者は、カーエアコンを自動車ユーザーから引き取り、自動車
フロン類管理書を添付して第二種
フロン類回収業者に引き渡すことで、不正請求防止のための重要な役割を果たすことになります。
また、第二種
特定製品引取業者からカーエアコンを引き取り
フロン類を回収する業者は、第二種
フロン類回収業者として
都道府県知事の登録を受けることとしております。
さらに、第二種
特定製品引取業者、第二種
フロン類回収業者には、
フロン類の運搬または回収の基準の遵守等の義務を課し、
都道府県知事は、必要な指導、助言、勧告、命令をすることができることとしております。
第六に、
特定製品に冷媒として充てんされている
フロン類の破壊を行おうとする業者は、主務
大臣の許可を受けることとしております。
また、
フロン類破壊業者には、破壊の基準に従って
フロン類を破壊する等の義務を課し、主務
大臣は、必要な指導、助言、勧告、命令をすることができることとしております。
第七に、
業務用冷凍空調
機器については、
事業者間の相対取引で廃棄されることから、廃棄するユーザー
事業者が適正な料金を支払って、第一種
フロン類回収業者に
フロン類を回収してもらうこととしております。これは、相対取引で行われている現在の自主的取り組みを
推進するものであります。
これに対して、自動車は、一般のユーザーの占める割合が大きく、廃棄に当たってもさまざまな関係者が関与し、複雑なルートをたどるという現状を踏まえて、この
法律では、第二種
フロン類回収業者が集めたフロンを自動車メーカー、輸入業者に持っていけば回収、運搬の
費用を払ってもらえる、フロンの流れとお金の流れを分離する仕組みとなっております。
このような物・金分離システムを導入することで、
フロン類回収業者に確実にお金が渡るとともに、フロンを集めれば集めるほ
どもうかるという経済的なインセンティブが回収業者に与えられます。
これは、拡大生産者
責任の
考え方に基づき、自動車メーカー等にカーエアコンから回収されたフロンの
費用の支払い義務を課すものであります。
なお、自動車メーカー等は自動車ユーザーに負担を求めることができることが規定されており、具体的な徴収方法は自動車リサイクルシステムの
検討を待って定め、その段階で必要な措置をとることとしております。
第八に、雑則においては、
フロン類のみだりな放出の禁止、
特定製品への
フロン類の回収・破壊に関して必要な事項の表示等が規定されております。
第九に、不正な登録、知事または主務
大臣からの命令違反、
フロン類のみだりな放出等に対して罰則を科しております。特に、
フロン類のみだりな放出については、一年以下の懲役または五十万円以下の罰金という、他の
環境法令と比べても厳しい罰則が科されております。
第十に、この
法律は、
平成十四年四月一日から施行することとしております。ただし、カーエアコンからの
フロン類の回収義務や
費用支払いに係る規定に関しては、
平成十四年十月三十一日までの間において政令で定める日から施行することとしております。
第十一に、自動車メーカー等から自動車ユーザーへの
費用徴収方法、自動車リサイクル法との整合性の
確保、断熱材等の冷媒以外の用途に使われている
フロン類に関する
調査研究等、
検討事項を規定しております。
以上が、この
法律案の提案の趣旨及び主な内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。