○清水澄子君 今そこにずっとお座りの中で、水俣病の問題をずっとやってこられた人はいるんでしょうか。私は多分いらっしゃらないと思うんですよ。本当にもう過去の過去という形になってしまっているんじゃないでしょうか。
この間も関西の裁判が起きたので、ちょっと私は、あれ、また私なんかが言っていたことと同じことだと思って、自分の議事録を出してみました。一九九〇年です、平成二年。判決で出たことと同じことを当時も質問していますけれども、今も同じ答弁が返ってきているわけです。
今回の大阪高裁は、例えば認定基準でも、舌先や手足にある末梢神経の感覚障害しかない人でも、水俣湾周辺でとれた魚介類を大量に食べて、家族に認定患者がいる場合にはやっぱり患者と認めていく、そういうことを言っています。だから、認定基準の問題を指摘していますね。
これは、
環境省が七七年に、認定基準というのは、手足のしびれといった感覚障害だけでは水俣病とは認めないという基準を出されたわけでしょう。それは、あと視野が狭くなるとか運動障害が出るとか、幾つかの複数の条件がそろっていなければ水俣病患者とは言わないんだという形で、認定基準の中にはまった人しか患者と指定していない中、未認定患者というのがたくさんいると思うんです。
そうすると、まるでこのメチル水銀中毒というのは、決して今の末梢神経の感覚障害者はメチル水銀障害ではないということを言い切っているわけですけれども、そんなことが言い切れるかどうか。
日本で初めて体験してしまったことだから、きちんとそこからやっぱり
調査をし、それからそれが何年たってもどういう問題が起きるのかきちんと研究しておくことは必要なことではないかと思っているわけです。
当時も、今ここで議事録の中に、
環境庁の委託
調査研究班の重松
委員長が言っていたことです。医学のことをおっしゃいましたが、学問に忠実なのが能じゃないと、例えば薬害のスモンの場合は、診断書を信用して手続をうんと簡単にした、これで九九%解決した、公害病かどうかの区別がつかないと言うけれども、例えばぜんそくだって原因を細かく区別することはできない、全く歯どめがなくなるのも困るけれども、余りにも厳密な医学論議だけでは被害者救済がおくれてしまうということを言っていらっしゃるわけですね。ですから、これはもう認定問題の前に、そうおっしゃっているんですよ、患者救済という原点の視点が欠けていると。
こういう点で、やはり疑わしきは救済するという、私さっきから人間的な当たり前のことが
環境行政でも必要じゃないかということを申し上げているわけですが、また、このときの認定審査会の
委員であった複数の医師ははっきり言っているんですよ。当時、皆報告しています。当時の
環境庁は、救済対象者を広げたらチッソがつぶれてしまう、既に認定された患者の補償がまた完遂できなくなるから広げないでくれと。
こういう認定基準というのは、もうこれは科学的な面でも、またこれまでの被害者救済ということが軽視された措置の中でもこの問題がまた争われて、そして今度は高裁でこの認定基準は問題であるということが出ているわけですから、今のような答弁ではなくて、本当にこれは今後のためにもやはりきちんと
調査研究、追跡をするということを私はここで強く求めておきたいと思います。
次に、もう時間が余りなくなってきましたけれども、飲み水の問題は先ほども出ましたけれども、この中で、やはり最近、市町村で住民の飲み水を守る条例として水道水源保護条例という条例が非常にあちこちで制定されてきているわけです。それらができてくる動機といいますか
内容の七〇%以上が、産業廃棄物の施設の適地とみなされやすい市町村が自衛手段としてそういう条例をつくっているわけですけれども、やっぱりこれらについて、何か
環境省は、
岡澤部長さんが言っているんですが、そんな条例は必要ないとおっしゃっていますね。
私は、本当にそんなことを言い切っていいのかどうかと思います。やはり問題は、この産業処理施設の許可は県がやりますね。それから水道事業は市町村であるわけです。ですから、今問題になっているのは、この市町村制定の水源地保護条例と県の産廃処分許可との
関係が必ずしも、市町村の要求とか、市町村とうまく本当に相談し合って市町村が了解をしているかというと、これは了解しなくても県が決めることができるわけですね。ですから、そこにやはりもっと、県はこの
環境保全上の適切な配慮というのをどこまでやっているのかどうか。そういう点で、これはやっぱり非常に問題があると思うんです。
特に今、水の問題では、水源地の問題というのはみんな非常に大きな不安を持っているわけですから、これは裁判まで起きているわけでしょう。県の許可処分が裁判でひっくり返されるという例も起きているわけですから、
環境省はもう少しこれらの問題について、どのように実態を把握し、今後、単なるごみをどう処理するかという問題ではなくて、ごみという
意味ではなくて、もっとこの問題について厳重なといいますか、将来の本当に飲み水全体の問題について、
環境省らしいというのか、
環境省が主体でこの産廃問題を含めて新しい
対策を講ずるべきだと思いますが、その点はいかがでしょうか。