○田英夫君 今、
吉岡さんも言われましたが、報道によると、自民党総裁選挙の中で亀井静香さんが、在韓米軍が攻撃された場合、
日本が集団的自衛権を行使する可能性がある、こういう発言をされたということに対して、韓国では、関連する国の
立場を考えない軽率な発言だという強い反発が出ているということを新聞で知りましたけれども、このことは、きょうも皆さんが取り上げておられる
外交的な諸問題、防衛の問題も含めて非常に重要なことだと思います。教科書問題、これももう既に同僚
委員がいろいろ取り上げられましたが、私も現在の
外交の非常に重要な重大な問題だと思っております。
韓国の金大中大統領も直接この問題に触れて発言をしておられますが、
一つ気がついたことは、
日本と韓国の報道は違うということです。同じ大統領が言われた同じ発言を、例えば
日本のある新聞は、歴史問題は過ぎたことだが、韓国民にとっては重要な問題だと大統領が述べられたと、こう報道しております、産経新聞ですが。これに対して韓国の朝鮮日報は、この問題は両国国
民間の
関係を決定づける根本的な問題と考える、こう言っておられると。重さが全然違うんです。
つまり、亀井さんの発言といい、今のことといい、本当に相手国の国民の
立場ということを理解するかどうか、ここがキーポイントだと思います。先ほど
外務大臣は友好ということの解釈を
質問されて、お互いに理解し合うということをまず挙げられましたが、このことだと思います。友好というよりも、
日本は周辺諸国と本当に友好でなければならない、どこの国とは友好でどこの国とは敵だという
関係ではないはずなんですから、そういう視点をとると。
歴史教科書問題について一番大事なことは、
日本が過去の歴史の中で何をしたかという真実をきちんと子孫に伝えるということ、教えるということじゃないですか、教科書の中で。
例えば、南京大虐殺ということがあった。私は一九七一年、ちょうど三十年前ですが、中国を訪問して一人で各地を歩きましたが、そのときに南京に行きました。五人の南京大虐殺の生き残りという人に一人一時間ずつ、一日かかって会ってその話を聞きました。途中で泣き出して、肉親が自分の目の前で殺される
状況を話しながら、話せなくなって、しばらく休もうと言って休んでまた話を聞いていく、そんな状態の中で話を聞いたんですが、それまで既に長いジャーナリストの生活をしておりましたから、自分で言うのはおかしいですが、この人たちの言っていることが真実かどうかを判断する力が私になかったとは思いません。
また、こういう体験もしております。
今から七、八年前ですけれども、このことはこの
委員会でも何度か取り上げましたが、韓国の高校生が夏休みに二十人ほどで先生に引率されて
日本にやってきました。長野県の松代へ行った。その後、東京へ出てきて私のところを訪ねてくれました。
話を聞いたら、松代は学校の歴史で教わったとおり。つまり
日本政府は韓国人、朝鮮の人たちを強制連行で連れてきて、そして松代の大本営をつくろうとしたあの地下ごうを掘らせた。何千人という人が死んでいった、こういう歴史の事実があります。そして、その学生たちと話していたら、非常に学校で教わったことを現地で見て感銘をした。同時に、その松代の近くの
日本の高校を訪ねて高校生同士で交流をして、それはそれで楽しかった。しかし、
一つ驚いたことがある。それは、松代近くの
日本の高校生が、自分たちが教科書で教わった松代の悲惨な事実を知らなかったと。多くの朝鮮、韓国の人が死んでいったという事実を知らなかったと。このことを私に訴えておりました。こういうことをどう考えるかということじゃないんですか。結局、
歴史教科書問題というのはそういう問題に触れてくる、結論は明らかだと思いますよ。
河野さんは今、
外務大臣ですけれども、お若いころというか、もとはいわゆる文教族と言われた方ですから詳しいはずですから、どうしたらいいのか。
一つは
外交的措置というのがあります。もう
一つは
日本国内における教科書問題の対応というのがあると思いますが、例えば再修正を求めるのか、あるいは検定制度を再
検討するのか。あるいはさらに、これは私どもの仕事かもしれませんが、教師や父母の人たちと
一緒になって検定を通ってしまったそういう教科書は使わないという運動を起こすか。いろんな方法があると思いますが、しかし、それは通ってしまって教科書として採用されていれば、
外交問題としては消えません。
個人的な見解で結構ですから、
外務大臣の、
河野さんの御
意見を伺いたいと思います。