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2001-03-02 第151回国会 衆議院 予算委員会第六分科会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十三年三月二日(金曜日) 午前九時
開議
出席分科員
主査
北村
直人君 大原 一三君 谷川
和穗
君
五十嵐文彦
君
山内
功君
渡辺
周君
佐々木憲昭
君
植田
至紀
君
横光
克彦
君
兼務
後藤
斎君
兼務
津川
祥吾
君
兼務
山田
正彦
君 …………………………………
農林水産大臣
谷津
義男君
農林水産
副
大臣
松岡
利勝君
農林水産大臣政務官
金田 英行君
政府参考人
(
外務省経済局長事務代理
) 本村 芳行君
政府参考人
(
農林水産省大臣官房長
) 田原 文夫君
政府参考人
(
農林水産省生産局長
) 小林 芳雄君
政府参考人
(
農林水産省経営局長
)
須賀田菊仁
君
政府参考人
(
農林水産省農村振興局長
) 木下 寛之君
政府参考人
(
林野庁長官
)
中須
勇雄
君
政府参考人
(
水産庁長官
)
渡辺
好明君
政府参考人
(
水産庁次長
) 川本 省自君
農林水産委員会専門員
和田 一郎君
環境委員会専門員
澤崎 義紀君
予算委員会専門員
大西 勉君
—————————————
分科員
の異動 三月二日
辞任
補欠選任
五十嵐文彦
君
山内
功君
佐々木憲昭
君
塩川
鉄也
君
横光
克彦
君
植田
至紀
君 同日
辞任
補欠選任
山内
功君
渡辺
周君
塩川
鉄也
君
佐々木憲昭
君
植田
至紀
君
山内
惠子
君 同日
辞任
補欠選任
渡辺
周君
五十嵐文彦
君
山内
惠子
君
日森
文尋
君 同日
辞任
補欠選任
日森
文尋
君
保坂
展人君
同日
辞任
補欠選任
保坂
展人君
菅野
哲雄
君 同日
辞任
補欠選任
菅野
哲雄
君
横光
克彦
君 同日 第四
分科員津川祥吾
君、第五
分科員山田正彦
君及び第八
分科員後藤斎
君が本
分科兼務
となった。
—————————————
本日の会議に付した案件
平成
十三年度
一般会計予算
平成
十三年度
特別会計予算
平成
十三年度
政府関係機関予算
(
農林水産省所管
) ————◇—————
北村直人
1
○
北村
主査
これより
予算委員会
第六
分科会
を開会いたします。
平成
十三年度
一般会計予算
、
平成
十三年度
特別会計予算
及び
平成
十三年度
政府関係機関予算
中
農林水産省所管
について、昨日に引き続き
質疑
を行います。 この際、
分科員各位
に申し上げます。
質疑
の持ち時間はこれを厳守され、
議事進行
に御協力をお願いいたします。 また、
政府当局
におかれましても、
質疑
時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
植田至紀
君。
植田至紀
2
○
植田分科員
社会民主党・
市民連合
の
植田至紀
です。よろしくお願いいたします。 きょうは、
森林行政
及び
国有林野事業
にかかわりまして、この
通常国会
でも新たな
林業基本法
が予定されておりますけれ
ども
、そのことも念頭に置きながら、
幾つ
かの点にわたってお伺いいたしたいと
思い
ます。 一九六四年に
基本法
が制定されてもう三十六年、私よりも
一つ年上
の
林業基本法
でございます。今やその理念と、また
現状
との乖離というものがかなり深まっているというのは、御
承知
のような
林業
をめぐる諸
環境
の深刻な
状況
を見れば、これはもう明らかでございます。確かに、
法制定
当時はまさに
木材ブーム
、また、
高度経済成長
のもとで旺盛な
木材需要
が
前提
としてあったわけでございますので、当然、当時の
基本法
は
経済効率性
に
重点
が置かれていたと認識しております。そして、そもそもその当時は、
産業
としての
林業
が常に成立し得るということがまた
前提
になっていたことによるだろうと思うわけです。 しかし、構造的な
木材
、
国産材価格
の
低迷
が、
林業従事者
の
生産意欲
の低下はもちろん、その生活を圧迫している、そしてまた
林業労働者
の減少、
高齢化
の
進行
によって
森林整備
を困難なものとしているということがこの実態にあると
思い
ます。
現行法
では、他
産業
との格差が是正されるように、
林業
の
生産性
の
向上
を通じて
林業
の安定的な
発展
を図ることと、
林業従事者
の所得を増大してその経済的、
社会的地位
の
向上
に資するということを
政策目標
にしているわけですけれ
ども
、現在のさまざまな
森林整備
の困難な
状況
の中で、また
林業
が
産業
として非常に困難な
状況
に陥っている中で、
森林
の有する多様な
多面的機能
というものも著しく低下させている。しかし一方で、まさに今二十一
世紀
になりまして、特に
環境
問題、特に
森林資源
の枯渇という問題は、何も
日本
に限らず国際的な、
地球規模
の
課題
になっている中で、いわゆる
森林
の持つ
多面的機能
、
環境保全機能
を初めとするそうした
機能
というものにもっともっと着目した
森林行政
の
あり方
というものがこれから追求されなければならない、そういうふうに私は考えているわけでございます。 ですから、そういう
観点
から、できれば今度出されますところの
林業基本法
についても、そうした二十一
世紀
の、まさに
未来構想
を踏まえた、そうしたことをきちんと盛り込んだ
法案
であってほしいなというふうに私は願っているわけです。 私自身の
思い
を申し上げますと、確かに、これまでの
現行法
は
経済効率性
に
重点
が置かれていたわけでございますけれ
ども
、やはり新たな
基本法
では、持続的な
森林経営
をもう一度定着し直す、その持続的な
森林経営
、
林業
の
振興
というものの
意義
というものを、単に
産業
としてだけでなく、その
産業
を育成し
振興
させるということが、実は
地球規模
の
課題
に対しても対応し得る
産業
として
意義
を持つものだと
思い
ますので、やはりそうした
環境保全機能
等々に着目した新たな法というものを求めたいわけです。 その
意味
で、
一つ
には、そうした多様な
機能
を
発揮
させるための
森林整備目標
というものをやはり明確にすべきだろうと私は
思い
ますし、また、
国産材
の
需要拡大
が
森林整備
を促進するわけでございますから、私は、米の
自給率
なんかと同様に、
木材
の
自給率目標
なんかも定めていくべきではないかと
思い
ます。
現状
では約二〇%というような
状況
です。 ちなみに、ちょっと私ごとで恐縮でございますけれ
ども
、私の実家といいますか、私の
父親
は、私
ども
の
奈良
の田舎で言う
腹押し
という
仕事
でございました。
腹押し
というのはどういう
仕事
かといいますと、
林業
ではなく
製材業
になるんですけれ
ども
、こんな丸のこがぐっと回っているのを、丸太ん棒を腹で押しますので
腹押し
と。それを私の
父親
は、中学を卒業してから六十まで四十五年間、ずっとやってまいりました。おかげで、いまだに私は
父親
と腕相撲をしても勝てないのでございます。 その私が
子供時代
でも既に、私の
父親
が勤める
製材所
では、
吉野
という
林産地
を控えていながら、
吉野
の木なんというのはまず扱っていなかったわけです。
製材業
が
国産材
を扱っていると、
赤字
でもう立ち行かない。結局、大阪の岸和田や京都の舞鶴から
米マツ
やトドマツなんかを輸入して、それを製材していた。 だから、いわゆる
林産地
の
奈良
県でも、既にもう七〇年代初頭からそんな
状況
でした。結局、八〇年代後半になってそこの工場も廃業いたしましたので、今はもううちの
父親
も
年金暮らし
をしておりますが、私も、私の
子供時代
からそうしたものをつらつら見ながらそうしたことを実感として感じてきた者として、改めて、こうした
木材
の
自給率
なりなんなりということにもやはり触れたいなと思うわけです。 またもう
一つ
、
林業生産活動
の
担い手
としての
労働者
の
確保
、これをやはりきちんと確立していくという視点も必要だと
思い
ます。 実際に今、
林業労働者
というのがもう十万を切って久しいわけです。先日伺いますと、もう七万人と。この七万人の人口で、
林野庁
さんが最近お調べになったところでは、七十五兆もの
外部経済効果
がある。こうした
森林
の
公益的機能
をこの頭数で支えている。しかも、ほとんど若い
方々
はいらっしゃらなくて、かなりお年を召した
方々
ばかりがそうした
従事者
としていらっしゃる。 そうした
高齢化
が進んでいるところでは、やはり将来にわたって
林業労働者
の
確保策
というものも確立していくべきだろうと
思い
ますし、そしてまた、こうした
施策
の
推進
に当たって、国の
責務
はもちろんのことですけれ
ども
、
地方公共団体
の
責務
を明確にする、そしてさまざまな
支援策
の
方向
、そしてその
財政措置
、
法的措置
の
あり方
についても、こうした今申し上げたようなことを法文上、やはりしっかりとこの
基本法
の中に改めて明記すべきではないかというふうに私は考えています。 またさらに、冒頭申し上げましたように、
林業
、
森林
の持つ
意義
に着目いたしますと、例えば、
貯水機能
、
水害防止機能
でありますとか
水源涵養機能
、そうした
公益的機能
、
環境保全機能
等々の
発揮
のための
森林
の
保全
、
林業
の
振興
がなされなければならないということ、そしてそれが何も
林業
という
産業分野
に従事する人、またその周辺にいる
人たち
に恩恵をもたらすというだけではなくて、
上下流
を通じて、もっと言うと
国民
的に、そうした
森林
の
保護
、
保全
、そして
林業
の
振興
というものがやはり一人一人の
暮らし
にもっともっとかかわってくるんだよということで、例えば、
格調
高い前文なんかの中で、こうした
林業
なり
森林行政
というものが実は
国民的課題
なんだということもやはり触れていただいた方がいいのじゃないのかな、私はそういう
思い
をいたしております。 これは、私の今の
思い
であり、願いであるわけです。今、
基本法
の
策定
に当たって
審議
中でありますので、その
審議状況
を伺うわけにはいかないと思うのですけれ
ども
、当然、この間の
森林行政
、そしてまた
林業
の
現状
を踏まえましての二十一
世紀
、そしてその二十一
世紀
はどういう
時代
かというそうした
時代状況
、その地平に立った
森林行政
、そして
林業
の
課題
とその
意義
ということについては御所見を十分お伺いできると思うので、まず、その点につきまして御見解をお伺いいたしたいと
思い
ます。
谷津義男
3
○
谷津国務大臣
今の
植田先生
からの
お話
、私
ども
が今度
国会
に提出しようとしております
林業基本法
の
改正
に、
先生
の今言われたことはほとんど盛り込まれていると言ってもいいのではないかと
思い
ます。 今、
林業
の
採算性
が非常に悪化しているものですから、そういった面で
林業生産活動
が停滞しております。こういうことから、多様な
森林
の持つ
機能
というものが
発揮
できないような
状況
にもなっているわけであります。 そういうことから、昨年の末に決定をさせていただきました
林政改革大綱
、それから、そのときにプログラムもつくりまして、それに基づきまして、従来の
木材生産
を主体とした
政策
から、今
先生
がおっしゃったように、
森林
の多様な
機能
を持続的に
発揮
できる、そういうものを目的とした
政策
に
転換
をするということでございます。 ですから、多様な
機能
を
発揮
させるための
森林
の適切な
管理
がそこには必要である、それからもう
一つ
は、
森林資源
の持続的な利用を担う
林業
、
木材産業
の
発展
を期する必要がある、それから
山村
の
振興
、これを
基本
にいたしまして、その
施策
の展開を図ることとしておるところであります。 具体的には、
林業
の
基本法
の
改正等
を取りまとめまして本
国会
に提出することになっておりますけれ
ども
、
先ほど
先生
がおっしゃったような
森林整備
の
方向
を明確化するとともに、
機能
に応じた
森林施業
の
推進
及び
事業
の
重点化
、それと
地域林業
の
担い手
の育成あるいは
確保
と、受託による
施業
、
経営
の
集約化
を図っていきたい。と同時に、
関係省庁
との連携による
山村
の
定住条件
の
整備等
をその
施策
の中に入れまして、これを展開していきたいというふうに考えているところであります。
植田至紀
4
○
植田分科員
ありがとうございます。おおむね今、言ってみれば
基本法
のエキスになる
部分
はこんなものだよということについては御説明いただきました。個々の問題については、またこの時間の中で許す限り伺いたいと
思い
ます。 そうした中で、やはり、
格調
高い、
先ほど
も申し上げましたけれ
ども
、特に今の
森林
の新たな
機能
といいますか、本来そうした
機能
を持っていたわけですけれ
ども
、特に
日本
の場合は
森林国
でございますので、そうしたことも十分配慮しながらいわゆる
環境保全
、特に、こうした問題といいますのはなかなか都市の
皆様方
には
理解
をしていただけないような
部分
もあろうかと思うのですけれ
ども
、こうしたところに国のお金を使うのは実は
国民
的な
課題
をしっかりとやっていくためのものなんだよということを十分、やはりこれまた周知していくことも必要じゃないかなと私は思っております。そういう
意味
で、その辺のところでの十分な
財政措置等
も望むものでございます。 さて、そうしたことと関連いたしまして、次に、
国有林野事業
の
再建
にかかわって、この間、非常に厳しい
状況
の中で三兆八千億もの債務をどうするかという
議論
がずっとなされてきたわけです。そして今、
集中改革期間
ということでなされているわけですが、その点にかかわりまして
幾つ
かお伺いしたいと
思い
ます。 確かに、我が国の
国有林野事業
といった場合、かなり
森林
の中でも重要なポジション、これは言ってみれば
国土
の二割が
国有林
ですし、
森林面積
のかなりを占めているわけでございます。そして、言うまでもなく、そうした
国有林野事業
というものがさまざま、今も御説明ありましたけれ
ども
、農
山村
地域
の
振興
であるとか、また
国土
の
保全
、そしてまた、言ってみれば
自然環境
の
維持形成
、
木材
の持続的な
供給
ということで、少なくとも七〇年代ぐらいまではそうした
役割
を十分に果たしてきたというふうに私は考えていますけれ
ども
、それ以降、御
承知
のように、
赤字
になって、
ごろごろ坂
を転げ落ちるような
状況
になってきている。 しかし、改めて、さまざまな
林業
の持つ、また
森林
の持つ
機能
に着目したときに、この
国有林野事業
の
再建
ということについては、やはり喫緊、焦眉の
課題
であろうと思うわけでございます。ただ、なかなかそれがまだうまいこといっていない。この
集中改革期間
を見ましても、なかなか厳しい
状況
もあるのではないかと
思い
ますが、少なくとも、問題は、そうしてほっておけば、いわゆるそうした多様な
森林
の持つ
機能
の
発揮
に著しく
支障
を来してしまう、そのことをどうして食いとめるかという、まさに
国民的課題
であるそうした問題についてどう手当てするかという大きな
観点
がやはり必要だと思うのです。 その中で、
採算性
がとれない最大の要因というのは、言ってみれば
木材価格
が下落する一方だということに私は尽きると
思い
ます。そういう
意味
では、
国有林野事業
の
再建
の問題というのは、やはり一番大きなポイントはこの財政問題をどうしていくかだと、私はそこにやはり的が絞られていいんじゃないかと思うのです。 最初、
集中改革期間
に当たって想定されました
長期見通し
、例えば特に
林産物
の
価格
になりますと、やはり当初の
平成
八年度の大体の
価格
で
設定
されていると伺っておりますので、どうも下落する傾向にある。そうなると、やはりこれはなかなか、その
長期見通し
の数値の実現にも
支障
を来すのではないかというふうに素朴に思わざるを得ないわけです。 ですから、せんだって、九八年、
関連法案
の中で
独立採算制
を見直して、
森林
の
公益的機能
の
維持増進
を図っていくために
一般会計
からの
繰り入れ措置
等々も図ることになったわけですけれ
ども
、これから、それ以上に
森林
に対する
国民
の
要請
にこたえる、そしてまた、多面的な
機能
の
増進
、そして
公益的機能
の
発揮
のために、やはり
低迷
する
木材価格
の下支えをすることも必要だと私は考えております。その辺はそれぞれ、農水省さん、
林野庁
さん初め十分御
努力
されていることは
承知
いたしておりますけれ
ども
、新たな財源の
確保
というのは、これはやはり避けて通れない、こういう
意味
では、
国民的理解
を十分得ながら、さらなる
一般会計
からの投入ということをこれからますますやっていかざるを得ないと思うのですけれ
ども
、その点についてはいかがでございますでしょうか。
中須勇雄
5
○
中須政府参考人
ただいま
お話
のありましたとおり、
平成
十年十月に
国有林野事業改革
二法が成立をし、いわゆる
抜本改革
に取り組んでいるという
状況
でございます。 この
抜本改革
に当たっては
幾つ
かの柱を立てているわけでございますが、
一つ
は、
先ほど
から
先生
が
お話
しのとおり、
国有林野事業
についても、力点はやはり、
木材生産
から
森林
の持つ
公益的機能
を重視するというふうに
転換
をするんだ、こういう大きな
目標
の
転換
をする。それに伴いまして、当然、一定の
ルール
のもとで、
一般会計
からの
繰り入れ
を初め
国有林野事業
を
国民
の負担のもとに支えていただく、こういうような大きな仕組みができたわけであります。 確かに、ただいま御
指摘
のとおり、
材価
の
低迷
というふうな事態が続いておりまして、必ずしも当初の
計画どおり
ということでスムーズに進んでいるわけではありませんが、私
ども
、
国民
のさまざまな各層からの
議論
を経て成立した
国有林野
の
抜本改革
の
方向
でございます、石にかじりついてもこれを実現しなければならないということで、さまざまな
努力
をして今取り組んでいるということであります。その一環としては当然、例えば御
指摘
の
一般会計
からの
繰り入れ
という問題については、
基本
的には
改革
の際の
ルール
ができているわけでございますから、それにのっとってやる。しかし、さまざまな知恵を出しながら、そういうものについても充実を図るということを含めて今取り組んでいるところでありまして、私
ども
、最大限の
努力
を今後とも傾注していきたいと思っておりますし、御
支援
もお願いをする次第でございます。
植田至紀
6
○
植田分科員
そもそもが
長期見通し
でございますので、私としては、その
見通し
が外れたからけしからぬという話には余りならないと思うのですよ。短期的な話なら別ですけれ
ども
、やはり実際は、五十年の
見通し
でございますから、その中でのとりあえずは
集中改革期間
ということですから、
見通し
がやはりずれてくることもある、ぶれてくることもある。それはやはり、その時々の
社会状況
、
経済状況
が反映するわけですから、そうしたときは、私は、大所高所に立って、大きな
課題
であるということからしてもやはり遠慮することはないなというふうに思っているところでございます。なかなかそこは全体の
予算
の枠組みの中で厳しいかと
思い
ますけれ
ども
、そうした点で御
努力
を引き続きなさっていただければうれしいなと思っております。 さて、もう一点お伺いいたしたいのですけれ
ども
、今の
地球
全体での
森林資源
ということを考えました場合、今や
はり輸入材
が多いということの問題は、単に国内の
林業
を圧迫しているという問題のみならず、
東南アジア
の木がどんどん伐採されているわけです。そういう
意味
では、要するに
環境資源
としての
森林
というものが、いわゆる
自然力
で再生できないような
状況
に
世界各国
が陥っている
状況
があると思うのです。そして、
日本
もそうした
途上国
の
木材資源
をどんどん入れていることは事実です。そんな中で結局、
日本
の
森林
はそのことによって
林業
が立ち行かなくなって荒廃してしまう、一方で
東南アジア
の
森林
はどんどん伐採されてはげ山になってしまう、そして全体としての
環境
が破壊されてしまうという、非常に悪循環に陥っていると思うのです。 その
意味
で、
先ほど
も申し上げましたように、自国での
木材
の
自給率
を引き上げるということは、単に
産業
ということだけではなくて、
地球規模
の問題という点からしても重要な
課題
だろうと思うのです。特にいわゆる
林業
、
農業
でもそうだと
思い
ますけれ
ども
、
農業
も
産業
です、
林業
も
産業
です、しかし、
産業
であると同時に、その
産業
が持続的にずっと動いているということ、そういうのが常に活発に活動しているということが、全体としての人と自然との
共生
というために大きな
役割
を果たしているということをやはり十分見詰めなければならないのじゃないか、そう思っているわけです。 その
意味
で、これは
森林行政
全体にも言えることですけれ
ども
、そうした
産業
の
部分
と
環境
の
部分
を分けるという発想は実は大きな間違いを犯してしまうのじゃないかと思うのです。その
意味
で、
国有林野事業
も、
木材生産機能
と
環境保全機能
をぶった切ってしまうのじゃなくて、これをやはりきちんと一元的に
管理
していく、そのことが全体としての
産業
の
振興
にもつながりますし、そしてそのことを通して
環境保全機能
がしっかり
発揮
されて、
日本
の
森林
が永続的に守られていくことにつながっていくと思うのです。 その
意味
で、
林野庁
さんとして、やはりそうした二つの
課題
というものを一元的、一体的に
管理経営
をしていく、それを率先して行っていただきたい。そして、それがまた
国民
の
要請
にこたえるべき
課題
であろうと思うわけですけれ
ども
、その点についてお伺いいたしたいと
思い
ます。
中須勇雄
7
○
中須政府参考人
ただいまの
先生
の
お話
、御
指摘
のとおりだろうと
思い
ます。 今回の
国有林野
の
抜本改革
に当たりましては、
先ほど
申しましたように、
森林
の持つ
公益的機能
を十全に
発揮
する、それをやはり第一の大きな
目標
にするという
意味
におきまして、
一つ
は、
国有林
の中を、ゾーニングと言うと大げさでございますが、
森林
の持つ
機能別
に
重点化
を図るということで、
水土保全林
あるいは
国民
との
共生林
、そういったいわゆる
公益的機能
を
発揮
すべき
森林
の割合を八割に
設定
するということで、その趣旨というか、
公益的機能
が十分
発揮
できるような
施業
をやっていくのだということの方針を明らかにしたわけであります。 そういうような区域におきましては、典型的に言えば、いわゆる長伐
期施業
、伐期を
通常
の二倍程度の
長期
に
設定
をして
施業
を進めていく、それから
複層林施業
というふうな形で、一挙にすべて切ってしまうということではなくて、
抜き切り
をしながら複層的な
森林
をつくっていく、
木材
の
生産
を図る、こういうような形での
森林施業
というものに
重点化
しているわけであります。 また、それと同時に、
公益的機能
という
意味
では、
保護林
の
設定
であるとかあるいは緑の回廊の
設定
、こういうようなことを含めて、
野生動植物
の
保護管理
ということにも
十分意
を用いているつもりでございます。 こういった
国有林
の持っている
公益的機能
を十分
発揮
しながら
施業
していく。その中で、やはり
木材供給
という
意味
では、そういった
施業
の中から
木材
が
生産
されてくる、それを
国民
に安定的に
供給
していくということも当然
国有林野
の持っている使命でございますので、それを続ける。特に今、
国有林
では、ヒバであるとか
木曽ヒノキ
であるとか、
民有林
からの
供給
が困難な材もございますので、こういうものを含めまして安定的な
林産物
を
国民
に
供給
する。
公益的機能
の
発揮
ということと
木材生産
ということを有機的に連携させながら、現在
国有林野
の
施業
、
管理
に努めている、こういうふうに私
ども
思っております。
植田至紀
8
○
植田分科員
今おっしゃられたようなことを実際具現化していく
意味
でも、新たな今の
林業基本法
、
策定
中ということでございますが、やはり
国民
の
森林
としての
国有林
の
役割
、
意義
、そして
責務
というものを
基本法
の中でも明示していただければと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
松岡利勝
9
○
松岡
副
大臣
お答えいたします。
先ほど
から
先生
の
お話
をいろいろ伺っておりまして、特に
森林
・
林業
、
木材
とのかかわりの
お話
、非常に感慨深く、感銘深く承ったところでございます。そして、お考えをお聞きしておりまして、全く同感といいますか、そのとおりだ、このように思っております。 特に、
国民
の森という
意味
での位置づけをしっかりしろ、こういう
お話
でございますが、まことにそのとおりでございます。
木材生産
という経済的な
役割
はさることながら、それはそれといたしまして、水の問題にしましても、また災害を防ぐ
国土
保全
の問題にしましても、そしてまた
環境
の維持といいますか、はぐくむことにいたしましても、これは本当に
国民
生活全般と深くかかわり合っている、そのように認識をいたしております。 したがいまして、単なる
国有林
、
国民
の財産ということだけではなくして、そういう深いかかわりの中で、まさに
国民
の森という位置づけをきちっとしていく、そして特に新しい
林業基本法
ではそのことを
基本
理念としてきちんと位置づけていく、
先生
の御
指摘
のとおり私
ども
もそのことを受けとめて、そういう位置づけをしっかりとしてまいりたい、このように思っているところでございます。 また、ひとつ今後ともの御指導をよろしくお願いしたいと
思い
ます。
植田至紀
10
○
植田分科員
ありがとうございます。 では、時間がちょっと押してきましたので……。 いわゆる
林業
の持続的
機能
の
発揮
のために、やはりいろいろな
支援策
というものが必要になってくると
思い
ます。
幾つ
か私は問題意識を持っておるのです。既に、食料・
農業
・農村
基本法
の制定を受けて、直接支払いというのが行われているわけでございます。農
林業
といいましても、当然、
農業
、
林業
のそれぞれの特性もあるわけですから、それがそのままスライドできるというものではないことは十分
承知
しているわけですけれ
ども
、そうした事例も踏まえながら何らかの、そうしたものの
あり方
についてやはり積極的に検討をすべきではないかと思っている一人でございます。 現在も、そうした形でのいわゆる補助金というのが年間かなり計上されていると伺っているのですけれ
ども
、やはりこれからの
森林
の
機能
というものを持続的に
発揮
させるために重要なのは、特に、実際に山間地で
林業
に従事されている
方々
、そういう
方々
にどういうフォローをしていくのか、どういう
支援
をするのか、そういうことが必要なんじゃないのかなと思うわけでございます。林野の
部分
でもこうした工夫の余地は十分あると思うので、前向きにこうした直接支払いの
あり方
について、今の
林業
を取り巻く
状況
を踏まえて、また
林業
の
振興
の
観点
からも、早期にやはりそうしたものを検討して実現を期するということが私は望ましいと思うわけですけれ
ども
、その点についてお伺いいたしたいと
思い
ます。
中須勇雄
11
○
中須政府参考人
ただいまの
お話
に関連いたしましてまず申し上げたいのは、私
ども
、
森林整備
のためにどのような
支援
をしていくかということでは、今、三つ大きな取り組みをしております。
一つ
は間伐という、
森林
の整備の一番
基本
でございますが、これが大変おくれているということで、今年度から間伐の緊急五カ年計画ということで、全国で百五十万ヘクタールの
森林
について間伐を
推進
していく、こういうことで取り組みをしているという点が第一点でございます。 それからもう
一つ
は、来年度の
予算
案にお願いをしているわけでありますが、いわゆる
公益的機能
の
発揮
と
森林資源
の循環利用ということを考えますと、やはり一定の要件を満たす場合に、皆伐をしてしまうのではなくて、
抜き切り
を繰り返しながら複層林を形成していく、私
ども
、
長期
育成循環
施業
というふうに申しておりますが、そういうものを導入していく、こういう形に対して国からのかなり手厚い助成を行いたい、こういうことがございます。 それから三点目には、特に
公益的機能
を
発揮
することを重視すべき保安林の区域においては、いわゆる治山
事業
の中におきまして、
森林整備
ということに実質的に資するものに取り組んでいく。 こういうような三本柱で、
森林
の整備ということに国の助成なり関与という形でその
推進
を図りたいというふうに思っているわけであります。 こういうような
状況
にございますので、ただいま
先生
から御
指摘
ありましたように、いわゆる
農業
の分野で、中山間
地域
について条件不利
地域
への直接支払いということが行われているわけでありますが、
林業
の分野では、ただいま申しましたように、治山とか植林とか造林とか間伐等の
林業生産活動
に対する直接の助成措置が行われているということで、かなり
状況
は違っているわけであります。 しかし、そういう中において、今行っていることだけで
森林
の整備というものが十分進められるのかという点については、私
ども
も、まだなお取り組むべき
課題
が残っている、こういうふうに思っております。そういう
意味
におきましては、さらにこういった
支援
の方策をどう充実させていくかということと同時に、もうちょっと大きな目で言えば、既存
政策
との関連を十分踏まえながら、
森林整備
に要する社会的コストをどうみんなで負担していくのかということについて、十分検討し、成案を得ていきたい、こういうふうな強い気持ちを持って、今検討を進めているところであります。
植田至紀
12
○
植田分科員
いわゆる市場原理で
林業
も動いているわけです。
農業
もそうですけれ
ども
、これまではいろいろな形で
価格
政策
というものがあったわけですが、それが成り立たなくなってきている中で、やはりこうした
産業
への所得
政策
というものの
転換
が必要だということを踏まえていただいて、特に現場への直接支払いというものをしっかり進めていただきたいと
思い
ます。 時間がありませんので、最後に一点だけ。流域
管理
システム、そして、
国民
全体としての
森林
づくり、
国民
のための森づくりという
観点
で最後に御所見をお伺いいたしまして、質問を終えたいと思うわけです。 既に十年前に流域
管理
活性化協議会というものができているわけですが、どうも我々の目からどんな活動をしているのか、なかなか見えてこない。この
機能
強化を図るということが
一つ
重要だと
思い
ます。 そしてまた、今、
森林整備
といいましても、これは森だけの問題ではなくて、上流、下流にわたった
一つ
の流域、この流域ごとにこれはどういう
設定
をするか、いわゆる百五十八の流域に分けるのか、それよりもっと、それにあわせて、経済的な条件、社会的な条件に見合った規模での流域を
設定
して、その中で、
森林整備
から消費地までを対象にした
民有林
、
国有林
一体の計画
施業
支援策
というものをそこで考えていく必要があるのじゃないかと私は思っています。 そういう
意味
で、流域
管理
システムをしっかりと構築していく必要があると
思い
ますし、また、既に、いろいろなボランティアなりを含めまして、下流の
人たち
が、例えば下草刈りとか、そうしたいろいろなボランティア活動もやっておられます。ある
意味
では、これは都市と
山村
との、言ってみれば交流
事業
になってもいると
思い
ます。
北村直人
13
○
北村
主査
植田
君に申し上げます。申し合わせのお時間が過ぎておりますので、御協力をお願いします。
植田至紀
14
○
植田分科員
では、その点だけ、そうした
国民
のための森づくりという点についてだけお伺いして、終わりたいと
思い
ます。
北村直人
15
○
北村
主査
それでは、簡潔に。
中須勇雄
16
○
中須政府参考人
御
指摘
のとおり、いわゆる流域
管理
システム、これは
森林整備
だけにとどまらず、
木材
の
生産
、利用ということも通じて流域単位に
管理
をしていく、大変重要な考え方だということで取り組んでいるわけであります。 先進的な事例もございますけれ
ども
、御
指摘
のとおりまだまだ不十分な点もございます。引き続き我々も
努力
をしていきたいということでありますし、そういう中の一環として、ボランティアによる
森林
の整備、これは単に
森林
の整備ということだけではなくて、森というものに都市の住民が共感を抱いていただく、そういう
意味
でも重要だということで、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと
思い
ます。
北村直人
17
○
北村
主査
これにて
植田至紀
君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
山内
功君。
山内功
18
○
山内
(功)
分科員
民主党の
山内
功でございます。 私の地元鳥取県西部は西
日本
一の白ネギの産地です。しかしながら、中国からの輸入が急増した結果、
価格
が大幅に低落しています。先日も、ネギ
生産
農家の皆さんと懇談する機会を持ちました。今年度の所得は半減している、このままの
価格
が続くと後継者がなくなり廃業状態となる、耕地も荒廃するなどと悲痛な叫びを上げておられます。 鳥取の白ネギは、大阪本場でこれまで
平成
十年の一ケース三キロ千七百七十一円を最高に、悪くても千円を切ることはなかったのですが、
平成
十一年から低落し始め、秋冬ネギは
平成
十二年産は八百円と見込まれています。二月二十七日の時点で見ますと六百十二円、最近はこの水準が続いています。これではとても採算がとれません。中国から入ってくるネギは量販店に持ち込まれてはいますが、余った分は当然市場に回ってまいります。ひどいときには一ケース三十円から五十円になるというデータもございます。そのために国産ネギはこんな単価の水準になっているのです。 セーフガードは、自由貿易を
前提
とした国際
ルール
として当然認められている制度です。一刻も早く発動すべきではないかと思うのですが、
大臣
の所見を伺いたいと
思い
ます。
谷津義男
19
○
谷津国務大臣
野菜の中でネギが非常に多く増加して輸入されているということでございまして、
先生
御案内のように、十二月の二十二日から実態調査といいましょうか、政府の調査をやっているところです。 そのことにつきましては、
先生
も御案内かと
思い
ますが、
生産
者あるいは
生産
者団体、あるいは輸入業者、流通業者、消費者等に質問を出しまして、三月の二十二日までにその質問を取りまとめる、それから四月の二十七日までに意見を聴取するということになっているわけでありまして、この実態調査を的確に把握した上でセーフガードをかけるという
方向
に持っていきたいというふうに思っているところであります。
山内功
20
○
山内
(功)
分科員
報道によりますと、二月の二十二日、
松岡
副
大臣
は三月中の暫定措置について前向きであるかのような報道に接したのですが、報道の具体的な内容をお教えいただけませんでしょうか。
松岡利勝
21
○
松岡
副
大臣
お答えいたします。 取り組み全体としては、ただいま
大臣
が申し上げましたような
方向
でやっておるところでありますが、
先ほど
先生
からも御
指摘
ありましたように、関係者からすれば、また政治、行政の立場の私
ども
といたしましても、一日も早くセーフガードの発動ということに向けて、そういう結果を得ていきたい、こういう
思い
で今調査に取り組んでいるところであります。 そしてまた、最近のネギの事態というのが非常に、現在、目の前で昨年に比べて
価格
が四割もまた落ち込んでおる、そういった事態もございます。したがって、
一つ
の節目として三月というある一定の作業の整理がつくならば、その時点で暫定発動ということも、外国はよく暫定をやるわけでありますから、そういう
意味
で、我が国もそういった
一つ
の整理がつくような結果を得られないか、こういう
思い
を込めて、そしてその結果、要件をある程度整えているというような事態になれば、私はそういった
思い
切った発動に踏み切っていく、こういったことも
一つ
の
方向
としてあり得る、こういう
思い
で今申し上げたわけであります。
山内功
22
○
山内
(功)
分科員
もう一度、重ねて
大臣
にお聞きしたいと
思い
ます。 二月二十七日の閣議後の記者会見で、セーフガードをかけることになると思うととれるような発言が報道されております。暫定措置あるいは本発動につきましての
農林水産大臣
としての前向きな態度だとこちらの方は受け取ってよろしいのか、お願いします。
谷津義男
23
○
谷津国務大臣
二月二十七日の私の発言は、実は、日韓、日中、この二国間の協議とセーフガードとの関係について説明した際に、記者の方から質問がございました。私はこういうふうに申し上げました。二国間の協議は政府調査に何ら影響を与えるものではないということです。ですから、政府調査の結果を踏まえまして、セーフガードの発動の要件に該当するか否かを判断してかけるのであって、その二国間の協議によって、あのときの質問はセーフガードをやめるのじゃないかというような
意味
の質問でありましたから、全くそれは関係なく、九つの項目がありますが、それに該当してくればセーフガードをかけるというようなことを申し上げたわけであります。
山内功
24
○
山内
(功)
分科員
昨年末にネギ、生シイタケ及びイグサの三品目について調査を開始することを三省で決定されました。その関係者からの調査票の提出期限が二月の十三日と決められて、既に経過しておりますけれ
ども
、調査票についての回収
状況
はどうなんでしょうか。
小林芳雄
25
○小林
政府参考人
ネギと畳表につきまして御説明申し上げます。 今
お話
がありましたように、昨年の十二月二十二日の政府調査開始以来、
生産
者から輸入、流通業者、消費者、関係の皆さんに幅広く調査のお願いをしております。その中で、ネギにつきましては六千二百八十通、それから畳表につきましても四千八百六十九通と非常に多くの質問状を送っておりまして、それの回答が今返ってきております。それのチェック、集計作業を順次行っている最中でございまして、そういう
意味
で、この内容の
方向
がどうかということにつきましては、まだ現時点ではお答えできる段階には立ち至っていないということでございます。 一方、回収
状況
そのものでございますが、これにつきまして、かなり回収が進んでおります。特に
生産
者サイドの皆さんは、当然、セーフガードの
要請
を行っておられるという立場もあり、順調に回答が得られている、こういった
状況
でございます。私
ども
としましては、さらにこの回収が進むように
努力
をしていきたい、そういった
状況
でございます。
山内功
26
○
山内
(功)
分科員
外務省の方にお聞きしたいと
思い
ます。 セーフガードの発動を決定する場合の要件として、セーフガード協定第四条二項では、「決定は、調査が、関係産品の輸入の増加と重大な損害又はそのおそれとの間に因果関係が存在することを客観的な証拠に基づいて立証しない限り、行ってはならない。」と規定されております。これは、調査の手法についても客観的なものを求められているという
理解
でよろしいのでしょうか。
本村芳行
27
○本村
政府参考人
お答えいたします。 委員御
指摘
のとおり、WTOのセーフガード協定第四条二項の(b)には、関係産品の輸入の増加と重大な損害等との間に因果関係が存在することを客観的な証拠に基づいて立証しなければならない旨規定してございます。 また、同協定の第四条二項の(a)というのがございまして、ここには、セーフガードに係る調査において、当局は、関係産品の輸入の増加率及び増加量、それから国内市場占拠率並びに販売、
生産
、
生産性
、操業度、損益及び雇用についての水準の変化と同規定に具体的に列挙されているものを含めまして、国内
産業
の状態に関係を有するすべての要因であって客観的なかつ数値化されたものについて評価する旨規定してございます。 お尋ねの調査手法の客観性でございますけれ
ども
、調査手法の客観性につきましては、セーフガード協定上は特段の規定は置かれておらず、どのような調査手法を選択するかは、
基本
的には各国の国内当局の裁量に任されていると考えられます。しかしながら、いかなる手法をとるにいたしましても、冒頭申し上げましたように、関係産品の輸入の増加と重大な損害等との間の因果関係を客観的な証拠に基づいて立証する必要がございます。 また、このセーフガード協定の第三条一というところには、調査に関しまして、輸出者その他の利害関係を有する者による証拠及び自己の見解の提出方法を
確保
するということが規定されておりまして、各国の国内当局がいかなる調査手法をとるにいたしましても、客観的な証拠に基づく立証が行われることを
確保
する趣旨になっております。 以上でございます。
山内功
28
○
山内
(功)
分科員
先ほど
の農水省の説明によりますと、二月十三日までの提出期限に相当程度、調査票が回収できたということをお聞きいたしました。 しかし、例えば、今後の参考のためにもお聞きしたいんですけれ
ども
、
先ほど
の四条二項の関係でお聞きしますと、約六千通の調査票を出して、例えばそれが半分より少ない回収であったというような場合に、そのデータをもとに仮にセーフガードを暫定発動したり本発動した場合には、回収率が低くて客観的なデータとは言えないなどと相手国あるいはWTOから難癖をつけられたりする心配はないのかどうか。その点、教えていただきたいと
思い
ます。
本村芳行
29
○本村
政府参考人
先ほど
も申し上げましたように、調査手法の選択につきましては、
基本
的には各国の国内当局の裁量に任されておりますけれ
ども
、一般論で言いますと、例えば、恣意的な調査手法によりまして客観的な証拠が得られるかについては、あるいは疑問の余地はあるかと
思い
ます。 他方、現在、ネギ、生シイタケ、イグサにつきましては調査が行われていると
承知
しておりますが、私
ども
、詳細につきましては
承知
しておりませんで、何とも申し上げられませんけれ
ども
、調査を行う上では、セーフガード協定の規定、趣旨に従って、客観的な証拠に基づいて立証が行われることを
確保
すべきであることは当然だと
思い
ます。 以上でございます。
山内功
30
○
山内
(功)
分科員
先ほど
、農水
大臣
の御発言では、二国間交渉をやっているからといってセーフガードの発動についてちゅうちょを覚えるようなことはないということでございましたが、それでは、二国間交渉の
現状
及び
見通し
などにつきまして、この三品目につきまして主に韓国、中国とされていると
思い
ますが、その
現状
と
見通し
についてお伺いしたいと
思い
ます。
松岡利勝
31
○
松岡
副
大臣
二国間交渉の
現状
といいますか、経過を含めて申し上げますと、まず、
先生
御
指摘
のような形で、大変な近年の輸入の急増によりまして国内が打撃を受けております。 ここで念のため、ちょっと私、ぜひ御
理解
を得る上で申し上げておきたいと
思い
ますのは、
生産
地がつぶれますと、最終的には、安心で安全な国内の
生産
がなくなって、また消費者の安心、安全も損なわれる、こういったことでございますから、どうしても消費と
生産
というのは一定の安定的な関係がやはり必要である。そういった
意味
で国内の
生産
を守らなきゃならぬ、こういうことでございますが、その国内の
生産
が大変危機に瀕している、場所によってはつぶれかかっておる、こういったような
状況
でございます。 そこで、特に輸入急増のもとであります中国と韓国、この二国に対しまして私
ども
はどのようにこの問題の打開を図っていくか、こういう立場で臨んでいるわけでありますが、韓国の方から昨年の暮れに在日大使館の公使がお見えになりまして、円満な問題解決を図りたい、さらにまた、ことしの一月には韓長官が
谷津
大臣
のもとにおいでになりまして、これは輸出業者を指導して、問題のないような解決を図っていきたい、こういったようなことがございました。それらを受けまして、二月の五日に、実務レベルの協議をということで、ソウルで第一回をやった次第でございます。 中国の方につきましては、二月の六日に、龍永図対外貿易経済合作部の副部長でありますが、
日本
にお見えになりまして、そこで私と会談をいたしまして、これもまた二国間でこの問題の解決を図っていきたい、こういったようなことで一致したところでございます。特に、その場合、龍副部長の方からは、八百億ドルに上る日中の貿易総量の中で野菜は七億ドル程度だ、一%以下のものでもって両国の関係をおかしくしたくない、まさに円満な解決を図りたい、こういうような御趣旨でございました。 そこで、そういったようなお互いの合意を受けまして、事務レベルで、二月の二十、二十一日、北京に参りまして第一回目の事務協議を開催した、こういうことでございます、
現状
は。 そこで、先般、二十三日の夜から二十四日にかけまして、二十四日は土曜日なんですけれ
ども
、韓国は、幸いといいますか、たまたまといいますか、まだ週休二日じゃない。そういうわけで、二十四日の土曜の午前中は向こうの役所があいておるということで、向こうの長官、次官にお会いをしてきたわけであります。 そして、今後に向けましては、ひとつ円満な解決に向けて事務レベルで協議をして、お互い共存共栄が図れるような、そういう範囲の中での取引というか貿易、そういう姿を求めていきたい、そういった
方向
で一致したところであります。 したがって、今後、実務レベルで、需給動向とかそういったことを十分お互いに情報交換し合いながら、円満な解決に向けて
努力
をしてまいりたい、こういったような
方向
で今進めておるところでございます。 それと、
先ほど
大臣
が申しましたように、それとセーフガードの発動とは、それはそれ、これはこれ、こういった形で、今鋭意、両方とも進めておるところであります。
山内功
32
○
山内
(功)
分科員
ありがとうございました。 仮にセーフガードを発動しても、発動期間は原則四年以内、延長しても最大八年でございます。しかも、定期的、段階的に措置のレベルを下げていかなければなりません。その間に、当然国際競争力をつけるしかないのですが、そのため、
生産
者は構造
改革
、自己
努力
が求められてくると
思い
ます。国としても、食料
自給率
向上
の
観点
から最大の
支援
をしていただきたいと思うのです。各
地方公共団体
とか各種団体からの発動についての意見書もたくさん来ております。 最後に、どのように考えていただけるのか、答弁をいただきたいと
思い
ます。
金田英行
33
○金田
大臣
政務官 野菜の
自給率
というのは、現在八四%が自給できているわけでございます。そういった
意味
で、従来は、野菜というのは国内の産地間の競争というような形で行われてきた。ところが、輸送技術だとか保冷技術だとか、そういったものの発達によって、近年、本当に大変な野菜の輸入が出てきたわけでありまして、去年の十一月三十日に緊急野菜対策というのを実施させていただきました。 そしてまた、その時点で、今までは相手の不幸は私の幸せだというような国内間の競争だった、しかし、様相はさま変わりになっているというような形で、野菜の
価格
安定制度、そういったものについて見直していかなきゃならないなという認識を持っております。 いろいろな対策を講じさせていただいておりますけれ
ども
、そういった制度そのものを、これから海外の輸出攻勢に対応できるような形の中で、制度の
改革
に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
山内功
34
○
山内
(功)
分科員
どうもありがとうございました。 続きまして、昨年、本庄工区の干陸の問題がテーマとなりましたけれ
ども
、それに関連した
事業
といたしまして、中海淡水化
事業
の問題がございます。 この
事業
を中止する場合の手続については、今後どうなるのか、教えていただきたいと
思い
ます。
木下寛之
35
○木下
政府参考人
お答えいたします。 国営中海土地改良
事業
、干拓
事業
と干拓附帯の
農業
用用排水
事業
の二つの
事業
になっているわけでございまして、淡水化は両
事業
にまたがる工事でございます。したがいまして、仮に淡水化を中止するという場合には計画変更の手続が必要でございます。 まず、干拓
事業
につきましては、土地改良法に基づきまして、県知事への協議、専門技術者の意見聴取を得た上で、また
農業
用用排水
事業
につきましては、県知事の協議、それから三条資格者の三分の二以上の同意、それから専門技術者の意見聴取を得た上で、変更計画を決定するという運びになります。
山内功
36
○
山内
(功)
分科員
弓浜半島
地域
は慢性的な水不足に悩まされております。弓浜、彦名の両干拓地は暫定水源のために
農業
用水の十分な
確保
ができておりません。 鳥取県では、農家の要望を受けて当該
地域
の恒久水源の
確保
に向けて検討を始めているところですが、国においても恒久水源
確保
のための調査に協力をいただきたいと考えています。どう考えておられるのでしょうか。
谷津義男
37
○
谷津国務大臣
先生
すべて御存じだからそういうふうに御質問だろうと思うのですが、実は私、公共
事業
の抜本見直しの座長としまして、現地に二度ほど調査のために入らせていただきました。そして、今おっしゃいましたように
農業
用水が非常に枯渇をしている現況にあるということで、あそこは出雲平野というのでしょうか、あそこなんかは水を還流させている、そういう装置も見させていただきました。 そういう中で、どうしても
農業
用水の
確保
というのは各地におきまして要望が強いものでございます。ですから、そういった面につきましては、島根県あるいは鳥取県ともよく協議をいたしまして、この
確保
のために全力を挙げていきたいというふうに思っているところであります。
山内功
38
○
山内
(功)
分科員
さらに、現在淡水化
事業
のために設置されました中浦閘門で働く六十余名の
労働者
の皆さんが、淡水化
事業
が中止され、もし水門が撤去された場合には、職を失うことになってしまいます。国策の失敗による失職という事態になるとするならば、新たな雇用についても、やはり国も最大限の配慮をしてあげるべきじゃないかと考えます。 そういう皆さんと一緒に、昨年の十二月に農水省にも陳情に伺いました。その場で、当時の構造改善局長も、国が知らないという話にはならないという発言もいただきましたが、
大臣
からその点についての決意を伺いたいと
思い
ます。
谷津義男
39
○
谷津国務大臣
そのときにも、両県の知事から私
ども
にもいろいろとその面についての話がございました。 そういう中で、中浦水門の取り扱いについては、淡水化を中止するということがまだ決まっておるわけではございませんので、私
ども
ではそういったことの今後のことの云々というのはここではっきり申し上げることはできないわけでありますけれ
ども
、仮に淡水化が中止になりまして、その後、中浦水門の取り扱いを検討する場合には、私は、この
地域
にとって不可欠な道路としても利用されているということの経緯や、今後どのような
役割
を果たし得るかということも十分に踏まえまして、県ともしっかりと相談をしていきたいというふうに思っておるところであります。
山内功
40
○
山内
(功)
分科員
日本
の
農業
、そして雇用を守るために、
大臣
の力を存分に
発揮
して、今後とも頑張っていただきたいという願いを込めて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
北村直人
41
○
北村
主査
これにて
山内
功君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
津川
祥吾
君。
津川祥吾
42
○
津川
分科員
民主党の
津川
祥吾
でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 私は、昨年の夏の衆議院選挙で当選をさせていただきまして、まだ一回生でございますが、実は昨年来
農林水産
委員会の方に所属をさせていただきました。 多くの
議論
に私自身も勉強させていただきながら参加をさせていただいたわけでありますが、実は、
農林水産
の分野の中で、残念ながら、
農業
についての
議論
はなるほど盛んにはございますが、水
産業
あるいは
林業
についての
議論
がどうも私としては不足しているのではないかな。昨年半年だけですから、あるいは今
国会
からは水産あるいは
林業
に関しての
議論
も活発にしていただけるのかなというふうには
思い
ますが、そういった感覚がございますので、特にきょうは林野行政に絞って質問をさせていただきたいと
思い
ます。 まず、
大臣
にお伺いしたいわけでありますが、まさにちょうど新しい二十一
世紀
に入って、
日本
における林政あるいは
森林
・
林業
を取り巻く
状況
、こういったものをどのように認識されていらっしゃるのか。 特に、昨年の暮れに
農林水産
省の方から
林政改革大綱
及び林政
改革
プログラムというものが発表されたというふうに思っておりますが、その概要も含めて、改めて
大臣
の御見解、あるいは中
長期
的な
政策
方針についてお伺いをしたいと
思い
ます。
谷津義男
43
○
谷津国務大臣
先生
御
指摘
のとおり、今
林業
の
採算性
が非常に悪くなっているものですから、そういった面では、
林業生産活動
が停滞をしております。それがために、
森林
の持つ多様な
機能
が
発揮
し得ない、そういうふうな危惧もされているところであります。 これがために、今
お話
がありましたとおり、昨年に決定しました
林政改革大綱
とプログラムに基づきまして、従来の
木材生産
を主体とした考え方から根本的に変えさせていただきまして、
森林
の多様な
機能
の持続的
発揮
を図ることを目的とする
政策
に
転換
したいというふうに考えておるところでございまして、それがために、
林業基本法
の
改正
を本
国会
に提出したいということを考えておるところであります。
津川祥吾
44
○
津川
分科員
ありがとうございます。 今
大臣
の
お話
の中にございましたが、
林業基本法
の
改正
法案
、提出を予定されているというふうに伺っておりますが、この法律の
改正
案の概要ですとか骨子ですとか、そういったものがもし具体的に決まっている
部分
があれば、できれば御説明をいただきたいと
思い
ます。
谷津義男
45
○
谷津国務大臣
具体的に申し上げますと、まず
森林整備
の
方向
を明確化して、
機能
に応じた
森林施業
の
推進
及び
事業
の
重点化
、それから
地域林業
の
担い手
の育成、
確保
と受託による
施業
、
経営
の
集約化
、それから
関係省庁
との連携による
山村
の
定住条件
の
整備等
の
施策
を展開していきたいと思っております。
津川祥吾
46
○
津川
分科員
ありがとうございました。 そこで、
平成
十三年度の
予算
でありますが、今
お話
をいただきましたような
大臣
の所信にございましたように、
政策
の抜本的な
方向
の
転換
、見直しというものがこの
予算
の中でも当然なされているかと思われますが、この十三年度
予算
の中でどのような
部分
が具体的に変わったのかということについて、十三年度
予算
の中の
林野庁
予算
にかかわる
部分
の特徴をお示しいただけますでしょうか。
中須勇雄
47
○
中須政府参考人
ただいま
大臣
から申し上げましたとおり、私
ども
、林政
改革
に取り組むということで、
基本
はやはり
森林
の持っている多面的な
機能
というものを持続的に
発揮
できる体制、それをどうつくっていくかということが最大のポイントだというふうに考えております。したがいまして、十三年度の
予算
案におきましても、こうした分野について
施策
の充実を図るということを
基本
に編成に当たったということであります。 具体的には、
先ほど
申しました、多様な
機能
の持続的
発揮
のためにどう
森林
を整備していくかということでは、新しい考え方として、
長期
育成循環
施業
というふうに名づけておりますけれ
ども
、
森林
の持っている
公益的機能
を持続的に
発揮
する、そして
森林
を循環的に利用していく、こういう形を促進するために、従来から行われておりました画一的な、皆伐というふうに言っておりますが、一斉に全部切ってしまう、そういうやり方にかえて、いわゆる
抜き切り
を繰り返しながら徐々に更新を図っていく、幼齢木から高齢木まで、多様な世代の
森林
というか、そういうものをつくり上げていく、こういう
施業
を
推進
しようというものを大きな
一つ
の柱にしております。 それからもう
一つ
は、これは今年度から取り組んでいるわけでありますが、
森林整備
という点で大変おくれております間伐を緊急に促進をしたいということで、全国百五十万ヘクタールというものを対象にして、五年間で間伐を進めていく、これを開始しております。十三年度はその二年度目に当たるということで、この緊急間伐総合対策の充実ということでの取り組みが第二のポイントであります。 それから三番目は、公的関与による
森林整備
というふうに申しておりますが、特に
発揮
すべき
公益的機能
が強い保安林等に指定されている
森林
でございますが、そこにおいて多様な
機能
が低下をしているというものを緊急に整備する、そういう
意味
で、保安林について、治山
事業
による本数調整伐であるとか、あるいは各種の
森林整備
というものを進めていきたい、これを三つ目の柱にしておるわけでございます。 それからもう
一つ
、ちょっと
森林整備
ということではないわけでありますが、現在、我が国の
木材価格
が
低迷
をしているその
一つ
の要因として、外材との間で、乾燥の程度が違うということで、それが
価格
というか競争力の点で劣っている、こういう動向が、事象がある程度顕著にあらわれつつあります。そのために、今、緊急に乾燥材の
供給
体制を整備するということで、そういう
事業
に新たに約二十四億投入するとか、そういったところを
重点
事項として
予算
案の編成に当たったところでございます。
津川祥吾
48
○
津川
分科員
ありがとうございました。 実は私
ども
の民主党の中にも
農林水産
部会というものがございました。このたび党内の組織の見直しがございまして、それまで別組織でありました
環境
部会というものと統合いたしまして、
環境
・
農林水産
部会というものに変わりました。
農林水産
と
環境
というものは特に密接な関係がある問題が多いということで、私
ども
の発想の中にそういったものがあったわけでございますが、今言っていただいたような
予算
案あるいは
大臣
の所見というものは、まさしく私
ども
と問題意識あるいはその考え方を同一にするものであるなというふうに感じているところでございます。その
改革
の
方向
性は高く評価をさせていただきたいと
思い
ますが、また、さらに実効性のある
政策
を早急にとっていただきたいというふうに
思い
ます。 ただ、若干、
現状
認識につきまして、私自身、私見でございますが、私と
大臣
を初め
皆様方
との違いがあるのかなというふうに思うところがございますので、
幾つ
か質問させていただきます。
先ほど
お話
の中にもございましたが、持続可能な
林業
経営
の
推進
ですとか、あるいは
林業
の
振興
、あるいは
木材産業
の
振興
という
お話
がございます。この
木材産業
というのは当然
国産材
ということだと
思い
ますが、ただ、私は、この
林業
というものは、国内は実はかなり危機的な
状況
にある。端的に申せば、何が危機的かと申しますと、
採算性
の悪化であり、
担い手
不足であるというふうに言えるかと
思い
ますが、その危険の度合いがかなり深刻ではないか。 例えば、
振興
というよりも、もう復興と表現しなければならないほど重要なところまでいってしまっている。あるいは、持続可能というよりも、もう既に崩壊しつつある
林業
をどうやって立て直すのか、そういった視点に立たなければならないのではないかというふうに
思い
ます。 この
平成
十三年度
予算
を見せていただいても、確かに政府の危機感というものは伝わってまいります。ただ、まだまだ足りないのではないかというふうに考えているところでございますが、この
林業
の危機感というものについて、
大臣
にちょっともう一度お伺いしたいと
思い
ますが、どうでしょうか。
谷津義男
49
○
谷津国務大臣
今
先生
おっしゃるとおり、非常に
生産
も停滞しておる、
先生
の御
指摘
のように、
価格
の問題というのは大きな要因の
一つ
になっているだろうというふうに思っているわけであります。 しかしながら、一方で、今
環境
の
お話
をなされたけれ
ども
、
日本
の
国土
の六八%は
森林
でございまして、ついこの間、COP6の会議が十一月ですか、ハーグで行われました。このときに、御案内のとおりこのシンクの問題が出てまいりまして、このとき
日本
の提案よりも、その後むしろ三・五ぐらいの吸収能力というふうなものを、どうも決まりそうになったんですが、
環境
大臣
に
お話
を聞きますと、あと一日あればそれが決まったというようなことをおっしゃっておったわけでありますが、この五月か六月にまたこれが開かれるということになってまいりました。そうなってまいりますと、私は、多分その三・五というのがあるいは
確保
されるのではなかろうかなというふうに思うんです。 御案内のとおり、一九九〇年のマイナス六%というのが京都の会議のときに決められたわけでありますけれ
ども
、これは一方では、一九九〇年から今日までには既に一〇%近くもオーバーしているわけでありますから、それにマイナス六ということになると一五、六%削減をしなきゃならぬという、これは大変重いことになってくるだろうというふうに思うんです。 そういう中で、六%のうちの三・五%が
森林
で吸収源として認められるということになりますと、これは大きな
森林
の持つ
機能
というのが認識をされるわけでありますから、そういった面で、今
先生
のおっしゃった
環境
との関係というのが、まさに
地球
温暖化の問題で大きくクローズアップされてくるわけでありまして、そういった面でしっかりとその辺のところをやっていかなきゃならぬ。しかし、この吸収源を完全に
機能
を
発揮
させるためには、やはり下刈りをやるとか間伐をやるとか、こういうことは非常に大事な要素にもなってくるわけでありますから、そういった面にはしっかりと
予算
措置もしていかなければならない。 また、もう
一つ
は、私はこれから多分決められるであろうというふうに思う
環境
税といいますか、炭素税といいますか、そういうものがあったときに、私は、その税の中から相当
部分
がこういう
森林
の
保全
のためにも使われてくるんではなかろうか、使うことができるんではないかというふうな期待もしているわけでありまして、そういう中から、私は非常に厳しい
状況
にあるものを打開していきたいというふうにも考えているところであります。
津川祥吾
50
○
津川
分科員
ありがとうございました。 私が直接林家の方ですとか
林業
の現場の
方々
にお伺いした限りでは、
先ほど
述べたように、この
林業
の危機感というものは他の、例えば
農業
ですとか水
産業
、品目によってはかなり厳しいところがございますが、そういったものに比べても、さらに一段強い危機感をお持ちであるというふうに私は肌で感じるところでございますから、あえて強調させていただいたわけでございます。 今
価格
の
お話
がございましたが、特に
国産材
の
価格
が下落をしている。輸入材に比べて特にここ数年
国産材
の方が安い
状況
になってしまっているというふうになってございますが、その
状況
についてどのように分析をされていらっしゃるか、その見解をいただきたいと
思い
ます。
中須勇雄
51
○
中須政府参考人
我が国の
木材
の
価格
の
状況
でございますが、大量に輸入される外材との競争のもとにあるという
意味
において、近年、
価格
低下が著しいというのが率直な実情だろうというふうに思っております。 ただ、その中で、今
先生
御
指摘
がありましたように、外材よりもさらに安いというふうな
部分
があるのではないかという御
指摘
だろうと
思い
ます。もちろん
木材価格
というのは、それぞれの樹種だとか長さだとかあるいはその径、大きさとか、そういうことによって異なるという
意味
において、なかなか単純な比較というのは難しいわけでありますけれ
ども
、我が国の最も代表的な樹種である杉ということで申しますと、いわゆる杉の正角、それとほぼ匹敵するというか、輸入の米ツガ材、そしてまた集成材、これは主としてヨーロッパから輸入される材を原料にしている集成材ということでありますが、例えばこの三つの
価格
を比較してみますと、我が国の杉が一立米当たり四万六千四百円、米ツガですと四万九千二百円、集成材でございますと五万二千五百円、こういうような数字になっているということでありまして、杉が他の材に比較してやや低位にあるのではないか、こういうような実態がございます。 この原因としましてはいろいろなことがあり得るわけでありますが、
一つ
は、
先ほど
もちょっと触れましたように、我が国の特に杉につきましては、乾燥の程度、含有水分量がかなり高いということで、未乾燥な状態であるということだとかなり買いたたかれる、こういうことがございます。特に、住宅の品質加工法が施行されて、十年間瑕疵担保責任というか、そういうものが追及されるという
状況
でございまして、そういう傾向が強まっているというのが
現状
だろうと
思い
ます。そういうことを含めまして、そういう品質面の問題がありましょう。 それからもう
一つ
は、どの段階での
価格
かということによりますが、我が国の国内
生産
される材というものが、量とか、品質というか、なかなかそろわない。それに対して外国材は、大量に運ばれてきて港において貯留されているという形で、使いやすさといいましょうか、そういうことが総合的に反映されてこういう
価格
になっているのではないかというふうに思われます。 そういう
意味
では、流通とか取引の改善ということも重要でありますし、何よりも品質という点では、乾燥材、特に杉についてでありますが、しっかりとした乾燥過程を経て優良な材として出荷をしていく、これが重要だというふうに考えております。
津川祥吾
52
○
津川
分科員
ただ、一般的に、例えば農産物とか工業製品で申しますと、国産品というのは高い、輸入品は安い、そういう傾向がございまして、だからこそ国際競争市場において厳しい戦いを強いられている。しかし、そんな中で、
木材
に関しては
国産材
の方が安いにもかかわらず国際競争力がないのはなぜか。
先ほど
おっしゃったように、ロットの問題とか品質の問題は確かにあるかと
思い
ますが、実は私は、現在の
国産材価格
の
低迷
というのは、マーケットそのものが崩壊しつつあるということを示しているのではないかなというふうに判断をしております。 一般的には、教科書的で恐縮でございますが、需要が減って
価格
が下がれば、
供給
も減少し
価格
が戻る。あるいは需要がふえて
価格
が上がれば、
供給
も増加してまた
価格
が戻る。そういったことによりまして需要と
供給
のバランスがとれることになるわけでありますが、
木材
市場の場合は、仮に需要がふえて
価格
が上がったとしても、すぐに増産できるわけではないというように、
供給
側の
価格
弾力性の低さという特徴がございます。 また、
供給
過剰により
価格
が下がることも市場では当然ございますが、いきなり
国産材
の
供給
が過剰になって下がったわけではないということから判断すれば、現在の
価格
低迷
というのは、
国産材
の
供給
側の問題というよりも、むしろ需要そのものが減少しているのではないかというふうに私は判断をいたします。 厳密な分析は省略いたしますが、したがって、
林業
の
振興
ですとかあるいは
担い手
云々ということももちろん重要でありますが、
国産材
のマーケットそのものに対して直接何らかの働きかけをする必要があるのではないかというふうに考えますが、
大臣
、そういった御決断はいただけますでしょうか。
中須勇雄
53
○
中須政府参考人
御
指摘
のとおり、我が国の
国産材
が置かれている
状況
というのは、片方で、実に調整可能な外材というものが需要に応じて幾らでも入ってくるし、あるいは量を減らすこともできる。そういう中にさらされているわけでありまして、やはり
基本
的に、私
ども
、
国産材
の市場、どういうところに
国産材
のしっかりとした需要をつくっていくか、これが重要だというのは御
指摘
のとおりだろうというふうに思っております。 そのために、もちろん、まず政府、隗より始めよということではございませんが、私
ども
自体が
国産材
を積極的に使っていくということと同時に、政府部内でも
木材需要
拡大のための政府の連絡会議というものをつくっておりまして、各省庁のさまざまな調達、政府調達の分野におきまして、
地域
材、
木材
というものを積極的に活用していただく、そういう取り組みをしているところであります。 昨日もこの場で
お話
し申し上げたわけでありますが、例えば、学校の校舎にその
地域
の材を使っていただくとか、あるいは、最近私
ども
も随分手広くやっているわけでありますが、各種の治山工事とか林道の
事業
、こういう中で、土どめとかそういうものに間伐材を使っていく、そういうことを含めて、
地域
の
木材
というものを積極的に有効に活用していく、しっかりとしたマーケットをつくっていく、大変大きな
課題
として今取り組んでいるつもりでございます。
津川祥吾
54
○
津川
分科員
確かに、マーケットに直接てこ入れをするといっても、
価格
をそのまま直接操作するには大変な弊害がございますから、今おっしゃったような
方向
になるのかなと
思い
ますが、実はそれだけではなくて、例えば、これからいろいろ
議論
も必要なものになるかと
思い
ますが、国内の建築物に関して
国産材
比率を定めて徹底させるとか、あるいは、そこまでしないにしても
国産材
比率を明示させる、そういったことを義務化させるということもあるいは消費者の選択というところで大きく影響してくるのではないかなというふうに
思い
ますので、できればそういった具体的な方法も考えていただきたいと
思い
ます。 ただ、もう一方の手法がございまして、ある
意味
では完全にマーケットに任せるというやり方でございます。 もちろん、
先ほど
私が述べたような認識に近いような
状況
であるとするならば、
国産材
市場というのは崩壊をする。つまり、極論ですが、マーケットに任せるということは、国内の
林業
をあきらめる。しかし、
森林
の持つ多様な公益性を維持するために、国の
予算
により国が責任を持って
管理
するという手法が一方であるのか。
国民
が
森林
から享受をする公益性の大きさから考えれば、
先ほど
大臣
の
お話
の中にもございましたが、
環境
税あるいは炭素税といったものを使って
森林
を整備、
管理
するということに対して納税者の同意は得られるのではないかなというふうに私は考えているところでございます。 こうして
森林
の適切な維持さえもし保証できるのであるならば、後々
国産材
市場が仮に復活した場合でも、それに対応することが可能です。そして何よりも、
森林
の維持
管理
をする
担い手
を間接的であれ国が雇用するということになるならば、
森林
を維持
管理
する技術、
担い手
というものの技術が断絶することを防止できるというメリットもあるのかなというふうに
思い
ます。 この方法は必ずしもべストではないかもしれませんが、実は、冒頭御説明をいただきました
大臣
のお考えあるいは今後の方針というのは、どちらかというと、こちらに近いのではないかなというふうに私は判断をしております。なるべく
林業
の復興といいましょうか、これからの維持、継続的に
発展
することを目指す、サポートするという
お話
がございましたが、もしそれができないのであるならば国がそれを直接サポートするという
お話
がございますから、どちらかというと、こちらに近いのかなというふうに
思い
ます。 私はそういうふうに判断していますが、それでよろしいでしょうか。ちょっと御確認をしたいのですが、どうでしょうか。
中須勇雄
55
○
中須政府参考人
純粋に理屈の上では
先生
御
指摘
のような考え方があり得るということ自体はわかりますが、やはり
森林
が本来持っている多様な
機能
というものを十全に
発揮
する
意味
でも、どうしても整備というか、手入れは欠かせません。そういう活動の中から必然的に一定量の
木材
というものは
生産
されるわけでありまして、それを
国民
が使っていくということは、いわゆる文化とかそういうことを含めて極めて自然の姿であって、そのことを放棄するというのはやはり私
ども
として忍びないというか、適切な方法ではないのではないかというふうに
思い
ます。 そういう
意味
において、今、
林業
の
現状
はかなりのサポートが必要だということは紛れもないわけでありますが、だからといって、
林業
活動というものをあきらめてしまうということではなくて、やはり正常な
林業
活動が行われ、一定の
木材
が出てくる、その
木材
をやはり
国民
が使っていく、そういう形を実現するためにどうサポートしていけばいいのか、こういう考え方でやはり取り組むべきだというのが私
ども
の今
基本
的な考え方でございます。
津川祥吾
56
○
津川
分科員
恐らくそういうお答えをされるだろうなというふうには
思い
ました。 確かに、私は別に、
林業
を全く放棄して、
国産材
を全く出さないというわけでは当然ございませんが、いわゆるマーケット、市場によってそれを維持できないのであるならば、言ってみれば公共
事業
のような形で出す、そのものに対して有効利用するのは当然でありますが、目的としては、
森林
の
保全
というものに十分にしっかりとシフトした方がかえってよいのではないか。 例えば、今のお考えの中でお伺いしたいのですが、今のような
お話
の中で、果たしてどうやって
担い手
を
確保
することができるのか、どのような具体的な
政策
をお持ちか、お答えいただきたいと
思い
ます。
中須勇雄
57
○
中須政府参考人
今、
林業
の
担い手
の
確保
という
意味
では二つの
方向
があろうかと
思い
ます。
一つ
は、やはりある程度規模の大きい
林業
経営
というものを育てていく、こういうことがもともとの本筋の話として
一つ
ございますし、ただ、それがさまざまな困難に直面しているという中で、特に今後追求していかなければならないのは、
一つ
の
事業
体が
森林
の
施業
ということを多くの所有者から委託を受けて、その方が、専門的にというか集中して、でき得れば大きな団地の中でそういう
施業
が行える、そういう体制をつくって
担い手
として育成をしていく、そういう二つの大きな道があろうかと
思い
ます。
幾つ
か典型的な例というか、具体的な例もあるわけでございますが、例えば、愛知県のある林家の
お話
を聞きましたら、御本人自体は二十六ヘクタール程度の山林を持っているにすぎないわけでありますけれ
ども
、その方お一人なのですけれ
ども
、周辺の多くの
森林
所有者から
森林
の
施業
を任されて、いわゆる間伐だとかそういうものに取り組んでいる。そういう過程で、お一人で、
林業
所得でいって年間約五百万、所得を上げておられる。そういうふうな例もございます。 そういう形で、所有者が、その所有者単位で
林業
経営
をやっていくということだけではなくて、もっと幅広い多くの、特に不在村の山林所有者もふえております。そういう
方々
から委託を受けて、効率的な、団地的な
森林施業
を行っていく、そういう姿をぜひ
確保
していきたいというのが
一つ
のこれからの大きな
方向
ではないかというふうに思っております。
津川祥吾
58
○
津川
分科員
林業
経営
の大規模化ということで今具体的な例を
一つ
挙げていただきました。確かに私もそういった方の
お話
を伺っておりますが、ただ、そういった方が一人しかいらっしゃらない。その方がもしやめるときにはどうするのですか。 それから、
事業
体でやるという
お話
もございましたが、林家であろうが、個人であろうが、
事業
体であろうが、もうからない限りマーケットというのは
機能
しないわけですよ。そこで、マーケットにもうかるように直接てこ入れをするか、あるいは完全な公共
事業
として国が
管理
する以外に、私は活路は見い出せないと思うわけです。 それから、こう言うとおしかりをいただくかもしれませんが、やはり余り悠長なことは言っていられない。この
担い手
の問題を
お話
ししますと、決断が若干でもおくれますと、仮に一時的であったとしても、
先ほど
述べました技術的な断絶というものが起こる危険性があるし、しかも、その危険性といいましょうか、その断絶が起こる時期というものがかなり近くにまで迫ってきているのではないかというふうに
思い
ます。 ですから、ぜひこれは早い段階での御決断をいただきたいと
思い
ますが、
大臣
、いかがでしょうか。
谷津義男
59
○
谷津国務大臣
確かに、今
お話
のありましたとおり、そういう危惧される面があるわけでありますから、それには万全を期していきたいと思っております。
津川祥吾
60
○
津川
分科員
ぜひよろしくお願いしたいと
思い
ます。 もう時間がありませんから、最後に一言申し上げますが、実は、私の地元の話でございますが、静岡県の中部でして、大井川流域でございます。大井川流域というのは、御存じのとおり、かつて
林業
が盛んで、今まで
お話
をしておりましたとおり、同様にかなり厳しい
状況
でございます。ただ、その中で、地元でいろいろと復興のための
努力
をしていきたいという
お話
が出てきております。
先ほど
、社民党の
植田
議員からも
お話
がございましたが、流域連携の
お話
も当然この
地域
でもやっております。それから、財源
確保
のために、例えば下流域の水道に一円上乗せをする、あるいは、
先ほど
の税金の
お話
というものも検討しているようであります。 それに加えまして、今言いました
担い手
の
確保
というのはまさに可及的速やかに緊急的に行わなければならない問題ですが、それプラス、子供の教育の一環で、
森林
の
役割
ですとかあるいは重要性を
理解
してもらうために、下流域の子供たちに上流に来てもらって、言ってみれば体験学習のようなものをしてもらったらどうかという
お話
も出ております。 つまり、中
長期
的に見れば、
林業
というものは一代だけでできるものではございません。ぜひ将来の
担い手
というものの育成についても、
先ほど
関係省庁
との連携ということがございましたが、文部科学省等とも連携をして、ぜひ農水省としても積極的に取り組んでいただきたい、それをお願い申し上げますが、
大臣
、いかがでしょう。
谷津義男
61
○
谷津国務大臣
その件につきましては、もう大分前から文部科学省とも相談をしておりまして、今積極的にそういうふうなものを進めていくという
方向
でいろいろ対応しているところであります。
津川祥吾
62
○
津川
分科員
ありがとうございました。終わります。
北村直人
63
○
北村
主査
これにて
津川
祥吾
君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
山田
正彦
君。
山田正彦
64
○
山田
(正)
分科員
自由党の
山田
正彦
でございます。 農水
大臣
にお聞きしたいと
思い
ますが、先般、
予算委員会
の一般質問で、途中で終わりましたけれ
ども
、
大臣
として、いわゆるセーフガードをすぐに、暫定措置を適用するについては九種類についての調査が終わっていない、だから、という意向でした。私は、あの後、暫定的なセーフガード措置の条文をもう一回読ませていただきましたが、この協定に関する限りでは、ただ、
生産
者に対して重大な損害を与えるおそれがある場合と書いているだけですから、条約上は。 ともあれ、いわゆる今の輸入の動向の指数、例えば先月の分、これはもうきょうでもすぐにわかっているはずですから、それと、いわゆる市場の
価格
の動向、何カ月分か、それもすぐ、今にでもわかるはずですから、そういったたぐいを見れば、暫定措置、いわゆる緊急措置、それはすぐにでもできるのじゃないか。 あとはこれ以上言っても
議論
になりますので、ひとつぜひお願いいたします。
谷津義男
65
○
谷津国務大臣
今、三月二十二日までに、資料というのでしょうか、それを取りそろえているところであります。そういった中で、仮にこの暫定措置をかけられるとするならば、もう今の資料の中で、当然そういうふうな損害が明らかに与えられるという
状況
が出てくるおそれが出てきた場合には、暫定措置がかけられます。ですから、できるだけ早く可能な限り私はやるつもりでいます。
山田正彦
66
○
山田
(正)
分科員
実は私は、ちょうど五年前の二十二日ですね、農水委員会で野菜のセーフガードを聞いております。そのときに、ニンジンの話とシイタケの話を聞いているのですね。今になって、私、データを見てみましたら、当時シイタケが、一九九三年に一万五千トンしか輸入されていなかったのです。ところが、その翌年には二万四千トン、そして、今や三万一千トンぐらい輸入されております。あのとき、私が質問した九六年、私も激しく迫ったのです、なぜシイタケをやらないのかと。それを農水省はやらなかった。そして、結果どうなったかといったら、対馬ではほとんどの人がシイタケ栽培をやめてしまいました。調べてみればわかります。いわゆる全滅に近い状態に陥ったのです。そして、ニンジンとかカブ等も、そのころ急激に輸入が進んでおります。それもそのまま放置されております。タマネギもしかり。 こうして見ますと、アスパラとか、本当にセーフガードとして適用しなければならない品目というのはまだまだ数多くあります。
大臣
、そういったことも十分調べて、そしてそれだけの措置を早急にお願いしたい。二度とこの前のようなことは、私が五年前に聞いた、そのとき何の対応もできなかった、その責任は大きい、これは十分に自覚していただきたい、そう思っております。
谷津義男
67
○
谷津国務大臣
ですから、
先生
、今私
ども
は監視対象にしておりまして、それでこのセーフガードのかけられるような要件が出てきた場合においては、直ちに財務省あるいは経済
産業
省と相談しまして、そこでセーフガードをかけられるような調査に入るというふうに準備をいつもしているわけであります。
山田正彦
68
○
山田
(正)
分科員
野菜のことはそれでいいのですが、実は漁業関係も、私は野菜農家も漁業の
生産
者もよく回っているのですが、今大変な
状況
にありまして、御
承知
かと
思い
ますが、もう輸入の魚が市場にあふれている。 長崎の例でいいますと、長崎の魚市場は、漁師の皆さん方が言っているのは、長崎魚市場そのものが中国の支店ではないかと。中国から七割も八割も輸入の魚が来て、それを売っている。その中で、どんどん魚の値崩れがしてきて、実際、かつての十年前の大体半値ぐらいになっている。これは全部平均してです、私が正確に統計をとっているわけではありませんが。漁師の皆さんがおっしゃっているのでは、そういう話なんだと。それでやっていけるわけがないじゃないか、そういうのが実情です。 当然、魚についてもいわゆるセーフガード、これについて、一応モニタリング品目にカツオとかワカメとかウナギとかを入れてもらったようですが、それだけではなく、今どんどん入ってくる輸入のものがまだまだありますので、次回、時間があったら少し丁寧に私も聞いてみたいと
思い
ますが、ぜひ検討をいただきたい、そう
思い
ます。 それより、実は私はけさ、ちょっと対馬の方に電話してみたのですが、一体イカは今どれくらいしているのかと聞いたら、きょう現在、キロ当たり二百円を割っているのではないかという
状況
です。かつて私が行っていたとき、漁船に乗り込んでイカをとっていた連中が、今はもうかなりやめてきている。それも、いわゆるもう老齢化して漁業をやめるとかいうものではなく、まだ若いけれ
ども
、イカをとっても値がしないからやめていっている。昨年か一昨年でしたか、豊漁だったのですが、そのときにも大変な輸入量、約十一万トン近い輸入量が来ている。これは御
承知
のとおり、輸入貿易
管理
令では、イカ、アジ、サバとかタラとかニシンとか、いわゆる輸入割り当て制になっていますね。その輸入割り当て制というものはどういうものなんでしょうか。
谷津義男
69
○
谷津国務大臣
このIQにつきましては、WTOの基準の中で我が国だけがとっている措置でございます。これは周辺の漁場のいわゆる大変な枯渇等もございまして、もしこのIQをなくすということになりますと、中国を初め韓国等の漁船がもう一斉にそれをとり出しまして、ますます資源が枯渇をしてくるということから、輸入を、ある
意味
では制限といいましょうか、そういうものを踏まえるために、IQ制度をとっているわけでございまして、この件は、何といっても周辺のいわゆる漁場が枯渇するのを避けなければならぬということから、我が国はそういう措置をとっているところでございます。
山田正彦
70
○
山田
(正)
分科員
IQ措置、輸入割り当て制をとっているということは、いわゆる資源
保護
と、そして今言った、それでどんどん輸入されたのでは、周辺の漁民の皆さん方が漁業をやっていけなくなるという趣旨もあるわけですね。
谷津義男
71
○
谷津国務大臣
それは国内の漁場、漁民を守るというふうなものは暗黙の中にあるわけでありますけれ
ども
、それを余りにもばんと出していきますと、WTOの方でまた
指摘
をされる。そのことを今既にEUあたりから強く
指摘
をされていまして、これをなくせ、なくせと今言われておりますので、それをここでは申し上げられませんが、腹の中ではそういうことがあるということであります。
山田正彦
72
○
山田
(正)
分科員
いわゆる、今言われました輸入割り当て制というのは、原則として、私
ども
が調べた限り、貿易
管理
令その他の条文等でも、いわゆる不足分を自由に輸入するのではなくて、水産庁、あるいは、これは最終的には通産省、輸入割り当てですから通産省になるかと
思い
ますが、不足分だけをいわゆる輸入割り当てするんだ、そう解していいわけですよね。そうでないかどうか、そこだけをはっきりさせてもらえれば、それがそうでないということであったら、私もこれは徹底的に闘いますから。
谷津義男
73
○
谷津国務大臣
実はそこが今大
議論
になっているところでありまして、ですから、IQの本当の話は、とにかく資源の枯渇を防ぐというふうな形から、もしIQをなくしますと、他国の船が
日本
近海においてもじゃんじゃんとるわけでありますから、そうなると資源が枯渇される。それをみんな
日本
に持ち込んでくるということになりますものですから、
日本
に持ち込むことを
前提
にとっている国が圧倒的に多いわけでありますから、それを防がなければならぬということでIQの制度をとっているわけであります。 ですから、今の
お話
のように、不足分を入れるのだということだけに限定して話をしますと、また、WTOの中でいろいろな問題を起こしてきます。実は今、一番私
ども
が懸念しているのは、
林業
の林と水産の水というのは鉱工品と同じ扱いにされているのですよ。そういう中で、今度のWTOにおいて我々が提案をしようとしているのは、この問題についてはどこまでもIQを守るということが、私
ども
の大きなテーマの
一つ
でございますので、その辺のところは御
理解
いただきたいと思うのです。
山田正彦
74
○
山田
(正)
分科員
どうも
大臣
の発言ははっきりしないのですが、暗にという言い方をされましたが、ただはっきりと答えてもらえばいいのですよ。当然、資源
保護
という形はあると
思い
ます。ただ、IQというのは、自由に入れていってもいいものではないのだ。水産庁と経済
産業
省が認めた分だけ、逆に言えば水産庁がいいという分だけ入れていく、入れていく場合は国内で不足分だけを入れるんだ。そうかそうでないか。例えば今EUでいろいろな問題が出されているとかは別ですよ。それはその次に聞いていきますから。それは、僕は
平成
八年に当時の農水
大臣
からきちんと聞いているのです。ここにあるのですよ、その資料は。どうぞ、答えてください。
大臣
に、私はきょうはお答えいただきたい。
谷津義男
75
○
谷津国務大臣
私
ども
は今そのことで、IQの問題で、正直言うと、闘っていると言ってはなんですけれ
ども
、
日本
一国になってしまって、韓国なんかはもうIQをやめてしまったものですから、そういったことでやっているもので……
山田正彦
76
○
山田
(正)
分科員
私の質問に答えておりません。私の質問は、いわゆる不足分だけ輸入できる、そうなっているのかなっていないのかと聞いているので、EUで守るとか守らないとかという問題ではないのです。
北村直人
77
○
北村
主査
それでは、条約なり、あれですから、水産庁川本次長から説明を受けます。(
山田
(正)
分科員
「いやいや、
大臣
に聞いているんでしょう」と呼ぶ) では、
谷津
農林水産大臣
。
谷津義男
78
○
谷津国務大臣
零細な漁業者の
保護
も含まれているということは間違いのない事実なんですよ、それは。ですけれ
ども
、では、必要なものだけしか入れないのだというふうなことを言えということになりますと、これはもっと違う面で考えなきゃならぬ点であります。
山田正彦
79
○
山田
(正)
分科員
これはいつまで話していてもこれ以上進まないようですので、この件についてはまた改めて、前のときの議事録も含めて、いろいろ調べて
お話
ししようと
思い
ますが、EUから言われるからとてもじゃないけれ
ども
今はそれを守れないのだ、そういう趣旨かのように聞こえますけれ
ども
。今現在、
日本
の漁業者は、けさ私が電話したけれ
ども
、イカ釣り漁業者、これはイカ釣りだけじゃないと思うのですが、今ほとんどの漁業者というのは食べられなくなってきている。これを守るのが農水省であり、水産庁であり、農水
大臣
である、それを本気でよく考えてもらいたい、そう思っております。
谷津義男
80
○
谷津国務大臣
それは
先生
、十分に認識しております。
山田正彦
81
○
山田
(正)
分科員
先ほど
お話
がありました
林業
、今、
日本
の
林業
は、御
承知
のとおり北海道から九州までほとんど壊滅に近い
状況
じゃないか、ほとんど食べられなくなってきているという
状況
は、
農業
より、漁業より深刻だと
思い
ます。
林業
、
木材
の輸入、これは昭和四十七年ぐらいから急激に入ってきているようですが、今や遅きに失したという感はあるのですが、それについて
大臣
の所見をお伺いします。
谷津義男
82
○
谷津国務大臣
林業
の問題でありますけれ
ども
、
先生
御案内のとおり、今、
林業
生産
は非常に停滞をしております。これは、非常な安価というふうなこともございまして、そういう
状況
にあるのですが、それを踏まえまして、今までやっておりました
林業基本法
の法律を一部
改正
させていただきまして、今度は、そういった面で
森林
の持つ
機能
が
発揮
をできるような、そういうふうに大
転換
をさせていただくわけであります。そういう中で、
林業
の位置づけもしっかりやっていきたいというふうに考えているところであります。
山田正彦
83
○
山田
(正)
分科員
農水
産業
の中で、真珠についてちょっと
大臣
に
お話
ししたいと思うのです。 実は真珠は、長崎県とか愛媛とか三重とか、
日本
ではその辺で大きく
生産
しているところです。特に長崎県は、今まで、対馬を中心としてかなり幅広くやってまいりました。言ってみれば、対馬の
地域
のいわゆる主たる漁業というか、真珠だけで今もっている、そういう
事業
だと考えていただければいいと思うのです。 ところが、実はことしの二月の入札、二月の十七日からだったと思うのですが、当時私も対馬におりまして、入札のときにちょうど居合わせたわけですが、大変な暴落といいますか、なかなか売れない。その中で実は、昨年度の売り上げが三十八億だったのが、ことしはざっと二十二億、いわゆる四割減という
状況
に陥りました。 その結果、私が聞いたところでは、もう三軒の真珠養殖業者が廃業する。そして、九十
幾つ
か業者がいるんですが、約十軒ぐらいが縮小する。私もよく回るのでわかるのですが、大体、
一つ
の真珠養殖業者が七、八人ぐらいは雇っているわけなんです。そういった
人たち
が全部、廃業すれば解雇される。縮小すれば解雇される。これは大きな
地域
の問題になってきているわけです。 なぜこのようになったのか。今、水産庁も県も、私が
状況
を尋ねますと、どうしてこうなったかということを調査中であるというふうに言っております。 確かに、そうでありましょう。ただ、私が地元の真珠業者から聞く限りでは、中国産の六ミリ玉がどんどん入ってきて、今や、今度の対馬の市場では、いわゆる真珠の競り市場みたいなのがあるのですが、大手の田崎さんとかいろいろなところが買いに来て、ここの半分ぐらいの大きさのところで競りをやっています。私も二、三回見に行ったことがありますが、そこでの話ですと、六ミリ玉がほとんど売れなかった、それでこんなになってしまった。地元の業者の話だと、中国産の輸入によるものじゃないか、そう言われておりますが、
大臣
はどうお考えですか。
谷津義男
84
○
谷津国務大臣
真珠は、我が国にとりましては重要な輸出品目であります。最近五年間でも、数字を見ますと、順調な伸びを示しておるということであります。一方、我が国に輸入される真珠というのは、私
ども
が調べました資料では、一九九六年以来大きな変動がないというふうになっているところであります。 ですから、そういった面で、中国産が今大量に入ってきておるということでございますが、六ミリ玉というのは、私はちょっとその辺のところはわからないのですけれ
ども
、六ミリ玉というのは一番ポピュラーなというのでしょうか、そういうふうに
理解
させていただくとするならば、それが大きな打撃を受けているということであるならば、私
ども
、しっかりとその辺のところは調査をさせていただきまして、後日報告をさせていただきたいと
思い
ます。
山田正彦
85
○
山田
(正)
分科員
これは私の手元の資料では、第一回の対馬の入札会ですが、一番多いのは七ミリ玉、その次が六ミリ玉ですね。ほとんど変わらない。もっと下の五ミリ玉というのはあるのですが、いわゆる主力が七ミリ、六ミリと思えばいいと思うのですね。それがほとんど、安値かあるいは売れ行きがなかった。 私の方で、真珠の主要国別輸入実績というのを見せていただきました。これによりますと、中国からの輸入が九八年から始まっております。この統計では、例えば加工品、真珠製品も入っておりますので、真珠の玉そのものがどれだけかということはわかりませんが、そういう
状況
でかなり入ってきている、入りつつあるという現実を認識して、ワカメとかカツオ同様、真珠も、場合によったら監視品目として、モニタリング品目として、ひとつ御検討いただければと
思い
ます。
谷津義男
86
○
谷津国務大臣
先ほど
申しましたとおり、真珠の輸入というのが、一九九六年が三万七千九百六十二キログラム、それから二〇〇〇年で三万七千九百三十キログラムと、実は総体的には大きな変動をしていないのですね。したがって、現時点では、真珠をセーフガードの監視品目に加える
状況
にはない
状況
でありますが、今
先生
の御
指摘
は非常に重要でありますから、再度、私
ども
で調査をさせていただきたいと
思い
ます。
山田正彦
87
○
山田
(正)
分科員
漁業の問題で、二百海里、いわゆるEEZ内での漁業というのが、日中、そして韓国との間に一応取り決めができてきた。ところが、中国との間の協定の中において、対馬とか壱岐とか五島の十二海里まで、まき網、底びき船が二百隻とか百五十隻とか入れるような協定になっている。御
承知
ですね。 今、沿岸漁民が一番困っているのは、国内のまき網業者が三マイル、五マイル、九マイルというところまでとってくる。例えば一本釣りでブリとかヨコワとか、クロマグロの子なんかをとっているのに、網でどっとやられて、そしてその次の日から一匹も釣れなくなる。 おとといも私に電話があったのですが、まき網が入ってきたら、もうあしたから食べられなくなる、今自分たちが釣っているところにまき網が来ている、どうしようもない、もう自分たちが実力でまき網の船に突っ込もうか、それでよろしいかと私に電話があるわけです。法治国家ですから、私としては、弁護士でもあって、そんなことをしていいと言うわけにはいきません。しかし、その彼らの真剣さというのは、これはひしひしとわかるわけです。 国内のまき網の問題もまだまだいろいろありますけれ
ども
、これ以上申し上げるつもりはありませんが、それよりも、ことし一月から中国のまき網漁船がまさに雲霞のごとく入ってきたら一体どうなるんだと。沿岸漁民は全く漁ができなくなる、食べられなくなる。なぜこのような、いわゆる対馬沖と五島沖と壱岐沖だけがこういう犠牲になったのか、その交渉のいきさつをお聞きしたいと
思い
ます。
谷津義男
88
○
谷津国務大臣
これは昨年の日中漁業交渉のことをおっしゃっているのではないかと思うのですけれ
ども
、我が国の水域における資源の
確保
と我が国の漁船の操業の安定を図るために、最も影響が大きいのは中国の底びきというように言われているわけでありまして、その規制に
重点
を置いたということが事実であります。 その後、中国のまき網漁船については、二〇〇一年には一定の操業を認めることにしたことを今御
指摘
なさっているんだろうというふうに思うわけであります。 二〇〇一年の中国まき網漁船の漁獲割り当て量や操業期間等につきましては、二〇〇一年の双方の水域における操業条件交渉の中で協議しておりますけれ
ども
、いまだ合意に至っておりません。そして、現在のところ、中国のまき網漁船は我が国の水域で操業をすることは、いわゆる漁業をやることはできないということになっておりまして、今後とも協議に当たっては、我が国の漁業者の意向を踏まえまして、適切に処理していかなければならないというふうに考えております。
山田正彦
89
○
山田
(正)
分科員
大臣
に私が聞きたいのは、本来二百海里は、我々の領海である二百海里、EEZ内は、対馬とか壱岐とかその周辺、五島沖でもそうですが、沿岸の皆さんの生活の場であり、そこで魚をとる。その場に大型の中国の底びき、まき網が二百隻も百五十隻も入ってくるということはどういうことを
意味
するか。 私が聞きたいのは、なぜそういう条約を結んだのか。これは漁民は全くだれも知らなかったのです。漁協も知らなかったのです、そういう条約になったのは。そのいきさつを、当時私は議席を外しておりましたのでよくわからないのですが、
谷津
大臣
は御存じじゃないか。それを少し説明いただきたい。
谷津義男
90
○
谷津国務大臣
ただいま申し上げましたとおり、中国の底びき漁船の規制に
重点
を置いたということは御案内のとおりです。 ですから、今のところ、日中漁業交渉につきましては、連続で七回やっているのですけれ
ども
、まだ合意に達していない。合意されない間は操業は行えないということになっていますが、それが入ってきているということですね。
山田正彦
91
○
山田
(正)
分科員
いや、そうではない。それが交渉中であって、まだ妥結していないから入ってきていないということは、私は何度も確認いたしております。 私が聞きたいのは、なぜ、対馬とか五島とか壱岐沖だけ、漁民に何の相談もなく十二海里内にいわゆる中国漁船を、底びき、まき網を入れることにしたのか。
大臣
の話では、中国の底びき、そういったものを入れないようにしようと思って漁業交渉はやってきたんだと。ところが、現に、対馬とか壱岐とか、その十二海里のところまで入ってくるという条約になっているわけでしょう。そんなばかなことはないでしょう。なぜこういう条約をしたのか、そのいきさつ。私はいろいろ聞いております。
谷津義男
92
○
谷津国務大臣
経緯のことですから、任に当たった者に答弁させますけれ
ども
、よろしいでしょうか。(
山田
(正)
分科員
「はい」と呼ぶ)
川本省自
93
○川本
政府参考人
お答え申し上げます。 これは、日中の新しい協定に関しましては長年の懸案でございまして、当然、我が国の漁船も中国側に入るわけでございますし、それから当然中国側の漁船も我が国のEEZ水域に入るということがございまして、双方のバランスをとりながら、そういう形で協定を結んだということでございます。
山田正彦
94
○
山田
(正)
分科員
では、同様に川本次長にお聞きします。 我が国の漁船が中国の沿岸に入る、
日本
のまき網が中国の沿岸で操業する、では、中国のまき網が
日本
の沿岸でも操業することを認めろという趣旨であるかと今お聞きいたしましたが、もしそうであったら、これは大変大事なことですが、
日本
のまき網が中国の沿岸での操業を放棄するとなったら、当然、中国も対馬とか壱岐とか五島沖での操業をやめるということができるわけですか。
川本省自
95
○川本
政府参考人
これはまだ仮定の問題と申しますか、そういう、
日本
のまき網業界が中国のEEZ水域の中で操業する必要なしというふうな意思を今のところ表明したことはございませんので、それは何とも申しがたいと
思い
ます。 それで、恐らく、それはやはり全体のバランスの中でございましょうから、そういう交渉の場でやってみないと、こっちがこっちだからこっちはこっちだという、非常にストレートな話にはならないのじゃないかと思っております。
北村直人
96
○
北村
主査
山田
分科員
に申し上げますが、申し合わせの時間が過ぎておりますので、御協力をお願いします。
谷津義男
97
○
谷津国務大臣
一点だけ。 今の
先生
の
お話
というのは十分にわかりましたから、これから交渉がまだ続いていくわけでありますから、そういう面はこの交渉の中で、きちっと地元の要望も踏まえて、しっかりと交渉していきたいと
思い
ます。
山田正彦
98
○
山田
(正)
分科員
時間が過ぎたのに大変申しわけないのですが、実は
大臣
に、MHLC……
北村直人
99
○
北村
主査
山田
分科員
に申し上げますが、時間が過ぎておりますので、やめてください。皆さんこの三十分の中できちっとやっておりますので、ひとつ御協力をお願いします。
山田正彦
100
○
山田
(正)
分科員
それでは、
大臣
、ぜひそのMHLCについても御配慮をお願いします。また改めて質問の機会を持ちたいと思っております。
北村直人
101
○
北村
主査
これにて
山田
正彦
君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
渡辺
周君。
渡辺周
102
○
渡辺
(周)
分科員
民主党の
渡辺
周でございます。 私は、三十分の質問時間の中で、諫早湾の干拓から有明海のノリ問題に至るまでのこの一連の、またきのうきょうまでのことも含めまして、
谷津
大臣
に御質問をしたい、ここへ立たせていただいたわけでございます。 まず、昨日、福岡県の有明海漁連、百三十名ほどの方が農水省で
大臣
と面会をされたということでございます。ノリの色落ちの問題から、さまざまな漁民の
方々
が、原因は諫早湾の干拓
事業
にある。いわゆる四年前、もう四年になりますが、ギロチンが諫早湾を締め切って以来、赤潮の発生でありますとか、あるいはアサリの激減でありますとか、そういった
幾つ
かの影響が出てきた。その中で、今回、まさに生活の糧でもありますノリ漁業者の
方々
には大変な問題が今ここでこうして起きたわけであります。 この面会を受けて、
大臣
は、決して皆さんを見殺しにはしないというようなことをおっしゃられたわけでございまして、そういう
意味
では、大変な今回の問題の
現状
を、昨日、漁業者の
方々
とどんな話し合いがされたのか、まずその点についてお尋ねをしたいと
思い
ます。
谷津義男
103
○
谷津国務大臣
きのうの
要請
は、まず、工事の中止をして、それから水門をあけてくれということが一点です。それから、有明海の海を、宝の海と言われている海でございますから、それをまた、調査をしっかりやって、宝の海のようなそういうものに戻してほしいという旨の
要請
でございました。 その中で、工事を中止してくれ、そして水門をあけてくれというふうな
要請
がございました。これにつきましては、第三者委員会があす開かれるわけでございますから、そこで、調査のために水門をあける必要があるということであるならば、私は、その水門もあけて調査をしていただきます、そしてもう
一つ
は、工事を中断して調査をしたいということであるならば、その工事も中断をして、そして調査に当たってほしいというようなことを申し上げたわけであります。 ただ、この問題につきましては、
先生
も御案内かと
思い
ますが、長崎県の方は、水門をあけてはならぬ、それから工事は中止してはならぬ、これは何回も注意、要望が来ているわけであります。ですから、第三者委員会の方でそういうふうに、水門をあけて調査したい、あるいはまた工事も中断をして調査をしたいということであるならば、私は直ちに長崎県に行きまして、そこで了解をとらなければならぬということがございますものですから、そういう旨の回答をさせていただきました。
渡辺周
104
○
渡辺
(周)
分科員
今大変お悩みだとは思うんです。例えば、昨日、上京してこられた
方々
が福岡県の有明海漁連、そしてまた佐賀県の方からも、大変なこうした問題について、何かきょうですか、二日、上京をされて……(
谷津国務大臣
「もう来ています」と呼ぶ)そうですか、ということだというふうに伺っておりまして、大分、テレビ等で報道されましても、工事の中止を求めて実力行動をとっていらっしゃる
方々
、それから農政局の中に、責任者とのやりとり、かなり厳しいやりとりがあったということも報道されております。 そんな中で、
大臣
、この第三者委員会、ある
意味
では、この干拓
事業
に慎重派の学者も入れて、予断を入れずにこの委員会の委員を入れるべきだということを発言された旨も聞いております。きょうおいでの農水副
大臣
の
松岡
副
大臣
が、かつて自民党の農林部会長をやっていらっしゃったときに、自民党がある限りは水門をあけないというようなことをかつてはおっしゃっていたわけでありますが、そのときを思うと、大変にある
意味
では柔軟に前進をされているんじゃないか。一部そういう報道も、大変肯定的にとらえているところもございました。 そんな中で、昨日、その後、有明海漁連の
方々
が自民党本部に行かれて、自民党本部の古賀幹事長に会われた。これは報道の引用でございますので、これが事実かどうかちょっと確認したいわけでありますけれ
ども
、古賀幹事長は、あす開かれるこの第三者委員会の最初の会合で干拓工事の中止と水門開放を決めていただきたいということを言ったということが報道されているわけでありますね。 農水省の第三者委員会に対して古賀幹事長がこういう形で発言をされているということ、これはけさの朝日新聞でございます。報道を引用して申しわけないんですが、これが事実かどうかわかりませんが、「三日の委員会で水門開放と工事中断を了承してもらう」、与党の幹事長という実力者がこういうことを発言された、言及されたということは、ある
意味
ではかなり権限を越えた発言だと私は思うわけでありますけれ
ども
、この幹事長の発言ということが、この第三者委員会、あした会合があるということですが、どういう影響を与えるのかな、まずその点についてお尋ねをしたいと
思い
ます。
谷津義男
105
○
谷津国務大臣
実は、これにはちょっと
前提
があるんです。私も
松岡
副
大臣
も一緒に出ていたのでありますが、実はその中に、第三者委員会の委員に、荒牧さん、来られて
要請
をされた方が実際その委員に入っているんです。ですから、その荒牧さんに対しましても、あなたは委員なんだから、その場で中断あるいは水門を開くことをあなたから提案してくれということを実は申し上げました、はっきり申し上げまして。 そういうふうなことで、この委員は、我が省で選んだんじゃありません、四県の推薦あるいは漁業団体等の推薦を受けて委員というのを構成しておりますから、そういうわけで各漁連の会長さんが四名入っておるわけであります。そういった
方々
が、長崎を除いては水門をあけろということを多分申し上げると
思い
ますし、私は、荒牧さんはこれだけ
要請
しているんだから、あなたはそういうことを委員会で申し上げてくれということも実は逆にお願いをしたぐらいであります。 そういう中で、水門をあけて調査ということになるということを多分古賀幹事長は聞いたんではなかろうかというふうに
思い
ます。そういうことでああいう発言になったんだろうというふうに
思い
まして、何も権限を越えていろいろ差し出をしているというふうなことではございません。
松岡利勝
106
○
松岡
副
大臣
今
渡辺
先生
御
指摘
の点でありますが、自民党の幹事長の立場でそういうことを言うのは、権限を越えた、ある
意味
では圧力的なことじゃないかというような御
指摘
かと
思い
ます。 実は古賀幹事長は、この有明海ノリ不作問題の自由民主党の、我が党の対策本部の本部長でございまして、そういうお立場、それから与党三党でこの問題に取り組む立場も、これは両方兼ねておられまして、そういったお立場で、自分としての希望なり、
あり方
についての気持ちをおっしゃった、こういうことだと
思い
ますので、決して権限を越えてとかそういったことではないというふうに私
ども
は思っております。 〔
主査
退席、谷川
主査
代理着席〕
渡辺周
107
○
渡辺
(周)
分科員
もちろん、ある
意味
では、政治主導という我々が求めている
一つ
の
政策
決定、意思決定のシステムの中で、政治家が
一つ
の決断を下してその
方向
に持っていくということは、私は決して否定して言っているわけじゃございませんが、この第三者委員会があした開かれるとなって、第一回目の会合でも直ちにということであるのならば、今
お話
がありました諫早湾内のたしか四漁協の
方々
は、例えばもし水門をあけるようなことになれば、堤防の外側のところの
方々
は恐らく大変なダメージを受けるであろう。あるいは、いわゆる言われているような防災目的だということを
前提
にするのであれば、肝心かなめの地元は反対している。 もっと言っちゃうと、なぜ福岡県や佐賀県の方から言われて、最も自分たち、いろいろな漁業補償を受けて、漁協を解散したりしながらこの
事業
を認めてきた
方々
にすると、ある
意味
では納得がいかないんじゃないだろうかと思うわけですね。もっと言えば、諫早漁協の
方々
も、これから恐らく、どういう形で被害をこうむるのかわかりませんが、そういうことが出てくるわけです。それでもある
意味
で意思決定というのは、多数決で決められるのかどうかわかりませんが、あす、もしそういうことになれば、どのような形で御判断、その意思決定のプロセスはどうなるのか、教えていただきたいと
思い
ます。
谷津義男
108
○
谷津国務大臣
私は、調査をするのに多数決ということはないときのうも申し上げたわけなんです。というのは、いろいろな研究をなされている学者の
先生
もいらっしゃいます。それから、肌身であそこの
状況
を知っておる、そういう漁民の代表者の方もいるわけであります。ですから、その中で、いろいろな専門の立場から、水門をあけて、そして潮流とか何かを調べてみたいというふうな意向があるならば、私はそれを多数決で決定するとは、委員会の中ではないというふうに思うんです。そうすれば、私は、当然調査をしなければならぬというふうに考えているわけであります。 一方、今
お話
がありましたように、長崎県の方たちはこれに強く反対をしていることも事実でございます。ですから、第三者委員会でそういうふうに決められた場合においては、私は早速長崎に行きまして、その実情も
お話
を申し上げまして、その調査にぜひ協力をしてもらいたいということでのお願いもしなければならぬというふうに考えているところであります。
渡辺周
109
○
渡辺
(周)
分科員
多数決で、例えば十五人の委員で八対七で決まるとか、九対六で決まるとか、そういうことではないと。今の答弁を聞いていまして、この
議論
の中でそういう意見が、漁連の荒牧さんですか、この方も委員で入っていらっしゃるということであるならば、我々としては、水門をあけるということが恐らく結果として、あけて調査をすべきだということが出てくるんだろうというふうに認識をするわけであります。 そういうことで私は
理解
をするわけでありますが、私
ども
はこれまでも、この排水門をあけて、今でもあけて、当然、干満差を利用してこの堤防内部のものを排出しているわけです。例えば、海水を入れて干潟を
保全
すればと、当初、四年前、たしか旧民主党
時代
のときでございましたが、何度か現地に行きまして、何度もこの
議論
を学者の方も入れて我々も考えてきたときに、排水門をあけるということが非常に構造的に無理なんだということが実は言われました。といいますのは、非常に狭いこの排水門をあけることによって、潮の流れというものは大変速いから、構造的にまず耐えられないのじゃないのかということが
一つ
言われたわけであります。 それからもう
一つ
は、そもそも
農業
、農地造成ということを
前提
にやっているわけでありますから、調整池が淡水化しているものが海水を入れてしまったら、そもそもの
事業
目的からして変わってしまうというようなことが理由にあった。常時開放しないまでも海水を入れながら、干潟を
保全
しながらこの諫早湾の問題は時間をかけて
議論
するべきだということは、我々はずっと言ってきたわけであります。 それを考えますと、今回、では、この第三者委員会で排水門をあけるんだということになった場合、まず
一つ
には、今進めている淡水化
事業
がどうなるのか。それともう
一つ
は、構造的にどういう、当初から
皆様方
が、特に農水省の
方々
がかたくなにできない理由として挙げてこられたこの問題を考えたときに、整合性というか矛盾が起きると思うのですけれ
ども
、その点についていかがですか。
松岡利勝
110
○
松岡
副
大臣
お答え申し上げます。
先生
、今までの経過はよく御存じのとおりで、今御
指摘
のあったとおりかと
思い
ます。そういう
状況
の中で、私
ども
、ベストとして望ましい姿としては、あそこは、とにかく大水害、災害から守っていく、まさに防災干拓としてこれはやろうということになって、そしてあわせて農地も造成、こういうことになったわけであります。
先生
の御
指摘
のように、構造上の問題もあり、また農地との関連もあり、そしてまた大水害が後背地から出てきたときには、それは当然のことながら一定の洗面器みたいな形で受け皿にしておいて、そこで受けとめる、こういったこともあって、今日まで説明をしてまいったようなことで位置づけておったわけでありますが、今回は、とにかく有明海の漁業全体また漁民の
皆様方
が大変な被害を受けておられる、そして有明海全体の問題としてこれをとらえなきゃならぬ。 そこで、我々としては、それでは、構造上の問題も踏まえながら、また農地との関係も踏まえながらも、徹底した調査のために、今言いましたような可能な限り最大限の対応をしていくということの全体的な兼ね合わせの中でこれは決断をしよう、こういうことでございまして、第三者委員会と言われます調査委員会でその
方向
が出れば、そこは即座に、
大臣
として決断をして、長崎県の
皆様方
に御納得をいただくような、そういう御協力をいただいて、そういう
努力
をしてやっていく、こういうことでございます。今はそういうような、まさに大所高所からそういう判断に立った。そして、今いろいろシミュレーションもある程度やっております。そういう中で、堤防の構造上の問題等を十分踏まえた上で最大限の対応をする、こういうことであります。
木下寛之
111
○木下
政府参考人
私の方から、技術上の問題につきまして補足をいたしたいというふうに思っております。
先生
御案内のとおり、ゲートは調整池の中から外に排水をするという構造になっているわけでございます。したがいまして、外から中に海水を入れる場合には、ゲートの底面の形状から、ゲートがその過程で振動する可能性があるというふうに思っているわけでございまして、その振動によりまして、ゲートにつきましては二本のワイヤで上下をさせているという
状況
にございますので、その振動がワイヤの振動につながる可能性があるということでございますので、そういうふうな振動も十分監視をしながら操作する必要があるというふうに考えております。
渡辺周
112
○
渡辺
(周)
分科員
それは、構造上のことでは可能だというふうに考えていいのでしょうか。当初は堤防の構造上、耐えられないのじゃないかという話がございましたが、それでは、まずあけるということを
前提
に考えれば、それは可能であるということですね。 それともう
一つ
、さっきまだお答えいただいていないのですが、淡水化してきたところに海水を入れたら、そもそもの
事業
の根底自体が変わってしまうのじゃないか、根底から崩れるのじゃないかと思うわけですが、その点はどうなっているのですか。
木下寛之
113
○木下
政府参考人
先ほど
のゲートの開閉の問題でございますけれ
ども
、私
ども
、可能かどうかということにつきましては、申し上げましたように中から外に出すという構造でございます。したがいまして、外から中に入れる場合には、上下する過程で振動が起こり得る。その振動によりまして、水門をつり上げているワイヤに予測できないような影響を与えるかどうかについては懸念をしているところでございます。いずれにいたしましても、どの程度の振動が起こるかということにつきまして常時監視をしながら、一定の振動の範囲内にとどめるような工夫もしながら、水門の開閉につきまして検討をする必要があるだろうというふうに思っております。 したがいまして、繰り返しになりますけれ
ども
、中から外に出す場合には、そのような振動がないわけでございますので、そのような常時の監視体制というのは不必要だろうというふうに思っております。 それから、淡水化の問題でございます。現在、相当程度、淡水化が進んでおるわけでございまして、私
ども
、その淡水の水につきまして
農業
用水にも利用していきたいというふうに考えているところでございます。したがいまして、
先生
御
指摘
のように、今回調査で海水を入れました場合には、そのような淡水化の過程がもう一回ある程度、どの程度もとに戻るのかということにつきましては期間なり量によりまして予測がつきませんけれ
ども
、淡水化そのものにつきましては時間がまたかかるだろうというふうに予測をいたしております。
渡辺周
114
○
渡辺
(周)
分科員
となりますと、今のゲートの問題については、懸念があるけれ
ども
、常時監視しながらその振動に耐えられる、どれぐらいのスピードであけていくのかわかりませんが、やっていくということで、何とかその懸念はクリアされるのかな。懸念はしながらもやれるということと
理解
しました。 それで、予測はつかないけれ
ども
と、今もう
一つ
ございましたけれ
ども
、この淡水化です。そうしますと、せっかくここまで淡水化をしてきた、それで海水を入れる。それによってどういう結果が、どれぐらいの時間がかかって調査結果が出てくるのかちょっとわからないわけでありますが、これは実際、
事業
自体がまたかなりおくれるのではないのかなというふうに私
ども
は当然考えるわけです。
事業
自体が一度ひょっとしたら根底から変わるということで、例えば昨日ちょっと農水省の方から聞いたところでは、もう既に営農を希望する方が、予想される干拓地面積を上回るほど希望者が来ているということであります。しかし、
事業
自体はかなりおくれるわけでありますね。しかも、
平成
十三年度
予算
では、たしかこの内部堤防と農地の造成に百億円の
予算
がついているかと
思い
ますが、そうしますと、この
予算
の執行というものがどうなるのか、その点について。
松岡利勝
115
○
松岡
副
大臣
私
ども
、諫早湾のこの干拓を当初の目的どおりの、ほかに問題がない形で進めるときは、堤防も排水門もあけずに、そして淡水化も一番早い形で、そして農地もつくれていく、こういうことを思っておったわけでありますが、一方に大変な有明海全体の大問題、こういったことが起きたわけでありますから、この構造上の問題、危険性の問題等も、今
先生
も御
理解
いただきましたように、すべてそれを最大限の範囲でクリアできる、監視しながらとおっしゃっていただきましたが、全くそのとおりでありますが、そういう形で最大限これをやっていく。 そして、淡水化についても、農地との関係ではある程度目的とした時期がおくれても、また多少の
支障
が出ても、それはもうやむを得ない。この全体的な問題解決のためにはあえてそれはやむを得ない、こういうような判断をしたところであります。 そして、今おっしゃいましたように、こういったことがない場合として予定をしておりました十三年度の
予算
につきましても、これは当然、やはり今後の調査委員会の調査との兼ね合わせの中でそれがおくれることがあってももうやむを得ない、私はそういう判断をしたところでありますから、推移を見ながら、そこはまた改めて決断をしていくことになると
思い
ます。
渡辺周
116
○
渡辺
(周)
分科員
やむを得ないというような言葉が何回も出ました。そうすると、ちょっとまだ御答弁いただいていないのですが、
平成
十三年度の
予算
の執行はどうなるのでしょうか。例えば、これを調査費に織り込むことができるのかどうなのか、それともこの造成
事業
それから内部堤防の工事はそのまま進めるのか、それとも今回の水門をあけるという決断になれば、これを何らかの形で転用できる手続がとれるのかどうか、あるいはそのお考えがあるのか、その点についてお尋ねしたいと
思い
ます。
松岡利勝
117
○
松岡
副
大臣
考え方といたしましては、
状況
を見ながら、その都度私
ども
は的確に判断をしていきたいと思っておりますが、今、では
予算
措置の具体的な、事務的な取り扱いについてどうなるかということでありますから、それは事務当局の方から答えさせます。
木下寛之
118
○木下
政府参考人
干拓
事業
の
予算
案でございますけれ
ども
、この
事業
につきましては、
先生
御案内のとおりの内部堤防を初めとする建設
事業
費でございますので、建設
事業
費につきまして使用できない場合には、翌年度に繰り越しということになろうかと
思い
ます。 それからもう一点御質問の、この
予算
案百億でございますけれ
ども
、例えば調査費に転用できるのかというお尋ねでございますけれ
ども
、
事業
費でございますので、その転用はできないというふうに考えております。
渡辺周
119
○
渡辺
(周)
分科員
時間が残念ながらもう残りわずかになりましたけれ
ども
、我々は大変この問題について、四年前あのギロチンというものが、鉄鋼板が海に次々に落とされた。それによって、あのときに、この
事業
自体が余りにも目的を失っているじゃないか、
先ほど
来
お話
のあった例えば防災というのならば、なぜ農水省が防災目的で干拓をやるのだと。しかも、この
事業
自体が
幾つ
か戦後目的を変えながら今日まで来た。 そして、我々もさまざまな地元の
方々
と一緒に運動をし、いろいろな専門家の
方々
に意見をいただいて運動をしたわけでありますが、そのときに、ある
意味
では生態系に恐らく変化があらわれるだろうということは
指摘
をされていました。しかし、現実問題、ノリが色落ちするということ、こういう形で生態系に影響があらわれたということは、正直、今回初めて我々もこういうことであったかと思った次第であります。 その点に対して、ある
意味
では四年前のこの手術が、有明海というところに対して行った何か人為的な手術が、人間でいえばどこかに影響が四年近くになってやはりあらわれてきた。その点を考えたときに、やはり生態系からの一種のしっぺ返しなんだろうなと我々は思うわけでありまして、だとすれば、生態系の中に埋め込んだ金属装置といいましょうか、人為的に行ってきたことをやはり一度予断を挟まずに取り除くことを本当にしていかなければならないと思うわけであります。 いずれにしても、今回のこの問題についてはぜひとも、かつてのことを
思い
ますと、
大臣
含めてかなり今政治主導で前進をした、私はそう受け取るわけでありますが、
大臣
、この問題について今回どういう率直な御感想をお持ちであるのか。 そして、これからこの調査が進んでいっても、またことしの冬になって、来年度以降、地元の
方々
にしてみれば、本当に生活の基盤である漁がもう一回できるのかどうか。結論が出たとはいえ、どのような調査がこの秋口までされるとしても、結果として自分たちが改めて業者としてやっていけるのかどうなのかということについて恐らく大変不安に思っているわけでありますが、その辺について
大臣
はどうお考えなのかということ。それと、長崎県の
方々
、諫早の
方々
の
理解
を得る
見通し
、どのような御決断で長崎県と交渉されるのか。その二点についてお尋ねして、多分終わりになるかと
思い
ますが、御答弁いただきたいと
思い
ます。
谷津義男
120
○
谷津国務大臣
私、最初にこの問題が起きてきたときの調査については、予断を持たないで調査をする必要がある。ですから、水門は関係ないのだという方がいらっしゃいましたが、私はそれも予断だと申し上げました。また、水門をあけろ、あれが原因だ、水門が原因だと言われる方にも、私はそれが予断だというふうに申し上げました。ですから、予断を持たないで総合的に調査をする必要がある。それにはほかの要因もあるかもしれない。そして私は、最終的には、あそこの宝の海と言われた有明海を早く取り戻すことだ、これが私の最大の
目標
であるというふうに考えているわけでありますから、そういった面でしっかりと調査をしていただきたい。 また、網入れが十月ということで聞いておりますから、私は一月二十九日に行ったときにもそういう話をしました。しかも、準備はもっと前からするのだから、できるだけ早く、中間取りまとめと言ってはなんですが、そういうようなものを出してほしいということもございまして、そういうことから、初めは十三年度からというふうに言われておったのですが、二月のうちに委員を決めさせていただきまして、三月の三日に第一回目の委員会を開かせてその調査に入るということについては、そういう
意味
で、できるだけ早く結果を見させていただいて、そして安心して網入れができるようにしていかなきゃならぬという考えで急がせているところであります。 なお、長崎県の件でございますけれ
ども
、何人もの方が私
ども
に陳情に参られました。それは、あけてはならぬ、工事は中止してはならぬ、こういうふうな話でありましたが、その都度、実は私は、調査であけさせてもらいたいという話が出たときには、ぜひそのことはお願いをいたしますよというようなことも何度となく申しております。ですから、もし正式にそれが決まったならば、改めてまた参りましてよくお願いをしていきたいというふうに思っております。
渡辺周
121
○
渡辺
(周)
分科員
この諫早湾の干拓
事業
、いずれまた再評価というときには、今回のこの出来事をぜひ踏まえて、また改めての評価をしていただければなと
思い
ます。またこの問題については改めて別の場で御質問したいと
思い
ます。ありがとうございました。終わります。
谷川和穗
122
○谷川
主査
代理 これにて
渡辺
周君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
後藤
斎君。
後藤斎
123
○
後藤
(斎)
分科員
民主党の
後藤
斎でございます。 今諫早湾の問題がありましたが、私は、最近の
農業
、農村そして
林業
者が持ついろいろな悩み、そしてこれからの農政の
あり方
についてお尋ね申し上げます。 まず、現在、新しい食料・
農業
・農村
基本法
の中で、いろいろな
基本
計画がつくられ、プログラムが
策定
されております。昨年の十二月の二十五日には、農水省の方から、新しい
経営
を単位とした
農業
経営
所得安定対策の今後の検討方針ということで、ペーパーもいただきました。 それ以降、いろいろな形で、省庁再編の中で局も変わり、
仕事
のいろいろな割り振りも変わったというふうに
思い
ますが、私は、昨年の農地法の
改正
に見られるような新しい武器をできるだけ
農業
や
農業
者の方に送り込んでいきたいという意思がまだまだ現場には伝わっていないというふうに考えております。 二〇〇〇年農
林業
センサスの結果概要を見ても、五年前に比べて農家数では三十二万戸も減少し、そして、
農業
就業者に占める六十五歳以上の割合も四四%から五五%に上昇をしております。
担い手
の
高齢化
ということだけではなく、新規就農者も、特に若い方の就農者数は大変少ないものになっております。 これは、もう一点つけ加えて言えば、
農業
集落の数も五千も減って十三万五千集落ということで、
農業
者のみならず農村も崩壊の危機に瀕していると言わざるを得ません。 そんな中で、
経営
を単位とした
農業
経営
所得安定対策ということで、従来の
価格
政策
から所得
政策
へと、移行の
方向
性は私は正しいと思うんですが、なぜ若い方が
農業
に魅力を持たないか、そして就農者が少ないかといえば、それは単なる
経営
の不安定ということではなく、現行で言えば、長時間労働、そして所得不安定、なおかつ生涯所得も少ないということに私は起因しているというふうに思っております。 冒頭、
大臣
の方から、この
経営
所得安定対策の
方向
性を進める中で、私は、生涯所得をどう見て、その中に
経営
安定対策を位置づけるかというふうな中で制度設計を行うべきだというふうに思うんですが、その点いかがでしょうか。
谷津義男
124
○
谷津国務大臣
先生
おっしゃるとおり、生涯所得ということになりますれば、他
産業
並みの生涯所得、二億七千万前後というのを
一つ
の目途にしまして考えておるところであります。 そういう中から、
経営
所得安定対策というものを私
ども
は検討しているところでありますが、これは、
農業
の持続的な
発展
を図る上においては、その主たる
従事者
が
地域
における他
産業
並みの所得を得るということは非常に大きなことでございまして、そういう点から、効率的かつ安定的な
農業
経営
を形成し得るというふうに思っているところでございます。ですから、そういうふうな
農業
構造を実現していくこと、これが必要であるというふうに思うところであります。 これがために、効率的かつ安定的な
農業
経営
を育てていかなければならない、そういう
観点
から、育成すべき
農業
の
経営
に対しまして、諸
施策
を
重点
的に、そしてこれはまた集中的に講じる必要があるというふうに考えておりまして、これらの諸
施策
を見直しまして再編を検討していくということにしているところでございます。 また、その一方では、その一環といたしまして、育成すべき
農業
経営
、
経営
全体ですね、この点をとらえまして、農産物の
価格
の変動に伴う農家の収入または所得の変動を緩和する仕組み等につきましても、我が国の品目別の
価格
政策
の見直しあるいはまた
経営
安定対策の実施の
状況
、そしてまた
農業
災害補償制度との関連等も勘案をしながら、今検討を進めているところであります。
後藤斎
125
○
後藤
(斎)
分科員
今のお答えの中で私はぜひ対応していっていただきたいと思うんですが、ただ、一点、懸念せざるを得ないものがございます。 昨年の三月に、農水省の方で、新しい食料・
農業
・農村
基本法
に基づいて「
農業
経営
の展望」という冊子を出されております。この中で、
大臣
がおっしゃられたような効率的かつ安定的な
農業
経営
という中で、
農業
構造の確立を目指すという、
幾つ
かの
農業
経営
の展望を踏まえて、
農業
経営
類型、
経営
形態別に所得の
あり方
や労働時間の
あり方
についてかなり前向きな
目標
が
設定
をされております。まさに、
地域
ごとの他
産業
と遜色のない水準を生涯所得にしても
確保
する。具体的に言えば、おおよそ生涯所得を二・二億円から二・八億円に
設定
をし、そして、労働時間についても千八百時間を原則としながら二千時間を上限とするというふうな
目標
もございます。 ただ、これは、細かく展望の概要を見ていきますと、現行の
農業
の構造から考えると大変
目標
が高いというか、大変難しい。それを下支えするには、まず、
農業
経営
者の方が本当に
経営
拡大、規模拡大や
生産性
効率に向かって設備投資や、そして家族の方も含めた家族
経営
の
あり方
を考え、また法人化を考えていくということ、いろいろメニューをつけ加えていかなければならないと思うんです。 私は、これからの
経営
単位の所得対策を考えるときにも、新規就農が十八ないし二十歳で行われる、そして一番、四十代、五十代というのが子供も大きくなりお金もかかるわけですから、それと、御
議論
をこれから進めていく
農業
者年金みたいなものの
あり方
、ライフステージごとにどんなメニューが具体的にあるかというのが、正直言って、いろいろな新規就農の
支援
センターとか市町村の役場や、そして農林省はもちろんですが、いろいろなメニューがあるということを、新しく入っていく方、そして、自治体の職員ですら、今、
先ほど
も冒頭
お話
ししたような
農業
就業人口が少なくなり、そして
地域
によっては
農業
生産
額が
地域
の
産業
の中で大変低くなるという中で、
産業
化という中でも兼任をして対応しているような
状況
まで落ち込んでいます。 ぜひとも、そんな点で、私は、昨年の三月の「
農業
経営
の展望」について、ちょうど一年弱たった中で、今農林省はこれをどう評価し、そして昨年十二月に打ち出された
経営
を単位とした
農業
経営
所得安定対策の今後の検討方針を進めていかれるのか、お尋ねをしたいと
思い
ます。
須賀田菊仁
126
○須賀田
政府参考人
先生
御
指摘
のように、昨年三月に公表をいたしました「
農業
経営
の展望」の中では、ライフステージに応じていろいろな
施策
を集中する、その方に
努力
もしてもらうということで、
担い手
の現役
時代
は
農業
所得の
向上
をだんだん図れるような展望をしておるところでございます。 具体的には、五十五歳から六十歳ぐらいになったときに
農業
所得のピークが来るというふうに展望をしておるところでございます。また、リタイアをした後は、
先ほど
まさに
先生
御
指摘
のように、補助的な作業による
農業
所得とあわせまして、年金による所得
確保
ということを展望しております。 まさに、これから、そういう展望の実現に向けて、自主
努力
も促しながら我々の
施策
も集中をしていきたいというふうに考えているところでございます。
後藤斎
127
○
後藤
(斎)
分科員
私は、十一月の
農林水産
委員会のときにもお尋ねをした点が一点ございました。 そのときには、まだ、
経営
所得安定対策の全体的な大きな進めというのは、当時、御
議論
の中では農水省の正式な見解というのはなかったのですが、今熱心に進められているということです。 そして、私が
幾つ
かその中で勉強させていただいたもので、フランスに、一九九九年のフランスの新
農業
基本法
に基づいた
経営
に関する
国土
契約、いわゆるCTEという制度がつくられております。これは、食料・
農業
・農村
基本法
の概念にもあります、
農業
の
多面的機能
、持続的
発展
、
国土
整備、いろいろな
環境
問題も含めて位置づけをされております。私は、今いろいろな形で御検討なさっている中に、ぜひこの新しい、フランスで導入をされたCTEの
あり方
も含めて検討の素材にのせていただきたいというふうに思う次第でございます。 もちろんフランスは、農産物といえば大輸出国でございますし、また地理的
環境
も我が国とは違うことは重々
承知
しておりますが、やはり私は、これから
農業
や農村を考えるときに、新規就農者の方、そして今農村に、集落と言われているところに住んでいる方も含めて、そこに定住をしたいというふうに思う中で、農村の活性化や、そしてひいては新規就農者がふえ
農業
が
産業
として活力を再び取り戻すということで、フランスは大変きれいな農村を持つ、景観にも大変伝統的に配慮をする
政策
をとっている国の
一つ
でございますので、その点につきまして、フランスのCTEについて今農水省としてどのような御評価をなさって、
経営
所得安定対策に取り入れていくことをお考えになっているのか、お尋ねしたいと
思い
ます。
田原文夫
128
○田原
政府参考人
お答えいたします。 フランスのCTE、いわゆる
経営
に関する
国土
契約ということでございますけれ
ども
、中身的には二つの事項、すなわち
一つ
目は、
生産
物の品質
向上
でございますとか雇用の維持、創出、こういった経済的な事項、それから二番目は、
地域
管理
でございますとか
環境保全
といったいわば
国土
、
環境
的な事項、こういったことを中身として国と農家の方の間で契約を結んでいただくというものでございます。 この評価ということでございますけれ
ども
、非常に大ざっぱに、漠として申し上げますと、例えば、労働時間にゆとりがあるような、これまで兼業的にやっているような中小規模の
経営
、こういったところでありますと、そういった新しい事項にもある程度対応できるということで、所得
確保
という点ではそれなりの効果があるのではないかと見られています一方、大規模な農家あるいは労働集約的な農家、そういったところでは、そういった対応が、ゆとりができないというような面があるのではないかというのが一般的に考えられているところでございます。 ただ、これは一九九九年から始まったということでございまして、フランスの
基本法
ができましたときに、フランスの
大臣
はたしか、このCTEは全国で五万件、こういったことを目指すというところだったようでございますけれ
ども
、昨年末の実績が三千七百件余りということでございまして、そういったフランスの実態自体を我々は十分に検証する必要があるのではないかというふうに考えている次第でございます。 そういったフランスのCTEと、私
ども
がこれから始めております
経営
所得安定対策との関係でございますが、
先ほど
大臣
の方からもお答え申し上げましたけれ
ども
、私
ども
が
経営
所得安定対策を考えていく場合には、まず、我が国の品目別の
価格
政策
の見直しでございますとか、個別の
経営
安定対策の実施の
状況
、こういったことを十分に検証する必要がございますし、また同時に、こうしたCTEを初めといたしました諸外国の同じような
機能
を有すると見られます諸事例、こういったものも十分調査研究していきながら、よりよいものをつくり上げていくという姿勢で対応していきたい、かように考えている次第でございます。
後藤斎
129
○
後藤
(斎)
分科員
今お答えいただいたように、私もこのフランスの制度が一番いいということは決して思っておりませんで、お答えの中にもありましたように、いろいろな国の制度、そしてそれはなぜかといえば、大きく今までの
農業
政策
の
目標
というか主眼を大
転換
しながら、
担い手
を育成し、そして食料・
農業
基本法
をきちっと進めていくということだと
思い
ますので、巷間言われるようないろいろな旅費の問題とか含めて、私は、そういうところに
予算
をきちっと使っていただいて、よりよいものをつくっていただくような御
努力
をぜひお願いしたいと
思い
ます。 そして、
先ほど
若干触れました、新しい
経営
所得安定対策の一連の流れの中で、将来の
農業
者の年金の問題ということで、今年金法が
国会
に上程をされようとしております。 私は、この
農業
者年金というのは、もちろん今まで果たしてきた
政策
的な
役割
、そしてこれからもそうであろうという中で、「
農業
経営
の展望」の中にあります二・二億円から二・八億円というふうな生涯所得を
確保
する中で、どんな位置づけを持ち、そしてこれから
農業
者年金制度を他
産業
並みの生涯所得の
確保
という
観点
から位置づけていかれるのか、お尋ねを申し上げます。
須賀田菊仁
130
○須賀田
政府参考人
先ほど
来
議論
をされております、
農業
経営
の
担い手
の主たる
従事者
といいますか、これが他
産業
従事者
と遜色のない生涯所得を
確保
するという
基本
的な考え方の中には、リタイアした後は年金による所得
確保
というのが重要な要素として織り込まれておるところでございます。 現在御提案を申し上げております
農業
者年金制度の
改正
におきましては、受給者、加入者に対して適切な経過措置というものを講じて、財政的に破綻をいたしました現行制度を処理するという一方で、
担い手
の
確保
が農政上の重要
課題
というものになっていることを踏まえまして、
担い手
に老後の安心を展望しながら
農業
経営
を行っていただけるよう、現行制度にかわる新たな
農業
者年金制度を措置するということにしております。 そういう
意味
で、今回の
改正
は、他
産業
並みの生涯所得の
確保
に資するという位置づけをなし得るものというふうに考えているところでございます。
後藤斎
131
○
後藤
(斎)
分科員
大きく変わる制度の中でございますので、いろいろな角度、そして海外の諸制度も含めた検討をぜひお願いしながら、真に
農業
者が自信を持って
農業
生産
活動を営み、そして農村が
発展
できるような
施策
を講じていただけるように心からお願いを申し上げます。 次の質問に移らせていただきます。 今、
山村
が置かれている
現状
は、農村が置かれている
現状
よりもはるかに危機的な
状況
になっております。 昭和五十年には十八万人いた
林業
就業者の方が、
平成
七年の統計では九万人と、さらに落ち込んでいるはずですが、半減をしております。そして、二十数年前では九割を
木材
の産出で
林業
収入を得ていた方たちが、今特用
林産物
が逆にかなり上昇をし、総収入の四割を得ているというふうなことです。 今
林業
が持ついろいろな問題を、
平成
十三年度の
林野庁
の
一般会計予算
で公共
事業
が三千九百六十三億円、非公共で千四十六億円、トータルで五千九億円計上をしております。もちろん、今
お話
をしたような、
木材生産
を主体とした
政策
を抜本的に見直し、
森林
の多様的な
機能
、持続的な
発展
ということの
施策
の再構築、充実というものに沿った
予算
だというふうに思っています。 ただ、これが現場に行くと、
山村
に住み、これからその
地域
で
産業
活動を営んでいくという方にとっては、まだまだ十二分な
政策
になっていないのかなというふうに私は思っています。 私がよく
お話
をする方に、日蓮宗総本山の久遠寺のある身延という町があるんですが、そこで身延竹炭企業組合という、平均年齢が七十歳くらい、いわゆる高齢者の就農の方が企業組合をつくって、出資を一人一万円、今出資金が一昨年から五万円になって対応しているんですが、いろいろな諸制度を使いながら、窯をつくり、竹炭をつくり、それが今徐々にですが軌道に乗りつつあります。そういうふうな方たちをどう行政的に
支援
していくかということがこれからもっともっと重要になってくると私は
思い
ますし、
先ほど
も
お話
ししましたように、特用
林産物
の今の
林業
総収入に占める割合というのが大変多くなっていきますし、これからも多くなっていくはずです。 一方で、こういう竹炭も含めた木炭類、炭類の輸入も大変ふえ、素材の製造工程も違っていて、やはり輸入品が急増してくると、一生懸命木炭や竹炭をつくっている
方々
も大変
価格
的にダメージを受けるということがございます。 今、このように、
山村
の中で、
林業
者の方の中で、特用
林産物
の
振興
を
農林水産
省が今後どういうふうに考え、そしてどんな体制整備を行ってくれるかということに大変関心がございます。その点について、農林省の方からお答えをもらいます。
中須勇雄
132
○
中須政府参考人
ただいま
お話
のございました竹炭あるいは木炭などを含めまして、いわゆる特用
林産物
、
一つ
は資源の有効利用ということもございますし、
お話
のとおり、農
山村
地域
における収入源の
一つ
でございます。また、大変雇用の場の狭い
山村
地域
における雇用の創出ということもございまして、私
ども
、
林業
とともに特用
林産物
の
振興
を図っていかなければならない、こういうふうに思っております。 特に、今
お話
のございました竹炭を含む木炭につきましては、最近の傾向として用途が非常に広がってきているということがございます。もとは御
承知
のとおり燃料用ということであったわけでありますが、今さまざまな形で多様な用途が広がっている、こういうことでありまして、そういう
意味
では、用途に応じた品質の
向上
とか性質の安定化、そういうものを
推進
しなければならない、こういうような
状況
にあるというふうに
承知
しております。 従来から、
林業
構造改善
事業
等によりまして、こういった木炭の加工流通施設等の基盤整備、これを助成対象にしてきたわけでありますが、そういった
状況
に応じまして、これから、特に品質の
向上
というか、消費者の動向に合わせて物を
供給
していくという
観点
から、規格化に取り組みたいという関係者の意向がございます。ぜひ私
ども
、これを後押しをして規格化というものを成功させて、より需要の拡大ということが図れるように
努力
をしていきたい、こういうふうに思っております。
後藤斎
133
○
後藤
(斎)
分科員
今お答えをいただきましたように、いろいろな形で
施策
が充実していることは事実であります。私は、その
施策
を対応していただくときに、
先ほど
も御答弁の中にありましたように、大変少ない就業機会の中で、なおかつ高齢者の方が多い。この身延の竹炭企業組合も、最高年齢の方は八十歳を超えんとする年齢でございます。そして、およそ非常勤の方を含めると五十人近い方が、リタイアをした人がメーン、最低でも四十六歳ぐらいの方が、生き生きとして生涯現役ということで対応なさっています。私は、単なる
産業
振興
という
観点
だけではなく、高齢者そして就業機会の
あり方
の中でもぜひ御配慮を賜りたいと思っています。 今ここにお持ちしたのは、その身延竹炭企業組合の最新作で、竹炭パワーシートというものでございます。これはまさに今、
環境
問題、シックハウスの問題、いろいろ話題になっているもので、消臭効果、除菌効果、清浄効果ということで、これは竹炭組合と旭化成が共同開発したものでございます。こんな形で、少しずつですが、私は、それぞれの企業
努力
の中で、いろいろな関係者の御
努力
で今までの炭という
一つ
のものを踏み越えて、
環境
や
地球
に優しい、そしてなおかつ一番重要なことは、新しいものをつくっていくということが年齢を問わず対応されているという、その御
努力
を評価しながら、それに対してもっとその
振興
を図っていただければというふうに
思い
ます。 ぜひ
大臣
、その中で、
一つ
のきっかけになるかもしれませんが、
山村
そして竹炭ということにとらわれず、
林業
就業者、その
地域
の方がこれから自信を持ってこんな新製品の開発をしたりするものを後押ししていただけるように、
大臣
の方からも御答弁を一言お願い申し上げます。
谷津義男
134
○
谷津国務大臣
国としましても、これらのすぐれた
機能
を有する竹炭あるいは木炭の製造につきましては、多分需要の拡大がこれからも相当見込まれるというふうに
思い
ますので、しっかりと
支援
をしていきたいというふうに思っております。
後藤斎
135
○
後藤
(斎)
分科員
時間もそろそろあれですので、最後に、私は、これから新しい食料・
農業
・農村
基本
計画、そして
先ほど
来の御答弁の中にありました
経営
所得安定対策を含めて、いろいろな
政策
がこれから進められようとしています。それは真に
国民
の視点からも御
理解
をいただけるような形でなければならないということはもちろんですが、私は、その中で、どんな制度がきちっと出てくるかというのは、働く方が本当に意欲を持って対応するような下支えが必要だというふうに思っています。 労働
環境
が不安定であり、そして将来自分の職場がなくなってしまうんだというふうなことにおびえおののいていると、私は、いい
仕事
が決してできない。もちろん、大きな国の
施策
の中で、行政
改革
大綱という、できるだけ効率的にやることは必要なのかもしれませんが、私は、現場職員の能力を最大限出すような職場
環境
にしていっていただかなければいけないと思っています。 特に、独立行政法人になる農林省関係の組織の
方々
もそうでございます。そして今、行政監察やいろいろな、民営化というふうに対応なさっている組織の
方々
も含めて、これから職員が意欲を持って働ける労働条件の整備についてもぜひ御検討し、その中で徹底していっていただきたいと
思い
ますが、最後に
大臣
の御決意のほどをお願い申し上げます。
谷津義男
136
○
谷津国務大臣
農林水産
省におきましては、本年の四月から試験研究機関などについては十七の独立法人に移行することになっておりまして、このすべての職員が国家公務員の身分、いわゆる公務員型の特定独立法人になるわけでございます。 これらの独立法人の職員の給与等あるいは労働条件につきましては、その独立法人の長、いわゆる理事長が定めることになっているわけでございますけれ
ども
、その事務や
事業
の効率的なあるいは効果的な運営が図られるためには、各法人が労働条件をきちっと整備していかなきゃならない、そういう必要があるというふうに私は考えているところでありまして、このようなことを通しまして、働く職員が安心して熱意を持ってその任に当たれるように、私
ども
は適切に対処していかなきゃいかぬというふうに考えております。
後藤斎
137
○
後藤
(斎)
分科員
ありがとうございます。以上で質問を終わります。
谷川和穗
138
○谷川
主査
代理 これにて
後藤
斎君の
質疑
は終了いたしました。 以上をもちまして
農林水産省所管
についての
質疑
は終了いたしました。 これにて本
分科会
の審査はすべて終了いたしました。 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
分科員各位
の御協力によりまして、本
分科会
の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。 これにて散会いたします。 午後零時一分散会