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植田分科員 社会民主党・市民連合の
植田至紀でございます。
きょう、私も
経済産業省のこういうところで
質問するのは初めてなんですけれ
ども、実は私の生まれ故郷の奈良というのは繊維
産業がもともと盛んなところでございまして、特にそういう
地域の
皆さん方からそうした
地域での地場
産業の窮状等々をいろいろな形でお伺いする中で、今回、特にこの間の輸入急増に伴う繊維
産業の振興
対策というところに一点絞りまして、それぞれ御所見をお伺いしたい、そういう気持ちできょう参ったところでございます。
実際、この間、やはり繊維
産業というのをめぐる
環境というのはかなり激変しつつある。それは、例えば情報技術の進歩、定着による
産業構造の変革、また
経済のグローバル化の一層の進展、国内
経済の成熟化、少子高齢化などに伴う消費者の行動の変化等々、そうしたことが要因になりまして、
産業を取り巻く条件というものはかなり激変をしているわけです。
もともと繊維
産業というのは、いわば
生活文化
産業としても位置づけることができるだろうと
思いますし、また、現在もやはり二百万近い
雇用を抱えて、特に
中小企業が多いわけですから、
地域の地場
産業として
地域経済、
地域社会の
活性化また安定に貢献をしてきたわけでございます。そういう
意味で、
我が国の中での基幹
産業の
一つということで位置づけられると言っても過言ではなかろうというふうに思うわけです。
しかし、この間、特に中国物が多いんですけれ
ども、輸入の増大によって、御
承知のように非常に危機的な
状況に立ち至っていると言われているわけです。
情報化、グローバル化等々の革新的な方向を目指す企業努力というのが不断には行われているわけですけれ
ども、やはりそれがなかなかうまくいかない。
それはやはり、大企業というよりは、ほとんど
地域の地場の町工場みたいなところで繊維
産業が息づいているがゆえに、いろいろな努力は行われているんだけれ
ども、なかなか困難であるというふうなところもあろうかと思うんです。実際、品質であるとか供給、在庫数量にかかわれない、その
意味では、今の輸入の
あり方というのはやはりかなり無秩序な輸入になっているんじゃないか。そうなると、コストの安い海外製品に対抗できないまま、そういう地場の
産業でしこしこと一生懸命つくったものが売れなくなってしまっている、大幅に売り場を失っている。特に、廉価で販売する衣類等々の店もかなり最近はあちこち進出しておりますので、本当に地場
産業は大変なわけでございます。
そういう
意味で、先ほど冒頭も申し上げましたけれ
ども、私の生まれ故郷の奈良県、いろいろな地場
産業があるんですけれ
ども、繊維
産業というのが最も有力な
産業でございます。全国の約三割のシェアを占めるのが、奈良でいうと靴下でございます。
例えば靴下であるとかニット、縫製業、染色業など、非常にすそ野が広い
産業が奈良ではあるわけでございます。そして、奈良県でも、この間ずっと重要な基幹
産業として、
地域の
経済の
活性化なり、また
雇用などに大きく貢献してきた。奈良県内においてはそういう基幹
産業であったがゆえに、輸入急増に伴う繊維
産業をめぐる
環境の急変というのは非常に深刻な問題になっているということをまず御
承知おきいただきたいと思うんです。
私が今住んでおるのが奈良県の大和高田市というところでございまして、戦前戦後を通じて商都としても知られた小さな町なんですけれ
ども、私が小学校五、六年のころまでユニチカの工場がございまして、七七年ですか、それが撤退していくわけです。それは、全般的に繊維
産業というのが落ち込んでいく中でやはり撤退せざるを得なくなった。今そこはマンションが林立しておりますけれ
ども。
当時の大和高田の町といいますと、言ってみれば、ユニチカの小さな企業城下町でした。でも、その市内にある商店街なりなんなりというのは、私がそれこそまだこれぐらいのころというのは、本当にこんな町が奈良にもあるんかというぐらい、商店街のにぎわいを見せていました。飲み屋、焼き鳥屋なんというのもあっちこっちにあった。それが二十数年前の奈良盆地の中和と言われる
地域なんですけれ
ども、小さな町でしたけれ
ども、やはりその
地域の、言ってみれば
地域経済の一番
基盤となっていた、そういう
地域だったわけでございます。
それが、それ以降、
一つ大きな企業が撤退してしまいますと、やはりそうした下請、孫請も宙に浮いてしまいますし、今や商店街も閑散としている。確かに、道はでき、駅はきれいになり、昔のごそごそとした雰囲気はなくなりましたけれ
ども、逆に、人の息吹が感じられないような、そういう側面もある。
ですから、
地域でいろいろな形で地場
産業を振興しよう、いろいろな形で
都市計画をやろう、町づくりを進めていこうという不断の努力は、これは何も行政だけではなくて、
地域でいろいろな
皆さん方がやっておられるんだけれ
ども、なかなかそれが十分に
活性化につながっていない、そういう側面があろうかと
思います。
奈良の場合、そういう
意味では高田、そうした
地域の繊維
産業というのは基幹
産業でしたから、それが地場
産業としての地位を持ちながらも、そこで大変な
状況に陥っているがゆえに
地域経済全体が地盤沈下している。何もこれは、奈良における地場
産業としての繊維
産業が落ち込んだから、それだけの問題ではなくて、
地域の
経済自体がそのことによって沈滞化している、そういう現実はまず踏まえなければならないと思うんです。そういう
意味では、逆に、繊維
産業が中小であるがゆえにこそ、やはり
地域経済全体の中でそうした地場
産業というものをどう位置づけて育成していくかという観点が必要だと思うんです。
例えば、観光
資源があって、観光地を開発する、リゾート開発をする、
地域にお金が落ちるかというとそうじゃない。ゴルフ場をつくるのもホテルをつくるのも、首都圏の大資本がつくっちゃう、そしてそこに観光客がばあっと行って、遊んで帰っていく。でも、そこで落ちたお金というのが、
地元の人たちに落ちる、
地元の金融機関に落ちるのではなくて、それら進出した大企業が取引している、言ってみれば有力
都市銀行に行ってしまう。結局、お金がぐるっと回って東京に戻ってしまうような構造というのがあるかと
思います。
そういう
意味で、これからの
経済対策、また景気
対策の中で
地域経済をどう元気にするかというのは、やはり一番大きな課題だろうと思うんです。
そういう
意味では、繊維
産業に限らず、いろいろな
地域の地場
産業、
中小企業に対する
支援措置、例えば、
中小企業にとって一番弱いのは、やはり
技術開発であるとかそうした商品開発、市場調査、また人材の
確保。
だれだって、大学出れば大企業、一部上場企業に行きたいわけですけれ
ども、やはり
中小企業で、手がたい仕事をやっているなというところに人材が入っていくような、そんな魅力ある
中小企業の育成というのを全般としてしていくこと。また、当然ながら貸し渋りをなくして、そうしたいろいろな融資制度なりも拡充していくこと。
そういうすそ野を広げていくことが、実は
地域の
経済の
活性化を誘因して、これが全体としての
日本経済の改めての再建というところにつながっていくんじゃないのかなと私なんかは思っております。
だから、今申し上げたような、そうしたさまざまな
支援をしながら、それは何も特定の
産業に対してプッシュするということではなしに、そのことを通じて
地域経済そのものをもう一度再建していくという観点から、総合的にそうした
施策をやはり進めていただきたいなという
思いでいっぱいなんでございます。
私も、毎週
地元へ帰りますといろいろなところにあいさつ回りいたします。私、社民党ですけれ
ども、実はほとんど労働組合の
支援というのがありませんで、大体が、今ちょうど深刻でひいひい言うてはる
中小企業の経営者の方々が多いんです。
そしてまた、奈良の場合、いわゆる繊維
産業でも、伝統工芸品というよりは靴下
産業というのが多いわけですね。靴下というメニューで差別化をして勝負を張るというのは、なかなか難しいと思うんです。ファッションデザイナーというのはいいかもしれへんけれ
ども、靴下デザイナーといってもなかなかはやらないなと。でも、
生活には絶対要るわけでございます、私たちも、靴を履くと必ず靴下をはくわけですから。
そういう
意味では、なかなか大変な
状況の中で、やはりいろいろな問題ございますけれ
ども、昨年も、そういう奈良県の繊維団体の
皆さん方が東京で集会を催されたというふうに聞いています。繊維産地危機突破大会というものだそうでございます。
その中では、やはり輸入品の急増によって、操業はピークから比べるともう六割ぐらいまで落ちているとか、組合員自体が最盛期の三分の一にまでなっているとか、本当、自殺者や倒産する会社がぼこぼこと出てこぬことには国は動いてくれへんのやろか、そういういろいろな声が続出したと聞いています。ここには旧通産省の方も御出席されていたようですので、そうした切実な声というのは直接聞かれたことと
思います。
私もちょっと勉強してみたんですけれ
ども、現実にソックスの輸入数量を見ると、昨年の一月から十一月までで、何か十足で一デカというそうですが、六千八百万デカに達しているそうです。年間では大体七千万デカに達するのは確実だろうということが言われているそうなんですね。そして、昨年の国内生産が大体四千五百万デカというそうですから、大体それで一億二千万デカぐらいになるわけですが、実際の国内消費というのは九千万デカ程度と言われているわけですから、実際は、これはもう二五パーぐらいの過剰な
状況になっている。
そしてまた安い製品が入ってきますから、特に国内産品というものがどんどん片隅に追いやられている。そういう厳しい
状況がある。それも、何せいろいろな工夫をしながらももっている、そういう
産業が、例えば靴下に特化すれば靴下というのもなかなか大変で、最近はタオルの話も出ていますけれ
ども、タオルデザイナーというのもなかなかいらっしゃらないわけですから。
だから、やはりその辺のところで、もうどうすることもできへん、自助努力でなかなか
対応し切れないような
状況が
地域の中で生まれている。おれたちは本当に一生懸命やっているんだと。確かに競争
社会です、市場
社会ですけれ
ども、やはり
地域の一番末端で
日本の
経済を一番たくましく支えている人たちにどんなまなざしを向けるのかというのが、やはり
政府の
施策としてあってしかるべきだろうというふうに思うわけです。
そういう
意味では、繊維
産業においてもそうした企業なり
産業の置かれている
状況というものを踏まえながら、コスト
競争力の改善であるとか、非価格
競争力の強化、グローバル化への
対応というものを総合的
施策として進めていかなければならないなというふうに私は感じているんです。
そこで、まずお伺いしたいのは、そうした、今踏まえた繊維
産業の現状
認識について、まず
大臣の方からお伺いしたいと
思います。
〔
主査退席、
牧野(隆)
主査代理着席〕