○小林(興)
委員 塩川財務大臣のお
考え等を新聞等で見させていただいているわけでございますが、
小泉内閣の基本方針として言われておりますとおり、民間でできることは民間でする、行財政改革を進める中に特殊法人も整理していく、そういうことが言われているわけでありまして、スリムな
政府の方向に向かってそういう面では進むことがあろうかと思うのですけれども、その結果、財政から支出されるお金が減る、それはまことに結構なことでありますが、その結果、民間にお金がその分残るということになりましょう。
本来、その残ったお金が民間の
経済活力に使われるように今度持っていくことが大事だと思うのですけれども、今の国税当局の流れを見ておりますと、とにかく少しでもありそうなところから根こそぎ取る、こういうふうに言えるぐらい税金をよく取るところでございまして、ちょっとすき間があくとすぐまた持っていっちゃうということですと、実は、民間の中に活力をみなぎらせる、そういう基盤がなかなかできにくいということは、塩川
大臣ならば御
理解をいただけると私は思うのであります。
例えば、これからの新規産業も、
経済構造改革を進めていきますから、どんどん不況業種といいますか、これから生産性の低い分野については業種も整理されるかもしれません。それにかわって雇用を吸収する新しい産業も必要だ、ベンチャー
対策だ、こんなことも言われているわけでありますが、ベンチャー、ベンチャーといっても、これはそこに最初に何の担保もあるわけでなくて、事業に着目してお金を出すところが必要なのですね。これは今の銀行なんかびびって金を出さないわけでありまして、
個人投資家と言われる者がそこに大きなお金を出す。
それで、ベンチャーですから、十のうち三つ成功するか
一つ成功するか、そんなレベルでありますから、リスクも大きい。という中には、それに耐え得るかなりの
個人投資家、資金を持った人が必要でありますけれども、日本はアメリカに比べますと、まず
個人投資家が全然育成されていない。つまり、ちょっと
個人に資金がたまりますと、みんな税当局が根こそぎ持っていっちゃうのですから、
個人がお金を持てない。やっと所得税も五〇%台に下がってきましたけれども、なかなか稼いでも稼いでも税金に持っていかれる。その上、この国は相続税がまことに高い。
したがって、ある程度資金を持った方が最後に亡くなられるときに、ではせめてお世話になった学校に思い切って寄附しようとかいろいろなところに寄附しようと思っても、みんな、寄附も余り許さずに、そして最後は相続税でどんと持っていってしまう。これでは、財政で私学についても
措置をしないと、講堂を寄附する人もいないのですから、自分で建てなければいかぬ、そのためには国から助成金をもらわなければいかぬ、こういう悪循環になるわけでありまして、もう少し豊かな
個人、まじめに働いて税金を納めた後、残してやる、そういう思想を私はそろそろ持つべきときではないか。
特に、このベンチャーを見ますと、我々は税金の素人であります。素人でございますので、例えば前の大蔵省、今は
財務省ですけれども、税当局が新しい
税制をつくりました。ストックオプションです。このストックオプションで株を手に入れて、そして売った場合に、これからは二六%で結構ですと言うと、ああ、それでは、どんともうけた人がそれを資金
にして次の新たなベンチャーに投資できるんだな、こういうところで我々は満足する。ところが、実際どうなっているかといいますと、これはよく見ると日本の法人だと書いてあるんですね。
最初、日本にベンチャーなんかほとんどなかったころ、日本の優秀な人はみんなアメリカに例えば引き抜かれて、アメリカの
外資系の会社で働いたんですね。優秀ですから、例えば日本の子会社の社長さんにされる。そうしますと、社長さんにうんと頑張ってもらおうと思って、アメリカは親会社もストックを渡してストックオプションの権利を与えるんですね。それで、頑張って社長としてうんと働いてストックオプションの権利を行使する。ところが、日本の税法で二六%の税金と思っておりますと、これはアメリカの会社の株だから、それは所得税を取る。今だったら五〇%、前だったら六〇%でどんどん取っちゃうんですね。
こういうことだと何かだましているような感じがするわけでありまして、やはりストックオプションで得た権利は、アメリカの会社だろうと日本の会社だろうと、そこから得た、
株式で得たんですから、同じよう
にして次のベンチャー資金に回すような、そういうきめの細かい配慮もしてやらなきゃいかぬですし、これだってアメリカに今度住居を移しちゃいますとアメリカの安い税金で済むんですから、日本に住む人なんかいなくなっちゃいます。向こうに住んでいて飛行機で日本に来ればいいんですからね。そういう形になりかねない。
そろそろ、そういう
意味で、日本から外国へ逃げていくという人は、ますますグローバル化の時代で、こんな
税制を続けておりますと大事な人材を失うおそれもあるということを、ぜひ塩川
大臣のお心にもとめていただいて、抜本的な
税制改革に突き進んでいただきたいと私は思っております。
それからもう
一つは、税の問題はもう時間がございませんのでこのくらい
にしまして、次は金融ですね。これがもう大変でございますよ、金融。我々は金融なんというのはほとんど素人でございますからよくわからないという中にあって、この金融問題で非常に多くの中小企業が実は苦しめられている。
一つは、私は、我が
政府のあり方。つまり、実際に今言いました細かい案をつくるのはみんな役所がやっているんですね、官僚がやっている。その官僚が、最近の官僚はどうかといいますと、これは一面政治家にも責任があるんですけれども、民間とつき合っちゃいけない、何かそんなルールをどんどんつくったみたいでありまして、それが我々ですと、癒着するほど悪いことはいかぬだろう、こんなふうに思っているんですけれども、そうではなくて、普通におつき合いすることも全くいかぬというふうに今の法律がなっているというんですね。そんなことで、民間の人から話を聞くことがない。
それは日中呼んでこういうヒアリング、形式的なことはできますけれども、本当は日本でございますから一杯飲みながら腹打ち割って話す、そういうチャンスを全く与えていない。こんな机上の空論だけ生かしていく官僚で、本当にきめ細かい民間の悩み、苦しみが、また制度の、行政の
問題点がわかるのか。
かつて役所にもいらっしゃった
柳澤金融
大臣、どうですか、昔の自分と今の若い役人との生活を比べて、今の役人の方が本当に金融について働くような環境を我が
政府は与えておりますか。