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森内閣総理大臣 今回の事件が起きて、やはりアメリカの国情、それから
日本の
国民の感情、そこに大きな違いがあるということを私は当初から大変心配を実はいたしておりました。こうした悲惨な、あってはならない事件と対比するわけにはいきませんが、これまでも日米間でいろいろありました。
経済摩擦もございますし、政治的な摩擦もございました。そのときに、その国の持っております文化性、あるいはその国の
国民が持っておる感情、あるいは価値観とでもいうんでしょうか、これはやはり最後のところには違いになってあらわれてくるんですね。
ですから、できるだけそういう問題にならないようにするためには、
政府ができるだけその中に入って、そして、犠牲をこうむられた方々、その御父兄や
関係者の方々の立場に立って、
政府から現地に赴いている者は、そういう皆さんの立場に立って強くアメリカ側と交渉したり、話し合っていく。この姿勢は貫くように、最初にすぐ、十日の日の午後から出ました桜田政務官、あるいは途中で参りました衛藤副
大臣、途中で望月政務官にかわりましたが、望月政務官、あるいは私も含め、河野
外務大臣、
防衛庁長官すべて、アメリカ側といろいろな
お話をしていく中で、そのことをいつも念頭に置きながら、犠牲をこうむられた皆様のお気持ちだけはしっかり体して、その皆さんの
お話がしにくいこと、その皆さんが言ってほしいと思うこと、疑問に思っておられること、遺憾に思っておられること、そのことをかわって代弁をしていく、そういう姿勢を私どもはやはり貫いていくべきだ、こういう指示を、私は、それぞれ、
外務省その他
関係の省庁には指示をしてきました。
ですから、長くなって恐縮ですが、例えばアメリカ流の
考え方からいえば、あの深いところで掘るというのはなかなか大変なんだというふうに、ある
意味ではあっさりとそういう
答えを言う方もあったようです。しかし、それでは
日本側は、御父兄のお気持ちを
考えて、あそこに深海船を潜らせて、そして調査しましょうよ、それはできないんだろうかと。
私はもう十二日の朝には、桜田君からそういう連絡が参りましたので、すぐ町村文部
大臣、伊吹担当
大臣に申し上げて、
日本にそうした深海調査のすばらしい船があるんだから、もしアメリカができないと言うのなら、直ちに
日本が持っていったらいいよ、その
準備もしたらいい、十二、三日かかるということでしたから、それでは一遍分解して、そしてカーゴに載せていって向こうで組み立てるという方法だってあるんじゃないのかなということなどまで指示をし、あくまでも
日本で、船底まで見るよということを強く言いましたら、アメリカも、自分のところにそういう調査するものがあるということで、調査にかかったということであります。
ですから、一々申し上げませんけれども、そうしたことがこの十日から以後、随分ございました。その都度、
日本の
考え方、
日本人の
考え方は当面強く出していくということだと思う。しかし、アメリカも、大統領を初め、今、海軍大将も見えていますけれども、とにかく、遺憾であったこと、自分たちに非があること、謝罪をしているということ、これは確かに、従来にないぐらい絶え間なく、いろいろな形でおわびをされているわけです。
おわびがあったからそれでいいというものではないと思いますし、そういう中に、日米間の何か大きな不信感のようなものが出てきてはやはりいけない。そこはまた
政府も十分そのことを
考えながら、何とかして、今、御父兄の皆さん方が求めておられることを解決でき得ないだろうか、まずそのことをやり遂げられないだろうか、そのためにぜひアメリカ側にも協力してほしい、これは
日本人の価値観なんだからということで申し上げているわけであります。
また、御指摘どおり、ワシントン・ポスト等では、これはアメリカの形の文化性というか、アメリカ製の
考え方の価値観で述べられている点もあるんだろうと思いますけれども、アメリカの皆さんのお
考え、すべてこうであるというふうに私は思っておりません。