○植田至紀君
社会民主党・
市民連合の植田至紀です。よろしくお願いします。
きょうは、心なしか空席が目立つようでございますが、最後まで御着席の議員各位に敬意を表しますとともに、いましばらく御清聴をお願い申し上げます。
さて、私は、
小泉内閣に対する
抵抗勢力としての
社会民主党・
市民連合、そして、一人一人の命、暮らしにまなざしを据えた
政策を実現し、それを目指す、そういう意味
においての
抵抗勢力としての
社会民主党・
市民連合を代表して、
銀行法等の一部を改正する
法律案に対して
質問をさせていただきます。(
拍手)
その前に、二言ばかり。
一点は、きょう、在外被爆者への被爆者援護法適用に係る大阪地裁判決にかかわって
政府が控訴をされたという点、これは非常に遺憾と私は思います。怒りを禁じ得ません。(
拍手)
さて、去る八日、大阪教育大学附属池田小学校で起きた事件によって、犠牲となられた方々の御冥福、負傷された方々の一日も早い御回復をお祈りいたしますとともに、関係者の皆様方にお見舞いを申し上げます。
この痛ましい事件によって、子供
たちや保護者を初めとする方々が受けた心の痛手は想像を超えたものがあるでしょうし、また、その影響は、実際の被害に遭われた方々にとどまるものでないことも、周辺の各自治体が受け付けた相談の実態からも明らかになっています。
しかし、今回の事件のように、陰惨をきわめる事件であればあるほど、心的外傷後ストレス障害への対応を、これまでのような自治体任せにするという方法では、限界があることもはっきりしています。自治体や学校の主体的な
取り組みなどを強力に支援していくためにも、専門性を有し、広範かつ機動的に対処できる十分な人員
体制による対応組織・チームの養成、組織化が何よりも急がれると考えます。
総理にはかかる御決意がおありか、明確な答弁を求めたいと思います。
実際の被害に遭われた当事者や関係者の方々の容疑者に対する怒りというものは、筆舌に尽くしがたいものでありましょう。そのことを正面から受けとめるとともに、このような事件を防ぐための
システムをどう構築していくかが、政治に求められる課題でしょう。その要諦は、社会全体の健全性や包容力の
向上などに見出されなければならないと思うのです。
政治に要請されるかかる立場からすれば、
総理が、事件翌日のインタビューで、容疑者に対する精神鑑定の前であるにもかかわらず、精神障害者の犯罪に関する刑法改正を含めた法
整備を早急に図ることに言及されたことは、軽率に過ぎると言わざるを得ないと思うのであります。
この発言は、社会復帰を目指して精神障害の治療に努める患者の方々や関係者に対する過剰な反応、また、開放治療へのいわれざる圧力を生みかねないものであると、やはり厳しく
指摘しなければならないと思います。
この点については、森山法務大臣に、
総理の発言についていかなる御認識をお持ちか、お伺いいたします。
もちろん、
総理、政治が国民の声に謙虚に耳を傾け、その声に、誠実に、そして迅速に対応すべきことは言うまでもないことです。それはよくわかります。しかし、一方で、国民の方々の冷静な
判断と理解を促すために、困難が伴っても、その責務を全うすることも同時に求められていると思います。いやしようがないともいえる心の傷を負った方々に対して、かすかな光明に至らなかったとしても、政治が今なすべきこと、これを、私自身、思わずにいられません。
そこで、
総理にお伺いいたします。
我が国では、海外に比べて精神鑑定の
システムの
整備がおくれています。正式な鑑定用の施設すらない現状にあります。幾ら優秀な鑑定の専門家がいても、犯罪に至った過程を検証するに欠かせない条件上の不備があるのです。また、既に
指摘されていますように、どのような治療が行われ、また、
措置入院の解除
処分が適切だったのかどうなのか、あるいは、
処分解除後のサポート
体制は十分だったのかというようなことに関して、担当者以外の専門家が具体的に提言が行えない、そういう問題についても意を払われてこなかったという事実もあるわけです。
これらの
整備や改善が求められている喫緊の課題に対して、万全の予算
措置も含めて、果断に取り組まれるのかどうか、確たる答弁を求めたいと思います。
では、
銀行法の改正案について、生活者の視点から明確にすべきことが求められる点について
総理にお伺いいたします。
本改正案は、異
業種からの
銀行業参入という
流れを踏まえて、
銀行の健全性を確保しつつ、
金融の
活性化を図ることによって、安定的な
金融システムを構築することを
目的とします。
なるほどトレンドにかなうものと、できることなら簡単にうなずきたいところなんですが、幾つか、やはり問いただしたいところがあります。
規制緩和の大合唱に必要以上に押されてしまったのではないだろうか、不易流行が貫かれるべき点がゆるがせにされていないかどうか、まず確認したいと存じます。
各国
においても、
銀行経営に対しては、
程度の差はあっても、何らかの規制を加えているのは、一般企業とは異なる存在意義を認めているからにほかなりません。それを支えるのが、公平性、健全性などの
経営理念です。これらは、
競争による勝ち負け、
経営効率のよしあしを
議論する立場とは、決定的に違う位相にあるものです。
それゆえに、本来は、一般
事業会社が
銀行に有形、無形の
経営支配力を行使し得る立場で
参入することに対して、厳し過ぎるぐらいの規制が講じられるのは当然だと思います。御見解をお伺いします。
経済活動の基盤、血液としての、言いかえれば、社会的インフラとしての
金融システムだからこそ、他業にない、手厚いセーフティーネットが張りめぐらされてきたのではないでしょうか。そのコインの裏表の関係として、
最悪の事態に備えた、事前の強力な予防的規制が加えられるべきことは、
金融行政のイロハであるはずです。
このことを
金融ビッグバンの三
原則になぞらえて整序するのであれば、フリー、グローバルの上位にフェアが置かれなければならないのじゃないでしょうか。要するに、フェアの実現のためには、フリーやグローバルは
一定程度阻害されることもしかるべきだという認識に立つことこそが、
銀行業への異
業種参入に踏み切った
金融行政に、今、求められている最低限の
姿勢ではないかと思います。明確な答弁を求めます。
さて、今回の改正は、
適格性等が満たされたとの
認定による異
業種の
参入が進めば進むほど、
金融の
活性化、安定化に資するという論理構成を持つものです。ならば、なおのこと、ペイオフの解禁は待ったなしとなるはずです。
世界の
金融史にもまれなる不名誉な名を残した延長を繰り返すことは、もちろんあり得ないだろうなと思いますが、あわせて、その点について御明言していただきたいと思います。
続いて、柳澤
金融担当大臣に伺います。
改正案は、昨年暮れの
金融審議会の
検討結果の具体化を図ったものであることは言うまでもありません。また、改正の
趣旨は、異
業種の
参入によっても、
銀行法上要請されている
銀行業務の健全かつ適切な運営の確保が影響されることのない枠組み
整備を目指そうとしたものであること
自体は、十分理解をいたします。
しかし、
我が国の
株主構成から見てもどんな意味を持つのか、読み取れへん箇所もあります。例えば、
経営悪化時の救済義務を課す輪切りが五〇%超となっていることなどです。ちなみに、五〇%超の水準は新生
銀行とかに限られます。とすれば、何のことはない、現実の発動をほとんど想定してへんのと違うやろかと思うわけです。
小泉内閣は、殊のほかお金持ちにだけお優しいのでしょうか、ささやかにそういう疑問が生まれてきます。
経営悪化時の
株主の救済義務がなぜ五〇%超にされる必要があったのか、
説明を求めたいと思います。
また、国際決済
銀行の
銀行監督の基本
原則では、出資比率一〇%以上の
株主を
審査の対象にしています。このBISの
原則に照らすのであれば、
原則二〇%以上というハードルの置き方は緩いのじゃないかという疑問も生まれてくるでしょう。
同時に、
主要株主に対する
報告等の
徴求や立入
検査に関して、必要な限度
においてという自己制約的な道を選んだことは、理解に苦しみます。
銀行業にはおよそ当てはまらない、無定見な
規制緩和論に押し切られたのと違うやろかという勘ぐりもせざるを得ない部分なんです。社会的インフラとしての
金融システムのほころびを最小限に抑えるためにも、必要にして十分な
検査を行うことが求められるんと違うでしょうか。この点についても答弁を求めます。
さて、最大の争点でもあるでしょう、子
銀行が親会社の
資金調達機関になる、いわゆる
機関銀行化を防ぐための弊害防止
措置が十分機能し得るんかということについても、ただしておきたいと思います。
グループ企業の存在
理由は、
一定の
経営理念に基づいて統合体の一員としての企業
活動を行うということに端的に見出せると思います。アームズ・レングス・
ルールの効果については、表向きは
一定のことが期待できるにしても、強固な
企業グループの行動原理を前にするのであれば、どこまでその有用性を保ち得るのか、心もとなさも否定できません。今回の弊害防止
措置で
機関銀行化が防ぎ得ると断言できるとするのであれば、その根拠をお示ししていただきたいと思います。
さらに、異
業種参入の
時代における
銀行業の公共の
利益を最優先する態度を確立する
観点から、
検査充実のためのマンパワーの拡充を含めた
体制整備のあり方、また、
消費者保護と
銀行業法などとの整合性を追求していくための
日本版
金融サービス法ともいえる、
金融商品の販売等に関する法律のさらなる拡充強化などに取り組む用意がおありなのか、お伺いいたします。
最後に、
経済財政諮問
会議が取りまとめた、今後の財政運営及び
経済社会に関する基本
方針にかかわって、
総理に伺います。
総理を支える
与党の中から、その内容に関して、とりわけ道路特定財源の見直しに関して、自民党の
政策責任者が、一般財源にするとか環境汚染のために何とかするとか、話が飛び交っているが、一般財源にすることはないと述べたと伺っています。また、来年の国債発行額を三十兆円以下にすることに関連して、
与党から、歳出削減を強調し過ぎだという異論が出ているとも伺っています。どうもこうした声は
総理の意向とは逆行するものではあらへんかと思うのですが、御見解をお伺いします。
また、
与党には、諮問
会議の
方針に対する
意見の集約を参議院選挙後に先送りする意向が強いとのことですけれ
ども、本来であれば、選挙前に公約として発表して、国民に信を問うのが当然ではないでしょうか。私の申し上げていることは決して不自然ではないと思いますが、
総理、御
所見をお伺いいたします。
さらに、
総理は、常々、
改革には痛みが伴うと強調されておられます。
改革の理念の向こう側には、
経済の停滞、マイナス成長、企業
倒産、そして、失業の増大という現実が待っているのです。痛みの中身が何なのか、国民に具体的に明示していただきたいのです。
国民はみんな貴乃花じゃない。痛みを辛抱したくても我慢できない、しんどい国民がたくさんおるわけです。そういう国民に対して、どんな痛みがあるのだ、こういう痛みがあるのだ、理解を求めるなら具体的に示すのは、やはり政治のトップに立つ方の責務であろうと私は思います。その点についての具体的な御
説明を求めまして、私の
質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣小泉純一郎君
登壇〕