○黄川田徹君 私は、自由党を代表して、ただいま
提案のありました
地方自治法等の一部を
改正する
法律案に対して質問をいたします。(
拍手)
冒頭、さきの大阪教育大学教育学部附属小学校における殺傷事件で、犠牲になった八名の児童の御冥福をお祈りいたしますとともに、御家族の方々に心よりお悔やみを申し上げます。また、重軽傷を負われた方々の一刻も早い
回復を願うものであります。
今後は、
政府に、池田小学校の校舎の建てかえや児童の対策を早急に
実施することを要請するとともに、私として、一部勢力の反対により立法化が断念されている、他人に危害を加えるおそれのある者を隔離、治療する保安処分の立法化に向け努力する決意であることを表明しておきます。
しかしながら、この問題の本質は、単に法
改正すればいいなどというものではなく、この十年間、
経済の停滞を招き、教育制度を放置し続けてきたことによる社会の荒廃をもたらした結果が根底にあるのであり、政治の責任はまことに重大であるということを、あえて指摘しておきたいと思います。(
拍手)
さて、本題に入りますが、まず申し上げたいことは、私が以前から
委員会等で指摘していることであります。
政府・与党の方々も皆、こぞって、
地方自治の確立を声高々と主張されておられます。ぜひ、
地方分権確立のために与野党を問わず協力して、本当の意味での
地方自治の確立を実現させたいものであります。
しかし、なぜか、
政府・与党の方々が豹変してしまう事例があります。それは、国政
選挙等における
選挙演説などであります。
国政
選挙においては、与党候補者たちの多くが、中央とのパイプが直結していると声高々に叫び、訴えております。また、その
選挙に応援に行く総理、閣僚や自民党の幹部の方々が恥も外聞もなく言い放つ、何々候補が当選することによって何々事業が実現されるとか、省庁を挙げて応援しているなどという言葉などは、いやが応でも、中央の
地方支配や官僚の民間支配を如実に示しているのではないでしょうか。
本当に
地方自治を尊重し、
地方自治を確立させようと
考えているのであれば、まず、次期参議院議員
選挙から、このような
地方自治を否定するような
選挙演説や応援演説はやめることから始めるべきであると
考えますが、
総務大臣及び政治家の立場としての官房長官の御
意見をお伺いいたしたいと思います。(
拍手)
次に、
地方財源の問題について伺います。
小泉総理は、将来の
財政支出増要因として、社会保障経費、
地方へ交付される経費、
公共事業費の三つを挙げておられました。具体的な削減方法を伺うには至っておりませんけれども、
地方交付税の減額も視野に入れていると聞いております。しかし、一方では、
地方債等の残高が
平成十三年度末の見込みで百八十八兆円にも上り、多くの
地方公共団体がその返済のために血のにじむ思いをしている現状もあるのです。
地方行政のあるべき姿と、それに必要な抜本的な
地方行
財政制度の改革の議論のないままに、ただ単純に
地方交付税を減額することは、赤字
財政に苦しむ
地方公共団体に死を宣告する行為であります。
まず、
総務大臣に、小泉総理が主張されている
地方交付税の減額問題に対するお
考えをお伺いいたしたいと思います。
また、
地方公共団体に対する国の
補助金制度及び広範囲にわたる国の
公共事業が、
地方自治の本旨を妨げ、特色ある地域づくりを阻害しているだけではなく、一部の地域においては政治と行政、業界団体の癒着の温床となっていることは、言うまでもありません。
これらの構造的な問題を解決するためには、国と
地方を通じた税財源の再配分を断行することが必要であります。そのためには、まず、国の事業
補助金や
負担金を原則として廃止し、その分の財源を
地方公共団体に移譲することを早急に
実施するべきであります。
なお、最近、
道路特定財源の一般財源化が問題となっておりますが、単に、国土交通省の利権が財務省の利権になるだけにすぎません。
地方公共団体の道路事業などに代表されるさまざまな事業
補助金を一括して
地方に交付することによって、
構造改革の名に値する、
地方分権のための施策になると
考えます。
これら国と
地方を通じた税財源の再配分問題について、特に、国の事業
補助金や
負担金を原則として廃止し、その分の財源を
地方公共団体に移譲することについての
総務大臣及び
財務大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。
それでは、次に、順次、本
法律案の具体的
内容についてお聞きいたします。
まず、
住民監査請求制度、
住民訴訟制度について伺います。
地方分権の
推進のためには、行政が住民に対して情報公開や行政評価等の
説明を
充実するとともに、住民による行政の監視機能の強化などの施策を
実施する必要があります。よって、住民監視制度において重要な役割を果たしている
住民監査請求制度や
住民訴訟制度についても、
地方分権の時代に即した、ふさわしい制度となるように、その機能を一層
充実させなければなりません。
この観点からも、今回の
改正によって、
住民監査請求制度に
監査委員による暫定的な停止の
勧告制度を
創設したこと、監査時の
意見聴取の場への
請求人の立ち会いを認めたこと、
住民訴訟制度において四号
訴訟に限られていた
原告勝訴時の
弁護士費用の
公費負担の
対象をすべての
訴訟類型に拡大したことなどは、当然であると思われます。
また、今までの四号
訴訟においては、住民が、長や
個人を
被告として、その財務会計上の行為についての
個人責任を追及するという形をとりながら、実質上は、
地方公共団体の政策判断や意思決定について、その合法性、違法性を争う事例がありました。この場合だと、長や職員が
個人として、住民と政策判断の
是非を裁判で争わねばならず、しかも、その
費用も自己負担であるという問題点が指摘されておりました。
今回の
改正で、新四号
訴訟の
被告は
地方公共団体の執行機関になるなどの改善がされたことは、一定の評価ができるものでありますが、別の観点から見ると、長や職員の
個人の不法行為についても責任を隠すことになるのではないかとの指摘も出ております。この点について、
総務大臣の見解をお伺いいたします。
次に、
市町村合併の
推進について伺います。
地方公共団体を真の
地方分権の担い手とするには、
市町村の
合併を強力に
推進し、一定規模の行
財政能力を持つ
地方公共団体をつくることが必要であります。これは、住民サービスの観点からも一目瞭然であります。介護制度などを例に見てもわかるように、一定規模の行
財政基盤を持たない
市町村が単独では行えない事業は多々あります。
しかしながら、
市町村合併は思うように進んでいないのが現状であります。
市町村合併を行うための過程としては、まず、当該
市町村や住民の発議により
合併協議会を
設置しなければなりませんが、今までは、住民発議が行われても、当該
議会の反対などにより、
合併協議会設置に至らない場合が多く見られました。
その観点から、今回の
改正案で、住民発議による
合併協議会設置の
議案が
議会で否決された場合に、住民からの直接
請求により
合併協議会の
設置の有無に対する
住民投票が行えるようになることは、地域住民の意向がより反映されることになると思われます。
ただ、
合併についての最終判断は、従来どおり、長と
議会が決定するという問題点が残されたままになっております。
合併によって定数削減の
対象となる長や
議会が、その地位を守るためと住民から誤解を受けないためにも、この点について、迅速に改善すべきであると
考えます。
なお、
市町村合併についての今回の
改正案は、あくまでも技術的な面における
改正にすぎず、今後、早急に
地方公共団体の再編に対する抜本的な改革案を策定、提示しなければならないことは言うまでもありません。
自由党は、
地方公共団体を当面千に、最終的には三百に再編するということを主張しております。確かに、
地方自治の本旨にのっとると、
市町村合併は当該住民の意向に任せるべきではありますが、国としても、
市町村合併を進めた上での最終的な
地方公共団体のあり方等についての青写真は策定しておくべきであります。
市町村合併についての
総務大臣の具体的な
考えをお聞きいたしたいと思います。
次に、
中核市指定のための
要件緩和について伺います。
中核市制度は、
地方分権を積極的に
推進することを目的として、第二十三次
地方制度調査会の広域連合及び
中核市に関する答申を踏まえて、
平成六年の法
改正により
創設されたものでありました。そして、既に二十七市が指定を受けており、
地方分権の
推進に大変役立っております。
ただ、
中核市の指定条件として、
人口が三十万人以上かつ面積が百平方キロメートル以上であることとの
要件が定められております。確かに、それぞれの市の規模により事務能力が異なることを考慮すると、
人口要件は必要であると
考えます。しかし、
面積要件については疑問が残ります。
今回の
改正では、
人口五十万人以上の市については
面積要件を撤廃するとしていますが、その
理由が、
対象となる市が三市しかないから都道府県の行政サービスの提供が非効率にはならないということでは、
地方分権の
趣旨を全く無視した、本末転倒の話であると断ぜざるを得ません。
人口が三十万人以上の市においては、面積の大小はあったとしても、行政需要のまとまりや行
財政能力などの事務能力については、ほぼ同等のはずであります。この際、
地方分権推進の観点から、
中核市指定の条件から
面積要件を撤廃すべきと
考えますが、
総務大臣の見解をお伺いいたします。
最後に、一言申し上げます。
現在、
地方自治は、民主主義のかなめとして、制度的には確立しております。現行憲法においても、第八章という独立した章を設け、
地方自治に関する諸原理と基本的制度を保障しておりますが、あくまでも、制度的に保障されているだけにすぎません。
地方の自立性が阻害されている現状は言うまでもなく、早急に、本当の意味での
地方自治を確立する必要があります。
自由党は、中央が許認可権や
補助金等で
地方を縛り、陳情政治や官官接待等で
国民の税金の膨大なむだ遣いを生んでいる現状を改め、
地方のことはそこに住む住民自身が決定できる
地方分権社会をつくるために全力を尽くすことを表明いたしまして、私の質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣片山虎之助君
登壇〕