○保坂展人君 社会
民主党・
市民連合を代表して、
政府の
緊急経済対策と
関連法案に対して
質問を行います。(
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その前に、緊急にお聞きしたいことがあります。
まず、
総理に
伺います。
本日、五月二十五日は、二週間前の五月十一日、熊本地方裁判所で下されたハンセン病訴訟で敗訴した国側の控訴期限となっておりました。一昨日、元患者の皆さんの強い訴えを官邸で聞いた直後の
小泉総理が控訴断念を決めたことに、私たちはほっと胸をなでおろしました。土井党首は、熊本地裁判決を翌日に控えた代表
質問の席で、
小泉総理に対して、「人として死にたい、この叫びをしっかり受けとめて、判決が出ましたら潔く全面解決に向けて
努力をすべきだと考えますが、いかがでございますか。」と、元患者さんの声と痛みを受けとめるように求めましたが、結果としてそうしていただいたことを喜びたいと思います。(
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その直前まで、控訴の後には和解という役所のメンツ最優先の厚生労働省、法務省を中心とした抵抗は、いわれなき差別と偏見に苦しみ抜いてきた元患者さんを絶望の奈落のふちの底に落とし込めることになるぎりぎりの線まで続きました。
私たち国
会議員も、立法の不作為を厳しく問われました。
国会は、その責任を認め、謝罪をしなければならないと考えています。しかし、このことを認めまいとする
与党との間で溝が埋まらずに、本日に至るまで、
国会決議は与野党間で決着がついていません。なお
努力は続けていきたいと思います。
元患者さんたちへの誠実かつ迅速な立法
措置と補償、そして恒久
対策、差別を解消する取り組みなど課題は山積みです。これからの内閣の
決意をしっかりとお聞きしたいと思います。(
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塩川財務大臣に率直にお答えいただきたいと思います。機密費をめぐる発言の忘却とその
修正についてでございます。
塩川大臣は、官邸機密費について、テレビ番組のインタビューに率直に答えています。その後、改めて問われると、「忘れました」。さらに、VTRを見て思い出すはずが、週刊誌に書いてあったのを、さも自分が経験したかのような錯覚に陥ってしゃべってしまったのかなという情けない釈明でございます。
政治の場で、言葉は命ではありませんか。真実でないことやごまかしを述べることを、うそと申します。塩川大臣の答弁は、みずからの発言に背を向けて、ひたすら自己暗示をかけているようにさえ受けとめられますが、しっかり答弁していただきたいと思います。すぐに忘れたり、錯覚に陥るようにはお見受けできないのです。本当に忘れてしまったり、錯覚に陥るのでしょうか。ここをきちんとお答えいただきたいと思います。(
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さて、
総理に
伺います。
今回の
緊急経済対策には、まず最優先でつくり上げなければならない将来不安の解消、そして、国民の生活再建に向けたプログラムが示されていないのではないでしょうか。
構造改革には痛みを伴うと予告されているその痛みとは、ずばりリストラという名の首切りであり、多くの失業者、離職者ではなく失業者が出るだろうと公然と言われています。これに対して、緊急雇用創出特別奨励金などの二、三の奨励金の拡充
措置などでは、これは
対策たり得ません。
労働者
保護、雇用の安定を図る雇用継続保障法などの
法整備を怠って、
企業再編、規制緩和のあらしを呼び込めば、生活破壊は一層ひどくなり、将来不安どころか現在不安に転じてしまいます。責任のある
見解を求めたいと思います。
国民に向けて痛みを伴う
構造改革を求めるのであれば、どうしても明らかにしてほしいことがあります。バブルを仕掛け、土地投機を雪だるま式に肥大化させた
金融機関の問題です。また、
不良債権の
処理をここまで放置し、資産を劣化させてきたのは一体だれなのか。そして、
国会で真実を明らかにせず、しらを切り通した国、当時の大蔵省の責任も当然に問われるべきなんです。
だれがいつ、今日の
不良債権の巨大な負の遺産をつくり上げたのか。その詳細な追跡調査をもとに、国民の前に真実の公開によって反省とおわびをする勇気が必要ではないでしょうか。ただいまも、放漫経営と無責任融資を続けてきた
企業と
銀行が厳しく問われているようには見えません。さらに、監督官庁として
機能せず、接待の海とまで呼ばれたほどの腐敗に甘んじた当時の大蔵省の責任、その責任を不問にして、国民にさらなる痛みを強いることが許されてよいはずがありません。徹底した調査を行うとともに、どのようにして国民の前に情報公開をしていくのか、具体的に示されたいと思います。
総理並びに
金融担当大臣に
伺います。
長い間、抜本的なメスが入らず、一体その総額が幾らに膨らんでいるのかもひた隠しにされてきた巨額の
不良債権の問題の解決は、避けては通れない課題です。そのために、
金融機関の抱える
不良債権をこれ以上先送りにしないで直接償却を行うに当たっては、その激烈な副作用についても十分に備えておく必要があるのではないでしょうか。融資継続を前提としない直接償却を適用すれば、借り手
企業倒産から子会社あるいは取引
企業などの連鎖倒産が起こる事態も十分予想されます。そのクラッシュの渦の中で、現在の優良
債権さえも
不良債権に転じてしまい、
不良債権処理の過程でまた新たな
不良債権が誕生するという悪夢を招いてしまう心配があるのです。どのようにして安全策を講じるのか、はっきり示していただきたいと思います。
九八年、九九年と二度にわたって注入された公的資金は、
金融機関の経営基盤を強化しつつ、信用供与を拡大し、善意かつ善良な借り手
保護や地域
経済の安定に役立てることにありました。とりわけ、中小
企業向け資金貸付枠を増大させることは、公的資金注入の可否を判定する
金融機関の経営健全化計画の中核的な要素であったはずだと思います。
したがって、直接償却を進める場合、善意かつ善良な中小
企業を
保護し除外する
政策をとることは、あの公的資金投入の
趣旨から見て当然であると思いますが、いかがお考えでしょうか。
財務大臣に
伺います。
不良債権処理の
対象となった
企業の再建
支援融資、DIPファイナンスについては、
日本政策投資銀行の事業
再生融資
制度の活用だけではなく、中小
企業に特化した仕組みを早急に整えるべきではないでしょうか。
政府系
金融機関、
銀行などが再建過程の中小
企業に運転資金を融資する仕組みを早く構築することが必要だと思います。
こうした応急
措置だけでは足りません。
金融担当大臣にお聞きします。
若い世代や女性、仕事がないのなら自分たちで仕事を生み出そうという、小さな資金で大きな夢を持って仕事を始めるベンチャー
企業などへ
支援策を考えることも重要です。NPOなどの非営利事業も含めて、地域に根差した、小規模だが夢のある、大きな夢を膨らませる事業に対して公正な融資を
金融機関に義務づけ、地域
経済を再建していく
日本版地域再
投資法の導入なども真剣に
検討するべきではないかと考えますが、御
見解を
伺いたいと思います。
総理に
伺います。
国が
市場をコントロールするような発想から抜け出せない
銀行保有
株式取得機構は、
銀行の
株式の持ち合い解消に伴う株価の値崩れを防ぐことにその目的があると言われています。損失が生じたときに、預金保険
機構の活用も含めて公的資金で保証するなどと語られていますが、
金融機関だけは特別扱いし、国民の血税を使って損失補てんをしようということは、断じて許されるものではありません。
この
機構に持ち込まれるはずの株は、ずばり言って、将来性が乏しい株、株価の低落が予想されるものばかりにならないでしょうか。
銀行が優良株をあえてこの
機構に手放すはずがないではありませんか。
株式評価損の
金融機関本体への計上を避けるためにこの
機構が使われるとすれば、本来なら持ち合い株の解消時に確定すべき損失額を目の前から消して凍結する、いわゆる飛ばし行為の損失補てんを税金投入で行おうということになるのではないかと疑問がわきます。明快にお答えいただきたいと思います。
金融担当大臣に
伺います。
今、
証券市場の
活性化に必要なのは、公平かつまた厳格なルールを確立することではないでしょうか。多くの国民が証券
投資に警戒の念を抱くのは、例えば、自社株消却をめぐるインサイダー取引疑惑、やみの勢力による株価操縦やいわゆる鉄砲行為、このような行為に象徴される
株式市場の不透明さにあると考えます。
こうした違法行為を取り締まる監視体制の強化、不正を二度と許さない厳格なルールの確立がしっかりしたものになって、ようやく
証券市場活性化の入り口にビギナー
投資家が立ちどまるのではないでしょうか。アメリカのSECの成果に学び、証券取引等監視
委員会が
金融Gメンとしての
機能を実質的にきちんと果たしていくための人員増も含めた
体制整備、権限強化に積極的に取り組むべきではないでしょうか。
財務大臣に
伺います。
証券
関連税制の見直しについては、現状の七百万人の
株式投資家向け、既存の
投資家や資産家向けの追加的優遇策の色彩が濃いもので、
税制の最大の原則である公平性の追求をゆがめてまで拙速に行う意義を見出すことができません。
経済政策としてより優先されるべきなのは、
現行のエンゼル
税制の仕組みを活用し、環境・福祉
関連分野の特定中小、ベンチャーに
投資する
個人を
対象とした優遇
税制のさらなる拡充などが考えられてよいのではないでしょうか。
総理と厚生労働大臣に
伺います。
さきに述べた最優先とすべき
経済対策の、将来不安の解消、国民の生活再建に向けたプログラムとして、私は、年金
制度の
改革が必要不可欠だと考えます。年金
制度の
改革とは、わかりやすい公平な
制度とすることであり、運営上のむだを徹底的に排除し、外部からのチェックが容易にできるように
制度をガラス張りにすることです。
例えば、厚生年金を管理運用している厚生保険特別会計の事務費の一部や、同特別会計の
業務を担当する社会保険庁職員の共済年金の掛金、これは
事業主負担金ですが、ここへ年金
加入者の掛金、保険料を一般会計に雑収入や前年度剰余金などの形で投げ込んで流用、充当するということは、もうやめるべきではありませんか。この雑収入や前年度剰余金は、国民の年金掛金が生み出したものではありませんか。明確に答弁を願いたいと思います。
また、巨額の年金
積立金を
市場で運用するということが始まります。旧年金福祉事業団における
積立金の
市場運用のあの失敗を総括するのであれば、百五十兆円の年金
積立金という国民の長期にわたる大切な資産を引き継ぎ
年金資金運用基金という特殊法人にゆだねることのリスクを真剣に考えなければならないはずです。
余りにも巨大過ぎる
投資家の存在は、
証券市場の健全な発展を妨げます。年金、郵貯、簡保等、国が管理する資金がそれぞれ計画どおりに運用されると、五年後、十年後には四十兆円規模になると言われています。
株式市場の時価総額四百兆円の一割に及ぶ国という名の巨大
投資家の存在は、海外から見て、公平で信頼できる
市場形成をみずから邪魔しているものとしか言えません。
年金
積立金の運用に関しては、アメリカ、イギリス、フランスで始まっているような物価連動
国債を発行し、その購入のみに限定し、慎重を期するべきだと考えますが、いかがでしょうか。
年金
積立金という大だるの底に入ったひびを修理し、その底から漏れ落ちてくる年金の流失をストップさせることから始めることが、今や急務と考えます。たるの底から自分の老後を支えてくれるはずの年金の掛金が漏れ続けていることを国民は感じているからこそ、公的年金
制度への不信感、不安感、そして不満感がぬぐえないということをもっと認識すべきだと思います。
この年金
改革なくして、どんな
経済政策をしても、
個人消費は伸びず、
株式市場は
活性化していかないと思います。
小泉総理が
議長を務める
経済財政諮問
会議では……