○
中井洽君 私は、
自由党を代表して、
小泉総理大臣の
所信表明演説に対して質問いたします。(拍手)
小泉総理は、
自民党総裁選挙を、
自民党を変える、日本を変えるというキャッチフレーズで戦われました。国民はその改革への意欲を高く評価して、高い
支持率を示し、それが
自民党員を動かして、玄人の予想を裏切る大差で物の見事に当選されました。
総理は私と同じ昭和十七年生まれであり、その意味からも、御就任をお喜び申し上げますとともに、大いに期待をするものであります。
総理は、当選十回、二十八年間の
国会議員生活で、しかも、そのうち十八年間以上を独身で
国会議員を続けてこられました。現在独身三年目で、いささか苦労している私から見れば、総理の今日までの
政治生活は並大抵のことではなかったろうと、重ねて敬意を表するものであります。(拍手)
さて、総理、国民は、本当に総理が主張されてきた改革が実現できるのかどうかを半信半疑ながら見守っています。今までの
自民党と違う、また今までの総理とも違う政治を行うかもしれないという淡い、せつない希望をあなたに託しているのであります。
しかし、七日に行われた
所信表明演説や昨日の本会議での議論を聞いて、国民の期待は物の見事に破られました。総理の発言や政策は、
具体論はすべて
先送り、トーンダウンと詭弁の連続で、まさに
羊頭狗肉、看板に偽りありと断ぜざるを得ません。(拍手)
総理は、組閣に当たっての発言や
メーデー等のあいさつで、驚天動地、革命的、
政権交代と同じような意味を持つと、みずからの政権を自画自賛しておられましたが、その意味するところは、結局、
田中派、経世会、
橋本派と続いた
自民党の
巨大派閥に
総裁選挙で勝利したと言っているのにすぎないのではないでしょうか。
橋本派からの入閣が少ないというだけの内閣であり、政策的に
森内閣とどこがどう違うのか、皆目わかりません。個性とかでなく、政策的な違いがあるというのなら御説明ください。あなたが派閥の長として支えてきた
森内閣ですから、変わらなくて当然ではないでしょうか。それを、革命的などと
マスコミを通じて宣伝しているだけにすぎないのであります。
また、任期中は閣僚をかえないと言っておられますが、留任された七人も含めてかわらずにいかれるのか、
お答えをください。
総理は、しばしば、
自民党の
解党的出直しの決意を語っておられます。結構なことですが、本当におやりになれるのですか。おやりになるというのであれば、まず最初に、
ゼネコン汚職事件で
東京高裁において
実刑判決を受けた
中村喜四郎代議士に関して、野党が共同で提出した
辞職勧告決議案に賛成するというのはどうでしょうか。(拍手)
新聞報道によれば、本会議で採決されれば公明党さんも賛成されるということだそうであります。
自民党総裁としての考えをお伺いいたします。
総理は、就任後の
記者会見で、
首相公選制について、これに限った
憲法改正を行うべきであると発言されました。
所信表明では、「早急に
懇談会を立ち上げ、国民に
具体案を提示します。」と述べられるにとどまりました。
首相公選制については、私たちもいろいろな論議をしてまいりましたが、
天皇制との
整合性の問題、政党の役割や存在、
二院制の是非等々、大変難しい関門が立ちふさがっています。そこで、
首相公選制よりも、私は、
参議院の
あり方や
役割分担等の改革を憲法を改正してでも行うべきだと考えていますが、いかがでしょうか。
戦後五十数年を総決算し、「新
世紀維新」を断行しようという総理の意気込みはわからないわけではありませんが、それならば、戦後五十数年の日本を形づくってきた基礎である憲法全体をなぜ見直そうとしないのでしょうか。
現行憲法を変えずに聖域なき改革ができるとお考えでしょうか。
また、
憲法改正以前の問題として、改正しようにもその
手続制度すら整備されていないのが実情であります。改正するにしろ、
現行憲法でやっていくにしろ、
改正手続が明確にされていることが
法体系として当然の姿であります。そのための
国会法の改正や
憲法改正国民投票法の制定をまず急ぐべきであると考えますが、総理の御所見を承ります。
総理は、就任後の
記者会見で、
自衛隊が軍隊でないというのは不自然だと述べられました。まさにそのとおりであります。従来の
政府解釈を変更して、
自衛隊を軍隊であると発言されていかれるのか、今までどおりのあいまいな答弁に戻られるのか、
お答えをください。
また、
集団的自衛権について、総理は行使を認める発言をされていたにもかかわらず、与党の
党首会談の席で、よく検討する、
政府解釈を変えるのは難しいのはわかっていると述べられました。
所信表明では一切触れられておりません。
政府解釈を変更するか否かは、総理の
決断一つでできるのであります。明確な答弁を求めます。
さらに、総理は、
有事法制の検討について意欲を示され、「治にいて乱を忘れず」と引用されました。しかし、
有事立法の
法制化問題は十数年前から国会でも繰り返し論議され、私も何度も
法制化を提言してまいりました。しかし、そのたびに政府・
自民党の手で見送られてきたのが現実であります。国会内での「治にいて乱を忘れず」ばかり考えて、
安全保障の根幹の
法制化を見送ってきたのは、あなた
たち自民党であります。
昨年、
自由党も与党として加わっていた
プロジェクトチームからの申し入れを受け、既に政府は検討に着手しているはずです。肝心な点は、国会に法案を提出する期限を明示することであります。はっきりとした
指導力を発揮すべきだと思いますが、
小泉総理のお考えをお示しください。
次に、五月一日に、
北朝鮮の
金正日総書記の長男である
金正男氏と見られる男性が
偽造旅券で
不法入国を図り、
入国管理局に身柄を拘束されたという事件について
お尋ねをいたします。
政府は、刑事告発することもなく、この男性を含む男女四人に
退去強制令書を執行しました。一体、この処分をだれが決めたんですか。報じられたところによると、
内閣官房副長官と法務省、
外務省、警察庁の三
省庁幹部で検討し、
不法入国容疑で告発すべきだという意見を押し切って結論を出したと言われています。
総理は、
記者団に対し、
法的手続には落ち度がなかった、適切な措置がとられたと言われていますが、果たしてそうでしょうか。私は、この決定はまことに不適切、恥ずべき決定だと考えています。
この決定のとき、法務大臣、
外務大臣は一体どこにおられたんですか。どう関与されたんですか。このようなときに役人にまず判断をさせるという方法は、さきの
米原潜の事故に対する
森内閣の対応と同じであり、また、先般の李登輝前
台湾総統の訪日問題で、
書類申請がなされたにもかかわらず、受理していないとして処理しようとした姿勢とも全く同じであります。なぜ大事を役人に任すのですか。なぜ
政治家が決断をしなかったのですか。
自民党の古い習慣と依然として変わっていないではありませんか。
本人と確認できなかったとして
退去強制にしましたが、
金正男とわからなかったのなら、
ビジネスシートを全席独占させ、
外務省高官数人がなぜ北京までついていったんですか。全く
国辱物ではありませんか。わざわざお見送りした理由をお聞かせください。
金正男と言われる男の指紋や写真をきっちりとったと信じますが、どうですか。また、パスポートには三度日本に入った印があったと言われていますが、事実ですか。その年月日はいつですか。三度も入国しているのなら、その目的は、また
会見相手はだれだったんですか。
北朝鮮から韓国に亡命した元
特殊工作員は、日本へ入国することは食事中トイレに行くぐらい易しかったと供述していると言われています。
日本赤軍、
重信房子容疑者も、逮捕するまでに何度も
密出入国を繰り返していました。そんなに簡単なものでしょうか。
小泉総理は、事件後、
検査体制強化を命じられたと聞きますが、
沖縄サミットの
特別予算等でかなりの
近代化を進めたはずですが、どんな対策をされるのか
お答えをいただくとともに、今回の政府の対応に猛省を促します。
扶桑社の
教科書が検定に合格し、内外で各種の論議が起きています。
田中外務大臣は、就任後のインタビューの中で、
扶桑社の
教科書について、歴史的事実をねじ曲げているし、そう言おうとしている
人たちがいると批判をされましたが、五日後の
記者会見では、じかに見ていないので、ぜひ手に入れて、どういう表現があるか自分の目で確認したいと修正されました。
なぜ、読みもしないでああいう発言をされたんですか。一部
マスコミに迎合する姿勢と言わざるを得ません。
外務大臣は、その後、実際にごらんになってどう思われたか、
お尋ねをいたします。
次に、対
米関係について
お尋ねいたします。
総理は、就任前、
日米友好関係という言葉を使われていましたが、さすがに
所信表明では、「
日米同盟関係を基礎にして」と直されました。
私どもが知る限りでは、
ブッシュ政権の
北東アジア政策は、
クリントン時代とかなり違いがあると思います。総理はアメリカのこの
政策転換をどのように認識されているのか、お聞かせください。
また、新たな
ミサイル防衛システム導入について日本に同調を求めていると言われておりますが、総理の御判断もお聞かせください。
米アーミテージ国務副長官との会談を
田中外相はいわゆるドタキャンされました。また、外相は、副長官が総理と会談されるのも反対されたと言われています。
日米関係上も、また、副長官が常に日本に関して温かい関心を寄せている
米高官であることを考えても、
外務大臣として極めて不適切な対応であったと思いますが、総理の見解はいかがでしょうか。
北方四島について、総理は、就任後の
記者会見で、あくまで四島は日本の領土だと
ロシア側に認識してもらいたい、この確認ができれば、
返還方法は一括、一時でなくてもよいと述べられました。しかし、
田中外務大臣は、過去の
外務省の二島
先行返還論を批判し、
外務省の人事を覆すなど、はっきり四島
一括返還を主張し、総理や
自民党内部と食い違いを見せています。
閣内不一致を思わす外相の言動を総理はどう判断されますか。
総理は、
構造改革なくして
景気回復なしと言い続けておられます。これは私
ども自由党が結党以来主張してきたことであり、本当に実行されるのならば、遅きに失したとはいえ、賛意を表します。しかし、何を、どのように、どういう順番で改革するのかといった各論については、残念ながら明確にされておりません。
自由党の
日本一新のための
構造改革は、大胆な
規制緩和・撤廃を実施し、官と民のくびきを断ち切ること、すなわち、あらゆる業種を規制している各種の業法を廃止するとともに、
特殊法人を原則民営化し、民間が国の関与なしに、みずからの才覚と
自己責任で自由に
経済活動ができる体制をつくることであります。
自民党の長年の体質である業界の利益を国が守るという政官業の
癒着構造を断ち切り、天下りをなくし、
族議員をなくし、小さな政府と元気な民間を実現するものであります。
小泉総理は
自由党の
改革政策をどのように考えられるか、
お尋ねいたします。
また、所信では、長年の御持論である郵政三
事業民営化について、二〇〇三年に「
公社化を実現し、その後の
あり方については、早急に
懇談会を立ち上げ、民営化問題を含めた検討を進め、国民に
具体案を提示します。」と述べられました。
小泉総理はこれだけを粘り強く主張し続けられてきたという印象が国民の中にも深くしみ込んでいます。そのたった一つの政策でも、
具体論を提示せず、
懇談会にゆだねるとしています。これでは、総理の他の改革も迅速に、また実際に行われるとは到底思えませんが、いかがでしょうか。
次に、
地方分権の推進について伺います。
我々は、
地方分権の推進という改革も大事な柱と考えています。現行の、小さい
行政区分であればあるほど国から
補助金が多くおりてくるという発想や体質や制度を変え、地方自治体がみずから財源を決め、
行政サービスをみずからの手で十分行える規模、また
高度情報化社会にふさわしい
市町村規模、すなわち、五百から三百の市に全国を再編成することが
地方分権の根幹だと考えますが、総理のお考えを
お尋ねいたします。(拍手)
次に、
金融機関の
不良債権の処理について伺います。
総理は、二年から三年以内に
不良債権の
最終処理を目指すと公約されました。現在の
破綻懸念先以下の直接処理の
対象金額は約二十四兆円と言われております。これに対し、
金融機関の
個別引当金が約八兆円あり、十六兆円が処理しなければならないネットの金額になります。
担保価値の評価にもよるため具体的な金額は明確にはなりませんが、三兆円から五兆円程度の
追加コストが必要と言われています。
小泉総理は、たびたび、経済の
マイナス成長を覚悟してでも改革をやると言っておられますし、また、
現行各種計数から見て、十三年度の
日本経済は
マイナス成長に陥る
危険性がかなり高いのも事実であります。その場合には、
要注意先債権六十兆円が
不良債権化する
可能性も大いにあり、
追加コストが大幅に増加し、銀行の一年間の
業務純益三兆円を三年分使っても処理できず、
公的資金導入をせざるを得ないと考えますが、総理はどう御判断されていますか。
一方、
国債発行三十兆円という枠を公約どおり守られるのならば、
公的資金導入の余地は全くなく、
不良債権の処理は不可能となりますが、総理の御所見を伺います。
また、
株式取得機構について、
市場メカニズムとの調和を念頭にと述べられていますが、このことは相矛盾することであり、無理があると考えますが、どのように両立させるおつもりでしょうか。
財政再建でプライマリーバランスを均衡させるという方針は評価するものであります。私
たち自由党は、血のにじむような
行財政改革を実行し、また、
景気回復を図り、増税なしで五年ないし七年でバランスの均衡を回復すると公約いたしております。総理もたしか、増税なしでと言われておりますが、所信ではその言葉が消えており、また、年数については何も触れられておりませんが、どうお考えでしょうか。
次に、
社会保障について伺います。
大切なことは、世界に例を見ない速さで
人口構成が変化する中で、
社会保障のビジョンを明確に示し、社会を担う
現役世代の人々の
保険料負担累増の懸念を払拭し、他方、お年寄りの
給付水準引き下げへの心配を取り除くことにより、国民全体が安心と安定を確保し、
生活設計を描きやすくすることにあります。
総理は、
社会保障について、年金、医療、介護の三本柱について、「自助と自律」を基本に
高齢世代と
現役世代の
負担均衡を図り、持続可能な制度を再構築するとしておられますが、これは
歴代総理も皆、言ってきたことであります。
総理は、
厚生族と言われ、
厚生大臣も経験され、
社会保障政策に詳しいはずですが、所信では具体的な政策は何も述べられていません。もし、このまま
社会保険制度を維持しようとするのであれば、給付の
引き下げと
保険料の引き上げを何年かごとに繰り返す、従来と同じ手直ししかできないことは明らかであります。
私
たち自由党は、
消費税の使い道を
基礎年金、
高齢者医療、介護といった
基礎的社会保障の財源に限定すれば、自律と自助の線引きの
明確化が図られるばかりでなく、世代間の負担の均衡が図られ、あわせて
財政基盤が安定し、持続可能な
社会保障システムが構築されると今日まで主張してまいりました。これは総理の
政策目標に合致すると考えますが、これに対するお考えをお聞かせください。
次に、教育問題について伺います。
今日の日本の
社会情勢を見るとき、あらゆる改革の中でも
教育改革は、最も重要であり、最も急がれる課題であると私は考えています。教育の基礎であり、戦後五十数年の日本の教育を形づくってきた
教育基本法についても、具体的な
見直し案を提示し、早急に国民の賛同を得るべきです。
教育基本法については幅広く
国民的議論を深めるという総理の姿勢では、従来どおりの
問題先送りと何ら変わりはないではありませんか。
森内閣と何らかの違いがあるのかを含めて、総理の御所見を伺います。(拍手)
環境問題への取り組みにしましても、総理が所信でお触れになった、すべての
公用車の低
公害車への切りかえや
循環型社会の構築といったものは、この十数年間、常に国会でも議論され続けてきた問題であり、今までほとんど手つかずにしておいて今ごろ言うかと率直に思ったのは、私一人ではないでしょう。
例えば、おいしい水と簡単に言われますが、
ガソリン代より高いペットボトルの水が飲まれているという現実は、私が少年のころでは到底考えられなかったことであります。今、おいしい水を供給するためには、
自然環境保全や住環境の整備などさまざまな課題が山積していると思いますが、総理はどのような
具体的方針を掲げておいしい水を確保されようとするのでしょうか。
また、総理の言うごみゼロ作戦にしても、その思いや
方向性は私も大賛成ですが、必要なことは、
精神論ではなく
具体論です。例えば、自治体の
合併推進と同時に、広域圏を想定した
廃棄物処理体制の整備の
あり方の確立や、再利用可能な資源の需要と供給を効率的につなぐ
物流システムをどのようにするのか、さらに、
排出者となる
消費者や
生産者に対してどのような
環境倫理を説明するのか等、ゼロという設定をした以上、国民が納得できる
作戦内容を提示すべきと考えますが、いかがでしょうか。(拍手)
総理は、都市の再生について触れられ、都市の魅力と
国際競争力を高めるため、
都市再生本部を設置すると述べられました。
私は、国民に改革の
必要性を理解していただき、長年続いた東京一極集中や各県の
県庁所在地一極集中という、いびつな日本の
都市構造を再生するためには、
首都機能の移転が一番ふさわしい政策と考え、現在も
国会移転の
特別委員会で議論をいたしております。総理は、
国会決議のもとに進められている
首都機能移転について、
都市再生と絡めてどのようにお考えでしょうか。
次に、与党三党の
政策合意について伺います。
本来、
連立政権は、合意した政策を実現するために連立を組むものであります。
小泉総理は、
総裁選挙中、かなり思い切ったことを発言され、公明、保守二党に大いなる不安感を与え、
小泉総理以外の方が
自民党の総裁になることがベストと、公明、保守両党の幹部がたびたび口に出されていたことは周知の事実であります。
小泉総裁になれば連立さえ危うくなると言われていた中で、わずか十五分の
党首会談で
連立政権政策合意が決められたのですから、あきれて物も言えません。この
政策合意は、極めて妥協的で、あいまいなものであると言わざるを得ません。
例えば、
政治倫理を確立するため
協議会を発足させ、
国会改革を進めるとしていますが、森前総理が約束された
KSD幽霊党員の
実態調査はどうなったのでありましょうか。森前総理は、私の
予算委員会の質問に対して、
架空党員の存在が明らかになれば党費を返却すると答えておられましたが、
総裁予備選挙で
幽霊党員が続々発覚と報ぜられたように、
総裁選を通じて既に事実が明らかになっております。
自民党内の調査も既に十分おやりになったことと思います。今さら
協議会をおつくりにならなくとも、
KSD事件をはっきりと決着されることが
政治倫理の確立にとって一番効果的な行動だと考えますが、
自民党総裁の御決意を伺います。(拍手)
また、三
党合意では、平成十二年
国勢調査を踏まえ、
衆議院の
現行選挙制度の
見直しについて早急に結論を得るとなっていますが、これほど怪しい合意はありません。
現在、
衆議院選挙区
画定審議会が、昨年の
国勢調査人口に基づいて、
衆議院小選挙区の
区割り改定案について検討を進めています。言うまでもなく、一票の
格差是正は
民主主義の根幹にかかわるものであり、厳正に改正することが重要であります。しかし、三
党合意では、
格差是正についてではなく、
衆議院の
現行制度の
見直しについて早急に結論を得るとしています。
三
党合意の際に、現行の
衆議院小選挙区
比例代表並立制を廃止し、中選挙区を基本にした
選挙制度に戻すという話し合いが持たれたやに聞いています。これが事実とすればゆゆしき事態だと思います。さきの強引な
参議院選挙制度改革と同様に、選挙で負けるから
自分たちの都合のいい、有利な
選挙制度を導入するというのであれば、
民主主義も何もあったものではありません。
改革の最初のスタートとして、苦労して小選挙区を導入したのであります。改革を唱える総理として、この場で明確に、中選挙区への後戻りは考えていないと
お答えをください。
また、三
党合意には
永住外国人への
地方参政権導入について盛り込まれていませんが、どうなったのでしょうか。
さらに、
敗戦記念日の
靖国神社公式参拝について、総理は、いかなる批判があろうとも必ず参拝すると
総裁選挙中強調しておられましたが、
発言どおり、八月十五日に
靖国神社にいわゆる公式参拝されるのですか、明確に
お答えください。昨日の本会議で、小さな声で個人的にと答えられたように聞こえましたので、念のため
お答えをいただきます。
総理は、
所信表明の中で、国民、改革という二つの言葉を乱発され、最後には、米百俵の史実を引用され、痛みや我慢を説かれました。しかし、国民は、ここ数年間、
年金給付の
引き下げ、保険の
予定利率の切り下げ、
失業率の増大、
各種負担金の増加等々で、すさまじい痛みを既に十分感じています。なおその上に、国民は、金利ゼロに等しい預貯金をふやし続けて、莫大な国の
国債発行の増額を可能にし続けてくれているのであります。
これ以上どうやって国民に協力を求めるのですか。むしろ、痛みや苦しみを感じなければならないのは、国民ではなく、あなた
方政府・与党、とりわけ
自民党の方々ではないでしょうか。(拍手)政界と官界が一番改革がおくれていると国民は感じています。
日本を変えるとおっしゃるのであれば、
所信表明のような言葉だけの改革でなく、みずからのリーダーシップのもと、
自民党や官界が痛みを感じる
政治行政改革をまず最初に断行すべきと申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
〔
内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕