○国務大臣(谷津義男君) 中林議員の御質問にお答えします。
質問が多岐にわたっておりますが、まず、これまでの政策が輸入を急増させ、漁業を困難に至らしめたのではないかとのお尋ねでございます。
水産物の輸入の増加は、周辺水域の資源状態の悪化などによる漁獲量の減少や、所得水準の向上等に伴う消費者ニーズの
変化等の事情によるものでございます。
他方、水産物につきましては、
我が国沿岸で漁獲される魚種を中心としたIQ制度によりまして適切な輸入限度の枠を設定するなど、市場原理だけで律するような政策をとってきたわけではないところでもございます。
次に、経済産業政策が漁場と
環境の破壊につながったのではないかとのお尋ねでございます。
高度経済成長を背景に、海面の埋め立てによる漁場の喪失や水質汚濁等による漁場
環境の悪化が進み、これらが漁業に対して大きな影響をもたらした面もあったのではないかというふうに認識をしているところであります。
このような
状況に対処しながら、漁場の生産力の維持あるいは増大を図るため、これまでも、増養殖場や、まあ、ふやしていくということなんですけれども、そういう養殖の場や、それから藻場、藻の場ですね、それから干潟の造成等を進めるとともに、関係省庁とも一体となって、水質の保全等の漁場
環境の保全対策を講じてきたところでもございます。
関連して、水産動植物の生育
環境の保全についてのお尋ねがございました。
水産資源の維持増大を図るためには、生育
環境の保全及び改善が重要であるというふうに考えております。このために、これまで講じてきた漁場保全対策を今後とも適切に実施するとともに、
開発行為の実施に当たっては、水産動植物の生育
環境に与える影響が極力抑えられるよう調整を行うことによりまして、生育
環境の保全を図ってまいりたいというふうに考えておるところであります。
次に、水産業、漁村の有する多面的機能についてのお尋ねがございました。
水産業や漁村につきましては、水産物の供給以外にも、健全なレクリエーションの場の提供、伝統文化の伝承等の多面にわたる機能を有しておりまして、こうした機能は、今後、豊かで安心できる国民生活の実現に向け、その重要性はますます増大しているものと考えております。
このため、今回の
水産基本法案においては、水産業や漁村が多面的機能を有することを明確に規定するとともに、その多面的機能が国民生活及び国民経済の安定に果たす役割等に関する国民の理解と関心を深めるため、まずは情報提供を行うこととするなど、国民の理解と支持を得るために必要な多面的機能に関する施策を充実させていくとの方向を明らかにしているところでございます。
次に、食用魚介類の自給率目標についてのお尋ねがございました。
水産基本法案第十一条に基づく水産
基本計画において、漁業者等が取り組むべき課題を明らかにした上で、自給率目標を設定することとしております。この自給率目標の達成のため、資源の計画的な回復への取り組みや、つくり育てる漁業の
推進、漁業の担い手の確保と経営の安定化のほか、消費者に対する水産物の栄養特性等についての知識の普及など、生産及び消費の両面にわたる各般の施策に取り組んでまいる所存でございます。
続いて、水産物のセーフガードについてのお尋ねがございました。
ワカメ、ウナギについては、関係生産者が極めて深刻な
状況にあることから、三月十四日に、財務大臣及び
経済産業大臣に対しまして、セーフガード発動に向けた調査を開始するよう要請したところでございます。今後、可能な限り早期にその結論を得るよう対処してまいります。
なお、カツオについては、セーフガードの検討に必要な情報を常時収集していく監視対象品目に選定いたしまして、輸入
状況等を監視しているところでございます。
次に、資源管理
促進のための支援策の構想についてのお尋ねがございました。
本年度から資源回復を図るための計画の作成に取り組み、
平成十四年度からこれを実施することとしております。この計画に沿って行われる減船、休漁等の
措置については、中長期的には、資源
状況の回復により漁業経営の改善に資するものでありますが、短期的には、漁業経営に著しい影響を及ぼす場合もあり得ると考えております。
このため、資源回復を図るための計画に基づく減船、休漁等の実施にあわせ、その影響を緩和するための施策を講ずることを検討しております。
次に、経営安定対策についてのお尋ねであります。
近年、漁獲量の減少、魚価の低迷等により漁業経営が悪化していることから、水産物の価格安定対策や経営安定対策が重要な課題となっております。
このため、漁業者の創意工夫を生かした経営展開を図る観点からの経営
基盤の
強化に向けた条件整備や、漁業共済等を通じた災害による損失の合理的な補てんと水産物価格の著しい変動の緩和のほか、資源管理が経営に与える著しい影響の緩和等の施策を総合的に講ずることとしておりまして、意欲を持って漁業に取り組む方の経営の安定と発展を図ることとしているところでございます。
次に、漁業経営に対する施策についてのお尋ねでございます。
我が国においては、多様な漁業生産が行われている中で、小規模の沿岸漁業者や高齢者も重要な役割を果たしているところでございまして、漁業の種類及び地域の特性に応じまして、経営意欲のある漁業者が創意工夫を生かした漁業経営を展開できるようにすることが重要であるというふうに考えているところであります。
このような観点から、この
水産基本法案におきましては、小規模の沿岸漁業者をも想定した事業の共同化の
推進や、水産業に従事する高齢者の
活動の
促進等の施策を規定しているところでございます。
次に、青年漁業者参入対策についてのお尋ねがございました。
次代の漁業の担い手となる漁業就業者の確保、育成を図っていくことは極めて重要な課題と認識をしております。
このために、新規就業希望者に対する求人情報の提供や、将来の地域漁業の中核となる青年漁業者の育成等を支援しているところでもございます。
さらに、本年度からは、沿岸漁業改善資金の融資対象となる小型漁船の範囲の拡大、漁業経営を開始するために必要な無利子資金の貸付限度額の引き上げ等の対策を新たに講じることとしておるところでございます。
最後に、水産予算の見直しについてお尋ねがございました。
漁港、漁村等については、依然としてその整備はおくれており、特に、漁場と一体となってつくり育てる漁業等に資する漁港や、都市に比べて立ちおくれている集落排水等の生活
環境については、引き続き、重点的な投資により整備をしていくこととしておるところであります。
こうした水産公共事業の
推進のほか、非公共事業についても、水産物の調整
保管等の魚価対策や減船等の経営安定対策、さらには、無利子融資等の担い手対策、資源調査等を含め、水産業の振興のため必要な施策を重点的に
推進することとしております。
以上でございます。(
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