○東祥三君 私は、自由党を
代表して、ただいま
提案されました
森内閣不信任決議案に賛成の
討論を行います。(
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この議場に、前回、
森内閣不信任決議案が
提出されたのは、わずか三カ月余り前のことでありました。自由党は、
森内閣誕生の不透明な経緯、九州・沖縄サミット初め外交
政策の失敗、
経済政策の無為無策、軽率な
発言と
行動、
総理としての資質、そのいずれにも問題があると指摘して、
森総理大臣の退陣を迫ったのであります。今、あのとき
森内閣が退陣していれば、
日本は少なくとも三カ月分悪くならなかったであろうにと痛感するものであります。(
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まず、
森内閣の
政策運営の誤りについてであります。むしろ、
政策を運営していないと申し上げるのが適切であります。
総理、あなたは就任後四回にわたって所信表明や
施政方針演説を行いましたが、どれを聞いても官僚のつくった
言葉が並び、
政治が、そしてあなた御自身が何をどのように変えていこうとしているのか、さっぱり見えてこないのであります。
あなたの使う改革という
言葉は、私の胸にむなしく響いてまいります。
経済の現状を申し上げるまでもなく、もう
日本は待ったなしの状態に置かれているのです。
審議会に諮って事実上の官僚のつくる答申を待って、改革というのは名ばかりの意味もない施策を進めていては、
日本丸は沈没してしまうのであります。
我が党の小沢一郎
党首との
国会論戦を通じて、
森総理には、一国のリーダーとしての大方針を示すことができないのみならず、自分自身の考えや意見すら言えないことが明らかになりました。
総理、私ごときがこんなことを申し上げなければならないのは、とてもつらいことなのであります。しかし、あなたのような方に
総理大臣になっていただいているゆとりは、もう
日本にありません。
日本を再構築するための時間はもう残されていないのであります。だから、即刻退陣いただかなければ、この国は救われないのであります。(
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世界のリーダーと渡り合っていくためには、
総理大臣としてすぐれた見識と胆力を持った指導者が求められており、文字どおり、国家
国民のために命がけで
行動する勇気と明晰な頭脳が必要です。それなくしては、
世界のトップリーダーからは相手にしてもらえません。
沖縄サミットでの
対応や、英国首相との首脳会談での第三
国発言などによって、あなたはもう
世界からまともに相手にされてはおりません。事実、
河野外務大臣のモスクワ訪問の際には、プーチン大統領との会談は多忙を
理由に断られ、首脳会談の日程すら決めて帰れないなどの扱いを受けたのであります。
折しも、ブッシュ新
政権が誕生し、
日本の外交、安全保障の基軸である日米
関係は、今が最も重要な時期であります。
政府は、早急に日米首脳会談を開催すべく、日程調整を進めております。この会談に
森総理が出席して何をするのですか。ブッシュ
政権を支えている
閣僚たちは、英語で言うところのベスト・アンド・ブライテストですよ。つまり、その道の専門家であり、最も優秀なプロの集団です。そして、彼らを束ね、指導力を発揮するのが米国大統領であります。大半が官僚に何から何まで依存する、現在の
日本の
閣僚の
皆さん方とちょっと違うんですよ。
総理みずからが、北東アジア、南西アジアの
状況についての考えを述べ、ブッシュ大統領と何らかの認識を共有することができるんですか。自分の意見、見識を持たない
総理は何を話されるんですか。私のみならず多くの方々は、
森総理をワシントンに行かせてはならないと思われているのではないでしょうか。(
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次に、
森内閣の
政治姿勢を挙げなければなりません。
KSDの政界工作
事件で、
村上正邦前
参議院議員が
逮捕されました。
小山孝雄前
参議院議員が
逮捕され、
額賀福志郎経済財政担当
大臣が
辞職するなど、
事件は、
KSDと
自民党の組織ぐるみの様相をいよいよ明らかにしております。
自民党政権は、
政治家と官僚、
業界団体がもたれ合い、なれ合って、
経済規制や
補助金や
公共事業の配分という利益を与える見返りに、金と票を
政治家に集めるという手法を繰り返してまいりました。
国民の利益ではなく、みずからの既得権の維持のみが優先され、みずからにとって痛みを伴う改革などはみじんも考えられてはいないのであります。あらゆる面で
日本が閉塞状態に陥っている原因は、挙げてこの旧来の
自民党の
政治体質にあると言わなければならないのであります。
KSD事件についての
総理答弁を見ても、一番肝心な点である
自民党の
体質、
構造そのものを改革するという意思を示したことは、ただの一度もないのではありませんか。これこそが問題の本質なのであります。
機密費問題に関する
森内閣の
対応も、
不信任に値する重大問題であると言わなければなりません。
国民の奉仕者たるべき官僚が、
機密費を
個人の口座に入金し、クレジットカードで決済し、その中の経費、すなわち税金が
競走馬やマンションに化けていたなどというのは公務員としてはあるまじき背信行為であり、これをうやむやにしては、行政に対する
国民の不信が増大することは火を見るよりも明らかではありませんか。億単位の金をノーチェックで管理するなどということは
国民の
常識ではあり得ないことであり、組織としての
内閣の
責任そのものが問われている問題なのです。
しかるに、
官房長官や外務
大臣はあいまいな答弁に終始し、それが二転三転したばかりか、徹底的な
実態調査をするわけでもなく、
機密費のむだを洗い出して
予算から削減するでもなく、抜本的な改革に取り組もうとしなかったのであります。
森総理が陣頭指揮をとって真相を
解明しようとしたことも、ついになかったのであります。
官僚自身の引き起こした
疑惑の
解明を、まして組織ぐるみの
疑いのあるものを官僚任せにして、真相の
解明ができるわけがないではありませんか。それを承知の上で、これからも官僚のみこしに乗って
政権に居座り続けようとする
森内閣を、我々は断じて認めるわけにはまいりません。(
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本来、
内閣不信任案は、
政権の
政策の誤りを
批判して
野党が
提出するものであります。しかし、今回、それが、
政策の誤りと同時に、
総理の資質そのものが
不信任案提出の主な
理由にならざるを得ないところに、
国民の悲劇があり、
森内閣の喜劇があるのであります。
このことは、
森総理がその全
責任を負うことは当然ですが、
森総理を誕生させた
自民党はもちろんのこと、連立
政権に参加している
公明党、
保守党も、その
責任を免れることはできないと
思います。(
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総理就任以来、
総理としての資質を欠いたさまざまな言動を繰り返されました。
日本は天皇を中心にしている神の国だと象徴天皇制を揺るがしかねない
発言をされ、
衆議院選挙戦中には、無党派は関心がないといって寝てしまってくれればそれでいいと民主
政治を冒涜する
発言をされ、
衆議院予算委員会では、沖縄・普天間飛行場の使用期限問題が日米合意として盛り込まれていると根本的な認識、理解不足の
発言をされ、後継
総裁選出の経緯について、私が私生子のように生まれたとおっしゃるが不愉快だと述べられました。これらの一連の
発言が三カ月前の
不信任の
理由となったとき、あなたは一片の反省もなかったのであります。その後のあなたの言動がそれを如実に物語っております。
アメリカ海軍の原潜によるえひめ丸の沈没
事故が起きたときには、
ゴルフをしておられた。それ自体を問うつもりはありません。
国会で
予算委員会が始まり、国の
予算を
国民にどう説明するのか、
総理として心を砕くべき大切な休日に
ゴルフ場におられたという点については、心身ともにリフレッシュされることも大切です。
しかし、問題は、
事故の連絡を受けた後も
ゴルフをし続ける神経には驚かざるを得ないのであります。ヘリコプターを使ってでも首相官邸にまず駆けつけ、指揮官として緊張して事に備えるのが最高
責任者としての
危機管理の要諦ではありませんか。官邸にも駆けつけない、
ゴルフ場には秘書官も連れていない、官邸の
危機管理センターの直通番号も御存じない。一国の
総理として、いざというときに国を預かる能力以前に、気概そのものが欠如しているとしか言いようがないのであります。(
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ゴルフをした
ゴルフ場の会員権の問題に至っては、あきれるばかりであります。
また、昨日の報道によれば、国交が結ばれていない
北朝鮮の金正日総書記にファクスで
総理の親書が送られたと言われておりますが、もしそれが本当のことであれば、何をか言わんやであります。
森内閣が続けば続くほど、
国民は
政治から離れていきます。
国民の
政治不信を解消する第一歩は
森内閣の退陣であるということを申し上げなければなりません。(
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最近の
世論調査では、マスコミ各社とも、
森内閣の
支持率は軒並み一〇%を下回っております。
国民世論ばかりでなく、おひざ元の
自民党の地方組織からも見放されているのであります。報道されただけでも、東京都連、高知県連、埼玉県連、鹿児島県議団、名古屋市議団、厚木市議会などが、
総裁選の前倒しや
総理の退陣を要求しております。
国民の
支持率低下に加え、
自民党の地方組織からも
総理退陣の声がほうはいとして沸き上がっているのは、前代未聞の
事態だと言わなければなりません。
森総理退陣すべしという意見は、
与党の良識ある
国会議員の間にも多くあることは想像にかたくありません。
自民党堀内派会長の堀内光雄元通産
大臣は、
政治家の名分の最たるものは出処進退だ、
森首相はこの名分を全うしていただけるよう期待していると述べられており、主流派の派閥会長が公然と退陣を要求しているのであります。
森政権では
日本はだめになるという
与党議員は、
森総理を選んだのは
自民党そのものであることを深く認識しているかどうかは別として、堀内会長を筆頭に森
内閣不信任案に、当然、賛成票を投ずると私は確信します。(
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他方、連立
政権に参加されている
公明党、
保守党は、
不信任に
反対するが、
森総理は信任されたわけではないとおっしゃっておりますが、これは結局、議会制民主主義を否定することになり、何が何でも
政権にしがみつこうとする
姿勢そのもの、民意を無視した
国民への裏切り行為と受け取られたとしても仕方がないのであります。(
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森総理、
日本の首相、すなわちあなたが国際社会から何と言われているのか、御存じですか。英国のエコノミスト誌は、
森首相は記憶にある限り
日本で
最悪の首相の一人との記事を掲載しました。米国のワシントン・ポスト紙は、失言癖があり、知的には凡庸、数々の
スキャンダルとやみ
世界とのつながりがうわさされる首相は、辞任のうわさが流れるたびに
株価が上がると酷評されております。
日本人の一人として見れば、
日本国の
代表である
総理がばかにされて喜ぶ者など一人もいないはずです。ただ情けなくなると同時に、自分を含めた
日本国民全体の名誉が傷つけられているのですから、
怒りさえ生まれるのが普通の
日本人だと
思います。その
国民の本当の
思いがわかれば、
総理がとるべき道はおのずと決まってくるのではないですか。
言うまでもなく、
森総理個人を責めているのではありません。
森内閣に退陣を迫ることの本質は、
政官財の癒着にまみれた古い
構造を引きずり続け、頭で何かおかしいなと思ってはいても、結局それでよしとする
自民党的
体質の
政治の転換、そのことにあります。
つまり、官僚は官僚の
役割があり、
国民の
代表である
政治家には
政治家の
役割があることを横に置いてしまい、意識するしないは別として、実際、官僚をお上として奉り、その官僚にとことん依存した
構造そのものを転換させなければならないということを意味します。この
構造を転換させることなくして、何人、何十人の
総理の首を取っかえ引っかえしても、創造的な
政権運営は期待できないのであります。(
拍手)
そういう意味で、今、
日本は、文字どおり国家
危機的な
状況に直面していると言っても過言ではありません。この
状況から脱却するためには、まず、
森内閣には退陣していただき、そして、旧来のあしき
構造を保ち続けている
自民党政権を丸ごと取りかえることから始めるしかありません。
一刻も早く
衆議院を解散し、
国民の信を問え、これが
日本の将来、
国民の生命と財産を憂える
人々の声であることを申し上げ、私の賛成の
討論を終わります。(
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