○大幡基夫君 私は、
日本共産党を代表して、
野党四党が共同提出した
組み替え動議に
賛成し、二〇〇一年度
政府予算三案に
反対の
討論を行います。(
拍手)
まず初めに、森自公保政権が、KSD汚職、
機密費疑惑など、政権の根幹にかかわる数々の
疑惑解明にふたをして、
景気の回復や
国民生活の安定に真っ向から逆行する
予算案の衆院通過を強行しようとしていることに対して、断固として抗議するものであります。(
拍手)
昨日、KSD
疑惑の
中心人物、村上正邦前自民党参院会長が、受託収賄容疑で東京地検に逮捕されました。その容疑の
中心は、KSDの要請に沿って、ものつくり
大学を
推進する
国会代表質問を行い、その見返りとして七千二百万円のわいろを受け取ったことにあります。
国会代表質問を汚職の道具としたこと自体、許しがたい重大犯罪であり、厳しく断罪されなければなりませんが、この村上氏の質問は、参議院本
会議で
政権与党自民党を代表して行ったものであり、自民党の党としての責任が厳しく問われているのであります。(
拍手)
さらに、今回の
KSD事件の重大な問題は、十八億円に上る党費肩がわりなどの巨額のやみ献金が自民党に流れていたことであります。中小業者の汗の結晶である共済掛金が膨大な架空党員名簿とその巨額の党費の立てかえに使われ、まさに自民党丸ごと汚染、ここに
事件の核心があります。
国会が
国政調査権を発動し、この真相を徹底解明し、その
政治責任を明らかにすることは、
国会の当然の責務であります。
ところが、
森内閣と自民党は、政権の中枢と自民党自身にかかわる重大な
疑惑に対して、みずからまともな調査を行わないばかりか、本院における村上、額賀両氏を初めとする関係者の証人喚問に
反対してきたのであります。KSDから千五百万円を預かっていたという額賀議員の
疑惑は、
政治倫理審査会での
弁明によって、一層
疑惑が深まったのであります。森自公保政権が
疑惑を解明せず、その責任も明確にしないで、汚濁にまみれた手でつくった
予算案の衆院通過を強行することなど、断じて容認できません。(
拍手)
機密費疑惑も重大です。
国民の血税から毎年七十二億にも上る
機密費が計上され、その
機密費が、私的に流用されていただけでなく、歴代政権の中枢によって、いわゆる
国会対策費や議員へのせんべつとして党略的に使われていたことが納税者、
国民の強い怒りを呼んでいるのは当然です。その徹底的解明は
予算審議の不可欠の問題です。
機密費を渡していた
政治家、もらっていた
政治家は、
国民の前にその真相を明らかにすべきであります。
我が党の志位
委員長が
予算審議で明らかにした
内閣官房文書は、
機密費をめぐって憲法と
財政法を踏みにじる
予算流用が行われ、
消費税法案を通すための
国会対策に使われていたことを示す重大なものです。そして、その文書が古川現
内閣官房副長官の手によって作成されていた疑いが決定的となりました。
ところが、
政府・与党は、古川氏の
国会出席も証人喚問も拒否し、
機密費の
仕組みも、その
使途も、
予算の内容も一切明らかにせず、
国民の批判や
野党共同の大幅
削減要求を一顧だにせず、
疑惑だらけのまま、最良の
予算として押し通しているのであります。断じて容認できません。
さらに、米原潜による
宇和島水産高校実習船えひめ丸の衝突沈没
事件をめぐる
森総理と
政府の
対応は、この政権がどちらを向いた政権か、
国民の命、財産を顧みない姿勢を図らずも暴露しました。
ハワイ沖で、民間人を乗せて浮上ショーを行っていた米原潜に衝突され、実習航海中の子供
たちが海に投げ出され、行方不明者が出ているにもかかわらず、連絡を受けてもなおゴルフを続けた
森総理の姿勢が
国民の厳しい怒りを呼び、
支持率が史上最低、一けた台になったのは当然のことです。
しかも、米海軍の言い分をうのみにし、米軍言いなりの姿勢をとったことは、
政府の姿勢を根底から疑わせるものであります。なぜ、アメリカ側に、行方不明者の徹底捜索を初め、
事故原因、真相の徹底解明と責任の追及を強く迫らないのか、
国民の命にかかわる問題でアメリカに卑屈な姿勢をとる
日本外交に内外から厳しい批判が起きているのであります。
こうした
森総理に
国民が不信任を突きつけ、その一刻も早い
退陣を求めているのであります。今や、森自公保政権は、その
存在そのものが
国民の暮らしと
日本の進路にとっての最大の障害物となっていると断ぜざるを得ません。(
拍手)
さて、
日本経済は深刻な不況の
もとにあります。
小渕内閣以来の二年半で、国、
地方の借金は百二十二兆円もふえました。その一方で、
国民生活は深刻な
状況に陥っています。失業率は、この二年半で四・一%から過去最悪の四・九%に達しています。企業倒産も、昨年一年間で一万八千七百六十九件と最悪の
水準です。勤労者世帯の可処分所得は、この二年半で五万八千円も減りました。
個人消費も、全世帯平均で四万八千円もの
減少です。
国民の暮らしと営業の指標は最悪の
状況に落ち込んでいるのであります。
この原因ははっきりしています。ゼネコン向けの
公共事業の
ばらまきや、七十兆円の公的
資金による銀行支援、大企業、高額所得者への大幅減税、リストラ支援など、大企業を応援する
経済政策をとる一方で、
社会保障の相次ぐ改悪による負担増によって
国民の暮らしを痛めつけてきたことにあります。今や、
個人消費を温めることが
景気対策のかなめであることは衆目の一致するところであり、
政府もミニ
経済白書で認めているのであります。
したがって、今必要なことは、第一に、
国民の
雇用、所得、
消費をふやすなど、
政治が
国民の暮らしを直接支援することであります。こうしてこそ、
日本経済を正常な循環と発展の軌道に乗せることができるのであります。第二に、巨額の
財政赤字の原因となっているゼネコン奉仕の大型
公共事業に抜本的なメスを入れることであります。
ところが、今回の
政府予算案は、これに全く背を向けているのであります。
第一に、
個人消費の拡大に全く手をつけないばかりか、一層冷え込ませる
予算だということです。
雇用不安の問題では、大企業のリストラを野放しにする一方で、失業者の命の綱である
雇用保険を改悪しています。
社会保障では、昨年からの年金の賃金スライドの停止、一月からの老人医療費一割定率負担、十月以降の高齢者の介護保険料の全額徴収など、ことしの負担増と
給付カットは二兆円にも上っているのであります。
中小企業対策では、銀行による貸し渋りを是正しないばかりか、その代替措置として導入された
中小企業金融安定化特別保証さえ、ことし三月で打ち切ることにしています。一般
歳出に占める
中小企業予算は、二年連続して史上最低のわずか〇・四%にすぎません。
個人消費を温めるどころか、さらに冷水を浴びせるようなもので、これでは
景気をさらに悪化させることは必至であります。
第二に、浪費を拡大し、
財政危機を一層深刻にするものであります。
公共事業は前年度と同額とされ、三年連続して
公共事業等予備費が計上されています。さらに、採算の
見込みのない関西国際空港の二期工事、
IT、情報技術の看板をかぶせた従来型
公共事業など、ゼネコン浪費型の
公共事業が増加しています。
このほか、本四公団の
赤字を穴埋めするために年八百億円もの税金を投入するなど、自民党
政治の浪費のツケを
国民に押しつけるものとなっています。
大銀行支援も相変わらずです。金融再生法などによる銀行支援の期限がこの三月に切れるというのに、二〇〇一年度も七十兆円の公的
資金枠を継続しようとしています。
また、新中期防衛力
整備計画の初年度として巨額の軍事費が計上され、アジアの平和の流れに反して
財政の浪費を拡大させ、一層の
財政破綻を深刻にしています。
この結果、来年度新規
発行する国債は二十八兆円に上り、過去に
発行した国債の借りかえ分が五十九兆円、二〇〇一年度から
発行することになった
財政融資
資金特別会計で
発行される財投債を含めると、国債
発行額は実に九十九兆円にも上ることになります。
こうした放漫
財政を棚に上げて、
宮澤財務大臣は、二月二十日の衆議院の
予算委員会で、
消費税率引き上げは不可避と、増税に言及したのであります。まさにこの
予算は、二十一
世紀最初の
予算であるにもかかわらず、
日本経済と
国民の暮らしに何らの明るい展望を示さないばかりか、
消費税大増税への道を進めるものであります。
日本共産党は、
消費税増税への道を絶対許さず、
消費税の減税とその廃止を目指し、
全力を尽くすものであります。そして、
公共事業に五十兆円、
社会保障に二十兆円の逆立ちした
財政運営から、
国民の暮らしと
社会保障を真っ先に応援する
政治への転換に
全力を尽くします。こうしてこそ、二十一
世紀の
日本経済と
国民生活にとって明るい展望を切り開くことができるのであります。
最後に、KSD汚職、
機密費疑惑、原潜衝突
事件への
対応、
日本経済への当事者能力の欠如など、あらゆる問題で
国政を担う資格を完全に失っている森自公保政権の即時無条件の
退陣を断固として要求し、
野党共同
組み替え動議に
賛成、
政府予算案に
反対する
討論を終わります。(
拍手)