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佐々木(秀)
委員 一つ、老婆心というか
老爺心ながら申し上げておきますけれども、確かに、
司法というのは
社会のあらゆるものに対してさまざまな影響を持ち、また、さまざまなところに役に立つという
役割があることは否定はしないわけで、特に
経済と
司法というものの
結びつきの大きさも私はわかるんですけれども、ただ、それが
経済のためにというのならいいんですけれども、
経済界の、特に一部
経済界のために資するなどということではならないと私は思うんです。
今
お話があった中で、
ストックオプションの問題もありました。実は、前に
ストックオプション導入のときには大変問題になりまして、
自己株の取得というのは本来、
我が国の
商法上は
原則禁止だったんですね。これを解禁したわけです、
規制緩和したんですね。これはまさに
経済界全体というよりも
経済界の一部の御
要請が強かったと私は思うんです。今、さらにそれに
検討を加えるということですけれども、どうかひとつ、そういう大きな視点に立ってお考えをいただいて、特定の
利益団体などだけのためになるような
法律というのは私はいかぬと思うんです。このことを十分にひとつお気にかけていただきたい。また、そういう
論議も私どもさせていただきたいと思います。
それともう
一つ、私は、
司法の
役割の大事なのは、何といっても
国民の
権利を守るということだろうと思うんです、
人権を守る。特に、
規制緩和の中で
競争社会になってまいりますと、どうしても
弱者が出てくるのは間違いない。その
弱者のための
セーフティーネットといいますか
セーフガードというか、そういうことに考慮した
司法の
役割というもの、これは強調し過ぎることはないだろうと思うんです。
そういう
意味では、
所信の中で、今のくだりに続いて、
大臣は
人権擁護のことについても触れられております。近々、
人権擁護推進審議会が、これまた二十五日と聞いておりますけれども、
人権救済制度の
あり方に関する
答申を出される
予定のようですね。これについては、一部
新聞がその全文を入手したなどということを報道しておりますけれども、まだ正式に出ておらないわけですから、これが出た段階でまたこの
人権の問題については
議論をさせていただきたいと思っております。どうかそういう点での配慮をぜひ
お願いしたいと思います。
それと、私
たち民主党としても、
司法制度改革への
意見、
議論をいたしまして取りまとめをいたしまして、この
意見を取りまとめたものを昨日付で実は
内閣官房それからこの
審議会の方にもお出しをしておりますので、
大臣も、そう大部のものではありませんので、お手元で見ていただければありがたいと思います。
きょうは
裁判所も来ておりますけれども、時間がないので、これはまた後の
機会に
裁判所とも
議論したいと思うんですが、今度の
審議会の中で非常に
法曹人口の
具体化についていろいろな
提言をなさっている。特にその中で、
弁護士人口、これを十年後には今の倍以上にするんだ、五万人
体制にするんだということをまず言われて、その
手だてとして、
司法試験の大
改正、それから
司法試験の
合格者を一気に三千人までふやす、それからまた、
法科大学院構想なども打ち出しておられるんです。
しかし、私は、どちらかというと一番問題なのは、
裁判所、
裁判官だと思うんですよ。
現に、もうここでもさんざん
議論になりましたように、
裁判官の数が本当に足りない。それで、現場の
裁判官は、
通常事件で訴訟を担当する
裁判官が、
民事事件など二百件以上の
事件を抱えてあっぷあっぷしているということで、ゆとりなどというものはとてもない、人間的な
生活あるいは
家庭を持っている
裁判官は
家庭生活を楽しむなんという時間が全くないというような
状況、こういうことでは私はまともな
裁判ということは期待できないと思うんですよ。ですから、
裁判官の給源をどうするかということが非常に大問題になると思うんです。
この
審議会に過日、
最高裁判所が
裁判所改革の
あり方についての
提言をなさっておられる。それなりになかなか
評価に値するところもあるわけですけれども、しかし
裁判官の増員については、ここ十年間であと五百人ぐらいふやしたいというようなことを言っているようなんですが、こんなものではとても足りない。片っ方で毎年毎年三千人からの
司法試験合格者が出るという中で、十年間で五百人なんというのは、これは話にならないんだと思うんですよ。しかも、
弁護士の数がどんどんふえてくると、それに従ってやはり
事件だって多くなるのは間違いないんですから、そんなみみっちいことを言っていないで、もっとどかんとふやす
手だてを講ずることが必要だろう。
そのためには、実は、今度の
審議会の
中間答申の中で、私はやや残念だなと思われるのは、
法曹一元についてはっきりとした
提言をなさっておられないことなんです。私どもの
民主党の
意見書では、やはり
法曹一元ということを、
裁判官、
検察官になる人は
弁護士経験を経た者からとるというように、アメリカのようにする方がいい。それによってよい
裁判官、よい検事もたくさん得られるんじゃないかということを実は
提言しておりますので、この点についても御考慮いただきたい。
それからまた、今まで何といっても
国民と
裁判所あるいは
司法との距離が遠過ぎたと思うんですね。そういう
意味で、
国民の
司法参加の
方策を
審議会がいろいろ
提言されているのは、これも
評価に値することだろうと私は思います。しかし、残念ながら、
裁判員制度が
刑事事件だけに限って今考えられているというのはいかがなものか。
民事事件でも、あるいは、特に国や
行政機関を相手とするような
裁判の場合に、
国民から
裁判員を求めるというようなことももっと積極的に考えられるべきではなかろうかというようなことを私どもの
意見書では
提言しております。
それから、国選弁護人あるいは公選弁護人の制度を、起訴された人だけではなくて被疑者の段階からつけるべきこと。それから、
法律扶助の制度も、以前に比べますと財政援助も大分拡大はしましたけれども、先進諸国に比べるとまだまだ足りないものですから、こういうことについてももっと国は積極的に取り組んだらどうかというような
提言もしておりますので、
大臣、ぜひこれも御参考にしていただければと思います。
時間の
関係もございますから、
司法改革の問題はこの程度にいたします。
実は、入管の問題は、この間、長勢
委員が非常に現状についていろいろな問題点を指摘された質問をいたしました。これもいろいろお聞きしたいと思ったんですが、時間がありませんので端的に。
この間、長勢
委員の質問でも明らかなように、とにかく入管業務は非常に大事だし、ますます忙しくなってきていますね。それから、地方空港などで外国からのチャーター便をどんどん出すようになって、実は私の地元の旭川空港などでも、ことしは台湾からのチャーター便が非常に多くなってきている。そのたびに、出張所がないものですから、入管、税関の
関係の方、ほかから来ていただいてやっていただくんですけれども、これは需要はますますふえると思うんですよ。
しかし、この間、総務省の
お話のように、定員枠の中でやりくりしなきゃならないから大変だというんですね。しかし、
法務行政というのはどうしたってこうやって人手がかかるわけですよ。人手の要るところに人を配置しなければならない。しかし、それは定員枠の中でやるとすれば、こっちにふやせばこっちは減らさなきゃならない。しかし、登記事務なんかだって、これは幾らコンピューター化するからといったって、やはり人の力によるところが大きいわけです。
そこで、入管
局長、
一つは、いずれにしても入管行政についてはもっと定員が欲しいんでしょう。たくさん必要なんでしょう。そのことだけ、要るか要らないかだけ確認させてください。