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岸田副
大臣 文部科学省から、大阪教育
大学教育学部附属池田小学校の
事件について、御
報告申し上げます。
六月八日に発生したこの
事件は、八名の児童のとうとい命が奪われ、多くの負傷者が出るという、何とも痛ましく、決して許されない出来事であり、深い悲しみと心からの憤りを覚えます。ここに改めて、亡くなられた児童の皆様の御冥福をお祈り申し上げ、御遺族の方に心よりお悔やみ申し上げるとともに、被害に遭われた方々に対し心よりお見舞いを申し上げ、一日も早い御回復をお祈りいたします。
委員の皆様は既に御承知のところでありますが、最初に、この
事件の概要について御
報告申し上げます。
事件は、
平成十三年六月八日金曜日午前十時十五分ごろ、大阪教育
大学教育学部附属池田小学校に刃物を持った男が侵入し、児童や教師を殺傷したものであります。最終的には、副校長と教師の二名で男を取り押さえ、教師からの通報を受けた警察が十時二十五分ごろ男を逮捕いたしました。
この
事件で被害を受けたのは、一、二年生の児童二十一名、教師二名で、そのうち児童八名が亡くなられました。当初、児童八名、教師一名、計九名が入院しておりましたが、先週水曜日十三日に二名の児童が退院いたしまして、現在は、児童六名、教師一名、計七名が入院中という状況であります。
次に、
事件に対する
文部科学省としての対応の経緯について申し上げます。
事件が発生した直後、
文部科学大臣の
指示により、担当職員を現地に派遣し
情報収集に当たらせるとともに、私を本部長、
池坊大臣政務官を副本部長とする
事件対策本部を設置いたしました。
その対策本部の第一回会合において、まず第一に、被害に遭われた児童や
先生方への対応に万全を期すこと、あわせてショックを受けているであろう児童等の心のケアの体制を至急整えること、そして三番目として、学校の安全管理の徹底を図ること、こうした三つを柱といたしまして緊急に対応することを決定するとともに、
池坊大臣政務官ほか
文部科学省職員四名を現地に向かわせ、学校、病院等を訪問し、被害者等への弔問、見舞いを行うとともに、現地での対応を指導いたしました。
さらに、翌六月九日には、私ほか
文部科学省職員四名が現地に出向き、池田小学校において行われた保護者
説明会で
文部科学省の対応について
説明するとともに、保護者、カウンセラー等から要望を直接聴取いたしました。また、現地での対応指導も行ったところであります。
なお、亡くなられた児童の葬儀は、六月十日、十一日両日に行われ、
文部科学省や
大学の代表者も参列をいたしました。
以上のような大
事件が発生した池田小学校への対応を行うとともに、
全国の各学校等に対して、安全管理の徹底を図るよう指導したところであります。
まず、
事件発生当日、
文部科学大臣談話を緊急に発表し、
全国の各学校及び教育
委員会等に対し、学校の安全管理を緊急に再
点検するよう呼びかけました。また、六月十日には、
全国の学校の緊急再
点検の状況
報告及び学校の安全管理の見直しについて、
意見提出等を教育
委員会等に要請いたしました。さらに、六月十一日には、各学校で
事件再発防止等のため適切な対策を講ずるよう、都道府県教育
委員会等に緊急に通知を発出するとともに、六月十三日には、
文部科学省の衛星通信ネットワーク、エル・ネットを通じて、
遠山文部科学大臣が、教育
委員会や保護者に対して、直接児童の安全管理の徹底を図るよう呼びかけたところであります。
以上のような
文部科学省の対応を受けて、池田小学校及び
全国の各学校においては、次のような対応が進められているところであります。
まず、池田小学校における対応といたしまして、何といっても被害に遭われた児童や保護者、さらには教員に対する心のケアが最重要であるとの観点から、
事件発生直後に、大阪教育
大学を中心として、大阪
大学、大阪府、兵庫県、厚生労働省などの協力を得て、メンタルケア支援チームを結成いたしました。現在は五十五名体制となっております。
このメンタルケア支援チームが中心となり、六月九日開催の保護者
説明会においては、心のケアの
重要性や留意事項について
説明、指導を行うとともに、具体的な児童等の状況に応じて適切に対応できるよう、二十四時間体制のメンタルサポートホットラインを設置しております。
そして、六月十一日から六月十六日までの間、教員とカウンセラーが一組となり、全児童の家庭訪問を実施し、必要なカウンセリングを行ったところであります。
今後とも、引き続き
関係者の心のケアに万全を期していかなければならないと考えております。
次に、今後の大きな課題といたしまして、いつどのような形で学校を再開していくかということでありますが、児童の心の動揺に最大限配慮しつつ、保護者の意向も十分踏まえて学校において
検討してきたところであります。
当面、六月二十五日から七月六日の間、準備
期間として、通常の授業ではなく、自由参加により、児童の心のケアを中心とした、児童の実態に応じた内容の行事を段階的に実施し、児童を学校生活に徐々になじませていき、そして今後、近隣の旧
大学敷地内に仮設校舎の建設を行い、八月下旬から新しく授業を再開できるよう、種々の準備を進めていく予定と聞いております。
また、安全管理の強化としまして、池田小学校においては、当面、警備員三名を配置し、安全管理の強化を図ったところであります。
文部科学省としましては、今後とも、池田小学校の今回の
事件への対応について、全面的に支援していく考えであります。
そして、
全国の各学校の安全管理についてでありますが、この
事件の発生を受けて、
全国の学校に対して安全管理の再
点検を行うよう要請したところでありますが、この再
点検の現在までの状況は、国立及び公立学校ではすべて実施をされているところであり、
私立学校でもほとんどの学校で実施済みとなっておりますが、なおごく一部、これから実施するという学校もありますので、引き続き速やかに実施するよう要請をしているところであります。
今後は、都道府県教育
委員会等からの
意見も聴取した上で、幅広い観点から
検討を行い、学校における安全管理の対策について必要な見直しを行ってまいりたいと考えております。
今回の
事件を契機に、開かれた学校づくりに関してもさまざまな
意見をいただいておりますが、我が省といたしましては、児童生徒の安全に最大限の配慮をしながら、引き続き開かれた学校づくりを進めてまいる必要があると考えております。
なお、昨日、東京都杉並区の幼稚園で、不審者による教員に対する傷害
事件が発生いたしましたが、同園では安全管理の再
点検を行っており、これにより園内への侵入は防ぐことができました。
今後、二度とこのような
事件を発生させないために、
文部科学省としては、学校の安全管理の一層の徹底に全力を挙げて取り組んでいく所存でありますが、このような
事件の
再発防止のために、学校のみでなく、社会全体で
取り組みが不可欠だと考えております。子供たちが健やかに育っていくためにも、我が国社会が秩序ある安全な社会となるよう、政府全体として対策が必要であると考えていることを
最後につけ加えさせていただきたいと存じます。
以上、今回の
事件に対する
文部科学省の対応状況を
説明いたしましたが、今後とも
委員の皆様の御理解と御支援を賜りますよう
お願いを申し上げまして、
報告とさせていただきます。
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