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武部国務
大臣 先ほど、タックスペイヤーの立場ということでいろいろ興味深い
お話を承ったのでありますけれども、私は、我々の
努力も足らないのかもしれませんが、先ほど排気ガスの
お話もありましたけれども、森というのは大気浄化作用もあることは
先生御存じのとおりだと思いますし、東京の都民の皆さん方が、蛇口をひねれば水が出る、よもやそのように考えていないと思うんですね。やはり
森林の水源涵養ということも御存じだと思いますが、意外にそういったことが知られていないということについては反省しなきゃいけない、かように思います。
また、
環境省と
林野庁の問題、先ほど有害鳥獣の問題なども話がありましたけれども、東京の皆さん方は御存じないかもしれませんが、私どもの地元では、農家は、何でシカを山から出してくるんだ、シカは畑に出てこないように
林野庁がしっかり
管理しろ、そういう、同じ
農林水産省の中でも、林野とそれから農業の分野で大変なつばぜり合いをやっているという実態もあるんですね。そういったことも御
承知いただきたいと思います。
お説のとおり、行革の際に、省庁再編のときに、私は、
林野庁は
環境省にやってよかったんじゃないかという議論を言っていた立場です。それはどうしてかというと、ただし借金は棒引きにしてもらわなくちゃ困るよというようなことも言っておりました。しかし、現実、
林野庁は
農林水産省として残ったわけでありますので、
環境省と
林野庁というのは、あるいは
農林水産省すべてだと思いますけれども、恋人の段階から夫婦のような、そういう関係になっているんじゃないか、かように思います。
今後、私どもも、たまたま私の私案ということで発表させていただいたんですが、
農林水産省の使命というのは、食料の安定供給と美しい国づくりということを掲げておりまして、人と自然との共生社会を実現していくというようなことをねらいとしているわけでございます。
本来、
環境庁ができるまでは、
農林水産省が
環境庁の役割の大部分を担っていたんじゃないか、このように思っております。しかし、昨今、
環境問題というものが非常に注目をされまして、国民の関心も非常に強まってきたというようなことで、
環境問題は国際的にも地球温暖化の問題などもありますし、これを特別に取り上げて、役所を設けて行政
対応していこうということになっているんだろうと思いますけれども、そういう
意味では、
環境省は、企画調整といいますか、そういった分野が強くなっていくんだろうと思います。実際に
環境を浄化していく、修復していく、改良していく、あるいは望ましい
環境を創造していくということになりますと、
農林水産省の役割というのは従来にも増しまして非常に大きくなっている、このように思うんです。
先ほど来私ちょっと
お話ししておりましたが、タックスペイヤーと農山漁村との関係につきましても、私は、ちょっとマスメディアが主導で対立関係をあおっているんじゃないのかなと。これは本当に不可思議なことであり、悲しい事実だ、私どもこのように受けとめております。カリフォルニアよりも小さい国ですよ。そして、都市の皆さん方がおいしい水を飲めるのは、やはり豊かな森があるからだ、そしてこの豊かな森が荒廃してきているからさまざまな
環境悪化につながっているという事実もあるわけでありまして、そういう
意味では、これから都市と農山漁村というのは融合すべきだ、対流すべきだ。
交通インフラが
整備されたんですから、あとは飛行機代とか新幹線の運賃が半分になれば、東京に緑をつくるとか東京を再生するとかということよりも、人が動けば簡単においしい水、きれいな空気、美しい自然を手に入れることができるわけですね。新鮮な野菜も手に入るわけでございます。そういうことを助長する政策が大事ではないか。そういう
意味では、
環境省と
農林水産省に限らず、政府が一体となってこの問題に取り組む必要があるんじゃないか、かように思います。
本来の
林業の
産業としての自立性や体力強化をどうしていくかということにつきましては、昨今随分変わっております。
地域的に随分違うところがあるのかもしれませんが、第一に
日本の地形ですね。急峻な
地域において高
性能の
林業機械の導入などがまだ進んでいないとか、あるいは
間伐等の非皆伐作業及び
環境負荷低減に配慮した作業に
対応した
機械化の
取り組みが不十分であるということは御
指摘のとおりだろう、こう思います。
今後、
技術的にはかなり問題はない、
技術的な問題はない、研究開発の分野でも
外国に引けをとらない
技術が進んでいる。問題は、林
産業の経営基盤が極めて脆弱であるということがやはり
一つ大きな問題だろうと私は思いますし、はっきり申し上げて、協同組合主義ということも意識改革をおくらせている原因になっているんじゃないか、かように思います。そういう
意味では、この
林業基本法の制定を機に相当思い切った改革が進んでいくというふうに私は存じます。
ちょっと長くなりましたけれども。