○麻生
国務大臣 私の場合は石毛先生ほどこの問題にそんなに詳しいわけではありませんので、それはあらかじめ最初にお断りしておきます。
経済財政諮問
会議が考えましたときに、
一つの与えられております問題は、いわゆる
予算編成の
あり方を従来みたいな積み上げ方式から変える。これは何としても、今までのように右肩上がりでずっと経済成長して、それに伴いまして税収も伸びておりますという段階ではそれでも十分可能で、ここまでやられてきたのだとは思いますが、どうやらそうではなくなった段階におきまして、この五十年の間、時代も随分変わっておりますので、その意味では
予算の配分の仕方等々もあらかじめ考えてみなければならぬ。
傍ら、従来から
予算配分比率は〇・一%も変えないぐらいずっと来たという硬直している面もありますので、これはどうしても政治でやっていく以外、ほかに方法がないとよく言われながら、なかなかここまでいってこなかったのは事実でありますけれ
ども、財政というものの面から見ましても、税収の面から見ましても、また社会の構造の変化から見ましても、これはどう考えてもいよいよさわらなければいかぬということで、この財政諮問
会議で
予算をやるということになったのですが、同時に、毎年の
予算プラス中長期的なものをということになりましたときに、やはりもう
一つ出てまいりましたのは、何といっても社会保障の問題は避けて通れないというのが背景だと思います。
もっと大きくは、今までは確実に子供が生まれて、高齢者の比率というのは大体そうだったのですが、だんだん高齢者の比率が、少子の結果高齢化。ちょっとよく少子と高齢化が一緒になりますけれ
ども、これは
基本的には別の問題なのであって、高齢化するのは何も悪いのではないのです。長生きするのは決して悪いことでも何でもないのですが、後から生まれてくる人の数が減っておりますものですから、結果として子供の少ない部分と高齢者の比率が、どんどんこっちの比率が高くなってきて全人口の二五%に達するというような話になってくると、これはとてもじゃないけれ
ども、生まれている数が少ないと、今の状況より二倍も三倍もということになると、単純計算をいたしますと、今の税金を三倍払ってください、今の社会保障を三倍払ってくださいというのは、とてもそれはもちませんということが非常に深刻な問題になってきているのが多分大きな背景だと思います。
この間の
会議におきましては、
基本的には
幾つかの点が出ておりますが、厚生
大臣に御
指摘をいただいていろいろ
論議をさせていただきました。今御
指摘のように、
国民の将来の不安を払拭というところが非常に大事なところであって、そのためには社会保障を安心して維持できる、簡単に言えば持続可能なものにするという点が必要、これが
一つである。
それから
二つ目は、安定的な経済成長といわゆる今の社会保障の話が両立し得る、両立が可能になるように、給付と負担の両面から中長期的な
観点に立って
制度を改めるという必要がある。特に医療、年金、介護、
制度全体を総合的にとらえながらやっていかないと、とても今のまま単純に伸ばすだけではできないので、そういった意味では、
国民の給付と負担の
あり方につきまして明確なビジョンを
国民に示していかないと、先ほど言われました安心のところにまた入ってまいりますが、払い続けたらおれが受け取るときになったら払う人がいないんじゃないかというような話になりますので、そういったところをビジョンを示していくことが必要。
三つ目が、今の活力のある経済社会の実現の寄与という
観点から、消費とか貯蓄とかありますが、介護をやりますと、これは新たに雇用が発生することになります。雇用というのは、いい意味で新しい職種が生まれる。介護士なんて
一つのものかもしれませんけれ
ども、ホームヘルパー含め、そういったものは新しい職種として、今まで出てこなかったものですが、そういったものがありますので、社会保障と経済、財政、その
両方を多面的な
関係を総合的に評価、分析することが必要なんだということで、社会保障の支え手、ヘルプする方をふやしていくとの
観点から、女性の参加、それから高齢者。
一概に六十五歳といっても、宮澤喜一や中曽根康弘というのが高齢者として扱われていたら、あんな元気なやつが何でということになるでしょう。人によって大分これは違いがありますので、高齢者の中でもぴんしゃんしているのとそうじゃないのと一律に扱うのはどう考えてもという御
意見やら、今の具体的な名前はわかりやすい名前で申し上げただけですから、その場で出たというわけではございませんが、そういった意味では一律に扱うのはどうだろうかという点がもう一点。
もう
一つ最後に出ましたのが、いわゆる
情報技術の進歩というのが、例えば病院
関係の医療費に係りますレセプト、
内容でございますね。これは今でも書類で出さなくちゃいかぬことになっておるのですが、
基本的にああいったものがコンピューターでできることは十分に可能ですし、うまくいけばカルテも、ある程度決まった風邪みたいなものですと、よほど病状が細かいものでない限りはそういったものもやれるのではないかということな
ども通じまして、
制度の効率化という言葉でつくっておりますが、そういったものを含めまして、給付の適正化、またお医者さんの書いたようなものじゃなくてきちんとそれが出ますと透明化されることにもなりますので、そういったことを推進していくことが必要なのではないか。
大体四つ申し上げましたけれ
ども、それらの点が主な
議論として非常に闘わされたところであります。
御存じかと思いますが、社会保障の
あり方というのは、財政とか経済を運営していきます場合には非常に大きな負担になりつつあることは間違いないところでもありますので、そういった意味では中長期的に見て経済社会全体というものを考えた上でやっていかなきゃいかぬということで、今宮澤財務
大臣の方から、私
ども旧経企庁、今の
内閣府の中に、私
どものところに、いわゆる従来の経済モデルとは違って、もっといろいろな社会給付の面とか地方と国の負担の割合とかそういったものを含めた、今までにないようなマクロ経済モデルをつくれという要望が出されて、私
どもとしては、これはそんな簡単にできるものではありません、ちょっと半年いただきたいということを申し上げて、いろいろなものを含めまして整合的にやらにゃいかぬということで、かなりな人数をかけて、今新しいマクロ経済モデルを作成中でございます。
これは大体六月ぐらいまでには出したいと思っておるのです。大体半年ぐらいかかる、なるべく急いで出したいと思っておりますが、少々時間がかかるとは思っておりますが、そういったものを含めまして、たたき台というか、細部にわたる前に至るまでの骨太のものまでを五、六月までには出したいということで今頑張っております。
同時に、今
指摘されませんでしたけれ
ども、
政府・与党によります社会保障
改革協議会というのも同時にスタートはいたしておりまして、これも過去に二回やったと思いますが、そこらのところも、党の
意見も出てきております。いろいろな方々の
意見をまとめてひとつきっちりしたものをつくり上げたいということで、今いろいろなところでいろいろな方々が出されております。
この問題は、本当に御
指摘のように、国の
あり方とか社会の
あり方に関して非常に大事なところだと思いますので、ここらのところは、今すぐこういった
意見があるというのを、これがまとまったということを申し上げる段階にはございませんが、おまえ個人の
意見はどうかと言われれば、私は、たまたま育った環境がそうなのかもしれませんけれ
ども、私はおやじのおふくろという恐ろしく元気なばあさんがおりましたものですから、親子三世代どころか親子四世代一緒に生活しておりましたので、そういったのを見ておりますと、少なくとも私
どもを育てたのは私のおふくろではなくてこのおばあさんだと思っております。私はおふくろの顔を見ずに育ちました。見ずに育ったと言うとちょっと聞こえが悪いですけれ
ども、ほとんどうちにいませんでしたので、このばあさんに育ててもらったんだ。私、自分
自身で人様の前でまともに飯が食べられるようになったのはこのおばあさんのおかげだと思っております。
こういうのを見ておりますと、やはりきちんといろいろなうちで、よほど体がぐあいが悪いとかいうことでもない限り、それぞれ御家庭によってはいろいろ違いがあるとは思いますけれ
ども、若い人が主体というんじゃなくて、高齢者が比率がふえてくるわけですから、何となく年寄りというのは貧しく片隅で体の弱いという従来のイメージというものがありますけれ
ども、元気な老人がこれだけ出てきて、元気な高齢者がこれだけ出てきて、しかもそれが全人口の二〇%だ、二五%だという前提に立って考えていきますと、やはり
日本の将来というのは、活力ある高齢化社会というのをもし
日本というのが仮に創造するのに成功したら、間違いなく世界は
日本を見習うと思っておりますので、そういった意味では、それぞれ高齢者の方々も自分の仕事、自分の生きがいというものが与えられる、そういったものができていく社会が最も望ましい、私
自身としてはそう思っております。