○佐々木(秀)
議員 私からお答えをさせていただきます。
委員御指摘のように、特にこの交通死亡事件などについて
被害者の
被害感情が非常に強い、特に子供さんを殺された親の気持ちなどというのは、先ほども
お話しいたしましたように非常に大きなものがあることは御
承知のとおりですけれども、そういう場合でも、その事案の
内容をもちろんいろいろな証拠を総合して捜査をして、最終的には検察官が処分を決定するわけですけれども、その結果、不起訴になったという事例があるわけですね。そうすると、
遺族の
方々から、どうしても納得ができない、それで検察審査会に対して申し立てをするというケースがこれまでも、一再ならずあったことはあったわけですね。
御
承知のように、実は、今の
我が国の
司法制度の中で国民が
司法手続に参加する機会というのは極めて限られております。外国では、アメリカなどもそうですけれども、陪審制がありますね。それからドイツでは参審制などもとられております。かつて
日本でも刑事事件の陪審制というのは
法律で制定されたことはあるんですけれども、現に、これも
法律が残っているんですけれども、有名無実になって全然使われていない。
そこで、今
司法制度改革
審議会でこの国民の
司法参加のあり方について熱心な
議論が行われて、非常に積極的な御提言がありますから、恐らくこの点については改革が進むだろうと私は思っておりますが、現状で、特に刑事事件というか
刑事手続について国民の参加があるというのは、辛うじてこの検察審査会だけなんですね。それだけに、検察審査会というのは非常に地味ですし、知られていない存在だけれども、かつてそれがテレビドラマなどにもなって非常に反響を呼んだこともあった、それなりに大きな役割を果たしていると私は思うわけです。
しかし、御指摘のように、検察審査会の決定には拘束力がありません。したがって、そこで検察官の処分が不当だ、起訴すべきだという決定を出しても、さらに再度捜査をして、また再び不起訴ということになるケースというのはこれまた間々あって、これはなかなか国民感情からいって納得がいかないという思いがするのは当然だと私は思うんですね。
そういうことを意識されて、実はこの点についても
司法制度改革
審議会の中でこれまた
議論になっておりまして、一定の場合に拘束力を与えるべきだという御提言がなされているようにも私は聞いております。
それから、
法務省の方でも、実は、きょう午後からは
法務委員会がありまして、福岡で起こった例の次席検事の捜査情報の漏えい事件ですね、高裁の裁判官の奥さんがストーカー行為の容疑者として調べられている事件について、夫である裁判官に情報を漏らしたということで、双方問題になっている。検察官、裁判官、そして検察庁、裁判所、ともに問題になっているわけですけれども、これについて実はきょう午後の
法務委員会で集中
質疑を行います。
この事件については、それぞれ裁判所それから
法務省、検察庁で調査
委員会がつくられておりまして、
法務省のこの調査結果の報告が三月の九日に発表されたんですが、その際に、高村法務大臣が
意見を述べておられるんですね。書面にもなっておりますけれども、この中で法務大臣もこの検察審査会のあり方に触れられておりまして、検察審査会の一定の決定に法的拘束力を与えることもこの際検討すべきだ、これは国民の
司法に対する信頼を取り戻す方策の一環としてということで述べられているんですね。
ですから、恐らく
法務省の中でも、これから具体的にこの点については検討が進められていくだろうと思っておりますし、そのこと自体は結構なことだろう、私どもとしてはそういうふうに
考えております。
今度の
犯罪被害者基本法案との
関係ということになりますと、直接のかかわりはないにしても、この
犯罪被害者の
基本法が
犯罪被害者の気持ちを大事にしなければいけないということを言っている以上、そういう観点からこの検察審査会の決定などという問題もやはり考慮をされてこなければならないだろうと思います。
それから、
委員からも御指摘がありましたように、重大な、悪質な例えば酒酔いとかあるいは無免許とか、そういうことによって起きた傷害致死の交通事犯については、やはり軽微に過ぎるということがあってはならないのではないかということでの検討、そういう
法案についても今検討されていることは御
承知のとおりですので、こういうこともあわせて
考えていく必要があるだろうと思っております。