○矢島
委員 日本共産党の矢島
恒夫でございます。
政策評価法案という新しい
法律案が提案されているわけですが、私は、この立法に関連して、まず最初に、具体的な事例について、国土交通省などが行っております
公共事業の再
評価制度に
関係して少し聞いてみたいと思います。
実は、私、北関東ブロックの選出ということもありまして、ちょうど今から一カ月ほど前ですけれども、栃木県の思川開発
事業、これは水資源開発公団によるダム開発ですけれども、そこを現地
調査してまいりました。
この開発
計画というのは、実は一九六四年に
基本構想が打ち出されたわけですから、三十七年もたっているわけなんですね。行ってみますと、まず、この三十七年間何をしてきたんだろうかと見るような
状況であります。つまり、本体工事はもちろん何もされていませんし、取りつけ道路などの準備工事などは一切進んでいない、こういう
状況を見てきたわけです。
現地に行きまして非常に驚いたことには、これは南摩ダムというダムをつくるわけですけれども、この思川の支流に南摩川というのがあるんです、そこに建設することになっている。その南摩川というのは、実は、行ったときに水が流れていないのですよ。石がごろごろあるだけなんです。我々、ダムというと、水が流れている川をせきとめて、そこへためて、それをいろいろな形に活用すると思うのですが、全然水がないのですね。どうするのかと思いましたら、実は、いわゆる導水ダム、ほかから水を持ってきてダムにする工事を行おうというわけなんです。
なぜこんなところにダムサイトをつくるのかということを現地の水資源開発公団の方に聞きましたら、実は、ちょうどこの両側から山がその川の両端に迫っていて、高さも適当だ、幅も適当だ、だからここへつくるんだ、これを前にも後ろにも少しも動かすわけにいかないのですよ、この位置にダムサイトをつくらなきゃだめなんだ、それでやっているのですよと、こういうわけなんですね。
その引いてくる水というのが、日光の中禅寺湖、あそこから流れております
大谷川から取水してくるわけなんですね。いわゆる取水ダム、こういうことになるわけなんです。約二十キロぐらいありますか、トンネルで、導水管を使って水を引いてくる、こういう
計画なんです。ですから、これは
計画段階から相当の無理がある。我々素人ですから、見た感じ、地図上の
状況などを見ますと、随分無理なダムをつくるんだなと、見ただけでもそう思えるような
状況があるわけです。
その水をとられる方、つまり
大谷川
関係、実際には今市市ですけれども、この今市市は、市議会で、水を持っていかれるのは大変だからだめだという決議を最初の段階から上げているわけなんですね。
そうした経過があって三十七年も経過しましたけれども、何にも工事が進んでいない。だれが
考えてもこれはおかしいのですよ。なぜここまで、見直しもしなければ中止ということもしなかったのか、もっと早い時点で再
検討をやるべきだったのじゃないか、こういうことを思うわけです。やっとのことで、昨年八月に与党三党による見直し、あの中で、
大谷川からの取水断念、
規模縮小ということになってきたわけなんです。私は、この
計画の前提そのものが崩れかかっているのじゃないかと思うのですね。その根本のところについて、河川局に来ていただいておりますので、局長にお尋ねしたいわけなんです。
六四年に
計画がスタートした時点では、首都圏の都市用水に対応するという理由があったと思うのです。ほかにも理由がありましたが、それも
一つの大きな理由だったのです。しかし、最大の需要者である東京の場合、八年前に既に撤退しているのですね。つまり、その水は使わないということを言っているわけです。水需要の根本が変化しちゃったわけですよ。それでも、見直しもしない、あるいは見直しもできない、この点が非常に大問題だと思うのですね。
計画変更したのは、昨年、与党三党による
大谷川からの取水中止、これが決まってからです。そこで、
規模縮小の
計画変更にならざるを得なくなって、
大谷川からは水が来ませんから、最初のときは一億百万トンですかの水を
大谷川から引くわけだった、ところが六千万トン分は水が来ないということになりましたから、それだけ、根本的に
計画が変わってきたわけです。
そこでお尋ねしたいのは、
計画の変更について、現段階ではどこまで進んでいるのか。同時に、その際、
計画中止、こういう選択肢はあるのかどうか、御答弁いただきたいと思います。