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大出委員 民主党の
大出彰でございます。よろしくお願いいたします。
本日、実は、
インターネットを普及するためには
セキュリティーの問題が必要であるということで、暗号の
質問をしようかと思いました。しかし、その前に、いわゆる
ECHELONの問題がありますので、その問題を通告いたしましたところ、どうも
発言者が決まらないということでありまして、さらには、
質問されてみても、事実
関係がよくわからないからということでおしまいになってしまうだろう、こういうふうに言われたものですから、そんなばかなことがあるかと思いまして、順番を変えて、
質問方針の後に、
ECHELONの問題から入りたいと思います。
両
法案は、
IT基本法を受けて決定された
IT国家戦略としての
e—Japan戦略に基づいて
提出されているわけです。しかし、
e—Japan戦略の中では、
世界最高水準の
高度情報通信ネットワークの形成とか、あるいは
米国を上回る高度な
IT技術者、
研究者を確保するというように、一部
アメリカを意識した
表現もありますが、全体としては対
アメリカの
戦略がないと感じますので、その
観点から
質問をいたします。
本来なら
光ファイバーから入ろうと思ったのですが、
ECHELONの問題をちょっとお尋ねいたします。
これを調べてまいりますと、最後は
CIAにぶつかってくるということがわかりまして、
機構図といいますか、
系列図というのをしばらく私がしゃべりますので、眠い方は寝ていてください。
お話をしようと思うのです。
アメリカには、AICという
米国情報機関共同体、これが十三
機関あります。この十三
機関も後で出てきますので、言うことにしましょう。
一つは
NSAと言われている
国家安全保障局、次がDIA、国防情報局、NRO、
国家偵察局、AIA、
空軍情報局、ISC、
情報保安司令室、DARO、
国防空輸部隊偵察局、CIO、
中央イメージ局、OIS、
財務省情報支援部、ONI、
海軍情報局、BIN、
国務省情報部、OEI、
エネルギー省情報部、NSD、
FBI国家保安部という十三局がありまして、これを一括するのは、大統領の直接任命による
CIAの
長官でございます。
この中で
NSAというところが問題になってきまして、
ECHELONというのは何かといいますと、これは軍事用語で梯団という
意味で、今言われているのは、いわゆる全世界
通信傍受システムということで、昨年はヨーロッパで、議会でも取り上げる問題になっているのですが、日本ではどうもそうではないようです。
この
ECHELONはどういう国が構成しているかというと、
アメリカ、イギリス、カナダ、豪州、ニュージーランド。これ以外も入っているという説もありますが、とりあえずそういう構成でございます。
これ自体がどのようになっているかというと、
アメリカの
国家安全保障局、先ほど言いました
NSA、ナショナル・
セキュリティー・エージェンシーを
中心とする
通信監視システムで、
CIAの二倍以上の職員がいるわけです。
では、この
ECHELONはどんなことができるのかということなんですが、すべて
ECHELONは集められるし、集めている、何もかもすべてを聞いているというんですね。
NSAは九五年の段階で一分間に二百万の
通信を選別する能力があるというのですよ。
どんなことができるかといえば、タクシー無線、警察無線、モニターカメラ、モールス信号、電話、ファクス、Eメール、ポケベル。元
ECHELONのスパイのマイク・フロストという方、元カナダ軍の中佐で、九〇年まで元カナダ
通信保全機構にいた方が、いろいろなところで発言をしているのです。
例えば、ポケベルの場合だとどういうことになるかというと、ポケベルのすべてのメッセージを傍受して、キーワードを含むメッセージを選別する。選ばれたポケベルの番号は登録され、継続して監視をするというんですね。どんなことが起こるかというと、監視されている人が爆発という言葉を発信したとすると、ある日突然にパスポートが取れなくなるというようなことが起こるのだというのですね。
どうやって全世界を
通信傍受できるのかということなんですが、それは、スーパーコンピューターと世界のすべての
通信を聞ける巨大アンテナとスパイ衛星のコントロール、特定の
通信回線をねらうことによって、
NSAが全世界
通信傍受システムを実は実現したんだということなんです。
では、そんな巨大なアンテナがあるのかということなんですが、これがあるのです。
ECHELON最大の基地、イギリスのメンウイズヒルに巨大なパラボラアンテナが二十七基あります。巨大なゴルフボールのお化けのようなものです。全世界に十五カ所ぐらいあります。日本にもありまして、三沢基地に十七基、巨大なゴルフボールのお化けみたいなものがあるのです。
三沢基地の場合には、
セキュリティーヒルと呼ばれている山がありまして、九三年のレディーラブ
計画という
アメリカの
計画のころから巨大ボールができ始めた。ところが、それ自体がすぐに
ECHELONなのかというのはわからないわけですね。
では、どうして三沢基地が
ECHELON基地なんだと言えるのかということですが、それは、
アメリカの情報公開法で二〇〇〇年三月に秘密解除された公文書、
アメリカ空軍情報局、先ほど言いましたAIA、エア・インテリジェンス・エージェンシーの秘密だった文書が解除されたので、その中に、……とありまして、エシュロン・ユニッツ……となりまして、ミサワ、AドットB、と出てくるからなんだそうです。これを米軍基地を監視するNGOの代表のリンディス・パーシーという方が見つけたのでしょうか、あるいは見つけたものを見つけたのでしょうか、そういうことのようでございまして、
ECHELONの基地だと言われているわけです。
では、
ECHELONはどんなことをしているのか、あるいはしたと疑われているのか。これが大変なことになっております。
九八年のドイツ。風力発電メーカーのエネルコンが、より安く効率的な風力発電技術を
開発し、
アメリカに乗り込んでいった、しかし、
アメリカのライバル会社が既に類似の特許を取得していた。新技術を先取りされた事件だったのです。
唯一この件なんですが、この件に関してはドイツのメディアが
NSAの職員から証言をとるのに成功しているのです。結局、どういうことだったかといいますと、エネルコン社の
研究開発部門と製造部門の間のマイクロ波を使った電話回線が
ECHELONに盗聴されたということが証言からわかったのです。
では、九〇年の日本。この九〇年が重要なんですが、NECが先行していたインドネシア
政府調達の
通信機器商戦が、先行していたにもかかわらず、突然に白熱し始めた。何でかというと、ブッシュがスハルトにプッシュをしまして、結局、
アメリカのAT&Tが契約の五〇%を獲得したのです。
このころ、当然、おかしいなと思うわけです。
ECHELONが疑われました。なぜなのかというと、この九〇年という年は、
CIAが、今後は日本とヨーロッパの経済情報をとると言い始めたのです、宣言したのです、新聞にも載ったのです。さらに、元カナダの
通信保全機構にいたというフレッド・ストックという人が、九〇年の終わりごろからドイツ、ヨーロッパ、日本は新たな
アメリカの敵になったのだと証言をしているのですね。まさに符合することなんです。しかし、確たる証拠は日本の場合にはないのです。
では、その他にこういう問題が起こらなかったのかというと、実は起こっているのですね。
サウジアラビアの旅客機商戦で、エアバス、これはヨーロッパです、VSボーイング、これは
アメリカです。それから、アマゾン熱帯雨林監視システム商戦。このときにも、トムスン、フランスです、それに対するレイセオン、
アメリカです。それからもう
一つ、九五年の日米の自動車交渉の場合には、日本の新聞にも、十一月十五日ニューヨークタイムズが、日本側交渉団を盗聴と報道したわけですが、それは有名なことで、これ自体は
ECHELONを使うこともないようなただの盗聴だと思いますが、問題になっているわけです。
これだけならただの事件なんですが、私が憤慨をしているのは、ヨーロッパではいろいろな議会が反応をしているのです。
各国の反応はどうかという点なんですが、九九年EU議会、
ECHELONに関する詳細な報告書を
提出しているのですよ。インターセプションキャパビリティーズ二〇〇〇、盗聴能力二〇〇〇という報告書が出ている。
日本は一体どうなっているのですか、
質問にも答えられないというのですから。
それで、フランスではどうなっているか。法務
大臣エリザベート・ギゴウという方が、法務
大臣みずから
ECHELONに反応しまして、
ECHELONは経済スパイや
競争相手の監視に使われているようだ、よって我々としても特別な警戒を必要とすると発言をしているのです。私はうちの立派な
総務大臣に発言をしていただきたくて
質問をしているのですが、余談でございます。フランスの国民議
会議員ジョルジュ・サール氏は、かつてのローマ帝国のように
アメリカ帝国があると発言をしている。
では、ドイツではどうかというと、これは経済
関係の方ですが、経済安全協会会長ウォルフガング・ホフマン氏は、
産業界は経済スパイによって失われる被害は七千五百億円とも一兆円とも言われる、米軍バート・アイブリング基地の存在を許していることに不満であると表明しているのですね。
では、当の
アメリカではどうなっているか。
アメリカでも、実は動きがあるのですね。
アメリカでは、共和党の下院議員ボブ・バーという人が、対外諜報活動との名目で非合法な
米国民の情報収集が行われていると追及をしているのです。それに対しては、当然反論があるわけでございまして、二〇〇〇年四月十二日、
アメリカの下院諜報特別
委員会公聴会に
NSAの
長官のマイケル・ヘイデンさんが呼ばれました。そのときに反論をしておりまして、無差別な
通信の傍受や処理は国防のために必要ありませんと答えているのですね。
では、何で世界じゅうにパラボラアンテナがあるのかということになるのですが、先ほど申し上げた
NSAの上に実は
CIAがいまして、必ずしも生活情報ばかりをとっておるわけじゃありません。軍事もとるし、さまざまな情報をとる。先ほどの諜報
関係の十三の
機関がすべて、総動員で、戦争にもあるいは商戦にも手出しをしてくるというのが
アメリカなんです。
この問題の最後になりますが、では、その他にどんな発言がなされているかを
参考に申し上げます。
サッチャー首相は閣僚二人が反対派に回ったと疑った、イギリス諜報
機関はカナダに二人の
大臣の盗聴を依頼した、サッチャーはおのれの利益のために
ECHELONを使った、先ほど出てきたマイク・フロストという方が言っているのです。これはうなずけるのですね。なぜかといいますと、
ECHELON機構に入っている国は、通常スーパーコンピューターのことをディクショナリーと言うそうです。注文を出せば答えが返ってくる、そういう権利があるそうです。だから、この証言もあり得るということでございまして、ヨーロッパではあったんだと
考えられているわけです。
次に、プライバシー保護団体EPICで仕事をしている元
NSA職員ウエイン・マドソン氏、この方は元
NSAの職員でそういうのをやっていたのですね。だから逆に、プライバシーの保護団体に入っているのですね。その方がこう言っているのです。ダイアナ妃もマザー・テレサも、マザー・テレサを
支援した慈善団体も、ローマ法王もダライ・ラマも皆
ECHELONの標的だったと発言している。特にダイアナ妃については、彼女の国際的な地雷廃絶に向けた行動が
アメリカの国策に反していたため、千五百ページにわたるファイルがあると語っている。こんなことがあるから、ダイアナ妃が暗殺されたのではないかというような説がなくならないのです。
これが今までわかっている
ECHELONの実態だと思うのですが、今後、こういう問題にどのように取り組んでいただけるのか、取り組まなければならないのか、御答弁をいただきたくて発言をしているのです。そうでないと、
セキュリティーの、暗号の問題を
お話しするのがばかばかしくなってきますので、ひとつお願いいたします。