○横光
委員 昨年の末は見解でございましたが、間もなく推進三カ年
計画が発表されると思います。その中にもこういったことが恐らく盛り込まれるかと思いますが、今、
総務大臣のお話では、
NHKのあり方から
考えて、いろいろな状況を踏まえながら非常に慎重に検討するという
お答えでございました。
有料スクランブル化の
一つの理由として言われております、いわゆる
受信料の不払い者を減らすとか、不公平性の格差を是正するための有効措置であるということが言われておるのですが、私は、この
受信料の不払い問題と有料スクランブル化の問題というのは全く別な問題ととらえているのですね。もちろん、
地上波テレビで一八%、あるいはBSで二八%という未契約世帯があるというふうに言われております。これは大きな問題です。確かに
受信料の不公平の格差が激しい。
NHKは、この問題を解消するために全力で取り組んでいかなければならない。これに取り組まなければ、スクランブル化という問題が浮上してくるのです。ここのところを別な問題として、まずこのことは
考えていきたいと私は思うわけですね。
そしていま
一つ、この理由として、BSアナログ
放送では困難ではあるが、BSデジタル
放送については
技術的にはスクランブル化に関する障害はなくなった、これも理由の
一つに挙げられております。
これはつまり、
技術的に可能だからスクランブル化導入を検討すべきという発想は、極論からいえば、いわゆる倫理観とか
文化論、そういった問題よりも、科学
技術の進歩とか競争促進のもとからの経済的な活動とか、そっちの方が優位である、優位にあるべきだということを言っているようなものだと私は思うのですね。
今よく
教育改革、
教育改革と、心の問題とか言われておりますが、
放送の
分野においても、こういったことが進めば、ますます倫理観や
文化論というのはどんどん圧縮されていく
可能性もあるわけでございます。
こういった状況がもし始まってしまいますと、どうしても商業的な色彩が強くなりまして、
民間放送と変わらないような状況になってくる。いわゆる
視聴率を優先し過ぎる余り、多様な
視聴者のニーズにこたえることが非常に難しくなる。つまり、
NHKが誇りとしてきた良質の
番組制作を追求することが難しくなるおそれがあるわけでございます。
また、対価意識が助長されますと、
先ほど大臣がおっしゃいましたように、本当に結果的には、いずれ、
地上放送においてもスクランブル化をという議論が生じ、
受信料制度そのものの崩壊を招くおそれも否定できない。こういった多くの問題点があるということを、慎重に踏まえて検討していただきたい。
確かに、有料スクランブル化というのはわかりやすいと思うのですね。見たから払う、あるいは見ないから払わない、確かに合理性はあります。しかし、
先ほどからお話がございますように、
受信機があるだけで見る人も見ない人も
受信料を払う制度、このことによって、
視聴者の多面的なニーズにこたえられる良質な
番組がつくられてきたわけですから、そういった
意味で、この問題は慎重に
考えていただきたい。
受信料というのは基本料金である、そういった感覚を私は持っております。
大臣、
会長から
先ほど今やこの
受信料制度は世界で
日本だけだというお話がございました。私はBBCが同じ制度だと思っていたのですが、BBCもだんだんといろいろな議論が始まっているわけで、そういった
意味では、世界でもまれというより、たった
一つしか残っていない
受信料制度、それだけに非常に貴重な仕組みだと思うのですね。これは大げさでなく、
文化的な遺産である、このようにさえ私は思うわけでございます。
こういった仕組みは、一度壊すと二度と戻りません。アフガニスタンのバーミヤンの石仏の破壊を見ると、本当に人間の愚かさと同時に、膨大なる、人類の世界遺産の喪失でございます。そういったこともふと感じているわけでございます。
民放があるから
NHKの存在価値があり、また
NHKがあるから
民放が光る、こういうふうに相乗効果のもとに
放送という
分野で
国民に寄与してきたわけでございます。
ただ、
先ほどからきょうもお話がございますように、
放送と
通信の融合という
時代が始まりまして、どこまでが
放送でどこからが
通信なのか、非常にわかりにくい、線引きが難しい
時代になってきました。大変大きな転換期だと思っております。こういった大きな流れに乗ることも大切ですが、この大きな流れにのみ込まれないようにすることも、これまた大切でございます。大きな流れであるからこそ、守っていかなければならないことはしっかりと守っていかなければならないと思うのですね。ただ、そのためには、
国民の信頼と理解がなくてはなりません。
そこで、ころっと話が変わりまして、今度は
NHKに苦言を呈したいと思っております。
今言いましたように、
先ほど会長も言われました、この制度を維持するためには
国民の信頼がなければだめなんだというお話がございました。ところが、今、その信頼がちょっと揺らぎかねないような事態が起きたわけでしょう。
先ほど同僚議員から質問がございました、いわゆる「ETV2001」のあのシリーズの問題ですね。
これは、私は、非常にいい、
NHKでなければできないなというような、いわゆる挑戦的な、意欲が感じられる企画だと思っておるのです。
民放では、ああいう
番組はやはり制作できません。しかし、残念ながらその二話のところで、いろいろな、
報道では疑問が生じてしまったのですね。
これは言うまでもありません。
放送や
番組内容は自主、自律の上に成り立つものであります。ですから、
報道で言われているようなことが、たとえ片りんであっても事実であったとしたら、これは
NHKにとりましては、
NHKだけでなく、
放送界全体にとりまして大変大きな信頼失墜につながりますし、大変な影響を与えかねない問題でございます。
本
委員会はそういった個別の
番組の内容を取り上げる場ではありませんが、
放送の表現と自由あるいは
放送の自主、自律という観点から、ちょっと一、二確認をさせていただきたいと思います。
この前、一月三十日にオンエアされた
番組内容について、外部からの圧力を受け、その結果、内容が変更されたという、この事実はあるのかないのか、ここではっきりと、端的に
お答えください。