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香山政府参考人 基準財政需要額の算定
方法についての
お尋ね等にお答えさせていただきます。
人口と面積等によって算定すれば思い切った簡素化ができるのではなかろうかという御趣旨でございます。
私ども、林先生の研究論文も読ませていただきましたが、これは人口と面積による相関度は極めて高いという分析をされたわけでありますけれども、あの研究報告に出ております相関係数そのものは、統計学的に見ればかなり強い相関度でありますけれども、
個々の
地方団体でその
財政運営がやっていけるかどうかというレベルで、具体的に各
地方団体にどのくらいの
影響が出るかといいますと、相当大きな額になりまして、例えば私どもの方も人口、面積、一定の割合で計算しますと、全国の
地方団体の数の半分以上は
交付税減になってしまうというような結果が出ております。
一方で、
地方の歳出でございますけれども、義務教育でありますとか福祉あるいは
公共事業といったような形で、国で法令や国庫補助
負担金
制度を通じまして
地方団体の支出
規模を実質的に決めておるという
経費が大変多うございます。これらにつきましては、当然、国の
責任におきまして
財源保障をする必要があるわけでございますけれども、法令によって
地方団体が
負担を求められる
経費というのは、残念ながら人口や面積に比例するという保障はございません。
例えば、今
地方財政にとって大きな問題になっております介護保険について申し上げましても、これは人口とか高齢者人口にも単純には比例いたしませんで、現実に介護サービスの受給者数に比例する関係にございます。したがいまして、このサービスの円滑な
実施を全国的に期待するためには、やはり介護サービスの受給者数に比例するような補正を行う必要がある、そういう事情にありますことを何とぞ御理解いただきたいと思います。
また、人口急増補正等につきまして具体的な御
質問がございましたけれども、
交付税の算定に用います測定単位あるいは補正係数に用います基礎
数値は、基本的に公信力のある数字を使う必要があるということで、人口については基本的に国勢調査人口というのを使うようにいたしております。人口急増補正は、その五年に一回あります国勢調査の後、人口増加が著しくて
財政需要額をそのままに計算してはおかしいということで手当てをしようというものでありますが、それは客観的に見まして全国の平均増加率よりも上の
団体でよかろう、要するに、それ以下の
団体については著しい
財政増加があるとまで考えなくてもいいのではなかろうか、また算定の簡素化を図るというような観点も踏まえまして、人口増加率が全国平均を上回る
団体についてのみ適用しておるということでございます。
それからまた、有珠山噴火の場合につきましては、これは今申し上げた
意味で測定単位の
数値につきましては国勢調査人口によることにいたしておりますが、一方で、その人口が区域の外に移動したからといって、当然にその分だけ
財政需要が減るわけではありません。したがいまして、私ども、
平成十三
年度の算定におきまして、過去の算定の例もございますけれども、人口急減補正という補正を持っておりまして、人口が急激に減ったけれども、それによって
団体の
財政需要がストレートに減るようにならないように激変緩和をするという算定法を持っておりますので、北海道の虻田町等の場合はこの補正を適用するということで、地元の御要請にこたえたいと考えておるところでございます。
それからまた、法人関係税の基準税額の算定についての御
質問がございました。
これは
交付税の設計、先ほど御
質問にあったこととも関連してまいりますけれども、
地方交付税全体を
配分する場合の基準税額というものは、全体として
地方財政計画の
収入見込み額に対応するように設計する必要があります。そういたしませんと、
交付税が足りないという形になります。一方で、個別の
地方団体の税収の実績もある程度反映した方がよいということで、前
年度の実績に対して一定の乗率を掛けるという
方法で法人関係税について基準税額の算定をさせていただいております。
この乗率につきましては、率直に申し上げまして、ただいま御指摘いただきました
意見を初めといたしまして、いろいろな
意見をいただくことがございますが、これはそれぞれの御
意見に一長一短がございます。特に、法人関係税というのは
年度によって変動が比較的大きい税目であります。そういうことで、私どもは実績の
収入額がこの基準税額の算定額に対しまして増収あるいは減収となった場合は、翌
年度以降の
交付税の算定において精算をする
仕組みをとっておりまして、いずれの乗率を採用いたしましても
地方団体には損得は生じないという
方法で対応いたしておりますので、御理解いただきたいと存じます。