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吉井委員 大体、「独立した公正な
立場」の「公正」という点では、
弁護士さんも一緒なんですよ。例えば殺人事件があって、実際に殺人を犯した容疑者の弁護に当たる場合であっても、殺人を犯したというその事実を全部容疑者から聞いた上で、殺人をやっているんだが、殺人を犯していないという
立場で弁護
活動に当たるということはないわけなんです。やはり公正な
立場に立って、しかし同時に、弁護人としてその依頼者にできるだけ権利を擁護してあげるようにということでやるわけです。
ですから、「独立した公正な
立場」といったって、その「公正な」というのは
弁護士であれ
税理士であれ当たり前の話であって、問題は、その「独立した」ということが課税庁から独立ということでなければ、先ほどのやはり書面添付のときにも申し上げましたけれども、課税庁の代行機関的な、そういうふうなものであっちゃならないし、そういうふうになると信頼が非常に著しく損なわれるわけです。ですから、この問題でも、やはり「独立した」というのは課税庁からの独立、こういうふうに解するのが本来の姿じゃありませんか。それをずっと
税務当局の方は、両方から独立した、中立だ、真ん中だと言ってきているんですね。
だけれども、本来、課税庁からも
納税者からも独立した公正な
立場ということをいうのだったら、それが強く求められるのは裁判所、裁判官の方の話であって、国税不服審判所やその審判官も本来そうでなきゃいけないでしょうが、これ
自体が
国税庁の内部組織ということになってくるわけですから、そこには課税庁からの独立というものはないわけですね。
しかし、よく見ていますと、
国税庁の方には、訴訟実務の訓練を受けた、
税務に精通した現職の
税務行政官が指定代理人として十二の国税局ごとに配置され、全国百二名というふうにきのうは伺いましたが、二百七十名ぐらいいるんじゃないかとも聞いていますが、訟務官がおられて、法廷内で訴訟
活動に従事する体制をとっているんですね。裁判所にも、人的体制を見ると、
税務訴訟の多い東京、大阪の地方裁判所には、裁判所の審理を補佐するために、
国税庁から調査官が東京で三名、大阪で二名と派遣されていて、任期が終わったら
国税庁に戻られるわけです。ですから、独立した公正な
立場が求められる裁判所、あるいはそれが期待される国税不服審判所が、やはり課税庁側、権力の側に偏って存在している。
そうすると、この独立した公正な
立場の保障というものがあるのかどうかということが、そこにもある
意味では疑問が呈せられるときに、圧倒的な力、国家権力の強大な力を持つ課税庁のもとで、
税法や
税務に明るくない
納税者の権利を擁護して、対等な
立場に近くして不服申し立てなりあるいは訴訟で争うというときに、
税理士さんに課税庁からの独立は求めなきゃいけないと思うのですが、しかし、
納税者とも中立ですということだけでは、私は、結局、せっかく出廷陳述権というものを考えるにしても、それは本来、
納税者の権利を擁護していく、そういうことにはならないと思うのですね。
私は、やはりこの第一条で、言葉としては、今ありました「独立した公正な
立場」ということはあるんですけれども、この「独立した」という、ここはやはり課税庁からの独立、こういう考え方に立って、それとリンクした形での法廷陳述権というものが実現されるんだ、こういう
立場にやはり国の側が、
財務省として立たなきゃいけないと思うのですが、もう一度伺っておきたいと思います。