○日野
委員 今まで何度も
議論をして、私、財政のことを
お話しする。そうすると、
景気の方が先だ、こういうお答えが来ているわけですね。私は
景気を軽く見るわけじゃありませんよ。しかし、
景気というのは、いろいろな要因があって変動します。そして、財政はずっとこのような赤字を抱え続けている。
景気が好転をしたら財政に
取り組みますなんて言っていたら、いつのことになるか実はわからぬのだと私は思いますね。
ここで、
宮澤大臣に私は注文があります。今あなたは、いろいろな要因を考えなければいかぬ、その要因を考えるためにマクロのモデルもつくらなければいかぬ、こういうふうにおっしゃいました。私は、マクロのモデルも必要だと思います、確かにそのとおりだ。恐らくこれは、経企庁の
経済研究所ですか、政府の中でおつくりになるように今お進めになっているのだというふうに思います。私はそこで十分かという思いはありますけれ
ども、それよりは、もっと幅広く、多くの人たちの意見を取り入れたモデルにしなければいかぬと思います。モデルというのは、何かちょっと
一つの要因が違うだけで大きく変わってくるものですから、そういうモデルのつくり方についても御
配慮いただきたい、このことは注文だけしておきます。
そのほかに、もっと大きな注文というのは、財政再建を今スタートするんだということをはっきりと言っていただきたいのです。
日本の国民は決して愚かじゃありません。今どのくらい
日本が国の債務を持って、地方がどのくらい債務を負っているかということはよく知っています。そして、私なんかも随分いろいろ、ことしの暮れから正月にかけて、多くの、何百人という人たちと話をした。そこで国民の
皆さんは、この財政の問題の話をすると、実に敏感に反応をしている。我々ができることは何かということを考えておられる。
かつて、財政の問題をすれば増税の話が出て、消費税の話が出て、それに対して政治の方からいろいろな攻撃が加えられてという不幸な経過があったことは私もよく存じた上で
お話をするのですが、私は今、財政の再建にまず我々は今スタートしますよと。
では、その具体的な中身というものはどうかとおっしゃられれば、税の問題、それから地方の分権の問題、それから国民の
考え方の問題、セキュリティーの問題と今
大臣並べられましたが、これらに問題があることはよく知っている。これらの問題に対処しなければならないということはよく存じているつもりです。
しかし、この財政の再建という問題は、ここで
一つの方針を立てて、その先をずっと見通して、それがうまくいくということに確信を持って始まるものでは私はないと思う。まず一歩を進めて、そして歩きながら考えていくという面がいろいろあるのではないか。そういう方法論というものが私はあると思いますよ。
財務省でお出しになった「財政の現状と今後のあり方」という冊子がございます。非常によくできた冊子でございまして、そこで財政事情の国際比較をやっている。
日本、米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、かなり問題になりそうなところはずっと挙げてあるわけでして、私は非常によくできた表だなと思っておりますが、それを見てみますと、ではまずイタリアを見ましょう。一九九二年にはGDP比マイナス九・五%、そしてずっと、九・四、九・一、七・六、七・一、一九九七年には二・七になって、そして二・八、一・九、二〇〇〇年には〇・一、ここまで回復してきているわけですね。
日本はと見ると、一九九二年にはマイナス二・〇、四・八、五・一、六・四、六・九、五・九、七・一、八・八、二〇〇〇年で七・八、二〇〇一年七・七。何という違いかと私は思うのですね。
これは、イタリアといったら問題になる国だということで、随分、まことに失礼だが
日本人は笑っていたわけですよ。しかし、現状このようになってきている。私はこの表を見て、このイタリアにしても、それからそのほかの国々も、全部ずうっと財政
状況は好転してきている。
一つの要因として、EUの通貨、条約に参加するために、あれはGDP比三%以下という
基準を強引に設けて、それに合わせるために進めた各国の努力、これが
一つ大きな要因だったろう、私はこう思っているのですね。ヨーロッパ諸国は、決して、
一つの大きなプランを立てて、その結果をそれぞれ点検をして、そして自分たちの努力を進めたのではないだろうと思います。みんなで、もういやでもその
基準を満たさなくちゃいかぬというので、それぞれ懸命の努力をしたのだろうと私は思うのですよ。
このような努力、これは
日本でなぜできないのでしょう。私はやるべきだと思う。何で
日本だけが、一九九二年からずっといえば、マイナス二・〇、四・八、五・一、六・四、六・九、五・九、七・一、八・八、七・八、こういう
数字を何でずっと連ねているのですか、この表に。どう思われますか。