○河村(た)
議員 河村たかしでございます。
特定非
営利活動の
促進のための
法人税法等の一部を改正する
法律案の提案理由
説明でございます。
特定非
営利活動の
促進のための
法人税法等の一部を改正する
法律案につき、共同提案した民主党・無所属クラブ、
日本共産党、社会民主党・市民連合各党を代表しまして、提案理由
説明をいたします。
まず、
租税特別措置法等の一部を改正する
法律案にあります
政府のNPO支援
税制案は、とてもNPOの支援
税制と言えるものではありません。それどころか、かえってNPOの自立性を害し、NPOを
政府の支配下に置こうとするNPO
政府下請強制
税制であります。
NPOの生命は、
政府からの自立であります。
政府の管理から離れ自立するところにその存在意義があるのです。
政府案のように、いたずらに認定要件を厳しくし、零細なNPOや事業を行っている自立型のNPOのほとんどがその射程外になるような案は、NPOの本質をまるで理解せず、さらに悪いことには、これを従来の公益寄附金
税制の中に閉じ込めようとする時代錯誤も甚だしい悪法と断じざるを得ません。
市民の自由な公益的活動をサポートするというNPO支援
税制の本質からは、公益寄附金を
政府が特別に認めた
特定公益増進法人に支出する場合のみ
税制支援を認めるという現行
税制の基本的枠組みを打破することが必要不可欠であります。
我々の法案は、その基本的枠組みの変更であり、特増という密室的で税金のむだ遣いが多く
指摘されているシステムを根本的に覆す法案であります。
さらに、我々の法案では、寄附金控除などの金銭的な支援にとどまらず、ボランティア活動やホームステイなどの労務の提供についても
税制控除を認めるなど、真にNPO活動を支援する内容となっております。
これに対して、
政府案は、特増の枠組みには何の変更も加えず、その実質はNPOに対して苦難を与えるものでしかありません。
政府案は、要件のほとんどを政省令に落としているため、その詳細は与党
税制大綱などでしかわかりませんが、一、NPO法人への事業課税の軽減がないこと、総収入に占める寄附金総額の割合が三分の一以上であること、複数の市区町村の者からの寄附を受けること、一者からの寄附金、助成金が寄附金総額の二%を超えた分は寄附金総額に算入しないこと、申請時に認証した所轄庁の法令、法令に基づく行政庁の処分または定款に違反する疑いがあると認められる相当の理由がない旨の証明を受けていることなどとしており、事業をしている自立型のNPOや零細なNPOが認定されにくい極めて制限的な
条件であります。
二番。政治、宗教活動を一切禁ずる点も憲法違反であり、全体主義国家の発想であります。公明党さんもしっかり考えていただきたい、
石井さん、おみえになっておりますが、と思います、など、とてもNPOのための
税制とは思えません。
そもそも、一番に言いましたような認定基準は必要最小限なものにとどめ、NPOの
評価については、細かな要件を
法律や政省令で定めるのではなく、民間の
評価機関にゆだね、民間で切磋琢磨させることがNPOの制度趣旨に合致します。
我々は、二十一世紀の
日本を、民が主役になり、さまざまな価値観を認め合って、多元主義、プルーラリズムの
もと、生き生きと暮らしていく社会にしたいと考えています。そのためには、真のNPOの制度化こそが最も重要な改革の
一つであると確信しています。
繰り返しになりますが、NPOの本質は、
財政学的には、教育、福祉、文化、社会活動などの準公共財をどういう仕組みで運営するかという
議論と非常に密接にかかわっています。戦後復興の画一的国家運営の時代を超えて、多元的価値観による国家運営を目指すというのなら、教育、福祉、文化、社会活動などの分野もNPOと
政府とで競い合い、そして時には助け合うという、ゴーイングコンサーンとして自立し生き続けるNPO制度を確立することこそが、二十一世紀の
日本にとって一番必要なことなのではないでしょうか。
以上のような立場から、
政府案のような、
公的資金の配分をすべて
政府がとり行うとする考え方は、断固否定されなければなりません。我々は、
公的資金の配分方式の民営化を旗印に、公益寄附金
税制を抜本的に改正することにより、いわば税金の使い道を
国民みずからが選択できる国家運営を目指します。それにより、お上と下々という社会体制、そして個人よりも組織を優先する国家体制を根源から変革し、
国民みずからの意思とお金で公共的な活動をなし、コミュニティーを形成する
日本をつくっていくのです。そのために、私
どもは、絶えず社会の動向に目を配り、ブラッシュアップされた法案を
提出し続ける不断の努力を惜しみません。
この戦いは、まことに恐縮ではありますが、私
河村たかしにとってもライフワークであり、私の生命が消えるまで決してとどまることはありません。また、それは必ず次の世代に引き継がれていくと強く確信しております。
以上でございます。