○瀬古
委員 保険料で入ってくるお金と出ていくお金を見てみますと、
支払い総額は約半分なんです。これぐらいしか払われていないということがわかります。
それから、今
お話ありましたように、任意の対人
保険の平均
支払い金額、これは死亡と傷害に分けて言われていますが、計算しますと、合わせて大体百二十一万円です。そうしますと、任意の場合は本当にわずかしか支払われていないということが、これでもわかってまいります。
金融庁が提出した
自賠責保険支払い例をもとにしてつくった表を皆さんのお手元にお配りをいたしました。これを見ていただきたいのですけれども、(A)、(B)、(C)という表がございまして、(A)が、現在
運用されている方式が書かれております。これはちょっとおかしいぞというので私どもが計算したのが(B)でございます。差額分、本来払われるべきだと私たちが思っているのに実際には支払われていないというのを(C)というところに載せさせていただいております。
これは、
損害額が二千万の場合、一億円の場合、二億円の場合というふうに分けておりまして、
被害者の
過失割合が〇、七〇、八〇、九〇にしております。それで、三千万までの場合、
自賠責は、現在、本人の
過失割合が七割未満の場合は減額されません。七割以上で八割未満が二〇%の減額、八割以上九割未満で三割、三〇%の減額、九割以上十割未満は五〇%の減額となります。ですから、九割の
過失割合があっても、
自賠責の場合は半分は補償されるという
仕組みになっているわけですね。
そこで、その表を見てみますと、
損害額二千万の場合は、これは
自賠責の範囲内で、例えば七割、七〇%が
被害者の
過失割合というところを見てみますと、千六百万円補償されるということになります。これは、七割の
過失でも二千万の約八割が補償されるという
仕組みになっております。
それで、一億円というところを見ますと、これは(B)のところを見ていただくとわかるのですけれども、例えば
自賠責は三千万までです。そして、あとの、残りの七千万が任意という形になります。そうすると、本来で言うと、一億円の場合は、
自賠責分でいいますと、三千万の八割ですから、二千四百万円入ることになります。そして
任意保険は、その三千万を超した分、七千万ですから、この場合は七割の
過失なので三割しかもらえません。合わせると四千五百万円この人は受け取ることになるというのが私たちの計算です。
ところが、現行法でいいますと、大変乱暴でして、一億円に三割しかもらえないという
仕組みになってしまいます。一億円の三割ですから三千万しかもらえない。その内訳は、
自賠責から二千四百万がそのまま出るという
仕組みになっていますけれども、
任意保険はわずか六百万円で済んでしまう。そうすると、本来なら四千五百万円もらえるところを三千万で区切ってしまって、そして
自賠責はきちっと払われているのですけれども、
任意保険の払う金額が大変低くなってしまう、こういうようになりまして、本人のもらう額は千五百万円も減ってしまいます。二億円の場合も同じような計算で、七割の
過失割合の場合には三割分しかとれませんから、もう六千万円で頭打ち。その中で、
任意保険と
自賠責保険と振り分けて金額が払われるという形になっていますが、こういう計算方法は私は大変問題があると思っています。
少なくとも、
自賠責は
被害者の
保護のためにつくられた
制度ですから、一億円の場合は三千万と七千万に分けてそれぞれ計算をして出す、二億円の場合には三千万と一億七千万に分けて出していくということが、本来、
被害者の
保護のためのこの
自賠責では必要ではないかと思うのです。
ところが、
任意保険で、掛けているばかりといいますか、
任意保険で三千万を超えた人についてはそういう適用がされないというのは、大変ここにごまかしがあるのではないか、本来ならこの差額分は
被害者に返すべきものではないかというふうに私は思うのですけれども、いかがでしょうか。