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金田(誠)
委員 この二、三日、きのうまで連日、私、原告の郭さんのお顔を拝見いたしてございます。きのうは御一緒させていただいて、
大臣のところにも伺わせていただきました。まともにお顔を見るのが本当につらいというのが正直なところでございます。万々が一にもいい知らせを持たずにお国に帰られるようなことをしてはならないと、本当に痛切に今思っているところでございます。
大臣はハンセン病問題でも大変な御尽力をいただいた、その
大臣の誠意に期待をいたしたいと思います。重ねてお願いを申し上げまして、次の
質問、本題の方に移らせていただきたいと思います。
年金改革の基本的な考え方、これについてでございます。以前にも申し上げました。
私、昨年十二月に、ドイツとスウェーデン、イギリスの
年金改革を調査する機会を得たわけでございます。各国とも、賦課方式の
公的年金は保険料率の引き上げがもう困難な状況、
国民負担率も非常に高いというお国柄で、保険料引き上げが困難な状況で、高額の所得者を
中心に、一定の給付の圧縮ということが行われておりました。そして、それにかわるものとして、
確定拠出型の
年金が自助努力の仕組みということで有効に組み込まれていたというのが実態でございます。その一方で、
年金額の低い層に対しては、全額国庫負担の最低保障
年金というものがそれぞれ
制度化をされていました。
特に驚いたのはイギリスでございまして、あのサッチャー
改革、新自由主義というのでしょうか、新保守主義というのでしょうか、自己責任を
中心とした大
改革をやったわけでございまして、結果、
年金の給付水準は相当低いレベルに切り下げられておりましたが、それにもかかわらず、あのサッチャー
改革が行われたにもかかわらず、ペンションクレジットという名称で、全額国庫負担の最低保障
年金が
制度化されていた。正直、驚いたわけでございます。これは、実質的には生活保護でございます。しかし、
年金という名称をつけて、プライドを傷つけずに受け取ってもらうんだ、こういうのが担当者の話でございました。
イギリスでさえと言うと失礼に当たるかもしれませんが、こういう状況。いずれの国も、高齢化の中で悩みながらも、それを貫く
一つの哲学があったと強く感じました。
それに引きかえ、我が国の
年金制度はどうかといいますと、月額五十万円超の受給者がいる一方で、いまだに無
年金障害者が放置されている、
中国帰国者の方々も極めて低い
年金のままに置かれている、これが実態でございます。最低保障
年金などは検討さえされたことがないと思うわけでございます。加えて、
国民年金の空洞化は進むばかり。解決策は、全額税方式の導入以外にない、私
どもはこう考えておりますけれ
ども、
政府の側は、何の手も打てず、放置の状態だと思います。
こうした中で、今
国会に
提出された
年金法案、先に
審議したのは確定給付、それで今
確定拠出でございますけれ
ども、残念ながら、
改革の理念、哲学が見えてこないと言わざるを得ません。確定給付の方は、厚生
年金基金の破綻を回避するというものでございましょうし、
確定拠出の方は、株価
対策という側面が非常に強いのではないか、それが動機になっているのではないかというふうに見受けられてならないわけでございます。
いずれにしても、我が国の
年金制度全体をどう
改革し、どういう方向に持っていくのか、このことが明らかになる必要が本来あると思うわけでございます。その中で、確定給付にしても
確定拠出にしても、全体の中できちんと位置づけられるべきもの、私はこう思うのでございますけれ
ども、
大臣の御所見を承りたいと思います。