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阿部委員 社民党としていただきましたお時間、多少延長しておりまして申しわけありません。私は二番手の
阿部知子でございます。
さきの小泉新
総理の誕生に伴い、神崎代表が代表質問の折に、二十一世紀は平和と人権の世紀であり、その中で特に公明党は人権、生命、環境ということに重きを置いてこれからの世紀をよい世紀にしていきたいということでの御発言があったと
思います。その公明党からこの厚生
委員会に、
坂口厚生労働大臣、桝屋副
大臣が担当してくださいます。そしてまた、私にとっては、私は医療分野に働いておりましたから、南野さん、さんと言っては失礼です、南野副
大臣、看護分野で御経験の深い南野副
大臣という、盤石の布陣をもってこの二十一世紀の
厚生労働委員会を迎えられることを大変うれしく
思います。
そして、本日は、
金田委員の御質問に始まりまして、ただいまの
中川智子委員の御質問、どなたの御質問の中にも、ハンセン氏病問題のいわゆる
控訴問題、
控訴はしないでくださいという御発言があったと
思います。私もその
思いは同じでありますし、恐らく
坂口厚生労働大臣も、一人の医師としてこの問題を考えた場合に、やはりなすべきではない、本当にお年を召していかれる
患者さんに対して人間としてできることは何であるのかというふうにお考えであろうと
思います。
その上に立って、私は、いわゆる厚生行政として一点確認をいたしたいことがございます。
実は、この一番目の質問は、申しわけございませんが、質問通告はしてございません。きょうのいろいろな皆さんの御
意見を聞きながら、私としてぜひとも確認したいという一点ですので、御
答弁等々、資料がございません、あるいはこれから調べますということでも結構ですので、一点目のお時間をちょうだいいたします。
今回の
熊本地裁の
判決は、いわゆる
立法の不作為、こうした状態をずっと放置したまま来た私
たち国会議員の一人一人にもその
責任を問うた、極めて異例の
判決でございます。
私は、この
判決に接しましたとき、一体法律というのは何なんだろう、そして自分
たちが法律をつくる場所にいるということは何なんだろうということを改めて考えました。そうした法律、法と人権、あるいは法とそれに縛られざるを得ない、あるいは逆に言えばそれによって守られる命ということについて一点、
厚生労働省に確認をいたしたいと
思います。
実は、九六年三月二十五日の百三十六
国会で、衆議院厚生
委員会での御発言で、当時の松村保健医療局長の御発言の中に、いわゆるハンセン氏病の
療養所の中で、半強制的な優生手術については、「おおむね
昭和三十年代前半、遅くとも
昭和四十年代以降には行われていない」という御
答弁がございました。
そして私は、
先ほど坂口大臣の御発言の中に、
昭和三十五年ごろ、これは国際的にらいの感染についての知見が広まり、プロミンの使用を初めとして、医学的に見ても隔離の必要のないものという
判断がおりた時点が、やはり
坂口厚生労働大臣としても、妥当な感染についての
判断の時期ではないかとおっしゃられましたことを受けての御質問でございます。
実は、優生保護法の三条三項に基づきまして、三条三項と申しますのはらい条項でございます。らいが感染をいたしますので優生保護手術を施行いたしますという条項でございますが、
坂口厚生労働大臣が認識された
昭和三十五年以降、すなわち一九六〇年以降も、いわゆる瀬戸内の三園、長島愛生園も含む三園で、この優生保護法の第三条三項にのっとった手術が現実に行われ、統計上も報告されております。
となりますと、この感染については世界的な認識に従うとされたただいまの
坂口厚生労働大臣の認識と逆に、この優生保護法のよって立つ根拠が全く背反してまいります。こういうふうに法がお互いにそごを起こすということは、法治国家にとっては大変な問題でございます。
私は、しみじみ今般の事態を考えますに、法の重要性でもございますし、いかにひどいらい
患者の隔離をしてきたか。実は、次の世代を産む権利も、子供
たちの生まれ出る権利も奪ってきた法律でございます。この認識に立ったときに、今般の、ぜひとも
坂口厚生労働大臣から首相に上申されるべき
お答えは、これは厚生行政の誤りの一部でもございます。何度も申しましたが、優生保護法三条三項はらいの感染性に基づく条項で、これによって堕胎処置を受けております長島愛生園で調べられた計数については、実はさきの
熊本地裁の中でも資料として出されておりますので、恐らく他のハンセン氏病の施設についても同じようなことがございますでしょう。
そして、残念なことにも、
厚生労働省のかつての、何度も申しますが九六年三月二十五日の松村氏の
お答えでは、
昭和四十年代以降は全く行われていないと認識していると。こうしたことは、実は、
厚生労働省による実態の誤認、御認識の違いでございます。認識が誤っているということでございます。
こうしたことについて、
責任省庁としても、きちんとこのらい問題の見解をいただきますように
お願いいたします。私は、これは質問通告してございませんでしたので、
お答えはきょうは結構でございます。
ただし、きょうずっと皆さんの
意見を聞いてきまして、私は、優生保護法という法律は非常に心にかかる法律でございました。そして、その三条三項がらいの条項で、いつまで現実にそれで行われていたのだろうということを調べてまいりました。そして、
先ほどの
坂口厚生労働大臣の
お答えをいただきましたので、それでは大きな行政上の過ちであったのだなということになりますので、あわせて御検討を
お願いいたします。
では一点目、これも質問通告とは多少ずれますが、皆さん、この間の
委員の御発言は、
控訴をしないように、国がこの地裁の
判決に基づいてこれからの救済をするようにということでございましたが、
厚生労働省管轄ではございませんが、非常に残念なことに、水俣病におきまして、先般四月に関西での高裁の
判決に対しまして環境庁がまた上告なさいました。
果たして私は、
裁判というものは
患者にどのような負担と苦しみを与えるのか、このことは、実は私どもは
立法府におります人間でございますが、もしこのハンセン病がさらにまた上告されますような事態を多少なりとも予想しましたときに、
裁判というものをもう一度考えてみなければならない。水俣病におきましても、
患者さん
たちは御高齢化されますでしょう。そして、水俣病におきます健康被害についても、実は、
厚生労働省の疫学的
調査が国として系統立っておれば、今般のような悲しい
裁判を繰り返さなくてよかったのではないかと思っております。
どういうことかというと、知覚の麻痺のある
患者さんが知覚麻痺だけを持っておられる場合、水俣病と認定するか否か。実は、水俣病は、人体を用いた水銀中毒の実験でございました。そして、因果
関係と申しますのは、再実験ができない以上、綿密に何十年にわたる
患者フォローアップをしないと、実相は浮かんでまいりません。
患者側からそのことを証明するのは、死して遺体になって解剖して初めて
真実がわかる。非常に悲しい構図でございます。
私は、国の政治というものは、その根本に大きな人間への愛情、これを神崎代表は人権と平和の世紀とおっしゃったと
思います。そのようなものを失ってしまっては、私どもが幾ら、例えばこのハンセン病も、次に国として上告された方が今の
裁判中の
患者さん以外の
患者さんにもよいことがあるかもしれないやの新聞報道もございますが、
裁判というものは過酷な、そして、被告になるのももちろん大変ですが、
原告として
患者側が少ないデータで闘うのは非常な労苦でございます。
私も、二十年前、医療被害と闘う医師・弁護士の会を立ち上げまして、ずっと医療被害
裁判にかかわってまいりました。そして、二年半前、実の兄が医療被害で亡くなりましたときに、私自身が
裁判を起こすかどうか考えました。私は、
裁判を起こすよりも、いわば医療被害を起こす構造を改めようと
思い、議員になることを決意いたしました。そして、今日この場におりますけれども、それほどに、例えば、医者である私が
裁判を起こすということを考えても非常に大変なことでございます。長い苦しみ、本当に今闘ってこられたハンセン病の
患者さん、水俣病の
患者さん、私は、けさの
金田委員も、
中川委員も、涙声をもって
坂口厚生労働大臣に
控訴しないようにと
お願いされましたが、それと同じ分の
思いを、我が身の経験、そして、長年かかわってきた医療被害の経験から、私は一言申し添えたいと
思います。
そして、医療被害問題、薬害問題の次に、エイズに
関係する血液行政に移らせていただきます。
これも私は今日
坂口厚生労働大臣で本当によかったと思うことの一端でございますが、実は、エイズ薬害
裁判については、和解の後に、
平成八年に
患者さん
たちも交えた薬事審議会の場で、これからの血液行政の見直し、とりわけ、血液の自給体制、国内で自給を図る体制、あるいは供給体制、安全体制、そして起こり得る副作用について、被害対策等々の
話し合いのテーブルが持たれ、昨年の十二月に一応の答申は出て、それ以来、立ち消えになっております。
どういうことかといいますと、私どもの日本という
社会、そして、とりわけ担当省庁でありました厚生省、今は
厚生労働省は、薬害エイズ被害を教訓に、今後、血液事業というものについて、日本の中で本当に
国民の命を守れる行政をしこうというふうに決意されて、
患者さんが
参加するテーブルを持たれたのだと
思います。
きょうの午前中の質問で、家西
委員がC型肝炎の件、これも血液製剤の持つさまざまな問題でございます。そして、私の後には
川田委員も御質問でございましょうが、現在、こうした被害者の方
たちがまた
国会の場で変えたいと思っていらっしゃるのも、命を守る厚生省であってほしいという
思いだと
思います。
そして、つい近々では、輸入の血液製剤、いわゆるバイエル社の輸入血液製剤が不足するという事態が一たん報道されまして、当時は厚生省が、この三月、四月、日赤等々にサプライを
お願いいたしまして事なきを得ましたが、やはり供給体制が国内できちんと保障されないということは大変不安でもございます。
血液行政に御造詣の深い
坂口厚生労働大臣に、ぜひとも、去年十二月をもって中断されております、この薬事審議会の中の
患者同席の血液事業についての見直しテーブルの再開について、御見解を伺いたく
思います。長い前ぶれで済みません。
〔
委員長退席、谷畑
委員長代理着席〕