○大島(敦)
委員 きょう最後の
質問となりました、民主党の大島でございます。
坂口大臣からは、就任以来いつも誠意あふれる御
答弁をいただきまして、まことにありがとうございました。
このやりとりというのは、インターネットでいつでも見ることができまして、私の支持者の方も、インターネット上でこういうやりとりを見て、時々意見をいただくことがございます。ですから、きょうは、この会場にいらっしゃる方、そしてインターネット上で私のこういう
質疑を見る方、そういうところを意識しながら
質問をさせていただければと思います。
私、きょうは、今回の
確定給付企業
年金の中で、税制適格
年金からの移行を中心に
質問をさせていただきたいと思います。
税制適格
年金というのは、今回のこういう
年金の法律というのは非常に専門的な法律で、地味な法律なんですけれども、先ほどずっと
皆さん御
質問の中で、八万社そして一千万人を超える方が加入して、その
資産も二十二兆円でございまして、非常に影響力の大きい法律だと思います。
厚生年金基金が同じく二千万人ですから、ダブって入っている人がいらっしゃることを
考えても、一千五百万人以上の方に影響がある法律かなと思っております。
今回の適格
年金なんですけれども、先ほど金田
委員の方から御
質問がありました
厚生年金基金も非常に中途半端な
制度であったように、税制適格
年金も、ややもすれば中途半端な
制度であったと思います。
もともと、従業員と事業主が結ぶ退職金規程、それの届け出先が国税庁なものですから、専門的じゃない方がいつもそれを見て認可するという、本来であれば違う省庁がやってもよかった
制度かなと思います。したがって、恐らく国税庁の方も、ちょっと仕事としては気持ち悪いので、専門的な
厚生労働の方にお渡しした方がいいという判断をされて、今回の
確定給付企業
年金法の方に移管されたのかなと
考えております。
この税制適格
年金というのは非常に中途半端な
制度であったことも確かなんですけれども、一千万人の方が入っていること、そして二十二兆円の
資産が現在積み上がっているということは、
制度としては非常に扱いやすい
制度であったかと思います。
今回この税制適格
年金がなくなることによりまして、先ほどの
質問の中でも
皆さん、特に中小企業の従業員の
年金あるいは退職金というのがなくなってしまうおそれがあるのかなという
答弁がずっとございました。私も、適格
年金については、本当に町場の
皆さん、選挙区に帰って戸別訪問あるいは後援者の中にいらっしゃるような本当に町場の小さな会社から、鉄鋼業とか電力会社のような大きな会社まで、すべてこの税制適格
年金で退職金を準備されているわけでございます。
どうして二十二兆円までこんなに大きくなったか、原因を
考えてみますと、やはりこの適格
年金というのが、今企業が退職金を積み上げたいと
考えた場合に、昔ですと企業の会計の中で退職金の引き当てが、四〇%だったと思いますけれどもとれていました。これが今二〇%、半分ぐらいになりつつあるか、あるいはなっていると思います。したがいまして、企業の中で退職金を積み上げるのに、なかなか、
制度としては適格
年金あるいは
厚生年金基金ぐらいしかないわけです。もう
一つ、中小ですと、中退金、中小企業退職金共済
制度というのがございますから、大体この三つしかないわけなんです。
この中で、特にバブルのときに
皆さん大分もうかってしようがなかったものですから、せっかく会社で利益が出たから、国の方に税金を納めるのも大切なんですけれども、この際従業員の退職金
制度を準備しようということで、大体一九九〇年ぐらいに、小さな会社も鉄鋼業みたいな高炉の大きな会社も、すべてこの
制度に入ったわけでございます。
当時は、日本の
経済、非常によかったですから、過度な積み立てをしたケースがあるかと思います。過度というのは、できるだけ経費、法人税を節約できるものですから、そうすると、掛金を大幅に取っておけば退職金の積み立てとしては非常に急速に積み上がって、かつ法人税の節約もできたということで、
皆さん入られたわけなんです。
それが、九〇年代中盤以降、後半になりまして、バブルがはじけて
経済が悪くなってから、
皆さんきゅうきゅうとしてしまったという事実がございました。
ですから、昔の税制適格
年金というのは非常に硬直的な
制度でもございました。例えば、お約束した
年金給付の額というのは、三年ぐらい前までは一たんセットしたら減額は
基本的にはできませんでした。そして、掛金を納めるというのも、例えば、普通ですと、掛金を納めて、払えなくなったからあと二年、三年、五年ぐらい待ってくれよということを言える
制度かというと、そうではないんです。一たん掛金をストップ、払えなくなって手を上げてしまいますと、二年たつと自動的に解約になるという
制度でございました。したがいまして、企業の
年金担当としては非常に逆に扱いにくい
制度になったことも事実なんです。
ですから、ずっとバブルのときに
皆さん入られて、そして払えなくなってバンザイして、二年後には強制的に解約して、これがすべて従業員の
資産に、従業員のものですから、事業主が払った
時点でこれは従業員に帰属しているものですから、解約イコール従業員の口座に入るということになります。したがいまして、いただいた従業員も何かわからない金が入ってきてしまった、会社としてはボーナスの内払いという処理をしながら、これ
もちょっとおかしいんですけれども、対処していたのが三年ぐらい前。それで、大分
皆さんの不満があったものですから、国税庁の方で通達を変えまして、そのように払えなくなったり、あるいは労使の合意ができれば減額してもいいよということで、今の税制適格
年金が
運用されている実態がございます。
したがいまして、適格
年金という
制度は、改めて今回の
確定給付企業
年金の方に移行する必要があるのかなと私は疑問に感じているところがございます、今の
制度でも十分やっていける会社は多いものですから。
厚生年金基金はなくならないわけですよね。
厚生年金基金は生かし、移行したところは今回の新しい
確定給付企業
年金に入り、税制適格
年金だけが十年後にはなくなってしまって今回の新
制度に
統合されるという、そこのところをもう一度御
説明していただければありがたいんですけれども。