○渡辺(周)
委員 これとあわせて、今特殊法人については、とにかく民業を圧迫している部分、こんな話はもうさんざん耳にたこができるぐらい聞かれていると思います。
温泉場なんかに行きますと、一等地に大変立派な何とかトピアというのがあって、こんな不況の中で、中小の旅館なんかはもうみんなばたばたいっちゃっている。にもかかわらず、そんなところがどんどんつくられて、とてもじゃないけれ
どもかなわない。それでいて選挙になると、何か組合で集められて、某与党の候補やれとかなんとか言ってきたって、おれたちの仕事を奪っておいて何で、こんなものをのさばらせておいて、それでいて選挙のときだけ頼みますなんてばか言うなというような意見が来るわけですよ。だからといって、民主党を応援するというところまでまだなかなかならないところが我々も苦しいところなんですけれ
ども。実際そういうところがあって、弱きを圧迫しているようなところに関しては、ぜひこれは本当にやっていただきたいなと思うわけです。
それで、時間がないから次に行きますが、公益法人改革という点について、猪瀬さんの「
日本国の研究」なんかにも出てきます。これは、実は私も非常に関心を持っていまして、こういう陳情を受けたことがある。これは私の地元、静岡県の沼津市というところですが、そこの水道屋さんたちの集まりがありまして、水道屋さんたちがこういうことを言いました。
水道工事をやると、旧の役所の名前でいうと、例えば建設省、それから水道だと厚生省、技能検定でいうと労働省といって、あと自治省だったでしょうかね、これが全部何かよくわからないけれ
ども資格制度を持っていて、試験を受けさせるんだと。結果として、財団法人何とかセンターとか社団法人何とか会が、水道工事をやるとなると七つ資格があった。今度とうとう、去年あたりだったでしょうか、八つ目の新しい試験を、資格取れと言われた。今までなくてもよかったのに、今度は新しい資格をつけ加えられて、それがないと仕事ができなくなるんだと。
その方々、全部その上部団体に加盟をして、何か会費を払うと半年か何カ月かに一遍会報を送ってきて、送ってくる会報に講習会の案内が載っているからそれをとっていなきゃいけない。それで、大体、御存じのとおり、お父さんが社長さんやっていて、お母さんが、奥さんが経理を見ていて、息子かもしくは若いのが二、三人職人さんでいて、本当に四、五人でやっている零細
企業ばかりです。この方々が、しょっちゅう仕事を閉めて、我々静岡県ですと、例えば、名古屋か東京か横浜あたりで年に一回ぐらい技能検定の講習会があるから行かされる。新幹線に乗って二、三人連れていけば、例えば、二日間仕事を閉めて、それで受講料払って新幹線に乗って行かなきゃならない。ただでさえ今非常に不況の中で厳しいのにもかかわらず、こんなところで
コストをかけさせられている。こういうのが一本化してくれればこんな楽なことはないと言われました。
何でできないんですかと私が聞いたら、全部それが、省庁ごとの縦割りの団体があって、内容はほとんど似たり寄ったりだ。何でこんなものを、建設省の技能検定と労働省の技能検定と厚生省の技能検定があって、一本化してくれないんだと。そのたびに何か講習費を払って、こんなことをされたら、正直、家を建てる、工事をするときにその分の
コストを転嫁しなかったら、とてもじゃないけれ
どもやっていけない。それで
日本の
コストというのはどんどん上がっていくようになっているんだと。
ですから、家を建てると
日本の家は高いようになっている。
日本で工事をすると必ず
コストがかさむようになっているのは、これは水道屋さんだけでそういう例ですから、当然、ガスを扱う人もいれば、あるいは電気設備士だとか電気工事をする人とか、いろいろな団体があって、それがみんなそういうことで辟易しているわけであります。これは別の
意味での民業圧迫だと思うのです。この点についてもぜひメスを入れて実態を把握していただきたいと思うのです。これは、この方々は水道屋さんでしたからこういうふうに言っていましたけれ
ども、もう間違いなく……。
それで、ことしの一月だったでしょうか、国の所管する公益法人の総点検に関する各府省庁担当の、いろいろな役所が一覧表でございました。この総点検しろというのを見たら、実施した項目が、公益法人が本来民間
企業でもできる事業を行い、民間
企業がやるよりも料金が高くなってユーザーの利益も害していないか、あるいは、その活動は許可された目的どおり本当に公益を増進しているのか、実際の活動は目的を達するためにやっているか、そういうことで、四項目にわたってマル、ペケ、三角をつけて、ちょっとホームページに出ていました。見たらほとんどマルです。みんな、まさに目的もかなっているし、やっていることも正しいんだと。しかも、あんなホームページ見ても、こんな画面の中に、もう字も読めない、虫眼鏡で見なかったら見えないような細かい字でその結果が載っているんですね。ただマル、ペケ、三角だけです。
これではこの実態を把握できないと思いますので、ぜひ私
どもは、そういう零細、いろいろな団体の方々、選挙のときだけ推薦状をもらって、比例区の候補者の応援を押しつけるだけじゃなくて、やはりそういうところに行かれて、ぜひそこでお声を聞いていただきたいと思います。あるいは、そういう団体のトップの方々に、そういう断行評議会があるのならばそこに来ていただいて、例えばぜひヒアリングをしていただきたいと思いますね。
これは猪瀬さんの本の中にもありましたけれ
ども、二重、三重のいわゆる検査、検定、認可、資格付与、こういう名前でいろいろなことをやらせている。たしかこの「
日本国の研究」の中には、スポーツジムのインストラクターの話か何かが出ていたと思うのです。スポーツジムのインストラクターも、やはり厚生省と文部省と何かに分かれている。これは、みんなその資格を取らないとインストラクターになれなくて。だから、
日本のこういうスポーツジムみたいなところはみんな
コストが高くて、一般の人間はなかなか参加できないようになっている。
こういう点を、ぜひこの点も含めて検討していただいて、とにかく
日本の国はいろいろなことに関して
コストがかかり過ぎている。サラリーマンが大体一生かかって家を買えないなんという、こんなあほみたいな国は多分世界ではここしかないであろう。一生懸命働いて、自分の死んだ後の生命保険と退職金を当てにしなかったら家のローンが完済しないみたいな。
せめて、そこにかかっている
コストを下げる
意味で、こういういろいろな生活の隅々に行き渡っている、いわゆる公益法人による
コストアップにつながっている部分、細かいことをたくさん積み上げてやってきた、この点にぜひメスを入れていただきたいと思うんですが、その点についての実態を御承知かどうか、それから、もしそうでなければ、ぜひこういうことをやりたいということをお尋ねしたいと思います。