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平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
この不良債権の抜本的な処理などによる雇用への影響を最小限にするためには、新たな市場をつくる、これを果敢に切り開いていかなければ雇用を生み出すことができない。多様な雇用形態や効率的な能力開発を可能とする雇用システムをやはり全力を挙げて構築して、それに取り組んでいかなければならないと思っています。
確かに日本は、
先ほど委員御
指摘のように、この十年間、失われた九〇年代と言われています。その一方において、アメリカは、やはりITを
一つの起爆剤として、そして新規産業が非常にたくさん出てまいりまして、そこに雇用が吸収され、未曾有の景気、こういうことになりました。
しかし、
委員御
指摘のように、アメリカとはいろいろ制度や仕組みが違います。だから、そのまま日本に適用できるとは私も思っておりません。ただ、やはり
一つのモデルにはなると私は思っています。
そういう中で、きょう実は、新しく小泉新内閣のもとで産業構造
改革・雇用対策本部が立ち上がりました。それに対しまして、大変皆様方の御協力をいただいて、昨年十二月に、我が
経済産業省が、もう縦ばかりではだめだから横の
連携をとろうということで、他省庁の皆様方と本当に真剣に議論をしながら、また産業新生
会議等の議論も踏まえて、二百六十項目に及ぶ新しい行動プランをつくり、そのうち百はもう既に
実施して、その八〇%はもう着手している。
しかし、やはりこういう
状況で、既往の不良債権はとにかく二年以内で、新規に発生したものは三年以内に処理するというような大変ドラスチックな政策をやってまいりますと、この二百六十項目以外にも、もっともっとやらなければならないことがあるんじゃないか。こういうことで、きょう立ち上がった新しい本部に向けまして、これも事務
レベルで横の打ち合わせをしつつ、実は、私、本日の産業構造
改革・雇用対策本部に、たたき台として十五のポイントを列挙して、ひとつこれをもとにして議論をしていただきたい、こういうことで提示をさせていただきました。
詳しくは新聞等に出ておりますから御存じだと思いますけれども、ポイントを申し上げますと、
一つは未来の産業を生み出すイノベーションシステムの構築、これが私は重要だと思っております。
例えば、やはり大学というものは非常に知識が集結しておりますし、ポテンシャリティーがあります。しかし、日本の現状を見ると、アメリカや欧米と比べて、大学発のベンチャー企業というものが非常に誕生しにくい
状況になっている。だから、産学が協力をして、そこに官も入って、やはり少なくとも大学発のベンチャー企業が三年で一千社ぐらいになるように、それでそこに雇用が吸収できるようなことを私どもは戦略として出していかなきゃいけない、こういうことも
一つの柱にさせていただきました。
また、我が国にベンチャースピリットを植えつけなければなりません。ただ、そのベンチャースピリットを植えつけるに当たっては、日本はまだ金融資産がたくさんあるんですけれども、新規産業にそれを投資しやすい環境がない。ですから、そういう個人にある、いわゆる金融資産というものを新しいそういうものに投資しやすい環境をつくっていく、そういう条件整備もやはりこの際思い切ってやっていかなきゃいけない。
そういう中で、今本当に残念なんですけれども、開業率と廃業率、これは日本の場合には廃業率の方が大きくなってきている。そうあってはなりませんから、新規開業というものを五年で倍にしようじゃないか、そのためには、いろいろな形で、人材も確保しなきゃいけませんし、あるいは資金の調達も今申し上げたように必要でございますし、税制をどういうふうにするか、そういったことも
環境整備として今進めていかなきゃいけない。
それから、少し長くなりますけれども、少子
高齢化というのは、どっちかというとマイナスにとらえられている。しかし、昔は織田信長が人生わずか五十年といって能を舞いましたけれども、今、八十年の時代です。ですから、やはり有用な知識を持ち、経験を持ってまだ元気のあるお年寄り、
高齢化の中でそういった活力を活用して、やはりこの国の産業を安定的成長軌道に乗せる。そういった、マイナスというように思われていたことも実は成長のエンジンに変えて、環境もそうですけれども、そういったもろもろのことを導入して、私ども十五の提案をさせていただき、これが六月に中間取りまとめ、こういうことになっておりますので、九月にはもうしっかりしたプランになります。
平沼プランなんて言っていただくと私もちょっとこそばゆい気がしますけれども、私は、たたき台としてきょう出させていただいて、これから、いわゆる縦割りじゃなくて、省庁そして民間の活力、そういったものを導入して、一生懸命に頑張らせていただきたい、このように思って発表させていただきました。