○藤木
委員 日本共産党の藤木洋子でございます。
一九九九年、北京で開催をされた
モントリオール議定書第十一回締約国会合では、
先進国に対して二〇〇一年七月までに、つまりことしの七月までに、
CFCの
回収等の
取り組みの
方向性を定める
CFC管理戦略を策定することを求めております。これは
UNEPのオゾン事務局にその戦略について報告をすることが決定されているわけでして、もうすぐ目の前に迫ってきていると言わなければなりません。
しかし、既に
先進国の中では、スウェーデンが一九八八年に
CFC、ハロン等の
回収を義務づける規則を設けております。イギリスでは、一九九〇年に
CFC、H
CFC等の放出禁止を決めております。アメリカも同じ年に、
CFC、H
CFC、
HFC等の放出禁止、
回収の義務づけを行っており、一九九一年にはドイツでも、
フロン、ハロン禁止令で
CFC、H
CFC等を規制
対象にしております。こうした各国の
取り組みから見るならば、
我が国の
取り組みのおくれは際立っていると言わなければなりません。
私
ども日本共産党は、二〇〇一年度予算に関する党の見解を発表しておりますが、ここで
環境対策を強化する予算化を提言してまいりました。
地球の
オゾン層破壊と温暖化を促進する
フロンについて、
回収・分解を義務づける
法律を制定し、
メーカーの
責任と
負担を明記する、このことを鮮明にいたしております。
この立場から、
フロン等の放出禁止及び
回収・
処理に関する私
ども日本共産党の
考え方と、それに基づく
法案の骨組みをつくっておりますので、これを中心に
意見として申し述べてみたいと思っております。
私
たちの
考え方は、大きく言って四つの特徴を持っております。
その第一は、規制の
対象を広くしているという問題です。
二つ目は、
フロン等製造事業者、
フロン等使用機器及び使用資材の製造・販売事業者が、放出防止及び
回収・
処理の
責任と
費用負担を負うこととしていることです。
三つ目は、国の役割を、
フロン等管理基本方針を策定し、特定
物質放出防止及び
回収・
処理基準を定め、
フロン等の
回収・
処理を促進することとしている点です。
四つ目の特徴ですが、現在既に進められております都道府県段階の
取り組みがあるわけで、これを十分生かした
法制度とすることとしている点だと思います。
そこで、まず第一の、特定
物質は
CFC、H
CFC、
HFC、PFC、ハロン、四塩化炭素としておりまして、特定
物質使用機器及び使用資材は
業務用冷凍空調機器、カーエアコン、電気冷蔵庫等の機器と電気冷蔵庫、建築用材等の
断熱材発泡剤及びエアゾール噴射剤等の使用資材まで規制
対象を広くとっている点です。
先ほ
どもお話がございましたけれ
ども、実際に今ストックされている中で、この分野というのは、カーエアコンや冷凍庫など以外の分野というのが六割近くあるわけでして、ここにもきちんと
法制度をつくっていかなければ本当に
フロンの放出を防ぐことは難しかろうというふうに考えます。
これは、一九九七年の化学品
審議会に提出をされた試算を見ても明らかになっているところであります。この分野の
処理技術の開発がまだおくれているということもございますけれ
ども、それであればこそなおさら法に明記をしてその促進を進める必要があると考えております。
二つ目の柱の拡大生産者
責任についてでございますけれ
ども、これは、特定
物質放出防止及び
回収・
処理基準を遵守することと、
フロン等の放出防止及び
回収・
処理の
責任と
費用負担を負うことを義務づけている点です。ですから、
排出時の
費用負担は求めておりません。
さらに、すべての特定
物質使用機器及び使用資材の使用、修理、廃棄事業者に対しては、こういったことを行う事業者に対しては、特定
物質放出防止及び
回収・
処理基準を遵守することと義務づけております。
三つ目の国の責務ですけれ
ども、基本方針、
基準の策定と
回収・
処理を促進させる、このことに
責任を負わせておりますから、根幹に
責任を負うという位置づけになっております。
そのために、一、機器及び資材の製造、販売、設置、保守、廃棄業者の放出禁止と
回収・
処理義務、二、カーエアコン、
業務用冷凍の
CFC再充てん及び使用禁止、三、建築用材等の
断熱材発泡剤及びエアゾール噴射剤等の
回収及び
破壊のための技術開発及び施設設備、四、
回収作業の
基準、五、点検義務、六、最終事業者の確認義務、七、ラベリングの義務づけ、八、貯蔵
許可義務等を明確にすることとなっております。
四つ目の、都道府県段階の
取り組みを生かす問題ですけれ
ども、既に、
フロンの
排出抑制、
回収等に関する
規定を含む
環境関連条例を制定している自治体は十一に上っておりますし、
フロン回収等の推進協議会を組織して
フロン回収・
破壊ルートを構築している自治体は二十四になっております。こうした自治体の積極性を活用することは事業の促進に寄与することになるだろうと考えています。もちろん、
国民、消費者には、
フロン等の
排出防止に努めること、
回収・
処理に
協力を求めることは言うまでもありません。
科学者の間で
CFCが成層圏で
オゾン層を
破壊するという報告が出されて以来、実際に一九八五年には
南極上空に
オゾンホールの出現も報告され、国際的にも
フロンの放出を防止することが切実な課題として追求をされている現在、
法律をつくるからには、
国民の合意が得られる、そういう法制に練り上げて早急に実現することが何よりも求められていると思います。
先ほど、
総論賛成、各論問題がいろいろありましたけれ
ども、
業界など立場の違うところからいろいろな
意見が出るのは当然だと思います。しかし、圧倒的多数の合意が得られる、そういう
法律であることが最も望ましいのではないかということを申し上げておきたいと思います。
そこで、先ほど
山本委員の方から御提議がございました与党の
法案についてですけれ
ども、私
たちは、このことにつきまして、今申し上げた
ような立場から、基本的な考えで幾つも問題はあるんですけれ
ども、その中でとりわけ大切な問題三つを指摘させていただきたいと思います。
それは、
業務用冷凍空調機器とカーエアコンからの
フロン類の
回収・
破壊システムの
責任が、よくよく読んでみますと、専ら
回収・
破壊業者と地方自治体などに負わされておりまして、
フロン及び
フロン使用製品製造者等の
責任と
負担が明記されていない、全く不十分な
規定になっているということを指摘しないわけにはまいりません。製造者
責任での
フロン回収・
破壊の
法案と言えるのかという疑問を感じております。
二つ目は、カーエアコンから出る
フロンの
処理費用についての
自動車ユーザーの
負担を明記していながら、その支払い
方法については明記していないという点です。これは、経済産業省が今検討中の
自動車リサイクル法案を待って決めるために附則で先送りしていることになっておりますけれ
ども、立法府が政府に、制度の重要な
規定を白紙委任するという
ようなことは認めることができないのではないかと感じております。
三つ目に、将来的にどの
ような
自動車リサイクル制度になるのか明確でありません。ところが、この
法律では、
自動車リサイクル制度を肯定的に評価し、政府が、この
法律の
自動車からの
フロン類の
回収及び
破壊に関する
規定について、廃止も含めた見直しをするなどという
規定を盛り込んでいることに対しても、疑問を感じないわけにはまいりません。
こういった問題を指摘させていただきまして、
日本共産党の
意見表明とさせていただきます。(
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