○河野(太)
委員 四月の一日から、
我が国にやっと遺伝子組み換え食品の表示の義務づけというのがスタートいたしました。大豆、トウモロコシが主でございますが、遺伝子組み換え食品について、使用しているのか使用していないのか、そういうことの表示を食べ物にしていかなければいけないというルールが、この四月の一日からスタートしたわけでございます。
この遺伝子組み換え食品の表示の問題というのは、具体的な数字はあれですが、一千数百万人の消費者の
皆様からの請願の署名をいただきまして、また千を超える地方自治体からの議会の決議というのが寄せられまして、当初、厚生省あるいは農水省が表示は必要ないよと言っていたのが、主婦の
皆様を初め消費者の
皆様の後押しで、
自分たちが食べているものは何なのかを具体的に知る必要があるではないか、そういう声に後押しを受けて、この遺伝子組み換え食品についての表示というのがスタートしたわけです。
特に、
日本というのは、アメリカ、カナダから大変多くの食料品を輸入しておるわけですから、食卓を預かる主婦の
皆様方にとっては、何を食べているのか、そして
自分たちの子供に本当に安全なものを食べさせなければいけないという要望はほかの国にも増して強いものがあるというふうに思っておりますし、現に、そういう声が大きかったからこそ遺伝子組み換え食品の安全性というのが問われて、表示の問題がスタートしたわけでございます。
ところが、この遺伝子組み換えの問題は、食べ物が安全かどうかということと一緒に、遺伝子組み換えがされた植物が生態系の中でどのように動き回っていくのか、どのような影響を出していくのかということが実はまだまだわからないところがあるわけです。
我が国あるいはアメリカでも食料品として使用が認められていない遺伝子組み換えをした植物が実は食料品の中にまざっていた、スターリンクと呼ばれているものがまざっていて、それが出回ってしまって、某食料品メーカーが慌ててこれを回収した。そういうこともあって、今この問題に対する消費者、主婦の方々の注目というのは、食べ物の安全性と、この遺伝子組み換えが生態系に及ぼすもの、両方について大変に強いものがございます。
さて、
外務大臣になられる前に一家の食卓を預かって切り盛りをされていた
外務大臣にお伺いをいたしたいと思いますのは、今、この遺伝子組み換えの植物に関して、これをやはり生態系の中できちっとコントロールを本当にしていけるのだろうかという疑問にこたえなければいかぬということで、生物多様性
条約の中にカルタヘナの議定書というのがございます。この議定書は、こうした問題についてこれからしっかり取り組んでいかなければいかぬということを早く言えば言っている議定書で、いわば地球温暖化問題の京都議定書と同じようなものだろうと思います。
問題は、
我が国は、この遺伝子組み換え食品に関して、あるいは遺伝子組み換えという技術に対して、大変強い主婦あるいは消費者の
皆様の注目、後押しというのがあるわけでございますが、このカルタヘナの議定書に実はまだ
日本は署名をしておりません。アメリカという国は、この親
条約本体に入っておりませんから当然この議定書にも署名をしていないわけでございますが、先進国はアメリカを除いてほぼすべて、
日本も署名をしておりませんから
日本とアメリカを除いてほぼすべて署名をしている現状でございます。
これを
外務省の事務当局に、何で
我が国は署名をせぬのかと聞きますと、署名というのは国によって重要性が違うんです、国によって、
条約の署名をどこでやるかというのは位置づけが違うんですという御
説明を
事務方はされるわけですね。
それはそうかもしれませんけれども、九十四カ国を超える国が既に署名をしていて、
条約に参加をしている先進国で、アメリカは
条約に参加しておりませんからアメリカを除く先進国すべて、
日本を除いて署名をし、なおかつ九十数カ国が署名をしているという段階でございますから、国によって
条約の署名の意味合いが違いますといっても、その国が全くこの問題に興味がないなら別ですけれども、
日本のように、この問題に非常に
大勢の主婦、消費者が興味を持っている、にもかかわらず署名をしないというのは、なかなかこれは
国民の
皆さんに、政府の対応、
外務省の対応の
説明をするのが難しいのが現状だろうと思います。何でこの議定書に
日本は署名をしないのかという声が山のように来るわけでございますが、
事務方の
説明を聞いていると、全くこれは納得できません。
なおかつ、別な
説明として、まだ国内法が担保されていない、こう言うわけでございます。これは、今までガイドラインでやっていたものに法的な根拠を与えて、いろいろこれから
日本に入ってくる種ですとか苗ですとかそういったものをちゃんと間違いなくコントロールするんだ、そういう国内法をつくらなければいけないわけでございますが、その国内法の担保がないと
事務方は言うんですね。
これは当然のことでございまして、まだ遺伝子組み換えをされたものがどのようにコントロールされるかというのを今一生懸命みんなで
考えているわけでございますから、地球温暖化をどうやって防ぐかというのをみんなが一生懸命
考えているのと同じ状況でございます。
国内法で担保されていなければいかぬというのは、
条約を
締結、批准するときには、これは国内法がきちっと担保されていないと
締結、批准というのはできないわけでございますが、署名というのは、ある面、その国がこれをやりますよという
意思でございますから、国内法の担保というのは全然必要がないわけでございます。
例えば爆テロ、爆弾テロに関する
条約なんていうのは、爆テロ、爆テロと
事務方はおっしゃっておりますが、未遂犯の取り扱いをどうするのか、法務省と
外務省で全く混沌として、国内法が担保されておりませんから、署名をしたままずっとたなざらしで、まだ
締結がされておりません。これは、国内法がないわけですから、なかなか
締結ができないわけでございます。
あるいは、京都議定書のように、今一生懸命、メカニズムをどうしようとか、国内法をどうしようという議論をしているわけですから、これはこれから、アメリカが入るかどうかということも含め、批准に向けて一生懸命努力をするわけでございますが、京都議定書というものは、地球温暖化、これは大事だという
意思表示をするために、
我が国もちゃんと議定書に署名をしております。
そういうことを
考えますと、これだけ
大勢の消費者、主婦が注目をして見ているカルタヘナ議定書、つまり遺伝子組み換えが生物多様化に及ぼす影響について国際的な枠組みをつくっていこうというものに、
我が国がなぜ今もって署名をしないのかという
説明を
国民にわかりやすくするというのは極めて困難でございまして、これはもはや
事務方では手に負えないことだろうと思います。
六月四日が署名期限でございますから、今から
外務大臣がやるぞという決断をしていただければ、これは署名ができるわけでございます。この問題に関して、
外務大臣が
事務方からどれぐらいの、まず
説明、ブリーフというのがあったのかどうかということを
外務大臣にお伺いをしたいと思います。