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2001-03-28 第151回国会 衆議院 外務委員会 第6号
公式Web版
会議録情報
0
平成十三年三月二十八日(水曜日) 午前九時三十三分
開議
出席委員
委員長
土肥
隆一君
理事
小島
敏男
君
理事
河野
太郎君
理事
下村 博文君
理事
鈴木 宗男君
理事
安住 淳君
理事
桑原 豊君
理事
上田
勇君
理事
土田 龍司君 池田 行彦君
佐藤
静雄
君
坂本
剛二君
桜田
義孝
君 下地 幹郎君
虎島
和夫
君 中本 太衛君 野田 聖子君 林
幹雄
君
平沢
勝栄
君 水野 賢一君 宮澤 洋一君
望月
義夫
君 伊藤 英成君 木下 厚君
首藤
信彦
君 中野 寛成君 細野
豪志君
前田 雄吉君
丸谷
佳織
君 赤嶺
政賢君
東門美津子
君
柿澤
弘治君 …………………………………
外務大臣
河野
洋平君
外務大臣政務官
桜田
義孝
君
外務大臣政務官
望月
義夫
君
外務大臣政務官
丸谷
佳織
君
政府参考人
(
外務省欧州局長
)
東郷
和彦
君
外務委員会専門員
黒川 祐次君
—————————————
委員
の異動 三月二十八日
辞任
補欠選任
虎島
和夫
君 林
幹雄
君
原田
義昭
君
佐藤
静雄
君
平沢
勝栄
君
坂本
剛二君 同日
辞任
補欠選任
佐藤
静雄
君
原田
義昭
君
坂本
剛二君
平沢
勝栄
君 林
幹雄
君
虎島
和夫
君
—————————————
三月二十八日
国際電気通信連合憲章
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において採択された
改正
)及び
国際電気通信連合条約
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において採択された
改正
)の
締結
について
承認
を求めるの件(
条約
第一号)
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において
改正
された
国際電気通信連合憲章
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十八年
ミネアポリス
)において採択された
改正
)及び
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において
改正
された
国際電気通信連合条約
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十八年
ミネアポリス
)において採択された
改正
)の
締結
について
承認
を求めるの件(
条約
第二号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
政府参考人出頭要求
に関する件
国際電気通信連合憲章
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において採択された
改正
)及び
国際電気通信連合条約
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において採択された
改正
)の
締結
について
承認
を求めるの件(
条約
第一号)
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において
改正
された
国際電気通信連合憲章
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十八年
ミネアポリス
)において採択された
改正
)及び
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において
改正
された
国際電気通信連合条約
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十八年
ミネアポリス
)において採択された
改正
)の
締結
について
承認
を求めるの件(
条約
第二号)
国際情勢
に関する件 ————◇—————
土肥隆一
1
○
土肥委員長
これより
会議
を開きます。
国際情勢
に関する件について
調査
を進めます。 この際、お諮りいたします。
本件調査
のため、本日、
政府参考人
として、
委員首藤信彦
君の
質疑
に際し、
外務省欧州局長東郷和彦
君の
出席
を求め、
説明
を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
土肥隆一
2
○
土肥委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決定しました。
—————————————
土肥隆一
3
○
土肥委員長
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
小島敏男
君。
小島敏男
4
○
小島委員
お許しがいただけましたので、
質問
させていただきます。
訪米
、
訪ロ
について伺いたいと思うのですけれ
ども
、時間が非常に短いということでありまして、私が
米国
に対する、または
ロシア
に対する
考え方
を少し述べさせていただき、そして
質問事項
のみという形になりますけれ
ども
、
外務大臣
には、二十五分ということですから、時計を見ながら
答弁
の方をよろしくお願いしたいと
思い
ます。 この問題につきましては、昨日
衆議院
で、また一昨日参議院の方で
総理
から
報告
がなされ、それぞれ
質疑
が行われたところでありますけれ
ども
、私が聞いていまして、非常に常識とかけ離れていることを言っているなということで、私
自身
も少し腹立たしさを
感じ
ているわけであります。 きのうの
衆議院
の
質疑等
につきましては、とうとう
森総理
が腹を立てられたということでありまして、私
自身
も、それも
理解
をできないわけでないという点もあります。死に体とか
花道論
とか、または
外国
に行かなかった方がよかったのではないかというような
発言
をしている方がおりまして、そういうのは私から言わせれば、そういう人に対してなぜ
質問
をするのかということに疑問を
感じ
るくらいですね。首長にしても私
たち議員
にしても、やめるということがわかっていても任期中は命がけでやるというのは当たり前のことなんですから、そういうことから考えますと、
総理
が
ロシア
に行かれたときに、お父さんの面影を本当に
思い
浮かべながら、そして一生懸命
交渉
をして、そのことについて、
花道
だ、行かない方がいいなんてことは、私は、やはり言うべきでない。
日米
にしろ
日ロ
にしろ、野党の
皆さん
にも言いたいのですけれ
ども
、こういう点はよかった、こういう点は直すべきだとか、こういう点はもう少し突っ込んだらどうだ、それが
日本
の
国家国民
のために、国益につながることであるというふうな
考え方
でないと。ただ森さんに対していろいろと
発言
をされることに対しては、私は余りいい
気持ち
がしていません。 しかも、
外務大臣
がここにおりますけれ
ども
、
外務大臣
も、
外務省
の不祥事のことでおやめになったらどうかということを何回も言われているのですね。そばにいて私も、
河野外務大臣
が何したんだろうと。
河野外務大臣
は歴代の
外務大臣
の中でも三年という長きにわたっていますし、
外交
というのは
人間
対
人間
のつながりである。だから、初めて行った人が
名刺交換
をするような、そんな
外交
で実が上がるわけはありません。ですから、
外務大臣
はやはり
日本
の代表として、正々堂々とやっていただきたいと思うのです。
日本
に対して
ロシア人
がどんな
感じ
を持っているかというイメージについて
ロシア
の方に
アンケート
をとると、好きな国の上位に、五カ国の中にいつも入るというんですね。
日本
が好きだ。これは
勤勉性
だとか、近くにある国であるということ等、そういうことからして、
ロシア人
は
日本人
に対して非常に好感を持っている。しかし、
日本人
に対して
ロシア
の
アンケート
をとると、悪い国ということで全然
相手
にしてくれないということですね。そういう
温度差
がある中で、
外務大臣
として
ロシア
に行かれていろいろな
方々
にお会いしているということに対しては、私も非常に大変なことだなと
思い
ます。 そこで、今
ロシア
の
関係
についての
お話
をしたわけでありますけれ
ども
、まず
最初
に、三月二十五日、
ロシア
の
イルクーツク
で行われた
森首相
と
プーチン大統領
の日
ロ会談
については、
森首相
が
政治生命
をかけて行った今回の
日ロ首脳会談
の
最大
の
成果
は一体何だったのだろうか。また、ちまたに言われている問題として、二〇〇〇年という区切りをしながらできなかった、今回はその
期限
を全然設けられなかった、恐らく相当な
努力
をされたと思うのですけれ
ども
、その
期限
が求められなかったことについても
思い
のうちを明かしていただきたいと
思い
ます。 それから、
ロシア
のことを続けて申し上げますけれ
ども
、二番目の問題として、
イルクーツク
の
声明
では、一九九三年の
日ロ関係
に関する
東京宣言
に基づき、択捉、国後、色丹島及び
歯舞群島
の
帰属
に関する問題を
解決
することにより、
平和条約
を
締結
し、もって
両国
間の
関係
を完全に正常化するため、今後の
交渉
を促進することで
合意
したとされておりますけれ
ども
、
政府
は、今後どのような方針のもとに
交渉
を続けていくつもりなのか、この点。 それから、
ロシア
の問題についてはもう一点、
経済
の問題についてお伺いしたいと
思い
ますけれ
ども
、
ロシア経済
を支えているのは何といっても油であります。原油の輸出は
ロシア外資収入
の一五%を占めておりまして、
石油製品
と
天然ガス
を加えると四〇%にも達します。しかしながら、二〇〇三年
ロシア経済危機説
というのがありまして、その理由として、二〇〇三年に設備の
老朽化
が限界に達する、特に電力については、
ロシア国内
にある八〇%の
発電所
が二〇〇三年に
設計寿命
を迎えるということでありますし、また、その年に
対外債務
が
連邦財政
の五〇%以上に達するというようなことが書かれているわけであります。 しかしながら、
日本
の
ロシア
に対する
投資
の現状というのはどうかといいますと、
世界
の国々の中で十九番目という極端に、
ロシア
に対する
投資状況
というのはあるということですね。近い国の割には
世界
で十九番目というようなことが言われております。 そこで、今回の
首脳会談
では
日ロ
間の
経済関係
についてどのような
協議
が行われたのか、また、今後、
経済協力
と
領土交渉
のバランスについて
政府
はどのように
感じ
ておられるのかをお伺いしたいと
思い
ます。
訪米
の
関係
については一点ですから、つけ加えて言わせていただきますと、昨日の
委員会
の
質問
に
河野外務大臣
が
答弁
をされていたことの中に、まだまだ
アジア
の
関係
についての
人事
が固まっていないんだというようなことで、これからその
人事
が固まって、いわゆる
日米
の
関係
が確固たるものになるんだというような御
説明
があったわけであります。 そこで、私としては、そういう
人事
の
関係
とあわせて、これからのいわゆる
日米関係
を構築していただきたいと
思い
ます。 一点だけ
質問
したいのは、
実習船えひめ丸
と
米国原潜
との
衝突事故
、この問題について、新華社とか英国の
新聞等
は、この問題で
日米関係
が非常に悪くなるのではないかというようなことを懸念されている記事が載っているわけでありますけれ
ども
、この
衝突事故
が
日米関係
に与える
影響
。 そして、昨日来も
補償
の問題が
衆議院
でも出ておりましたけれ
ども
、
補償
の
関係
ということになりますと、海外に今
日本人
が大変出かけておりますけれ
ども
、バスの
事故
、
航空事故
、
列車事故
、たくさんの
事故
があります。そのとき、
日本人
的な感覚で、一人何億円出るんだろうというような
感じ
を持つんですけれ
ども
、やはり
外国
と
日本
の差というのは非常に大きいということであります。ですから、非常にスズメの涙という形の、
向こう
の
国内
にすればそれが当たり前のことなんですけれ
ども
、そういう
補償
問題があるわけであります。
えひめ丸
の
関係
についても、いよいよ
補償
問題に話が入っているというような話もありますけれ
ども
、
アメリカ
の場合は
物価水準
からいっても
日本
とそんな大差がないけれ
ども
、私が心配しているのは、我が国と
米国
では
法体系
が異なるということでありまして、
補償制度
についてもかなりの差があるのではないかと。
政府
は今まで
補償
問題という一くくりで話をしていますけれ
ども
、
補償
をする場合の
日本
の
法体系
と
アメリカ
の
法体系
とはどんなところにどんな差があって、私
たち
が非常に
理解
に苦しむ点もあるんだというようなことがあれば、お知らせをいただきたいと
思い
ます。 全部
質問
を並べて言いましたけれ
ども
、
答弁
の方、よろしくお願いいたします。
河野洋平
5
○
河野国務大臣
大変多岐
にわたって御
質問
をいただきましたので、できるだけ漏れないように御
答弁
を申し上げたいと
思い
ますが、もし漏れておりますようでしたら、後ほどまた御指摘をいただきたいと
思い
ます。 まず、
ロシア
について申し上げたいと
思い
ますが、
ロシア
問題を考えますときに一番
最初
に考えなければならないのは、あのように大きな国土の国ですから、
ロシア
という国は、
ヨーロッパ
の国でもあるし
アジア太平洋
の国でもあるという両面を持っているということを我々は考えなければならないと思うんです。
ヨーロッパ
に向いた
ロシア
というものは、
ヨーロッパ
との
関係
、これは、
NATO
との
関係
を初めとしてさまざまな問題についていろいろと積極的に
政治
的な
話し合い
が進んでおりますし、あるいは
NATO
の問題を含める
安全保障
の問題についても非常に積極的な話がされておりますが、一方、
アジア
に顔を持つ
ロシア
、
アジア太平洋
の
国ロシア
という面を考えますと、中国との
関係
あるいは北朝鮮との
関係
、そういったものが非常に長く続いてきております。その一方で、その
海軍力
で、
アメリカ
の
海軍
と
ロシア
の
海軍
との
関係
、こういったことでもつばぜり合いがあったりという
状況
もあるわけです。 しかし、やはり何といっても
モスクワ
が
政治
の
中心
で、この
政治
の
中心
は主としてやはり
ヨーロッパ
を向いていると考えざるを得ないわけですね。ということになると、
アジア太平洋側
の
ロシア
というものは
政治
的にはなかなか、
ロシア
の
国内
でも
影響力
というものは、
政治
的な
影響力
を
極東
の
ロシア
が持っているかというと、これもそれほど大きくないし、また、
モスクワ
に
中心
を置く
ロシア
が
極東
に向けてどれだけの
政治
的な
配慮
を行っているかということになると、これまた
ヨーロッパ
に向いている
ロシア
に比べればやはり少ないということは言えるのではないかと思うんです。 それは、さらに
経済
の問題からいいましても、
極東
における
経済
というものは、
政治
的な庇護、恩恵、そういったものはなかなかないということもございますから、
ロシア
の
極東地域
というものを我々がどう見るかということは非常に大事なものだと。つまり、我々が
ロシア
と一口で言ってしまっても、
ロシア
というあれだけ大きな国ですから、なかなか一言でくくれるというものではないということをまず
最初
に認識をする必要があると
思い
ます。 それから、
イルクーツク
での
首脳会談
は、これはもう
小島議員
よく御
承知
のとおり、
森総理
の父君のお墓があそこにある。これは長い歴史的ないきさつがあって、その当時は
日ソ関係
といいましょうか、その時代から
日ソ関係
に非常に
思い
をいたしていた
日本海沿岸
のある地方自治体の
方々
が、
日ソ
の交流を一生懸命やるべきだということから大変な
努力
をされて、その結果、亡くなられた
森総理
の御先代が現地の
人たち
からも非常に慕われて、
理解
をされて
向こう
にもお墓ができた。まさにそれは
日ソ
、今で言う
日ロ
のかけ橋の役割を果たされた貴重な方の
努力
の跡です。 そういうものが
イルクーツク
にあるということを
プーチン大統領
が知って、
森総理
に対して
プーチン大統領
の方から、ぜひ
ロシア
へおいでください、そして、そのときには
イルクーツク
でお目にかかりましょう、そうすれば、あなたはお墓参りもできるじゃありませんかということを言われて、
イルクーツク会談
というものが実現をしたわけですね。 それは、
プーチン大統領
の
森総理
に対する
配慮
、個人的な
人間関係
を大事にしていこうという
配慮
もあったと
思い
ますし、それからもう
一つ
は、
モスクワ
という
政治都市
から離れたところでやってみようという
気持ち
も
プーチン
さんにあったんじゃないかと
思い
ます。 今度は、
イルクーツク会談
の前に、
プーチン大統領
がテレビでインタビューに答えてかなり踏み込んだことを言われましたが、
プーチン大統領
は
プーチン大統領
として、
日ロ関係
というものを非常に重要視して、
日ロ関係
でさらに踏み込んでいきたいという
思い
から、踏み込むために
ロシア
の
国内向け
にもいろいろなことを言ってみる、そして、しかも
モスクワ
でだけ言うんじゃなくて、
地方都市
にも出ていって
日ロ首脳会談
というものをやってみせることによって、
ロシア各地
で
日ロ
間の
重要性
というものをアピールしようという
気持ち
もあったのではないか、そういう
意味
では、非常に
意味
のある
イルクーツク会談
だったというふうに私は
理解
をしているわけです。それは、
会談
の中身もさることながら、
イルクーツク
でその
会談
を行ったということ自体にも
意味
があったというふうに
思い
ます。 その
最大
の
成果
は何かという御
質問
がございましたけれ
ども
、昨年の十二月ぎりぎりまで、我々は、
クラスノヤルスク合意
というものがある以上、
ロシア
を、表現は余り適切でないかもわかりませんけれ
ども
、追い込んでいって、
クラスノヤルスク合意
で二〇〇〇年にはもう
結論
を出そうじゃないか、そういうふうに我々の先輩が決めたんだから、そうしようじゃないかと言って、
期限
を切ってそこに追い込んでいくことによって何か
合意点
が導き出せないかという
気持ち
もあってやった。しかし結局、
努力
は相当
双方
でしましたけれ
ども
、
結論
は出なかったわけです。 しかし、
関係者
、例えば北海道の
方々
を初めとして
関係者
は、やはり二〇〇〇年に
結論
が出るかもしれないというので一生懸命見ていてくださった方がいるわけですから、そうした
方々
に対して、
努力
はしたけれ
ども
ここまでしかできなかった、ここまではいったんだけれ
ども
、言い方によってはここまでしかできなかったということを、
両国
の
国民
にやはり
報告
をする。それは
事務方
が
報告
するのではなくて、
両国
の
首脳
が
お互い
に
両国国民
に
報告
をする。しかも、
首脳
の
合意
によって、
双方
とも、ここまではできた、あるいはここまではできたけれ
ども
完成はしなかったと、
合意
に基づいて
双方
の
国民
に
報告
をするということが大事だということで、それができた。そして、ここまではできましたということと同時に、したがってこれからこういうふうにやりますということを
国民
に、
皆さん
に言うということが非常に大事だというふうに、私
ども
は、二〇〇〇年ぎりぎりまで作業をした
人間
として、そう思っていたわけです。 実を言いますと、大事なところは、これまでにできたもの、それから、これからどうやるかということ、これらを
首脳
の
合意
によって
報告
をする。と同時に、でき得べくんば
期限
をつけて、二〇〇〇年にはできなかったけれ
ども
、次のターゲットといいますか
期限
は、ここを
期限
にしてやろうと思うんだということまで言えれば一番いいなと思って、一生懸命
努力
をしました。
努力
をしましたけれ
ども
、正直申し上げて、何月何日とかあるいは何年という
数字
で言えるような
期限
については
合意
ができませんでした。これは正直申し上げて、
努力
をしたけれ
ども
合意
はできなかった。 しかし、その前段の、ここまではやりました、これからこういうことをやりますということについては、五六年の
日ソ共同宣言
が
平和条約交渉
の
出発点
を設定した基本的な
法的文書
であるということを確認した、これはやはり大変重要なことだと私は思うのです。そこまではできました。 さて今度は、その上で、これからは九三年の
東京宣言
に基づいて四島の
帰属
の問題を
解決
して
平和条約
の
締結
を目指すのですということを再確認する。これができたということは、やはり
最大
の
成果
だというふうに思っているわけです。
期限
については、残念ながら
合意
ができませんでした。 そして
最後
に、
首脳同士
の
話し合い
で、あり得べき最も早い
時点
に
平和条約
の
締結
をやろうねという、何年という
数字
では
期限
が切れなかったけれ
ども
、あり得べき最も早い
時点
でやろうという
合意
はできたということでございます。 それから
経済
の問題は、
今井ミッション
を
政府
がオーソライズして派遣をするということで、
今井ミッション
を派遣するということに
合意
したということでございます。
えひめ丸
の問題につきましては、
日米双方
のこの
問題解決
のために取り組む姿勢というものを
お互い
がきちっと
理解
をして評価をして取り組むということになっておりまして、
補償
の問題については、これが極めて重要だということを
首脳
の
会談
でも、特に
総理
はこれについて言及をしておられる、
アメリカ側
もできるだけのことをいたしますということを言っておられるということでございます。
小島敏男
6
○
小島委員
外務大臣
は相当詳しく
お話
をしたいだろうと思うのですけれ
ども
、私に与えられた時間が非常に少ないので、まことに申しわけなく思うのです。
一つ
だけ聞きたいのは、
補償
問題というのが具体的にもうテーブルにのってきているわけですよ。私がさっき話したように、
日本
的な
考え方
で
補償
問題は考えていいのか、また、
アメリカ
というのは弁護士さんもたくさんいますし、法律も非常に
多岐
にわたっているわけですから、
日本
とこういう点が違うんだ、だから
期限
的にもこういう形で進めないと、長引かせた場合には、
向こう
のペースと言っては申しわけないのですけれ
ども
、そうなってしまうんだということがわかったら、その点だけでも教えていただきたいと
思い
ます。
河野洋平
7
○
河野国務大臣
一言だけ申し上げたいと
思い
ます。 この種の
事故
に伴う
補償
の手続といたしましては、
アメリカ
においては、
当事者
間の
話し合い
による
解決
という
方法
と、訴訟による決着という
方法
があるということでございます。
当事者
の
話し合い
による
解決
という
方法
をとる場合に、これは
海軍
の
規定等
もあって、
事故発生
から二年以内に
解決
する必要があるということになっているというふうに私
ども承知
をしております。
小島敏男
8
○
小島委員
時間が参りましたので終わりますけれ
ども
、
日ロ
、
日米
、これは大変長い時間がかかるわけですので、根気強くやっていただきたいことと、
最後
の
補償
問題につきましては、二年以内という
期限
が出たわけでありますけれ
ども
、
日本
ではそういうことは考えられないこと、
アメリカ
では
相手
の方がだれなのか、
米政府
なのか
米海軍
なのか、こういう問題も含めて、遺漏なきように今後進めていただきたいということを要望申し上げまして、
質問
を終わります。どうもありがとうございました。
土肥隆一
9
○
土肥委員長
次に、
上田勇
君。
上田勇
10
○
上田
(勇)
委員
おはようございます。公明党の
上田
でございます。 きょうは、
日ロ首脳会談
、
日米首脳会談
につきまして何点か御
質問
させていただきますが、時間も限られておりますので、早速始めたいというふうに
思い
ます。
最初
に、
日ロ首脳会談
につきまして、今回の
首脳会談
では、先ほど
大臣
から御
答弁
もありましたけれ
ども
、五六年の
日ソ共同宣言
の
有効性
が改めて、
共同声明
、
文書
の形で確認されたということは大きな
成果
であるというふうに私も考えております。ただ、ここの部分について、一部の
解釈
、特に
ロシア
のメディアなどの
解釈
では、
プーチン大統領
が
日ソ共同宣言
の
解釈
について
専門家
による
協議
が必要だというふうに述べたというのは、これは
歯舞
、
色丹二島返還
に必ずしも同意はしていないんだということを暗示しているというようなことも言われていることを聞きました。 これは
日本側
の
解釈
とは異なっているというふうに思うのですけれ
ども
、こうした
状況
、そういった
解釈
がある中で
共同宣言
の
解釈
に関する
専門家協議
に応じるということになりますと、
二島返還
を法的に確認したということにはなっていないんだということを認めることにはならないのか、その点ちょっと懸念されるのですが、御見解をお願いいたします。
河野洋平
11
○
河野国務大臣
これは、私がこれはこうだということを申し上げるのは十分でないかと
思い
ますが、御
理解
をいただきたいと
思い
ますことは、
イルクーツク声明
の中に、一九五六年の
日ソ共同宣言
が
両国
間の
外交関係
の回復後の
平和条約締結
に関する
交渉プロセス
の
出発点
だということが書かれているわけでございます。この点を今
議員
は指摘されたわけですが、この
共同声明
に書かれております文章は、
日ロ首脳会談
が行われます二日ほど前でしょうか、
日本
ではたしかNHKが放映したと
思い
ますが、
プーチン大統領
のインタビューというのがございました。 このインタビューの中で、
プーチン大統領
は、五六年宣言に関しては、私はこの宣言が以下述べていることを想起させていただきます、ソ連側、当時はソ連であったが、
平和条約
の署名を条件に二島を
日本側
に引き渡すことに同意する、この宣言はソ連邦最高
会議
によって批准されており、すなわちこの宣言は我々にとって義務的なものだ、繰り返しますが、この宣言は
平和条約
の署名という条件がかけられています、宣言にはいかなる条件でこれらの島々が引き渡されるのか書かれておらず、これはすべて
交渉
の対象となるのですということを言っているわけです。 ここでは、今まさに
議員
が御指摘になりましたように、五六年の宣言は義務的なものだ、
両国
の
首脳
が署名をして
両国
の最高
会議
、
日本
では国会が批准をしているわけですから、これはもう今や義務的なものだ、こう
プーチン大統領
は言い切っているわけですね。言い切った後で、この宣言には
平和条約
の署名という条件がついていると。これは九項に、
平和条約
を
締結
した後引き渡す、こう書いてあるわけですから、それが条件であることは五六年の宣言で明らかなのですが、そこで、
プーチン
さんの言っておられる、いかなる条件でこれらの島々が引き渡されるのかはまだ書いていないのだと。つまり、詳細がまだ書いてない、その詳細についてはこれからの
交渉
だというふうに
プーチン
さんはインタビューで言っておられるわけです。 したがって、私は、先ほど申し上げましたように、
プーチン
さんの
理解
はそういう
理解
であるということも我々は否定はしませんが、しかし、とにかく五六年宣言というものは文章で書かれて、ここで
両国
首脳
が確認をしたということは大きくて、しかもそれは九項を含めて義務的なものであるということについては何の疑念もないということだけは確認していいと思うのです。
専門家
が
協議
をするという話をあの中でちょっと
プーチン
さんが言ったということになっておりますが、それはいかなるものであるか、つまりいかなる種類の
専門家
であるかということにまでは言及がされておりません、今の段階では。 私
ども
が推測をすることは幾つかございます。例えば、仮に引き渡す場合には、今あそこにいる
ロシア
の
人たち
がどういう条件で、帰るのか、あそこにずっといることを認めるのかとか、そういうことについて議論をするというのも
一つ
あるのかなとも
思い
ますし、その辺のところについてはまだ正確に
双方
で確認をされたものは、新たにそういう枠組みをつくって
専門家
の
会議
をやろうということが決められたということは
承知
をしておりませんから。 私の
理解
としては、これまでもずっと
専門家
のレベル、それからハイレベルの
協議
はやってきたわけです、四島返還について。したがって、そういう
専門家
あるいはハイレベルの
協議
というものはこれからも引き続き行われていくというふうに私は
理解
をしております。
上田勇
12
○
上田
(勇)
委員
ありがとうございます。
日本
、
ロシア
の
首脳
間での基本的なことについての認識のずれはないけれ
ども
、具体的な
協議
のことについてはこれからまだ詰めていかなければいけないという趣旨だというふうに
理解
をいたしました。 次に、
日ロ
間の
最大
の懸案というのは、やはりこの領土問題、
平和条約締結
でありますけれ
ども
、今回の
首脳会談
においても一定の
成果
は得られましたが、具体的にはなかなか、もう何年にもわたって進んでいないというところが現実であります。
プーチン大統領
は、
ヨーロッパ
や
アジア
を含む非常に多元的な
外交
を志向されていますし、現実的な政策選択を重視するというふうにも言われております。そうなりますと、こうした課題を
解決
し、具体的な
成果
を上げていくためには、やはり
ロシア
にとって
日本
という国が非常に重要な国なんだ、その協力
関係
が
ロシア
の
外交
政策上、戦略上重要で不可欠であるということを認識してもらわなければいけないというふうに
思い
ます。 その
一つ
に、これまで我が国は、
日ロ関係
の改善、それからこうした領土問題、
平和条約
の問題の
解決
に向けた環境づくりという
意味
で、積極的にさまざまな形での
経済協力
を行ってまいりました。しかし、ちょっと
最初
に
お話
をさせていただいたけれ
ども
、二〇〇〇年までに
平和条約
の
締結
を目指すという
一つ
の目標があったのですが、それは達成できませんでした。その後、具体的なはっきりとした前進がまだ見られないわけでございます。これまでのこうした我が国の行ってきた
経済協力
というのが、果たしてどういう効果があったのかということを思わざるを得ないときもあるわけであります。 そこで、我が国が取り組んできた
経済協力
、友好促進のためのそうした協力について、いかなる効果があったのかというふうに評価されているのか。また、一部に、そうした課題を
解決
、
交渉
を前進させていくためには、こうした
経済協力
のあり方の見直しも検討すべきではないかというような意見もあるというふうに
承知
しておりますけれ
ども
、こうした点も含めまして、今後の対
ロシア
外交
、具体的な
成果
を上げていくという
意味
での
外務省
としての戦略を伺いたいと
思い
ます。
河野洋平
13
○
河野国務大臣
対ロ
外交
については、いろいろな議論がございます。そして、しかもそのさまざまな議論の中には、ソ連時代の対ソ
外交
当時の
考え方
をそのまま踏襲していっていいのじゃないかという議論も一方ではあるわけです。まさに今
議員
がおっしゃった
経済
の問題などは、かつては政経不可分などといって、
政治
的に進んだ分だけ
経済
も進む、
政治
的に進まなきゃ
経済
はそれ以上進まないんだというような
考え方
もあった時代がございました。 しかし、今我々はそうした
考え方
を変えまして、
ロシア
に対しては
経済
的な
関係
を
思い
切って踏み込んでつくっていく。それによって、資本主義
経済
というものを
ロシア
が認識をする、あるいはそれをとる、あるいは市場
経済
というものについての
理解
を
ロシア
が十分することによって、こういう表現は適当でないかもわかりませんが、
ロシア
自身
の体質が変わってくるのではないか。市場
経済
化が進めば、
ロシア
という国はさらに国際的にさまざまな分野に関与していくようになる。そして、それがただ単に市場
経済
化だけではなくて
政治
的な民主化にもつながり、国際的な責任ある立場の国が果たすべき役割というものについてもっと積極的に取り組んでくるのではないか。そういう
考え方
もあって
経済
についても踏み込んでいこうという
気持ち
を持っているわけです。 したがって、それは、
政治
的に進んだ分だけ
経済
を進めるということではなくて、
経済
的には自由主義
経済
あるいは市場
経済
のパートナーとして
ロシア
が育っていってほしい、そういう
思い
もあって
ロシア
との
経済関係
については見ているというふうに御
理解
をいただきたいと思うのです。そのことで我々は、先ほ
ども
ちょっと申しましたけれ
ども
、
ロシア
の
極東地域
の生活環境な
ども
もっとよくする、あの
極東地域
が
経済
的にもっと繁栄をしていくということを、しかも、
日ロ関係
においてそういう繁栄が得られたということを
ロシア
の
人たち
がわかってくれるということも
一つ
のねらいにはあるわけです。そんなことを考えながら、
経済
政策というものは
日ロ関係
の協力という
意味
で重要なものだ、そんな認識を持っております。
上田勇
14
○
上田
(勇)
委員
もちろん、領土問題、
平和条約
というのは長年の懸案でありますので、そう簡単に
成果
が上がるものだということには考えておりませんけれ
ども
、今回の
首脳会談
、一定の
成果
が上がったわけでありますので、また引き続き実現に向けて御
努力
いただきますことをお願い申し上げる次第です。 次に、
日米首脳会談
の件についてお伺いをいたします。 今回、この
日米首脳会談
についてさまざまな批評もあるんですが、私
自身
は、今非常に
世界
の
経済
が不安定な
状況
にある中で、
世界
の第一位の
アメリカ
と第二位の
日本
、この
経済
規模を持つ
両国
のトップリーダーがそれぞれの
経済
の見通しやこれからの政策について話し合って、
世界
に対してメッセージを送ったということは非常に大きな意義があったものだというふうに考えております。 その中で、ブッシュ大統領が
会談
の初めに我が国の
経済
問題を取り上げたわけでございます。これは
日本側
の意図とは若干異なったのではないかというふうにも思うんですが、ブッシュ大統領がこのように真っ先に
日本
の
経済
問題を取り上げたということ、それはどういうような意図に基づくものだというふうに御認識されているんでしょうか。
河野洋平
15
○
河野国務大臣
議員
が御指摘になりましたように、これは大した
意味
のあることではございませんけれ
ども
、私
ども
は、
首脳会談
などが行われますときに、段取りといいますか話の流れみたいなものは大体想定をして、こういうことから入っていって、こういうところではこの話をしましょうと。特に今度の場合には、
首脳会談
と昼食をとりながらのワーキングランチという二つ、一部、二部とでもいいましょうか、そんなようなことを
最初
想定しておりまして、ワーキングランチで
経済
をやる、第一部の
首脳会談
ではもっと
政治
的課題をやろうというふうな想定を実は
最初
しておったのでございますが、
訪米
の直前に
経済
が、
アメリカ
の株価も相当大きな変動を見せましたし
日本
もそうでございました。そんなこともあって、急遽、これは
最初
の
首脳会談
から麻生
大臣
に同席をしてもらって
経済
もやれる構えをつくって行ったという
状況
にございました。 そこはもうごく自然に、
お互い
に、
首脳同士
は、今当面我々が直面している問題で大きい問題は
経済
だけれ
ども
、どうだという話に恐らくなったんだろうと
思い
ます。ごく自然に
経済
の話から
首脳会談
は入っていった。私は、形を整えて、きちっとアジェンダを決めてやるというよりは、そういう、
双方
の
首脳
がごく自然に今抱えている一番の問題というものに率直に入っていけるという
会談
は、悪い
会談
ではないと。ただ、私
ども
は、初めての出会いですからそんなふうにうまくいくだろうかという
気持ち
は多少ありましたけれ
ども
、非常にスムーズに
双方
が率直に今抱えている問題について言い合った。
日本側
は
日本側
で、今抱えている
経済
問題については自分
たち
はこんなふうに認識をしているということを言い、ブッシュさんはブッシュさんで、
アメリカ
の問題について、いや、自分
たち
もこういう問題を抱えて、こういうふうにしようとしているんだということを
双方
が言い合ったというふうに
会談
は流れたと聞いております。
上田勇
16
○
上田
(勇)
委員
もう時間もないんですけれ
ども
、今、
アメリカ
の景気も減速をしている、
日本
の
経済
も非常に困難な
状況
にあるという中で、これはやはり
世界
のナンバーワンとナンバーツーの国の
経済
なんで、これが
世界
経済
に与える
影響
というのは極めて大きいわけであります。
アメリカ
、ブッシュ大統領は、その辺を非常に敏感に
感じ
られていて、今回の
首脳会談
の
最大
のテーマが、
世界
、国際
経済
やマーケットに対して
日本
と
アメリカ
がこういう強い意思を持っているんだというメッセージを送ることだというふうに
感じ
ていたのではないかというふうに
思い
ます。そういう
意味
で、
日本側
としては、その辺の意図が
アメリカ
に比べると少し違っていた。ちょっとその辺は残念に思うわけであります。 いずれにしても、もう時間でございますので、
最後
に
一つ
だけお伺いをいたします。 今回の
首脳会談
、
経済
の問題に非常に時間がとられたこともあるんですけれ
ども
、もう
一つ
、いわゆる安保の問題について、これは、時間の制約があったということもあって、従来のスタンスからなかなか出た
発言
はなかったというふうに
思い
ます。その中で
森総理
は、これも今までの議論の範囲内ではありますけれ
ども
、有事法制の法制化を視野に入れた検討というのを提案したわけであります。 このことについて、具体的な方針並びに
外務省
として考えられているスケジュールについて、時間が来てしまいましたので、
最後
に簡単にお答えをいただければというふうに
思い
ます。
河野洋平
17
○
河野国務大臣
有事法制について
森総理
は今国会冒頭の所信表明演説でも述べておられますが、
森総理
の頭の中にそうしたことはずっとあるんだろうと
思い
ます。 そこで、有事法制につきましては、
首脳会談
の席上で、法制化を視野に入れて検討を開始していくということを自分は国会でもそういう演説をしましたという
気持ち
を披瀝されたというふうに
思い
ます。その有事法制は、自衛隊が文民統制下で
国家国民
の安全を確保するために必要なものであって、平時においてこそ備えておくべきものだというふうに
総理
は思っておられるようであります。 具体的な検討内容、スケジュールについては、内閣官房を
中心
として十分検討していくものというふうに
承知
をしておりまして、我々
外務省
としても当然これに協力をしていこうと考えているということだけ申し上げておきたいと
思い
ます。
上田勇
18
○
上田
(勇)
委員
終わります。
土肥隆一
19
○
土肥委員長
次に、安住淳君。
安住淳
20
○安住
委員
河野
大臣
、御苦労さまでございます。ざっと見ると、我が野党の席はほとんど埋まっているのに、何かどちらが与党で野党だかわからないという、定足数ぎりぎりの状態というのは私は決して好ましいことだとは
思い
ませんから。いかに最近だらけているかという証明でもあります。 だらけていることで一言いうと、
最初
に
大臣
、通告していませんけれ
ども
、私、きょう朝新聞を見てびっくりしたのですけれ
ども
、ノルウェーのハラルド五世国王閣下がおいででございますが、きのうの国王の方の御主催であった記念コンサートレセプションに、どうも
森総理
はドタキャンをした。そしてすし屋で自民党の自分の派閥の人と会食をして、心ここにあらずという証明でしょう。私は、こういうことは全く国益に損するというか、こういう人が
総理
大臣
をやっているというのは全く非常識で、
外務省
のある方にきょう聞いたら、困ったものですと言っていました。 この手の話というのは、
外務大臣
、時間がないので率直な感想をまず聞かせてください。
総理
の対応というのは適切ですか不適切ですか、国賓として迎えられた人に対する対応として。
河野洋平
21
○
河野国務大臣
国賓の答礼行事であったわけです。この答礼行事というのは、国王、王妃両陛下が二十五日においでになりまして、日曜日でございますが、月曜日に朝歓迎行事をやり、昼に昼食会をやり、夜に宮中の晩さん会をやる、そういうスケジュールがございまして、朝の歓迎行事、昼の午さん会、そして夜の宮中晩さん、いずれも
総理
はもちろん
出席
をして、国王、王妃両陛下の御歓迎を申し上げていたわけです。その間を縫って参議院は予算を上げるというような、
政治
的にもかなり厳しい
状況
の中でこうした歓迎行事がございました。 昨日は、今おっしゃったように答礼行事でございますから、ノルウェーの国王、王妃両陛下の答礼行事というのは
日本
の天皇陛下に対する答礼というのが本来の趣旨で、それに対して
関係者
が陪席をさせていただくということであって、私
ども
何人かは仲間が呼ばれておりました。実を言いますと、私も昨日は
出席
をしておりません。私は
外交
行事がずっとございましてお伺いできないことをあらかじめお伝えしておったわけですが、
総理
も、ドタキャンとおっしゃいますけれ
ども
、そう直前になっておれはやめたというわけではなくて、一定の時間があって、きょうは
出席
できないということをお伝えしたというふうに私は聞いておりまして、これはまあ、御
質問
をいただいても、この問題は私が
答弁
をするのはなかなか難しいので、この程度で御
理解
を……。
安住淳
22
○安住
委員
実は、なぜドタキャンと言ったか。今、時間がと言いました。私確認しました。一時間前に通告してきたというのですね。通常はこの手の話というのは、前までは
外交
上は当然御
出席
なさることを前提にしてやっていて、だから、要するに
出席
できないから一時間前なんですね。腰が痛いと言って、総裁選かどうか知りませんけれ
ども
、自分の派閥の
人たち
と迎賓館のわずか一キロ先ですしを食べたと。
外務大臣
、これは逆のことを考えましょう。ノルウェーで、我が国の天皇陛下が行かれて、ノルウェーの首相がこういう行動をして報道されたら、国賓行事すべて、
努力
してやってきたことが台なしになって、この話だけでノルウェー
国民
に対して我々は非常に不愉快な
思い
をするのじゃないですか。そういうことを言っているのですよ。それが国益に反するかどうかです。経緯なんか聞いていないので、私は、少なくとも
外務省
としても、事実
関係
がもしわかっていれば、
河野
大臣
はやはり行くべきだと言うべきだったんだと
思い
ますよ。 だから、これはちょっと不適切な対応でないですかということを私は聞いたのです。一言だけ答えてください。
河野洋平
23
○
河野国務大臣
総理
大臣
が今抱えておられる
政治
的な問題がいかにたくさんあって、いかに重要な問題をたくさん抱えているかということについては、ノルウェー側には十分
説明
はしてございます。私もきのうの夕刻にはノルウェーの
外務大臣
と外相
会談
をやっておりまして、それらの点についてはもう十二分にノルウェー側は
承知
の上だと
思い
ます。
日本側
のさまざまな都合をぜひノルウェーの
皆さん
に御
理解
いただきたいものと心から期待をしております。
安住淳
24
○安住
委員
やはり集中力というか統治能力を失って、そういう人がポストにいることがいかに国益に反するか、私はそうだと
思い
ますよ。よほど本当に御事情があれば——逆に、行かないで裏でどういう
人たち
と飯を食っていたかということもみんなわかっている話ですからね、これは。こういうことをやって平然としている。そういう点では、私はなかなか
理解
に苦しむ行為だったと
思い
ます。 本当にノルウェーのハラルド国王には大変失礼なことをした、私
たち
野党はそう思っています。そう思っていない
人たち
が与党で
総理
大臣
をやって、そのことを認めない
外務大臣
がいるということが私は残念でなりません。そのことをまず御指摘申し上げます。 私は
日ロ関係
だけ聞きます。また関連で、
首藤
委員
が
日米
問題と
日ロ関係
をただしますので。 私は、今のことで私の
質問
時間を六分もとられて、森さんに何とかしてくれと言いたいぐらいですが、短い時間でありますけれ
ども
、率直に伺います。
外務大臣
、時間がないので長い
答弁
は結構ですから、イエスかノーか、
答弁
してください。 四島一括返還を今までずっと主張なさってきたという
答弁
をなさってきた、まず、これは事実ですね。
河野洋平
25
○
河野国務大臣
四島一括返還という、つまり一括という言葉を使ったことはここ十数年ないと
思い
ます。
安住淳
26
○安住
委員
つまり、私が申し上げたいのは、今回のことで一九五六年のいわば
有効性
は認めた、これは確かに
大臣
おっしゃるとおりでございます。しかし、問題は、この
共同宣言
を見ると、ちょっとはしょりますが、九項のところでこう書いてあります。ソ連は、
歯舞
諸島及び色丹島を
日本
に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、
日本
とソ連の
平和条約締結
後に現実に引き渡されるものとする。 つまり、私が申し上げたいのは、はっきり申し上げて今自民党の中でも二島先行論を含めて
政府
方針と違う動きがあることは、
ロシア
側も知っていると思うのですよ。
外務大臣
も自民党の
外交
部会へ行っていろいろ
お話
しなさっていることもニュースで聞いている。我々
国内
にいる者ですら
日本側
の方針がよくわからないのですよ。
二島返還
でいいということなのか、いや、やはり四島を一括して返還してもらわなければならないのか、プロセスのことは後で聞きますけれ
ども
、まず大方針を教えてください。
河野洋平
27
○
河野国務大臣
二島でいいなどという
考え方
はございません。もし二島でいいという
考え方
があるならば、五六年に
合意
ができているはずでございます。
安住淳
28
○安住
委員
わかりました。 ということは、四島の返還を求めているという姿勢には変わりないですね。
河野洋平
29
○
河野国務大臣
ございません。
安住淳
30
○安住
委員
そこで、五六年の問題について言及をさせていただきます。 先ほど
小島委員
の
質問
の中にもありましたが、
ロシア
側は、
プーチン大統領
は、技術的な検討を要する、会見の中でそういう言葉を使いました。これは、
大臣
、
帰属
に関することについての技術的な問題ですか、それとも返還に関するプロセスについての技術的な問題ですか。
日本
政府
はその
解釈
をどういうふうにとらえていらっしゃいますか。
河野洋平
31
○
河野国務大臣
ここは詳細にわたって両方の
首脳
に共通の認識がまだないと私は
思い
ますが、
プーチン大統領
が、今
議員
がおっしゃったような、余り正確じゃありませんけれ
ども
、ややそれに近い
発言
をされたということは、記録にございます。 そこで、例えば、
専門家
による
協議
が必要だというようなことを大統領がおっしゃっておられるわけですが、その
専門家
による
協議
というのは、今までもやってきております。四島返還というものを目指して
専門家
レベルの
協議
あるいはそれよりハイレベルの
協議
、これらを今までもやってきているわけで、そうした
協議
を続けていくということを指すのか、その
協議
の中でさまざまな議論をしろというのか、あるいは今
議員
がおっしゃったように、もっと技術的なといいますか、まさに、この問題についてはどうか、この問題についてはどうかということの議論を
専門家
を集めてやれというのか、そこについては、まだその詳細の議論での
合意
は私
ども
は
承知
をしておりません。
安住淳
32
○安住
委員
もう一度伺いますが、正確に言うと、一致した解読のためにはさらなる
両国
の
専門家
の作業が必要であるというふうな
日本
語訳でいいと
思い
ます。そうなると、
大臣
、私が伺いたいのは、私
ども
の
解釈
では、五六年に戻るということは、少なくとも
歯舞
、色丹の
帰属
権については
解決
済みだという認識を私は持っております。これは
外務省
も多分そうではないかと思うんです。返還をするということはそういうことではないかと思う。 しかし、よくよく考えてみると、この
日ロ
交渉
にとって一番悩ましいのは、要するに、
ロシア
側が私
たち
と同じ言葉で同じ認識を持っていないということではないでしょうか。つまり、
歯舞
、色丹の
帰属
については私
たち
は当然だというふうに
思い
ますけれ
ども
、このことは
文書
で確認するなり認めているというふうな認識をお持ちですか、
ロシア
側が。
河野洋平
33
○
河野国務大臣
ちょっと
意味
がよく聞き取れませんでした。もう一度お願いします。
安住淳
34
○安住
委員
歯舞
、色丹の我が国への
帰属
の問題について
ロシア
側は了解しているという認識を持っていらっしゃいますか。
河野洋平
35
○
河野国務大臣
それは、五六年宣言に書かれている文言というものを
向こう
は認めているということでございます。
安住淳
36
○安住
委員
という
解釈
に立てば、解読のためにさらなる
両国
の
専門家
の作業が必要だということは、返還のプロセスについて言及したという
解釈
を
日本側
はしているというふうに
解釈
してよろしいですか。
河野洋平
37
○
河野国務大臣
そこで、先ほど私申し上げたんですが、
専門家
による
協議
が必要だという
プーチン
発言
というものがそのどの部分を指しているのかについて、もう少し我々としては先方と
協議
をする必要があると思っています。
安住淳
38
○安住
委員
つまり、残念ながら、
大臣
の言う話はイエスという話ではないわけですね。ということは、私は、
帰属
の定義から振り出しに返ってやらざるを得ないところに逆戻りしたという
解釈
も成り立つような気がするんですよ。それは、五六年の
日ソ
宣言にいわば戻るわけです。 空白の何十年とは申しません。これを
文書
で認めさせたのもいい。しかし、
大臣
、まず
ロシア
側に正式にどちらに
帰属
をするものであるかということを認めさせることは極めて重要なんじゃないですか、少なくとも
歯舞
、色丹。択捉、国後については全く
日ソ共同宣言
では触れていないわけですからなおのことだと
思い
ますけれ
ども
、いかがですか。
河野洋平
39
○
河野国務大臣
そこは、先ほど私申し上げましたように、
プーチン大統領
の認識といいますか
考え方
は、五六年宣言は、
両国
にとってこれはもう義務的なものだということの確認はあるわけです。五六年宣言を読めば、今
議員
が読み上げられたように、その九項にはそう書いてあるわけですね、
平和条約締結
の後には引き渡されると。
歯舞
、色丹については引き渡されるということが書いてあるわけですから、この部分について、この九項も含めて五六年宣言は
双方
にとって義務的なものなんですね。 ですから、その議論は五六年からここまでの間、一遍は否定的な
ロシア
側の態度もありましたけれ
ども
、今度改めてそれは義務的なものだという
首脳
の確認ができましたから、ここから話は四島返還に向かって進んでいくという認識でよろしいんじゃないでしょうか。
安住淳
40
○安住
委員
であれば、それでは
大臣
、時間がないのですけれ
ども
、これから
解決
すべき問題を何点かやはり指摘してもらわないと困ります。 つまり、
日ソ
平和条約
を結ぶ、例えば、これは原点である、
出発点
であると言うことは、これを正式に言うと、
日ソ共同宣言
どおりに履行するという話でしょう、
お互い
が。行動する。ということは、
締結
後には
歯舞
、色丹をとりあえず返還する、
締結
をした後は
歯舞
、色丹を返還のプロセスに入っていくという認識じゃないですか。つまり、
交渉
の順番はおのずとこういう話にならざるを得ないんじゃないですか、いかがですか。
河野洋平
41
○
河野国務大臣
そこが
交渉
の非常に難しいところでございまして、私
ども
は
平和条約
を結べば二島の返還という具体的な作業にかかるわけですけれ
ども
、
平和条約
が
締結
されなければその具体的な作業には入れないわけですね。
平和条約
の
締結
をすれば、
平和条約
が
締結
されるということはすべての問題が
解決
をされるということを
意味
するということになれば、もう領土問題はないということに、仮にそういう
理解
になるとすれば、択捉、国後についてどういう
協議
をしていけばいいのかということになるわけです。 我々の目標は、繰り返し申し上げておりますように、四島の返還ですから、四島の返還を
ロシア
側に認めさせる、そこで
平和条約
の
締結
をしなけりゃならぬわけです。そうですね。そこが実に難しいところで、例えば、これは全く仮説です、全く仮説ですが、もう二島でいいんだということに仮になれば、そこで
平和条約
を
締結
する。その場合に、
二島返還
の具体的な作業、その具体的作業にもいろいろ問題はきっとあると
思い
ます、さっき申し上げたように、住民をどういうふうにするかとか
安全保障
上の問題をどういうふうにするかとか、いろいろな問題があると
思い
ますが、その作業に入る。 しかし、そうではなくて、我々の目標は五六年をスタート台にして九三年で確認をした四島の
帰属
を確定することですから、その目標に向かって、
総理
の言葉をかりれば、これは車の両輪みたいなものだねと
総理
はおっしゃる。それは、
歯舞
、色丹についても
考え方
もあるけれ
ども
、国後、択捉の問題というものを抜きにして考えるわけにはいかないということだと思うんです。
安住淳
42
○安住
委員
いや、私は、
交渉
事ですから、プライオリティーがあって、何から話をしていくのかということは問題だと
思い
ますよ。つまり、
大臣
、少なくともクラスノヤルスクに関して言うと、
期限
を切ったというのはやはり画期的な話だったんですよ。結果的にはそうはならなかったけれ
ども
。 しかし、空白の
交渉
とは言わないけれ
ども
、また延々と、何から始めるのかと。つまり、領土の
帰属
の問題から始めるのか、それから
平和条約
の
締結
のオーソライズしたものから入るのか、今言った返還後の人の扱いから入るのか。逆に言うと、横たわっている問題は何
一つ
解決
してないということなんですよ。だから、五六年の振り出しに逆に戻ったのではないかという危惧さえある。 そういう中で、私は、はっきり申し上げて与党内が混乱していると
思い
ます。この問題に関して申し上げると、しっかりとした
外交
方針で、我々はやはり四島返還をあくまでも要求すべきだと
思い
ます。しかし、
二島返還
論というのを、例えば野中前幹事長は幹事長当時に、これは会見の席なんかでも、
交渉
のプロセスかもしれませんが申し上げたことがありまして、我々もそのことを聞いて驚きました。つまり、
外務省
が認知していないといっても、これは今回の訪問団だって与党三党で行っているわけですよ、同行しているのでしょう。 そうしたら、
外務大臣
、あなたは少なくとも
外交
交渉
の責任者である。
日本
の立場というのは、
二島返還
先行論というか、四島一括含めて、あなたの言うことを信じたいと私は
思い
ますよ。しかし、我々が見ていると、どうも違うところで違う筋の話が通っているのではないかという危惧がありますが、いかがでございますか。
河野洋平
43
○
河野国務大臣
どうも私は口数が少ないものですから、私の
思い
がなかなか
皆さん
におわかりいただけないのですが、まさに今
議員
がおっしゃったように、
外交
交渉
をやる場合には、やはり
外務大臣
がその
外交
交渉
の責任者としてその先頭に立ってやるべきものです、あるいは
外交
交渉
の指揮をとるべきものです。そして、
最後
は最高
首脳
者が決断をなさるということだと
思い
ます。さらに、そこで仮に署名されれば国会での批准という作業が残っているわけですから、与党が
理解
をしてくれるということがやはり重要なんですね。ですから、
政府
・与党が一体でこの問題に取り組むということはちっともおかしいことではない。 繰り返して申し上げますが、
政府
の方針は四島返還。与党も、
政府
が、
外務省
が申し上げている四島返還について、自民党の中にはそれについてのさまざまなアイデアはあります、しかし、四島返還という目標について異論があったり別の意見があるということは、私は全く
承知
しておりません。それは、全く枠の外側でいろいろな例え話に引用されたり、何かお茶飲み話でいろいろな話があるということは、そこまで私は確認はできませんけれ
ども
、少なくとも、党の正式な場面で四島返還以外の議論が今ある、あるいは四島返還を否定するような意見があるということは、私は全く
承知
しておりません。
安住淳
44
○安住
委員
しかし、我々がそう思っているぐらいですから、
ロシア
サイドから見たら、だれを
相手
に話をしていいかわからないという現状があると思うのですね。
河野
大臣
、私は、
プーチン
さんの
政治
的立場というのは、多分旧ソ連邦時代のかなり強い指導者と同じぐらいの
政治
的求心力を持っていると。最近の世論
調査
でも七割だと。そういう人だからこそ一気に
解決
できるチャンスだということで、
プーチン
首相は、NHKのインタビューを見ていて、かなり
思い
切った
発言
をなさっている。しかし、それを受け入れるあなた方が何ですかということなんですよ。 それをしっかり受けとめて、本当に一気呵成に
解決
できるかというと、そういう現状ではない。もう間もなく多分やめるのでしょう、
総理
も。またきのうノルウェーの国王のときにすっぽかしたり。つまり、こういう姿勢が逆に言うと
日ロ
交渉
にとって大きな足かせになっている。 だから、
河野
大臣
、ぜひこれは立て直してもらわないと国益に本当に反しますよ。逆に、未来永劫北方四島は返ってこないですよ、あなた方のやっているようなやり方だと。私はそう
思い
ます。しっかりとしたプライオリティーを持って、まず
帰属
の問題を明らかにする、それから
交渉
の中で
平和条約
のプロセスをどういうふうにしていくか、
国民
はそこをわかりやすくやってもらいたいと思っているのじゃないですか。
最後
にそのことだけ伺って、同僚
議員
にかわります。
河野洋平
45
○
河野国務大臣
とにかく大変難しい問題であるということは、戦争以外の
方法
で領土が、領土といいますかそういうものが移動するということは余り例がないじゃないかということをおっしゃる方もあります。しかし、私は、この問題は
日ロ
間の平和的な
話し合い
によって必ず
解決
しなきゃならぬというかたい信念を持っているわけです。そうはいいながら、大変難しいなるがゆえにもう四十年も四十五年もかかっているわけで、これは別にきのうきょうの
総理
の態度が悪いからできるとかできないとかというほど簡単なことではないと思うのです。しかし、御注意、御指摘がございました。私
ども
は、さらに一層緊張をしてこの問題に取り組みたいと
思い
ます。
安住淳
46
○安住
委員
大臣
、歴史を見ると、やらないといけない時期というのがあって、極めて重要な時期に
日本
はだらしない
政治
をやっているということだけ私は御指摘を申し上げて、
首藤
議員
にかわります。
土肥隆一
47
○
土肥委員長
次に、
首藤
信彦
君。
首藤信彦
48
○
首藤
委員
民主党の
首藤
信彦
です。 安住
議員
を引き継ぎまして、
イルクーツク
における
日ロ首脳会談
についてまず
お話
を聞かせていただきたいと
思い
ます。 まず
最初
に、首相の
訪ロ
に対して、
日本
からは
政治
家はだれが同行し、どのような役割を果たしたか、
外務大臣
にお聞かせ願いたい。
河野洋平
49
○
河野国務大臣
今回の
イルクーツク
の
首脳会談
に同行されました
議員
は、自民党、公明党、保守党から四人の
議員
が同行しておられます。
首藤信彦
50
○
首藤
委員
その方の氏名を公開していただきたいと
思い
ます。
河野洋平
51
○
河野国務大臣
自民党からは鈴木
議員
、橘
議員
、公明党の漆原
議員
、それから保守党の小池
議員
でございます。
首藤信彦
52
○
首藤
委員
私の先ほどの
質問
の後半の部分ですけれ
ども
、その四人の方がどのような役割を果たされたか、お聞かせ願いたい。
河野洋平
53
○
河野国務大臣
この四人の
方々
は、先ほど私が申し上げましたように、
首脳会談
に同席をされたわけではなくて、
首脳会談
が行われた
イルクーツク
におられて、この
首脳会談
について身近にといいますか間近にそれをごらんになって、情報も一番早い情報を得られ、さまざまな疑問があれば恐らくそこで事務当局などに
質問
をされたと
思い
ますが、そういうことをやることによって、与党の
政府
の
外交
に対するバックアップ体制というものをつくってくださるということになったのだろうと
思い
ます。 なお、小人数の
会談
と全体会合とあったわけですが、その全体会合には鈴木
議員
は
出席
をされておられます。
首藤信彦
54
○
首藤
委員
私の
質問
はおわかりだと
思い
ますが、では、四人は例えば
イルクーツク
での
首脳会談
に観客として見物に行ったのか、あるいは、先ほどの役割の中でおられたということですから、サポートされたということは二元
外交
をされているのか、あるいはまた、最近の
外交
の特色と言われるように、
政府
の
首脳
がやり、それからいわゆるパーラメンタリアンと言われる国
会議
員、さまざまな国
会議
員が
外交
をする、さらにNGOがやったり市民がやったりする、そういったマルチトラック
外交
をされていたのか、その辺はいかがですか。
河野洋平
55
○
河野国務大臣
イルクーツク
におられた時間はそう長い時間ではない。つまり、
総理
自身
も極めて短い時間しかおられなかったわけで、マルチトラックで動かれたかどうか、仮に動かれたとしても、それほど多くの作業ができたとは、能力は非常にある方ばかりがいらっしゃったわけですが、時間的になかなかそれは難しかったのではないかと
思い
ます。 むしろ、先ほど申し上げましたように、
首脳会談
のサポートといいますか、そういう態勢という
意味
で行かれたというふうに私は考えております。
首藤信彦
56
○
首藤
委員
私は別にそういうマルチトラック
外交
という言葉を使いたいために聞いているわけではないのですね。要するに、このように膠着状態にある
領土交渉
において、どういう形で将来の
合意
を目指していくかというところの展望がここにある可能性があるということで聞いたわけです。ですから、確かにこれはネガティブな面もあるかもしれないけれ
ども
、それなりにまた可能性もあるということを指摘して、次の
質問
に行きたいと
思い
ます。 鈴木
議員
が全体会合の中に同席されたというわけですが、幸いなことに鈴木
議員
はここで
理事
をされておるので、いろいろ御意見もあったと
思い
ます。あれ、鈴木
議員
はどうされました。——では、
委員長
、今回はどちらかというと
日ロ
問題について
質問
するということで、当然、
ロシア
に行かれた方な
ども
関心を持っていただかないと困ると思うのです。ぜひ呼び出していただきたいと
思い
ますが、
委員長
、いかがですか。
土肥隆一
57
○
土肥委員長
今呼び出しているそうです。
首藤信彦
58
○
首藤
委員
わかりました。 それでは、その内容についてお伺いしたいと
思い
ます。 五六年宣言に一度戻る、それを原点とするという
プーチン大統領
のコミットメント、それからさらに、それだけではなくて、今までの
交渉
のさまざまな積み上げも評価するという、これは私は大変な進歩であった、そういうふうに思っています。 そこで問題なのは、では、五六年宣言というのは一体何かということが
一つ
あります。それは先ほど民主党の安住
議員
からも
質問
がありましたけれ
ども
、これは
外務省
が配布している「われらの北方領土」という冊子に書いてあることですが、その九条において、
平和条約
を前提として
歯舞
、色丹を返還していくということですね。あくまでも
平和条約
の
締結
を前提としてということなんですね。しかし、読めばだれしもわかることは、では、あとの二島はどうなるのだ、国後、択捉はどうだ、どこにも書いてないわけです。現在の
条約
というのは御存じのとおり、列挙主義になっている。要するに、漠然としたことで書いてなかった、列挙していなかったものは対象外なんですよ。 それからさらに、もっと言わせてもらえば、五六年までの間に、五一年の
平和条約
にしても、サンフランシスコにおける吉田全権の
発言
にしても、ずっとこういう経緯があります。例えば、五六年九月二十九日の
日本
国
政府
全権
委員
からソビエト連邦にあてた書簡、ソビエト連邦外務次官から
日本
政府
全権にあてた書簡、いずれも「領土問題を含む
平和条約
」という言葉が、文言が入っています。ですから、
平和条約
の
締結
だけじゃなくて、領土問題を含む
平和条約
というのが括弧でくくられているわけです。 ところが、これが五六年の宣言にはない。したがって、
プーチン大統領
が、五六年の宣言を文字どおり、これが原点だよ、これが基本だよと言ったら、これは要するに、
歯舞
、色丹しか対象にならないですよということを言っているわけでありますが、
外務大臣
はどのようにお考えですか。
河野洋平
59
○
河野国務大臣
ですから五六年、ですからというのは、私は
議員
の御主張を肯定したわけではありませんが、今回の
イルクーツク声明
をお読みいただけばおわかりのとおり、五六年宣言というものを確認をして、そして九三年を踏まえてこれからやっていこう、こう言っているわけです。その九三年には四島の
帰属
ということが書かれているわけでございまして、それは
ロシア
側の認識としてある、四島の
帰属
問題が今ここに問題としてあるということを、
ロシア
側は問題意識を持っているということで私はいいというふうに思っています。
首藤信彦
60
○
首藤
委員
それは、テーマとしては何でも入るということですよ、要するに、残りの二島だろうがほかのことも含めて。だから、
平和条約
の
締結
ということは、残りの二島、国後、択捉の領土としての画定や返還というものは全然担保されていない。何にも担保されないところへ戻ってしまったという恐ろしさを示しているわけですね。 そうでないと言うならば、では、私
たち
はもう一度、
プーチン大統領
が言われるように
専門家
による
解釈
を考えてみよう、五六年の前後にどういう問題があったかということを真剣に考えて、その当時のさまざまな資料を見て、そしてこの五六年宣言が一体何を意図していたのか、本当に
平和条約
というものの中に四島、要するに二島以外に、
歯舞
、色丹以外に国後、択捉も含めているのかどうか、そういう論議でこの
平和条約
というものは
意味
されているのかどうかをいろいろ検証してみなければいけない、そういうふうにも思うんですね。それはおっしゃるとおりだと
思い
ます。 そこで、この五六年宣言というものが一体どういうものかということで、原文を
外務省
からいただきました。これは
日本
語と
ロシア
語の原文です。技術的な問題点があるので、参考人としての
東郷
欧州局長に
答弁
をお願いしたいと思うのですが、これは非常に細かいことで。 これは
日ロ
同文、
日本
語と
ロシア
語と両方とも正だということになっています。しかし、
東郷
欧州局長にここのところをお聞きしたいのですが、
日本
語では「ソヴィエト社会主義共和国連邦は、
日本
国の要望にこたえかつ
日本
国の利益を考慮して、」
日本
国の要望、すなわち
日本
国の利益、こういうふうに書いてあります。 原文はどうか。これは「プリ エータム サユース サビエスキフ サツィアリスチーチェスキフ、 リスプーブリク イジャ ナフストレッチュ パジェラーニヤム ヤポーニー イ ウチットイバイヤ インチェレスィ ヤポンスカバ ガスダルストバ、」こうなっています。 何を言わんとしているかというと、「
日本
国の要望」というのは確かに「パジェラーニヤム・ヤポーニー」となっていますよ。ですから、ここは、この宣言にずっと出てくるように、
日本
はヤポーニー、ヤポーニャーとして、大文字で始まる
日本
として定義されている。いいですね。これが「
日本
国の要望」ですよ。 それに対して、その後半は何か。これは「インチェレスィ・ヤポンスカバ・ガスダルストバ」なんですよ。これは大文字で始まっていないのです。いいですか。
日本
国の利益と書いてあるのではなくて、前文が
日本
国であるならば、後半は「
日本
の国益」と書いてあるわけですよ。 この宣言の中でずっと大文字のヤポーニャーで出てきたものが、なぜかここで「ヤポンスカバ・ガスダルストバ」という形で、
日本
のインタレストだという形になっている。すなわち、ここに込められている内容があるはずなんですね。この問題は一体何を
意味
しているのか。恐らく長くこの条文に
関係
された
東郷
欧州局長の詳細
説明
をお伺いしたいと
思い
ます。
東郷和彦
61
○
東郷
政府参考人
お答え申し上げます。 まず、先生御指摘のように、
日ソ共同宣言
は、
日本
語とロ文は同一の資格を持っている正文でございます。したがいまして、
日本
語の文章から
理解
することと
ロシア
語の方から
理解
するものとは、これは少なくとも全く同じ資格を持っておりますので、その前提で御
説明
したいと
思い
ます。 御
質問
は、「ナフストレーチュー・パジェラーニヤム・ヤポーニー」という部分が大文字の
日本
という言葉になり、もう
一つ
の方の「ウチートゥイバヤ・インチェレースィ・ヤポンスカバ・ガスダールストバ」という部分が形容詞としての
日本
の国家のという
ロシア
語の書き分けになっている。これが、
日本
語の方の
日本
国の要望及び
日本
国の利益、この書き方と
ロシア
側はちょっと変わっているんじゃないか、それはなぜかという御
質問
かと
理解
いたしました。 私が
ロシア
語をこれまで勉強してきた経緯で申し上げますと、この「ナフストレーチュー・パジェラーニヤム・ヤポーニー」という、
日本
国のという
ロシア
語の
理解
と、それからその後の「ウチートゥイバヤ・インチェレースィ・ヤポンスカバ・ガスダールストバ」という、この
日本
国家の利益を考慮してという部分は、
ロシア
語としては全く同じ
意味
というふうに解してよろしいのではないかと
思い
ます。
日本
語の場合には、同じ言葉を使ったらば、特に
条約
の正文においては同じ言葉は繰り返すというのが我が
条約
局の非常に長い伝統でございますが、むしろ、
ロシア
の案文作成においては、同じ
意味
であって言葉を使い分けられる場合には別の言葉を使ってもいいというのが
ロシア
のこれまでの長い
交渉
の中で何度か出てきた立場でございまして、内容においては全く変わりがないというふうに
理解
してよろしいのではないかと
思い
ます。
首藤信彦
62
○
首藤
委員
東郷
欧州局長に法律の
専門家
としてお聞きしているわけでありまして、
ロシア
語の
専門家
としてお聞きしているわけではないわけですが。 要するに、
プーチン
さんが、これから
専門家
による
解釈
をしていこう、検討していこうと言ったら、ここしかないわけですよ。我々は、いや、
歯舞
、色丹だけじゃないですよ、国後、択捉もあるじゃないですか、それが
日本
の国益じゃないですかとこれから主張していかなきゃいけないわけですよ。 ですから、この国益に込められている情報というものは一体どういうものなのか。それとも、例えばただのナショナルインタレスト、だれかが論文を書くように、どこかのところにナショナルインタレストというのを書いているのではなくて、ここに入ってくることの、なぜここに盛り込まれたか、一体どういうような補助資料があるのか、それをお聞きしているんですが、その辺はいかがですか。
東郷和彦
63
○
東郷
政府参考人
御
質問
の一番のポイントかと
思い
ます、一九五六年の
日ソ共同宣言
の
交渉
のときに国後、択捉は一体どこにいってしまったのかということにつきましては、先生御指摘の、条文の
一つ
一つ
の
理解
の背後にある最も重要な問題は、このとき
日本
は、フルシチョフが
歯舞
、色丹なら返すと言ったことに対して、それではだめだ、国後、択捉、これを含む四島を返さなければだめだ、四島を返すということを言わない限り
平和条約
はできないということを言ったということでございます。 したがいまして
平和条約
ができなくて
共同宣言
の発出に至った、これが一九五六年の
交渉
における一番のポイントでございまして、
専門家
の
協議
を含めまして、この点を今の
プーチン
政権にどうやってわからせるかということをこれからさらに議論していくということかと
思い
ます。
首藤信彦
64
○
首藤
委員
私の
質問
を御
理解
いただけたと
思い
ますけれ
ども
、これはもう
日本
のすべての
政治
家がやはり全力をかけて取り組まなきゃいけないし、
外務省
も総力を挙げて取り組まなきゃいけない。私は、素人ながらこの問題を見ていて、ここにも
一つ
のヒントがあるんではないか、ここにも
一つ
の話のきっかけがあるんじゃないか、そういうふうに思っています。この問題で、ともかくこの五六年宣言に戻ればもう二島しか返ってこないということになるわけですよ。 ですから、全力を挙げて、その当時の資料の洗い直しを含めて、法律の案文の詳細なる分析とか、それから
日本
の主張をきちんと理論構築していただきたい。それを切に切に
外務大臣
にもお願いしたい、そういうふうに
思い
ます。 この問題に関してはまた
質問
させていただく機会もあると
思い
ますが、時間もございませんので、次に、
アメリカ
の問題に移させていただきたいと
思い
ます。
アメリカ
の問題も、もう既に
経済
問題に関しては本
会議
その他で討議されておりますので、ここでは
アメリカ
の原潜
事故
の問題について
質問
させていただきたいと
思い
ます。 原潜
事故
と言っておりましたけれ
ども
、これは、今
アメリカ
で行われているのは審問
委員会
というか審問
会議
なんですけれ
ども
、それがやがて軍法
会議
になるということを考えていくと、これは原潜
事故
というよりはもうグリーンビル事件だ、こういうふうに
理解
しているわけです。このグリーンビル事件、
日本
の多くの識者それから市民もわかるように、これはどうも
日米
安全保障
の一大転換点になっていくだろう、そういうふうに考えています。
日本
の
国民
の中でもこの問題というのを、要するにみんなよく知っていて、非常に憤りが
日本
全国に広がっている。やはり、
日本
の基地問題、今までどっちかというと沖縄とか神奈川とか基地のあるところで比較的まとまっていた問題が、
日本
国全体に、こんなひどいこと許してはいけないよという雰囲気になっているんだと思うんですね。 そこで私が言ったのは、この事件というもの、今、歴史の現実が起こっているわけですが、この歴史の証人として、当然のことながらジャーナリストも行くだろう。同時に、我々は、
政治
家は
国民
の代表なんですよね。
国民
の代表として、私
たち
も、この審問
会議
に対して、あるいは査問
会議
でもいいんですが、審問
会議
、査問
会議
を傍聴したい、このように私は
安全保障
委員会
の中で要望いたしまして、その可能性について
河野外務大臣
に
質問
したわけです。それに対して
河野外務大臣
は、このように答えられているわけですよ。 これは
日本
を代表する地方紙である神奈川新聞の記事ですけれ
ども
、私
たち
は同じ神奈川から来ているので、もう
外務大臣
も恐らく目を通されていたと
思い
ますけれ
ども
、ここに「
議員
傍聴枠確保を」というふうに大きなキャプションが載っております。そこで書いてあることも、家族やメディアへの
配慮
はもちろんだが、国
会議
員についてもこれは考えておかなきゃいけない、このように明言されているわけでありまして、また、
安全保障
委員会
での議事録もそのようになっております。 私がお聞きしたいのは、いろいろ
アメリカ
にも事情があるだろう、それから傍聴席の枠も限界があるだろう。しかし、私が
質問
し、
外務大臣
が答えられて検討すると言ったことに対して、
日本
の
政治
家はだめだよ、民主党の
首藤
はだめだよ、そんなことをもすら言われなかったわけですよ。 要するに、検討するということに関して、その検討をしたのかどうか、検討結果がどうなったのか、そして、検討結果はなぜ私のところには来なかったのか。あるいは、ここにいる外務
委員会
のメンバーにはどうしてその検討結果が来なかったのか。その点に関して、
外務大臣
の御
答弁
をお聞きしたいと
思い
ます。
河野洋平
65
○
河野国務大臣
傍聴席を確保しろという
首藤
議員
からの御指摘は私も十分記憶をしておりますし、私
自身
、それについて作業もいたしました。 当初、非常に具体的に言ってしまえば、
日本
から国
会議
員が傍聴席にいた、
望月
政務官は傍聴席で審問
委員会
を聞いておられたわけです。ですから、
望月
議員
からもっと正確な御
答弁
を、今この場ではだめですけれ
ども
、何かの機会に聞いていただけばわかると
思い
ますが、当初、傍聴席は相当限定をされていた。しかし、
日本側
としては、できるだけ
関係者
、御家族の
方々
、
最初
はそう思っておりましたから、御家族の
方々
には全員傍聴席で査問
委員会
のやりとりが聞けるようにしてほしいということを
アメリカ側
に言い、
アメリカ側
も、傍聴席は限られているけれ
ども
、できるだけ
日本側
の期待というもの、要望というものはわかるから
努力
をしますと。しかし、その席に入れなければ、別の部屋をつくってでもそこで直接そのやりとりが聞こえるようにという、そこまで先方は、
アメリカ
は考えてくれたわけです。 結果はどうなっていたかというと、傍聴席は当初考えられていたよりもふえました。そして、しかも
日本人
の傍聴者には、同時通訳というんですか、同時に
日本
語でそのやりとりがわかるという仕組みまでつくってくれたわけです。したがって、ハワイにおられた家族の
方々
は、恐らくほとんど全員が傍聴席に座るかもしくはその間近な部屋でそのやりとりを聞くことができたということは、御
報告
を申し上げます。 そこで、
議員
から、国
会議
員に傍聴席を
配慮
しろ、こういう
お話
でございまして、国会の開会中ということもあって、どれだけの国
会議
員の
方々
が現地へ行けるかという問題もございましたけれ
ども
、傍聴席はおいでいただければ御案内ができるという
状況
には確かにあったと私は認識をしておりまして、現に現役の国
会議
員の方で傍聴席で傍聴をされた方もおられます。
首藤
議員
から、私になぜそういうことを
報告
してくれないのか、こうおっしゃられると、御
報告
が現実問題できなかったことを申しわけなく
思い
ますが、現地で総領事館その他で手配をして傍聴席に御案内を申し上げた
議員
の方も実はいらっしゃるということは申し上げておきます。
首藤信彦
66
○
首藤
委員
私は、それは驚いた。恐らくここにおられる方も
皆さん
驚いたと思うのです。 これは私的な情報で行くことではない。ハネムーンのついでにハワイに寄って、そうしたら、ああ、あなた、バッジつけていますからいいですよ、ここいいですよ、どうぞ座ってください、枠広がりましたよ、こういう話じゃないのです。
安全保障
委員会
で、私が野党を代表して
質問
を行って、そしてあなたが、
外務大臣
がそれに対して、検討する、検討したら外務
委員会
であれ
安全保障
委員会
で
委員
に
説明
するのが当たり前であり、常道ではないですか。そうでなかったら、
委員会
なんてない方がいいじゃないですか。
委員会
をやめて自分の派閥だけで、何やら派閥というところだけで、君、どうだ、行ってみないか、土日だけだったら行けるよ、こういう話なんですか。おかしいじゃないですか。
委員長
、私は
委員長
にお聞きしたい。 これは、外務
委員会
に対する軽視じゃないですか。いかがですか、
委員長
として御意見は。
河野洋平
67
○
河野国務大臣
もう少し御
説明
を申し上げた方が誤解がなかったと
思い
ます。 傍聴に行かれた
議員
の方は、宇和島選出の国
会議
員の方が現地に御家族の
方々
と行っておられて、そして傍聴をされたということだと
承知
をしております。
首藤
議員
の先般の
安全保障
委員会
での私に対します御
質問
は、この審問
委員会
の傍聴者として
国民
の代表である
政治
家が傍聴することについて機会をつくれ、そのように
アメリカ側
に申し入れろ、こういう御
質問
でございました。 私からは、国
会議
員に対して傍聴席が確保できるかどうか
努力
をしてみますということを、確保できるかどうか、これはすぐに御返事はできませんけれ
ども
、私
ども
は頭に入れておきたいと
思い
ます、こう御返事をした次第でございまして、確かに
国民
を代表する国
会議
員の人、しかもそれは宇和島選出の方がおられたということで、私は
一つ
の役割を果たせたというふうに思っております。
首藤信彦
68
○
首藤
委員
私は、理性ある
河野
外相
自身
はもう十分に反省されておると
思い
ますから、これ以上突っ込みませんけれ
ども
、こういうことをやってはいけない。
外務大臣
にもいろいろ
質問
し、
外務大臣
が、なるほど
委員
はもっともだ、だからそういうことも考えていますというのは、何
一つ
実現していないのですよ。 これはまた別な機会で追及しますけれ
ども
、これをやはりちょっと反省材料にして、これ以上この件は追及しませんけれ
ども
、深刻に受けとめて、この
委員
、
委員会
の存在をもうちょっと真剣に考えていただきたいと
思い
ますね。 先ほどの宇和島の話は、専門的に言えば、それはその地域を代表しているので、プライベートインタレスト、これは議事録には書かないでいいです、プライベートインタレストなんですよ。僕の言っているのは、パブリックインタレスト、安保を含めて
日本
全体の転換点だから、この問題に関して
日本
の全体から出ている
人たち
に声をかけなければいけないということで、主張していたわけですよ。 では、また本論に戻ります。 ここへ小沢勇海将補がアドバイザーとして参加しました。国
会議
員じゃないのですよ、
政府
代表です。オブザーバーの機能はどうですか、
外務大臣
。
河野洋平
69
○
河野国務大臣
御指摘のように、海上自衛隊の小沢海将補を審問
委員会
へのアドバイザーとして
政府
としては派遣いたしました。 審問
委員会
冒頭のナスマン
委員長
の
説明
によりますと、同海将補は、直接証人への
質問
は行わないものの、審問
委員
と
協議
して証人への
質問
を提案することはできるというふうにされていたと
承知
をしています。 したがって、小沢海将補は証人への直接の
質問
は行っておりませんが、例えば六日午後の審議において、本件
事故
の予備的
調査
に携わったグリフィス少将の証言が行われた際に、ナスマン
委員長
は、小沢海将補も関心を持っていると述べつつ、緊急浮上の命令伝達過程についての
質問
を行ったというふうに聞いております。 これに対しまして、グリフィス少将は、概要以下のとおり応答をしております。 緊急浮上は艦長が哨戒長に命じることによって行われ、一たん緊急浮上を始めると、大きな浮力のために緊急浮上をとめることはできない、水面上に障害物は何もないであろうとの判断のもとで、艦長は、できるだけ早く港に戻るためもあって、港の方向に転進して緊急浮上を行ったようである、こういうふうにグリフィス少将は述べておられます。 小沢海将補もこの
答弁
についての
質問
に対して提案をされたというふうに聞いています。
首藤信彦
70
○
首藤
委員
恐らく、ここにおられるほかの
委員
の方は、何のことだかわからないということだと思うのですけれ
ども
、こういうことなんですよ。 議事録を見ていただきたいと
思い
ますけれ
ども
、この事件は、
アメリカ
海軍
が引き起こした深刻な事件なんですよ。それに対しては
日本
政府
も証人を、オブザーバーを送るということになっています。オブザーバーの権能は何か。オブザーバーは、審問
委員
と全く同格でそこに立ち会って、なおかつ
質問
することができる。議事録をよく見てください。これが、我々が自衛隊の海将補を送り出した、潜水艦の艦長をやり、
専門家
を送り出した
意味
じゃないですか。 私は、では、この方は一体どういう
質問
をしてくれたのだろうか、
日本
の国益を代表し、あるいはここで
事故
の真相究明を求めている御家族の方の意思を反映してどのような
質問
をしていただけたのかとずっと
外務省
に聞きました。そして、それは出てこない、どこにもないのです。 ずっと見ていって、
アメリカ
の七紙をモニターしながら毎日毎日
アメリカ
の査問
委員会
の議事録をずっと追っていって、
最後
の
最後
に出ましたよ。これは
最後
の審問
委員会
ですよ。
最後
の審問
委員会
でようやく、ホノルル・アドバタイザーの中に審問
委員会
の議事録の全文が出てきた。その日だけですけれ
ども
。私も、一日使ってずっとテレビのモニター画面を見ながらチェックしました。オザワという名前は一度も出てこない。 そして、きのうの夜十二時まで私は
議員
会館でただひたすら待っていましたよ。出てこない。なぜ出てこないかと、
アメリカ
へ聞いてきますと。なぜ
アメリカ
へ聞くんだ。
日本
が送り出して、我々の代表として聞いてくる
人たち
が何を聞いたかというのがどうしてリストとして出てこないのか。そして、直前になって、今そういうお返事をいただいた。これは
国民
の意思をないがしろにするものではないですか。海将補を送って、一言も
発言
されないなら、この方の航空運賃は返してもらいたい。そうではないですか。私はもう唖然としてしまいます。 この問題というのは、真実を究明するのが一番大事なことなのです。一体、これは本当はどうだったのか。真実を解明することが、やがては
日米関係
の中に信頼
関係
を生むのです。またごまかしていったら、また出てきますよ。ある日突然、ニューヨーク・タイムズのトップに、実はこうでしたと出てきますよ。私はその可能性を幾つか持っている。まだ全然出てこない事実が幾つかありますよ。そうなれば、また
日米関係
も、それから
日本
の基調と言われる安保だって狂ってくるではないですか。 だからこそ、この問題に関しては、
日本
の代表をきっちり送って、真実を徹底的に明らかにしなければいけない。そのためにこそ
安全保障
委員会
で主張し、外務
委員会
でも主張しているわけでしょう。それがどうですか。一言も
質問
されなかった。何のために行ったのか。はっきり言えば、
アメリカ
に
日本
の代表を呼んだという、これは
アメリカ
にとって言いわけになるではないですか。ただ言いわけのために私
たち
は税金を使って人を送ったのか。こんなものはもう許せない。これからはやはりこうした問題がどんどんふえてくると思う。しかし、
一つ
の
質問
もしないということに関して、私は大変な疑問を
感じ
ているわけです。 ですから、もう一度
最初
に戻りますが、
一つ
の問題は、この外務
委員会
にしろ
安全保障
委員会
にしろ、
委員会
そのものの権威が今疎んじられ、
委員会
そのものの機能が十分に機能していないのではないか。(
発言
する者あり)それと
関係
ないでしょう。不規則
発言
、やめてください。その話をしているのではないのです。そういう話は幾らでもあるのですよ。 ですから、こういうことで、少なくともこの場で
外務大臣
が検討すると言ったり、それから約束されたり、このような方向性を是と考えると言ったことは、それなりに対応していただきたい。これを切に切にお願いします。その点に関してはいかがでしょうか。
河野洋平
71
○
河野国務大臣
検討しろ、あるいはこういうことを申し入れろ、こういう御指摘があれば、私は、その御指摘に対して誠実に検討し、あるいは申し入れをするということをこれまでもやってまいりましたし、これから先ももちろんやってまいります。 これは少しへ理屈と受け取られるかもしれませんけれ
ども
、おれ
たち
がこう言ったのだからおれ
たち
にちゃんと返事をしろというときには、ぜひ
質問
の中で、検討してその結果を返事しろ、こう言っていただければなお正確に御返事を申し上げられるので、その点はどうぞひとつよろしくお願いをいたします。
首藤信彦
72
○
首藤
委員
了解いたしました。そのようにいたしたいと
思い
ます。
一つ
、この審問
委員会
で出てきた点でありますが、この中で、潜望鏡を上げたときに
えひめ丸
が見えなかったというのがあります。これは、軍事
関係
の
専門家
は御存じの方多いと
思い
ますが、潜水艦は、潜望鏡を上げたときに見えなくともいいのです。普通、潜望鏡にはESMというレーダーの感知装置がついていまして、上空からの航空機、あるいは海上を航行する船舶からのレーダー波をとらえるようになっている。すなわち、浮上して潜望鏡深度になって、潜望鏡を上げた瞬間に、海上におけるそうした、はっきり言えば敵機、敵艦が
理解
できるようになっているのですね。 この問題に関して、
日本
の中ではNHKだけが一瞬報道しました。しかし、これは審問
委員会
の中で大きなテーマとして挙げられているはずです。この部分は幾ら探しても、議事録は私
たち
は手に入れられないのでわからないので、
外務省
の情報からお聞きしたいと
思い
ます。この点に関してはいかがですか。
河野洋平
73
○
河野国務大臣
審問
委員会
におきますESMについての証言でございますが、審問
委員会
において、ESMに関し、例えば以下のような証言があったと
承知
をしております。 七日の審問
委員会
において、本件
事故
の予備的
調査
に携わったグリフィス少将は、グリーンビルはESMを使用していたが、この海域は陸や空港が近く、商用電波が多いので、その分析のためにはグリーンビルが潜望鏡深度にあった八十秒以上の時間が必要であったろうと証言しています。 また、NTSBの
調査
に参加したカイル大佐は、九日の審問
委員会
におきまして、大西船長によれば
えひめ丸
はレーダー波を発信していたので、ESMが探知していて当然だと思う、しかし、グリーンビルは
えひめ丸
を聴覚、視覚上でも早期警戒装置でも探知していないという、なぜ探知できなかったのかはわからないというふうに証言をしているのでございます。 さらに、衝突時のESM担当者は、十三日の審問
委員会
におきまして、潜望鏡深度において、近くの目標を示す強い電波は探知されなかったと証言をいたしております。
首藤信彦
74
○
首藤
委員
現在、審問
委員会
が終了したわけですが、これが軍事法廷に発展する、軍事法廷でワドル艦長以下の乗組員が追訴されるか否かに関してはどのような情報を受けておられますでしょうか、
外務大臣
。
河野洋平
75
○
河野国務大臣
えひめ丸
衝突事故
に関する
アメリカ
海軍
審問
委員会
が二十日午後、結審したことを受けまして、
委員会
は非公開で審理をし、事実
関係
、意見及び勧告が記された
報告
をファーゴ米太平洋艦隊司令官に提出することとなっています。ファーゴ司令官は、
報告
の内容を検討し、必要な措置をとることとなっております。 ファーゴ司令官による措置の内容については、
政府
としてのコメントは差し控えさせていただきたいと考えます。 たしか四月十四日ごろに
報告
を提出するというふうに私は記憶をしておりまして、それからおよそ、これはちょっと正確ではないかもしれませんが、たしか三十日以内でしたでしょうかに
結論
を出すというようなことになっていたかと
思い
ます。しかし、ここはちょっと不正確であるかもしれません。
首藤信彦
76
○
首藤
委員
今そうした追訴が行われるかどうかというのが討議されていると思うのですが、とはいえ、今現状では
えひめ丸
が
事故
に遭遇したような
状況
というのがずっと続いております。これに関して、例えば原潜の
事故
再発防止策はどのように進んでおるでしょうか。
外務大臣
、お願いします。
河野洋平
77
○
河野国務大臣
再発防止策につきましては、この
調査
の結果が出るということは
一つ
の大事なめどでございますが、私
ども
も再発防止のために、
アメリカ側
に対して何度か申し入れはいたしております。例えば、ファロン特使が
日本
へ参りましたときにも、私から直接ファロン特使に対しまして、米軍艦船の我が国への入港につき、改めて安全を徹底するよう指導してほしいということを言いまして、ファロン特使から、再発防止のために必要な措置は必ずとりますという
発言
がございました。 また、ファーゴ太平洋艦隊司令官も、審問
委員会
の結果が出るまでは緊急浮上のデモンストレーションを制限するというようなことを述べておられます。 二十三日でございますが、ブレア太平洋軍司令官が訪日をされまして、私から改めて原因究明、再発防止を要請するとともに、
日本
における
アメリカ
潜水艦の安全確認が極めて大切であって、私は、二月二十三日にラムズフェルド国防長官が発出した、軍事機器の操作を民間人に許可することを停止するモラトリアムを行っていくということを言っているわけですが、このことに我々は注目をしていますよということを伝えてございます。 いずれにしても、
政府
としては、米側に対して引き続き、再発の防止を含めまして、艦船の航行安全に万全を期すよう求めていかなければならないと
思い
ます。
首藤信彦
78
○
首藤
委員
精神論はいいんですよ。具体的にどういうふうにこの
時点
で変えておられるかということをお聞きしたいんです。 例えば、最近わかったことは、何もハワイ沖でなくても、湘南の海で、
アメリカ
の原潜、あるいは改良ロサンゼルス級でもいいんですけれ
ども
、
アメリカ
原潜が同じことをやっているということがわかりました。この
日本
の私
たち
が住んでいる、
河野
大臣
も住んでおられる目の前で行われているこういう問題に関して、
外務省
としてはどのような態度をおとりでしょうか。
河野洋平
79
○
河野国務大臣
相模湾といいますか、
議員
もそうですが、私もそこに住んでいるわけでございますが、そこがそういう区域として指定をされているということについては、それは
説明
を聞いた記憶がございますけれ
ども
、我々が少なくともそこで訓練が行われていることを実際に見たことはなかったものですから、余りこの問題に興味、関心を実は私も持たなかったんですが、今回の
事故
に際して、確かに相模湾海域が潜水艦の訓練の区域に指定をされているということを確認しているわけです。
アメリカ側
はそこで何をやっているかということについては明らかにしておりませんが、私としては、この水域は極めて多くの、例えば遊漁船、釣り船を初めとして漁船その他たくさんの船がいるわけで、彼らは皆そこでつまり生計を立てる、なりわいを立てている
人たち
でございますから、そうした
人たち
のことは十分に考えてもらわなければ困るわけで、
日米
合同
委員会
その他でこの問題については問題提起をするように私は指示をいたしましたが、既に
日米
合同
委員会
では問題提起をしたということでございます。
首藤信彦
80
○
首藤
委員
多少は危機管理問題をやった者から言うと、危機というものは、次から次へと同時に起こったり、同じようなものが次々と起こったりするんです。不思議なものなんです、これは
説明
できないところはありますが。本当に同じようなことがほっとまた出てきたりするわけですよ。ですから、起こったらその対応をきちっとしなきゃいけない、可能な限り始めなきゃいけないということです。例えば、今そういうふうにおっしゃられましたけれ
ども
、これからだんだん会合してやっていこうということですけれ
ども
、そういう対応は甘いと言わざるを得ない。やはりこういう事件が起こったときにこそ、
最大
の力を発揮して再発防止に取り組んでいただきたいと思うんですね。 これは決して
アメリカ
だけの問題ではなくて、既に指摘されたいろいろなことがあります。例えば、実習船が白くて見えなかった。実習船が例えばピンクであったり、いろいろ色を変えていたりしていたらもうちょっと見えやすかったんじゃないかというような批判や指摘もございます。そういうことを考えると、今の
時点
でも、
向こう
だけでなくてこちら側でも改善すべきところは幾つもあるんではないか。今までインドネシアや太平洋の南部へ行っていた実習船が、一挙に、集中的にハワイ沖に二十隻ぐらい来ていると言っていますけれ
ども
、そういうことに関しても警告を発し、対応を考えていくことが必要だと思うんですが、その辺に対してはいかがお考えですか。
河野洋平
81
○
河野国務大臣
実習船の問題は、私
ども
もその安全にとりわけ意を用いる必要があるというふうに
思い
ます。所管でございます文部省あるいはその他の
関係者
に会って話をする機会をつくりまして、そうしたことも
一つ
の問題提起として提案をしてみたいと
思い
ます。
首藤信彦
82
○
首藤
委員
だんだん時間がなくなってまいりましたけれ
ども
、私は、この問題に関しても、我々も含めて、いろいろなことをもっとやっていかなきゃいけなかったんではないかな、そういうふうに考える次第です。 例えば、
アメリカ
の記事をずっとモニターしてやはり気になるのは、我々が、水産高校の実習船、かわいそうな、本当にひどい目に遭った若者
たち
という視点でとらえているのに対し、
向こう
は必ずフィッシングボート、トロール船、こういうふうに書いてあるわけですね。私は、やはり、私
たち
が心を痛めているのと同じように
アメリカ
の市民も痛めてほしい。原潜がぶつけたのが、単なる、そこへ魚をとりに行って、
アメリカ
の海域の中でごっそり魚をとってくるトロール船ではなくて、それは若者が、要するに学校と同じで、海の上の学校なんだ、これはスクールシップなんだということをもっともっと
外交
努力
として言っていただきたい、そういうふうに思うんですね。 駐米大使が、これは要するに
日本
ではそうした学校のようにとらえられているということを
発言
されたことも知っていますけれ
ども
、やはり私は、総力を挙げて、私
たち
が痛んだと同じように
アメリカ側
の
人たち
も心を痛んでもらわないと、今度、沖縄のさまざまな問題、基地が抱えるさまざまな問題というものを
解決
するときに、イコールフッティングで、同じような立場で問題が
理解
できないということで、この問題に関しては
外務省
の広報
努力
をもっともっとやっていただきたい。 この問題は我々の記憶からだんだん去っていくと言う人もおりますが、そうではなくて、この問題を本当に貴重な実例として私
たち
はいろいろ研究していかなきゃいけないのであり、むしろ集中的にこの辺のタスクフォースを組んで、この問題は一体何だったのか、これをどういうふうに対応していくのかということを真剣に考えていただきたいということをコメントとして述べさせていただいて、私の
質問
を終わります。 どうもありがとうございました。
土肥隆一
83
○
土肥委員長
次に、土田龍司君。
土田龍司
84
○土田
委員
きょうは、
国際情勢
に関する一般
質疑
ということでございますが、今
外務省
が抱える問題で一番大きいのはやはり機密費だと思うんです。
日米
、
日ロ
続いてやりましたけれ
ども
、後ほど
ロシア
との問題、
アメリカ
との問題、
質問
いたしますが、少しだけこの機密費の問題に入りたいと
思い
ます。 冒頭、自民党の
小島
理事
から、野党は何もしていない
外務大臣
に対してやめろとは何事だという御指摘がありましたけれ
ども
、何もやっていないから悪いんです。
森総理
もそうです。森さんが何やったんだと、何もやっていないから悪いんです。
外務大臣
に対しましても、今度の機密費の問題に徹底して究明しようという姿勢が見えない、
国民
から見えてこない。だから新たな人がやったらいいんじゃないですかと言っているんです。 三年何カ月も
大臣
やっておられますと、やはり
外務省
の職員に対して情も移りますし、あるいは随分便宜も図ってもらったかもしれませんけれ
ども
、新たな人が新たな
気持ち
で
外務省
を立て直す
意味
で、その
意味
でかわってもらった方がいいんじゃないですか、その方がしっかりした追及ができるんじゃないだろうかというふうに私
たち
はいまだに思っておりまして、何をやっていたんだというんじゃなくて、何もやっていないからだめなんです。もっとしっかりした追及をしなきゃならない、そういった姿勢を見せなきゃならないということを申し上げたいと
思い
ます。 これまでも
質問
で何回か、上納があったんじゃないかという
質問
が出ました。
外務大臣
は、その言葉に対して、笑っていらっしゃいますし、上納だというのは何だというようなことをおっしゃっていますけれ
ども
、どうも、我々が言う上納と
外務大臣
が考えておられる上納と
意味
が違うのかもしれませんけれ
ども
、広辞苑で調べてみましたらば、上納とは「
政府
へ物や金を納めること。」これを上納というんだそうです。
政府
に物や金を納めることを上納だということでございまして、ということになると、どんな形をとろうと、
外務省
から内閣官房へ資金の動きがあれば、それは上納というわけでございまして、
政府
がやっていないという上納とは一体どういったイメージを、
外務大臣
がにやにや笑いながら
答弁
をされるその上納とはどういったイメージなのか、これをまず聞いてみたいと
思い
ます。 そして、あらかじめ予算をもって国会の議決を経た場合は、財務
大臣
の許可を得て移しかえることができるとか、財務
大臣
の
承認
がなければ移しかえることができないとか、そういった財政法に違反するような移しかえはなかったという
意味
で上納はないとおっしゃっているのか、その辺のことを御
答弁
ください。
河野洋平
85
○
河野国務大臣
私は、上納問題というのは、正直、
議員
のように広辞苑まで引いて、正確な
意味
を確認した上で御
質問
をされている方はそう多くないと思うのですね。週刊誌とか新聞とかそういう報道機関が、何か上納という言葉を持ってきて、上納、上納と言うものですから、何か上納問題という問題があるように見えて、そして最近では、上納といえば、みんなが何となく
一つ
のイメージというか何かを
お互い
に頭に描いて、あるだろう、ありませんというようなやり方をしているだけで、それが一体何かということを正確にやりとりをしているということは余りないのだろうと思うのです。 ただ、私は、官邸が官邸以外の役所から金を集めて、そして官邸が使う、それをあたかも官邸、
政府
に上納をした、あるいは米を届けたというのとダブらせてそういうふうに言っておられる、そういう
意味
での上納というのはございません。
外務省
は
外務省
で、御
承認
をいただいて認められた予算は、
外務省
が予算要求をいたしますときに考えていたその目的に向かってきちんと使います。報償費についても、目的があるわけですから、その目的に向かってきちんと使います。それは、
外務省
の、最終的には
外務大臣
の責任であり、あるいは
外務省
のそれぞれのつかさつかさの上司がきちっと決められた手続で決裁をして使っているのであって、それを、何か金をまとめて官邸に届けて、官邸が、よしよしと、その金を自分のものとして使うというようなやりとりはございませんということを申し上げているわけです。
土田龍司
86
○土田
委員
大臣
がおっしゃる
意味
での上納というのは大体わかりましたし、それで私もいいと思うのですね。 そこで、今回の松尾事件なんですが、内閣官房が宿泊費の差額を
外務省
職員のために報償費から使用していた、実質的には内閣官房から
外務省
へ報償費の支出は流れていたわけです。しかし、
政府
の
答弁
では、これは報償費としての適切な支出であったと言っているのですね。いわゆる支出であれば、報償費が他の省庁へ流れてもおかしくないという理屈になるわけでございまして、財政法には接触をしないということになるわけですね。それならば、逆の
意味
で、宿泊費の差額の支出と逆で、何らかの支出の形をとって
外務省
の報償費が内閣官房へ渡されても財政法には違反しないということになるわけです。 そこで、ちゃんと問いたいんですけれ
ども
、
外務省
の報償費が支出として、内閣官房あるいは官房長官以下の職員に資金が流れたということはありませんか。上納という
意味
でなくてもいいですよ。ないとおっしゃっているんですが、支出という形で流れてないか。
河野洋平
87
○
河野国務大臣
ちょっと土田
議員
の頭の整理に私と違うところがございます。それは、今回の松尾元室長によります事件で、内閣官房の金が
外務省
に入って云々というふうにおっしゃいますけれ
ども
、実はそうではないと私は申し上げたいわけです。 それはつまり、
総理
の
外国
訪問という
一つ
の出来事がありまして、その
総理
の
外国
訪問のために何人かの随員を連れて
総理
は行かれるわけですね。その随員が行かれるときに、どういう議題で議論するかという内容についてももちろん
外務省
はお手伝いをするわけですけれ
ども
、それと同時に、ホテルを予約したり車列をつくったりという、いわゆるロジスティックスと言われる部分について
外務省
はお手伝いをするわけです。ホテルを予約し、車や何かを全部手配し、そして、そこまで本当は期待されていたかどうかというのは問題がありますけれ
ども
、
最後
はホテル代の支払いまでやって、
総理
一行はだあっと訪問をして議論をしてだあっと帰ってくるということのその中で、そのロジスティックスの部分について、官邸にかわって支払いをしたり、そうした作業をするという役を果たしていたのであって、それは官邸が支出したお金は本来ならば直接ホテルに払うべきものであったかもしれない。しかし、それをあらかじめ松尾室長が受け取って、ホテルの支払いをかわりにやってきたということなんですね。 ですから、官邸が
外務省
に対して何億という金を渡して、
外務省
がそれをいただいて、そして
外務省
がさらに何をやった、そういう整理ではないのでございます。ですから、要人
外国
訪問支援室は、あくまでも
総理
の
外国
訪問に限って、言ってみればそのお手伝いをするという役割でございまして、そこで、官邸からの指示で、今度ここへ行くぞ、ホテルその他の準備をしてくれ、こう言われれば、ホテルの見積もりをとり、そして予約をし、支払うお金はお預かりをして持っていって支払ってくる、そういうことでございます。 したがって、そういうことを私は申し上げているので、それと全く裏返しの
意味
の、上納と呼ばなくても、そういう作業があるかと聞かれれば、私は、そういうことは、つまり上納と言えるような
たち
のものはありませんということを申し上げております。
土田龍司
88
○土田
委員
その辺はよく
理解
できているんです。そういった形で支出をされていたということは
理解
できていますけれ
ども
、やはりこの問題が出てくる一番の原因というのは、使い道を明らかにしないということなんですね。この報償費の使い道は一切明らかにしない、できないでもいいのですが。 それならば、使い道を明らかにしなくてもいいのですが、あらかじめ支出してはいけないもの、これには使っちゃいけない、これはもう少し明確にできないものですか。言っている
意味
はおわかりでしょうけれ
ども
。
河野洋平
89
○
河野国務大臣
それはあくまでも公費でございますから、公のことに使われるのでなければならないということだと
思い
ます。
土田龍司
90
○土田
委員
もう少し鮮明にできませんかね。
大臣
あるいは
外務省
の職員がみんな公費で仕事するわけですが、これには使っていいということだけでなくて、もう少し列挙できませんか、こういうものには使ってはいけないと。
河野洋平
91
○
河野国務大臣
それはもうどなたが考えられても、常識的に私的に使うということは認められないものであろうというふうに
思い
ます。あくまでも公のために使う、公の仕事が円滑に進むために使われるというものである必要があるというふうに
思い
ます。
土田龍司
92
○土田
委員
五分前になりましたので、
ロシア
の問題をどうしてもやはり一応聞いておきたいわけですが、これまで何回もいろいろな方が
質問
されました。 今の
日本
政府
のやり方を見ていますと、やはり
クラスノヤルスク合意
を非常に過大評価していらっしゃるのじゃないかという気がするのですね。実際に二〇〇〇年までに
合意
を達成しなきゃならないということで、ちょっと焦りがあったのじゃないか。やはり
ロシア
側から少しそこにつけ入れられたような気が私はするのですね。どうも今回の
共同声明
におきましても、五六年の
日ソ
共同声明
まで戻ったじゃないかという議論が何回もありました。私もそういう
感じ
がするのです。またもう一回さあどうするのかという
感じ
がするわけでございまして、もう一回
外務大臣
、この辺のことについての真意と、あるいは
ロシア
側の真意と、ちょっと
お話
し願いたいと
思い
ますが。
河野洋平
93
○
河野国務大臣
ちょっと私に
ロシア
側の真意を
説明
しろと言われてもなかなか難しいのでございますが。私は、五六年に戻ったじゃないかという御指摘がございまして、確かに五六年を、ここをスタートにするよということを確認しましたから、何だ、また五六年のところから始まるのか、こういう
意味
で五六年に戻ったのじゃないかというふうに
感じ
られた方もあると
思い
ます。 しかし、この五六年の当時の
日ソ共同宣言
というものは、その後、一度は
ロシア
側によって、もうあれは考えが違うのだということで、非常に否定的にソ連側が言った時期があるのです。それは御
承知
だと
思い
ますが、
日米
安保
条約
なんということをやっているなら、米軍がいなくなるまで領土なんて返すわけないというような話があったり、五六年宣言といえ
ども
ソ連側が否定的になったことがあったわけですが、そうしたことを、今回初めてと言っていいでしょう、
ロシア
の最高
首脳
が文章で五六年宣言は
ロシア
にとっても義務的なものだということを確認したという
意味
はやはりあると私は
思い
ますし、
議員
も恐らくそれはお認めいただけるだろうと思うのです。五六年を両
首脳
が確認をして、そしてさらに九三年宣言を踏まえて、つまり、四島の
帰属
を決めて
平和条約
を結ぼうという九三年の
両国
首脳
の
合意
に向かっていこうということを確認したという
意味
で、この
イルクーツク声明
というものは
意味
があるというふうに私は思っています。 ただそこで、
議員
が、
クラスノヤルスク合意
というものを少し過大評価していたのではないかという
意味
のことをおっしゃったのですが、これは実は
考え方
だと
思い
ます。そういう見方もあると
思い
ますが、私は実はそう思っておりませんが、要は、
期限
を切って
交渉
しないとずるずるいっちゃうのじゃないかということもありますから、
期限
を切ってそこまでに
結論
を出そうねというのは、
考え方
として、
一つ
のやり方だと
思い
ます。ただし、その場合に、時間切れでそこで終わりよと言われたときには、その
交渉
はどちらが有利な
状況
になっているかということの問題もありますから、
期限
を切るということは、
意味
があると同時に、また逆の
意味
をもたらすこともあるいはあるかもしれません。 しかし、今度の
イルクーツク
合意
の場合には、
双方
が議論をして、
努力
をして、結局
合意
できなかった場合には、
合意
できませんでした、ここまでしか
合意
できませんでした、この次からはさらにこういう方向にいきますということを両
首脳
が確認できたわけですから、
クラスノヤルスク合意
による被害といいますか害があったかと言われれば、私は、そんなことは全くなくて、むしろ、二〇〇〇年までにやれることは
努力
してやろうといって、相当やりました、相当できたというふうに私は思っております。 では、それはどういうところができたのだと言われるとなかなか困るのですけれ
ども
、
一つ
の
考え方
として、
ロシア
国民
にこの問題を正しく
理解
してもらうために、と言うと、
向こう
側は、
日本
国民
にも正しく
理解
をしてもらいたいから、こう言いますから、
双方
の
国民
がこの問題を正しく認識するために、キャンペーンをやるといいますか、広報活動を
お互い
にやろうじゃないかというような
合意
をして、そして、それが今始まったところでございます。 一方の国が一方的にやるのではなくて、両方が
お互い
に広報活動をやろうというような
合意
ができたり、あるいは、歴史
文書
を
一つ
にとじて、先ほ
ども
御議論がありましたけれ
ども
、ロ文と和文と両方の文章を裏表にしたものをきちっと両方で確認をする、そして一冊の本に資料として残そうという作業をするとか、そういうようなことは進んできているわけで、私は、全く、時間的
期限
を切るということのよしあしというものは、それぞれの
考え方
であり、その
期限
をつけた時間の使い方の問題だというふうに
思い
ます。 ですから、
クラスノヤルスク合意
というものは、むしろ
ロシア
側が非常に困って、この次からはもう
期限
をつけるのは嫌だなという気分に恐らく
ロシア
側の方はむしろなっていて、
日本側
の方は、やはり
期限
をつけてそこへ追い込みたいという
気持ち
を持っているという
感じ
を私は持っております。
土田龍司
94
○土田
委員
終わります。
土肥隆一
95
○
土肥委員長
次に、赤嶺
政賢君
。
赤嶺政賢
96
○赤嶺
委員
日本
共産党の赤嶺政賢でございます。 きのうの外務
委員会
に引き続き、
日米首脳会談
での沖縄基地問題への
政府
の対応、そして、そこから見えてくる沖縄基地問題全般に対する
政府
の対応について、短い時間ではありますが、
河野外務大臣
にお伺いしていきたいと
思い
ます。 それで、きのうも本
会議
で我が党の山口
議員
が
森総理
に
日米首脳会談
全般についてお伺いをいたしました。実は、
日米首脳会談
が始まる直前の三月十六日に、沖縄の稲嶺知事は、福田官房長官、また
河野外務大臣
初め、米軍の兵力削減を求める、こういうテーマで
日米
協議
を行ってほしいという要請を上京して直接行っていると
思い
ます。それで、きのうの
森総理
の
答弁
を聞いていましたら、沖縄の負担軽減のために
国際情勢
の発展を踏まえて引き続き
協議
をしていく、こういう
答弁
でありました。 そこで、具体的な問題として
外務大臣
に伺いたいのですけれ
ども
、沖縄県民が要求している海兵隊の削減について、
日本
政府
として
アメリカ側
に要求する意思はあるのかどうか、明確なお答えをお願いしたいと
思い
ます。
河野洋平
97
○
河野国務大臣
現在、
日本
政府
として在沖縄の兵力の削減を
アメリカ
に求める、直ちに求めるという
気持ち
はございません。 これは、繰り返して申し上げておりますように、
国際情勢
というものを確認する、
国際情勢
が肯定的に進んで安定した
状況
になっているということを確認することができれば、そのときに
政府
として検討をする必要があるというふうに私は
思い
ますが、現
時点
で直ちに沖縄の米軍兵力の削減を
政府
として
アメリカ
に求めるということはございません。
赤嶺政賢
98
○赤嶺
委員
結局、沖縄の負担軽減に努める、
努力
するということを言うのだけれ
ども
、
国際情勢
の進展を踏まえなければいけないということになりますと、今の
河野
大臣
の
答弁
にあるように、沖縄県民に引き続き我慢を強いるということになってしまうわけですね。現に沖縄で起こっているいろいろな矛盾について、我慢してくれよという態度しか今の
日本
政府
はとり切れてないと思うのです。 私は、本当に県民の負担軽減を言うのであれば、県民の総意になっています海兵隊の削減について、
河野
大臣
は、県議会の決議はそれはそれとして尊重していきたいという御
答弁
でありましたが、その後、稲嶺知事も海兵隊の削減を要求するようになっています、そういう県民の総意を、負担を軽減するという
政府
の態度が本物であるならば、きっぱりと
アメリカ
に要求すべきだと
思い
ますけれ
ども
、いかがでしょうか。
河野洋平
99
○
河野国務大臣
私は一月末にワシントンへ参りまして、パウエル新国務長官と
会談
をいたしました。そのパウエル長官との
会談
の席上、私から率直に沖縄の
皆さん
の
気持ち
を伝えました。沖縄県には海兵隊削減の声があります、県議会でも決議がされています、県民の
気持ち
を重く受けとめる必要がありますということを私はパウエル長官には率直に言いました。しかし、
政府
としては、先ほ
ども
申しましたように、我が国の平和、安全ということを考えれば、
国際情勢
を無視して、ただ単に在沖縄米軍の兵力の削減を求めるという態度はとっておりません。 これにつきましては、先ほ
ども
申し上げましたように、
国際情勢
の肯定的な変化と申しますか、そういうものを確認して、それが安定して、そういうものであるとすれば、そのとき我々は初めて検討をすべきものだというふうに考えているわけです。
総理
の御
発言
も、沖縄県民の
気持ち
というものを大事にしておられる。だからこそ、私のような率直な言い方ではございませんけれ
ども
、
首脳会談
における
総理
の御
発言
は、沖縄県民の負担に対する
配慮
が重要ですよ、県民の
気持ち
を酌む必要がありますよということは、そういう言い方で
総理
は
アメリカ
の
首脳
に伝えているわけでございます。そうした
発言
というものは、今
議員
がおっしゃいましたように、沖縄県民の
気持ち
というものを
総理
は重く受けとめておられるということの証左だというふうに御
理解
をいただきたいと
思い
ます。
赤嶺政賢
100
○赤嶺
委員
県民の
気持ち
を重く受けとめるだけでは沖縄の基地問題は
解決
しないのですよ。現に、
皆さん
が重く受けとめているという間にも事件、
事故
が頻発しております。この一週間の間の事件や
事故
についても
外務大臣
も
承知
していると思うのですね。 私は、引き続き、沖縄県民の
気持ち
を、沖縄の人はこういう
気持ち
ですよというぐあいに
アメリカ
に伝えるのではなくて、沖縄県民の
気持ち
を考えたときに
日本
政府
としても海兵隊の削減は要求していかなきゃいけないと思っている。こういう
日本
政府
の顔が見える
外交
をぜひやっていただきたい、私はそのように
思い
ます。県民をだしに使わないでいただきたいというのが率直な
気持ち
です。 それで、きのう、普天間飛行場の移設問題の十五年使用
期限
についても外務
委員会
で議論をいたしました。ブッシュ大統領が困難であると述べたことについて、
河野外務大臣
は、ブッシュ大統領の
アジア
情勢についての認識を引き合いに出して、クリントン大統領とは違う厳しい見方をしているという御
説明
もありました。 そういう中で、稲嶺知事や自由民主党が県民に約束した十五年使用
期限
問題、これは
政府
も後押ししているわけですから、私
たち
はそんな
期限
をつけて新しい基地をつくるということ
自身
が大問題だと言ってきたわけですが、
皆さん
の大公約をやはり
国民
の前でもう一度検証していきたいというつもりでこの問題を取り上げているのです。 結局、十五年使用
期限
も、
国際情勢
の進展ということに照らしてみれば、先ほどの海兵隊削減と同じように
日米
間で直ちに
結論
を出すことは難しい、このように考えているのかなと私は受けとめましたけれ
ども
、
河野外務大臣
の見解を再確認しておきたいと
思い
ます。やはり今日では難しいよということであるのかどうか、お答え願います。
河野洋平
101
○
河野国務大臣
使用
期限
の問題につきましては、私
ども
は平成十一年に閣議決定を行いまして、この閣議決定を踏まえて、
政府
としては、
アメリカ
との間で
協議
をしたり、あるいは
国内
で準備をするということをいたしているわけでございます。
政府
の認識の中には、今
議員
がおっしゃいましたように、
国際情勢
というものが非常に重要な問題、つまり
安全保障
の問題ですから、
国際情勢
というものが極めて重要であることは、これは当然のことでございまして、この
国際情勢
についての認識というものを考えながら準備を進めていかなければならぬ。 それはなぜかと言えば、沖縄県知事や名護市長からの要請というものを重く受けとめているからでございまして、こうした知事、市長からの要請を重く受けとめた上で準備を進めるということが重要だというふうに考えているわけですが、その準備の中で極めて重要なものは
国際情勢
の認識だということでございます。 したがって、これまで累次にわたって御
答弁
を申し上げておりますのは、この問題は、
国際情勢
もあって厳しい問題ではありますけれ
ども
、しかし、私
ども
としては、地元の意見というものを重く受けとめてこの問題に取り組んでおりますということを申し上げているわけです。
赤嶺政賢
102
○赤嶺
委員
もう一度伺いますけれ
ども
、沖縄県民の
気持ち
は重く受けとめるけれ
ども
、
国際情勢
や
日米
安保というものをつかさどっている
政府
の立場がある以上、今日直ちに
結論
を出すのは難しい、こういう立場なのですね。
結論
が直ちに出るのかどうかという、この点です。
河野洋平
103
○
河野国務大臣
直ちに出るかどうかという、直ちにというのがいつを指すのか。きょう出るかと言われれば、それはきょう出ますというふうにはなかなか申し上げられないわけでございますが、本来できるだけ早く出すということのために
努力
をするということでございます。(
発言
する者あり)
赤嶺政賢
104
○赤嶺
委員
ちょっと
委員長
、時間をとめてください。今定足数を満たしていないそうですから、時間をとめてください。
土肥隆一
105
○
土肥委員長
では、速記をとめてください。 〔速記中止〕
土肥隆一
106
○
土肥委員長
記録を起こしてください。 赤嶺君。
赤嶺政賢
107
○赤嶺
委員
それでは、引き続き十五年使用
期限
問題の議論をしたいと
思い
ます。
外務大臣
は、直ちにと言われる範囲がどうなのかよくわからないのでとおっしゃっておりましたが、ただ、直ちにというめどは県民の意識の中にはあるのです、大体いつごろまでというのは。そういうことは
外務大臣
よくお考えになって、どういう仕事をしなければいけないのかということを見ていただきたいのです。 今
皆さん
は、基本計画をいつごろまでにつくるかということでやっていらっしゃいます。代替施設
協議
会も粛々と進めておられます。ところが、夏までにはつくりたい、あるいは参議院選挙までには普天間基地の移設計画の基本計画をつくりたい、そういう報道も見受けられますけれ
ども
、私が問題にしたいのは、この十五年
期限
問題というのは、沖縄で基地を受け入れた
人たち
が前提条件にしているということなんですよ。 当時、基地受け入れを表明した名護の岸本市長は、受託表明の中で、このような前提が確実に実施されるための明確で具体的な方策が明らかにされなければ、移設容認を撤回することを市民の皆様に約束する、ここまで述べておられるわけですね。十五年
期限
が明確な約束ができない場合には基地受け入れを撤回しますと名護市長が述べているわけですよ。したがって、十五年
期限
の設定が決着しないもとで、移設工事あるいは移設計画づくり、こういうことだけが粛々と進むようなことがあってはならないと思うのですね。これは移設を受け入れた知事やあるいは名護市長でさえ譲れない問題なんです。 そういう譲れない問題なんだということを踏まえて、
外務大臣
は、この十五年使用
期限
問題、本当に今の
国際情勢
の進展のもとで、ブッシュ大統領の登場と新たな
アジア
情勢の認識のもとで
結論
を出すことができるのかどうか。あるいは、いつまでに出そうと考えておられるのか。私には、絶対出ない
結論
を、問題を先送りしているというぐあいにしか見えないのですが、いかがでしょうか。
河野洋平
108
○
河野国務大臣
小島委員
からの御
質問
にもございましたけれ
ども
、ブッシュ政権は、国務省、国防省ともにまだすべてのスタッフがそろっているわけではないのでございます。国務省は、パウエル国務長官のもとにアーミテージさんも副長官として加わるということが決定をされて、着々とその
人事
が進んでおりますけれ
ども
、国防省も準備に取りかかっておられますが、まだ完全にすべてのスタッフが整ったというわけではありません。 そういう中で、一方では大変困難だという認識もあれば、一方では、アーミテージ、ナイ・レポートなどという知日家の
方々
が集まられてつくり上げられたレポートの中には、また別の認識、別の角度からのアプローチについても議論があるわけで、私は、今この
時点
で、
議員
がおっしゃるように、これはだめではないかとか、これはできるのではないかとかということを余り確定的、断定的に考えてはむしろいけないので、我々として地元の
気持ち
も重く受けとめながらこれを取り上げつつ、普天間の移設については引き続き
協議
をしていくという、これはブッシュさんの認識ですけれ
ども
、我々としては少なくとも今の状態ではそういう認識でいい、いいというのは変な言い方ですが、そういう認識だというふうに考えているわけです。
赤嶺政賢
109
○赤嶺
委員
つまり、沖縄県民の声を伝えるだけで、そして、ブッシュ大統領の意向を伺ってくる中で
日本
政府
としては明確な姿勢を示し切れない、こういうことだろうと思うのですよ。ですから、そういう
日本
政府
に対して、やはり県民は大いに不信感を抱いている。十五年使用
期限
問題については、出せない
結論
を先に送り続けているだけ、矛盾を後回しにしているだけというような認識が率直に言ってある。これは、基地を受け入れている
人たち
の間でさえも、非常に不安な材料として
政府
の態度を見ているということを申し上げておきたいと思うのです。 それで、普天間基地の場合にはこの十五年使用
期限
の問題にとどまらないで、今度は環境問題が出てきているわけですね。 特に昨年の十月、アンマンで開かれた
世界
自然保護
会議
、百十二の
政府
機関が
出席
し、七百三十五のNGOが会員になっている、
日本
でも環境庁が会員になっているこの自然保護
会議
で、普天間基地の移設について、このような決議が上げられました。 この空港建設がこの地域で実行されるとすれば、ジュゴンの重要な休息所及び採食場所になっている辺野古沿岸のサンゴ礁と海草藻場を消滅させる危険があり、小さな地域個体群の生存に対して重大な脅威を与える可能性があることを懸念する。つまり、ジュゴンのすむ海に空港をつくったら、ジュゴンのすむ環境が劣化するおそれがある、あるいは絶滅する危険があるという認識を環境問題の
専門家
は持ち、
世界
自然保護
会議
も今のような決議が上がったわけです。 それで、
皆さん
は、環境に留意すると言いながら、本当にたった三カ月間だけ藻場の
調査
と個体の
調査
をやりました。ところが、ジュゴンについての
日本
の
専門家
の見解は、
皆さん
が
調査
に入る前から既に、航空機から目視
調査
をやって生息数を正確に知るというのは、十分なお金と時間があって実現できたらすばらしいことなんだけれ
ども
、今沖縄のジュゴンは五十頭は割っているので、このときに個体
調査
をやって、それが三十頭だったとか百頭だったとかというのは
意味
がない。この五十頭と推定されるジュゴンについての保護の対策をきちんとするべきだと。そういうものが全くまた見えてこないわけですね。それから、藻場を移しかえるなんてとんでもない、こういうこともこのジュゴンの
専門家
は言っているわけです。 環境問題を見ても、普天間基地の移設については、私らも、実際にあそこに空港をつくったら、あそこに基地をつくったらジュゴンが死滅するということは明白なわけですから、もう普天間基地を名護市に移設するという計画
自身
が成り立たないものであるということを考えますけれ
ども
、いかがでしょうか。
河野洋平
110
○
河野国務大臣
ジュゴンの保護は私も重要だという認識を持っております。恐らく沖縄のジュゴンは、種の保護、保存を考える上でやはり相当真剣に、これはもう基地をつくるとつくらないとに限らず、ジュゴンの保護はジュゴンの保護として考えていく必要があるほど重要なものだというふうに思っているんです。 ただ、ジュゴンの保護については、定説がないといいますか、はっきりとした
方法
について述べられるだけの知見がまだないというふうに、私の記憶ではそういう認識を持っております。まだジュゴンの生態
自身
が余りはっきりしていないということをおっしゃる方すらおられます。 そういう中で、先般の
調査
で、沖縄の東側、辺野古沿岸地域で五頭のジュゴンが確認をされたということでございまして、その五頭のジュゴンが果たしてあの辺にいるジュゴンの中のどの程度の割合のものなのか、まさか五頭がすべてではないと私は信じますけれ
ども
、しかし少なくとも、一定の期間、
調査
をやった
調査
団の
人たち
の
調査
によれば、あの東側には五頭のジュゴンが確認をされたということでございます。 ジュゴンが五頭目視された、視認されたということと同時に重要なことは、藻場がどれだけあるかということだと
思い
ます。現在の残された藻場が、一体何頭のジュゴンの食欲を満たすだけの藻場があるか。その藻場が今極めて少なくなってしまっている。その藻場が減っている理由は何だ、あるいはその藻場を再生させるための
方法
は一体どういう
方法
があるのかということについても考えなければならない。 私は、自然は保護するものであると同時に、自然はやはりみんなの力で再生をさせたりつくっていく
努力
というものもまた必要なんだと。いや、人為的につくったものを自然と言うかという御議論はありますけれ
ども
、それは、やはり種の保存ということを考えれば、藻場について、人為的にもこの再生のための
努力
はする必要があるというふうに私は思っているわけで、ジュゴンの保護については私は非常に重要な問題だという認識を持っておりますと同時に、それだけに、ジュゴンの保護について、どうすれば保護ができるかということについて、みんなで考えていく必要があるのではないかと
思い
ます。
赤嶺政賢
111
○赤嶺
委員
外務大臣
おっしゃったように、ジュゴンに対する知見が
日本
の場合は非常に弱い。環境省
自身
がジュゴンに対する知見を持ち合わせていない。持ち合わせていない中で、
日本
の
国内
で唯一ジュゴンのえさ場になっている藻場があり、そして、唯一生息が確認されているキャンプ・シュワブの沿岸、東海岸のその地域に米軍基地を新しく建設するというほど無謀な計画はないと
思い
ます。ジュゴン保護の知見がない国がジュゴンのすんでいる地域に米軍基地をつくろうというぐらい非常に無謀な話はないと
思い
ます。 今、もう時間がありませんので問いませんけれ
ども
、自然の再生だとかいろいろ言っておりましたが、
日本
での一番のジュゴンに対する知見を持ち合わせ、
専門家
と言われている三重大学の粕谷先生はこのように述べています。 それでじゃあ
日本
のジュゴンを捕まえて、どこか邪魔にならない所に集めてしまえという極論も出てくるかも知れません。私はそれにも反対です。安全なジュゴンの生息地は、
日本
では本島東岸しか残っていないのです。 沖縄本島の東海岸しか残っていないのです。 それに、自然保護というものは、ある生物種と他の様々な生物種が互いに
影響
しあい、
関係
し合いながら生きていく、そのシステムを保護することです。ジュゴンをどこかに囲ってしまってエサをたっぷりやってこ
ども
を産ませるとすれば、それは新たな家畜を作ることにすぎません。それにジュゴンを飼育下で繁殖させることは、まだどこでも成功しておりません。 このように言うんですね。家畜をつくることにしかならない。
土肥隆一
112
○
土肥委員長
失礼ですが、もう六分オーバーしていますので、まとめてください。
赤嶺政賢
113
○赤嶺
委員
そうですか。どうも失礼いたしました。ちょっと中断があったので、調子も狂ってしまいましたけれ
ども
。 家畜をつくることにしかならないし、繁殖はまだどこでも成功していないというような
お話
ですから。 私は、
最後
に改めて、十五年使用
期限
も約束できない、そしてジュゴンの保護も約束できない、そういうところに立ち至った以上、普天間基地の名護市への移設は白紙撤回して、普天間基地の即時無条件返還の立場で、
日本
政府
の顔が見える対米
交渉
をやっていただきたいということをお願いして、私の
質問
を終わりたいと
思い
ます。
土肥隆一
114
○
土肥委員長
次に、
東門美津子
君。
東門美津子
115
○東門
委員
引き続いて、沖縄の問題について
質問
をさせていただきます。 昨日、沖縄から、普天間基地・那覇軍港の県内移設に反対する県民
会議
の代表団が、三月十七日に開催されました、米軍による事件を糾弾し、海兵隊の撤退と基地の県内移設に反対する県民集会での決議を携えて上京され、私も同行して
アメリカ
大使館へ決議文の手交に参りました。 「平和な沖縄を返してほしい。繰り返される米兵の事件や
事故
に、県民は我慢の限界にきており、怒りは頂点に達している。」という書き出しで始まる決議文ですが、その中の六点にわたる要請項目の中には海兵隊の即時撤退、そして
日米
地位協定の抜本的な見直し等があります。 対応した
アメリカ
大使館の二等書記官は、
日米
地位協定は二国間の国際規約であり、その改定に関しては、
日本
政府
から申し出があればいつでも話し合う用意があると述べていました。
大臣
、
日本側
からぜひ改定を提案し、改定に取り組んでいただきたいと
思い
ますが、いかがでしょうか。
河野洋平
116
○
河野国務大臣
地位協定につきましては、繰り返し申し上げておりますように、現在、合同
委員会
の下部機関で運用の改善について提案をしておりまして、この提案に対する米側の対応というものを見た上で考えたいというふうに思っております。
東門美津子
117
○東門
委員
大臣
は、二月二十三日の
衆議院
の予算
委員会
において、
日米
地位協定の改定について
日米
で議論していく意思があるかという問いに対しまして、「これは、問題をもっと精査せねばならないというふうに思っております。」と
答弁
しておられます。
大臣
は具体的にどのような部分を精査する必要があると考えておられるのか、あるいはまた、どの部分にどのような問題があれば
米国
に対して地位協定の改定を提案することになるのか、伺いたいと
思い
ます。
河野洋平
118
○
河野国務大臣
私の認識は、容疑者の引き渡しの問題が
一つ
の非常に重要な私に対する意識を与えております。この容疑者の引き渡しにつきましては、地位協定の運用の改善の中で既に
両国
で
合意
をしたものがあるわけですけれ
ども
、どうもそれが不十分といいますか不明確といいますか、そういう部分があるように
思い
ますので、その点を確認するということが非常に重要だと思ったからでございます。 もちろん運用の改善には殺人、強姦というようなことが明示的に書いてございますが、
日本
の
法体系
でいえば、放火、特にそこに居住する家に対する放火というものは極めて罪が重いわけでございますけれ
ども
、これはどうも
日米
間で罪に対する重さの受けとめ方が違うようで、そこが
合意
できずにいるという
感じ
もするものですから、少なくとも
日本
におけるこの手のものは
日本
の文化的な背景というものを踏まえて考えなければならぬというふうに私は思っておりまして、この運用の改善に明示的にそうしたことが書けるかどうか、あるいは、そうした問題についての
両国
の
合意
ができるかどうか、同じような認識が確認できるかどうか、そういったことが
一つ
の問題。さらには環境の問題な
ども
そうだと
思い
ます。 こうした問題について、私としては
日米
間で議論をしてみたいというふうに
思い
まして、まずは
日米
合同
委員会
で、今申し上げたようなことについて議論をさせているところでございます。
東門美津子
119
○東門
委員
先ほどの赤嶺
議員
の
質問
に対して、兵力削減を直ちに
アメリカ
に求めるという
気持ち
はないと断言されておられました。と同様に、地位協定の改定にもいま一歩踏み込む意思はないということでしょうか。運用の改善でずっといくというふうにとっていいんでしょうか。
河野洋平
120
○
河野国務大臣
大事なことは問題の
解決
だと思っているわけです。ですから、問題を
解決
するためにどういう
方法
が一番いいかということが重要だと思っています。 ですから、私は、運用の改善について議論をして、この問題について納得のいくような
状況
にならないなら私は
日米
地位協定も視野に入れて考えますということを繰り返し申し上げているわけで、その私の
考え方
は全く変わっておりません。
東門美津子
121
○東門
委員
それでは、本当に基本的な初歩の
質問
をさせていただきます。 県民の負担を重く受けとめるという言葉がよく聞かれますが、
大臣
の中で、県民の負担、負担というのは何を具体的に
意味
しているんでしょうか、教えてください。
河野洋平
122
○
河野国務大臣
それはいろいろあると
思い
ます。精神的な負担もあると
思い
ます。それから、物理的な、例えば基地の広さからくる県民の
経済
活動に対する制約というものがもしあるとすれば、それも沖縄県民の負担になっているだろうというふうに
思い
ます。
東門美津子
123
○東門
委員
次に、負担の軽減とおっしゃいます。軽減、負担の軽減は具体的にどのようになさるお考えですか、お聞かせください。
河野洋平
124
○
河野国務大臣
これはいろいろあると思うんです。
一つ
は、
経済
的なバックアップをすることによって
経済
的に困難な
状況
が少しでも
解決
をするということも負担の軽減の
一つ
であると
思い
ますね。 基地があるがためになかなか
経済
的な問題が
解決
しない、あるいは
経済
の発展というものを阻害しているという部分があるとすれば、それはやはり、
政府
があるいは全
国民
がそうしたことについて、沖縄県民の
皆さん
だけが担っている、背負っている負担というものを軽減するために
理解
をして、そこに
経済
的な援助、支援、あるいは、援助とか支援とか言わなくても、そこで
経済
活動が積極的に進む、例えばフリーポートをつくるとか、そういった問題。あるいは、沖縄へのアクセスの割引をやるとか、そういったことによって人の行き来をふやす。それが結果として沖縄に
経済
的な効果をもたらす。それは負担の軽減の
一つ
でもあるというふうに
思い
ますし、あるいは、現在ある基地の面積を減らしていくということも負担の軽減の
一つ
でもあると
思い
ます。
東門美津子
125
○東門
委員
大臣
のおっしゃる負担、そして負担の軽減という御意見を今お伺いしたわけですが、負担には精神的なものもある、それから
経済
的な制約のことをおっしゃっておられました。それから、負担の軽減に関しては主に
経済
的な側面からの
お話
だったと
思い
ますが、それだけだと
思い
ますか。ほかに沖縄県民が多くの負担を抱えていると思うんですよ。そこをぜひお答えいただきたいと
思い
ます。
河野洋平
126
○
河野国務大臣
恐らく、沖縄の
皆さん
が
感じ
ておられる負担というのは、いろいろあるんだろうと
思い
ます。
思い
つくままに幾つか申し上げれば、基地があるがゆえに、例えば騒音による被害というものもあるかもわかりません。あるいは訓練によるさまざまな問題もあるかもしれません。こういった問題についても削減をしていく、今そういう議論がされている、あるいは実行にそれが移されているということだと
思い
ます。
東門美津子
127
○東門
委員
まさにそのとおりですが、それ以外にも、環境汚染の問題、水質が汚染されている、汚濁の
状況
がある、自然破壊が現存している、有害な化学物質が検出される。そして、何よりも女性や子供への、一番
外務大臣
も頭を痛めておられることと
思い
ますが、人権の侵害、
人間
としての尊厳が侵される、そういう
状況
が存在している。 私は、基地の面積を少し小さくする、いや決して要らないとは言いません、大事なことです。しかし、それだとか
経済
的な側面からだけ沖縄県民の負担ととらえていただくのはとても納得がいきません。沖縄県民が本当に日ごろの生活の中で基地から起因する、派生してくるいろいろな問題についてどういうふうに思って生活しているかということを、
政府
の
皆さん
、特に
外務大臣
は本当にそこに心を向けていただきたいと
思い
ます。 平成十一年の閣議決定を踏まえてとよくおっしゃいます。私、前にもこの
質問
をいたしましたけれ
ども
、それには沖縄県民の意思は反映されておりません。断言しておきます。 確かに、普天間基地を、学校も周囲にある、本当に市街地のど真ん中にある、危険な地域にあるからこれを返してほしいとお願いはしました、どうにかしてくださいと。しかし、前にも申し上げましたように、県内移設をしてほしいと申し上げたことはないのですよ。 ただ、閣議決定の中で、それは
アメリカ
とのやりとりがあったことはわかりますが、その中で、なぜ、沖縄県民の負担を——本当の
意味
での軽減なくして私は軽減にはならないと
思い
ます。それを辺野古に移す、そこに新たな危険が生ずる、新たな自然破壊が生ずる、新たな航空機騒音の問題が生ずる、そういうことで本当にいいのでしょうか、
大臣
、よろしくお願いします。
河野洋平
128
○
河野国務大臣
前段おっしゃいましたことは私もよくわかっております。ただ単に
経済
的な問題とか土地面積の問題だけではない、しかしそれも重要なことだということはお認めいただきたいと
思い
ます。と同時に、私は、やはり精神的な問題が非常に大きいと、先ほ
ども
最初
に申し上げました。それは、沖縄に住んでおられる
方々
が何か不安を
感じ
ながら生活をしておられるということであるとすれば、それはまさに精神的な問題と思ったからでございます。 後段の
お話
は、SACOの最終
報告
をつくりますときにも、どうして沖縄の基地の整理、統合、縮小ということを進めていくかということを議論する中でSACOの最終
報告
というものの議論が行われたわけでございまして、あのSACOの最終
報告
が着実に実施されて進んでいけば、少なくとも基地の整理統合というものはできてくる、それによって基地全体の面積的な問題は縮小されていくということは、これは、
一つ
の問題を乗り越えるという
意味
では、やはり重要な一歩だというふうに
思い
ます。 沖縄には立派な自然があります。大変皮肉なことですけれ
ども
、その自然は、訓練基地だったがゆえに残された部分も実はあるわけです。これは誤解をしないでいただきたいのですが、例えばヤンバルクイナにしてもノグチゲラにしても、あそこでああやってあの鳥
たち
が生き延びている、あの林、あの自然というものが残ったということは、そういう側面もあると思うのですね。それが、仮に返還をされて、そして何か開発をされるということになると、むしろ逆に、それによって自然が分断されていってしまうことになりはしないかということをおっしゃる方すらいらっしゃる。 だから訓練基地のままでいいなんということを私は決して言うつもりはございませんが、沖縄というあの限られた面積の中で、どうやってそういうものと、両立という言葉もあるいは沖縄の
皆さん
からいえば非常に愉快でない言葉であるかもしれませんけれ
ども
、しかし、沖縄という限られたあの面積の中で、どうやって負担を軽減しながらそうしたことができていくかということについて、私
ども
は真剣に考えなければならぬというふうに思っています。
東門美津子
129
○東門
委員
確かに、
大臣
がおっしゃられるとおり、負担の軽減の中に、
経済
的な問題、面積の問題があることは私もよく
承知
しております。でも、それだけではないと申し上げました。そういうものも軽減していく方向でいかないと、言葉だけでないということを私は信じたいと
思い
ます、本当の
意味
での県民の負担の軽減にはならないと思うのです。 時間が迫っていますので、もう
一つ
お伺いしたいのは、先ほど兵力の削減を
アメリカ側
に申し出る気はないとおっしゃったのですが、海兵隊の沖縄への駐留は本当に必要なのかということを
大臣
にお伺いしたいと
思い
ます。 海兵隊は
日本
を守るためにいるのではないということはだれでも知っていることです。そういう中で、訓練の六カ月のローテーションで入ってくる海兵隊、なぜ海兵隊が沖縄に駐留しなければいけないのか、本当に必要なのか、そこをぜひお聞かせいただきたいと
思い
ます。
河野洋平
130
○
河野国務大臣
これはどうも私がお答えをするのは十分ではないかもしれません。それはむしろ、先ほどから申し上げているように、
国際情勢
の認識でございますとか、あるいは
日米双方
がどういうふうにこの問題について
安全保障
の視点に立って議論をしているかということが重要ではないかと思うからでございます。 しかし、
日本
にとっても
アメリカ
にとっても、
双方
にとって沖縄の基地の
重要性
というものを認識し、確認をしている中で、沖縄に海兵隊が一定数いるということについては、我々も、これは
日本
にいる必要がない、
日本
にいてはいけないのだということを
アメリカ
に言うという
状況
には今はないというふうに思っております。 これは繰り返しで大変恐縮でございますが、
日米双方
でハイレベルで
会談
が持たれ、
協議
が持たれるときに、継続的に、いつでも、そうした議論があるときには、それぞれの地域情勢に対する認識などについて
お互い
の認識を述べ合うということがあるわけですけれ
ども
、そうした認識を述べ合う中で、ここにどういう兵力が必要かということを
アメリカ側
は考えるわけでございます。私
ども
にとっては、今そうした
国際情勢
の認識というものが
合意
できるということができるだけ早くあればいいなというふうに思っているわけです。その
合意
というものは、
日本
の安全にとってどういう
状況
が一番いいかということの
合意
を早く見つけたいというふうに思っております。
東門美津子
131
○東門
委員
時間がないのがとても残念です。もう少しお聞きしたかったのですが、
最後
になりますが、今の
大臣
の御
答弁
の中、
日米
のハイレベルでそういう場を持っていくときにとおっしゃっておられますが、先ほどから出ていますが、沖縄県民はこのように言っているよと沖縄県民の
思い
をただ伝えるだけではなくて、
日本
政府
が、
大臣
が、
政治
というものはこうあるべきだということをしっかり発揮していただいて、
アメリカ側
に具体的にこういう形でやっていきたいということを出すことも大切じゃないかと
思い
ます。 残りの
質問
は次に回しますけれ
ども
、ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ————◇—————
土肥隆一
132
○
土肥委員長
次に、本日付託になりました
国際電気通信連合憲章
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において採択された
改正
)及び
国際電気通信連合条約
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において採択された
改正
)の
締結
について
承認
を求めるの件及び
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において
改正
された
国際電気通信連合憲章
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十八年
ミネアポリス
)において採択された
改正
)及び
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において
改正
された
国際電気通信連合条約
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十八年
ミネアポリス
)において採択された
改正
)の
締結
について
承認
を求めるの件の両件を議題といたします。
政府
から順次提案理由の
説明
を聴取いたします。
外務大臣
河野
洋平君。
—————————————
国際電気通信連合憲章
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において採択された
改正
)及び
国際電気通信連合条約
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において採択された
改正
)の
締結
について
承認
を求めるの件
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において
改正
された
国際電気通信連合憲章
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十八年
ミネアポリス
)において採択された
改正
)及び
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において
改正
された
国際電気通信連合条約
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十八年
ミネアポリス
)において採択された
改正
)の
締結
について
承認
を求めるの件 〔本号末尾に掲載〕
—————————————
河野洋平
133
○
河野国務大臣
ただいま議題となりました
国際電気通信連合憲章
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において採択された
改正
)及び
国際電気通信連合条約
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において採択された
改正
)の
締結
について
承認
を求めるの件につきまして、提案理由を御
説明
申し上げます。 これらの
改正
文書
は、平成六年十月に
京都
で開催された国際電気通信連合の
全権委員会議
において採択されたものであります。 これらの
改正
文書
は、民間の電気通信事業者等の国際電気通信連合の活動への参加を促進し及び拡大させること、他の国際機関との連携を強化すること等を目的とするものであります。 我が国がこれらの
改正
文書
を
締結
することは、電気通信の分野における国際協力を一層推進するとの見地から有意義であると認められます。 よって、ここに、これらの
改正
文書
の
締結
について御
承認
を求める次第であります。 次に、
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において
改正
された
国際電気通信連合憲章
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十八年
ミネアポリス
)において採択された
改正
)及び
全権委員会議
(千九百九十四年
京都
)において
改正
された
国際電気通信連合条約
(千九百九十二年
ジュネーヴ
)を
改正
する
文書
(
全権委員会議
(千九百九十八年
ミネアポリス
)において採択された
改正
)の
締結
について
承認
を求めるの件につきまして、提案理由を御
説明
申し上げます。 これらの
改正
文書
は、平成十年十一月に
ミネアポリス
で開催された国際電気通信連合の
全権委員会議
において採択されたものであります。 これらの
改正
文書
は、民間の電気通信事業者等の国際電気通信連合の活動への参加を促進し及び拡大させること、同連合の財政的基盤を強化すること等を目的とするものであります。 我が国がこれらの
改正
文書
を
締結
することは、電気通信の分野における国際協力を一層推進するとの見地から有意義であると認められます。 よって、ここに、これらの
改正
文書
の
締結
について御
承認
を求める次第であります。 以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御
承認
いただきますようお願いを申し上げます。 以上です。
土肥隆一
134
○
土肥委員長
これにて提案理由の
説明
は終わりました。 次回は、来る四月四日水曜日午前八時五十分
理事
会、午前九時
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時二分散会