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政府参考人(林
良造君) 通産省の生活
産業局長の林でございます。
ただいま
但馬委員から御
指摘ございましたように、大体昨年からことしにかけまして、中国からの繊維の二次製品、織物と言われますいわゆる衣類でございますが、その輸入が、大体年率、前年比二〇%前後の増という形で急増しております。この結果、繊維
産業、とりわけ御
指摘ございましたように、産地の中小企業が深刻な影響を受けておる事態は今お話にあったとおりでございます。
このような輸入急増の背景でございますけれ
ども、消費全体が冷え込んでおるというサイクル以外のものに加えまして、消費者の志向が変わってきたというような
経済的な大きな
変化、あるいは特に中国の繊維
産業の品質が向上してきたというようなことがあると考えております。また、輸入の内容をつぶさに見てまいりますと、現地でむしろ
我が国企業が生産をし、日本向けに輸出するというケースが多いというような、やや複雑な要因を持っておるというふうに
認識してございます。
こういう
状況でございますので、本年四月から繊維
産業界各団体と、それから通産省でタスクフォースをつくりまして、今まで十回の
議論、あるいは中国に行き、米国に行き、欧州に行きという
調査を重ねてまいっております。
そのような検討のプロセスで明らかになってきた点といたしまして、
一つは輸入急増に対応するための通商面での対応だけではなくて、むしろ、アメリカ、ヨーロッパの繊維
産業が同じようなことを経ながら再生してきたわけでもございますし、そういうことを踏まえた競争力をどういうふうに強化していくのかといったようなことを含めまして、総合的な
対策を考えていかなくちゃいけないということが今タスクフォースの共通
認識としてでき上がってきつつあるわけでございます。
具体的には、輸入急増に際しましての緊急措置でございます繊維のセーフガードを機動的に
活用できるようにするということのほかに、
供給過剰が発生しないような
産業界での生産とそれから販売の間の
情報が共有されていると。製販一体というような言葉も最近言われておりますけれ
ども、そういう仕組みでございますとか、あるいは過剰な発注でその後それを受け取らないというような形での商慣行、返品が事業主にあいまいな商慣行といったものを
改善していかなくちゃいけないという点でございますとか、あるいはイタリアが六〇年代に成功したわけでございますけれ
ども、海外に向けたブランドを確立して海外に向かって展開していったケース、あるいはアメリカで見られましたような、
情報技術を
活用したベンチャー企業などが
中心になってコスト競争力も含めた競争力をつけていくということによって再生してきたケースといったような、そういうことを考えながら、そういう海外展開の
支援でございますとか、あるいはベンチャー企業の
支援といったような繊維
産業の競争力を強化するということの視点に立って、総合的な対応を取りまとめつつあるところでございまして、これは非常に大きな
政策転換にもなりますので、繊維
産業審議会を開催して年内に、急いで年内に、今そういう大きな取りまとめ、基本的な
政策の方向、具体策を取りまとめていかなくちゃいけないと思っております。
こういうラインに従って進めていくことによりまして、
政府が
環境をつくり、そして繊維
産業の創意工夫、バイタリティーを発揮するということができ得れば、もともと非常に質の高い消費者市場、消費者のある市場を持っておりますし、また高い技術力を持った産地というものもございます。そういう市場あるいは企業の集積というようなものを核にして、
我が国の繊維
産業がアメリカ、イタリアにありましたように、また大きな
雇用を引っ張っていけるような地域
産業としても再生していけるのではないかというふうに期待しておるところでございます。