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衆議院議員(
杉浦正健君) 中村先生は私
どもよりは
刑事処分の現場を御存じないからそういうお話になると思うんですが、どういうふうに御説明をしたら御理解いただけるか。
漆原先生も弁護士なんですが、司法試験を通って研修所に入ります。私
どものころは検察修習というのが四カ月ありました。
裁判が民事、刑事、弁護士修習それぞれ四カ月、それで検察修習四カ月。私は本当に好きでというか、興味を持ってやったんです。
重大
事件というと大体逮捕されるのが普通です。身柄になって逮捕期間七十二時間でしたか、
警察が調べて送ってきます、身柄と一緒に書類が来ます。大体私
どもは、ベテラン、十年以上
捜査経験のある検事について四カ月、起案もさせられたんですが、検事の人たちは物すごいなと思ったんです。送られてきた書類を見て、それまでの
捜査の
記録を見て勘を働かせて、これは公判請求だ、これは不起訴だと、第六感でぴっと結論まで見通すんです。すごいものです。おまえ、これは不起訴になるかどうするか、公判請求かと
意見を聞かれる。最初はそれなりに一生懸命やったんですが、四カ月やってくると、ああこれは公判請求ですぐらいのことは大体わかるようになったんです。
少年事件もそうです。
凶悪犯罪の場合は同じような
ケースだと思うんですが、公判請求が必至だという
事件については、
警察にあれ調べろ、これ調べろと検事が指示します。どんどん
捜査させまして、あれが足りない、これが足りない、まさに検事が全
責任を持って公判を前提として
証拠の収集をやるわけであります。これは不起訴だということがはっきりしたような
事件ですと、本人を呼んで大きな声で怒ったりしますが、そういった怒ったりする
事件は大体不起訴ですね。公判請求する
事件は丁重に調べて言い分を十分聞いて、本人は不起訴だと思ったら公判請求されるというのが多いんですが、これは不起訴だということになると、もう時間も限られていますからある程度の
捜査で打ち切るということをやっておるわけであります。
この
少年事件の
運用が、例えば殺人でも逆送率二割から三割という事実はみんな知っていますから、
検察官も。
山形マット
事件でも岡崎さんの
事件でも、死んで、しかし岡崎さんの場合はけんかじゃないかと最初予断を持って推測したらしいんですが、
山形マット
事件でも何らかの間違いだというような予断があったんじゃないかと。これも推測でありますが、その初動
捜査において、私に言わせればもっと
検察官が真剣に、子供が死んでいるんですから、もう十分にこれは公判請求あり得るぞということで徹底的な
捜査を仮にしていたとしたら、岡崎さんの場合あのような悲惨な結果にならなくても済んだんじゃないかと思いますし、
山形マット
事件でも
家裁の事実
認定と高裁と食い違うようなことはなかったんではないか、こう思っておるわけであります。
公式
答弁だと、もう検察庁も
警察庁も、
捜査を遂げて、遂げた上で
処分しておりますということにならざるを得ないと思うんです。あそこに佐々木先生、検事をやった人がおるけれ
ども、やっぱり時間が限られていますし、処理する
事件は山ほどあるから、それぞれのつかさ、つかさはやはりその置かれた立場で全力を挙げて社会の要請にこたえるということですから、これはもう
家裁へ送って、
家裁も
調査権がありますから、どうせ戻ってこないよ、過去の例に照らしてというふうになれば、そこそこ調べて、どうぞ
家裁でやってくださいと、こういうふうになるのは当たり前のことであって、私は、だから
原則逆送ということになれば、
被害者が死んでいる、ひょっとすると返ってくるかもしれぬぞ、
原則逆送なら返ってくるぞというふうになれば、
検察官もその気になって十分な
捜査をするという
可能性が大きくなるという一般論を申し上げているわけであります。
捜査の現場はぴりっとするだろうと。今まで以上にぴりっとして、きちっとした
捜査をやるに違いないというふうに思っている次第であります。そういう
意味で申し上げたわけであります。