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政府参考人(
結城章夫君) 体を構成するどのような細胞にもなれるという
特徴を持っております
ES細胞でございますが、約二十年ほど前、一九八一年にマウスから取り出され、樹立が
報告されております。その
特徴を生かしまして将来の
移植医療の基礎となる知見を得ようということで、現在は主にマウスの
ES細胞を用いまして特定の細胞や組織などをつくり出そうとする
研究が国の内外で行われております。
海外におきましては、これまでにマウスの
ES細胞から神経細胞、それから血管内皮細胞、心臓の筋肉、それからインシュリン
産生細胞、肝臓の細胞などをつくり出すことに成功したという
報告がございます。また、我が国におきましてもすぐれた
研究成果が得られておりまして、これまで非常に長期間を要しました神経細胞への分化を一週間で行うことを可能とする新手法の開発などに成功いたしております。
このようなことでございまして、
ES細胞の
研究には大きく分けまして、その樹立、培養方法についての
研究とさまざまな細胞や組織に分化させるための分化
研究とがあるわけでございますが、このうちの前者の樹立、培養法の
研究につきましてはマウスで既に十分な知識が集積されておりまして、
研究者の
認識といたしましてはもうそろそろ
ヒトの
ES細胞を樹立すべき
研究段階に来ておるというふうに聞いております。
一方、後者の分化
研究の方でございますけれ
ども、これは分化させる組織によって
研究の
進展度は大分異なるようでございますが、神経細胞、インシュリン
産生細胞、心筋細胞などについては既に相当な動物実験が行われておりまして、
かなり十分な知識が今集積されつつある
段階であるというふうに了解しております。